説明

歩車間通信システム

【課題】従来、歩行者端末で、歩行者の行動や周辺状況から危険度を判定し、その危険度に応じて通信制御を行ない、注意喚起することができなかった。
【解決手段】自歩行者コンテクスト情報、他歩行者コンテクスト情報、車両コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得部と、コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信部と、前記コンテクスト情報を、危険度を判定するための危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する危険度取得部と、危険度に応じて、歩行者端末情報を送信するか否か、または歩行者端末情報の送信方法を変更する歩行者端末により、危険度判定を行ない、それによって通信制御を行ない、注意喚起することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険に関する情報を車載端末または歩行者端末に通知する歩車間通信システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連する従来技術として、衝突回避機能付きキャリアセンス多重アクセス方式(CSMA/CA)を5.8GHz帯の車々間通信に適用した技術仕様をまとめており、日本における同周波数帯を使った安全運転支援のための車々間通信の標準方式の候補とされている技術がある(非特許文献1参照)。
【0003】
また、同じくCSMA/CAを700MHz帯の車々間通信に適用した技術仕様が存在し、この仕様も日本における同周波数帯を使った安全運転支援のための車々間通信の標準方式の候補とされている技術である(非特許文献2参照)。
【0004】
また、車両端末と歩行者端末が双方向通信機能を備え、危険度を判定し、歩行者とドライバへの注意喚起を行なう車両と歩行者との間の無線通信システムがあった(特許文献1参照)。また、本システムにおいて、車両側で、自車両が所定領域内に差し掛かったことを条件に送信動作する機能も含まれている。なお、車両と歩行者との間の無線通信は、車両に搭載されている端末である車載端末と、歩行者が保持している端末である歩行者端末との間の無線通信であり、後述する歩車間通信と同意義である。また、歩行者とは、後述するように、自転車に乗っているものも含めて、広く解する。
【0005】
また、歩行者の情報を直接、あるいは、基地局を介して、車両で受信し、ドライバへ注意喚起を行なう車両用歩行者検知システムがあった(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、無線LANを使って、歩行者の移動方向を推定し、危険を判定して、注意喚起を行うシステムがあった(非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4321068号公報
【特許文献2】特許第4147648号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】5.8GHzを用いた車々間通信システムの実験用ガイドライン、ITS FORUM RC-005 1.0版、ITS情報通信システム推進会議、平成19年5月18日.インターネット<URL:http://www.itsforum.gr.jp/Public/J7Database/p32/ITSFORUMRC005V1_0.pdf>
【非特許文献2】700MHz帯を用いた運転支援通信システムの実験用ガイドライン、ITS FORUM RC-006 1.0版、ITS情報通信システム推進会議、平成21年2月12日.インターネット<URL:http://www.itsforum.gr.jp/Public/J7Database/p34/ITSFORUMRC006V1_0.pdf>
【非特許文献3】T. Wada et al., "Pedestrian Oriented Vehicular Collision Avoidance Support System: P-VCASS", IEICE Trans. fundamentals., vol. E93-A, No.4, p679-688, Apl., 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1、および非特許文献2のいずれの従来技術も、各車両に搭載された移動端末は、ある一定の周期で自分の位置や速度等の情報を含むパケットをブロードキャストし、周辺の車両に自車の接近を知らせる。非特許文献1の技術では、車両密度が高い場合の通信混雑を防ぐため、車の移動速度に応じたパケットの可変送信周期が規定されており、時速60km以上では100msであるが、速度が低下するほど周期を長くし、時速10km未満では最大1.2sまで長くする。
【0010】
これらの技術は、いずれも車々間通信用に開発されたものであるが、これを歩行者の交通事故を防止するための歩車間通信に適用した場合、歩行者は車に比べて、高密度に分布することがあるため、移動速度のみによる送信周期制御だけでは、パケット到達率が低下し、パケット到達の遅延時間が長くなり、事故に間に合わなくなってしまう問題がある。
【0011】
また、従来技術において、常にある周期でパケット送信を続けるため、歩行者端末の場合は事故の危険とは関係なくバッテリを早く消耗してしまうという問題がある。
【0012】
また、特許文献1において、歩行者端末側で、歩行者の行動(場所、動き等)や周辺状況から危険度を判定し、その危険度に応じて、通信制御を行ない、注意喚起する機能は含まれていない。また、特許文献1において、歩行者は車両よりも高密度かつ多数分布することがあるが、トラフィック低減対策も行われない。
【0013】
また、特許文献2において、歩行者端末には、受信機能を装備しておらず、歩行者端末で装備しているセンサはGPSと加速度センサであり、歩行者の危険度に応じて、通信制御を行ない、注意喚起する機能までは含まれていない。
【0014】
さらに、非特許文献3に記載のシステムは、無線LANを使って、歩行者の移動方向を推定し、歩行者が危険であることを判定して、注意喚起を行うシステムであり、危険度に応じて、通信制御を変更する機能は装備していない。
【0015】
以上の従来技術の課題を整理すれば、以下の(1)から(5)のようになる。
(1)端末が多くなると、チャネルが混雑してしまう(例えば、非特許文献1、2)。
(2)バッテリが早く消費してしまう(例えば、特許文献1)。
(3)歩行者の行動や周辺状況から危険度を判定する機能がない(例えば、特許文献1、2)。
(4)歩行者の危険度に応じた通信制御と注意喚起をする機能がない(例えば、特許文献1、2)。
(5)動的に変化するコンテクスト情報を用いた通信制御を行うことができない(例えば、非特許文献1、2、特許文献1、2)。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本明細書で記載する主要な用語の定義について説明する。本明細書において、車々間通信とは、車載端末間の通信である。また、歩車間通信とは、上述したように、歩行者端末と車載端末との間の通信である。また、歩歩間通信とは、歩行者端末と歩行者端末との間の通信である。歩歩間通信は、通常、双方向通信である。また、後述するコンテクスト情報とは、歩行者の行動(歩行者の存在する場所、歩行者の動き等)や周辺状況に関する情報である。周辺状況とは、歩行者の周辺の車両の状況や歩行者が存在する場所などである。具体的には、コンテクスト情報は、(1)歩行者端末に装備されたセンサ情報(位置、加速度、方向、高度等)、歩行者の年齢、性別、現在の時刻情報、歩行者の行動に関する情報、地図情報と過去の事故統計データ等に基づく事故発生多発地域の情報、(2)周辺の車載端末から車々間通信で受信できる車載端末に関する情報(例えば、車両の位置、速度、加速度、方向、高度、車種等)、(3)周辺の歩行者端末から歩歩間通信で受信する情報(歩行者端末の位置、加速度、方向、高度等)、などがある。また、歩行者の年齢、性別、また車両の車種等の情報は次々刻々と変化しないので、静的コンテクスト情報と定義する。また、自身の歩行者端末内のセンサから得られる情報は自歩行者静的コンテクスト情報、他の歩行者が保持している歩行者端末から得られる情報を他歩行者静的コンテクスト情報、車載端末から得られる情報を車両静的コンテクスト情報と定義する。更に、車両端末や歩行者端末の位置、加速度、方向、高度等の情報は、周辺の環境及び時間の経過により、変化する情報であり、これを動的コンテクスト情報と定義する。自身の歩行者端末内のセンサから得られる動的情報を自歩行者動的コンテクスト情報、他の歩行者から得られる情報を他歩行者動的コンテクスト情報、車両から得られる動的な情報を車両動的コンテクスト情報と定義する。なお、上記に関して示した図が図34である。図34において、車々間通信は、例えば、上述したRC-006による無線通信である。また、歩車間通信は、歩行者端末から車両端末への通信をさし、例えば、RC-005による無線通信である。また、通常、車両端末から歩行者端末への通信は上記の車々間通信を利用する。歩歩通信は、歩行者端末と歩行者端末との間の双方向通信である。通常、歩歩間通信はRC-005による無線通信を使っている。なお、本明細書で主として説明する技術的な範囲は、図34の実線で示した歩車間通信システムの範囲であり、車々間通信のプロトコルの技術については詳細に記載しない。なお、図34の歩車間通信システムにおいて、点線で囲った車両端末からの電波を歩行者端末は受信して、当該車両端末の情報を利用する。
【0017】
本第一の発明の歩車間通信システムは、1以上の歩行者が保持する1以上の歩行者端末と、1以上の車両に搭載された1以上の車載端末とを有する歩車間通信システムであって、歩行者端末は、歩行者端末の動的な情報である自歩行者動的コンテクスト情報、歩行者端末を保持する歩行者の静的な情報である自歩行者静的コンテクスト情報、歩行者端末の周辺の他の1以上の歩行者端末の動的な情報である1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、歩行者端末の周辺の他の歩行者端末を保持する1以上の歩行者の静的な情報である1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、歩行者端末の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末の動的な情報である1以上の車両動的コンテクスト情報、または歩行者端末の周辺の1以上の車両の静的な情報である1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得部と、コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信部と、歩行者と車両とが衝突する危険の度合いを示す情報、または歩行者が車両と衝突する可能性があるほど危険であるか否かを示す情報である危険度を判定するための情報であり、コンテクスト情報を用いた情報である危険判定情報を格納し得る危険判定情報格納部と、コンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得する危険度取得部と、危険度に応じて、歩行者端末情報を送信するか否か、または歩行者端末情報の送信方法を変更することを、歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う通信制御部とを具備し、車載端末は、歩行者端末から歩行者端末情報を受信する歩行者端末情報受信部と、歩行者端末情報を出力する歩行者端末情報出力部とを具備する歩車間通信システムである。
【0018】
かかる構成により、歩車間通信システムにおいて、歩行者の交通事故の防止に役立つ、または歩行者端末の消費電力を小さくできる。また、かかる構成により、チャネルが混雑することを防止できる。
【0019】
また、本第二の発明の歩車間通信システムは、第一の発明に対して、コンテクスト情報取得部は、歩行者端末を保持する歩行者の絶対位置、歩行者の体の向き、歩行者の移動速度、歩行者の移動加速度、歩行者の移動方向、歩行者の歩行時刻、歩行者の歩行時間、歩行者の移動手段、または歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む自歩行者動的コンテクスト情報を取得する自歩行者動的コンテクスト情報取得手段と、歩行者端末を保持する歩行者の年齢、歩行者の性別、歩行者の健康状態に関する情報である健康情報のうちの1以上の情報を含む自歩行者静的コンテクスト情報を取得する自歩行者静的コンテクスト情報取得手段と、他の歩行者端末を保持する他の歩行者の絶対位置、他の歩行者の体の向き、他の歩行者の移動速度、他の歩行者の移動加速度、他の歩行者の移動方向、他の歩行者の歩行時刻、他の歩行者の歩行時間、他の歩行者の移動手段、または他の歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む他歩行者動的コンテクスト情報を、他の歩行者端末から受信する他歩行者動的コンテクスト情報受信手段と、他の歩行者の年齢、他の歩行者の性別、他の歩行者の健康情報のうちの1以上の情報を含む他歩行者静的コンテクスト情報を、他の歩行者端末から受信する他歩行者静的コンテクスト情報受信手段と、歩行者端末の周辺の1以上の車両の位置、車両の移動速度、車両の移動加速度、または車両の移動方向のうちの1以上の情報を含む車両動的コンテクスト情報を、車載端末から受信する車両動的コンテクスト情報受信手段と、歩行者端末の周辺の1以上の車両の種類、車両の機種、車両のメーカ、車両の大きさのうちの1以上の情報を含む車両静的コンテクスト情報を、車載端末から受信する車両静的コンテクスト情報受信手段のうちの1以上の手段を具備する歩車間通信システムである。なお、ここで、歩行時刻とは、例えば、パケット中のタイムスタンプと同様であり、現在時刻の情報であり、時刻が新しいか古いかを判断するための情報である。また、移動手段は、歩行者が歩行中か、自転車または二輪車に乗っているか、車両に乗車中かを識別する情報である。また、歩行時間は、歩行者のある状態がどの程度継続されているかを示す情報である。
【0020】
かかる構成により、歩車間通信システムにおいて、動的に変化するコンテクスト情報を用いた通信制御を行うことができる。
【0021】
また、本第三の発明の歩車間通信システムは、第一または第二の発明に対して、コンテクスト情報取得部は、自歩行者動的コンテクスト情報および1以上の車両動的コンテクスト情報を取得し、かつ、コンテクスト情報取得部は、自歩行者動的コンテクスト情報、および1以上の車両動的コンテクスト情報を用いて、歩行者端末と1以上の車両との相対位置関係、相対的な進行方向、相対的な移動速度、相対的な移動加速度のうちの1以上の情報である歩車間相対移動情報を取得する歩車間相対移動情報取得手段を具備し、危険度取得部は、歩車間相対移動情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得する歩車間通信システムである。
【0022】
かかる構成により、危険度の判定が行える。なお、本歩車間通信システムは、多種のコンテクスト情報を利用して危険度を取得することにより、精度高く危険度の判定を行える。
【0023】
また、本第四の発明の歩車間通信システムは、第一から第三いずれかの発明に対して、コンテクスト情報取得部は、自歩行者動的コンテクスト情報および1以上の他歩行者動的コンテクスト情報を取得し、かつ、コンテクスト情報取得部は、自歩行者動的コンテクスト情報、および1以上の他歩行者動的コンテクスト情報を用いて、歩行者端末と1以上の他の歩行者端末との相対位置関係、相対的な進行方向、相対的な移動速度、相対的な移動加速度のうちの1以上の情報である歩歩間相対移動情報を取得する歩歩間相対移動情報取得手段をさらに具備し、危険度取得部は、歩歩間相対移動情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得する歩車間通信システムである。
【0024】
かかる構成により、危険度の判定が行える。なお、本歩車間通信システムは、さらに多種のコンテクスト情報を利用して危険度を取得することにより、さらに精度高く危険度の判定を行える。
【0025】
また、本第五の発明の歩車間通信システムは、第一から第四いずれかの発明に対して、歩行者端末は、地図に関する情報である地図情報を格納し得る地図情報格納部をさらに具備し、コンテクスト情報取得部は、地図情報を地図情報格納部から取得する地図情報取得手段を具備し、危険度取得部は、地図情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得する歩車間通信システムである。
【0026】
かかる構成により、危険度の判定が行える。なお、本歩車間通信システムは、さらに多種のコンテクスト情報を利用して危険度を取得することにより、さらに精度高く危険度の判定を行える。
【0027】
また、本第六の発明の歩車間通信システムは、第一から第五いずれかの発明に対して、コンテクスト情報取得部は、携帯電話網、無線LAN網、またはデータ通信網のいずれかのネットワークインフラからネットワークに関する情報であるネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得手段を具備し、危険度取得部は、ネットワーク情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得する歩車間通信システムである。
【0028】
かかる構成により、危険度の判定が行える。なお、本歩車間通信システムは、さらに多種のコンテクスト情報を利用して危険度を取得することにより、さらに精度高く危険度の判定を行える。
【0029】
また、本第七の発明の歩車間通信システムは、第一から第六いずれかの発明に対して、車載端末は、車載端末の動的な情報である車両動的コンテクスト情報、または車載端末が搭載されている車両の静的な情報である車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である車両コンテクスト情報を取得する車両コンテクスト情報取得部と、車両コンテクスト情報を送信する車両コンテクスト情報送信部とをさらに具備し、歩行者端末のコンテクスト情報取得部は、車両動的コンテクスト情報を車載端末から受信する車両動的コンテクスト情報受信手段と、車両静的コンテクスト情報を車載端末から受信する車両静的コンテクスト情報受信手段のうちの1以上の手段を具備し、歩行者端末は、コンテクスト情報取得部が受信した車両動的コンテクスト情報または車両静的コンテクスト情報に基づく情報である車両情報を出力する車両情報出力部をさらに具備する歩車間通信システムである。
【0030】
かかる構成により、歩行者に交通事故の注意喚起を行うことができる。
【0031】
また、本第八の発明の歩車間通信システムは、第七の発明に対して、歩行者端末情報送信部は、コンテクスト情報取得部が車両動的コンテクスト情報または車両静的コンテクスト情報を受信したことをトリガにして、危険度に応じて歩行者端末情報を送信する歩車間通信システムである。
【0032】
かかる構成により、歩行者端末の消費電力をより小さくできる。
【0033】
また、本第九の発明の歩車間通信システムは、第一から第八いずれかの発明に対して、危険度取得部は、コンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者端末を保持している歩行者の将来の行動を示す情報である予測行動情報を取得する歩行者行動予測手段と、歩行者行動予測手段が取得した予測行動情報を用いて、歩行者と車両とが衝突する危険の度合いである危険度を取得する危険度取得手段と、上記記載の危険度取得手段が取得した危険度に応じた通信優先度を決定する通信優先度決定手段とを具備し、通信制御部は、通信優先度に応じて、歩行者端末情報を送信するか否か、または歩行者端末情報の送信方法を変更することを、歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う歩車間通信システムである。
【0034】
かかる構成により、歩車間通信システムにおいて、歩行者の交通事故の防止に役立つ、または歩行者端末の消費電力を小さくできる。また、かかる構成により、チャネルが混雑することを防止できる。
【0035】
また、本第十の発明の歩車間通信システムは、第一から第九いずれかの発明に対して、歩行者端末は、危険判定情報格納部、および危険度取得部に代えて、外部の装置から歩行者の危険度を受信する危険度受信部を具備する歩車間通信システムである。
【0036】
かかる構成により、歩行者端末の消費電力の軽減を図ることができる。
【0037】
また、本第十一の発明の歩車間通信システムは、第一から第十いずれかの発明に対して、歩行者端末は、他の歩行者端末から危険度を受信する他危険度受信部と、他危険度受信部が受信した他の歩行者端末の危険度と危険度取得部が取得した自身の危険度とを比較する危険度比較部をさらに具備し、通信制御部は、危険度比較部が他の歩行者端末の危険度が自身の危険度よりも高いと判断した場合は、歩行者端末情報を送信しないように歩行者端末情報送信部に指示する歩車間通信システムである。
【0038】
かかる構成により、歩行者端末の消費電力をより小さくできる、または、トラフィックの混雑、すなわち、チャネルの混雑を防止できる。
【0039】
また、本第十二の発明の歩車間通信システムは、第一から第十一いずれかの発明に対して、歩行者端末は、携帯電話に装着され、コンテクスト情報取得部は、自歩行者動的コンテクスト、または自歩行者静的コンテクスト情報のうちの一部または全部の情報を携帯電話から取得する歩車間通信システムである。
【0040】
かかる構成により、歩行者端末の構成が簡易になる。また、かかる構成により、異なる携帯電話に、一の歩行者端末を装着でき、例えば、携帯電話が故障した場合に、他の携帯電話を利用した歩行者への注意喚起が可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明による歩車間通信システムによれば、歩車間通信システムにおいて、歩行者の交通事故の防止に役立つ、または歩行者端末の消費電力を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施の形態における歩車間通信を実現する歩車間通信システム1を示すブロック図
【図2】実施の形態1における歩車間通信システム1の概念図
【図3】同歩車間通信システム1の他のブロック図
【図4】同歩行者端末11のブロック図
【図5】同歩行者端末11の動作について説明するフローチャート
【図6】同歩行者端末11の動作について説明する他のフローチャート
【図7】同コンテクスト情報取得処理について説明するフローチャート
【図8】同危険度取得処理の第一の例について説明するフローチャート
【図9】同危険度取得処理の第二の例について説明するフローチャート
【図10】同送信判断処理について説明するフローチャート
【図11】同送信方法決定処理について説明するフローチャート
【図12】同車載端末12の動作について説明するフローチャート
【図13】同歩行者端末11及び車載端末12の送受信機能を示す図
【図14】同歩行速度に対する危険係数管理表を示す図
【図15】同歩行者と車両との距離に対する危険係数管理表を示す図
【図16】同歩行時間帯に対する危険係数管理表を示す図
【図17】同歩行者の年齢に対する危険係数管理表を示す図
【図18】同送信方法管理表を示す図
【図19】同コンテクスト情報取得部を詳細に示した歩行者端末11のブロック図
【図20】同コンテクスト情報管理表を示す図
【図21】同危険度判定の具体的なフローチャート
【図22】同歩車間通信システム1の概要図
【図23】同通信制御表を示す図
【図24】同携帯電話に接続された歩行者端末の外観図
【図25】同携帯電話に接続された他の歩行者端末の外観図
【図26】同携帯電話に接続された他の歩行者端末の外観図
【図27】実施の形態2における歩車間通信システム2の概念図
【図28】同歩車間通信システム2のブロック図
【図29】同歩行者端末21の動作について説明するフローチャート
【図30】同車載端末22の動作について説明するフローチャート
【図31】同サーバ装置23の動作について説明するフローチャート
【図32】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの概観図
【図33】同コンピュータシステムのブロック図
【図34】本明細書における車々間通信、歩車間通信、および歩歩間通信を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、歩車間通信システム、およびこれに関わる車々間通信システム、歩歩間通信システムの実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
【0044】
本実施の形態において、1以上の歩行者端末11と1以上の車載端末12とを有する歩車間通信システム1において、歩行者端末11に関する1以上の情報等であるコンテクスト情報を用いて、歩行者の危険度合いが所定の条件を満たす程危険である場合に、歩行者端末11は、歩行者に関する情報である歩行者情報を送信する通信制御を行う歩車間通信システム1について説明する。
【0045】
図1は、本実施の形態における歩車間通信を実現する歩車間通信システム1を示すブロック図の一例である。歩行者端末11は、車々間通信受信・受信処理部1101、コンテクスト情報取得部113、受信部・送信部・パケット構成部1102、端末内蔵メモリ情報1103、各種センサ1104、危険度取得部・判定部1105、通信制御部118を具備する。
【0046】
車載端末12と歩行者端末11の車々間通信受信・受信処理部1101との間では、車々間通信を行う。車々間通信は、例えば、700MHz帯通信方式での送受信である。また、歩行者端末11の受信部・送信部・パケット構成部1102と車載端末12との間では、歩車間通信を行う。歩車間通信は、例えば、5.8GHz帯の無線通信である。また、コンテクスト情報取得部113は、車両コンテクスト情報(後述する車両動的コンテクスト情報または/および車両静的コンテクスト情報)、自歩行者コンテクスト情報(後述する自歩行者動的コンテクスト情報または/および自歩行者静的コンテクスト情報)、他歩行者コンテクスト情報(後述する他歩行者動的コンテクスト情報または/および他歩行者静的コンテクスト情報)、ネットワーク情報、比較により得られる情報(後述する歩車間相対移動情報または/および歩歩間相対移動情報)を取得する。車々間通信受信・受信処理部1101は、車両コンテクスト情報を車載端末12から受信する。自歩行者コンテクスト情報は、端末内蔵メモリ情報1103、または/および各種センサ1104から取得される。各種センサ1104とは、例えば、GPS、速度センサ、加速度センサ、地磁気センサ、高度センサ(気圧センサ)、歩数カウンタなどである。他歩行者コンテクスト情報は、受信部・送信部・パケット構成部1102の受信部が、他の歩行者端末11から受信する。ネットワーク情報は、携帯電話網等のネットワークインフラから取得される。
【0047】
そして、1以上の車載端末12と2以上の歩行者端末11とは、図1の矢印で示すように情報の送受信を行う。
【0048】
図2は、本実施の形態における歩車間通信システム1の概念図である。図2において、車両2台が走行している。図2では、歩行者が11人存在する例を示している。歩行者端末は、車載端末に比べて、端末数が多いので、他の歩行者端末に比べ危険度が低い場合は、例えば歩行者情報の送信を行わないように通信を制御し、代表者の歩行者端末のみパケットを送信することによりトラフィックを低減する。図1では、代表者は歩行者1,5、9である。
【0049】
車々間通信は、例えば、700MHz帯通信方式で送受信を行なう。歩行者端末から車載端末への通信及び歩行者端末と歩行者端末との通信は、例えば、5.8GHz帯の無線通信で行なう。そのために、歩行者端末が送信する電波は、車々間通信に影響を及ぼさない。図2では、便宜上、代表の歩行者端末が送信している様に記載しているが、代表者を特定するためのパケット送受信は一切行なわない。歩行者が車載端末や他の歩行者端末からブロードキャストで送信されるパケットを受信することにより、自律的に、かつ、一時的に、代表者に見えるだけである。図2において、車両1の接近に対して、レスポンスを返す必要のある歩行者端末11が歩行者9、10、11の歩行者端末11であり、そのうち歩行者9の歩行者端末11が送信した。車両2に対しては、レスポンスを返す必要のある歩行者端末11が歩行者5、6、7、8の歩行者端末11であり、そのうち歩行者5の歩行者端末11が送信した、ことを示す。この様に、歩車間通信システム1において、ブロードキャストされたパケットから、送信するかしないかを判断することで、トラフィックを低減し、マスタやスレーブを決めるための冗長なトラフィック負荷をかける必要がなく、次々刻々と変化する移動体通信であっても、対応が可能になる。また、本歩車間通信システム1において、歩行者5および歩行者9(およびその周辺の歩行者)の歩行者端末11は、優先度(または、後述する危険度と言っても良い)が「高」であると判断し、送信電力「大」、送信周期「短」、データサイズ「大」となるように通信制御を行う。また、歩行者1(およびその周辺の歩行者)の歩行者端末11は、優先度(または、後述する危険度と言っても良い)が「低」であると判断し、送信電力「小」または「送信しない」、送信周期「長」、データサイズ「小」となるように通信制御を行う。
【0050】
図3は、本実施の形態における歩車間通信システム1のブロック図である。また、図4は、歩車間通信システム1を構成する歩行者端末11のブロック図である。
【0051】
歩車間通信システム1は、1以上の歩行者端末11、および1以上の車載端末12を具備する。なお、歩行者端末11は、携帯電話に装着され得る。
【0052】
歩行者端末11は、地図情報格納部111、危険判定情報格納部112、コンテクスト情報取得部113、危険度取得部114、歩行者端末情報送信部115、他危険度受信部116、危険度比較部117、通信制御部118、車両情報出力部119を具備する。
【0053】
コンテクスト情報取得部113は、自歩行者動的コンテクスト情報取得手段1130、自歩行者静的コンテクスト情報取得手段1131、他歩行者動的コンテクスト情報受信手段1132、他歩行者静的コンテクスト情報受信手段1133、車両動的コンテクスト情報受信手段1134、車両静的コンテクスト情報受信手段1135、歩車間相対移動情報取得手段1136、歩歩間相対移動情報取得手段1137、地図情報取得手段1138、ネットワーク情報取得手段1139を具備する。
【0054】
危険度取得部114は、歩行者行動予測手段1141、危険度取得手段1142、通信優先度決定手段1143を具備する。
【0055】
車載端末12は、車両コンテクスト情報取得部121、車両コンテクスト情報送信部122、歩行者端末情報受信部123、歩行者端末情報出力部124を具備する。
【0056】
地図情報格納部111は、地図に関する情報である地図情報を格納し得る。地図情報は、ナビゲーションで用いられる通常の地図情報でも良いし、交通事故多発地点を示す情報、危険度が低い場所(例えば、駅周辺や歩道橋など)を示す情報、横断歩道内外を示す情報などでも良い。また、地図情報は、通常、地点の位置を示す情報である位置情報を2以上有する。地図情報は、通常、地図の図柄情報を含む。図柄情報は、地図自体の情報であり、ビットマップ、ベクターデータ等、問わない。つまり、地図情報のフォーマット等は問わない。また、ここでの格納とは、通常、不揮発性媒体での格納であるが、揮発性媒体における一時的な格納でも良い。
【0057】
地図情報格納部111は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。地図情報格納部111に地図情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して地図情報が地図情報格納部111で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された地図情報が地図情報格納部111で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された地図情報が地図情報格納部111で記憶されるようになってもよい。
【0058】
危険判定情報格納部112は、危険判定情報を格納し得る。危険判定情報とは、危険度を判定するための情報であり、コンテクスト情報を用いた情報である。また、危険判定情報は、例えば、危険か否かを判定する条件、危険度を判定する演算式や条件などである。危険判定情報は、例えば、「f(c1,c2,・・・,cn)」である。かかる場合、f()は、コンテクスト情報(c1,c2,cn等)をパラメータとする関数であり、危険度を出力する関数である。なお、ここで、危険度とは、歩行者と車両とが衝突する危険の度合いを示す情報、または歩行者が車両と衝突する可能性があるほど危険であるか否かを示す情報である。つまり、危険度は「1」「2」「5」などの危険の度合いを示す数値でも良いし、「危険である「1」、危険でない「0」」などのカテゴリーを示す情報でも良い。つまり、危険度とは、危険か否かでも良いし、3段階以上のクラス分けされた情報のうちのいずれかの情報でも良い。なお、危険判定情報(例えば、判定条件、演算式、パラメータ、関数等)を処理して、危険度を取得する処理は、危険度取得部114が行う。
【0059】
危険判定情報格納部112は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。危険判定情報格納部112に危険判定情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して危険判定情報が危険判定情報格納部112で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された危険判定情報が危険判定情報格納部112で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された危険判定情報が危険判定情報格納部112で記憶されるようになってもよい。
【0060】
コンテクスト情報取得部113は、コンテクスト情報を取得する。コンテクスト情報は、自歩行者動的コンテクスト情報、自歩行者静的コンテクスト情報、1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、1以上の車両動的コンテクスト情報、1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である。なお、自歩行者動的コンテクスト情報と自歩行者静的コンテクスト情報とを含めて、自歩行者コンテクスト情報という。また、他歩行者動的コンテクスト情報と他歩行者静的コンテクスト情報とを含めて、他歩行者コンテクスト情報という。また、車両動的コンテクスト情報と車両静的コンテクスト情報とを含めて、車両コンテクスト情報という。ここで、本明細書において、「動的コンテクスト情報」とは、歩行者の移動や車両の移動等により時々刻々と変化するコンテクスト情報、という意味である。また、「静的コンテクスト情報」とは、歩行者や車両等の属性であり、時々刻々とは変化しないコンテクスト情報、という意味である。また、コンテクスト情報には、歩行者の状態に関する情報、歩行者端末11を取り巻く周辺環境に関する情報の2種類がある、とも言える。
【0061】
自歩行者動的コンテクスト情報は、歩行者端末11(歩行者と言っても良い)の動的な情報である。自歩行者動的コンテクスト情報は、通常、歩行者端末11を保持する歩行者の絶対位置、歩行者の体の向き、歩行者の移動速度、歩行者の移動加速度、歩行者の移動方向、歩行者の歩行時刻、歩行者の歩行時間、歩行者の移動手段、または歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む。
【0062】
自歩行者静的コンテクスト情報は、歩行者端末11を保持する歩行者の静的な情報である。自歩行者静的コンテクスト情報は、通常、当該歩行者端末11を保持する歩行者の年齢、歩行者の性別、歩行者の健康状態に関する情報である健康情報のうちの1以上の情報を含む。健康情報とは、例えば、認知症である旨を示す情報、喘息の持病を持っていることを示す情報などである。
【0063】
他歩行者動的コンテクスト情報は、歩行者端末11の周辺の他の1以上の歩行者端末11(他の歩行者と言っても良い)の動的な情報である。他歩行者動的コンテクスト情報は、通常、他の歩行者端末11を保持する他の歩行者の絶対位置、他の歩行者の体の向き、他の歩行者の移動速度、他の歩行者の移動加速度、他の歩行者の移動方向、他の歩行者の歩行時刻、他の歩行者の歩行時間、他の歩行者の移動手段、または他の歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む。
【0064】
他歩行者静的コンテクスト情報は、歩行者端末11の周辺の他の歩行者端末11を保持する1以上の歩行者の静的な情報である。他歩行者静的コンテクスト情報は、通常、他の歩行者の年齢、他の歩行者の性別、他の歩行者の健康情報のうちの1以上の情報を含む。
【0065】
車両動的コンテクスト情報は、歩行者端末11の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末12(車両、と言っても良い)の動的な情報である。車両動的コンテクスト情報は、通常、歩行者端末11の周辺の1以上の車両の位置、車両の移動速度、車両の移動加速度、または車両の移動方向のうちの1以上の情報を含む。
【0066】
車両静的コンテクスト情報は、歩行者端末11の周辺の1以上の車両の静的な情報である。車両静的コンテクスト情報は、通常、歩行者端末11の周辺の1以上の車両の種類、車両の機種、車両のメーカ、車両の大きさのうちの1以上の情報を含む。
【0067】
歩行者端末11が携帯電話に装着されている場合、コンテクスト情報取得部113は、自歩行者動的コンテクスト、または自歩行者静的コンテクスト情報のうちの一部または全部の情報を携帯電話から取得しても良い。かかる場合、携帯電話は、自歩行者動的コンテクスト、または自歩行者静的コンテクスト情報を保持している、とする。
【0068】
コンテクスト情報取得部113がコンテクスト情報を取得する場合、通常、コンテクスト情報の種類によって取得方法は異なる。
【0069】
コンテクスト情報取得部113は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。コンテクスト情報取得部113は、受信手段から構成されても良い。コンテクスト情報取得部113の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0070】
コンテクスト情報取得部113を構成する自歩行者動的コンテクスト情報取得手段1130は、歩行者端末11を保持する歩行者の絶対位置、歩行者の体の向き、歩行者の移動速度、歩行者の移動加速度、歩行者の移動方向、歩行者の歩行時刻、歩行者の歩行時間、歩行者の移動手段、または歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む自歩行者動的コンテクスト情報を取得する。自歩行者動的コンテクスト情報取得手段1130は、通常、センサにより実現される。センサとは、例えば、GPS、速度センサ、加速度センサ、地磁気センサ、高度センサ(気圧センサ)、歩数カウンタなどである。つまり、歩行者の絶対位置は、例えば、GPS等により取得され得る。また、歩行者の体の向きは、例えば、ジャイロセンサ等により取得され得る。また、歩行者の移動速度は、例えば、速度センサまたは歩数カウンタ等により取得され得る。また、歩行者の移動加速度は、例えば、加速度センサ等により取得され得る。また、歩行者の移動方向は、例えば、GPSや電子コンパスまたは地磁気センサ等により取得され得る。また、歩行者の歩行時刻や歩行時間は、例えば、時計やGPSを用いて取得され得る。また、歩行者の移動手段とは、徒歩や自転車等であり、例えば、速度センサを用いて取得された歩行者の移動速度から、推定される。歩行者が居る場所の屋内外は、地図情報とGPSにより取得された位置情報(緯度,経度)から取得され得る。
【0071】
自歩行者静的コンテクスト情報取得手段1131は、歩行者端末11を保持する歩行者の年齢、歩行者の性別、歩行者の健康状態に関する情報である健康情報のうちの1以上の情報を含む自歩行者静的コンテクスト情報を取得する。自歩行者静的コンテクスト情報取得手段1131は、通常、歩行者端末11の記憶媒体から自歩行者静的コンテクスト情報を読み出す。自歩行者静的コンテクスト情報取得手段1131は、歩行者端末11が接続されている携帯電話から、自歩行者静的コンテクスト情報を取得しても良い。
【0072】
他歩行者動的コンテクスト情報受信手段1132は、他の歩行者端末11を保持する他の歩行者の絶対位置、他の歩行者の体の向き、他の歩行者の移動速度、他の歩行者の移動加速度、他の歩行者の移動方向、他の歩行者の歩行時刻、他の歩行者の歩行時間、他の歩行者の移動手段、または他の歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む他歩行者動的コンテクスト情報を、他の歩行者端末11から受信する。ここでの受信は、例えば、5.8GHz帯の歩車間通信のパケットの受信である。
【0073】
他歩行者静的コンテクスト情報受信手段1133は、他の歩行者の年齢、他の歩行者の性別、他の歩行者の健康情報のうちの1以上の情報を含む他歩行者静的コンテクスト情報を、他の歩行者端末11から受信する。ここでの受信は、例えば、5.8GHz帯の歩車間通信のパケットの受信である。
【0074】
車両動的コンテクスト情報受信手段1134は、歩行者端末11の周辺の1以上の車両(車載端末12とも言える)の位置、車両の移動速度、車両の移動加速度、または車両の移動方向のうちの1以上の情報を含む車両動的コンテクスト情報を、車載端末12から受信する。ここでの受信は、例えば、700MHz帯の車々間通信のパケットの受信である。
【0075】
車両静的コンテクスト情報受信手段1135は、歩行者端末11の周辺の1以上の車両の種類、車両の機種、車両のメーカ、車両の大きさのうちの1以上の情報を含む車両静的コンテクスト情報を車載端末12から受信する。ここでの受信は、例えば、700MHz帯の車々間通信のパケットの受信である。
【0076】
歩車間相対移動情報取得手段1136は、自歩行者動的コンテクスト情報、および1以上の車両動的コンテクスト情報を用いて、歩車間相対移動情報を取得する。歩車間相対移動情報は、歩行者端末11と1以上の車両との相対位置関係、相対的な進行方向、相対的な移動速度、相対的な移動加速度のうちの1以上の情報である。歩車間相対移動情報取得手段1136は、例えば、歩行者端末11の位置情報と1以上の各車両の位置情報とから、歩行者端末11と1以上の車両との相対的な位置関係を示す情報(例えば、距離や方向など)を取得する。また、歩車間相対移動情報取得手段1136は、例えば、歩行者端末11の進行方向と1以上の各車両の進行方向とから、歩行者や車両の相対的な進行方向を示す情報(この情報を単に、相対的な進行方向という)を取得する。また、歩車間相対移動情報取得手段1136は、例えば、歩行者端末11の進行方向と移動速度と、1以上の各車両の進行方向と移動速度とから、相対的な移動速度を取得する。さらに、歩車間相対移動情報取得手段1136は、例えば、歩行者端末11の進行方向と移動加速度、1以上の各車両の進行方向と移動加速度とから、相対的な移動加速度を取得する。
【0077】
歩歩間相対移動情報取得手段1137は、自歩行者動的コンテクスト情報、および1以上の他歩行者動的コンテクスト情報を用いて、歩歩間相対移動情報を取得する。歩歩間相対移動情報は、歩行者端末11と1以上の他の歩行者端末11との相対位置関係、相対的な進行方向、相対的な移動速度、相対的な移動加速度のうちの1以上の情報である。歩歩間相対移動情報取得手段1137は、例えば、歩行者端末11の位置情報と1以上の他の歩行者端末11の位置情報とから、歩行者端末11と1以上の他の歩行者端末11との相対的な位置関係を示す情報(例えば、距離や方向など)を取得する。また、歩車間相対移動情報取得手段1136は、例えば、歩行者端末11の進行方向と1以上の他の歩行者端末11の進行方向とから、歩行者や車両の相対的な進行方向を示す情報(この情報を単に、相対的な進行方向という)を取得する。また、歩車間相対移動情報取得手段1136は、例えば、歩行者端末11の進行方向と移動速度と、1以上の他の歩行者端末11の進行方向と移動速度とから、両端末の相対的な移動速度を取得する。さらに、歩車間相対移動情報取得手段1136は、例えば、歩行者端末11の進行方向と移動加速度、1以上の他の歩行者端末11の進行方向と移動加速度とから、両端末の相対的な移動加速度を取得する。なお、他の歩行者端末11のコンテクスト情報が受信されることによって、歩歩間相対移動情報取得手段1137は、周辺にどれだけの端末が存在するか否かを判断する。
し、例えば、自分の周辺の歩行者が車両に対して、パケットを送信した場合、自分の危険度を下げる。かかることによって、トラフィック低減を図ることができる。
【0078】
地図情報取得手段1138は、地図情報を地図情報格納部111から取得する。
【0079】
ネットワーク情報取得手段1139は、携帯電話網、無線LAN網、またはデータ通信網のいずれかのネットワークインフラからネットワークに関する情報であるネットワーク情報を取得する。ネットワーク情報とは、例えば、ネットワークのトラフィックの情報、輻輳の情報などである。なお、ネットワークインフラによって、ビル内に存在する、あるいは、周辺の歩行者密度が非常に高い等の情報を得ると、通信制御の優先度を下げ下がり、パケット送信しない、または送信周期を長くすることにより、トラフィック低減を図ることができる。
【0080】
危険度取得部114は、危険判定情報格納部112の危険判定情報に、コンテクスト情報取得部113が取得したコンテクスト情報を適用し、歩行者の危険度を取得する。また、危険度取得部114は、歩車間相対移動情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得しても良い。ここで、歩車間相対移動情報を含むコンテクスト情報とは、コンテクスト情報が歩車間相対移動情報のみでも良い趣旨である。また、危険度取得部114は、歩歩間相対移動情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得しても良い。ここで、歩歩間相対移動情報を含むコンテクスト情報とは、コンテクスト情報が歩歩間相対移動情報のみでも良い趣旨である。また、危険度取得部114は、地図情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得しても良い。ここで、地図情報を含むコンテクスト情報とは、コンテクスト情報が地図情報のみでも良い趣旨である。ただし、通常、危険度取得部114は、地図情報と歩行者の絶対位置、車両の絶対位置を用いて危険度取得部114は危険度を取得する。さらに、危険度取得部114は、ネットワーク情報を含むコンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者の危険度を取得しても良い。ここで、ネットワーク情報を含むコンテクスト情報とは、コンテクスト情報がネットワーク情報のみでも良い趣旨である。また、危険度取得部114は、自歩行者静的コンテクスト情報が有する年齢が第一の閾値(例えば、65歳)以上、または第二の閾値(例えば、12歳)以下の場合に、予め決められた高い危険度を取得しても良い。かかることにより、ドライバには、老人や子供が接近していることを伝えることが可能になる。危険度取得部114は、自分の周辺の歩行者端末11が車両端末12に対して、パケットを送信した場合、自分の危険度を下げる。危険度を下げることにより、歩行者自身の歩行者端末11がパケットを送信しなくなり、トラフィック低減を図ることができる。
【0081】
危険度取得部114は、例えば、歩車間相対移動情報から、歩行者が車両との関係で、危険か否かを判断し、危険度を取得する。つまり、危険度取得部114は、例えば、歩行者と車両との距離が予め決められた距離(予め格納されている)よりも長い距離である場合、または車両と歩行者の進行方向が遠ざかる方向である場合、危険度を「危険でない」または危険度を「1」(低い数値)に設定する。かかる場合、車両に歩行者接近の注意喚起をしたりする必要はなく、また歩行者に車両接近の注意喚起をしたりする必要はない。この様に、歩行者端末11と車両との相対関係は、歩行者が危険か否かを判断するうえで、重要な情報である。
【0082】
危険度取得部114は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。危険度取得部114の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0083】
歩行者行動予測手段1141は、コンテクスト情報を危険判定情報に適用し、歩行者端末11を保持している歩行者の将来の行動を示す情報である予測行動情報を取得する。
【0084】
なお、例えば、歩行者行動予測手段1141は、自歩行者動的コンテクスト情報が有する進行方向、速度、及び加速度情報から一定の方向に走行していないことを検出する。これは、歩行者行動予測手段1141が飛び出す危険があると判断したこととなる。そして、歩行者行動予測手段1141は、予測行動情報「飛び出し(例えば、「1」)」を取得する。また、例えば、歩行者行動予測手段1141は、自歩行者静的コンテクスト情報の年齢が65歳以上(老人)や、12歳以下(子供)の場合には、交通事故に遭遇する危険が高いと判断しても良い。そして、歩行者行動予測手段1141は、予測行動情報「交通事故に遭遇する危険が高い(例えば、「2」)」を取得する。また、歩行者行動予測手段1141は、速度が歩行速度(予め保持している)に比べて大きい場合、自転車に走行している可能性があると判断する。そして、歩行者行動予測手段1141は、予測行動情報「自転車に走行している可能性がある(例えば、「3」)」を取得する。また、歩行者行動予測手段1141は、ネットワーク情報から、歩行者端末11がビル内に存在すると判断しても良い。そして、かかる場合、歩行者行動予測手段1141は、予測行動情報「交通事故に遭遇する危険が低い(例えば、「0」)」を取得する。また、歩行者行動予測手段1141は、地図情報と絶対位置を示す位置情報から、道路を走行していると判断しても良い。そして、かかる場合、歩行者行動予測手段1141は、予測行動情報「交通事故に遭遇する危険が低い(例えば、「0」)」を取得する。また、歩行者行動予測手段1141は、自歩行者コンテクスト動的情報の移動速度が車の走行速度と同程度の速度(例えば、40km/時)である場合に、歩行者端末11の保持者が自動車に乗っていると判断し、予測行動情報「交通事故に遭遇する危険が低い(例えば、「0」)」を取得する。
【0085】
危険度取得手段1142は、歩行者行動予測手段1141が取得した予測行動情報を用いて、歩行者と車両とが衝突する危険の度合いである危険度を取得する。例えば、危険度取得手段1142は、予測行動情報の値をそのまま危険度として取得しても良いし、危険度を構成する危険係数(危険係数については後述する)として取得しても良い。
【0086】
通信優先度決定手段1143は、上記記載の危険度取得手段1142が取得した危険度に応じた通信優先度を決定する。なお、通信優先度決定手段1143は、危険度を通信優先度としても良いし、危険度をパラメータとする演算式により、通信優先度を決定しても良い。なお、かかる演算式は、通常、危険度をパラメータとする増加関数である。つまり、危険であるほど、通信の優先度は高くなる。
【0087】
歩行者端末情報送信部115は、コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する。また、歩行者端末情報送信部115は、通信制御部118の指示に従って、歩行者端末情報を送信する。歩行者端末情報は、コンテクスト情報の一部または全部の情報であれば何でも良いが、自歩行者動的コンテクスト情報を含むことは好適である。なお、歩行者端末情報は、通常、自歩行者動的コンテクスト情報または/および自歩行者静的コンテクスト情報である。また、歩行者端末情報は、通常、パケットである。なお、歩行者端末情報は、他歩行者を含む歩行者のコンテクスト情報の全部または一部とも言える。
【0088】
歩行者端末情報送信部115は、コンテクスト情報取得部113が車両動的コンテクスト情報または車両静的コンテクスト情報を受信したことをトリガにして、危険度に応じて歩行者端末情報を送信することは好適である。消費電力の低減、およびネットワークトラフィックの減少に寄与するからである。なお、「受信したことをトリガとする」とは、受信しない場合は送信しない意味であることが好適である。ただし、「受信したことをトリガとする」とは、受信した場合とその他の一部の場合に送信する意味でも良い。
【0089】
また、ここでの送信とは、通常、ブロードキャストであるが、相手や相手(装置)の属性を特定しての通信でも良い。また、送信は、例えば、5.8GHz帯無線通信を使う。
【0090】
歩行者端末情報送信部115は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。また、歩行者端末情報送信部115が用いるメディアアクセス制御方式は、CSMA/CA方式(例えば、RC−005(非特許文献1参照)、RC−006(非特許文献2等参照)やCDMAをベースとした通信制御方式(従来技術文献「O. Shagdar et al, "Safety Driving Support Using CDMA Inter-Vehicle Communications,", Journal of Information Processing, Vol. 18, pp.1-15, Jan. 2010.」)などである。
【0091】
他危険度受信部116は、他の歩行者端末11から危険度を受信する。この危険度は、他の歩行者端末11を保持する他の歩行者の危険度である。他危険度受信部116は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0092】
危険度比較部117は、他危険度受信部116が受信した他の歩行者端末11の危険度と危険度取得部114が取得した自身の危険度とを比較する。
【0093】
危険度比較部117は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。危険度比較部117の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0094】
通信制御部118は、通信制御を行う。通信制御とは、危険度に応じて、歩行者端末情報を送信するか否か、または歩行者端末情報の送信方法を変更することを、歩行者端末情報送信部115に指示することである。歩行者端末11の数が車載端末12に比べて、非常に多いために、本システムでは、トラフィック低減を行なうことが必要である。そのために、全ての歩行者端末11が同じ頻度で送信するのではなく、歩行者の危険度に応じて、通信制御を行ない、トラフィック低減を行う。かかる役割を、通信制御部118が果たす。なお「危険度に応じて」とは、例えば、危険度が閾値以下(未満も含む)または、危険でない場合は、歩行者端末情報を送信しない等である。また、送信方法の変更とは、例えば、送信周期の変更、または歩行者端末情報の送信電力の変更、または歩行者端末情報の内容の変更、歩行者端末情報のデータサイズの変更、歩行者端末情報のパケット長の変更、歩行者端末情報の誤り訂正方式の変更、歩行者端末情報の誤り訂正の符号化率の変更、歩行者端末情報の変調方式の変更、歩行者端末情報の変調方式に関わるパラメータの変更等である。
【0095】
通信制御部118は、通信優先度に応じて、歩行者端末情報を送信するか否か、または歩行者端末情報の送信方法を変更することを、歩行者端末情報送信部115に指示し、通信制御を行っても良い。
【0096】
通信制御部118は、危険度比較部117が他の歩行者端末11の危険度が自身の危険度よりも高いと判断した場合は、歩行者端末情報を送信しないように歩行者端末情報送信部115に指示することは好適である。なお、危険度が高いとは、危険度が同一の場合を含むと考えても良い。通信制御部118が歩行者端末情報を送信しないように指示する、ということは、結果として、歩行者端末情報を送信しなければ良い趣旨である。
【0097】
また、他の歩行者端末11のコンテクスト情報が受信されることによって、通信制御部118は、周辺にどれだけの端末が存在するかの情報(周辺の他の歩行者端末11の数)を取得し、例えば、自分の周辺の歩行者が車両に対して、パケットを送信した場合、自分の歩行者端末情報を送信しないように指示しても良い。かかることによって、トラフィック低減を図ることができる。
【0098】
通信制御部118は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。通信制御部118の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0099】
車両情報出力部119は、コンテクスト情報取得部113が受信した車両動的コンテクスト情報または車両静的コンテクスト情報に基づく情報である車両情報を出力する。ここで、車両情報とは、危険を知らせるブザー音、車両を示すアイコンなどである。車両情報の出力態様は問わない。車両の位置を示すように、車両を示すアイコンを地図上に出力しても良いし、一定の距離以内の車両、一定の条件を満たす程危険な車両が存在すれば警告音や警告表示(点滅など)を出力しても良い。
【0100】
ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、音出力、振動、外部の装置への送信、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。なお、振動とは、例えば、バイブレーションを動作させることによる振動である。
【0101】
車両情報出力部119は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。車両情報出力部119は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0102】
車両コンテクスト情報取得部121は、車両コンテクスト情報を取得する。車両コンテクスト情報は、車両動的コンテクスト情報、車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である。車両動的コンテクスト情報は、車載端末12の動的な情報である。車両静的コンテクスト情報は、車載端末12が搭載されている車両の静的な情報である。車両コンテクスト情報取得部121は、通常、センサにより実現される。センサとは、例えば、GPS、速度センサ、加速度センサ、地磁気センサ、高度センサ(気圧センサ)などである。
【0103】
車両コンテクスト情報取得部121は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。車両コンテクスト情報取得部121の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0104】
車両コンテクスト情報送信部122は、車両コンテクスト情報取得部121が取得した車両コンテクスト情報を送信する。ここで、送信とは、例えば、700MHz帯の車々間通信のパケットの送信である。また、送信とは、通常、ブロードキャストであるが、相手や属性を特定しての通信でも良い。車両コンテクスト情報送信部122は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
【0105】
歩行者端末情報受信部123は、歩行者端末11から歩行者端末情報を受信する。歩行者端末情報受信部123は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0106】
歩行者端末情報出力部124は、歩行者端末情報を出力する。歩行者端末情報の出力態様は問わない。歩行者端末11の位置を地図上に出力しても良いし、危険度の高い歩行者が存在する場合に、ブザーや音声や図柄などで危険な歩行者の存在を示しても良い。歩行者端末情報出力部124は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。歩行者端末情報出力部124は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
次に、歩車間通信システム1の動作について説明する。まず、歩行者端末11の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
(ステップS501)コンテクスト情報取得部113は、コンテクスト情報を取得する。このコンテクスト情報取得処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0108】
(ステップS502)危険度取得部114は、危険判定情報格納部112から危険判定情報を読み出す。
【0109】
(ステップS503)危険度取得部114は、ステップS502で読み出した危険判定情報を用いて、危険度を取得する。危険度取得処理について、図8および図9のフローチャートを用いて説明する。
【0110】
(ステップS504)通信制御部118は、歩行者端末情報を送信するか否かを判断する。かかる送信判断処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0111】
(ステップS505)通信制御部118は、ステップS504における判断が送信するとの判断である場合はステップS506に行き、送信しないとの判断である場合はステップS509に行く。
【0112】
(ステップS506)通信制御部118は、歩行者端末情報の送信方法を決定する。かかる送信方法決定処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0113】
(ステップS507)歩行者端末情報送信部115は、送信する対象の情報である歩行者端末情報を取得する。かかる歩行者端末情報は、通常、ステップS501で取得されたコンテクスト情報から取得される。なお、歩行者端末情報送信部115が、どのようなコンテクスト情報を取得し、歩行者端末情報とするかについては、通常、予め決まっているが、危険度に応じて動的に変化しても良い。
【0114】
(ステップS508)歩行者端末情報送信部115は、ステップS507で取得した歩行者端末情報を送信する。かかる送信は、通常、ブロードキャストである。
【0115】
(ステップS509)車両情報出力部119は、車両情報を出力するか否かを判断する。車両情報を出力との判断の場合はステップS510に行き、出力しないとの判断の場合はステップS501に戻る。なお、車両情報出力部119は、かかる判断を行わずに、常に車両情報を出力しても良い。また、車両情報出力部119は、車両情報の種類により、出力するか否かを判断しても良い。例えば、危険であることを知らせる車両情報については、危険度が所定の条件を満たす程、危険であるとの場合に出力されても良い。一方、歩行者端末11から予め決められた距離以内(周辺)に存在する車両のアイコンは、常に、歩行者端末11の地図上に出力されても良い。
【0116】
(ステップS510)車両情報出力部119は、車両情報を出力する。ステップS501に戻る。なお、通常、出力される車両情報の種類(例えば、ブザー音や車両のアイコンなど)は予め決められている。
【0117】
なお、図5のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0118】
また、図5のフローチャート、および後述する図6のフローチャートにおいて、例えば、車両に対する出力処理(S509、S510)等は並列処理しても良いことは言うまでもない。さらに、本明細書において、逐次処理で記載している処理について、並列処理が可能な処理について、並列処理しても良いことは言うまでもない。
【0119】
また、図5のフローチャートにおいて、受信信号をトリガにしない場合について説明したが、図6のフローチャートのように、受信信号をトリガにしても良い。図6のフローチャートにおいて、図5のフローチャートと同一のステップについて、その説明を省略する。
【0120】
(ステップS601)車両動的コンテクスト情報受信手段1134または/および車両静的コンテクスト情報受信手段1135は、車載端末12からパケットを受信したか否かを判断する。パケットを受信すればステップS501に行き、パケットを受信しなければステップS601に戻る。
【0121】
次に、ステップS501のコンテクスト情報取得処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0122】
(ステップS701)コンテクスト情報取得部113の自歩行者動的コンテクスト情報取得手段1130は、自歩行者動的コンテクスト情報を取得し、メモリ上に配置する。
【0123】
(ステップS702)自歩行者静的コンテクスト情報取得手段1131は、自歩行者静的コンテクスト情報を読み出し、メモリ上に配置する。
【0124】
(ステップS703)他歩行者動的コンテクスト情報受信手段1132または/および他歩行者静的コンテクスト情報受信手段1133は、他歩行者動的コンテクスト情報、他歩行者静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である他歩行者コンテクスト情報を、他の1以上の歩行者端末11から受信したか否かを判断する。情報を受信すればステップS704に行き、受信しなければステップS713に行く。
【0125】
(ステップS704)他歩行者動的コンテクスト情報受信手段1132または/および他歩行者静的コンテクスト情報受信手段1133は、他歩行者コンテクスト情報を取得し、メモリ上に配置する。
【0126】
(ステップS705)車両動的コンテクスト情報受信手段1134または/および車両静的コンテクスト情報受信手段1135は、車両動的コンテクスト情報、車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である車両コンテクスト情報を、他の1以上の車載端末12から受信したか否かを判断する。情報を受信すればステップS707に行き、受信しなければステップS714に行く。
【0127】
(ステップS706)車両動的コンテクスト情報受信手段1134または/および車両静的コンテクスト情報受信手段1135は、車両コンテクスト情報を取得し、メモリ上に配置する。
【0128】
(ステップS707)歩車間相対移動情報取得手段1136は、取得されたコンテクスト情報の中に、自歩行者動的コンテクスト情報と車両動的コンテクスト情報とが存在するか否かを判断する。情報が存在すればステップS708に行き、存在しなければステップS709に行く。
【0129】
(ステップS708)歩車間相対移動情報取得手段1136は、自歩行者動的コンテクスト情報と車両動的コンテクスト情報とを用いて、歩車間相対移動情報を取得する。
【0130】
(ステップS709)歩歩間相対移動情報取得手段1137は、取得されたコンテクスト情報の中に、自歩行者動的コンテクスト情報と他歩行者動的コンテクスト情報とが存在するか否かを判断する。情報が存在すればステップS710に行き、存在しなければステップS712に行く。
【0131】
(ステップS710)歩歩間相対移動情報取得手段1137は、自歩行者動的コンテクスト情報と他歩行者動的コンテクスト情報とを用いて、歩歩間相対移動情報を取得する。
【0132】
(ステップS711)地図情報取得手段1138は、歩行者の絶対位置を用いて、当該絶対位置に対応する地図情報を地図情報格納部111から取得する。
【0133】
(ステップS712)ネットワーク情報取得手段1139は、携帯電話網、無線LAN網、またはデータ通信網のいずれかのネットワークインフラからネットワーク情報を取得する。上位処理にリターンする。
【0134】
(ステップS713)コンテクスト情報取得部113は、タイムアウトか否かを判断する。タイムアウトであればステップS705に行き、タイムアウトでなければステップS703に戻る。
【0135】
(ステップS714)コンテクスト情報取得部113は、タイムアウトか否かを判断する。タイムアウトであればステップS707に行き、タイムアウトでなければステップS705に戻る。
【0136】
なお、図7のフローチャートにおいて、ステップS701の自歩行者動的コンテクスト情報の取得、およびステップS702の自歩行者静的コンテクスト情報の取得等は必須の処理ではない。つまり、図7のフローチャートにおいて、コンテクスト情報のうち、1以上の情報を取得できれば良い。
【0137】
また、図7のフローチャートにおいて、コンテクスト情報を取得する処理に関して、逐次処理しているが、自歩行者コンテクスト情報の取得、他歩行者コンテクスト情報の取得、および車両コンテクスト情報の取得を並列処理により行っても良いことは言うまでもない。
【0138】
次に、ステップS503の危険度取得処理の第一の例について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0139】
(ステップS801)危険度取得部114は、カウンタiに1を代入する。
【0140】
(ステップS802)危険度取得部114は、危険度を算出するための危険判定情報(ここでは、例えば、危険度を算出する算出式)の中に、i番目のパラメータが存在するか否かを判断する。i番目のパラメータが存在すればステップS803に行き、i番目のパラメータが存在しなければステップS806に行く。
【0141】
(ステップS803)危険度取得部114は、i番目のパラメータに対応するコンテクスト情報を取得する。なお、このコンテクスト情報は、ステップS501で取得されたコンテクスト情報である。
【0142】
(ステップS804)危険度取得部114は、ステップS803で取得したi番目のパラメータのコンテクスト情報に対応する危険係数を取得する。なお、危険度取得部114は、コンテクスト情報の値または値の範囲と、危険係数との対応表(危険係数管理表)を、コンテクスト情報の種類毎に保持している、とする。
【0143】
(ステップS805)危険度取得部114は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS802に戻る。
【0144】
(ステップS806)危険度取得部114は、ステップS804で取得した1以上のパラメータごとの危険係数を、危険判定情報に代入し、危険度を算出する。そして、算出した危険度をメモリに蓄積する。上位処理にリターンする。
【0145】
次に、ステップS503の危険度取得処理の第二の例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0146】
(ステップS901)危険度取得部114は、カウンタiに1を代入する。
【0147】
(ステップS902)危険度取得部114は、危険判定情報格納部112の危険判定情報の中に、i番目の条件が存在するか否かを判断する。i番目の条件が存在すればステップS903に行き、存在しなければステップS907に行く。なお、かかる場合の危険判定情報は、1以上の条件を有する。この条件とは、歩行者が危険であると判断するための条件である。また、条件とは、例えば、「車両の速度>=30km/時 AND 車両の進行方向が歩行者の絶対位置を含む一定範囲の方向」、「歩行者の進行方向が車道の方向 AND 車両が車道に存在する AND 車両の速度>=5km/時」などである。
【0148】
(ステップS903)危険度取得部114は、i番目の条件(危険判定情報の一部)を危険判定情報格納部112から読み出す。
【0149】
(ステップS904)危険度取得部114は、取得されたコンテクスト情報が、ステップS903で読み出したi番目の条件に合致するか否かを判断する。i番目の条件に合致すればステップS905に行き、合致しなければステップS906に行く。
【0150】
(ステップS905)危険度取得部114は、変数「危険度」に「危険である(例えば、「1」)を代入する。上位処理にリターンする。
【0151】
(ステップS906)危険度取得部114は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS902に戻る。
【0152】
(ステップS907)危険度取得部114は、変数「危険度」に「危険でない(例えば、「0」)を代入する。上位処理にリターンする。
【0153】
なお、図9のフローチャートにおいて、危険判定情報が有する条件を一つでも満たせば「危険である」と判断されたが、危険判定情報が有する条件を一つでも満たせば「危険でない」等と判断しても良い。
【0154】
次に、ステップS504の送信判断処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0155】
(ステップS1001)通信制御部118は、車両コンテクスト情報が受信されたか否かを判断する。受信されればステップS1002に行き、受信されなければステップS1005に行く。なお、車両コンテクスト情報を受信するのは、車両動的コンテクスト情報受信手段1134または車両静的コンテクスト情報受信手段1135である。
【0156】
(ステップS1002)通信制御部118は、危険度取得部114が取得した危険度が、予め決められた条件を満たすほど危険であるか否かを判断する。危険であればステップS1003に行き、危険でなければステップS1005に行く。なお、予め決められた条件は、危険度を用いた条件であり、通信制御部118が予め保持している。予め決められた条件は、例えば、「危険度>3」、「危険度>=2」、「危険度="危険である"」などである。
【0157】
(ステップS1003)通信制御部118は、危険度取得部114が取得した自身の危険度と受信された他の1以上の歩行者の危険度を比較する。そして、通信制御部118は、自身の危険度が他の1以上の歩行者の危険度と比較して、条件を満たす程、危険か否かを判断する。危険であればステップS1004に行き、危険でなければステップS1005に行く。なお、ここでの条件とは「自身の危険度>他の1以上の歩行者のすべての危険度(自分が最も危険)」、「自身の危険度が上位n%以上(nは、例えば、80)であるほど危険である」などである。
【0158】
(ステップS1004)通信制御部118は、歩行者端末情報を送信するように歩行者端末情報送信部115に指示する。上位処理にリターンする。
【0159】
(ステップS1005)通信制御部118は、歩行者端末情報を送信しないように歩行者端末情報送信部115に指示する。上位処理にリターンする。
【0160】
なお、図10のフローチャートにおいて、ステップS1001、S1002、S1003のすべてを満たした場合に、通信制御部118は、歩行者端末情報を送信するように歩行者端末情報送信部115に指示した。しかし、例えば、ステップS1001、S1002、S1003のうちの一つ、または二つを満たした場合に、通信制御部118は、歩行者端末情報を送信するように歩行者端末情報送信部115に指示しても良い。
【0161】
次に、ステップS506の送信方法決定処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0162】
(ステップS1101)通信制御部118は、危険度取得部114が取得した危険度を読み出す。
【0163】
(ステップS1102)通信制御部118は、ステップS1101で読み出した危険度に応じた送信周期を取得する。なお、通信制御部118は、危険度に応じた送信周期を取得するための演算式や条件情報を、予め保持している、とする。
【0164】
(ステップS1103)通信制御部118は、ステップS1101で読み出した危険度に応じた送信電力を取得する。なお、通信制御部118は、危険度に応じた送信電力を取得するための演算式や条件情報を、予め保持している、とする。
【0165】
(ステップS1104)通信制御部118は、ステップS1101で読み出した危険度に応じたデータサイズを取得する。なお、通信制御部118は、危険度に応じたデータサイズを取得するための演算式や条件情報を、予め保持している、とする。
【0166】
(ステップS1105)通信制御部118は、歩行者の絶対位置(歩行者動的コンテクスト情報の一つ)を用いて、現在の地図情報を取得する。そして、通信制御部118は、現在の地図情報から現在の位置が都市部であるか過疎地であるかを決定する。なお、通信制御部118は、例えば、周辺の歩行者端末11の数が閾値以上であれば都市部であり、閾値未満であれば過疎地であると判断する。また、通信制御部118は、例えば、地図情報を現在の絶対位置に照らして検索し、地図情報の中の情報量が閾値以上であれば都市部であり、閾値未満であれば過疎地であると判断するなどしても良い。都市部または過疎地の判断方法は問わない。
【0167】
(ステップS1106)通信制御部118は、都市部または過疎地に応じた通信制御パラメータを取得する。上位処理にリターンする。なお、通信制御部118は、都市部または過疎地ごとに、通信制御パラメータを予め保持している、とする。通信制御パラメータとは、例えば、誤り訂正の符号化率の強弱、変調方式あるいは多値変調方式の多値数、中継転送の強弱、送信抑制フィルタリング機能の強弱などである。
【0168】
次に、車載端末12の動作について、図12のフローチャートを用いて説明する。
【0169】
(ステップS1201)車両コンテクスト情報取得部121は、車両コンテクスト情報を送信するタイミングであるか否かを判断する。例えば、車両コンテクスト情報は定期的に送信される場合、車両コンテクスト情報取得部121は、前回の送信から予め決められた時間が経過したか否かを図示しない時計から取得した時刻から判断する。送信するタイミングであればステップS1202に行き、送信するタイミングでなければステップS1204に行く。なお、車両コンテクスト情報を送信するタイミングであるか否かを判断する条件は問わない。
【0170】
(ステップS1202)車両コンテクスト情報取得部121は、車両コンテクスト情報を取得する。
【0171】
(ステップS1203)車両コンテクスト情報送信部122は、ステップS1202で取得された車両コンテクスト情報を送信する。ステップS1201に戻る。
【0172】
(ステップS1204)歩行者端末情報受信部123は、歩行者端末11から歩行者端末情報を受信したか否かを判断する。歩行者端末情報を受信すればステップS1205に行き、歩行者端末情報を受信しなければステップS1201に戻る。
【0173】
(ステップS1205)歩行者端末情報出力部124は、歩行者端末情報を出力する条件を満たすか否かを判断する。条件を満たせばステップS1206に行き、条件を満たさなければステップS1201に戻る。なお、歩行者端末情報を出力する条件とは、例えば、「歩行者の危険度が予め決められた条件を満たす」、「歩行者と車両との距離が予め決められた距離以内」などである。「歩行者の危険度が予め決められた条件を満たす」とは、歩行者の危険度が予め決められたほど危険であることであり、例えば、「危険度>3」「危険度="危険である"」などである。
【0174】
(ステップS1206)歩行者端末情報出力部124は、ステップS1204で受信された歩行者端末情報を出力する。ステップS1201に戻る。
【0175】
なお、図12のフローチャートにおいて、ステップS1205で条件を満たした場合のみ、ステップS1206で歩行者端末情報を出力したが、常に歩行者端末情報を出力しても良い。
【0176】
また、図12のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0177】
以下、本実施の形態における歩車間通信システム1の具体的な動作について説明する。歩車間通信システム1の概念図は図2である。
(具体例1)
【0178】
本具体例において、車々間通信は、700MHz帯通信方式で送受信を行なう、とする。そして、歩行者端末11から車載端末12への通信及び歩行者端末11と歩行者端末11との通信は、5.8GHz帯の無線通信で行なう、とする。そのために、歩行者端末が送信する電波は、車々間通信に影響を及ぼさない。また、本具体例の歩車間通信システム1において、2種類の無線通信プロトコルが連携している。ここで、歩行者端末11及び車載端末12の送受信機能を図13にまとめる。図13に示すように、歩行者端末11及び車載端末12は、一方の送信機能と両方の受信機能を装備することにより、お互い(歩車間)のトラフィックに負荷をかけないようにしている。なお、車々間通信の700MHz帯、および車歩間通信の5.8GHz帯の周波数帯は一例であり、他の周波数帯でも良いことは言うまでもない。
【0179】
また、歩行者端末11の地図情報格納部111には、例えば、既存のナビゲーション端末に格納されているKIWIフォーマットの地図情報が格納されている、とする。
【0180】
また、危険判定情報格納部112は、図14の歩行速度に対する危険係数管理表、図15の歩行者と車両との距離に対する危険係数管理表、図16の歩行時間帯に対する危険係数管理表、図17の歩行者の年齢に対する危険係数管理表を格納している。上記の危険係数管理表は、各パラメータの値の範囲と、危険係数とを対応付けて管理している。また、危険判定情報格納部112は、危険判定情報を構成する危険度を算出する算出式「危険度=ROUND((歩行速度に対する危険係数+歩行時間帯に対する危険係数+歩行者の年齢に対する危険係数+歩行者と車両との距離に対する危険係数)/4,0)」を格納している。なお、本算出式は一例であることは言うまでもない。また、ROUND(式,0)は、式の結果を四捨五入して、整数を取得する演算式である。また、上記の算出式は、各要素の危険度を平均化しているが、要素に対して、重み付けをしてもよい。また、必ずしも、送信周期、データサイズ及び送信電力の全てを制御するのではなく、要因と重み付けによって、変えても良い。例えば、危険判定情報は、老人や子供の場合には、送信周期を短く設定するような情報でも良いし、昼間と夜間で送信電力を変えるような情報でも良いし、夜間は高く設定する等の情報でも良い。
【0181】
また、通信制御部118は、「危険度>=3」という送信条件を予め保持している。送信条件は、歩行者端末11が歩行者端末情報を送信するための条件である。ここでの送信条件は、危険度をパラメータとする条件であり、危険度が条件を満たす程、危険である場合に歩行者端末情報を送信する、という条件である。
【0182】
さらに、通信制御部118は、図18に示す送信方法管理表を保持している。送信方法管理表は、危険度に応じた通信制御パラメータを管理している。図18において管理している通信制御パラメータは、送信電力、送信周期、データ長のみであるが、他の通信制御パラメータを管理していても良いことは言うまでもない。なお、危険度が大きければ大きいほど、通常、送信電力は大きくなる。つまり、通信制御部118が送信電力を取得する算出式を保持している場合、かかる算出式は、危険度をパラメータとする増加関数である。また、危険度が大きければ大きいほど、通常、送信周期は短くなる。つまり、通信制御部118が送信周期を取得する算出式を保持している場合、かかる算出式は、危険度をパラメータとする減少関数である。また、危険度が大きければ大きいほど、通常、送信するデータサイズは小さくなる。つまり、通信制御部118がデータサイズを取得する算出式を保持している場合、かかる算出式は、危険度をパラメータとする減少関数である。なお、車々間通信では、車両の速度に応じて、送信周期を変えることにより、渋滞時におけるトラフィック増大を抑制している。また、歩行者の走行速度は1m/sから3m/s程度と言われている。歩行者端末11の移動距離を考慮すれば、歩行者端末11の送信周期は、車載端末12に比べて、非常に長い周期になるが、歩行者の飛び出しのケースでは、短い周期に制御する必要があり、制御範囲が広範囲にわたる。危険度の低い歩行者のパケットを抑制するために、送信周期を長くすることで、トラフィック低減を図るだけでなく、データサイズも小さくして、トラフィック低減を図ることは好適である。
【0183】
また、コンテクスト情報取得部113は、図示しない自歩行者静的コンテクスト情報格納手段(これは、歩行者端末11が接続されている携帯電話に存在していても良い)に、歩行者の性別、年齢等を格納している、とする。
【0184】
また、コンテクスト情報取得部113は、GPS、速度センサ、加速度センサ、地磁気センサ、高度センサ(気圧センサ)、歩数カウンタ等のセンサや、無線の受信手段等により実現されている。
【0185】
図19は、コンテクスト情報取得部113を詳細に示した歩行者端末11のブロック図である。図19において、歩行者端末11の主要な構成要素のみ記載されている。
【0186】
歩行者端末11に搭載されているセンサ(GPSや速度センサ、加速度センサ、地磁気センサ、高度センサ(気圧センサ)、歩数カウンタ)から進行方向、位置情報(緯度、経度)、速度・加速度、高度等の情報が得られる。コンテクスト情報によっては、複数のセンサから得られる場合は、周辺状況によって使い分ける。例えば、進行方向の情報はGPSと地磁気センサ(電子コンパス)の両方から得られ、速度情報はGPSと速度センサから得られる。車両が低速で走行している場合、あるいは、信号待ち等での一時停止中の様に、GPSによる進行方向誤差が大きくなる場合には、車両コンテクスト情報取得部121は、地磁気センサによる進行方向を用いるというように、使い分ける。つまり車両コンテクスト情報取得部121は、速度センサにより速度を取得し、当該速度が閾値より小さい場合は、地磁気センサにより進行方向を取得し、当該速度が閾値以上の場合は、GPSにより進行方向を取得する。
【0187】
また、他の歩行者から得られる他歩行者コンテクスト情報は、上記記載の歩行者端末内11の自歩行者コンテクスト情報と同じく、進行方向、位置情報(緯度、経度)、速度・加速度、高度等である。また、車載端末12から得られる車両コンテクスト情報は、進行方向、位置情報(緯度、経度)、速度・加速度、高度、ウインカ情報等である。更に、コンテクスト情報には、携帯電話等のネットワークインフラを経由して得られるネットワーク情報や、地図情報格納部111から得られる地図情報がある。
【0188】
かかる状況において、歩行者端末11のコンテクスト情報取得部113は、種々のコンテクスト情報を取得し、図20に示すコンテクスト情報管理表を保持するに至ったとする。図20に示すコンテクスト情報管理表により、歩行者端末11は、周辺の歩行者端末の情報及び車両の情報を把握することができる。
【0189】
また、危険度判定の具体的なフローチャートの例を図21に示す。図21のフローチャートの前段階において、コンテクスト情報取得部113は、各種のコンテクスト情報を取得する(ステップS501)。そして、危険度取得部114は、危険度を算出する算出式を、危険判定情報格納部112から読み出す(ステップS502)。
【0190】
次に、危険度取得部114は、危険度を算出するための算出式の中に、各パラメータ(ここでは、歩行者と車両との距離、歩行時間帯、歩行者の年齢、および歩行時速を取得する。そして、危険度取得部114は、取得した各パラメータのコンテクスト情報に対応する危険係数(1から5までのいずれかの整数)を、図21の2101内の危険係数管理表から取得する。そして、危険度取得部114は、危険判定情報を構成する危険度を算出する算出式「危険度=ROUND((歩行速度に対する危険係数+歩行時間帯に対する危険係数+歩行者の年齢に対する危険係数+歩行者と車両との距離に対する危険係数)/4,0)」に危険係数を代入し、危険度を算出する。ここで、危険度取得部114は、例えば、危険度「4」を取得した、とする。
【0191】
また、危険度取得部114は、消費電力を低減すべきか否かについての判断も行う、とする。かかる判断は、例えば、危険度取得部114が保持する消費電力低減判断手段が行う。消費電力低減判断手段は、(1)歩行者の歩行速度:30km/h以上、または(2)ビルの屋内に存在、または(3)車両の高度と歩行者の高度が5m以上異なり、歩行者の高度の方が高い、のいずれかの条件を、コンテクスト情報が満たすか否かを判断する。そして、消費電力低減判断手段は、コンテクスト情報が(1)から(3)のいずれかの条件を満たせば、消費電力低減処理を行う、と判断する。なお、ここでは、消費電力低減処理を行わない、と判断された、とする。
【0192】
次に、通信制御部118は、取得された危険度「4」に対応する通信制御パラメータを取得する。具体的には、通信制御部118は、S2102内の表から、送信電力「16dBm(40W)」、送信周期「0.6sec」、データ長「80byteまで」を取得する。
【0193】
次に、消費電力低減処理を行うとの判断の場合、ステップS2103において、消費電力低減処理を行う。ただし、ここでは、消費電力低減処理を行わない、と判断されたので、消費電力低減処理を行わない。なお、例えば、歩行者端末11は、送信処理を行なわず、受信処理のみを行っても良い。また、車載端末12は、走行速度で送信周期が規定されているため、例えば、1.2secの間、車載端末12からの受信状況を監視し、パケットを受信しなければ、その後、例えば、10secの間、歩行者端末11は、受信処理も停止するとしても良い。かかる受信処理のみの実施、条件による受信処理の停止等を総称して、消費電力低減処理という。
【0194】
次に、通信制御部118は、送信制御処理を行う。送信制御処理は、まず、送信判断処理である(ステップS504)。ここで、通信制御部118は、「危険度>=2」である場合に、送信すると判断する、とする。現在、危険度が「4」であるので、通信制御部118は、歩行者端末情報を送信すると判断する。また、次の送信制御処理は、送信電力「16dBm(40W)」、送信周期「0.6sec」、データ長「80byteまで」を設定する処理である。
【0195】
そして、歩行者端末情報送信部115は、送信する対象の情報である歩行者端末情報を取得する(ステップS507)。次に、歩行者端末情報送信部115は、取得した歩行者端末情報を、送信電力「16dBm(40W)」、送信周期「0.6sec」、データ長「80byteまで」に従って送信する(ステップS508)。
【0196】
なお、上述した送信電力「16dBm(40W)」、送信周期「0.6sec」、データ長「80byteまで」等の値は、具体例の一つであり、他の値でも良いことは言うまでもない。
【0197】
次に、車両動的コンテクスト情報受信手段1134または/および車両静的コンテクスト情報受信手段1135は、車載端末12からパケット(車両コンテクスト情報)を受信したか否かを判断する(2105)。パケットを受信すれば2101に行き、受信しなければ2106に行く。
【0198】
次に、2106において、危険度のチェックタイミングか否かを判断する。危険度のチェックタイミングであれば2101に行き、チェックタイミングでなければ2107に行く。2107において、危険度の変更はしない。そして、2105に戻る。
【0199】
図22は、上記に記載した危険度の取得及び通信制御によって、トラフィックを行った歩車間通信システム1の概要を示している。
【0200】
上述した危険度の取得及び通信制御手法によって、エリア1では、歩行者端末11は、車両(車載端末12)から遠い距離にあり、危険度が低いと判定する。その結果、歩行者1の歩行者端末11からは、送信周期が長く、送信電力を小さくして、歩行者端末情報を送信する。エリア2では、歩行者5の歩行者端末11が短い送信周期で、送信電力も高く歩行者端末情報を送信する。同様にエリア3に対しては、歩行者9(歩行者端末11)が車道に向かって、移動しており、危険と判断され、歩行者9の歩行者端末11は、短い送信周期で、送信電力は高く、歩行者端末情報を送信する。なお、図22中の通信制御は、送信周期制御と送信電力制御の両方を制御する場合について述べたが、危険度の状況に応じて、どちらかの一方を制御するとしても良い。なお、危険度の取得処理の詳細は、上述した通りである。
(具体例2)
【0201】
具体例2では、通信制御部118が、歩行者の絶対位置と地図情報とを用いて、歩行者(歩行者端末11)が存在する場所が過疎地か都市部かを決定する場合について説明する。つまり、例えば、歩行者の絶対位置を中心として、予め決められた範囲(例えば、半径500m以内、または500m×500mの矩形領域内など)に存在する地図中の情報の量(数でも良い)が一定数以上であれば都市部と判断し、一定数未満であれば過疎地と判断する。また、予め、地図情報に過疎地か都市部か(フラグ)を規定しており、歩行者(歩行者端末11)が存在する位置に対応するフラグを読み出し、過疎地か都市部かを決定しても良い。また、過疎地か都市部かに関する情報は、携帯電話や無線LAN等を使って、例えば、歩行者端末11の電源投入時に自端末の周辺の情報を受け取れば良い。なお、過疎地か都市部かは頻繁に変わる情報ではないので、逐次、受信する必要ない、と考えられる。
【0202】
また、通信制御部118は、他の歩行者端末11から受信できるコンテクスト情報の数(周辺の他の歩行者端末11の数)により、過疎地か都市部かを決定しても良い。つまり、通信制御部118は、周辺の他の歩行者端末11の数が一定数以上であれば都市部と判断し、一定数未満であれば過疎地と判断しても良い。
【0203】
次に、通信制御部118は、図23に示す通信制御表を保持している、とする。そして、通信制御部118は、歩行者の絶対位置が過疎地であれば、誤り訂正符号化率を強(閾値以上)に設定し、都市部であれば、誤り訂正符号化率を弱(閾値未満)に設定する。また、通信制御部118は、過疎地であれば、変調方式を低伝送方式に設定し、都市部であれば、変調方式を高伝送速度方式に設定する。また、通信制御部118は、過疎地であれば、中継転送を多(閾値以上)に設定し、都市部であれば、中継転送を少(閾値未満)に設定する。さらに、通信制御部118は、過疎地であれば、送信抑制フィルタリング機能を弱に設定し、都市部であれば、送信抑制フィルタリング機能を強に設定する。
【0204】
これらは、以下の理由からである。つまり、過疎地のような見通し不良環境でもできる限り、受信できる様にするには、できるだけ受信感度を低く設計する必要がある。そのためには、過疎地では誤り訂正符号化を強くして、ハミング距離の長い変調方式を用いる方が良い。例えば、誤り訂正では畳込み符号あるいはターボ符号の符号化率が8/9, 3/4, 2/3, 1/2, 1/3と小さくなるに従って、誤り訂正の利得は向上するが、パケット長は長くなってしまう。また、BPSK、QPSK, 8PSK, 16QAMとなるに従い、所望Eb/N0が大きくなり、受信感度は悪くなってしまう。つまり、過疎地では、できる限り、遠くまで伝達させることを重視して、(即ち、パケット長が長くなっても良い)危険度を判定する。
【0205】
一方、都市部では、歩行者端末11の密度が多いと考えられるために、パケットの冗長度をできる限り軽減する様に通信制御を行なう。
【0206】
また、中継転送に関しては、都市部では、周辺の歩行者端末が多く存在しており、歩行者端末11で受信した他の歩行者端末11からのパケットを全て、送信しない様にする。また、送信抑制フィルタリング機能も同様に都市部では抑制して、できるだけ送信しない様にする。
【0207】
なお、通信制御部118は、同じ都市部であっても、周辺の歩行者端末11からの受信状況で、周辺の歩行者端末11が少なければ、発生しているトラフィック量が少ないと判断して、過疎地で使用するパラメータを用いても良い。また、通信制御部118は、ネットワークインフラとの連携によって(ネットワーク情報を用いて)、過疎地か都市部かを判断しても良い。具体的な判断方法の例は上述した通りである。ネットワーク情報は携帯電話に限らず、無線LANの通信網から取得されても良い。
【0208】
以上、本実施の形態によれば、歩車間通信システム1において、歩行者の交通事故の防止に役立つ情報を歩行者端末11または車載端末12に提供できる。また、本実施の形態によれば、歩行者端末11の消費電力を小さくできる。
【0209】
また、本実施の形態によれば、歩車間相対移動情報や歩歩間相対移動情報や地図情報やネットワーク情報等を用いて危険度を取得することにより、精度高く危険度の検知を行える。
【0210】
また、本実施の形態において、歩行者端末11において車両情報を出力することにより、歩行者に、交通事故の注意喚起を行うことができる。
【0211】
また、本実施の形態において、車両コンテクスト情報を受信したことをトリガにして、危険度に応じて歩行者端末情報を送信することにより、歩行者端末11の消費電力をより小さくできる。
【0212】
また、本実施の形態において、他の歩行者端末11の危険度が自身の危険度よりも高いと判断した場合は、歩行者端末情報を送信しないようにすることにより、歩行者端末の消費電力をより小さくできる、またはトラフィックの混雑を防止できる。
【0213】
なお、本実施の形態において、歩行者端末11は、携帯電話13に装着され、コンテクスト情報取得部113は、自歩行者動的コンテクスト、または自歩行者静的コンテクスト情報のうちの一部または全部の情報を携帯電話13から取得するようにしても良い。かかることにより、簡易に歩行者端末11を構成できる。かかる歩行者端末11の外観図を図24に示す。図24において、歩行者端末11のコネクタが携帯電話13のコネクタに接続されている。
【0214】
また、歩行者端末11は、図25に示すように、無線機内蔵型でも良い。図25の歩行者端末11は、例えば、携帯電話の機能も有する。
【0215】
さらに、図26に示すように、歩行者端末11は、他の歩行者端末11や車載端末12と通信が行えるモジュール(端末)であり、ブルートゥース、Wi−Fi等の近距離通信手段により、携帯電話13と通信可能であっても良い。かかる場合、情報の出力は、通常、携帯電話13で行われる。
【0216】
なお、例えば、図24のタイプをアタッチメント型、図25のタイプを無線内蔵型、図26のタイプを分離型という。
【0217】
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における歩行者端末11を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、記録媒体に、前記歩行者と車両とが衝突する危険の度合いを示す情報、または前記歩行者が車両と衝突する可能性があるほど危険であるか否かを示す情報である危険度を判定するための情報であり、前記コンテクスト情報を用いた情報である危険判定情報を格納しており、コンピュータを、当該歩行者端末の動的な情報である自歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末を保持する歩行者の静的な情報である自歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の1以上の歩行者端末の動的な情報である1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の歩行者端末を保持する1以上の歩行者の静的な情報である1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末の動的な情報である1以上の車両動的コンテクスト情報、または当該歩行者端末の周辺の1以上の車両の静的な情報である1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得部と、前記コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信部と、前記コンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する危険度取得部と、前記危険度に応じて、前記歩行者端末情報を送信するか否か、または前記歩行者端末情報の送信方法を変更することを、前記歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う通信制御部として機能させるためのプログラム、である。
また、本実施の形態における車載端末12を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、歩行者端末情報を受信する歩行者端末情報受信部と、前記歩行者端末情報を出力する歩行者端末情報出力部と、当該車載端末の動的な情報である車両動的コンテクスト情報、または当該車載端末が搭載されている車両の静的な情報である車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である車両コンテクスト情報を取得する車両コンテクスト情報取得部と、前記車両コンテクスト情報を送信する車両コンテクスト情報送信部として機能させるためのプログラム、である。
(実施の形態2)
【0218】
本実施の形態において、歩行者端末は、自身の危険度を外部装置から受信し、その危険度に応じて通信制御を行う歩車間通信システムについて説明する。つまり、本実施の形態において、歩行者端末の危険度をサーバ装置が取得する場合について説明する。例えば、サーバ装置が、全国の交通事故多発データマップを保持しているデータベース(地図情報格納部111)を具備している。そして、例えば、サーバ装置は、歩行者端末の絶対位置に応じて、地図情報を参照し、危険度を取得する。なお、ネットワークインフラは携帯電話に限定するものではなく、無線LAN(Wi−Fi、Wimax)等のインフラを用いても良い。そして、本実施の形態において、サーバ装置が交通事故多発場所の情報等を保持するのは、データ量が膨大な交通事故多発場所の情報をすべての歩行者端末、あるいはすべての車載端末で保持することは非効率であり、かつ、季節や時期によって、交通事故多発場所が異なる場合もあるため、歩行者端末または車載端末での交通事故多発場所の情報の更新が面倒であるからである。なお、サーバ装置は、実施の形態1の歩行者端末11が行った危険度の取得方法と同様の危険度の取得方法を実行しても良い。つまり、サーバ装置は、地図情報と歩行者のGPS、速度、加速度、高度等の各種センサから得られる位置情報を組み合せて、危険度を取得しても良い。
【0219】
図27は、本実施の形態における歩車間通信システム2の概念図である。
歩車間通信システム2は、1以上の歩行者端末21、1以上の車載端末22、サーバ装置23を具備する。サーバ装置23は、歩行者端末21から1以上の歩行者コンテクスト情報と、1以上の車両動的コンテクスト情報を受信し、各歩行者の危険度を決定し、歩行者端末21に通知する。そして、歩行者端末21は、当該歩行者端末21の保持者(自身)の危険度を受信し、当該危険度に応じて、通信制御を行う。
【0220】
図28は、本実施の形態における歩車間通信システム2のブロック図である。歩車間通信システム2において、歩車間通信システム1と同一の構成要素について、同一の符号を付し、その説明を省略する。
歩行者端末21は、コンテクスト情報取得部113、危険度受信部211、歩行者端末情報送信部212、他危険度受信部211、危険度比較部117、通信制御部118、車両情報出力部119を具備する。つまり、歩行者端末21は、歩行者端末11と比較して、危険判定情報格納部112、および危険度取得部114を有さず、危険度受信部211を有する。なお、歩行者端末21のコンテクスト情報取得部113は、歩行者端末11のコンテクスト情報取得部113と概ね同様の処理であるので、同一の符号を付している。ただし、歩行者端末21のコンテクスト情報取得部113は、歩行者端末11のコンテクスト情報取得部113と比較して、他歩行者コンテクスト情報と車両コンテクスト情報を受信する装置が異なる。つまり、歩行者端末21のコンテクスト情報取得部113は、通常、他歩行者コンテクスト情報と車両コンテクスト情報をサーバ装置23から受信する。ただし、歩行者端末21のコンテクスト情報取得部113も、他歩行者コンテクスト情報と車両コンテクスト情報を、それぞれ他の歩行者端末21および車載端末22から受信しても良い。
【0221】
車載端末22は、車両コンテクスト情報取得部121、車両コンテクスト情報送信部222、歩行者端末情報受信部223、歩行者端末情報出力部124を具備する。
【0222】
サーバ装置23は、地図情報格納部111、危険判定情報格納部112、サーバ側歩行者端末情報受信部231、車両コンテクスト情報受信部232、危険度取得部114、危険度送信部233を具備する。
【0223】
危険度受信部211は、外部の装置(ここでは、サーバ装置23)から歩行者の危険度を受信する。ここでの歩行者とは、歩行者端末21の保持者である。危険度受信部211は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0224】
歩行者端末情報送信部212は、コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する。また、歩行者端末情報送信部212は、コンテクスト情報取得部113が車両動的コンテクスト情報または車両静的コンテクスト情報を受信したことをトリガにして、危険度に応じて歩行者端末情報を送信することは好適である。なお、歩行者端末情報送信部212は、通常、ブロードキャストではなく、サーバ装置23に歩行者端末情報を送信する。また、車両動的コンテクスト情報または車両静的コンテクスト情報の受信は、通常、サーバ装置23からであるが、車載端末22からでも良い。また、「受信したことをトリガとする」とは、受信していない場合は、送信しないことが好適である。
【0225】
また、歩行者端末情報送信部212は、通信制御部118の指示に従って、歩行者端末情報を送信する。歩行者端末情報は、通常、パケットである。また、歩行者端末情報は、通常、自歩行者動的コンテクスト情報または/および自歩行者静的コンテクスト情報である。
【0226】
歩行者端末情報送信部212は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
【0227】
他危険度受信部211は、他の歩行者端末21を保持している他の歩行者の危険度を受信する。他危険度受信部211は、通常、サーバ装置23から他の歩行者の危険度を受信する。他危険度受信部211は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0228】
車両コンテクスト情報送信部222は、車両コンテクスト情報を送信する。車両コンテクスト情報送信部222は、通常、サーバ装置23に車両コンテクスト情報を送信する。車両コンテクスト情報送信部222は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
【0229】
歩行者端末情報受信部223は、歩行者端末情報を、通常、サーバ装置23から受信する。歩行者端末情報受信部223は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0230】
サーバ側歩行者端末情報受信部231は、歩行者端末21から歩行者端末情報を受信する。サーバ側歩行者端末情報受信部231は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0231】
車両コンテクスト情報受信部232は、車載端末22から車両コンテクスト情報を受信する。車両コンテクスト情報受信部232は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0232】
危険度送信部233は、1以上の歩行者端末21または/および車載端末22に、1以上の歩行者端末21の危険度を送信する。危険度送信部233は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
次に、歩車間通信システム2の動作について説明する。まず、歩行者端末21の動作について、図29のフローチャートを用いて説明する。図29のフローチャートにおいて、図5のフローチャートと同一のステップについて、説明を省略する。
【0233】
(ステップS2901)コンテクスト情報取得部113は、コンテクスト情報を取得する。このコンテクスト情報取得処理は、概ねステップS501と同様である。但し、上述したように、コンテクスト情報取得部113は、通常、他歩行者コンテクスト情報と車両コンテクスト情報をサーバ装置23から受信するところが、ステップS501とは異なる。
【0234】
(ステップS2902)危険度受信部211は、自身(歩行者端末21を保持している歩行者)の危険度をサーバ装置23から受信したか否かを判断する。受信すればステップS2903に行き、受信しなければステップS2902に戻る。
【0235】
(ステップS2903)通信制御部118は、歩行者端末情報を送信するか否かを判断する。ここでの送信判断は、ステップS504の送信判断処理と概ね同一であるが、送信判断のための車両コンテクスト情報の送信元の装置がサーバ装置23であり、ステップS504(ステップS1001)とは異なる。なお、ステップS504(ステップS1001)における車両コンテクスト情報の送信元の装置は、車載端末12である。
【0236】
なお、図29のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0237】
また、図29のフローチャートにおいて、各処理を逐次処理で行っているが、例えば、車両に対する出力処理(S509、S510)等は並列処理しても良いことは言うまでもない。
【0238】
次に、車載端末22の動作について、図30のフローチャートを用いて説明する。図30のフローチャートにおいて、図12のフローチャートと同一のステップについて、説明を省略する。
【0239】
(ステップS3001)車両コンテクスト情報送信部222は、ステップS1202で取得された車両コンテクスト情報を、サーバ装置23に送信する。
【0240】
(ステップS3002)歩行者端末情報受信部223は、サーバ装置23から歩行者端末情報を受信したか否かを判断する。歩行者端末情報を受信すればステップS1205に行き、歩行者端末情報を受信しなければステップS1201に戻る。
【0241】
なお、図30のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0242】
次に、サーバ装置23の動作について、図31のフローチャートを用いて説明する。
【0243】
(ステップS3101)サーバ側歩行者端末情報受信部231は、歩行者端末21から歩行者端末のコンテクスト情報を受信したか否かを判断する。受信すればステップS3102に行き、受信しなければステップS3105に行く。なお、歩行者端末のコンテクスト情報は、実施の形態1における自歩行者動的コンテクスト情報、自歩行者静的コンテクスト情報、他歩行者動的コンテクスト情報、または他歩行者静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である。
【0244】
(ステップS3102)危険度取得部114は、ステップS3101で受信された歩行者端末のコンテクスト情報を、図示しないバッファに一時蓄積する。
【0245】
(ステップS3103)危険度取得部114は、危険度を取得する。ここでの危険度取得処理は、歩行者端末のコンテクスト情報が有する位置情報(絶対位置の情報(緯度,経度)等)をキーとして、地図情報を検索し、危険度を取得する。なお、ここでの危険度は、交通事故多発場所か否かを示す情報でも良いし、3以上にカテゴライズされている危険度のうちの一の危険度でも良い。また、ここでの危険度取得処理は、図8または図9に示した危険度取得処理でも良い。
【0246】
(ステップS3104)危険度送信部233は、ステップS3103で取得した危険度を、ステップS3101で受信されたコンテクスト情報を送信してきた歩行者端末21に送信する。ステップS3101に戻る。
【0247】
(ステップS3105)車両コンテクスト情報受信部232は、車両コンテクスト情報を受信したか否かを判断する。受信すればステップS3106に行き、受信しなければステップS3101に戻る。
【0248】
(ステップS3106)危険度取得部114は、ステップS3105で受信された車両コンテクスト情報を、図示しないバッファに一時蓄積する。ステップS3101に戻る。
【0249】
なお、図31のフローチャートにおいて、危険度を取得して送信するタイミングは、歩行者端末21から歩行者端末のコンテクスト情報を受信したタイミングであった。しかし、歩行者端末21の危険度を取得して送信するタイミングは問わない。
【0250】
なお、図31のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0251】
以上、本実施の形態によれば、歩車間通信システム2において、歩行者の交通事故の防止に役立つ情報を歩行者端末21または車載端末22に提供できる。また、本実施の形態によれば、歩行者端末21の消費電力を小さくできる。
【0252】
また、本実施の形態によれば、サーバ装置23が危険度を判定することにより、歩行者端末21の負荷が小さくなり、好適である。また、例えば、サーバ装置23が地図情報(例えば、交通事故多発地点の情報)を有していれば良く、1以上の各歩行者端末21が地図情報を有する必要がない。
【0253】
なお、本実施の形態における車載端末22を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、歩行者が保持している歩行者端末の動的な情報である自歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末を保持する歩行者の静的な情報である自歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の1以上の歩行者端末の動的な情報である1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の歩行者端末を保持する1以上の歩行者の静的な情報である1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末の動的な情報である1以上の車両動的コンテクスト情報、または当該歩行者端末の周辺の1以上の車両の静的な情報である1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得部と、前記コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信部と、外部の装置から前記歩行者の危険度を受信する危険度受信部と、前記危険度に応じて、前記歩行者端末情報を送信するか否か、または前記歩行者端末情報の送信方法を変更することを、前記歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う通信制御部として機能させるためのプログラム、である。
【0254】
また、図32は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態の歩車間通信システムの端末装置や車載端末やサーバ装置を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図32は、このコンピュータシステム340の概観図であり、図33は、コンピュータシステム340の内部構成を示す図である。
【0255】
図32において、コンピュータシステム340は、FDドライブ3411、CD−ROMドライブ3412を含むコンピュータ341と、キーボード342と、マウス343と、モニタ344とを含む。
【0256】
図33において、コンピュータ341は、FDドライブ3411、CD−ROMドライブ3412に加えて、MPU3413と、CD−ROMドライブ3412及びFDドライブ3411に接続されたバス3414と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3415とに接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3416と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3417とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ341は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0257】
コンピュータシステム340に、上述した実施の形態の歩車間通信システム等の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM3501、またはFD3502に記憶されて、CD−ROMドライブ3412またはFDドライブ3411に挿入され、さらにハードディスク3417に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ341に送信され、ハードディスク3417に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3416にロードされる。プログラムは、CD−ROM3501、FD3502またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0258】
プログラムは、コンピュータ341に、上述した実施の形態の歩車間通信システムの端末装置や車載端末やサーバ装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム340がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0259】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信するステップや、情報を受信するステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、モデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0260】
また、上記の実施の形態において、情報の送信や受信において送信先が明記されている場合でも、当該送信先に直接に送信する場合に限定されるわけではなく、他の装置を介して送信先に送信する場合も含む。また、上記の実施の形態において、情報の送信や受信において送信元が明記されている場合でも、情報の他の装置を介して送信元から受信する場合も含む。
【0261】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0262】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0263】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0264】
以上のように、本発明にかかる歩車間通信システムは、歩行者の交通事故の防止に役立つ、または歩行者端末の消費電力を小さくできるという効果を有し、歩車間通信システム等として有用である。
【符号の説明】
【0265】
1、2 歩車間通信システム
11、21 歩行者端末
12、22 車載端末
23 サーバ装置
111 地図情報格納部
112 危険判定情報格納部
113 コンテクスト情報取得部
114 危険度取得部
115、212 歩行者端末情報送信部
116、213 他危険度受信部
117 危険度比較部
118 通信制御部
119 車両情報出力部
121 車両コンテクスト情報取得部
122、222 車両コンテクスト情報送信部
123、223 歩行者端末情報受信部
124 歩行者端末情報出力部
211 危険度受信部
231 サーバ側歩行者端末情報受信部
232 車両コンテクスト情報受信部
233 危険度送信部
1130 自歩行者動的コンテクスト情報取得手段
1131 自歩行者静的コンテクスト情報取得手段
1132 他歩行者動的コンテクスト情報受信手段
1133 他歩行者静的コンテクスト情報受信手段
1134 車両動的コンテクスト情報受信手段
1135 車両静的コンテクスト情報受信手段
1136 歩車間相対移動情報取得手段
1137 歩歩間相対移動情報取得手段
1138 地図情報取得手段
1139 ネットワーク情報取得手段
1141 歩行者行動予測手段
1142 危険度取得手段
1143 通信優先度決定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の歩行者が保持する1以上の歩行者端末と、1以上の車両に搭載された1以上の車載端末とを有する歩車間通信システムであって、
前記歩行者端末は、
当該歩行者端末の動的な情報である自歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末を保持する歩行者の静的な情報である自歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の1以上の歩行者端末の動的な情報である1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の歩行者端末を保持する1以上の歩行者の静的な情報である1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末の動的な情報である1以上の車両動的コンテクスト情報、または当該歩行者端末の周辺の1以上の車両の静的な情報である1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得部と、
前記コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信部と、
前記歩行者と車両とが衝突する危険の度合いを示す情報、または前記歩行者が車両と衝突する可能性があるほど危険であるか否かを示す情報である危険度を判定するための情報であり、前記コンテクスト情報を用いた情報である危険判定情報を格納し得る危険判定情報格納部と、
前記コンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する危険度取得部と、
前記危険度に応じて、前記歩行者端末情報を送信するか否か、または前記歩行者端末情報の送信方法を変更することを、前記歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う通信制御部とを具備し、
前記車載端末は、
前記歩行者端末から歩行者端末情報を受信する歩行者端末情報受信部と、
前記歩行者端末情報を出力する歩行者端末情報出力部とを具備する歩車間通信システム。
【請求項2】
前記コンテクスト情報取得部は、
当該歩行者端末を保持する歩行者の絶対位置、歩行者の体の向き、歩行者の移動速度、歩行者の移動加速度、歩行者の移動方向、歩行者の歩行時刻、歩行者の歩行時間、歩行者の移動手段、または歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む自歩行者動的コンテクスト情報を取得する自歩行者動的コンテクスト情報取得手段と、
当該歩行者端末を保持する歩行者の年齢、歩行者の性別、歩行者の健康状態に関する情報である健康情報のうちの1以上の情報を含む自歩行者静的コンテクスト情報を取得する自歩行者静的コンテクスト情報取得手段と、
他の歩行者端末を保持する他の歩行者の絶対位置、他の歩行者の体の向き、他の歩行者の移動速度、他の歩行者の移動加速度、他の歩行者の移動方向、他の歩行者の歩行時刻、他の歩行者の歩行時間、他の歩行者の移動手段、または他の歩行者が居る場所の屋内外の区別のうちの1以上の情報を含む他歩行者動的コンテクスト情報を、前記他の歩行者端末から受信する他歩行者動的コンテクスト情報受信手段と、
他の歩行者の年齢、他の歩行者の性別、他の歩行者の健康情報のうちの1以上の情報を含む他歩行者静的コンテクスト情報を、前記他の歩行者端末から受信する他歩行者静的コンテクスト情報受信手段と、
前記歩行者端末の周辺の1以上の車両の位置、車両の移動速度、車両の移動加速度、または車両の移動方向のうちの1以上の情報を含む車両動的コンテクスト情報を、前記車載端末から受信する車両動的コンテクスト情報受信手段と、
前記歩行者端末の周辺の1以上の車両の種類、車両の機種、車両のメーカ、車両の大きさのうちの1以上の情報を含む車両静的コンテクスト情報を、前記車載端末から受信する車両静的コンテクスト情報受信手段のうちの1以上の手段を具備する請求項1記載の歩車間通信システム。
【請求項3】
前記コンテクスト情報取得部は、
前記自歩行者動的コンテクスト情報および前記1以上の車両動的コンテクスト情報を取得し、かつ、
前記コンテクスト情報取得部は、
当該自歩行者動的コンテクスト情報、および当該1以上の車両動的コンテクスト情報を用いて、前記歩行者端末と前記1以上の車両との相対位置関係、相対的な進行方向、相対的な移動速度、相対的な移動加速度のうちの1以上の情報である歩車間相対移動情報を取得する歩車間相対移動情報取得手段を具備し、
前記危険度取得部は、
前記歩車間相対移動情報を含むコンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する請求項1または請求項2記載の歩車間通信システム。
【請求項4】
前記コンテクスト情報取得部は、
前記自歩行者動的コンテクスト情報および前記1以上の他歩行者動的コンテクスト情報を取得し、かつ、
前記コンテクスト情報取得部は、
当該自歩行者動的コンテクスト情報、および当該1以上の他歩行者動的コンテクスト情報を用いて、前記歩行者端末と前記1以上の他の歩行者端末との相対位置関係、相対的な進行方向、相対的な移動速度、相対的な移動加速度のうちの1以上の情報である歩歩間相対移動情報を取得する歩歩間相対移動情報取得手段をさらに具備し、
前記危険度取得部は、
前記歩歩間相対移動情報を含むコンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する請求項1から請求項3いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項5】
前記歩行者端末は、
地図に関する情報である地図情報を格納し得る地図情報格納部をさらに具備し、
前記コンテクスト情報取得部は、
前記地図情報を前記地図情報格納部から取得する地図情報取得手段を具備し、
前記危険度取得部は、
前記地図情報を含むコンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する請求項1から請求項4いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項6】
前記コンテクスト情報取得部は、
携帯電話網、無線LAN網、またはデータ通信網のいずれかのネットワークインフラからネットワークに関する情報であるネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得手段を具備し、
前記危険度取得部は、
前記ネットワーク情報を含むコンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する請求項1から請求項5いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項7】
前記車載端末は、
当該車載端末の動的な情報である車両動的コンテクスト情報、または当該車載端末が搭載されている車両の静的な情報である車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報である車両コンテクスト情報を取得する車両コンテクスト情報取得部と、
前記車両コンテクスト情報を送信する車両コンテクスト情報送信部とをさらに具備し、
前記歩行者端末のコンテクスト情報取得部は、
前記車両動的コンテクスト情報を前記車載端末から受信する車両動的コンテクスト情報受信手段と、
前記車両静的コンテクスト情報を前記車載端末から受信する車両静的コンテクスト情報受信手段のうちの1以上の手段を具備し、
前記歩行者端末は、
前記コンテクスト情報取得部が受信した前記車両動的コンテクスト情報または前記車両静的コンテクスト情報に基づく情報である車両情報を出力する車両情報出力部をさらに具備する請求項1から請求項6いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項8】
前記歩行者端末情報送信部は、
前記コンテクスト情報取得部が前記車両動的コンテクスト情報または前記車両静的コンテクスト情報を受信したことをトリガにして、前記危険度に応じて歩行者端末情報を送信する請求項7記載の歩車間通信システム。
【請求項9】
前記危険度取得部は、
前記コンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者端末を保持している歩行者の将来の行動を示す情報である予測行動情報を取得する歩行者行動予測手段と、
前記歩行者行動予測手段が取得した予測行動情報を用いて、当該歩行者と車両とが衝突する危険の度合いである危険度を取得する危険度取得手段と、
上記記載の危険度取得手段が取得した危険度に応じた通信優先度を決定する通信優先度決定手段とを具備し、
前記通信制御部は、
前記通信優先度に応じて、前記歩行者端末情報を送信するか否か、または前記歩行者端末情報の送信方法を変更することを、前記歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う請求項1から請求項8いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項10】
前記歩行者端末は、
前記危険判定情報格納部、および前記危険度取得部に代えて、
外部の装置から前記歩行者の危険度を受信する危険度受信部を具備する請求項1から請求項9いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項11】
前記歩行者端末は、
他の歩行者端末からの危険度を受信する他危険度受信部と、
前記他危険度受信部が受信した他の歩行者端末の危険度と前記危険度取得部が取得した自身の危険度とを比較する危険度比較部をさらに具備し、
前記通信制御部は、
前記危険度比較部が他の歩行者端末の危険度が自身の危険度よりも高いと判断した場合は、前記歩行者端末情報を送信しないように前記歩行者端末情報送信部に指示する請求項1から請求項10いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項12】
前記歩行者端末は、
携帯電話に装着され、
前記コンテクスト情報取得部は、
自歩行者動的コンテクスト、または自歩行者静的コンテクスト情報のうちの一部または全部の情報を前記携帯電話から取得する請求項1から請求項11いずれか記載の歩車間通信システム。
【請求項13】
請求項1から請求項12いずれか記載の歩車間通信システムを構成する歩行者端末。
【請求項14】
請求項1から請求項12いずれか記載の歩車間通信システムを構成する車載端末。
【請求項15】
歩行者が保持している歩行者端末の動的な情報である自歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末を保持する歩行者の静的な情報である自歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の1以上の歩行者端末の動的な情報である1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の歩行者端末を保持する1以上の歩行者の静的な情報である1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末の動的な情報である1以上の車両動的コンテクスト情報、または当該歩行者端末の周辺の1以上の車両の静的な情報である1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得部と、
前記コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信部と、
前記歩行者と車両とが衝突する危険の度合いを示す情報、または前記歩行者が車両と衝突する可能性があるほど危険であるか否かを示す情報である危険度を判定するための情報であり、前記コンテクスト情報を用いた情報である危険判定情報を格納し得る危険判定情報格納部と、
前記コンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する危険度取得部と、
前記危険度に応じて、前記歩行者端末情報を送信するか否か、または前記歩行者端末情報の送信方法を変更することを、前記歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う通信制御部とを具備する歩行者端末。
【請求項16】
歩行者が保持している歩行者端末の動的な情報である自歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末を保持する歩行者の静的な情報である自歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の1以上の歩行者端末の動的な情報である1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の歩行者端末を保持する1以上の歩行者の静的な情報である1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末の動的な情報である1以上の車両動的コンテクスト情報、または当該歩行者端末の周辺の1以上の車両の静的な情報である1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得部と、
前記コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信部と、
外部の装置から前記歩行者の危険度を受信する危険度受信部と、
前記危険度に応じて、前記歩行者端末情報を送信するか否か、または前記歩行者端末情報の送信方法を変更することを、前記歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う通信制御部とを具備する歩行者端末。
【請求項17】
コンテクスト情報取得部、歩行者端末情報送信部、危険度取得部、および通信制御部により実現され得る通信制御方法であって、
記憶媒体に、
前記歩行者と車両とが衝突する危険の度合いを示す情報、または前記歩行者が車両と衝突する可能性があるほど危険であるか否かを示す情報である危険度を判定するための情報であり、前記コンテクスト情報を用いた情報である危険判定情報を格納しており、
前記コンテクスト情報取得部が、歩行者が保持している歩行者端末の動的な情報である自歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末を保持する歩行者の静的な情報である自歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の1以上の歩行者端末の動的な情報である1以上の他歩行者動的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の他の歩行者端末を保持する1以上の歩行者の静的な情報である1以上の他歩行者静的コンテクスト情報、当該歩行者端末の周辺の1以上の車両に搭載された車載端末の動的な情報である1以上の車両動的コンテクスト情報、または当該歩行者端末の周辺の1以上の車両の静的な情報である1以上の車両静的コンテクスト情報のうちの1以上の情報であるコンテクスト情報を取得するコンテクスト情報取得ステップと、
前記歩行者端末情報送信部が、前記コンテクスト情報が有する少なくとも一部の情報である歩行者端末情報を送信する歩行者端末情報送信ステップと、
前記危険度取得部が、前記コンテクスト情報を前記危険判定情報に適用し、前記歩行者の危険度を取得する危険度取得ステップと、
前記通信制御部が、前記危険度に応じて、前記歩行者端末情報を送信するか否か、または前記歩行者端末情報の送信方法を変更することを、前記歩行者端末情報送信部に指示し、通信制御を行う通信制御ステップとを具備する通信制御方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図2】
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【図22】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−253403(P2011−253403A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127547(P2010−127547)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】