説明

歯周病予防又は治療剤並びにそれを用いた歯ブラシ及びチューインガム

【課題】 歯周病予防又は治療効果が長期間に亘って得られる歯周病予防又は治療剤並びにそれを用いた歯ブラシ及びチューインガムを提供する。
【解決手段】 多孔質無機物質を壁材とする徐放性マイクロカプセル2中に、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体3が内包された歯周病予防又は治療剤1、当該歯周病予防又は治療剤1を配合した樹脂からなるブラシを使用した歯ブラシ、及び当該歯周病予防又は治療剤1が配合されたチューインガム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周病予防又は治療剤並びにそれを用いた歯ブラシ及びチューインガムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アロエは「医者いらず」と呼ばれ、茎肉や抽出液の形で食料品、化粧品等に利用されてきた。そのアロエの一種であるアメリカアロエは、養毛剤の主成分として使用されたことはあるが、その他の効用は知られていなかった。
一方、歯周病の治療は、患部である歯周ポケット(歯と歯茎との間の隙間)に抗菌剤や抗生物質の液剤又は軟膏剤を、医師、歯科医師等が患部に投与することによりなされている。こられの製剤は徐放性ではないため、患者は治療(投薬)を受けるために医師、歯科医師等のもとに出向かなければならないために不便であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、歯周病予防又は治療効果が長期間に亘って得られる歯周病予防又は治療剤並びにそれを用いた歯ブラシ及びチューインガムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意研究を行い、アメリカアロエ抽出液に歯周病予防又は治療効果があり、これを多孔質無機物質を壁材とするマイクロカプセル中に内包させることにより歯周病予防又は治療効果が長期間に亘って得られることを発見して本発明を完成させるに至った。本発明の歯周病予防又は治療剤は、多孔質無機物質を壁材とする徐放性マイクロカプセル中に、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体が内包されていることを特徴としている。多孔質無機物質を壁材とする徐放性マイクロカプセル中に、歯周病予防又は治療効果があるアメリカアロエ抽出液を主成分とする液体が内包されているので、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体が壁材に存在する無数の細孔を通して徐放され、長期間に亘って歯周病の予防又は医療効果を得ることができる。多孔質無機物質としては、シリカを使用することが好ましい。食品添加物に指定されているシリカを壁材として使用することにより、人体にとって安全な歯周病予防又は治療剤を得ることができる。
前記歯周病予防又は治療剤を配合した樹脂からなるブラシを利用して歯ブラシにすることができる。この歯ブラシを使用することにより、歯周病予防又は治療効果を長期間に亘って簡易に得ることができる。
前記歯周病予防又は治療剤は、チューインガムに配合することもできる。このチューインガムを噛むことにより、歯周病予防又は治療効果を長期間に亘って簡易に得ることができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の歯周病予防又は治療剤並びにそれを用いた歯ブラシ及びチューインガムによれば、多孔質無機物質を壁材とするマイクロカプセルから、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体が徐放されるので、歯周病予防又は治療効果を長期間に亘って得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、添付した図面に基づいて、本発明の歯周病予防又は治療効果の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る歯周病予防又は治療効果の断面説明図である。
本発明の歯周病予防又は治療剤1は、多孔質無機物質を壁材とする徐放性マイクロカプセル2中に、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体3が内包されている。
徐放性マイクロカプセル2の壁材として用いられる多孔質無機物質としては、多孔質の物質であれば特に制限なく使用することができる。その例としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のアルカリ土類金属ケイ酸塩、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化銅、酸化コバルト、酸化ニッケル等の金属酸化物等を挙げることができるが、これらの中でも食品添加物であり、人体に無害であるからシリカが好ましい。壁材としてシリカを使用することにより、人体にとって安全な歯周病予防又は治療剤を得ることができる。
【0007】
多孔質無機物質を壁材とする徐放性マイクロカプセル2中には、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体3が内包されている。アメリカアロエ抽出液は、アメリカアロエ(マグエ・アガヴェプラント)のアルコール抽出液のことをいう。この液体には、アメリカアロエ抽出液のほかに、医薬品、化粧品、食品等に使用される、例えば、アルコール、増粘剤、香料等を、アメリカアロエ抽出液の歯周病予防又は治療効果を損なわない範囲で使用してもよい。具体的には、エタノール、水素添加トリテルペン混合物、キダチアロエエキス、フェノキシエタノール、水等を使用することができる。
【0008】
徐放性マイクロカプセル2は、公知の製造方法、例えば、噴霧乾燥法(スプレードライヤー法)、噴霧冷却法(スプレークーリング法)、パンコーティグ法、特開平11−226422に記載された方法等に準じて製造することができる。これらの方法を用いて製造された徐放性マイクロカプセル2の平均粒子径は通常0.05〜10μmであり、比表面積は通常50〜800m/gである。また、真密度は通常2.0〜2.3g/cmであり、かさ密度は通常0.03〜0.6g/cmである。また、マイクロカプセル表面の細孔径は、通常20〜600オングストロームである。徐放性マイクロカプセル2中には通常25〜35重量%のアメリカアロエ抽出液を主成分とする液体3が内包される。
【0009】
本発明の歯周病予防又は治療剤1は、多孔質無機物質を壁材とする徐放性マイクロカプセル2中に、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体3が内包されており、徐放性マイクロカプセル2に存在する無数の細孔から、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体3が徐放されるので、歯周病予防又は治療効果を長期間に亘って得ることができる。
【0010】
本発明の歯周病予防又は治療剤1を配合した樹脂でブラシの毛を作製し、これを歯ブラシのブラシとして利用することができる。この歯ブラシで歯を磨くと、ブラシからアメリカアロエ抽出液を主成分とする液体が徐放されて歯茎に浸透し、歯周病予防又は治療効果を長期間に亘って簡易に得ることができる。
本発明の歯周病予防又は治療剤1を配合する樹脂としては、歯ブラシの毛として用いることができるものを特に制限することなく用いることができる。その例としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等を挙げることができる。本発明の歯周病予防又は治療剤の配合量は、通常、樹脂100重量部当たり0.3〜0.5重量部である。
歯ブラシの毛は、樹脂と本発明の歯周病予防又は治療剤とを混合したものを、例えば、射出成形することによって得ることができる。この毛を歯ブラシのブラシ部に植毛して歯ブラシを得る。
この歯ブラシを1日3回毎食後に使用しても、約1ヶ月間歯周病予防又は治療効果が持続する。
【0011】
前記歯周病予防又は治療剤1は、チューインガムに配合することもできる。このチューインガムを噛むことにより、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体3が徐放され、歯周病予防又は治療効果を長期間に亘って簡易に得ることができる。本発明の歯周病予防又は治療剤1を香料等とともにガムベースと混合し、通常のチューインガムの製造工程により、本発明の歯周病予防又は治療剤1を配合したチューインガムを製造することができる。
【実施例】
【0012】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
特開平11−226422に記載された方法に準じた方法により、前記液体を30重量%内包した、粒径が約0.1μm、比表面積が60〜70m/g、真密度が2.1g/cm、かさ密度が0.05g/cmである、壁材がシリカの徐放性マイクロカプセルを得た。
(実験例1)
上記実施例1で得られた徐放性マイクロカプセルを612ナイロン(デュポン社製ザイテル(登録商標)品番:158NC010)1kg当たり3g混合し、射出成形して得た毛をブラシ部に植毛して歯ブラシを得た。この歯ブラシを歯茎に発赤・膨張のある患者10人に渡し、1日1回ずつ1ヶ月間使用してもらったところ、ほとんどの人に炎症の減少や消滅が観察された。使用感についても、従来の歯ブラシと比較しても違和感がないという回答が多かった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の歯周病予防又は治療剤の一実施形態の断面説明図である。
【符号の説明】
【0014】
1 歯周病予防又は治療剤
2 徐放性マイクロカプセル
3 アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質無機物質を壁材とする徐放性マイクロカプセル中に、アメリカアロエ抽出液を主成分とする液体が内包されていることを特徴とする歯周病予防又は治療剤。
【請求項2】
前記多孔質無機物質がシリカである請求項1に記載の歯周病予防又は治療剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の歯周病予防又は治療剤を配合した樹脂からなるブラシを使用したことを特徴とする歯ブラシ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の歯周病予防又は治療剤が配合されたことを特徴とするチューインガム。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−232780(P2006−232780A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53017(P2005−53017)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(505073026)アムセルラン・再生有限会社 (1)
【Fターム(参考)】