説明

歯科補綴物を計画及び/または製造するためのシステムと方法

【課題】 歯科補綴物を仮想的に計画するための方法工程、ユニットまたは命令セグメントを含む、患者内の歯科補綴物を計画する方法、システム及び計算機プログラムを提供する。
【解決手段】 歯科補綴物が患者の口腔内に設置されるときに希望の結果がもたらされる顔面組織のための支持表面に対応するデータを含むエンベロープガイドのエンベロープデータが提供される。口腔内の希望の歯科補綴物(302)の外部エンベロープ(200)がエンベロープデータに基づいてシミュレートされる。希望の歯科修復物が、提供され、シミュレートされた外部エンベロープに関して仮想環境で調整され、歯科補綴物データが、歯科補綴物を製造するために使用可能である、調整された希望の歯科修復物に基づいて発生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にデジタル歯科設計の分野に関する。より詳細には、本発明は、歯科補綴物を含む歯科修復物の、並びに歯科補綴物を含む歯科修復物のための構成要素を提供する方法のための、計算機に基づく仮想計画、またはこの仮想計画に基づいている製造データに基づいた歯科修復工程時に使用される歯科補綴物に関連した構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の歯科医術では、口腔内の関心領域の印象または全口腔の印象が、印象トレーにより採取される。この印象から下顎(mandibula)及び上顎(maxilla)の石膏模型が、希望の歯科修復物の模型を作るために歯科技術者により鋳造される。
【0003】
ワックス器具が、さらなる基準を取りかつ口腔内にある希望の目安を設定するために患者の口内に取り付けられる。ワックス器具の調整は、ワックス器具が患者の口腔中に挿入されるときに歯科医により手でなされる。ワックス器具は上顎及び/または下顎にもたれかかり、例えば中央切断位置、すなわち中切歯間の歯科中央線または切開線位置、及び犬歯の希望の位置、並びに希望の微笑線、をマークするために使用される。ワックス器具が患者内に設置されるとき、歯科医は希望の位置にマーキングを刻む。さらに、歯科修復物内の歯の傾きの基準が、唇にもたれかかることになるワックス器具の外形を切り取ることにより提供される。
【0004】
次いで、歯科技術者が代ってワックス器具を受ける。石膏模型、この態様で手で準備されたワックス器具に基づいて、かつ咬合器を用いて、歯科技術者は、歯科修復物を手で準備することを続ける。例えば義歯の形の最終修復物の模型に相当する歯科用ワックスアップとして予備義歯が調製される。予備義歯は、例えば患者の無歯顎の軟組織上に置かれることができる。
【0005】
歯科医は次いで代ってこの予備義歯を受け、患者は別の予約のために予約をとらなければならず、そこでは予備義歯は患者により試されかつ歯科医により確認される。予備義歯が歯科医により最終的に修正を伴って是認されるとき、それは、最終歯科修復物を調製するために歯科技術者に戻される。
【0006】
しかし、ワックス器具を用いるこの手による調製は多数の欠点を持つ。例えば、それは非常に時間を消費する。なぜならば例えば歯科医が患者専用の適合物を仕上げたときにワックス器具は歯科技術者に送り戻されなければならないからである。さらに、最終修復物の精度は影響を受けるかもしれない。多くの手による工程は、少なくとも人為的要素によらないとしても、精度誤差の原因である。結果は患者に対して劣悪なものになりうる。
【0007】
従って、歯科補綴物の調製で望まれる費用減少を提供することが必要である。費用減少は、手による工程の数を減らすことにより達成されることができる。
【0008】
さらに、歯科技術者により調製される可能な製品の範囲は限られている。加えて、歯科修復物の適合及び確認に関するフレキシビリティは限られている。歯科医が歯科用ワックス器具から多過ぎる材料を切り取ったとき、工程はそっくり再度開始されなければならず、新しい歯科用ワックス器具が調製されなければならず、患者は多数の予約等のために予約をとらなければならない。
【0009】
米国特許第6814575(’575)号に開示されたような既知の計算機に基づいた方法は、かかる時間消費型手作業をなお必要とする。’575では、先に手で調製され、固定された手で決定された歯構成を持つ義歯が走査される。歯科インプラントの配置は、患者の歯茎、顎骨及び組織構造の、及び歯茎の上に置かれた手で調製された義歯の、走査データに基づいて、仮想計画される。インプラントは、走査された義歯の固定された位置に基づいて顎骨組織内に配置される。従って、’575に開示された方法は、手で調製された義歯の固定位置により限定される。’575の図5では、位置39で、参照義歯の入れ歯が走査される。このデータに基づいて、インプラントの位置が仮想計画内で選ばれる。’575の図15では、インプラントが調整され、走査されかつ手で調製された義歯(43,44)が固定されることが示されている。従って、この計算機に基づいた方法は、例えば歯科修復物の希望の結果を考慮するために歯科補綴物が調製されたら、歯構成の変更を可能にしないのでフレキシビリティに欠ける。さらに、義歯を手で調製する技術者に、義歯が歯茎の上に置かれるときに顔面組織の外観または位置に関連するデータが提供されない。従って、部分的に義歯に基づいた最終歯科修復物は接合または美感に関して患者のために最適でないかもしれない。
【0010】
従って、歯科補綴物を仮想計画するための及び/またはこの仮想計画に基づいて歯科補綴物に関連した構成要素のための製造データを提供するための改善された方法またはシステムは有利であるだろうし、特に増大したフレキシビリティ、費用効果、融通性、患者の快適性、及び/または歯科補綴物位置の最適計算を可能にすることは有利であるだろう。
【発明の概要】
【0011】
従って、本発明の実施態様は、好ましくは、上に識別したような従来技術の一つ以上の欠点、不利または問題を軽減し、緩和しまたは排除することを、添付された特許請求項による方法、システム及び計算機プログラムを提供することにより単独でまたはいずれかの組み合わせで探求する。
【0012】
計算機に基づいた仮想計画の実施態様は、包括的レベルで歯科修復物の希望の結果を考慮に入れる。希望の結果は、例えば顔面組織の希望の配向、または局所解剖学形状(ともに静止時のもの)、及び希望の歯科補綴物に対する顔面組織の他の位置(例えば笑ったときのもの)のようなパラメーターを考慮に入れることができる。従って、実際の歯科補綴物は、仮想計画により導出された歯科補綴物データに基づいて製造されることができる。この希望の配向または顔面組織の局所解剖学形状に寄与する歯科補綴物の支持表面は歯科補綴物の頬面上に顔面組織に向けて設けられる。この希望の結果を提供する希望の歯科補綴物のパラメーターは、例えば歯列弓に沿った修復歯の位置、修復歯の長さ及び/または傾き等を含む。仮想計画の希望の結果は支持表面の希望の配向に基づいており、支持表面は次に、特にこの希望の支持表面をエミュレートする、エンベロープガイドからのデータに基づいている。本明細書に使用される用語「エンベロープガイド」は以下により詳細に規定される。
【0013】
この目的のために、患者のために特別に調製されかつ患者の特別な歯科状況に適合されたエンベロープガイドは、歯科修復物の希望の結果のためのエンベロープデータを提供するためにデジタル化される。エンベロープガイドは、歯科修復物の希望の結果を顔面組織に関して物理的にエミュレートするために適合されている。エンベロープガイドは、顔面組織のための支持表面を持つ外部エンベロープ部を含む。外部エンベロープ部は、歯科補綴物により提供される希望の結果に対応する表面を加工するために物理的に切り取られる。仮想計画時に、この支持表面からのデータは、仮想環境でのこの支持表面のエミュレーションを提供する。この態様では、顔面組織の内部表面は支持表面に対して希望の静止位置でエミュレートされることができる。顔面組織は静止及び他の配向(例えば笑うとき)の両方でエミュレートされることができる。
【0014】
従って、デジタル化されたとき、エンベロープデータはエンベロープガイドに基づいて提供される。エンベロープデータは、補綴物が患者の口腔内に設置されるときに希望の結果に関して歯科補綴物の仮想計画のための案内を提供する。
【0015】
従って、歯科補綴物は仮想計画され、その計画に基づいたデータから製造されることができ、この計画されかつ製造された補綴物は適合及び/または美感に関して患者のために最適である。
【0016】
本発明の第一態様によれば、歯科補綴物を仮想計画する計算機に基づいた方法が提供される。歯科補綴物を計画する方法は、患者の口腔の解剖学的状態の走査データを提供すること;及びエンベロープガイド(200)のエンベロープデータ(12)を提供すること、ただし前記エンベロープガイドは、エンベロープガイドが前記患者の前記口腔内に配置されるときに患者の顔面組織を希望の位置に支持するために配置された支持表面を持つエンベロープ部を含む;前記走査データ(10)に基づいて前記口腔内に顔面組織を支持するための歯科補綴物を仮想的にシミュレート(14)すること;エンベロープデータ(12)から、前記口腔の前記走査データ(10)に関してエンベロープ部の支持表面を仮想シミュレートすること;シミュレートした歯科補綴物の表面がエンベロープ部のシミュレートした支持表面に対応するように前記歯科補綴物を仮想的に調整(18)すること;及び前記仮想的に調整した歯科補綴物に基づいて歯科補綴物データを発生すること、ただし前記歯科補綴物データが前記歯科補綴物を製造するために使用可能である;を含む。
【0017】
本発明の第二態様によれば、患者の歯科補綴物を仮想的に計画するための計算機に基づいたシステムが提供される。歯科補綴物を計画するためのシステムは、患者の口腔の解剖学的状態の走査データを処理するのに適合した処理装置を含む。走査データは、システムの一部であることができる好適な走査装置または様式により提供されることができる。処理装置はさらに、エンベロープガイドのエンベロープデータを処理し、ただし前記エンベロープガイドは、エンベロープガイドが前記患者の前記口腔内に配置されるときに患者の顔面組織を希望の位置に支持するために配置された支持表面を持つエンベロープ部を含む;前記走査データに基づいて顔面組織を前記口腔内に支持するための歯科補綴物を仮想的にシミュレートし;エンベロープデータから、前記口腔の前記走査データに関してエンベロープ部の支持表面を仮想的にシミュレートし;シミュレートした歯科補綴物の表面が前記口腔に関してエンベロープ部のシミュレートされた支持表面に対応するように前記歯科補綴物を仮想的に調整し;かつ前記仮想的に調整された歯科補綴物に基づいて歯科補綴物データを発生する、ただし前記歯科補綴物データが前記歯科補綴物を製造するために使用可能である;のに適合されている。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、歯科補綴物に関連した構成要素のための製造データを提供する方法が提供される。この方法は、上に列挙しかつ歯科補綴物の少なくとも一部分またはそれに関連した要素を製造するための仮想計画に基づいた製造データとして歯科補綴物データを提供する第一態様の方法を含む。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、計算機により処理するための、患者の歯科補綴物を仮想的に計画するための計算機プログラムが提供される。この計算機プログラムは、患者の口腔の解剖学的状態の走査データを処理すること;エンベロープガイドのエンベロープデータを処理すること、ただし前記エンベロープガイドは、エンベロープガイドが前記患者の前記口腔内に配置されるときに患者の顔面組織を希望の位置に支持するために配置された支持表面を持つエンベロープ部を含む;前記走査データに基づいて前記口腔内の顔面組織を支持するために歯科補綴物を仮想的にシミュレートすること;エンベロープデータから、前記口腔の前記走査データに関してエンベロープ部の支持表面を仮想的にシミュレートすること;シミュレートした歯科補綴物の表面が前記口腔に関してエンベロープ部のシミュレートした支持表面に対応するように前記歯科補綴物を仮想的に調整すること;及び前記仮想的に調整された歯科補綴物に基づいて歯科補綴物データを発生すること、ただし前記歯科補綴物データは前記歯科補綴物を製造するために使用可能である;のための命令セグメントを含む。
【0020】
希望の歯科補綴物は、少なくとも一つの仮想歯またはシミュレートされた軟組織表面を含むことができる。シミュレートされた軟組織表面は、例えば希望の歯科補綴物のシミュレートされた外部頬側歯茎表面、舌側歯茎表面または歯肉または口蓋の(内部の)または舌側(外部の)歯茎表面である。
【0021】
実施態様では、計算機プログラムは、計算機読み取り可能な媒体上で具体化され、及び/または本発明の第一態様による方法の実行を可能にし、及び/または本発明の上記第二態様のシステム内で実施される。
【0022】
本発明のさらなる実施態様は従属請求項に規定され、そこでは本発明の第二及びその後の態様の特徴は第一態様を準用する。
【0023】
本発明のある実施態様は、歯科設計の一貫した予め決定された結果を与える。従来のように歯科補綴物の設計及び製造に関係した複数の人による手の調整に基づいた当て推量は排除される。
【0024】
ある実施態様は、特に無歯の患者での歯科修復物の容易な仮想計画を与える。
【0025】
ある実施態様は、歯科修復物のより効果的な設計を与え、本発明のある実施態様は、従来技術と比べると増大した歯科設計のフレキシビリティを与える。ワックスプレートの形で提供されるような患者の解剖学的状態及びエンベロープガイドのデジタル化は、改善されたフレキシビリティを与える。このように利用可能でかつ仮想環境を可能にするために提供されたデジタルデータは、例えばブリッジフレーム枠を持つ歯科補綴物のような構成要素、及び一つ以上の歯科インプラントを含む歯科修復物の仮想計画に基づいた改善された歯科設計における融通性を与える。
【0026】
ある実施態様は、例えば歯科補綴物の計画及び製造のための手による工程数の最小化のおかげで、歯科設計の改善された精度を提供する。例えば石膏模型の使用に関連して従来必要だった手の工程は排除されることができる。
【0027】
ある実施態様は、例えば患者適合に関して顎骨組織内の歯科インプラントの位置の最適化された計算、及び/または例えば歯科補綴物が患者に設置されるときの快適な微笑外観のような患者のための重要な問題に関する美感を提供する。
【0028】
ある実施態様は歯科設計の繰り返しの調整及び確認を与える。これは、例えばワックスアップ器具からの誤った過度の切り取りは、器具が捨てられなければならなかったことや新しい器具が時間消費態様で手で作られなければならなかったことを意味したので、これまで可能でなかった。
【0029】
ある実施態様は改善された時間効率を提供する。デジタルデータは歯科医の場所から歯科技術者の場所へ送られることができる。後者の場所は遠くであることができる。歯科技術者は、そのとき歯科医による確認のために物理的模型を製造することができる。これに代えて、歯科模型の製造は歯科医の場所で実行可能である。この手法は従来技術の手による方法より時間効果的である。
【0030】
ある実施態様は、美観的に心地良い歯科修復物のより効果的な作成を提供する。患者は、例えば快適な微笑を提供するために、希望の態様で顔面組織を支持する歯科補綴物を備えることができる。
【0031】
ある実施態様は、軟組織及び顔面組織を含む歯科修復物の予備視覚化を提供し、それは美容術の場合に特に有利である。
【0032】
ある実施態様は、歯科医での減少した患者時間、修復物の正確な適合、減少した費用、美感考慮に関する歯科修復物の満足な結果、希望の結果の計画のフレキシビリティ等のおかげで、増大した患者症例の受け入れを提供する。
【0033】
ある実施態様は、歯科設計の仮想計画に基づいた製造データから製造されることができる増大した数の種々の製品または構成要素を提供する。この製品は、一時的な製品、歯科ブリッジフレーム枠、ドリル案内歯科手術のための手術テンプレート等を含む。歯科模型の手による製造、またはかかる模型のデジタル化のような中間工程が減らされるので、誤りの原因の数もまた減らされ、これらの歯科補綴物及び製品または構成要素の精度が改善される。
【0034】
ある実施態様は一時的な製品を作るための製造データを提供する。
【0035】
本発明の実施態様は、例えば誤りがちな手法であった写真から分離された微笑データを考慮しまたは提供する必要性を排除する。
【0036】
本出願の文脈内においてエンベロープガイドは、特に口唇組織及び/または頬組織のような顔面組織のための歯科補綴物の支持表面の歯科補綴物の希望の特徴の移転のために口腔内に受け入れるために適合されている。エンベロープガイドは、顔面組織のための支持表面に対応するエンベロープ部を持ち、この支持表面は、歯科補綴物が患者の口腔内に設置されるときにもたらされることが望ましい。このエンベロープ部に基づいて、エンベロープデータは、口腔内の希望の歯科補綴物の支持表面、または外部エンベロープの少なくとも一部をシミュレートするために提供可能である。
【0037】
希望の位置の顔面組織の位置は、顔面組織及び口腔の解剖学的状態に関して作られるエンベロープガイドの形状により物理的に記録される。顔面組織の位置は、歯科補綴物が患者の口腔内に設置されるときの結果をシミュレートするためにエンベロープガイドに移転される。頬側の、または半径方向外向きに配向した、表面、すなわちエンベロープガイドの顔面側はエンベロープ部と呼ばれ、特にこの表面情報を提供する。さらに、エンベロープガイドは、例えば特定の歯または歯空間の、または例えば希望の微笑線の形の静止していないときの顔面組織の希望の位置のための、マーキングを含むことができる。微笑線は、患者が笑うときにどのように歯の大部分が見えるかの線を規定する。さらに、微笑線は、歯間乳頭の大部分、すなわち歯間空間内の歯肉の一部が、患者が笑うときにどのように見えるかを提供することができる。この希望の微笑線に基づいて、微笑線データが歯科補綴物の仮想計画のために提供される。
【0038】
エンベロープガイドは、ワックス、高分子材料、またはそれらの組み合わせ、または顔面組織位置のような設計パラメーターの移転のためにエンベロープガイドの形状の整復を可能にする同様な展性材料から作られることができる。
【0039】
このエンベロープガイドは、診断目的のために、例えば試義歯または予備義歯の形で、例えば歯科技術者によりワックス材料から調製された、歯配列を含む歯科修復物の模型である診断上の歯科ワックスアップ器具と混同されるべきでない。エンベロープガイドは、咬合情報のみが利用可能である咬合床でもない。
【0040】
エンベロープガイドの支持表面、外部境界、または外部エンベロープは、口唇組織または頬組織のような顔面組織に向いて、実質的に頬側に、または歯列弓の半径方向外向きに配向した外部エンベロープ表面である。外部エンベロープは患者の咬合面に実質的に直角に配向されている。外部境界は顔面組織のための支持表面を提供する。外部境界は、例えばエンベロープガイドの切り取りまたはそうでなければその形状を処理することにより、顔面組織のための希望の支持表面に形成される。
【0041】
さらに、マーキングは、歯科修復物の希望の結果のさらなるパラメーターのために外部境界内に作られることができる。すなわち希望の構造の空間的位置または範囲がマークされ、そのためのデータ、例えば微笑線、歯列弓に沿ったある歯の位置等を提供する。
【0042】
エンベロープガイドが、例えば表面スキャナー、X線画像化、またはMR,CTを含む容積的走査によりデジタル化されるとき、この表面位置及び配向、並びにパラメーター情報は、歯科補綴物の仮想計画のためのエンベロープデータとして、少なくとも計画を改善するためのガイダンスとして利用可能である。
【0043】
実施態様は、上顎軟組織等により以下に説明されるが、下顎骨、下顎骨の軟組織等、それらに関連したいずれの歯列弓及び軟組織にも同様に適用可能であることができる。
【0044】
この明細書で使用される用語「含む/含んでいる」は、述べられた特徴、整数、工程または要素の存在を特定するものとして取られるが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、要素またはそれらの群の存在または追加を排除しないことは強調されるべきである。
【0045】
本発明の実施態様が可能なこれらの及び他の態様、特徴及び利点は、添付図面を参照した本発明の実施態様の以下の説明から明白であり、かつ解明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、歯科修復物を仮想的に計画し、歯科修復物のための構成要素を製造する方法のフローチャートである。
【0047】
【図2】図2は、計算機プログラム及びシステムの概略図である。
【0048】
【図3A−3C】図3A−3Cは、取り入れられた走査データに基づいた仮想環境での上顎及び下顎の部分の正面透視図、立面透視図、及び断面図である。
【0049】
【図4A−4C】図4A−4Cは、境界情報を提供するためのワックスプレートの形のエンベロープガイドを含む、図3A−3Cと同様の図である。
【0050】
【図5】図5は、仮想的に配置されたマーカーを含む、図4Aと同様の正面透視図である。
【0051】
【図6】図6は、仮想的に輪部を描かれた解剖学的に固定された標識点を含む図3−5の無歯上顎の下からの透視図である。
【0052】
【図7A−7C】図7A−7Cは、歯科修復物のための歯ライブラリーからの仮想的に配置されたマーカー及び仮想的に配置された歯を含む図4A−4Cと同様の図である。
【0053】
【図8A−8C】図8A−8Cは、エンベロープガイドに基づいた境界情報に関して歯位置の仮想調整の図を含む、図6,7B及び7Cと同様の図である。
【0054】
【図9A−9C】図9A−9Cは、歯科インプラントの仮想的に計画された位置を含む、図8A−8Cと同様の図である。
【0055】
【図10A−10D】図10A−10Dは、試適補綴物を含む、仮想計画から提供された製造データに基づいた要素の透視図である。
【0056】
【図11】図11は、歯科ブリッジフレーム枠の透視図である。
【0057】
【図12】図12は、手術ドリルテンプレートの透視図である。
【0058】
【図13A−13B】図13A−13Bは、固定要素を持つエンベロープガイドの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明の特定の実施態様が今や添付図面に関して述べられるであろう。しかし、本発明は多くの異なる形で実現されることができ、ここに記載された実施態様に限定されるものとして解釈されるべきでなく、むしろこれらの実施態様は、この開示が完璧及び完全でありかつ本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。添付図面に示された実施態様の詳細な説明に使用された用語は、本発明の限定であることを意図していない。図面において、同様の数字は同様の要素を示す。エンベロープガイドは、例示目的のみのために図面の幾つかで透明または陰影なしに示されている。
【0060】
図1は、歯科補綴物を仮想的に計画する方法1のフローチャートである。方法1はまた、この方法を使用して計画された歯科補綴物の設置を含む歯科修復手順の計画を含むことができる。歯科補綴物は、前もって仮想的に計画された手順に対応する実際の歯科修復手順内で設置されることができる。手順中に、歯科医は、例えば手順を仮想的に計画する方法により提供された製造データから作られた手術用テンプレートを使用することができる。
【0061】
より詳細には、実現された方法1は、患者の歯科補綴物を仮想的に計画する少なくとも部分的に計算機に基づいた方法である。
【0062】
方法1は、患者の口腔の解剖学的状態のための走査データを提供すること10;顔面組織のための希望の歯科補綴物の支持表面に対応するエンベロープガイドのエンベロープ部のエンベロープデータを提供すること12、ただしこの支持表面は、歯科補綴物が患者の口腔内に設置されるときに顔面組織が希望の結果に配向されることを提供する;エンベロープデータに基づいた口腔内の希望の歯科補綴物の外部エンベロープを仮想的にシミュレートすること14;及び外部エンベロープに関して希望の歯科補綴物を調整すること18を含む。
【0063】
希望の歯科補綴物は、仮想歯またはシミュレートされた軟組織表面のうちの少なくとも一つを含むことができる。シミュレートされた軟組織表面は、例えば希望の歯科補綴物のシミュレートされた外部頬側歯茎表面220、舌側歯茎表面221、または内部口蓋歯茎表面225または外部口蓋歯茎表面226である。図7C参照。
【0064】
この方法は、少なくとも一つの仮想歯を提供すること16を含むことができる。
【0065】
この方法はまた、工程12でそのエンベロープデータを提供する前に患者の口腔内にエンベロープガイドを作ることを含むことができる。エンベロープガイドは、例えば多数の予備製造されたエンベロープガイドから選ばれた未加工形態で提供されることができる。特定の患者のために好適なエンベロープガイドが選ばれ、それが歯列弓の少なくとも一部に沿った上顎及び下顎に対してもたれかかるように患者の口腔内に配置される。エンベロープガイドは次いで歯科医によりその位置で作業され、最終エンベロープガイドが特定の患者への適合により作られる。特に、口唇支持表面のような顔面組織のための患者に特有の頬側支持表面が作られる。さらに、患者への適合時にマーキングが歯科医により刻まれる。特定のマーキングは以下により詳細に述べられる。
【0066】
一実施態様では、この方法は、歯ライブラリーを用いて歯構成に基づいた歯科補綴物を仮想的に計画することを含む。この方法は、前記歯ライブラリーから少なくとも一つの仮想歯を提供することを含む。この方法はさらに、ライブラリー歯がエンベロープガイドにより規定された外部境界に対して置かれるように、歯構成のために歯ライブラリーからの少なくとも一つのライブラリー歯の位置を調整することを含む。エンベロープガイドの外部輪郭は、最終歯科修復物の希望の位置の大ざっぱな見積もりを提供し、かつ歯科修復物の正確な計画を案内するためのデジタル化された形の入力として使用される。従って、エンベロープガイドの外部輪郭は、歯科修復物の歯科補綴物の頬側配向が目ざす目標案内表面を提供する。
【0067】
この方法は以下により詳細に述べられる。特に図7Cと9C及び以下の対応本文参照。
【0068】
製造データがこの仮想計画に基づいて提供されるとき、それは工程20により示されるように、歯科補綴物、歯科修復物に関連した要素または構成要素を製造するために使用されることができる。
【0069】
図2は、方法1を実施するための計算機プログラム61及びシステム6の概略図である。システム6は、歯ライブラリーに基づいた歯構成を仮想的に計画するために計算機に基づいている。システムは、ライブラリー歯がエンベロープガイドのエンベロープデータにより規定された外部境界に関して置かれるように、歯構成のための歯ライブラリーから少なくとも一つのライブラリー歯の位置を調整するために適合した処理装置62を含む。処理装置は、計算機プログラム61を実行するために実施される。計算機プログラム61は計算機読み取り可能な媒体60上で実現される。
【0070】
計算機プログラム61は、患者の口腔の解剖学的状態のための走査データを処理する第一命令セグメント63を含む複数の命令セグメントを含む。第二命令セグメント64はエンベロープガイドのエンベロープデータを処理し、そこではエンベロープデータはエンベロープガイドのエンベロープ部のデータを含む。エンベロープ部は顔面組織のための希望の補綴物の頬側支持表面に対応し、この支持表面は、歯科補綴物が患者の口腔内に設置されるときに顔面組織が希望の位置に配向されることをもたらす。第三命令セグメント65は、エンベロープデータに基づいた口腔内の希望の歯科補綴物の外部エンベロープをシミュレートする。第四命令セグメント66は少なくとも一つの仮想歯を提供し、この仮想歯は、第五命令セグメント67によりシミュレートされた外部エンベロープに関して調整される。
【0071】
計算機プログラム61は、システム6の計算機の処理装置62により処理するために、歯ライブラリーに基づいた歯構成を仮想的に計画することを含むことができる。計算機プログラム61は、この実施態様では、仮想環境での歯構成のために歯ライブラリーからの少なくとも一つのライブラリー歯の位置を調整するために特定の第五命令セグメントを含む。この態様では、ライブラリー歯は、エンベロープガイドにより規定された外部境界に関して置かれるために調整される。
【0072】
命令セグメント67からの出力データは、実際の歯科修復物での仮想的に計画された歯科設計を実施するために歯科修復物に関連した要素の製造のための命令セグメント68内で製造データを提供することができる。
【0073】
方法、システム及び計算機プログラムは、図3〜12を参照して以下にさらに詳細に述べられる。
【0074】
図3A,3B,3Cには、上顎100及び下顎110の部分が、取り入れられた走査データに基づいた仮想環境で示されている。走査データは患者の解剖学的状態のための情報を提供する。走査データはX線、例えばMR,CTのような容量走査、及び/または表面走査の印象から提供されることができる。走査データは患者の口腔の顎骨組織及び軟組織のための情報を提供する。例えば走査に基づいた印象トレーは、歯肉軟組織、及び/または残っている歯の外表面のための走査データを提供し、例えばCT走査は顎骨組織のための走査データを提供する。組み合わされたデータは、解剖学的状態を表わす単一走査データに併合されることができ、それは例えば本出願と同じ出願人のヨーロッパ特許出願EP0900666.55または国際PCT出願WO2008/083857に記載されており、それらは全ての目的のためにその全体を参照としてここに組み入れられる。
【0075】
印象トレーを使用することから導かれたそのデータはこの患者の歯科修復物の希望の結果に関する情報を提供しないことは認められるべきである。解剖学的データのみがそれ自体解剖学的状態の情報を含む。口唇組織または頬組織のような顔面組織に関連した情報またはデータ要素は、印象が取られるときに印象トレーが通常口腔から伸び、従って顔面組織がその静止または微笑位置から離れるように押されるので、走査データに基づいた印象トレーを提供することができない。しかし、口腔内の骨組織及び歯肉組織の事実上の解剖学的状態のための情報は、印象トレーを使用するときに高精度で提供される。
【0076】
図3A,3B,3Cの例示された例では、無歯上顎が示され、一方下顎は残っている歯111を持つ。
【0077】
図4A,4B,4Cは、走査データに基づいた解剖学的表示、及び境界情報を提供するためのエンベロープガイド200の表示を含む、図3A−3Cと同様の図である。図4Cは、エンベロープガイド200の表示を示す概略図であり、それは、例えばエンベロープガイド200を表面走査、X線撮像、またはMR,CTを含む容量走査することによりエンベロープガイドから好適に発生された入力データに基づいている。
【0078】
エンベロープガイド200は特定の患者の口腔の解剖学的形状に対して調整される。エンベロープガイド200は、顔面組織に関しても情報を移転するために患者の口内に全体的に置かれる。エンベロープガイド200は口腔の解剖学的構造に隣接して置かれる。さらに、エンベロープガイドは、口腔の特定の形状に実質的に補完的な形状である表面を持つ。エンベロープガイドの一部は、例えば図4Cの例に示されたような上顎及び/または下顎の隆起に一致し、そこではエンベロープガイド200の上部205は上顎軟組織101の外表面の形状に並びに下顎歯111の咬合部に補完的な形状を持つ。
【0079】
エンベロープガイドは、歯科修復物に関して顔面組織に関する希望の結果を達成するために通常は患者と対話している歯科医によって、例えばそこから材料を除去する、及び/または材料を造り直す、及び/または材料を追加することにより、患者の特定の条件に対するその外部形状の適合を可能にする材料から作られる。この態様では、例えば図4Cに点線により示されるように、希望の口唇支持表面206が作られる。
【0080】
エンベロープガイド200は、走査されたとき、そのエンベロープデータを提供する。エンベロープデータはエンベロープガイドのエンベロープ部のデータを含む。エンベロープ部は顔面組織のための支持表面に対応し、それは、歯科補綴物が患者の口腔内に設置されるときに顔面組織が希望の位置に配向されることをもたらす。顔面組織のための支持表面は、図4Cに点線により示されるように口唇支持表面206を含むことができる。
【0081】
エンベロープガイドの残りの部分はその残りの部分のエンベロープデータを提供する。例えば、例に示されるように、エンベロープデータの一部は上顎軟組織の外表面の形状のための情報を提供する。他の部分は、図4Cに歯111に隣接して示されているように、歯列弓に隣接してかつそれに沿って配置されているエンベロープガイド200の咬合部に関するデータを提供することができる。この態様では、エンベロープガイドのエンベロープデータは、例えばエンベロープガイド及び口腔の共通咬合部に、または上顎軟組織の共通外表面に基づいて、走査データとマッチングするための固定された空間関係を持つ。
【0082】
図13A,13Bに示されるように、エンベロープガイド200は、少なくとも部分的に解剖学的走査データに基づいて計画及び/または製造されるユニットまたは集成装置として提供されることができる。エンベロープガイド200は、半製造物品として、または完成製品として提供されることができる。エンベロープガイド200は、フレーム枠260、及びワックスにより作られたような縁280を含むことができ、この縁はフレーム枠260に取り付けられている。
【0083】
フレーム枠260は、患者の歯茎に対して配置される内部口蓋部を持つ。解剖学的走査データに基づいて、内部口蓋部は患者専用とされることができ、それは患者の適合、患者の快適等を含む種々の理由のために有利である。フレーム枠260は縁280なしに作られることができ、それは次いでそれに取り付けられる。
【0084】
フレーム枠260はアクリル材料から作られることができる。フレーム枠260は、患者の歯茎にもたれかかる安定な部分である。
【0085】
縁は、予め製造されたフレーム枠260に手で適合されるブロックとして提供されることができる。縁はエンベロープガイドの前述のエンベロープ部を含む。縁は、図13Aと13Bに示されるような、フレーム枠から延びる一つ以上の固定要素270によりフレーム枠260に取り付けられることができる。
【0086】
フレーム枠260は、歯科補綴物と同様の方法で計画されかつ製造されることができる。デジタル化された外部軟組織表面は、フレーム枠260の対応する内部表面を規定する。口腔の内部にかつ口唇組織に向けて配向された対向表面は、フレーム枠260のためのCAD対象物を提供するために、軟組織表面からオフセットにより作られることができる。これはフレーム枠の十分な剛性及び良好な患者の適合を提供する。
【0087】
固定要素270はフレーム枠260と同じ製造工程で、例えば高速原型作成法により作られることができる。これに代えて、固定要素はフレーム枠260に別個に取り付けられることができる。
【0088】
固定要素270は、エンベロープ部を固定するために第一方向に延びる。固定要素270はさらに、その一部に沿って第二方向に延びることができる。これは、エンベロープ部(すなわち縁280)のフレーム枠260への改善された固定を提供する。
【0089】
固定要素はフレーム枠からの突起として延びることができる。突起は均一な対象物として設けられることができる。これに代えて、または追加して、複数のより小さな対象物が固定要素として設けられることができ、それらは縁280のフレーム枠260への取り付けを、例えばフックとループのファスナーの形式で容易になる。
【0090】
方法1は、走査データの少なくとも一部に基づいて、エンベロープガイド200のためのフレーム枠260を設計することを含むことができる。この方法は、任意選択的にエンベロープ部を固定するために第一方向に延びる前述の固定要素270を少なくとも一つ持つフレーム枠260を提供することを含むことができる。
【0091】
フレーム枠260は、フリーフォーム技術、例えば高速原型作成技術から既知の3Dプリンターを使用して作られることができる。これは歯科技工所でなされることができる。
【0092】
ブロック280は、次いでフレーム枠に、例えば歯科技工所で取り付けられることができる。ブロックは、ワックスから、しかし高分子材料のような他の展性材料からも、またはそれらの組み合わせからも作られることができる。
【0093】
これに代えて、フレーム枠は固定要素なしに作られることができる。
【0094】
これに代えて、縁280の一部がフレーム枠260と一緒に作られることができる。フレーム枠260及び縁部は単一の一体片で作られることができる。フレーム枠260及びワックス縁部は、例えば高速原型製造法により同じ材料から作られることができる。
【0095】
フレーム枠260は基準マーカー250を備えることができる。基準マーカー250は、フレーム枠260自身と同じ製造工程で作られることができる。例えば、基準マーカーは空気充填空洞として設けられることができる。空洞は高速原型作成工程で作られることができる。
【0096】
エンベロープガイドはデジタルエンベロープデータに変換され、それは、口腔内の歯科修復物の計算機に基づく仮想計画のために図4A−Cに示された模型を提供する走査データと組み合わせられる。
【0097】
上述のように、例えば基準マーカーを持つ印象トレーから与えられた走査データは、口腔の表面のためのデータを含む。口腔内及び別個に表面走査による両方で印象トレーを走査することにより、かつ両走査で走査された基準マーカーを使用することにより、顎骨組織に対する口腔の表面の位置が知られる。また、エンベロープガイドのエンベロープデータは、エンベロープガイド及び口腔の接触補完表面に基づいた走査データに対して固定された空間関係を持つ。補完表面は、例えば残る歯とエンベロープガイドの対応する補完表面、または歯茎表面とエンベロープガイドの対応する補完表面のかみあい部に一致する。エンベロープガイドを表面走査することにより、エンベロープデータは補完表面のためのデータを含み、そのデータは走査データ内に包含され、エンベロープデータと走査データの突き合わせ及び続いての併合を可能にする。加えて、または代替的に、エンベロープガイドは、上顎の軟組織に配置されたエンベロープガイドの部分に口腔の内側に向けて配向された表面に配置された三つの球状要素250により図4Cの例に示されたような、基準マーカーを含むことができる。かかるエンベロープガイドを身につけている患者を、例えばCTスキャナーまたは円錐光線束CTスキャナーにより走査することにより、補完表面間の関係が、印象トレーの必要なしに上述と同様の方法で決定されることができる。
【0098】
エンベロープデータは、一致する補完表面を見出すための既知の表面突き合わせ技術に基づいた走査データと併合されることができる。エンベロープデータは、かみあい部、及び/または歯茎表面及びエンベロープガイドの対応する補完表面に基づいて突き合わされた表面であることができる。
【0099】
エンベロープガイド200は、患者への適合時に歯科医により刻まれたマーキング201,202,203,204を含む。
【0100】
マーキングは例えば希望の微笑線のための第一マーキング201を含み、それは、患者が笑うときに歯のどのくらい大きな部分が見えるかの線を規定する。さらに、微笑線は、患者が笑うときに歯間乳頭が見えるかどうか、そしてどのくらい大きな部分が見えるかを与えることができる。従って、第一マーキング201は、この希望の結果に関して仮想歯を正しく配置及び寸法決定するための方策を提供する。
【0101】
マーキングはさらに、中心切歯位置、すなわち歯の正中線とも呼ばれる中切歯間の切端線位置のための第二マーキング203を含む。マーキングはさらに、エンベロープガイドの左右犬歯の希望の位置のための第三マーキング202及び第四マーキング204を含む。
【0102】
マーキング201〜204は歯科医の経験に基づいて作られる。微笑線は患者との対話で、例えば低い、平均的な、または高い微笑線でマークされることができる。微笑線の希望の位置はエンベロープガイドにマークされ、その長さに関してライブラリー歯の選択のための基礎を提供する。中心切歯位置、及び犬歯の希望の位置は、歯列弓に沿った正しい位置に歯ライブラリーからの歯を配置する情報を提供する。これらのマーキングは、以下に説明されるように、特定の実施態様を利用する。
【0103】
従って、エンベロープガイドは、境界情報要素、特に静止口唇支持体の空間配向、歯に対して配置されることが望ましい微笑線の範囲、並びに歯の傾き及び/または長さのための情報、かかる歯のセメントエナメル接合部の位置、並びに歯列弓に沿った特定の歯の位置のための境界情報要素を提供する。セメントエナメル接合部は、エナメルがセメント質と会う歯の場所であり、それは歯根を覆う。歯科補綴物では、これは補綴物歯エナメルの補綴物歯肉への接合部である。さらに、歯間乳頭の位置は、エンベロープガイドに基づいた境界情報要素により提供されることができる。
【0104】
図5は、中心切歯位置及び犬歯の希望の位置にそれぞれ配置されている仮想的に配置されたマーカー210,211,212を含む、図4Aと同様の図である。
【0105】
仮想的に配置されたマーカーは空間内の固定点として使用される。歯ライブラリーからの歯はこれらの固定点に関して調整される。固定点は、仮想計画システムまたはソフトウエアのグラフィック環境の座標系で手で点をマーキングすることにより作られる。これらの点は、特定の歯が配置されるところを規定するためにマークされる。これは、マーキングが歯科医によりエンベロープガイド内に作られる態様から独立するためになされる。各歯科医は、歯設計パラメーターをマーキングするための特定の方法、例えば種々の異なる刻み道具を使用する、マーキングを異なる深さに作る、マーキングをエンベロープガイドの上または下部縁に対して異なるように配置する等の方法を持つ。仮想計画時に仮想マーキングを設けることにより、エンベロープガイドに基づいた歯の位置(歯設計パラメーター)の誤りまたは混乱が避けられる。
【0106】
従って、仮想計画方法は、エンベロープガイド内のマークされた希望の歯の位置を自動的に検出する場合におけるより計算機に対する要求が少なくなり、信頼性が高くなる。
【0107】
さらに、これは、歯構成の設置のより速い方法を提供する。実際の例では、例えば左犬歯の冠状端の空間内の位置は、第一位置であるように仮想的にマークされ、次いで中心切歯線の位置は、第二位置であるように仮想的にマークされる、等である。
【0108】
仮想マーカー210,211,212は球状マーカーとして示されているが、線、円筒などの他の形状を持つことができる。マーカー210,211,212は、エンベロープガイド200のより粗いマーキング201〜204に基づいて、中心切歯位置、及び/または犬歯の希望の位置のような少なくとも一つのライブラリー歯の希望の位置に関する位置のためのより正確な情報を提供する。
【0109】
図6は、骨組織160内の仮想的に輪郭を描かれた解剖学的に固定された標識点151,152,153を含む図3〜5の無歯上顎100の下からの透視図である。標識点151,152,153は、歯構成のライブラリー歯(単数/複数)の位置の調整の前に解剖学的に固定された頭蓋参照点に基づいた一つ以上のライブラリー歯を初めに配置するための解剖学的に固定された頭蓋参照点として使用されることができる。
【0110】
この方法は、患者の少なくとも部分的に無歯の上顎及び/または下顎に関して希望の歯科補綴物の仮想的調整を実施する実施態様を含む。
【0111】
歯ライブラリーからライブラリー歯を配置する方法は、本出願と同じ出願人のWO2008/145293に開示されており、それは全ての目的のためにその全体を参考としてここに組み込まれる。WO2008/145293に開示された方法は、無歯顎の歯列弓に沿って特定の歯の位置を決定するため、及び咬合線を決定するための解剖学的に固定された標識点に基づくことができる。
【0112】
それ故に本発明の実施態様はさらに、例えばライブラリー歯の初期位置を調整するための顔面軟組織の希望の位置を考慮することにより、その初期位置からのライブラリー歯の位置決定を改善する。上述のように、ライブラリー歯の位置は、傾き及び/または希望の長さに関して調整されることができる。加えて、または代替的に、歯は、かかる歯に沿ったセメントエナメル接合部の希望の位置を持つように歯ライブラリーから好適に選ばれることができる。さらに、補綴物歯間乳頭の位置は、前述の境界情報要素に基づいて希望のように選ばれることができる。
【0113】
このようにして、解剖学的にかつ美観的に適切な歯構成が仮想計画に提供される。歯に対して静止したときの顔面組織は、仮想計画からのデータに基づいて患者の口腔内に設置されたとき、顔面組織及び/または顔面組織に関する補綴物の希望の美観的に適切な外観を提供する。最終結果は、計算機に基づいた仮想環境でシミュレートされ、かつ最終歯科修復物のための要素を製造する前に確認されることができる。
【0114】
確認は、例えば仮想計画からの製造データ出力から作られた予備義歯によりなされることができる。歯科修復物を計画する方法は歯の計画及びインプラントの計画を含む。手術テンプレートまたはブリッジフレーム枠(それはライブラリーに基づくことができる)のような他の構成要素が提供される。ブリッジフレーム枠は仮想歯及び軟組織に適合される。
【0115】
この仮想計画に基づいて、仮想計画がうまくなされたかどうかをチェックするために、予備義歯の形の歯科補綴物が例えば高速原型作成技術により作られることができる。全てのデータが既にシステム内で利用でき、歯科補綴物、例えば予備義歯のための製造データが計算機に基づいた環境内で容易に発生される。予備義歯は、仮想計画を終了して最終歯科補綴物を製造する前に確認目的のために提供される。
【0116】
予備義歯が患者内に設置される。歯科医は、今や、口唇支持が希望のようであるかどうか、微笑線が希望のようであるかどうか、等をチェックすることができる。患者または歯科医は、今や、この確認から得られた情報に基づいて仮想環境内で変化をなすことができる。
【0117】
予備義歯はこの確認時にのみ使用されることができ、または予備義歯は、最終補綴物が製造されかつ患者内の設置のために準備がされるまで患者内に残される一時的な補綴物であることができる。
【0118】
予備義歯は例えば軟組織により支持された義歯であることができ、または予備義歯は患者内の歯科インプラントにより支持されることができる。後者の場合、手術テンプレート及び予備義歯が作られることができる。歯科インプラントは、手術テンプレートを用いて患者内に設置される。次いで予備義歯は歯科インプラントに取り付けられる。予備義歯の形の歯科補綴物の正しい装着が患者によりチェックされかつ確認される。装着が良好である場合、最終歯科補綴物が作られかつ設置される。予備義歯が、歯科補綴物が満足できないことを示す場合、仮想計画はこの確認から得られた情報に基づいて調整される。歯科インプラントが今や患者内に設置されているので、歯科インプラントのブリッジフレーム枠に向けての連結界面は仮想計画環境内で固定される。
【0119】
たとえ仮想計画が再出発されかつ歯科補綴物が調整されたとしても、全てのデータが既に計算機に基づいたシステム内にあることは注目されるべきである。さらなるデータを取得する必要はない。しかし、連続した仮想計画は、固定されていない歯科補綴物のそれらの部分からなされるのみである。
【0120】
歯科インプラントがいくつかの実際的理由から希望の位置にインプラントされていない場合、それらの実際の位置での歯科インプラントの連結界面のためのデータが取得されることができる。これは、印象トレーにより連結界面の印象を取得すること、印象トレーを走査すること、及びインプラントの実際の位置及び配向のためのデータを入力するために計算機環境で軟組織に対して適合することによりなされることができる。今や歯科医は、もし希望するなら仮想計画を調整することができる。例えば、ブリッジフレーム枠は調整されることができ、または歯は調整されることができる。
【0121】
歯構成301の初期配置が図7A,7B及び7Cに示されている。初期配置計画は、手で、半自動的にまたは自動的になされることができる。歯構成301は、図7Cに断面で示された仮想歯302のような複数のライブラリー歯を含む。ライブラリー歯は、上顎100内に歯列弓を形成するように頂上に沿った好適な位置に配置される。初期配置は手でまたは自動的になされることができる。
【0122】
自動的に初期配置することは、例えばエンベロープガイド内に含まれかつ歯科医によりそこに配置されている特定のマーカーの認識に基づくことができる。例えば特定の形状及び/またはマーカーの位置は、この自動認識を容易にするために特定のタイプの歯、例えば犬歯の三角形状、門歯の四角形状等に関連させることができる。
【0123】
手で初期配置することまたは半自動的に初期配置することはマーカー210,211,212に基づくことができる。これに代えて、または追加的に、歯列弓内の初期配置は、上述の解剖学的に固定された標識151,152,153に、及び/または計算機に基づいた仮想環境内で好適な操作を実施する歯科医の経験に基づくことができる。
【0124】
見ることができるように、仮想歯302、並びに歯構成の残りの歯は、顔面組織の有利な支持を提供するためにシミュレートされた支持表面、またはエンベロープガイド200の「外部エンベロープ」に対して配置される。エンベロープガイド200はエンベロープを提供し、それに対してライブラリー歯が配置される。外部エンベロープは、ライブラリー歯302に対して希望の静止位置の顔面組織の内部表面に対応する。
【0125】
歯ライブラリーからの仮想歯302は、示されたように、外部エンベロープ内に厳密に配置されることができる。他の実施態様では、仮想歯302は外部エンベロープを交差して配置されることができる。これは、多数の理由、例えば解剖学的または美観的理由、限られた数のライブラリー歯、補綴物の強度、インプラントの可能な位置等の理由のために必要であることができる。仮想歯302の自動的な配置のために、歯302を外部エンベロープ内に配置することが有利でありうる。手での調整は、続く仮想計画時に仮想歯302のこの初期位置からなされることができる。
【0126】
このようにして、仮想歯302は、例えば図7Cに示されるように、エンベロープガイドに対して希望の傾きで及び希望の長さを持って仮想的に配置される。
【0127】
仮想歯302のこの初期配置は、最適な歯構成を提供するために調整されることができる。ライブラリー歯の位置、寸法及び/または形状は、例えば希望の微笑線を作るために調整されることができる。図8A,8B,8Cは、エンベロープガイド200の外部エンベロープに対する歯位置のかかる仮想調整を示す。例えば図8A及び8Bに長方形形状により示されるような歯構成全体のかかる仮想調整のために、または図8Cに示されるような単独歯の調整のためにドラッグ・アンド・ドロップマーカーが提供されることができる。
【0128】
ライブラリー歯の位置を調整することは、顎骨組織に対するライブラリー歯の長手方向軸の傾きを調整し、ライブラリー歯の冠状端(歯の先端歯根部に対向した前端)の顎骨組織の外表面までの距離を調整する実施態様に含まれる。調整は、希望の微笑線を作るためになされることができる。調整は、これに代えてまたは追加して、仮想歯が外部エンベロープに対して設けられるように仮想歯の空間位置、容積寸法、または長さについてなされることができる。
【0129】
ライブラリー歯の位置を調整するとき、それは、少なくとも一つのライブラリー歯の位置を確認すること、及び外部境界に関して少なくとも一つのライブラリー歯の位置を再調整することを含むことができる。
【0130】
今や、適切な修復位置が歯構成のために決定され、歯科インプラントの配置のような、歯科修復物のためのいかなる残りの要素または工程もこの出発位置から計画されることができる。
【0131】
図9A,9B及び9Cに示されるように、軸400,401,402,403,404,405により示されるような歯科インプラント450の位置は、歯構成内の歯の位置に対して調整される。歯構成の位置は固定され、続いて、歯構成に基づいて歯科修復物を固定するための少なくとも一つの歯科インプラントが仮想的に配置される。これは、自動的に、手により、または半自動的に実施されることができる。これは、例えば上述のWO2008/145293の開示によりなされることができる。
【0132】
仮想的に計画された歯構成に基づいた歯科修復物に関連する構成要素を製造するための製造データが提供される。図10A,10B,10C,10D,11及び12には、試用補綴物、一時的な補綴物、または最終的に軟組織に支持された補綴物500、歯科ブリッジフレーム枠600、及び手術ドリルテンプレート700を含む、仮想計画から提供された製造データに基づいている要素が示されている。予備義歯500または手術ドリルテンプレート700のようなこれらの要素の幾つかは高速原型作成またはフライス削り技術により製造されることができる。予備義歯500は、完全に自動的に製造されることができ、かつ歯科設計の確認を容易にする。予備義歯500は、患者の顎の石膏鋳造501に対して試し取り付けされることができる。より好ましくは、予備義歯500は、静止時の顔面組織の正しい位置、または微笑線を確認するために患者に試し取り付けされることができる。
【0133】
走査データの少なくとも一部は、前記希望の歯科補綴物の外部エンベロープの少なくとも一部と組み合わせることができる。一例は、試用補綴物、一時的な補綴物、または最終的に軟組織に支持された補綴物500である。ここで、表面走査された印象、模型または口内走査に基づくようなデジタル化された軟組織表面、すなわち患者専用表面が希望の歯科補綴物に基づいたCADオブジェクトと組み合わされる。二つの表面が組み合わされ、そこで一つの表面は補綴物を作るために患者専用である。CADオブジェクトの対応する表面のための軟組織データはライブラリーから提供されることができる。これに代えて、または追加して、軟組織データは図10Dの右に示されたようなモーフィングまたは手による調整によるような解剖学的患者データに基づいて拡大、縮小されることができる。矢印230により示されるように、表面226aのような修正された軟組織表面は、無歯上顎の骨再吸収に対して補償するように選ばれる。従って、口腔内の軟組織の自然局所解剖学は、仮想計画に基づいた補綴物により修復されることができる。軟組織は、10Dに示されるように顎骨の骨表面に関して修復される。ライブラリーは一つ以上のオブジェクトを含むことができる。オブジェクトは拡大、縮小されることができる。オブジェクトは、拡大、縮小可能である軟組織を含む。試用補綴物がまず製造されることができ、次いで患者に対して修正または採用されることができる。計画は、次いで最終補綴物を提供するために試用補綴物の再走査に基づいて更新されることができる。試用補綴物の断面が図10Dの左に示されている。試用補綴物、一時的な補綴物、または最終的に軟組織に支持された補綴物500は単一の一体ユニットで一体的に作られることができる。これに代えて、試用補綴物、一時的な補綴物、または最終的に軟組織に支持された補綴物500は、図10Dに示されたような幾つかの要素の組み立て体として製造されることができる。
【0134】
歯科ブリッジフレーム枠のための製造データは例えばカットバック技術により得られ、すなわち歯科補綴物の特定の部分が、ブリッジフレーム枠の寸法及び形状を受けるために歯の外側から出発して除去される。除去された部分は、次いで例えばブリッジフレーム枠が患者に設置されかつ歯科インプラントに取り付けられる前に化粧張りにより造り直される。
【0135】
歯ライブラリーから選ばれた歯は既知の形状を持つ。図11に示されたブリッジフレーム枠の形状に到達するために、ライブラリー歯の特定の部分が除去される、すなわちライブラリー歯は、ブリッジフレーム枠の形状に到達するためにカットバックされる。
【0136】
これに代えて、または追加して、ブリッジフレーム枠はブリッジフレーム枠のライブラリーから選ばれることができる。例えば歯構成に従うスプライン曲線(図示せず)が計算機環境で識別されることができる。同じかまたは同様のスプライン形態を持つブリッジフレーム枠がブリッジフレーム枠のライブラリーから選ばれることができる。歯構成が調整されるとき、ブリッジフレーム枠のライブラリーから選ばれたこのブリッジフレーム枠がそれに応じて調整される。
【0137】
歯科インプラントに向いたブリッジフレーム枠の連結界面は、好適に、例えばBranemark System(登録商標)連結界面のような特定のタイプのもので、かつ歯科インプラントに向いた配向と位置を持って選ばれる。
【0138】
ブリッジフレーム枠を製造するための製造データとして今やCADオブジェクトが提供されることができる。
【0139】
本発明は特定の実施態様に関して上述された。しかし、上述したもの以外の他の実施態様が本発明の範囲内で等しく実施可能である。ハードウエアまたはソフトウエアによりこの方法を実施する上述されたものとは異なる方法工程も本発明の範囲内で提供されることができる。本発明の異なる特徴及び工程が述べられたもの以外の組み合わせで結合されることができる。本発明の範囲は添付の特許請求項によってのみ限定される。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科補綴物を計画する方法(1)であって、前記方法が:
患者の口腔の解剖学的状態の走査データ(10)を提供すること;
エンベロープガイド(200)のエンベロープデータ(12)を提供すること、ただし前記エンベロープガイドは、エンベロープガイドが前記患者の前記口腔内に配置されるときに患者の顔面組織を希望の位置に支持するように配置された支持表面を持つエンベロープ部を含む;
前記走査データ(10)に基づいて前記口腔内の顔面組織を支持するための歯科補綴物を仮想的にシミュレート(14)すること;
エンベロープデータ(12)から、前記口腔の前記走査データ(10)に関してエンベロープ部の支持表面を仮想的にシミュレートすること;
シミュレートされた歯科補綴物の表面がエンベロープ部のシミュレートされた支持表面に対応するように前記歯科補綴物を仮想的に調整(18)すること;及び
前記仮想的に調整された歯科補綴物に基づいて歯科補綴物データを発生すること、ただし前記歯科補綴物データは前記歯科補綴物を製造するために使用可能である;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記歯科補綴物が、仮想歯(302)またはシミュレートされた軟組織表面のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンベロープガイドから得られた少なくとも一つの歯設計パラメーターを提供することを含み、さらに前記エンベロープデータが前記歯科補綴物の前記計画のための歯設計データを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記歯設計パラメーターが前記エンベロープガイド(200)内のマーキング(201)に基づいた希望の微笑線を含み、前記方法が、前記エンベロープガイドから得られた前記歯設計データ内に含まれる前記希望の微笑線のための微笑線データを提供すること、及び前記シミュレートされた歯科補綴物を前記希望の微笑線に関して調整することを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シミュレートされた歯科補綴物の前記仮想的調整が前記歯設計パラメーターに関する前記仮想歯(302)の寸法、形状、傾き、及び/または長さを仮想的に調整することを含むことを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記歯設計パラメーターが、前記シミュレートされた歯科補綴物の仮想歯の希望の歯位置を含み、前記方法が、前記エンベロープガイド内の少なくとも一つのマーキングに基づいて、中切歯間の切端線位置及び/または犬歯の希望の位置のような前記歯位置のための歯位置データを提供することを含み、さらに前記歯位置データが、前記エンベロープガイドから得られた前記歯設計データ内に含まれることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記シミュレートされた歯科補綴物を前記仮想的に調整することが:
エンベロープ部の前記シミュレートされた支持表面に対する仮想歯の縦軸の傾きを仮想的に調整すること;
エンベロープ部の前記シミュレートされた支持表面に対する前記仮想歯の冠状端の距離を仮想的に調整すること;
エンベロープ部の前記シミュレートされた支持表面に対する前記仮想歯の空間位置、容積寸法、形状、長さ、厚さ、または幅を仮想的に調整すること;
の一つ以上を含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記歯科補綴物を固定するための少なくとも一つの歯科インプラントを、前記シミュレートされた歯科補綴物に基づいて仮想配置する前に前記シミュレートされた歯科補綴物を前記仮想的に調整することを実施することを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
解剖学的に固定された頭蓋参照点を識別すること、及びエンベロープ部の前記シミュレートされた支持表面に対して前記仮想歯を前記調整する前に前記解剖学的に固定された頭蓋参照点に基づいて歯列弓に沿って前記少なくとも一つの仮想歯を初期配置することを含むことを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記シミュレートされた歯科補綴物の前記位置を確認すること、及びエンベロープ部の前記シミュレートされた支持表面に対する前記シミュレートされた歯科補綴物の前記位置を再調整することを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記エンベロープガイドの前記エンベロープデータが、前記エンベロープガイドと前記口腔の接触補完表面に基づいた前記走査データに対して固定された空間関係を持つことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
エンベロープ部の前記シミュレートされた支持表面に対して前記シミュレートされた歯科補綴物を前記仮想的に調整することが、エンベロープ部の前記シミュレートされた支持表面により規定された仮想空間内に前記シミュレートされた歯科補綴物の少なくとも一部を設けるように仮想的に調整することを含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記走査データの少なくとも一部を前記シミュレートされた歯科補綴物の少なくとも一部と組み合わせることをさらに含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記走査データの少なくとも一部に基づいてエンベロープガイドのためのフレーム枠を設計することをさらに含み、任意選択的に前記エンベロープ部を固定するために第一方向に延びる少なくとも一つの固定要素を持つ前記フレーム枠を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
歯科補綴物に関係する構成要素のための製造データを提供する方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載の前記歯科補綴物を計画する方法を含み、前記歯科補綴物の少なくとも一部またはそれに関係する構成要素を製造(20)するための前記計画に基づいた製造データとして歯科補綴物データを提供することを特徴とする方法。
【請求項16】
患者内の歯科補綴物を計画するためのシステム(6)であって、前記システムが:
患者の口腔の解剖学的状態の走査データを処理し;
エンベロープガイドのエンベロープデータを処理し、ただし前記エンベロープガイドは、エンベロープガイドが前記患者の前記口腔内に配置されるときに患者の顔面組織を希望の位置に支持するように配置された支持表面を持つ;
前記走査データに基づいて前記口腔内の顔面組織を支持するための歯科補綴物を仮想的にシミュレートし;
エンベロープデータから、前記口腔の前記走査データに関してエンベロープ部の支持表面を仮想的にシミュレートし;
シミュレートされた歯科補綴物の表面が前記口腔に関してエンベロープ部のシミュレートされた支持表面に対応するように前記歯科補綴物を仮想的に調整し;そして
前記仮想的に調整された歯科補綴物に基づいて歯科補綴物データを発生する、ただし前記歯科補綴物データは前記歯科補綴物を製造するために使用可能である;
ために適合した処理装置(62)を含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
計算機により処理するための、患者内の歯科補綴物を計画するための計算機プラグラム(61)であって、この計算機プログラムが
患者の口腔の解剖学的状態の走査データを処理すること;
エンベロープガイドのエンベロープデータを処理すること、ただし前記エンベロープガイドは、エンベロープガイドが前記患者の前記口腔内に配置されるときに患者の顔面組織を希望の位置に支持するために配置された支持表面を持つエンベロープ部を含む;
前記走査データに基づいて前記口腔内の顔面組織を支持するために歯科補綴物を仮想的にシミュレートすること;
エンベロープデータから、前記口腔の前記走査データに関してエンベロープ部の支持表面を仮想的にシミュレートすること;
シミュレートされた歯科補綴物の表面が前記口腔に関してエンベロープ部のシミュレートされた支持表面に対応するように前記歯科補綴物を仮想的に調整すること;及び
前記仮想的に調整された歯科補綴物に基づいて歯科補綴物データを発生すること、ただし前記歯科補綴物データは前記歯科補綴物を製造するために使用可能である;
のための命令セグメントを含むことを特徴とする計算機プログラム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A−3C】
image rotate

【図4A−4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A−7C】
image rotate

【図8A−8C】
image rotate

【図9A−9C】
image rotate

【図10A−10D】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A−13B】
image rotate


【公表番号】特表2013−510607(P2013−510607A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538245(P2012−538245)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006929
【国際公開番号】WO2011/057810
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(506260386)ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー (42)
【Fターム(参考)】