説明

歯科治療椅子

【課題】治療椅子の高さ状態を考慮することなく、フットレストを操作可能とし、もって術者やアシスタントのフットレスト操作作業を軽減する。
【解決手段】レッグレストの下端部にレッグレスト基板20を有し、このレッグレスト20のレール21,21にフットレスト基板30の摺動部31,31が係合して、該フットレスト基板30が動力シリンダ40によって前後に移動するようになっている。図1(A)は、フットレストがレッグレストの前方に出された状態を示し、この状態で、患者はフットレストの上に足を載せて治療を受ける。図1(B)はフットレストがレッグレストの後方に収納された状態を示し、この状態で、患者は治療椅子に乗降する。フットレスト基板30は床面に対して平行に移動可能にレッグレスト基板30に取り付けられており、フットレスト部がレッグレストの後方に収納可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科治療椅子に係り、より詳細には、フットレストを床面に平行に前後に移動可能にし、もって、治療椅子を最下位置にした状態で該フットレストをレッグレストの後方に収納可能とし、治療椅子の高さに関係なくフットレストの操作を可能とし、もって、歯科治療椅子の操作性の向上を図ったものである。
【背景技術】
【0002】
図2は、従来の歯科治療椅子の一例を説明するための要部概略構成図で、図中、10は歯科治療椅子、11は安頭台、12はバックレスト、13はコンタシート、14はレッグレスト、15はフットレスト、16は基台で、周知のように、常時は、起状態にあり、この状態で患者は、フットレスト15の上に乗って、その後、コンタシート13に腰掛ける。その後、ドクターは、椅子を倒状態に(寝状態)にして治療を行い、或いは、起状態にするとともに、椅子を上昇させて患者がうがいがしやすいようにする等、椅子10を起、或いは、倒状態にして歯科治療を行う。
【0003】
上記歯科治療椅子においては、患者は、フットレスト15の上に乗って、その後、コンタシート13に腰掛けるようにしており、また、うがい時には、椅子を上昇させてうがいしやすい状態にするが、この時、患者は、足をフットレスト15の上に載せることができ、これによって、安定して腰掛けていることができるようになっている。
【0004】
上述のように、従来の歯科治療椅子においては、フットレストを有し、このフットレストの上に足を載せることによって、安定して腰掛けることができるようになっているが、乗降時、フットレスト15の上に乗ってからコンタシート13に腰掛けるようになっているため、老人や肢体不自由の患者は、狭いフットレストの上に乗ってから腰掛けなければならず、治療椅子への乗降が大変であった。勿論、フットレストがなければ、治療椅子への乗降は楽にできるが、治療中、特に、椅子が上昇された時に、足が宙ぶらりんになり、患者に不安感を与えてしまう。
【0005】
図3は、上述のごとき従来技術における問題を解決した例(特許文献1)を説明するための要部構成図で、図示のように、フットレスト15を矢印A方向に倒して鎖線にて示す状態とし、この状態で矢印B方向に移動させてレッグレスト14の裏側に収納し、この状態で、椅子を下げて乗降し、その後、椅子を上昇させ、前記と逆の手順を辿って図2の状態にし、この状態で治療を受ける。
【0006】
上述のようにすると、治療椅子への乗降に際し、フットレストに乗ることなく乗降でき、かつ、治療椅子に座っている時は、フットレスト上に足を載せることができ、老人や肢体不自由者にやさしい歯科治療椅子を提供することができるが、治療椅子を下げた状態では、フットレストを前述のように作動させることはできず、フットレストを操作する場合には、常に、歯科治療椅子の高さを考慮してフットレストを操作しなければならず、操作性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−33066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、治療椅子の高さに関係なくフットレストを操作可能とし、治療椅子への乗降に際し、フットレストに乗ることなく乗降でき、かつ、治療椅子に座っている時は、フットレスト上に足を載せることができ、老人や肢体不自由者にやさしい歯科治療椅子を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の発明は、レッグレストの下端部にフットレストを有する歯科治療椅子において、前記フットレストは床面に対して平行にかつ前後に移動可能に前記レッグレストに取り付けられ、フットレスト部が前記レッグレストの後方に収納可能であることを特徴としたものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記レッグレストの下端部に、前記フットレストを前後方向に摺動可能に支持するレールを有しかつ前記レッグレストより後方に延長するフットレスト基板を有し、該フットレスト基板の延長部にエアーシリンダ又は電動シリンダを有し、該エアーシリンダ又は電動シリンダによって前記フットレストを前記レールに沿って前後に移動可能としたことを特徴としたものである。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記フットレストの前部にセンサを有し、該センサによって前記フットレストの前方に障害物が検出された時は、該フットレストが前方に移動しないようにしたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、治療椅子の高さに関係なくフットレストを操作可能とし、もって、術者又はアシスタントの作業を軽減し、患者は、治療椅子への乗降に際し、フットレストに乗ることなく乗降でき、かつ、治療椅子に座っている時は、フットレスト上に足を載せることができ、安定した状態で乗降できかつ治療を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による歯科治療椅子のフットステップ部の要部構成例を示す図である。
【図2】従来の歯科治療椅子の例を説明するための図である。
【図3】従来の歯科治療椅子のフットレストの動作例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明による歯科治療椅子のフットレスト部の要部構成図(全体構成は、図2と同じ)で、図中、20はレッグレストの最下端に設けられたレッグレスト基板、30はフットレスト基板で、レッグレスト基板20には、フットレスト基板30を摺動案内するレール21,21が設けられており、フットレスト基板30には該レール21,21と係合して該レールに沿って移動する摺動部31,31が設けられており、図1(A)に示す状態(フットレストがレッグレストの前方に出て、患者がフットレスト上に足を載せることができる状態)と、図1(B)に示す状態(フットレストがレッグレストの後側に収納され、患者が治療椅子に乗降する際、フットレストが乗降の邪魔にならない状態)との間で、移動可能となっている。
【0015】
レッグレスト基板20は、後方に延長する延長部(好ましくは、患者や術者(Dr)から構造が見えにくいスピットン設置側に設けられる)22を有し、この延長部22上にエアーシリンダ又は電動シリンダ40の一端(シリンダ側)が回動可能に固定され、他端(スピットン側)がフットレスト基板30に回動可能に固定されている。従って、エアーシリンダ又は電動シリンダ40を駆動することによって、フットレスト基板30をレッグレストの前方に出したり、レッグレストの後方に収納したりすることができる。
【0016】
上述のように、フットレストが前後に移動可能なため、特に、前方に移動する際、前方に患者の足やその他の障害物がある場合、患者が怪我をしたり、フットレストが損傷したりする恐れがある。このような恐れを回避するためには、フットレストの前方(及び後方)に光電センサ、超音波センサ等の安全センサを設けておき、該安全センサによって、足や障害物の存在を検知した時は、フットレストの移動を停止するようにするとよい。
【0017】
本発明によると、治療椅子の高さに関係なくフットレストを操作可能としたので、術者やアシスタントは、治療椅子の高さ状態を考慮することなく、フットレストを操作することができるので、術者やアシスタントの作業が軽減され、作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0018】
20…レッグレスト基板、21…レール、22…レッグレストの延長部、30…フットレスト基板、31…摺動部(レール21との係合部)、40…エアーシリンダ又は電動シリンダ、41…シリンダ、42…ピストン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レッグレストの下端部にフットレストを有する歯科治療椅子において、前記フットレストは床面に対して平行にかつ前後に移動可能に前記レッグレストに取り付けられ、フットレスト部が前記レッグレストの後方に収納可能であることを特徴とする歯科治療椅子。
【請求項2】
前記レッグレストの下端部に、前記フットレストを前後方向に摺動可能に支持するレールを有しかつ前記レッグレストより後方に延長するフットレスト基板を有し、該フットレスト基板の延長部にエアーシリンダ又は電動シリンダを有し、該エアーシリンダ又は電動シリンダによって前記フットレストを前記レールに沿って前後に移動可能としたことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療椅子。
【請求項3】
前記フットレストの前部にセンサを有し、該センサによって前記フットレストの前方に障害物が検出された時は、該フットレストが前方に移動しないようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科治療椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−41591(P2011−41591A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189838(P2009−189838)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000150671)株式会社長田中央研究所 (194)
【Fターム(参考)】