説明

歯の漂白用の組成物および方法

歯科用漂白混合物は金属イオン触媒、アルカリ性pH増加化合物、1パーセントから15パーセント濃度の過酸化物を含んだ過酸化物溶液から形成される。金属イオンをアルカリ成分中に含んだ錠剤と過酸化物洗浄の組み合わせにより、歯の表面を漂白する泡状の歯科用混合物を形成する。錠剤はまた、ゲルまたは溶液の形態にもなりえる。歯の漂白プロセスは選択波長範囲を生成する発光装置を用いることによって加速する。発光装置は光学特性を持ったポリマーでできた歯列受け領域をもっているデンタルトレー中に組み込むこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、引用によりここに組み入れられる2003年9月3日に出願された仮出願シリアル番号第60/499,692号、2003年8月29日に出願された仮出願シリアル番号第60/498,890号、および2003年9月23日に出願された仮出願シリアル番号第60/505,196号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は歯の表面を処理する光活性化歯科用混合物と発光デンタルトレーに関するものである。特に、歯の漂白混合物のような歯科用混合物を、処理される歯の表面に隣接して歯科用混合物を保持する容器を有する発光デンタルトレーと組み合わせて使用するよう考案されている。
【背景技術】
【0003】
歯は本来、純白ではないか、喫煙や食物摂取で変色してしまっているが、昨今、ますます、歯を白くすることが普及してきている。過去においては歯を白くするために、歯にキャップを被せるか、化粧仕上げを施したが、両方とも高価であり、また、歯科的処置を伴った。最近は、以前のような高価な歯科的処置にたよることなく、歯の化学的漂白法により歯を白くすることができるようになった。
【0004】
初期の方法では、歯を白くして欲しい人は、従来の歯科医の漂白技術を利用しなくてはならなかった。これらの技術は一般には、歯の上に過酸化物溶液を塗り、神経過敏な軟組織をラバーダムで結紮して保護し、該溶液に熱や光を当てる方法がとられた。残念ながら、歯科医の方法で用いられる光は高出力高圧なので、歯を乾燥させ術後により一層神経過敏になる。その上、大幅な色の変化には、普通、何度も予約を取る必要があるので、歯科医での処置は一般にきわめて時間がかかる。また、何度も歯科医にかかる必要があるため高価な処置となる。専門家の手になる歯の漂白には費用と諸々の問題があるにもかかわらず、これらの専門家による方法は、主に歯の頬側表面だけを漂白することに関心が寄せられる。
【0005】
このように複数回歯科医を訪れる時間とそれに伴う費用負担から、歯科業界では在宅での歯漂白製品と方法への関心が増してきている。初期の在宅手法の一つは、専門家の手による患者の歯のアルギン酸塩印象を作り、該印象の鋳型を作り、鋳型からトレーを真空成型し、歯肉部にかからないように印象をトリミングする。この初期の家庭用装置と方法を用いて、患者は漂白しようとしているそれぞれの歯のトレー部に漂白液を数滴落とし、漂白液を含んでいるトレーを口にいれ、余分な漂白液を吐き出すよう指示される。残念ながら、この装置と方法によると、患者は1〜2.5時間毎に漂白液を変え、また、食事の間はトレーを取り外さなければならない。結果として、この在宅の方法は高価で、時間がかかり、厄介で、指示通り行うことが難しいという面がある。
【0006】
この不便かつ高価な在宅方法の結果として、最近では、様々な漂白剤を織物や繊維片のような支持体へ埋め込み、患者が就寝時に歯に当てておくというようなより新しい在宅での方法が提案されている。
既知の在宅方法の一つでは、歯の漂白剤としてゲル泡中で様々な過酸化物を使用している。最も一般的な歯の漂白剤としては、10%カルバミド過酸化物(CO(NH2222)であり、これはウレア過酸化水素、過酸化水素カルバミド、パーハイドロール・ウリアとも呼ばれる。
【0007】
前記の在宅技術を使って有用な結果が得られている一方、それらの有効性は歯のエナメル質の着色の型や度合い、漂白剤の接触時間、漂白剤中の利用できる有効成分の量などの要素に大きく依存してきた。しかし有利な点は、実際の漂白処理に対して歯科医との時間的拘束が無いこと、専門的技術適用の必要がないことである。このように、在宅法の費用は従来の歯科医の漂白技術より大幅に少ない。
【0008】
残念ながら、これらの在宅法の改善にもかかわらず、在宅漂白製品と技術には問題点と限界が残っている。既知の在宅法でのきわめて不利な点は、これらの方法では長時間の装着すなわち長い接触時間が必要である点にある。長時間の接触が必要なので、装着の間、漂白剤を頻繁に交換、補給しなければならない。補給が必要な理由は、漂白剤が唾液により薄まったり飲み込まれたりして、デンタルトレー中の漂白剤の量が時間の経過とともに急速に減ってゆくためである。各種研究によれば、装着トレー中の漂白剤の量は1時間後には当初の1/2以下に減っていることが知られている。したがって、これらの使用方法と長い接触時間が必要なことから、既存の漂白剤は、その効果を発揮させるためにほとんど毎時間補給する必要がある。
【0009】
漂白剤を絶えず交換する不便さと長時間の接触が必要であるため、患者にとっては指示を守ることが難しく、したがって、在宅法は専門家である歯医者の漂白技術のように成功レベルまで達していない。
【0010】
現在の在宅漂白混合物と方法に関する更なる問題としては、所望の結果を得るのにしばしば数週間かかることである。方法によってはより短時間で白くなることもあるが、在宅漂白で目覚ましい結果を得るには4〜6週間必要となる。この治療期間が長いことと指示を守りにくいという問題が、現在の在宅混合物と方法のすべてとはいえないまでも多くに不満足な結果をもたらしている。
【0011】
したがって、技術的に必要とされるものが、患者が指示を守りやすく、より高い満足度が得られるものであって、歯表面がより早く、より高い効率の治療法にとって改善された混合物と方法であることは、評価されるべきものである。更に、患者が指示を守りやすいよう、連続的に交換する必要のない歯の表面処理のための歯科用漂白混合物の作用を早めることは、技術的な大幅な利点であろう。
よって、複雑でなく、時間のかからない、高価でない装置で着色した歯を漂白したり、歯の黄ばみを防止したりする歯の漂白方法が求められる。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
第一の実施態様として、本発明に従って、金属イオン触媒とアルカリ性のpH増加化合物を含んでいる錠剤を患者に噛んでもらい、次に1〜15%濃度の過酸化物をもつ過酸化物成分で歯をすすぐ。アルカリ成分内に金属イオンを持つ錠剤と過酸化物洗浄との組み合わせにより、均一な泡状の歯科用混合物を形成し、患者の歯の表面すべてを十分に白くする。患者の歯を白くする課程は、発光装置を用いて選択波長範囲を生成し、歯科用混合物内の金属イオン触媒を活性化することによって口内で過酸化物の分解を助けて促進させる。発光装置は、漂白成分を捉え歯の表面に保持するデンタルトレーに内蔵することができる。
【0013】
また、更なる実施態様として、発明に従って、選択過酸化物と選択遷移金属イオン、たとえば、イオン化された銀、亜鉛、マンガンなどからなるゲル溶液を患者の歯の表面に噴霧する。噴霧された溶液は追加の低濃度過酸化物、たとえば、過酸化水素や過酸化カルバミドまたは過酸化カルシウムで洗浄される。追加の過酸化物は従来のデンタルトレーを用いて、あるいは単に口腔を低濃度溶液ですすぐことで歯に塗ることができる。デンタルトレーには、更に、歯科用混合物内の金属イオンを活性化させる選択波長の光源を内蔵することができる。上記噴霧液のpHはアルカリ性剤で6〜8あるいはそれ以上に調整され、それにより過酸化物の分解が早まる。光源は口腔内に2分〜20分間向けられる。選択光源は感光金属イオンを活性化し、さらに熱を発生させ、過酸化物の分解を早やめ、それにより、漂白効果を早める。
【0014】
光源は従来のデンタルトレーに埋め込んでもよく、デンタルトレーはさらに上記の歯科用混合物を封じ込めることができ、患者は所望の期間口の中に漂白成分を保持できることは、発明の範囲内で意図されている。
他の実施態様での光源では、発光ダイオードや、従来の青色、青緑色、琥珀色、あるいは白色の小型電球を使用している。そのような小型電球や発光ダイオード照明により生じた温度は、歯科用混合物の温度を上昇させる。温度が上昇すると、摂氏10度上がるごとに過酸化物の分解を約2.4倍高める。本発明による光源は、電池を電源とするもので、光源つきデンタルトレーの操作に手元が自由となる。本発明による光源は、低電圧、低強度システムで処理面が光源に近いので効率がよい。他の電源、たとえば交流壁面コンセント等を使用してもよいと想定されている。
【0015】
さらに他の実施態様では、デンタルトレーは、光ファイバー伝達手段として作用する光伝達ポリマーから作られており、光源は歯の前面、側面、背面を漂白するデンタルトレーの実質的に全表面から放射される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここに本発明の詳細な実施態様を開示するが、開示された実施態様は単に本発明の典型例であって、さまざまな形式で実施可能なものである。したがって、ここに述べる特定の機能は、制限事項として解釈されるべきではなく、単に、特許請求の範囲に対する基礎として、また、本発明を実質的に何らかの適切な具体的実施法でさまざまに採用する際の当業者に教示する代表的な基礎として解釈されるべきものである。
【0017】
本発明にしたがって、歯の漂白特性を有する歯科用漂白混合物が開示されている。第1の実施態様では、歯科用漂白混合物は第一ゲル、第二ゲルから作られる。本発明によって、第一ゲルは、1〜15質量%の過酸化物を有する過酸化物である。本発明によって、過酸化物ゲル成分は、3gのゲル化パウダー:マイクロポア ゲル粉末 カリフォルニア州サンジェゴ バイオサーブ社製(Micropore Gel powder, Bioserve, San Diego, California) を97gの脱イオン水と混合して生成する。ゲル化パウダーは、透明な流動性ゲルが形成されるまで30分間、脱イオン水と混合する。
【0018】
次に、流動性ゲルは10.98gの50%過酸化水素溶液と混合し、15分間ゆっくりかき回す。この最初の実施態様では、デグサ社製パーアルカリ(Degussa Manufacturing, Peralkali)50%過酸化水素溶液が使用された。 業界で知られているその他の過酸化物、たとえば、過酸化カルバミド、過酸化カリウム、過酸化カルシウムなども使用可能である。
混合物のpH値が3.5になるまでクエン酸緩衝剤を加える。2gの乾燥香味料を加え、緩衝ゲル成分を作る。生成された緩衝過酸化物ゲルは、24時間後、pH5で安定する。
【0019】
第二のゲルは、マイクロポアゲル粉末3gを97gの脱イオン水と混合して得られた促進ゲルである。この混合物は、透明な流動性ゲルが得られるまで1.5時間撹拌される。流動性ゲルは3.2gの銀イオン溶液(500ppm)と混ぜられる。10.40gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩:イリノイ州バッファローグローブ所在のアンガスカンパニー製(Angus Chemical Company, Buffalo Grove, Illinois)を1gの水に加え、緩衝液を作る。この緩衝液を脱イオンゲル溶液に加え、促進ゲルを作る。この促進ゲルは過酸化物ゲルと一緒に使用するまで、不透明な容器に保存する。
【0020】
漂白混合物は、過酸化物ゲルを促進ゲルとともに本発明のデンタルトレーに塗り生成する。組合わされたゲルは本発明のデンタルトレー内で、選択光源により活性化され漂白成分を形成する。
【0021】
他の実施態様では、金属イオン触媒とアルカリ成分を持った金属イオン促進剤が錠剤の形で供給される。本発明に従って過酸化物ゲル成分を適用後、患者は促進錠剤を噛む。本発明による触媒として、イオン化された銀、亜鉛、マンガンなどの遷移金属イオンも使用できる。感光性のあるもの、あるいは光に強く反応するその他のイオンも使用できるよう意図されている。漂白成分のpH値を上げるために、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩などのようなアルカリ性化合物を使用してもよい。この更なる実施態様では、錠剤は75質量%の脱イオン水、21質量%のイオン化された銀、4質量%のトリスアミン、香味料からなっている。
【0022】
別の実施態様では、口腔洗浄剤としてゲルではなく、1%から15%の過酸化水素を含む過酸化物溶液も使用できる。業界で知られているその他の過酸化物、例えば過酸化カルバミド、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、なども使用できるように意図されている。金属イオンのアルカリ錠剤と過酸化物洗浄を組み合わせると、患者の口腔内で泡状の歯科用混合物を形成する。この歯科用混合物が患者の歯の表面を漂白する。
【0023】
また別の実施態様によれば、活性化歯科用漂白混合物は二種の溶液から生成しうる。第一の溶液は、1%〜15%の過酸化水素に選択された香味料を含んでいる。第一溶液にはまた、溶液に所望の色を与える顔料や染料などの着色料を含むことができるということも、本発明の範囲に含まれている。
【0024】
第二溶液は、10ppmから1000ppmの銀イオンを有する活性化銀イオン溶液を含んでいる。ある実施態様では、第二溶液は100gの脱イオン水に125ppmの銀イオンが含まれている。第二溶液では、10.32gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩を1gの水に加えpH値約10の緩衝液を形成し、添加して緩衝処理する。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩のような緩衝剤を第二溶液中濃度が1質量%から15質量%で使用できることは発明の範囲内に含まれている。この緩衝溶液は銀イオン溶液に、2gの乾燥香味料とともに添加される。発明にしたがって、過酸化物を含んだ第一溶液と銀イオンを含んだ第二溶液を患者の歯の上に規定量をスプレーにより患者の歯に塗布する。これらの溶液が単独で、あるいは発明にしたがって、過酸化物ゲルと促進ゲルとを一緒に使用しうることも発明の範囲内に意図されている。さらに、これらの溶液とゲルは、本発明による促進錠剤と一緒に使用することも意図されている。
【0025】
歯科用漂白混合物中の感光性金属イオンに特異の選択波長をもった光源は、使用されている過酸化物の分解を増大させることにより歯科用漂白混合物を活性化するのに使用できる。この分解により、漂白効果の促進と接触時間の大幅な減少が可能になる。発明にしたがって、電球または青色、青緑色、琥珀色、あるいは白色光をつくる波長を生成する発光ダイオードは、光イオンを活性化するのに使用できる。所望の選択光波長は、電球または選択された発光ダイオードによって、または、所望の波長範囲を選ぶ事ができる光波長フィルターの使用により生成できるということは、発明の範囲内で意図されている。
【0026】
第一の実施例では、発光ダイオード(日亜化学工業製 部品番号NSPB310a)を使用、430nmから約490nm範囲の波長を生成する。この実施例で使用した発行ダイオードは下記の仕様を持っている。色度座標(x,y)0.130から0.75、光度(mcd)3900、順電圧3.5V最大4.0V、方向特性30度サイズ3.0mm
【0027】
図1を参照すると、患者の歯磨きなどを含む歯の漂白手順により、歯科用漂白混合物を使用する(ステップ110)。歯科用漂白混合物は、過酸化物ゲルと、活性ゲル化剤を形成している促進ゲルから作られている(ステップ112)。次に、活性ゲル剤は歯の上に被覆され、患者が口の中にデンタルトレーを入れる前に、トレーの歯列受け領域に追加され、歯の表面をデンタルトレーに埋め込まれた光源で照射する(ステップ114)。光源は被覆した歯を約2分間照射する(ステップ116)。照射後、患者は口で活性化されたゲル混合剤をぶくぶくする(ステップ118)。患者の歯を磨く(ステップ120)。
【0028】
図2を参照すると、患者の歯磨きなどを含む歯漂白手順により、歯科用漂白混合物を使用し(ステップ201)、患者の歯の表面に過酸化物ゲルを配置する(ステップ202)。患者は次に漂白成分を形成している白色化錠剤を噛む(ステップ203)。次に、患者はデンタルトレーの歯列受け領域に過酸化物ゲルを置きその上に促進ゲルを置く(ステップ204)。その結果できた漂白成分を2分間以上照射する(ステップ205)。照射された成分は、口腔内で所望の時間ぶくぶくする(ステップ206)。口腔をすすぎ、患者は歯を磨く(ステップ207)。
【0029】
発明にしたがって、光源はデンタルトレー300中に埋め込むか、デンタルトレー300と光学的な結合を行う。図3、図4に示すごとく、デンタルトレー300は歯列受け領域304をもつ底部剛体トレー302を持っている。歯列受け領域304は歯列矯正ワイヤや患者の歯の湾曲の形に作られている。歯列受け領域304は、歯の両側にゲルや洗浄剤が入るようゆるく適合するようにできている。
【0030】
底部剛体トレー302は硬いポリマー材でできている。歯列受け領域304は柔軟なポリマー材でできており、底部剛体トレー302に固定するよう取り付けられる。第一の実施態様では、歯列受け領域304は、底部剛体トレー302に取り付けられた光源の波長範囲に対し透明である柔軟なシリコーンから出来ている。歯列受け領域304は、選択された波長範囲に対し柔軟で半透明なポリマー材であればどのようなものからでも組み立てられるということが発明の範囲内で意図されている。さらに、歯列受け領域304を形成するポリマー成分は、歯列受け領域304が歯列受け領域304のすべての領域に対し光ファイバー束透過光として作用する光線透過特性を持つことも、発明の範囲内で意図されている。
【0031】
この第一の実施態様での底部剛体トレー302には、選択波長を持つ光を生成する少なくとも1つの発光ダイオード306が備わっている。第一の実施態様では、数個の発光ダイオード306が底部剛体トレー302に取り付けられているので、それらから放出された光は歯列受け領域304の湾曲の周囲に向けられる。集光光学系あるいはフィルター光学系が発光ダイオード306の発光部の前面に取り付けられ得ることは発明の範囲内で意図されている。これらの光学系は、放出光を向けたり放出光を所望の波長範囲にフィルター処理することができる。単一の発光ダイオードあるいは光源を、放出光を光源から歯列受け領域304内の所望の地点まで運ぶ光ファイバー束と光学的連結が取れる位置におくことも発明の範囲内で意図されている。
【0032】
発光ダイオード306は、それぞれの発光ダイオード306と電気的に接続されている電池パック308により電力供給されている。第一の実施態様の電池パック308は、標準9V電池である。充電可能な一つまたはそれ以上の電池が、使用されている発光ダイオード306やその他の光源に必要な電力仕様を生成するのに使用可能なことは、発明の範囲内で意図されている。また、発光ダイオード306は所望の電圧を供給できる変圧器を使って標準の家庭用電気により給電したり、充電器で充電して給電することも意図されている。発光ダイオード306の電気的接続は単極電気スイッチ310により制御され、使用者は発光ダイオード306電源の入り切りができる。第一の実施態様では、電気抵抗エレメント(図示せず)は電気回路に組み込まれており、デンタルトレーを37.8℃(100°F)に加温できる。電気スイッチ310にはさらにタイマー素子付でもよく、使用者は所望の操作時間を選択できることも発明の範囲内で意図されており、ある実施態様では事前設定操作時間を用いている。
【0033】
電池パック308、発光ダイオード306への電気的接続、および電気スイッチ310は、底部剛体トレー302に取り付けられている取り外し可能な蓋板312の使用により、使用される歯科用混合物と外部エレメントから防護されている。蓋板312は、ABS、ポリカーボネートなどのポリマー材でできている。底部剛体トレー302と蓋板312がさまざまな金属で製作できることは、発明の範囲内で意図されている。
【0034】
実施例では金属イオンを活性溶液、ゲル、あるいは錠剤の中で使用することが示されているが、金属イオン以外のイオンが漂白プロセス中に過酸化物の分解を促進させるために使用され得ることは当業者によって理解されうる。
【0035】
現在開示している光活性歯科用漂白混合物および光埋め込みトレーの原理、望ましい実施態様、および操作法は前述の明細書で述べられている。しかし、現在開示している光活性歯科用漂白混合物および光埋め込みトレーは、例示されている特定の実施態様に限定されると解釈されるべきではなく、これらの実施態様は制限事項としてではなく、顕著なものとしてみなされるべきものである。さらに、各種の変化や変更は、光活性歯科用漂白混合物および光埋め込みトレーならびに本稿で開示されたものや付帯請求項に列挙されたものの意図や範囲から逸脱することなく当業者によって成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明に従った具体例を示したフロー図である。
【図2】図2は本発明に従ったもう一つの具体例を示したフロー図である。
【図3】図3は本発明に従ったデンタルトレーの上から見た図である。
【図4】図4は本発明に従ったデンタルトレーの斜視図で、各部を分離したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の漂白方法において、感光性イオンを有するアルカリ成分を供給し、次いで漂白剤を供給し、アルカリ成分と漂白剤を混合して漂白成分を生成し、前記漂白成分を歯に適用し、さらに前記感光性イオンを励起させる選択波長範囲で漂白成分に照射する手順からなることを特徴とする歯の漂白方法。
【請求項2】
前記感光性イオンがイオン化された銀、イオン化された亜鉛、イオン化されたマンガンからなるグループから選択された金属イオンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ成分が炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩からなる群から選択されたアルカリ化合物から生成されたものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記漂白剤が過酸化物であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記過酸化物が過酸化カルバミド、過酸化カルシウム、過酸化カリウムおよび過酸化水素からなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記漂白成分を加熱する更なる手順からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記漂白成分が前記歯との接触時間をより長くする粘性の泡であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記励起感光イオンが前記漂白剤の分解に必要な時間を減少させることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記選択波長範囲が430nmから490nmであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記選択波長範囲が光源の放射により生成されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記選択波長範囲が光源のフィルターされた放射により生成されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記光源が発光ダイオードであることを特徴とする請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択波長範囲が前記歯のすべての露出面に及ぶことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
歯漂白用器具において、底板と蓋板、および前記底板に固定して取り付けられる歯列受け領域、および前記歯列受け領域に組み込まれ選択波長範囲を生成する発光装置からなることを特徴とする歯の漂白用器具。
【請求項15】
前記発光装置が少なくとも一つの発光ダイオードからなることを特徴とする請求項14記載の歯の漂白用器具。
【請求項16】
前記少なくとも一つの発光ダイオードが前記歯列受け領域と光学的な伝達手段を有していることを特徴とする請求項15記載の歯の漂白用器具。
【請求項17】
前記少なくとも一つの発光ダイオードが430nmから490nmの選択波長範囲で光を放射することを特徴とする請求項15記載の歯の漂白用器具。
【請求項18】
前記歯列受け領域が光透過成分から作られていることを特徴とする請求項15記載の歯の漂白用器具。
【請求項19】
前記発光装置が前記歯列受け領域の少なくとも一部に光を向けている光ファイバー束を備えた光学的な伝達手段からなることを特徴とする請求項14記載の歯の漂白用器具。
【請求項20】
前記選択波長範囲が光源の放射によって生成される前記歯列受け領域の少なくとも一部に光を向けていることを特徴とする請求項14記載の歯の歯の漂白用器具。
【請求項21】
前記選択波長範囲が、光源からの光をフィルターすることによって生成されることを特徴とする請求項14記載の歯の漂白用器具。
【請求項22】
前記選択波長範囲が前記歯のすべての露出面に及ぶことを特徴とする請求項14記載の歯の漂白用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503875(P2007−503875A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524834(P2006−524834)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027662
【国際公開番号】WO2005/023130
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(500464344)マイルストーン サイアンティフィック インク (2)
【Fターム(参考)】