説明

段ボール製スペーサー

【課題】被梱包物と外装箱の間に間隔を設けるスペーサーを、少ない材料で構成する。
【解決手段】外前面板3、側面板4,5及び背面板6を連設した外枠体1と、内前面板13、端面板14,16及び底面板17を連設した内枠体2とを、連結片22を介して連結し、外枠体1と内枠体2とを、巻き込むように折り曲げつつ、連結片22の斜折線23を軸に相対回転させ、外前面板3と内前面板13とを段目が交差するように重ねて前壁24を構成し、前壁24の背後に底面板17が位置すると共に、底面板17の背後に背面板6が位置するように保形した段ボール製スペーサーにおいて、前記連結片22を、背面板6と内前面板13とを繋ぎ、外枠体1と内枠体2の側縁に対して傾斜した2本の斜折線23に挟まれたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を梱包する際に使用する段ボール製スペーサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、家電製品等の物品の梱包時に使用する段ボール製緩衝材として、図9乃至図11に示すようなものが記載されている。この緩衝材は、図9に示すように、外枠体51と内枠体52とが連結されたブランクから組み立てられる。
【0003】
外枠体51は、外前面板53の一側に側面板54、背面板55、起立板56及び重合板57を、他側に側面板58、背面板59、起立板60、重合板61、内側板62及び巻込板63をそれぞれ順次連設し、外前面板53に形成した開口部64の周囲に多数の折曲片65を設け、背面板55に差込片66を突設し、起立板60及び重合板61に差込穴67を設けたものとされている。
【0004】
内枠体52は、内前面板68の一側に端面板69及び底面板70を、他側に端面板71及び底面板72をそれぞれ順次連設し、内前面板68に開口部73を形成し、底面板70の先端に先広がりの突片74を設け、底面板72の先端に突片74が係合する切欠部75を設けたものとされている。
【0005】
外前面板53と内前面板68とは、連結片76を介して繋がれ、これにより、外枠体51と内枠体52とが連結されている。連結片76は、外前面板53の角を二等分する斜折線77と、内前面板68の境界に入れた側折線78とに挟まれ、外前面板53の側縁からの切込により三角形状とされている。
【0006】
このようなブランクを組み立てるには、図10に示すように、内前面板68から端面板69,71を起こし、底面板70,72を内側へ折り曲げ、突片74を切欠部75に係合させて、内枠体52を角筒状に形成し、斜折線77及び側折線78を軸として連結片76を折り込むことにより、内枠体52を外枠体51に対し回転させる。
【0007】
そして、図11に示すように、外前面板53と内前面板68とを段目が交差するように重ね合わせて、前壁79を構成すると共に、開口部64,73を一致させて、被梱包物の嵌合口80を形成し、折曲片65を内側へ折り曲げる。このような構成により、嵌合口80の周縁は、いずれの方向へも裂けにくくなる。
【0008】
また、側面板54、背面板55、起立板56及び重合板57と、側面板58、背面板59、起立板60、重合板61、内側板62及び巻込板63とを巻き込み、底面板70、72に重合板57、61を重ね合わせる。その後、差込片66を差込穴67に差し込むと、底面板70,72の背面側が筒状構造により補強された緩衝材が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−211925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のような段ボール製緩衝材は、被梱包物を大きな衝撃や振動から保護することができるが、材料の使用面積が大きいという問題がある。
【0011】
そこで、この発明は、被梱包物と外装箱の間に間隔を設けるスペーサーを、少ない材料で構成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明は、外前面板、側面板及び背面板を連設した外枠体と、内前面板、端面板及び底面板を連設した内枠体とを、連結片を介して連結し、外枠体と内枠体とを、巻き込むように折り曲げつつ、連結片の斜折線を軸に相対回転させ、外前面板と内前面板とを段目が交差するように重ねて前壁を構成し、前壁の背後に底面板が位置すると共に、底面板の背後に背面板が位置するように保形した段ボール製スペーサーにおいて、前記連結片を、背面板と内前面板とを繋ぎ、外枠体と内枠体の側縁に対して傾斜した2本の斜折線に挟まれたものとしたのである。
【0013】
また、前記背面板と底面板との間隔を、その一方から切り起した折曲片の先端側の凸部を他方の係合穴に係合させることにより保持するようにしたのである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る段ボール製スペーサーでは、外枠体と内枠体とを、重なり合う外前面板と内前面板を繋いで連結するのではなく、2本の斜折線に挟まれた連結片を介して内前面板と背面板とを繋ぎ、斜折線の間隔を調整して、前壁と背面板との距離を適宜設定できるように連結しているので、巻込部分の少ない簡単な構造とすることができ、材料の使用面積を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1実施形態に係る段ボール製スペーサーのブランクを示す図
【図2】同上の組立過程を示す斜視図
【図3】同上の組立過程を示す斜視図
【図4】同上の組立状態を示す斜視図
【図5】この発明の第2実施形態に係る段ボール製スペーサーのブランクを示す図
【図6】同上の組立過程を示す斜視図
【図7】同上の組立過程を示す斜視図
【図8】同上の組立状態を示す斜視図
【図9】従来の段ボール製緩衝材のブランクを示す図
【図10】同上の組立過程を示す斜視図
【図11】同上の組立状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、この発明の第1実施形態を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0017】
この段ボール製スペーサーは、ワイングラス等の梱包に際し、被梱包物と外装箱との間隔を保持するために使用するものであり、図1に示すように、外枠体1と内枠体2とが連結されたブランクから組み立てられる。
【0018】
このブランクにおいて、外枠体1は、外前面板3の一側に側面板4を連設すると共に、他側に側面板5、背面板6及び内側板7を順次連設し、外前面板3に形成した方形状の開口部8の対向辺に折曲片9を設け、背面板6を切り込んで一対の折曲片10を設け、側面板4の先端に差込片11を突設し、内側板7に背面板6との境界に沿って差込穴12を設けたものとされている。
【0019】
内枠体2は、内前面板13の一側に端面板14及び背重板15を、他側に端面板16及び底面板17をそれぞれ順次連設し、内前面板13に形成した方形状の開口部18の対向辺に折曲片19を設け、底面板17に折曲片10,19がそれぞれ係合する係合穴20,21を設けたものとされている。
【0020】
背面板6と内前面板13とは、連結片22を介して繋がれ、これにより、外枠体1と内枠体2とが連結されている。連結片22は、外枠体1と内枠体2の側縁に対して45°傾斜した平行な2本の斜折線23に挟まれ、斜折線23に対し直角方向に切込を入れて両側縁が形成されている。
【0021】
このブランクを組み立てるには、図2に示すように、内枠体2を巻き込むように折り曲げ、連結片22を挟む2本の斜折線23を軸として、連結片22と背面板6及び内前面板13との境界を折り曲げることにより、外枠体1と内枠体2とを相対回転させ、外枠体1を巻き込むように折り曲げる。
【0022】
そして、図3に示すように、内前面板13の裏側に間隔をあけて底面板17が対向し、底面板17の裏側に間隔をあけて背面板6が対向した状態で、背面板6から押し込んだ折曲片10の凸部を底面板17の係合穴20に係合させ、内前面板13から押し込んだ折曲片19の凸部を底面板17の係合穴21に係合させる。
【0023】
このとき、折曲片10により、背面板6と底面板17の間隔が保持される。なお、折曲片10を底面板17から切り起こし、係合穴20を背面板6に設けるようにしてもよい。
【0024】
その後、図4に示すように、外前面板3と内前面板13とを段目が交差するように重ねて前壁24を構成し、外前面板3と内前面板13の開口部8,18を一致させて、前壁24に被梱包物を嵌め込む嵌合口25を形成する。
【0025】
最後に、外前面板3から押し込んだ折曲片9の凸部を底面板17の係合穴20に係合させ、側面板4を内側板7の外側に重ねて、差込片11を差込穴12に差し込む。
【0026】
上記のような段ボール製スペーサーでは、外枠体1と内枠体2とを、重なり合う外前面板3と内前面板13を繋いで連結するのではなく、2本の斜折線23に挟まれた連結片22を介して内前面板13と背面板6とを繋ぎ、斜折線23の間隔を調整して、前壁24と背面板6との距離を適宜設定できるように連結しているので、巻込部分の少ない簡単な構造とすることができ、材料の使用面積を削減できる。
【0027】
次に、この発明の第2実施形態を図5乃至図8に基づいて説明する。この段ボール製スペーサーは、図9乃至図11に示した緩衝材と同様の被梱包物に対応して、上記構成を適用したものである。
【0028】
この段ボール製スペーサーでは、図5に示すブランクにおいて、外枠体1を、従来の緩衝材の図9に示すブランクよりも短縮して、材料の使用面積を削減することができる。
【0029】
そして、図6及び図7に示す過程を経て、図8に示す状態に組み立てると、嵌合口25に嵌め込んだ被梱包物を、外装箱内の所定の位置に保持することができ、あまり緩衝性を要求されない梱包に使用することができる。
【0030】
なお、上記各実施形態の図面では、前壁24が水平となるように、スペーサーを平置きにした状態を例示したが、複数個のスペーサーを、前壁24が直立するように縦置きにして対向させ、これらのスペーサーの嵌合口25に被梱包物の両端部を嵌め込んで支持するようにしてもよい。
【0031】
また、上記各実施形態では、2本の斜折線23が外枠体1と内枠体2の側縁に対して45°傾斜して平行となったものを例示したが、この角度を他の大きさに変更したり、平行でない方向へ延びるようにすることにより、外前面板3と内前面板13の交差角度の異なる様々なスペーサーを構成することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 外枠体
2 内枠体
3 外前面板
4,5 側面板
6 背面板
7 内側板
8 開口部
9,10 折曲片
11 差込片
12 差込穴
13 内前面板
14 端面板
15 背重板
16 端面板
17 底面板
18 開口部
19 折曲片
20,21 係合穴
22 連結片
23 斜折線
24 前壁
25 嵌合口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外前面板(3)、側面板(4,5)及び背面板(6)を連設した外枠体(1)と、内前面板(13)、端面板(14,16)及び底面板(17)を連設した内枠体(2)とを、連結片(22)を介して連結し、外枠体(1)と内枠体(2)とを、巻き込むように折り曲げつつ、連結片(22)の斜折線(23)を軸に相対回転させ、外前面板(3)と内前面板(13)とを段目が交差するように重ねて前壁(24)を構成し、前壁(24)の背後に底面板(17)が位置すると共に、底面板(17)の背後に背面板(6)が位置するように保形した段ボール製スペーサーにおいて、前記連結片(22)を、背面板(6)と内前面板(13)とを繋ぎ、外枠体(1)と内枠体(2)の側縁に対して傾斜した2本の斜折線(23)に挟まれたものとしたことを特徴とする段ボール製スペーサー。
【請求項2】
前記背面板(6)と底面板(17)との間隔を、その一方から切り起した折曲片(10)の先端側の凸部を他方の係合穴(20)に係合させることにより保持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の段ボール製スペーサー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−214247(P2012−214247A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81594(P2011−81594)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】