説明

残留物検知方法および取引装置

【課題】 本発明は、操作者が連続的に到着する場合でも、時間を置いて到着する場合でも、監視の難易度が変化しないようにする不審物検知方法および通知方法、またこれらを用いた監視システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の不審物検知方法および通知方法は、課題を解決するために、複数の人感センサと音声通知手段を備える。前記複数の人感センサはそれぞれ異なる距離で感知するように設定されており、不審物を検知した場合、操作者が離れてしまう前に音声で通知する。ここで、音声通知は、不審物を検知したことを直接的に伝えるのではなく、置き忘れの注意を促す方法で行う。また、本発明の不審物検知方法および通知方法は、距離センサと音声通知手段を備え、操作者と監視対象物の間の距離に応じて検知処理および通知処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置による不審物検知方法および不審物検知時の通知方法、以上の検知方法および通知方法を用いた監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犯罪事実の記録や抑止のため、カメラ(監視カメラ)を用いた映像監視装置を設置する施設が増加している。一般的な映像監視装置は、カメラと映像記録用の記録装置、映像確認用のモニターから構成されており、施設内の出入り口の天井や施設外の出入り口の壁などに設置されることが多い。このようなシステムを用いて、不審者などの出入りや滞在がないことを監視するのである。
【0003】
また、銀行のATMに盗撮カメラが設置される事件が発生するなど、物の安全監視も重要な課題となっている。ATMの例では、ATMのカード挿入口の付近に無線カメラを設置して、カード表面の情報などを盗み取って外部に送信するという手法が用いられた。このような事件に対しては、監視対象のブース内から発生する電波に不審なものが含まれていないかどうかを検査することでカメラの設置を検知する技術などが開発されており、すでに市販もされている。
【0004】
セキュリティに対する意識は、一般家庭においても高まっている。一般の住居にも、訪問者が居住者を呼び出すためのインターホンが備えられている場合が多い。訪問者はインターホンに備えられている呼び鈴ボタンをおせば、居住者に訪問者が到着した旨の通知が行われ、玄関扉の開錠を促すことができる。インターホンにカメラを搭載し、訪問者の姿を居住者が事前に確認することができるようになっているものも販売されるようになっている。また、そのようなインターホンカメラにいたずらがされないかどうかを監視するための監視システムさえもある。
【0005】
現在よく知られている監視システムでは、監視対象をカメラで撮影し映像をデータセンターに送信する。データセンターでは、各地に設置された監視カメラから送られてくる映像を24時間体制で監視している。ひとたび映像に問題が発見されれば、監視員が警報を発し、警備員が速やかに現場へ急行する。特許文献1には、そのようなデータセンターの一構成について開示されている。監視対象の異常を監視する複数の異常監視装置が、通信回線で中央異常監視装置に繋がっており、異常が発見された場合に、中央異常監視装置に異常モードデータを送信する。
【0006】
図1に、一般的な監視システムの概要を示す。本監視システムが監視しているのは、銀行のブース101である。ブースには、ATM109が設置されており、ブースの天井102には、照明103およびATMを監視するためのカメラ104が設置されている。監視カメラ104が撮影した映像は、ケーブル105を経由して、映像データ保存装置106に送られる。映像データ保存装置のデータは、監視装置107に送られ、様々な解析処理を行った後に、表示装置108に映し出される。
【0007】
図2に、一般的な監視システムの監視手順を示す。一般的なATMには、図1に示したように、人間が操作場所に到着したことを検知するためのセンサ110が備え付けられている(このセンサは、人感センサと呼ばれる)。本説明は、このセンサ110(センサaと呼ぶ)が操作者を検知したところ201からはじめる。センサaが反応したことは、操作者が操作パネルに触れる位置にいることを意味している。次に、操作者は操作パネルに触れることで操作を開始する202。一連の手続きを終えた操作者は、操作を終了する203。操作が一定の手順を終えたことはATM本体でも検知可能であるが、操作者が引き続き新たな操作を始めるかどうかは、センサaが操作者を検知できるかどうかで判断する。すなわち、操作者が新たな操作を始める前や操作中にセンサaの検知範囲外にでたということは、操作者が操作を放棄したと判断される。一般的な監視システムでは、操作者がセンサaの範囲から外に出たところ204で、監視映像をセンターに送付する205。それと並行して、次の操作者がセンサaの検知範囲内に来たことを検知し206、前記と同様に操作の処理を開始する207。センターでは受信した映像を監視し208、不審物があるかどうかを判断する209。不審物がなければ、特別な処理はしない211。不審物が発見されれば、監視対象のATMに対して取引停止の命令を送信する210。取引停止の指示を受けたATMは、ただちに取引を停止する。映像をセンターに送るタイミングは、かならずしもセンサaの反応による必要はなく、常に監視していてもよい。しかし、操作者が設置した物体を持ち帰ってしまえば、それは検知するべき不審物ではないので、やはり検査のタイミングは操作者が去った後、すなわちセンサaの検知範囲外に操作者が移動したタイミングとなる。
【0008】
【特許文献1】特開2001−148844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の監視手順に従った場合、監視員に、十分に早く監視を終えて不審物の有無を判定することが期待される。しかし、監視がATMのサービスと並行して行われているため、次の操作者が到着するまでの時間が短いほど、監視の難易度が向上する。
【0010】
本発明は、操作者が連続的に到着する場合でも、時間を置いて到着する場合でも、監視の難易度が変化しないようにする不審物検知方法および通知方法、またこれらを用いた監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の不審物検知方法および通知方法は、課題を解決するために、複数の人感センサと音声通知手段を備える。前記複数の人感センサはそれぞれ異なる距離で感知するように設定されており、不審物を検知した場合、操作者が離れてしまう前に音声で通知する。ここで、音声通知は、不審物を検知したことを直接的に伝えるのではなく、置き忘れの注意を促す方法で行う。また、本発明の不審物検知方法および通知方法は、距離センサと音声通知手段を備え、操作者と監視対象物の間の距離に応じて検知処理および通知処理を行う。
【実施例1】
【0012】
図3に、本発明の監視装置の構成を示す。本実施例では、監視対象であるATM端末300に、第一のセンサ302と第二のセンサ305が備え付けられている。これら第一のセンサと第二のセンサは、操作者306がATM300からあらかじめ設定された距離以内に存在する場合にそのことをシステムに通知する。
【0013】
ATMのハードウェア構成について、より詳しい説明を以下に述べる。図9は、本発明におけるATM901の構成図である。制御部907は表示部902、操作部903、撮影部904、カードリーダ部905、入出金部906、記憶部908、通信部909、センサ部910、音声発生部911を制御する。制御部907は、ATM全体901の制御だけでなく顔認識やカード認識、操作者の接近検知および紙幣鑑別などの処理を行う。表示部902は、サービス内容の案内や処理手順などが表示されるものであり、CRTや液晶ディスプレイが例として挙げられる。操作部903は、メニューの選択や暗証番号入力など、利用者からの情報を入力するものであり、キーボードやタッチパネルが例として挙げられる。撮影部904は、顔画像の撮影を主目的とするカメラが例として挙げられる。カードリーダ部905は、磁気カードやICカードに格納された情報を読み出すためのものである。入出金部906は、預け入れのための紙幣を投入や、引き出しのための紙幣の排出など、取引のための紙幣の入出金を行うためのものである。記憶部908は、ATMでの処理のための情報を記憶しておくためのものであり、ハードディスクやメモリが例として挙げられる。本願の発明を実施するために、撮影部904、制御部907、通信部909、センサ部910などを動作させるためのプログラムは記憶部908に記憶される。通信部909は、回線を通じてATM901と外部のコンピュータやデータベースとの通信を行うものである。センサ部910は、操作者の接近などを検知する人感センサが例として挙げられる。人感センサは、赤外線などの発生状況や反射を観察することで、センサから近接した部分に人間すなわち操作者が居るかどうかを検知することを主目的とするセンサである。人感センサを用いることで、操作者が周囲に居ない場合にATMが省電力モードで待機したり、時間の掛かる処理をまとめて行ったりすることができる。操作者がATMの操作を行うことができる距離まで近づいた時に、取引サービスを開始する。音声発生部911は、操作者をはじめとする装置の周辺に滞在する人物に対する音声案内を行うための、スピーカを備える。よく知られた音声発生部911の使用方法は、操作者に次の操作の指示を与えるものである。たとえば、キャッシュカードの挿入を促すために、「キャッシュカードまたは通帳を挿入口に入れてください。」といった音声による案内が行われる。音声案内は、表示部902と連動することで、より案内の効果を高めることができる。たとえば、前記の音声案内とともに、表示部902にキャッシュカードを挿入口に入れる映像アニメーションを表示するなどすると効果的である。通信部909は、ATMを設置している銀行やATMの管理会社とデータのやり取りを行うことができるように、LANや電話回線に接続されている。ここで、ATMの管理会社とは、本願の課題に挙げたような、ATMの監視を行っている会社であり、ネットワーク接続されたカメラなどを用いて、複数のATMを常時監視している。ATMのサービスを停止するべき事態(事件)が発生した場合には、管理会社や銀行はネットワークを経由して通信部909からATM901の制御部907にサービス停止の信号を送ることができる。なお、本発明と関係ないため説明しないが、ATM901には902から911以外にも通帳プリンタなどの他の装置や処理が存在する。
【0014】
図4は、これら第一のセンサと第二のセンサの動作について示したものである。本実施例では、第一のセンサ403と第二のセンサ404がATM402の上部と下部に分けて設置されている。本実施例の第一のセンサは、第二のセンサよりも遠距離405の操作者401を検知する。人物までの距離の代表的な検知方法として、赤外線の反射を解析する方法や映像中の人物の大きさを解析する方法が知られているが、本発明ではその手法を問わない。本実施例の不審物検知方法では、操作者が第一のセンサの反応距離よりさらに近づいたところで、第二のセンサ404が反応するように設定されている。設定値を決定するルールは、第一のセンサの反応が第二のセンサの反応よりも遠方にいる操作者に対しても行われるようにすることと、第二のセンサの反応開始距離は、一般的な操作者がATMのカード挿入口付近にやっと手が届く程度(ぎりぎり取引の操作を行える距離)にすることの二点がある。また、第一のセンサの反応距離をあまり大きくすると、音声通知に対する操作者の気付きの確率が減少するため、適度に小さな値とすることが望ましい。
【0015】
図4において、第一のセンサ403,412と第二のセンサ404,413の位置をATM402,411の、それぞれ上部と下部に設置する例を示したが、重要なことは第一のセンサと第二のセンサの反応距離が異なるということであり、操作者までの距離を効果的に測定できるように、図4とは異なる位置にセンサを取り付けることも可能である。また、ひとつのセンサで操作者までの距離を測定することができる場合、かならずしも二つのセンサを用いる必要はない。さらに、センサの数は二つの制限されるわけではなく、三つ以上のセンサを用いてもよい。三つ以上のセンサを用いれば、三点以上からの距離情報を用いた測量法などを用いることができ、操作者までの距離をより正確に計算することができる。また、身長の異なる操作者に対しても信頼性の高い測定を行うことができる。
【0016】
図3には、二つの不審物a301と不審物b303が設置されている様子が示されている。特に不審物bはATM300にキャッシュカードを挿入するためのカード挿入口304の様子を盗撮する盗撮カメラを想定しており、不審物aは操作者が持ち込んだバッグなどの手荷物を想定している。
【0017】
本発明の不審物検知方法および通知方法は設置された不審物の発見方法に依存しないため、不審物aないしbを発見するための方法の詳細については述べないが、ATMの重量変化を観察する方法や監視カメラでATMを監視して基準となる映像との差分から設置された不審物を発見する方法などが知られており、このような方法を利用することを想定している。
【0018】
不審物aは操作者が操作を終了した後に持ち去られるものであり、不審物bは操作者が立ち去った後も残されるものである。また、不審物aはまれに操作者の不注意で操作者が立ち去った後も残される可能性がある。本発明では、不審物aおよびbを区別せずに残留物として検知し、残留物がどちらであるかにかかわらず、同様の処理を行うことができる。
【0019】
図5は、二つの人感センサa,bを備える場合の処理の流れである。
本実施例の不審物検知方法および通知方法では、操作者がATMの付近に居ない場合に、センサa,bがどちらとも反応していない状態501となる。操作者がATMに近づくと、まずセンサaが反応する502。これはセンサaがセンサbよりも遠方の人物にも反応するように設定されているためである。操作者がさらにATMに接近すると、センサbが反応する。すなわち、センサaとセンサbの両方が反応した状態となる503。センサbの反応範囲内では操作者がATMを直接操作可能なように、センサbの反応距離を設定している。
【0020】
次に操作者がATMの操作を開始する504。ATMの操作とは、入金や出金ないし振込みや金融商品の取引などである。以上の取引の際には、銀行が発行した、ATM利用のためのキャッシュカードや通帳などが必要となる。これらの操作は、ATMに取り付けられた画面の案内にしたがって、一定の手順にしたがって進行し、手続きが終了するとともに操作者による操作が終了する505。操作者は引き続き、ことなる取引を行うことができるので、操作の開始504と操作の終了505のプロセスは任意の回数だけ繰り返されることになる。
【0021】
図3の303に示したような盗撮カメラを設置するのは、上記のような取引操作の最中であったり、取引操作を開始せずに設置してそのまま立ち去る場合もある。すなわち、図5における操作の開始504と操作の終了505は、不審物の設置において必ずしも必要なプロセスではない。図5においても504と505が飛ばされることがあることを注記しておく。ただし、ATMに不審物を設置するためにはATMに近づかなければないため、センサa,bによる感知は避け得ない。
【0022】
操作終了後の操作者は、ATMの前から退去する。ATMからの距離が近いうちはセンサbの反応がなくなるもののセンサaは引き続き反応している506。本実施例の不審物検知方法および通知方法では、この時間帯に不審物の発見処理を行う507。もちろん、この時間まで不審物の発見処理を待つ必要はなく、操作者の取引の最中に行ってもよいが、最終的な判断をこの段階で行う。不審物が発見されなければ、操作者がATMから離れるのに応じてセンサaも反応しなくなり、すなわちセンサa,bの両方ともが反応しなくなり512、そのまま次の操作者が現れてセンサaが反応する513まで待機する。センサa,bの両方ともが反応しなくなった状態512で、操作者がATMでの用事が終わって立ち去るところであると判断できる。不審物が発見された場合は、センサa,bが反応しなくなった508直後に操作者に向かって音声で通知を行う509。ここでセンサaの反応距離があまりにも大きい場合、操作者に対して通知した音声への気付きの確率が減少するため、操作者が自分に向けて音声が発せられていることを認識することができる程度に小さくすることが望ましい。
【0023】
操作者が完全に後ろを向く前の時点を検知すれば、操作者が自分に向けて音声が発せられていることをよりよく認識することができる。操作者が後ろを向く際には、一旦横を向く必要があるため、図8に示すように、センサaは複数のセンサを列状に配置したセンサアレイ(sensor array)801とし、反応するセンサの数に応じて操作者の向きを検知するように構成してもよい。操作者の水平面が完全に円形でなければ、正面を向いていた操作者が横を向く際には、反応するセンサの数が変化することはあきらかである。
【0024】
音声通知を行った後は、所定の時間を経過した後に、再度不審物の検査を行う510。ここで再度不審物が検知されれば、監視対象のATMの取引を停止するように指示する511。所定の時間を経過してもまだ不審物が除去されていなければ、操作者が意図的に、または、忘れ物があると気付くことなく不審物を放置したまま立ち去ってしまい、不審物がその後操作者によって取り除かれる確率が低いと推定できるからである。あわせて、ネットワークを介してATMを管理するセンタサーバに通知し、この時点でATMの検査を行うスタッフを派遣するような運用を行ってもよい。不審物が取り除かれれば、引き続いて次の操作者が到着するまで待機する。本実施例では、再度不審物検査を行う510タイミングを、音声通知509からの経過時間によって決定したが、必ずしも経過時間のみに限るわけではない。たとえば、ある時間以内にセンサa,bの反応があった場合は、図3の301で示したような置き忘れたバッグを取りに戻ったと判断して、その後センサa,bの反応がなくなったタイミングで再度不審物検査を行う510ようにしてもよい。
【0025】
図10および図11は、ユーザーによる取引の開始後に不審物検知を行う場合の処理について示したものである。図10は、不審物が設置されたものの、音声案内の後に取り除かれた場合を示している。図11は、音声案内の後にも不審物が取り除かれず、その後の取引が停止される場合を示している。
【0026】
図10において、1001は操作者Aの到着(Arrival)を、1002は操作者Aの操作開始(Start)を、1005は操作者Aの操作終了(End)を、1006は操作者Aの退去(Leave)を表している。引き続き、次の操作者Bが到着1008し、操作を開始1009し、操作を終了1011し、立ち去る1012。また、1003は不審物検知機能1004によって、不審物を発見するタイミングを示しており、1000,1007,1010は、不審物検知機能1004によって不審物が存在しないことを確認したタイミングを表している。図10では、操作者Aが到着1001後に不審物を設置する。不審物の設置は操作開始1002後に操作と並行して行われる場合もある。設置された不審物は、不審物検知機能1004によって発見1003される。不審物検知機能1004は、操作者Aが立ち去る1006前に音声通知を行う。ただし、不審物の検査は操作者Aが立ち去る1006より前の段階で音声通知が行えるタイミングで行えばよく、たとえば操作者Aが操作を終了1005した後に行っても良い。本例では、音声通知の結果、操作者Aが不審物を取り除いた上で立ち去る1006ので、次の検査1007では、不審物が検知されず、引き続き操作者Bによる操作が継続される。ここでは、検査1007を操作者Bの到着1008よりも前に行っているが、操作者Bが操作を開始1009前に行えばよく、必ずしも図中のタイミングに制限されることは無い。また、音声通知は、不審物を検知した旨を伝える方法ではなく、たとえば忘れ物の確認を促すといった表現を用いることで、操作者のみに意識される形の効果的な通知を行うことができる。
【0027】
図11において、1101は操作者Aの到着(Arrival)を、1102は操作者Aの操作開始(Start)を、1105は操作者Aの操作終了(End)を、1106は操作者Aの退去(Leave)を表している。最初の段階1100では、不審物は設置されておらず、操作者Aは通常通りに操作を開始1102することができる。図11では、操作者Aが到着1101後に不審物を設置する。設置された不審物は1103のタイミングにおいて不審物検知機能1104によって発見され、操作者Aが操作を終了1105した後で立ち去る1106前に音声で通知される。図11では、音声通知にもかかわらず、操作者Aは不審物を撤去せずに立ち去るため、次の検査タイミング1107において、再度不審物が不審物検知機能1108において検知される。ここでは、不審物検知機能が二種類存在するかのように図示した。検査のタイミングが異なるため、異なる手法によって構成された二種類の不審物検知機能を備えれば、より信憑性の高い不審物検知が行えるが、必ずしも二種類が必要ではなく、1104と1108の実体は同一のものであっても良い。不審物検知機能1108は、不審物を発見したため、操作者Bが到着1109した後で操作を開始する前の段階で、ATMに対して、処理の停止を指示する信号を発する。停止信号を受信したATMは、操作者Bの操作を受け付けなくなり、停止状態1110となる。このとき、ATMの表示部に、係員を呼ぶ旨を表示したり、音声通知を行ったり、通信部を通じて、係員に検査を指示することもできる。
【0028】
以上では、不審物と表現したものは、たとえば、ATMに当初から備わっていないものが新たに設置された結果、長時間残留しているものや、ATMに当初から備わっているものの外観や電気・磁気などの特性が変化し、その変化が長時間継続しているようなものを指している。そのほかにも、あらかじめ定められた初期状態から変化し、その変化が一時的でないすべてのものが、不審物であるといえる。
【実施例2】
【0029】
図6には、人物との距離を測定することのできる距離センサ603,612を搭載したATM602,611を示した。図6の距離センサは少なくとも人物601,610とATM602,611との間が第一の距離604以内であることと第二の距離603以内であることの検知が可能である。本発明は、距離の測定を実現する方法に制限されないが、電波を発して、反射波が戻ってくるまでの時間を測定することで、距離を測定する方法などが知られている。
【0030】
図7に、上記の距離センサを備える場合の処理の流れを示した。
本実施例の不審物検知方法および通知方法では、操作者がATMの付近に居ない場合に、人物とATM間の距離センサの測定値がb以下ではないことになる701。操作者がATMに近づくと、距離センサの測定値は次第に小さくなり、a以上b以下の値をとる702。ここで、明らかにa<bである。aはATMの前面パネルに不審物を設置することができない程度に小さな値とすることが望ましい。bは当該ATMを操作する意思がある人物が到達するであろう程度に小さな値とすることが望ましい。操作者がさらにATMに近づき、距離センサの測定値がa以下になれば、操作者はATMのカード挿入口を含めた全体に触れることができるようになる703。通常の操作者は明らかにこの距離まで近づくことになる。
【0031】
次に操作者がATMの操作を開始する704。操作者はATMに取り付けられた画面の案内により、一定の手順に従って操作を終了する705。操作者は引き続き、異なる取引を行うことができるので、操作開始704と操作終了705のプロセスは任意の回数だけ繰り返されることになる。不審物を設置するためだけにATMに近づいた操作者は、なんら取引を行わない場合もある。
【0032】
操作終了後の操作者は、ATMの前から退去する。ATMから操作者までの距離は、a以下からa以上b以下の距離に変化する706。本実施例の不審物検知方法および通知方法では、この時間帯に不審物の発見処理を行う707。もちろん、この距離になるまで不審物の発見処理を待つ必要はなく、操作者の取引の最中に行ってもよいが、最終的な判断をこの段階で行う。不審物が発見されなければ、操作者がATMから離れるのに応じて距離センサの測定値はbより大きくなり712、そのまま次の操作者が現れて距離センサの測定値がb以下になるまで待機する。不審物が発見された場合は、距離センサの測定値がb以下でなくなった708ところで音声による通知を行う709。
【0033】
距離センサについても、図8のように列状にセンサを配置して801、各センサの値を解析することで、操作者の向きなどを検知するように構成してもよい。
【0034】
音声通知を行った後は、所定の時間を経過した後に、再度不審物の検査を行う710。ここで再度不審物が検知されれば、監視対象のATMの取引を停止するように指示する711。不審物が取り除かれれば、再度の不審物検知710で不審物が発見されないので、引き続いて次の操作者が到着するまで待機する。音声通知709から再度の不審物検知710までの時間は、単純に経過時間で行ってもよいが、距離センサの測定値が小さくなった場合には経過時間のカウントを止めるといった方法を合わせて行ってもよい。というのは、距離センサの測定値が小さい値に変化したということは、忘れ物をした操作者が忘れ物を取りに戻っている動作であると考えられるためである。
【0035】
ひとたび取引停止状態になったATMは、あらかじめ権限の与えられた操作者が再度取引開始を指示しないうちは、取引を受け付けない。また、画面には取引停止状態であることを表示し、あらかじめ取引停止を解除する権限を与えられた操作者のもとへ取引停止状態であることを通知する。その際に、音声による取引停止の案内を行うこともある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の不審物検知方法および通知方法を用いた監視装置ないし監視システムを用いることで,不審物が設置された場合にも速やかに対処することができるため、監視対象の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一般的な監視システムの構成
【図2】従来の監視システムの処理の流れ
【図3】二つの人感センサを備えたATMの構成
【図4】ATMに備えられた二つの人感センサの動作例
【図5】二つの人感センサを備えた本発明の不審物検知方法および通知方法
【図6】一つの距離センサを備えたATMの構成
【図7】一つの距離センサを備えた本発明の不審物検知方法および通知方法
【図8】列状に配置した人感ないし距離センサを備えるATMの構成
【図9】ATMの構成
【図10】不審物を設置し、その後除去した場合のタイミングチャート
【図11】不審物を設置し、その後除去しなかった場合のタイミングチャート
【符号の説明】
【0038】
101:監視対象のブース、102:監視対象のブースの天井、103:蛍光灯、104:監視カメラ、105:映像伝達用ケーブル、106:映像記録装置、107:映像解析・監視装置、108:映像表示装置、109:ATM(監視対象物)、110:操作者検知センサ、
300:ATM、301,303:不審物、302,305:操作者検知センサ、304:カード挿入口、306:操作者、
401,410:操作者、402,411:ATM、403,412:第一の人感センサ、404,413:第二の人感センサ、405,414:センサと操作者の距離、
601,610:操作者、602,612:ATM、603,612:距離センサ、604,613:センサと操作者の距離、
801:列状に配置されたセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人と取引装置との距離を測定する第1のセンサ手段と、残留物を検知する第2のセンサ手段と、取引のための入出力手段と、制御部と、出力部とを有する取引装置における残留物検知方法であって、
前記第1のセンサ手段により人が該取引装置から立ち去ることを検知する第1のステップと、
前記制御部は、前記人が該取引装置から立ち去る際に第2のセンサ手段により残留物が検知された場合に、前記出力部から音声による残留物通知を行う第2のステップとを有することを特徴とする残留物検知方法。
【請求項2】
請求項1記載の残留物検知方法であって、
前記第1のセンサ手段は第1の距離と、該第1の距離よりも遠い第2の距離以内であることを検知するように設定されており、前記第1のステップでは、前記人が第2の距離よりも遠くに離れる変化により該人が該取引装置から立ち去ることを検知し、
前記第2のセンサ手段は、前記検知された人が前記第1の距離以内から第1の距離と第2の距離の間に移動したところで残留物検知を行い、
前記制御部は、前記第2のステップにおいて、残留物が発見された場合に、該人が第2の距離以内から出た所で音声で通知することを特徴とする残留物検知方法。
【請求項3】
請求項1記載の残留物検知方法であって、
前記第2のステップで音声による残留物検知を行った後、所定の時間経過後に、前記第2のセンサ手段により再度残留物検知を行い、残留物が再度検知された場合には、前記制御部により該取引のための入出力手段を停止する第3のステップを有することを特徴とする残留物検知方法。
【請求項4】
請求項1記載の残留物検知方法であって、
前記第2のステップで音声による残留物検知を行った後、所定の時間経過後に、前記第2のセンサ手段により再度残留物検知を行い、残留物が再度検知された場合には、前記制御部によりネットワークを介して接続される取引装置監視センタへの通知を行う第4のステップを有することを特徴とする残留物検知方法。
【請求項5】
前記音声での通知は、置き忘れ品がある旨を通知する方法で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の残留物検知方法。
【請求項6】
人と取引装置との距離を測定する第1のセンサ手段と、残留物を検知する第2のセンサ手段と、金融取引のための入出力手段と、制御部と、出力部とを有する取引装置であって、
前記制御部は、前記第1のセンサ手段により測定される人と該取引装置との距離に基づき、人が該取引装置から立ち去ることを検知し、
前記人が該取引装置から立ち去る際に第2のセンサ手段により残留物が検知された場合に、前記出力部から音声による残留物通知を行うことを特徴とする取引装置。
【請求項7】
請求項6記載の取引装置であって、
前記第1のセンサ手段は、第1の距離と、該第1の距離よりも遠い第2の距離以内で検知するように設定されており、
前記制御部は、前記人が第2の距離よりも遠くに離れていく変化により該人が該取引装置から立ち去ることを判断し、
前記第2のセンサ手段は、前記検知された人が前記第1の距離以内から第1の距離と第2の距離の間に移動したところで残留物検知を行い、
前記制御部は、残留物が発見された場合に、該人が第2の距離以内から出た所で音声で通知することを特徴とする取引装置。
【請求項8】
請求項6記載の取引装置であって、
前記第2のセンサ手段は、前記音声による残留物検知を行った後、所定の時間経過後に、再度残留物検知を行い、
前記制御部は、残留物が再度検知された場合には、該取引のための入出力手段を停止することを特徴とする取引装置。
【請求項9】
請求項6記載の取引装置であって、
前記第2のセンサ手段は、前記音声による残留物検知を行った後、所定の時間経過後に、再度残留物検知を行い、
前記制御部は、残留物が再度検知された場合には、ネットワークを介して接続される取引装置監視センタへの通知を行うことを特徴とする取引装置。
【請求項10】
前記音声での通知は、置き忘れ品がある旨を通知する方法で行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の取引装置。
【請求項11】
請求項7記載の取引装置であって、
前記第1のセンサ手段は、前記第1の距離以内で感知するように設定された第1のセンサ装置と前記第2の距離以内で感知するように設定された第2のセンサ装置とを有することを特徴とする取引装置。
【請求項12】
請求項7記載の取引装置であって、
前記第1のセンサ手段は、前記第1の距離と前記第2の距離を判別することができるように設定された距離センサ装置であることを特徴とする取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−97064(P2008−97064A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274609(P2006−274609)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】