歯科治療椅子
【課題】
高齢者や足腰が不自由で自力で起立することが困難な患者でも容易に歯科治療椅子に起立および着座することができる歯科治療椅子を提供する。
【解決手段】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能に構成された歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該歯科治療椅子の昇降部の上昇に連動して該パッド部が斜め上方へ移動、及び/または、該歯科治療椅子の昇降部の下降に連動して該パッド部が斜め下方へ移動する。
高齢者や足腰が不自由で自力で起立することが困難な患者でも容易に歯科治療椅子に起立および着座することができる歯科治療椅子を提供する。
【解決手段】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能に構成された歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該歯科治療椅子の昇降部の上昇に連動して該パッド部が斜め上方へ移動、及び/または、該歯科治療椅子の昇降部の下降に連動して該パッド部が斜め下方へ移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療椅子における患者の起立補助および着座補助に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者や足腰が不自由で自力で起立することが困難な患者が歯科治療を受ける際に歯科治療椅子に乗り降りするための起立補助装置がある。
特許文献1では、要介助者の身体を支えるパッド部と、該パッド部を斜め上方に移動させるパッド部移動機構とを備える起立補助装置において、前記起立補助装置には、前記パッド部を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構が備えられており、要介助者の腹部を圧迫せずに要介助者の胸部をパッド部に傾けているだけで要介助者の身体を支持し、介助者にかかる負担を軽減することができる。
特許文献2では、歯科治療椅子と、該歯科治療椅子の一方の側部に配設された給排水ボックスとを有し、該給排水ボックスの前方上部位置から同手前下部位置まで移動可能な手摺部材を有し、該手摺部材は伸縮可能又は折り畳み式であって、前記給排水ボックス内に収納可能である歯科治療ユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−187856号公報
【特許文献2】特許第3816040号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の起立補助装置は、要介助者の衣服を着替えさせるために起立させ、なおかつ起立状態を維持させるものであり、起立した要介助者を椅子から退出させるものではない。また装置が大掛かりであり歯科治療椅子に搭載することができない。
特許文献2の歯科治療ユニットは給排水ボックスの大きさで手摺部材の可動範囲が限定されてしまい、患者の体型にあった手摺部材の移動が行えず、容易に患者を起立させることができない。さらに該手摺部材の形状が棒状であり、患者は該手摺部材を握らなければならず、把持機能やピンチ機能の低下がみられる患者やリウマチ患者には対応できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の歯科治療椅子は背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能に構成された歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該歯科治療椅子の昇降部の上昇に連動して該パッド部が斜め上方へ移動、及び/または、該歯科治療椅子の昇降部の下降に連動して該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の歯科治療椅子は前記パッド昇降部先端に前記パッド支持部を回動可能にする回転機構部を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の歯科治療椅子の座部は、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることにより前傾させること、及び/または、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトダウンすることにより、該座部がリフトアップした状態から初期位置まで戻ることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の歯科治療椅子の前記パッド支持部は、前記パッド昇降部に該パッド支持部の長手方向の左右いずれか一方が片持ち支持されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の歯科治療椅子の前記パッド部は患者の腕および/または胸部で体を支えられるよう、断面形状が四角形もしくは多角形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の歯科治療椅子は前記パッド部に加わる荷重を検知する荷重検知手段を前記パッド支持部に設け、該荷重検知手段により検知された荷重に基づき、患者の体重が該パッド部に加わったか否かを判定するパッド駆動判定手段を設け、該パッド駆動判定手段により該歯科治療椅子の昇降部及び該パッド部の昇降移動を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の歯科治療椅子の前記パッド駆動判定手段は、前記荷重検知手段により前記パッド部に加わる荷重がある閾値以上で一定時間以上連続して検知された場合に、患者の体重が該パッド部に加わったと判定することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の歯科治療椅子は、前記歯科治療椅子の昇降部および前記パッド部が上昇した状態において、患者を該歯科治療椅子に導入することにより着座補助を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の歯科治療椅子は、前記歯科治療椅子の昇降部の移動距離と前記パッド部の移動距離とが患者の体型にあわせて夫々設定できる設定手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の歯科治療椅子の起立および着座補助装置は、所望の位置に着脱可能な固定手段を設けるとともに、信号入出力可能なインターフェイス手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の歯科治療椅子は、背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることによる該座部の前傾駆動と連動して、該パッド部が斜め上方へ移動することを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の歯科治療椅子は、背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備えた起立および着座補助装置を設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いてリフトダウンすることにより、該座部の後端側がリフトアップした状態から初期位置まで戻す駆動と連動して、該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述したように、本発明によれば、患者が起立動作を行う際にパッド部に患者の体重が加わることで、歯科治療椅子の昇降部の上昇と連動してパッド部が斜め上方へ移動し、さらに座部の後端側をリフトアップさせることで、身体の体重心の位置が比較的高い位置になり、立位になるためのエネルギーの増加分が少なくすむため、高齢者や足腰が不自由で自力で起立することが困難な患者でも容易に歯科治療椅子から立ち上がることができる。
また、着座支援を行う場合には、まず患者の体型にあった位置に歯科治療椅子の昇降部とパッド部を上昇させてから、患者を導入し、患者の着座動作を行う際にパッド部に患者の体重が加わることで、歯科治療椅子の昇降部の下降と連動して該パッド部を斜め下方に移動させることで、高齢者や足腰が不自由で自力で着座することが困難な患者でも容易に該歯科治療椅子に座ることができる。
さらに、さまざまな体型や症状の患者においても、容易に起立補助および着座補助を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の歯科治療椅子を用いた一例を示す図である。
【図2】同歯科治療椅子を用いた患者の起立状態を示す図である。
【図3】パッド部の正面図である。
【図4】パッド駆動機構部の動作機構を表す筐体断面図である。
【図5】患者導入および退出時の歯科治療椅子とパッド部との位置関係を表す上面図である。
【図6】起立および着座補助装置を用いて患者の起立及び着座を行わせる時の歯科治療椅子とパッド部との位置関係を表す上面図である。
【図7】歯科治療椅子の昇降部およびパッド部の上昇駆動させる処理内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の歯科治療椅子における他の実施形態を示す図である。
【図9】患者の体型入力内容を示すフローチャートである。
【図10】歯科治療椅子の昇降部およびパッド部の下降駆動させる処理内容を示すフローチャートである。
【図11】着座補助を行う患者導入時の歯科治療椅子とパッド部との位置関係を表す側面図である。
【図12】本発明の歯科治療椅子における他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の歯科治療椅子1としての一例であり、該歯科治療椅子1に起立および着座補助装置2を設け、患者3の起立を補助するものである。
該歯科治療椅子1は座部と、該座部の後部に起倒可能に連結された背板と、該背板上方に設けられたヘッドレストと、該座部の前部に設けられたレッグレストと、該歯科治療椅子1を上下移動可能にする昇降部18とで構成されている。さらに図5および図6に示すように該歯科治療椅子1の左側方に設置されているスピットン部15の近傍に該起立および着座補助装置2を設けている。該起立および着座補助装置2は患者3が両腕および/または胸部を安定した状態で置けるよう断面形状が四角形もしくは多角形のパッド部8と、図3、図4に示すように、該パッド部8の下側の長手方向に沿ってパッド支持部9を設け、該パッド支持部9は一方のみが延長され、延長された該パッド支持部9を回動可能にする回転機構部12を該パッド支持部9の先端に設置し、さらに該回転機構部12の下方には該パッド部8を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部であるアクチュエータ11とパッド昇降部10とを設けている。また、該起立および着座補助装置2は固定手段であるボルト17により該歯科治療椅子1のベース部分に固定されている。なお、固定方法は上記に限定されることなく、また固定位置に関しても、該歯科治療椅子1のベース部分に固定する以外に床面やスピットン部15に固定することも可能である。
【0021】
つまり、前記起立および着座補助装置2の前記パッド支持部9は長手方向側の一方に片持ちになっており、さらに前記回転機構部12を設けることで、該パッド支持部9に設置されている該パッド部8が水平方向に90度ないし180度に回転可能であり、患者3の導入・退出の補助を歯科治療椅子1の前方から容易に行えるよう構成されている。さらに該パッド部8を利用して患者3を起立および着座補助している間に不用意に該パッド部8が回転しないよう該回転機構部12に図示しないロック機構を設け、さらにリミットスイッチも設けている。なお、本実施例では起立および着座補助装置2はスピットン部15の近傍、すなわち患者が歯科治療椅子に着座している状態における患者の左側に設置したが、これに限定されることなく、図示しないが着座している患者の右側に設置してもよい。さらに、該パッド部8は水平方向に回転可能であるほか、患者導入・退出の妨げにならない方向へ移動することも可能である。
【0022】
また、前記回転機構部12近傍の前記パッド支持部9の内部には図示しないが、ひずみを検知するためのストレインゲージが貼られ、そのひずみ量から荷重に換算して患者の荷重を検知する荷重検知手段を設けている。さらに患者が起立動作を行う際に患者の体重が該パッド部に加わったか否かを判定するパッド駆動判定手段を設けている。なお、荷重検知手段はパッド支持部9内部に限定されることなく、ひずみが検知可能な箇所であれば、該パッド支持部9の側面であってもよい。
【0023】
患者3の起立補助を行う場合には、図6に示すように前記パッド部8を患者3の前方に配置させる。患者3は起立動作を行う際に該パッド部8に腕および/または胸部で体重をかけることで、前記パッド支持部9内に設けた荷重検出手段が荷重を検知し、ある閾値以上、ここでは10Kg以上の荷重が3秒以上連続で該パッド部8に加わっていることを前記パッド駆動判定手段により検知された場合、患者3の体重が該パッド部8に加わったと判定される。この判定結果を受けて、前記歯科治療椅子1の昇降部18を上昇させ、該歯科治療椅子1の上昇スピードにあわせて適切なスピードで筐体13内に設置されたステッピングモータ14がカップリング16を介してねじと連結され、ステッピングモータ14を回転させることによりパッド駆動機構部であるアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が上昇することで、該パッド部8を斜め上方に最大250mmまで移動させることができる。図2では患者3の身長を1700mmとし、該パッド部8の設定停止位置を最大の250mm上昇させた位置とした。なお、設定停止位置は患者の身長に対応させて設定することが可能であり、図示しない入力手段により例えば、身長が1500mmの場合の設定停止位置は150mm、身長が1600mmの場合の設定停止位置は200mm、身長が1700mmの場合の設定停止位置は250mmのように3段階にわけ、患者の身長に適した設定停止位置のスイッチ(入力手段)を選択することで該パッド部の停止位置を決定することができる。また、ステッピングモータのスピードを可変させ、該パッド部の昇降をスローアップ・ダウンさせることで患者にあわせた速度で起立を補助することができる。なお、荷重検知手段はストレインゲージの他に、該パッド支持部のひずみを検知できるものであれば上記に限定されることはない。
【0024】
図7は、前記起立および着座補助装置2および前記歯科治療椅子1の起立補助フローチャートである。
ステップS1において、前記パッド部8が該歯科治療椅子1に着座している患者3の前方の所定位置に配置されたかを前記回転機構部12に設けたロック機構部にあるリミットスイッチからの信号によって判定し、患者3前方の所定位置にあると判定された場合はステップS2に移行する。ステップS2において、前記荷重検知手段からの荷重がある閾値以上加わっているか否かを判定する。この判定において、10Kg以上の荷重が加わったと判定された場合、ステップS3に移行し、10Kg以上の荷重が一定時間である3秒以上連続で検知された場合、該パッド部8に患者3の体重が加わり、患者3が起立動作を行う準備ができたと判定され、ステップS4において該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8との上昇駆動を指示する。さらにステップS5において図示しない入力手段にて入力された設定停止位置に到達したかを判定し、該設定停止位置に到達した場合、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の停止を指示する。なお、ステップS1において、該パッド部8が患者3の前方の所定位置にない場合、またはステップS2において、設定荷重である10Kg以上に満たない場合、またはステップS3において、荷重が10Kg以上を満たしていても3秒以上連続で荷重を検知できない場合、ステップS5において、該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8とが設定停止位置まで到達していない場合にはステップS1に移行し上記の処理を繰り返す。
【0025】
以上のように、患者3が起立動作を行う際に確実に前記パッド部8に力が加わったかを判定したうえで歯科治療椅子1の昇降部18の上昇と連動させて、該パッド部8を斜め上方に移動させ、設定停止位置で停止するようにしている。
また、該荷重検知手段を設けることで、起立および着座補助装置2の上昇中に患者3がパッド部8からずり落ちた場合、一定荷重を満たさないと判定され、歯科治療椅子1の昇降部18と起立および着座補助装置2の上昇を止めることが可能となり、起立による転倒等の事故防止にも役立つ。さらに患者3を起立させたあとの退出は該歯科治療椅子1の側方から行えるほか、該パッド部8を90度回転させることで、該歯科治療椅子1前方からの退出も行えるよう構成されており、患者の退出を妨げないようにしている。
なお、本実施例では日本人の標準的な体型から該パッド部8に加わる圧力値を10Kg以上、加わった体重が一定時間以上連続して検知するための時間を3秒以上としたが、これに限定されることはなく、患者個人にあわせて値を設定することも可能である。
また、設定停止位置の設定も本実施例に限定されることなく、任意の設定停止位置を入力することも可能である。
さらに、本実施例では患者の起立動作補助を自動により行ったが、術者やアシスタントが図示しないスイッチを押すことによる手動での駆動も可能である。
【実施例2】
【0026】
図8は歯科治療椅子1に設置された起立および着座補助装置2を利用して、さらに起立しやすいように座部5を前傾させながら患者3の起立補助を行う実施形態である。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付し説明する。
【0027】
前記座部5には、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップできる構造とし、患者3が起立動作を行う際に該パッド部8に荷重が加わったと判定された場合、前記歯科治療椅子1の昇降部18の上昇に連動するように該座部5を前傾させる。該歯科治療椅子1の昇降部18の上昇移動と該座部5の前傾駆動とに連動するように、筐体13内に設置したステッピングモータ14を回転されることによりアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が上昇することで、該パッド部8を斜め上方に移動させる。
なお、本実施例では該歯科治療椅子1の昇降部18の上昇に連動して該座部5を前傾させたが、該歯科治療椅子1の昇降部18を上昇させてから該座部5を前傾させてもよい。
【実施例3】
【0028】
図8は起立および着座補助装置2を利用して、患者3の起立補助を行う他の実施形態である。患者3の起立補助を行う場合には、図6に示すように前記パッド部8を患者3の前方に配置させる。患者3は起立動作を行う際に該パッド部8に腕および/または胸部で体重を加えることにより、前記パッド支持部9内に設けた荷重検出手段が荷重を検知し、10Kg以上の荷重が3秒以上連続で該パッド部に加わっていることを前記パッド駆動判定手段により検知された場合、患者3が起立動作を行う準備ができたと判定される。この判定結果を受けて、前記歯科治療椅子1の該座部5を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることによる該座部の前傾駆動と連動して、筐体13内に設置したステッピングモータ14を回転させることによりアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が上昇することで、該パッド部8を斜め上方に移動させる。
これにより、身体の体重心の位置が比較的高い位置でなくとも立位になれる患者には、歯科治療椅子1の上昇時間分が短縮され、短時間で起立することができる。
【実施例4】
【0029】
図11は起立および着座補助装置2を利用して、患者3の着座を補助する実施形態である。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付し説明する。
図5、図11に示すように該歯科治療椅子1の左側方に設置されているスピットン部15の近傍に該起立および着座補助装置2をボルト17によって前記歯科治療椅子1のベース部分に固定している。該起立および着座補助装置2は上記実施形態と同様の構造のものを使用し、患者3の体型に対応させた位置まで該歯科治療椅子1の昇降部18と前記パッド部8とを上昇させてから、患者3を導入し、着座補助を行う。該歯科治療椅子1の昇降部18、該パッド部8の下降駆動範囲は該歯科治療椅子1の昇降部18、該パッド部8の最低位置まで下げた状態(以下「初期位置」という。)までとする。
【0030】
図9および図10は、前記起立および着座補助装置2を着座補助に使用するときのフローチャートである。
着座補助の場合は、図9に示すように、まず患者3の体型にあった位置まで前記歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8を上昇させておく必要がある。
ステップS6において、着座する患者3の身長に対応させて図示しない入力手段により該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8を上昇させておく。本実施例での上昇設定停止位置は患者3の身長を1700mmとし、該パッド部8の上昇設定停止位置を最大の250mm上昇させた位置とした。なお、上昇設定停止位置は患者3の身長が1500mmの場合の上昇設定停止位置は150mm、身長が1600mmの場合の上昇設定停止位置は200mm、身長が1700mmの場合の上昇設定停止位置は250mmのように3段階にわけ、患者3の身長に適した上昇設定停止位置のスイッチ(入力手段)を選択することで該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8との上昇設定停止位置を決定することができる。
ステップS7において該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の上昇駆動を指示する。さらにステップS8において図示しない入力手段にて入力された上昇設定停止位置に到達したかを判定し、該上昇設定停止位置に到達した場合、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の停止を指示する。
なお、ステップS6において、患者3の体型入力がされていない場合、またはステップS8において、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部が上昇設定停止位置まで到達していない場合にはステップS6に移行し上記の処理を繰り返す。
【0031】
次に、図11に示すように患者体型にあった位置に該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8とを上昇させたあと、患者3を該歯科治療椅子1に導入する。図10に示すように、ステップS9において、該歯科治療椅子1の前に導入された患者3の前方の所定位置に該パッド部8が配置されたかを前記回転機構部12に設けたロック機構部にあるリミットスイッチからの信号によって判定し、患者3前方の所定位置にあると判定された場合はステップS10に移行する。ステップS10において、前記荷重検知手段からの荷重がある閾値以上加わっているか否かを判定する。この判定において、10Kg以上の荷重が加わったと判定された場合、ステップS11に移行し、10Kg以上の荷重が一定時間である3秒以上連続で検知された場合、該パッド部8に患者3の体重が加わり、患者3が着座動作を行う準備ができたと判定され、ステップS12において該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の下降駆動を指示する。さらにステップS13において該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8が初期位置に到達したかを判定し、該初期位置に到達した場合、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の停止を指示する。なお、ステップS9において、該パッド部8が患者3の前方の所定位置にない場合、またはステップS10において、設定荷重である10Kg以上に満たない場合、またはステップS11において、荷重が10Kg以上を満たしていても3秒以上連続で荷重を検知できない場合、ステップS13において、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8が初期位置まで到達していない場合にはステップS9に移行し上記の処理を繰り返す。
【0032】
患者3は着座動作を行う際に該パッド部8に腕および/または胸部で体重を加えることで、前記パッド支持部9内に設けた荷重検出手段が荷重を検知し、ある閾値以上、ここでは10Kg以上の荷重が3秒以上連続で該パッド部8に加わっていることを前記パッド駆動判定手段により検知された場合、患者3の体重が該パッド部8に加わったと判定される。この判定結果を受けて、前記歯科治療椅子1の昇降部18を下降させ、該歯科治療椅子1の昇降部18の下降スピードにあわせて適切なスピードで筐体13内に設置されたステッピングモータ14がカップリング16を介してねじと連結され、ステッピングモータ14を回転させることによりパッド駆動機構部であるアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が下降することで、該パッド部8を斜め下方に移動させることができる。また、ステッピングモータのスピードを可変させ、該パッド部8の昇降をスローアップ・ダウンさせることで患者3にあわせた速度で着座を補助することができる。なお、荷重検知手段はストレインゲージの他に、該パッド支持部9のひずみを検知できるものであれば上記に限定されることはない。
【0033】
以上のように、患者3が着座動作を行う際に確実に前記パッド部8に力が加わったかを判定したうえで歯科治療椅子1の昇降部18の下降と連動させて、該パッド部8を斜め下方に移動させ、初期位置で停止するようにしている。
また、該荷重検知手段を設けることで、起立および着座補助装置2の下降中に患者3がパッド部8からずり落ちた場合、一定荷重を満たさないと判定され、歯科治療椅子1の昇降部18と起立および着座補助装置2の下降を止めることが可能となり、着座による転倒等の事故防止にも役立つ。さらに患者3の導入は該歯科治療椅子1の側方から行えるほか、該パッド部を90度回転させることで、該歯科治療椅子1前方からの導入することが可能である。
なお、上昇設定停止位置の設定も本実施例に限定されることなく、任意の上昇設定停止位置を入力することも可能である。
さらに、本実施例では患者3の着座動作補助を自動により行ったが、術者やアシスタントが図示しないスイッチを押すことによる手動での駆動も可能である。
【実施例5】
【0034】
図12は起立および着座補助装置2を利用して、さらに着座しやすいように座部5を前傾させた状態から患者3の着座補助を行う他の実施形態である。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付し説明する。
【0035】
前記座部5には、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構造とし、着座補助を行う際には該座部5をリフトアップさせておく。また、実施例4と同様に前記歯科治療椅子1の昇降部18および前記パッド部8を上昇設定停止位置まで上昇させておく。患者3が着座動作を行う際に該パッド部8に荷重が加わったと判定された場合、該歯科治療椅子1の昇降部18の下降に連動するように該座部5を初期位置までリフトダウンさせる。該歯科治療椅子1の昇降部18の下降移動と該座部5のリフトダウンに連動するように、筐体13内に設置したステッピングモータ14を回転されることによりアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が下降することで、該パッド部8を斜め下方に移動させる。
なお、本実施例では該歯科治療椅子1の昇降部18の下降に連動して該座部5をリフトダウンさせたが、該座部5をリフトダウンさせてから該歯科治療椅子1の昇降部18を下降させてもよい。
【実施例6】
【0036】
前記起立および着座補助装置2が所望の位置に着脱可能に固定できる他の実施形態である。
該起立および着座補助装置2は図4に示すように、所望の位置に着脱可能な固定手段であるボルト17を備え、さらに前記歯科治療椅子1に接続するための図示しない信号入出力が可能なインターフェイスを設けている。また、該歯科治療椅子1にも図示しない信号入出力可能なインターフェイスを設けることで、該インターフェイスを介して双方向のデータ伝送および/または制御命令伝送を可能とする。
つまり、該起立および着座補助装置2を備えた歯科治療椅子1を設置するのではなく、該起立および着座補助装置2を該ボルト17によって床面やスピットン部などの所望の位置に設置することができ、歯科医院にすでに導入されている信号入出力可能なインターフェイスを設けた既存の歯科治療椅子のベース部分やスピットン部に該起立および着座補助装置2を設置することが可能であり、該インターフェイスを介して既存の該歯科治療椅子と該起立および着座補助装置2とを接続することで、入力手段によって既存の該歯科治療椅子の制御メモリ内に記憶されている患者の体型情報を読み出し、該インターフェイスを介して該起立および着座補助装置2に伝送することで、既存の該歯科治療椅子の昇降部と該起立および着座補助装置2とを連動駆動させることができる。
なお、既存の該歯科治療椅子1と該起立および着座補助装置2とのインターフェイス手段を用いた伝送方法を説明したが、これに限定されることなく、歯科用ユニットからの指令によって該歯科治療椅子1の制御メモリ内に記憶されている患者の体型情報を読み出し、該歯科治療椅子1と該起立および着座補助装置2の停止位置を設定することも可能であり、さらには、該歯科用ユニットからの入力によって患者の体型情報入力を任意に書き込む手段によって、該停止位置を設定することも可能である。
また、インターフェイス手段はケーブル接続で構成されてもよいし、あるいはワイヤレスで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 歯科治療椅子
2 起立補助装置
3 患者
4 背板
5 座部
8 パッド部
9 パッド支持部
10 パッド昇降部
11 アクチュエータ
12 回転機構部
13 筐体
14 ステッピングモータ
15 スピットン
16 カップリング
17 ボルト
18 昇降部
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療椅子における患者の起立補助および着座補助に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者や足腰が不自由で自力で起立することが困難な患者が歯科治療を受ける際に歯科治療椅子に乗り降りするための起立補助装置がある。
特許文献1では、要介助者の身体を支えるパッド部と、該パッド部を斜め上方に移動させるパッド部移動機構とを備える起立補助装置において、前記起立補助装置には、前記パッド部を鉛直方向に回転させるパッド部回転機構が備えられており、要介助者の腹部を圧迫せずに要介助者の胸部をパッド部に傾けているだけで要介助者の身体を支持し、介助者にかかる負担を軽減することができる。
特許文献2では、歯科治療椅子と、該歯科治療椅子の一方の側部に配設された給排水ボックスとを有し、該給排水ボックスの前方上部位置から同手前下部位置まで移動可能な手摺部材を有し、該手摺部材は伸縮可能又は折り畳み式であって、前記給排水ボックス内に収納可能である歯科治療ユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−187856号公報
【特許文献2】特許第3816040号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の起立補助装置は、要介助者の衣服を着替えさせるために起立させ、なおかつ起立状態を維持させるものであり、起立した要介助者を椅子から退出させるものではない。また装置が大掛かりであり歯科治療椅子に搭載することができない。
特許文献2の歯科治療ユニットは給排水ボックスの大きさで手摺部材の可動範囲が限定されてしまい、患者の体型にあった手摺部材の移動が行えず、容易に患者を起立させることができない。さらに該手摺部材の形状が棒状であり、患者は該手摺部材を握らなければならず、把持機能やピンチ機能の低下がみられる患者やリウマチ患者には対応できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の歯科治療椅子は背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能に構成された歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該歯科治療椅子の昇降部の上昇に連動して該パッド部が斜め上方へ移動、及び/または、該歯科治療椅子の昇降部の下降に連動して該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の歯科治療椅子は前記パッド昇降部先端に前記パッド支持部を回動可能にする回転機構部を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の歯科治療椅子の座部は、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることにより前傾させること、及び/または、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトダウンすることにより、該座部がリフトアップした状態から初期位置まで戻ることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の歯科治療椅子の前記パッド支持部は、前記パッド昇降部に該パッド支持部の長手方向の左右いずれか一方が片持ち支持されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の歯科治療椅子の前記パッド部は患者の腕および/または胸部で体を支えられるよう、断面形状が四角形もしくは多角形状であることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の歯科治療椅子は前記パッド部に加わる荷重を検知する荷重検知手段を前記パッド支持部に設け、該荷重検知手段により検知された荷重に基づき、患者の体重が該パッド部に加わったか否かを判定するパッド駆動判定手段を設け、該パッド駆動判定手段により該歯科治療椅子の昇降部及び該パッド部の昇降移動を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の歯科治療椅子の前記パッド駆動判定手段は、前記荷重検知手段により前記パッド部に加わる荷重がある閾値以上で一定時間以上連続して検知された場合に、患者の体重が該パッド部に加わったと判定することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の歯科治療椅子は、前記歯科治療椅子の昇降部および前記パッド部が上昇した状態において、患者を該歯科治療椅子に導入することにより着座補助を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の歯科治療椅子は、前記歯科治療椅子の昇降部の移動距離と前記パッド部の移動距離とが患者の体型にあわせて夫々設定できる設定手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の歯科治療椅子の起立および着座補助装置は、所望の位置に着脱可能な固定手段を設けるとともに、信号入出力可能なインターフェイス手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の歯科治療椅子は、背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることによる該座部の前傾駆動と連動して、該パッド部が斜め上方へ移動することを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の歯科治療椅子は、背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備えた起立および着座補助装置を設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いてリフトダウンすることにより、該座部の後端側がリフトアップした状態から初期位置まで戻す駆動と連動して、該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述したように、本発明によれば、患者が起立動作を行う際にパッド部に患者の体重が加わることで、歯科治療椅子の昇降部の上昇と連動してパッド部が斜め上方へ移動し、さらに座部の後端側をリフトアップさせることで、身体の体重心の位置が比較的高い位置になり、立位になるためのエネルギーの増加分が少なくすむため、高齢者や足腰が不自由で自力で起立することが困難な患者でも容易に歯科治療椅子から立ち上がることができる。
また、着座支援を行う場合には、まず患者の体型にあった位置に歯科治療椅子の昇降部とパッド部を上昇させてから、患者を導入し、患者の着座動作を行う際にパッド部に患者の体重が加わることで、歯科治療椅子の昇降部の下降と連動して該パッド部を斜め下方に移動させることで、高齢者や足腰が不自由で自力で着座することが困難な患者でも容易に該歯科治療椅子に座ることができる。
さらに、さまざまな体型や症状の患者においても、容易に起立補助および着座補助を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の歯科治療椅子を用いた一例を示す図である。
【図2】同歯科治療椅子を用いた患者の起立状態を示す図である。
【図3】パッド部の正面図である。
【図4】パッド駆動機構部の動作機構を表す筐体断面図である。
【図5】患者導入および退出時の歯科治療椅子とパッド部との位置関係を表す上面図である。
【図6】起立および着座補助装置を用いて患者の起立及び着座を行わせる時の歯科治療椅子とパッド部との位置関係を表す上面図である。
【図7】歯科治療椅子の昇降部およびパッド部の上昇駆動させる処理内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の歯科治療椅子における他の実施形態を示す図である。
【図9】患者の体型入力内容を示すフローチャートである。
【図10】歯科治療椅子の昇降部およびパッド部の下降駆動させる処理内容を示すフローチャートである。
【図11】着座補助を行う患者導入時の歯科治療椅子とパッド部との位置関係を表す側面図である。
【図12】本発明の歯科治療椅子における他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の歯科治療椅子1としての一例であり、該歯科治療椅子1に起立および着座補助装置2を設け、患者3の起立を補助するものである。
該歯科治療椅子1は座部と、該座部の後部に起倒可能に連結された背板と、該背板上方に設けられたヘッドレストと、該座部の前部に設けられたレッグレストと、該歯科治療椅子1を上下移動可能にする昇降部18とで構成されている。さらに図5および図6に示すように該歯科治療椅子1の左側方に設置されているスピットン部15の近傍に該起立および着座補助装置2を設けている。該起立および着座補助装置2は患者3が両腕および/または胸部を安定した状態で置けるよう断面形状が四角形もしくは多角形のパッド部8と、図3、図4に示すように、該パッド部8の下側の長手方向に沿ってパッド支持部9を設け、該パッド支持部9は一方のみが延長され、延長された該パッド支持部9を回動可能にする回転機構部12を該パッド支持部9の先端に設置し、さらに該回転機構部12の下方には該パッド部8を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部であるアクチュエータ11とパッド昇降部10とを設けている。また、該起立および着座補助装置2は固定手段であるボルト17により該歯科治療椅子1のベース部分に固定されている。なお、固定方法は上記に限定されることなく、また固定位置に関しても、該歯科治療椅子1のベース部分に固定する以外に床面やスピットン部15に固定することも可能である。
【0021】
つまり、前記起立および着座補助装置2の前記パッド支持部9は長手方向側の一方に片持ちになっており、さらに前記回転機構部12を設けることで、該パッド支持部9に設置されている該パッド部8が水平方向に90度ないし180度に回転可能であり、患者3の導入・退出の補助を歯科治療椅子1の前方から容易に行えるよう構成されている。さらに該パッド部8を利用して患者3を起立および着座補助している間に不用意に該パッド部8が回転しないよう該回転機構部12に図示しないロック機構を設け、さらにリミットスイッチも設けている。なお、本実施例では起立および着座補助装置2はスピットン部15の近傍、すなわち患者が歯科治療椅子に着座している状態における患者の左側に設置したが、これに限定されることなく、図示しないが着座している患者の右側に設置してもよい。さらに、該パッド部8は水平方向に回転可能であるほか、患者導入・退出の妨げにならない方向へ移動することも可能である。
【0022】
また、前記回転機構部12近傍の前記パッド支持部9の内部には図示しないが、ひずみを検知するためのストレインゲージが貼られ、そのひずみ量から荷重に換算して患者の荷重を検知する荷重検知手段を設けている。さらに患者が起立動作を行う際に患者の体重が該パッド部に加わったか否かを判定するパッド駆動判定手段を設けている。なお、荷重検知手段はパッド支持部9内部に限定されることなく、ひずみが検知可能な箇所であれば、該パッド支持部9の側面であってもよい。
【0023】
患者3の起立補助を行う場合には、図6に示すように前記パッド部8を患者3の前方に配置させる。患者3は起立動作を行う際に該パッド部8に腕および/または胸部で体重をかけることで、前記パッド支持部9内に設けた荷重検出手段が荷重を検知し、ある閾値以上、ここでは10Kg以上の荷重が3秒以上連続で該パッド部8に加わっていることを前記パッド駆動判定手段により検知された場合、患者3の体重が該パッド部8に加わったと判定される。この判定結果を受けて、前記歯科治療椅子1の昇降部18を上昇させ、該歯科治療椅子1の上昇スピードにあわせて適切なスピードで筐体13内に設置されたステッピングモータ14がカップリング16を介してねじと連結され、ステッピングモータ14を回転させることによりパッド駆動機構部であるアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が上昇することで、該パッド部8を斜め上方に最大250mmまで移動させることができる。図2では患者3の身長を1700mmとし、該パッド部8の設定停止位置を最大の250mm上昇させた位置とした。なお、設定停止位置は患者の身長に対応させて設定することが可能であり、図示しない入力手段により例えば、身長が1500mmの場合の設定停止位置は150mm、身長が1600mmの場合の設定停止位置は200mm、身長が1700mmの場合の設定停止位置は250mmのように3段階にわけ、患者の身長に適した設定停止位置のスイッチ(入力手段)を選択することで該パッド部の停止位置を決定することができる。また、ステッピングモータのスピードを可変させ、該パッド部の昇降をスローアップ・ダウンさせることで患者にあわせた速度で起立を補助することができる。なお、荷重検知手段はストレインゲージの他に、該パッド支持部のひずみを検知できるものであれば上記に限定されることはない。
【0024】
図7は、前記起立および着座補助装置2および前記歯科治療椅子1の起立補助フローチャートである。
ステップS1において、前記パッド部8が該歯科治療椅子1に着座している患者3の前方の所定位置に配置されたかを前記回転機構部12に設けたロック機構部にあるリミットスイッチからの信号によって判定し、患者3前方の所定位置にあると判定された場合はステップS2に移行する。ステップS2において、前記荷重検知手段からの荷重がある閾値以上加わっているか否かを判定する。この判定において、10Kg以上の荷重が加わったと判定された場合、ステップS3に移行し、10Kg以上の荷重が一定時間である3秒以上連続で検知された場合、該パッド部8に患者3の体重が加わり、患者3が起立動作を行う準備ができたと判定され、ステップS4において該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8との上昇駆動を指示する。さらにステップS5において図示しない入力手段にて入力された設定停止位置に到達したかを判定し、該設定停止位置に到達した場合、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の停止を指示する。なお、ステップS1において、該パッド部8が患者3の前方の所定位置にない場合、またはステップS2において、設定荷重である10Kg以上に満たない場合、またはステップS3において、荷重が10Kg以上を満たしていても3秒以上連続で荷重を検知できない場合、ステップS5において、該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8とが設定停止位置まで到達していない場合にはステップS1に移行し上記の処理を繰り返す。
【0025】
以上のように、患者3が起立動作を行う際に確実に前記パッド部8に力が加わったかを判定したうえで歯科治療椅子1の昇降部18の上昇と連動させて、該パッド部8を斜め上方に移動させ、設定停止位置で停止するようにしている。
また、該荷重検知手段を設けることで、起立および着座補助装置2の上昇中に患者3がパッド部8からずり落ちた場合、一定荷重を満たさないと判定され、歯科治療椅子1の昇降部18と起立および着座補助装置2の上昇を止めることが可能となり、起立による転倒等の事故防止にも役立つ。さらに患者3を起立させたあとの退出は該歯科治療椅子1の側方から行えるほか、該パッド部8を90度回転させることで、該歯科治療椅子1前方からの退出も行えるよう構成されており、患者の退出を妨げないようにしている。
なお、本実施例では日本人の標準的な体型から該パッド部8に加わる圧力値を10Kg以上、加わった体重が一定時間以上連続して検知するための時間を3秒以上としたが、これに限定されることはなく、患者個人にあわせて値を設定することも可能である。
また、設定停止位置の設定も本実施例に限定されることなく、任意の設定停止位置を入力することも可能である。
さらに、本実施例では患者の起立動作補助を自動により行ったが、術者やアシスタントが図示しないスイッチを押すことによる手動での駆動も可能である。
【実施例2】
【0026】
図8は歯科治療椅子1に設置された起立および着座補助装置2を利用して、さらに起立しやすいように座部5を前傾させながら患者3の起立補助を行う実施形態である。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付し説明する。
【0027】
前記座部5には、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップできる構造とし、患者3が起立動作を行う際に該パッド部8に荷重が加わったと判定された場合、前記歯科治療椅子1の昇降部18の上昇に連動するように該座部5を前傾させる。該歯科治療椅子1の昇降部18の上昇移動と該座部5の前傾駆動とに連動するように、筐体13内に設置したステッピングモータ14を回転されることによりアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が上昇することで、該パッド部8を斜め上方に移動させる。
なお、本実施例では該歯科治療椅子1の昇降部18の上昇に連動して該座部5を前傾させたが、該歯科治療椅子1の昇降部18を上昇させてから該座部5を前傾させてもよい。
【実施例3】
【0028】
図8は起立および着座補助装置2を利用して、患者3の起立補助を行う他の実施形態である。患者3の起立補助を行う場合には、図6に示すように前記パッド部8を患者3の前方に配置させる。患者3は起立動作を行う際に該パッド部8に腕および/または胸部で体重を加えることにより、前記パッド支持部9内に設けた荷重検出手段が荷重を検知し、10Kg以上の荷重が3秒以上連続で該パッド部に加わっていることを前記パッド駆動判定手段により検知された場合、患者3が起立動作を行う準備ができたと判定される。この判定結果を受けて、前記歯科治療椅子1の該座部5を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることによる該座部の前傾駆動と連動して、筐体13内に設置したステッピングモータ14を回転させることによりアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が上昇することで、該パッド部8を斜め上方に移動させる。
これにより、身体の体重心の位置が比較的高い位置でなくとも立位になれる患者には、歯科治療椅子1の上昇時間分が短縮され、短時間で起立することができる。
【実施例4】
【0029】
図11は起立および着座補助装置2を利用して、患者3の着座を補助する実施形態である。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付し説明する。
図5、図11に示すように該歯科治療椅子1の左側方に設置されているスピットン部15の近傍に該起立および着座補助装置2をボルト17によって前記歯科治療椅子1のベース部分に固定している。該起立および着座補助装置2は上記実施形態と同様の構造のものを使用し、患者3の体型に対応させた位置まで該歯科治療椅子1の昇降部18と前記パッド部8とを上昇させてから、患者3を導入し、着座補助を行う。該歯科治療椅子1の昇降部18、該パッド部8の下降駆動範囲は該歯科治療椅子1の昇降部18、該パッド部8の最低位置まで下げた状態(以下「初期位置」という。)までとする。
【0030】
図9および図10は、前記起立および着座補助装置2を着座補助に使用するときのフローチャートである。
着座補助の場合は、図9に示すように、まず患者3の体型にあった位置まで前記歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8を上昇させておく必要がある。
ステップS6において、着座する患者3の身長に対応させて図示しない入力手段により該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8を上昇させておく。本実施例での上昇設定停止位置は患者3の身長を1700mmとし、該パッド部8の上昇設定停止位置を最大の250mm上昇させた位置とした。なお、上昇設定停止位置は患者3の身長が1500mmの場合の上昇設定停止位置は150mm、身長が1600mmの場合の上昇設定停止位置は200mm、身長が1700mmの場合の上昇設定停止位置は250mmのように3段階にわけ、患者3の身長に適した上昇設定停止位置のスイッチ(入力手段)を選択することで該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8との上昇設定停止位置を決定することができる。
ステップS7において該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の上昇駆動を指示する。さらにステップS8において図示しない入力手段にて入力された上昇設定停止位置に到達したかを判定し、該上昇設定停止位置に到達した場合、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の停止を指示する。
なお、ステップS6において、患者3の体型入力がされていない場合、またはステップS8において、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部が上昇設定停止位置まで到達していない場合にはステップS6に移行し上記の処理を繰り返す。
【0031】
次に、図11に示すように患者体型にあった位置に該歯科治療椅子1の昇降部18と該パッド部8とを上昇させたあと、患者3を該歯科治療椅子1に導入する。図10に示すように、ステップS9において、該歯科治療椅子1の前に導入された患者3の前方の所定位置に該パッド部8が配置されたかを前記回転機構部12に設けたロック機構部にあるリミットスイッチからの信号によって判定し、患者3前方の所定位置にあると判定された場合はステップS10に移行する。ステップS10において、前記荷重検知手段からの荷重がある閾値以上加わっているか否かを判定する。この判定において、10Kg以上の荷重が加わったと判定された場合、ステップS11に移行し、10Kg以上の荷重が一定時間である3秒以上連続で検知された場合、該パッド部8に患者3の体重が加わり、患者3が着座動作を行う準備ができたと判定され、ステップS12において該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の下降駆動を指示する。さらにステップS13において該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8が初期位置に到達したかを判定し、該初期位置に到達した場合、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8の停止を指示する。なお、ステップS9において、該パッド部8が患者3の前方の所定位置にない場合、またはステップS10において、設定荷重である10Kg以上に満たない場合、またはステップS11において、荷重が10Kg以上を満たしていても3秒以上連続で荷重を検知できない場合、ステップS13において、該歯科治療椅子1の昇降部18および該パッド部8が初期位置まで到達していない場合にはステップS9に移行し上記の処理を繰り返す。
【0032】
患者3は着座動作を行う際に該パッド部8に腕および/または胸部で体重を加えることで、前記パッド支持部9内に設けた荷重検出手段が荷重を検知し、ある閾値以上、ここでは10Kg以上の荷重が3秒以上連続で該パッド部8に加わっていることを前記パッド駆動判定手段により検知された場合、患者3の体重が該パッド部8に加わったと判定される。この判定結果を受けて、前記歯科治療椅子1の昇降部18を下降させ、該歯科治療椅子1の昇降部18の下降スピードにあわせて適切なスピードで筐体13内に設置されたステッピングモータ14がカップリング16を介してねじと連結され、ステッピングモータ14を回転させることによりパッド駆動機構部であるアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が下降することで、該パッド部8を斜め下方に移動させることができる。また、ステッピングモータのスピードを可変させ、該パッド部8の昇降をスローアップ・ダウンさせることで患者3にあわせた速度で着座を補助することができる。なお、荷重検知手段はストレインゲージの他に、該パッド支持部9のひずみを検知できるものであれば上記に限定されることはない。
【0033】
以上のように、患者3が着座動作を行う際に確実に前記パッド部8に力が加わったかを判定したうえで歯科治療椅子1の昇降部18の下降と連動させて、該パッド部8を斜め下方に移動させ、初期位置で停止するようにしている。
また、該荷重検知手段を設けることで、起立および着座補助装置2の下降中に患者3がパッド部8からずり落ちた場合、一定荷重を満たさないと判定され、歯科治療椅子1の昇降部18と起立および着座補助装置2の下降を止めることが可能となり、着座による転倒等の事故防止にも役立つ。さらに患者3の導入は該歯科治療椅子1の側方から行えるほか、該パッド部を90度回転させることで、該歯科治療椅子1前方からの導入することが可能である。
なお、上昇設定停止位置の設定も本実施例に限定されることなく、任意の上昇設定停止位置を入力することも可能である。
さらに、本実施例では患者3の着座動作補助を自動により行ったが、術者やアシスタントが図示しないスイッチを押すことによる手動での駆動も可能である。
【実施例5】
【0034】
図12は起立および着座補助装置2を利用して、さらに着座しやすいように座部5を前傾させた状態から患者3の着座補助を行う他の実施形態である。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付し説明する。
【0035】
前記座部5には、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構造とし、着座補助を行う際には該座部5をリフトアップさせておく。また、実施例4と同様に前記歯科治療椅子1の昇降部18および前記パッド部8を上昇設定停止位置まで上昇させておく。患者3が着座動作を行う際に該パッド部8に荷重が加わったと判定された場合、該歯科治療椅子1の昇降部18の下降に連動するように該座部5を初期位置までリフトダウンさせる。該歯科治療椅子1の昇降部18の下降移動と該座部5のリフトダウンに連動するように、筐体13内に設置したステッピングモータ14を回転されることによりアクチュエータ11を駆動させ、該パッド昇降部10が下降することで、該パッド部8を斜め下方に移動させる。
なお、本実施例では該歯科治療椅子1の昇降部18の下降に連動して該座部5をリフトダウンさせたが、該座部5をリフトダウンさせてから該歯科治療椅子1の昇降部18を下降させてもよい。
【実施例6】
【0036】
前記起立および着座補助装置2が所望の位置に着脱可能に固定できる他の実施形態である。
該起立および着座補助装置2は図4に示すように、所望の位置に着脱可能な固定手段であるボルト17を備え、さらに前記歯科治療椅子1に接続するための図示しない信号入出力が可能なインターフェイスを設けている。また、該歯科治療椅子1にも図示しない信号入出力可能なインターフェイスを設けることで、該インターフェイスを介して双方向のデータ伝送および/または制御命令伝送を可能とする。
つまり、該起立および着座補助装置2を備えた歯科治療椅子1を設置するのではなく、該起立および着座補助装置2を該ボルト17によって床面やスピットン部などの所望の位置に設置することができ、歯科医院にすでに導入されている信号入出力可能なインターフェイスを設けた既存の歯科治療椅子のベース部分やスピットン部に該起立および着座補助装置2を設置することが可能であり、該インターフェイスを介して既存の該歯科治療椅子と該起立および着座補助装置2とを接続することで、入力手段によって既存の該歯科治療椅子の制御メモリ内に記憶されている患者の体型情報を読み出し、該インターフェイスを介して該起立および着座補助装置2に伝送することで、既存の該歯科治療椅子の昇降部と該起立および着座補助装置2とを連動駆動させることができる。
なお、既存の該歯科治療椅子1と該起立および着座補助装置2とのインターフェイス手段を用いた伝送方法を説明したが、これに限定されることなく、歯科用ユニットからの指令によって該歯科治療椅子1の制御メモリ内に記憶されている患者の体型情報を読み出し、該歯科治療椅子1と該起立および着座補助装置2の停止位置を設定することも可能であり、さらには、該歯科用ユニットからの入力によって患者の体型情報入力を任意に書き込む手段によって、該停止位置を設定することも可能である。
また、インターフェイス手段はケーブル接続で構成されてもよいし、あるいはワイヤレスで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 歯科治療椅子
2 起立補助装置
3 患者
4 背板
5 座部
8 パッド部
9 パッド支持部
10 パッド昇降部
11 アクチュエータ
12 回転機構部
13 筐体
14 ステッピングモータ
15 スピットン
16 カップリング
17 ボルト
18 昇降部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能に構成された歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該歯科治療椅子の昇降部の上昇に連動して該パッド部が斜め上方へ移動、及び/または、該歯科治療椅子の昇降部の下降に連動して該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする歯科治療椅子。
【請求項2】
前記パッド昇降部先端に前記パッド支持部を回動可能にする回転機構部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療椅子。
【請求項3】
前記歯科治療椅子の座部は、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることにより前傾させること、及び/または、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトダウンすることにより、該座部がリフトアップした状態から初期位置まで戻すことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療椅子。
【請求項4】
前記パッド支持部は、前記パッド昇降部に該パッド支持部の長手方向の左右いずれか一方が片持ち支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の歯科治療椅子。
【請求項5】
前記パッド部は患者の腕および/または胸部で体を支えられるよう、断面形状が四角形もしくは多角形状であることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療椅子。
【請求項6】
前記パッド部に加わる荷重を検知する荷重検知手段を前記パッド支持部に設け、該荷重検知手段により検知された荷重に基づき、患者の体重が該パッド部に加わったか否かを判定するパッド駆動判定手段を設け、該パッド駆動判定手段により前記歯科治療椅子の昇降部及び前記パッド部の昇降移動を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の歯科治療椅子。
【請求項7】
前記パッド駆動判定手段は、前記荷重検知手段により前記パッド部に加わる荷重がある閾値以上で一定時間以上連続して検知された場合に、患者の体重が該パッドに加わったと判定することを特徴とする請求項6に記載の歯科治療椅子。
【請求項8】
前記歯科治療椅子の昇降部及び前記パッド部が上昇した状態において、患者を該歯科治療椅子に導入することにより着座補助を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の歯科治療椅子。
【請求項9】
前記歯科治療椅子の昇降部の移動距離と前記パッド部の移動距離とが患者の体型にあわせて設定できる設定手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の歯科治療椅子。
【請求項10】
前記起立および着座補助装置は、所望の位置に着脱可能な固定手段を設けるとともに、信号入出力可能なインターフェイス手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9記載の歯科治療椅子。
【請求項11】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降駆動部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降駆動部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備えた起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることによる該座部の前傾駆動と連動して、該パッド部が斜め上方へ移動することを特徴とする歯科治療椅子。
【請求項12】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降駆動部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降駆動部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備えた起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いてリフトダウンすることにより、該座部の後端側がリフトアップした状態から初期位置まで戻す駆動と連動して、該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする歯科治療椅子。
【請求項1】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降部によって上下移動可能に構成された歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備える起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該歯科治療椅子の昇降部の上昇に連動して該パッド部が斜め上方へ移動、及び/または、該歯科治療椅子の昇降部の下降に連動して該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする歯科治療椅子。
【請求項2】
前記パッド昇降部先端に前記パッド支持部を回動可能にする回転機構部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療椅子。
【請求項3】
前記歯科治療椅子の座部は、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることにより前傾させること、及び/または、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトダウンすることにより、該座部がリフトアップした状態から初期位置まで戻すことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療椅子。
【請求項4】
前記パッド支持部は、前記パッド昇降部に該パッド支持部の長手方向の左右いずれか一方が片持ち支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の歯科治療椅子。
【請求項5】
前記パッド部は患者の腕および/または胸部で体を支えられるよう、断面形状が四角形もしくは多角形状であることを特徴とする請求項1に記載の歯科治療椅子。
【請求項6】
前記パッド部に加わる荷重を検知する荷重検知手段を前記パッド支持部に設け、該荷重検知手段により検知された荷重に基づき、患者の体重が該パッド部に加わったか否かを判定するパッド駆動判定手段を設け、該パッド駆動判定手段により前記歯科治療椅子の昇降部及び前記パッド部の昇降移動を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の歯科治療椅子。
【請求項7】
前記パッド駆動判定手段は、前記荷重検知手段により前記パッド部に加わる荷重がある閾値以上で一定時間以上連続して検知された場合に、患者の体重が該パッドに加わったと判定することを特徴とする請求項6に記載の歯科治療椅子。
【請求項8】
前記歯科治療椅子の昇降部及び前記パッド部が上昇した状態において、患者を該歯科治療椅子に導入することにより着座補助を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の歯科治療椅子。
【請求項9】
前記歯科治療椅子の昇降部の移動距離と前記パッド部の移動距離とが患者の体型にあわせて設定できる設定手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の歯科治療椅子。
【請求項10】
前記起立および着座補助装置は、所望の位置に着脱可能な固定手段を設けるとともに、信号入出力可能なインターフェイス手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9記載の歯科治療椅子。
【請求項11】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降駆動部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降駆動部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備えた起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いて後端側をリフトアップすることによる該座部の前傾駆動と連動して、該パッド部が斜め上方へ移動することを特徴とする歯科治療椅子。
【請求項12】
背板、座部、レッグレスト、ヘッドレスト及び昇降駆動部を備え、該背板、該座部、該レッグレスト及び該ヘッドレスト全体が昇降駆動部によって上下移動可能で、該座部の前端縁を軸として後端側をリフトアップ及びリフトダウンできる構成の歯科治療椅子において、患者の体を支えるパッド部と、パッド支持部と、パッド昇降部と、該パッド部を斜め方向に上下移動可能なパッド駆動機構部を備えた起立および着座補助装置を所望の位置に設け、該座部を、前端縁を軸としてアクチュエータを用いてリフトダウンすることにより、該座部の後端側がリフトアップした状態から初期位置まで戻す駆動と連動して、該パッド部が斜め下方へ移動することを特徴とする歯科治療椅子。
【図1】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−10874(P2011−10874A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157748(P2009−157748)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000141598)株式会社吉田製作所 (117)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000141598)株式会社吉田製作所 (117)
【Fターム(参考)】
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