説明

殺菌用の残留有効塩素含有水の製造装置及びその方法

【課題】殺菌力のある残留有効塩素含有水を、安全に、水道水を使うような簡便な操作で用いるための、残留有効塩素含有水の製造装置及びその製造方法を得る。
【解決手段】水導入口と、水導入口の下流側に流体接続され、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤との混合水溶液を水で希釈して殺菌用残留有効塩素含有水を生成するための希釈部であって、混合水溶液導入口を有し、水の水流のベンチュリ効果によって混合水溶液導入口から導入される混合水溶液が水と混合して希釈されるベンチュリ部を有する、希釈部と、希釈部の下流側に流体接続される殺菌用残留有効塩素含有水出口と、水導入口の下流側に流体接続され、水の流れを断続するための水栓開閉弁と、原料容器と希釈部との間に流体接続する原料水溶液配管に配置される、原料水溶液導入量調節器とを含む、残留有効塩素含有水の製造装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば飲食店の大半の数を占める小規模店舗やファーストフード店の個別小型厨房を持つユーザーの食材や厨房の器具の殺菌消毒、病院の院内感染対策として手指消毒、介護施設等における環境菌制御のための殺菌などに用いられる殺菌用の残留有効塩素含有水の製造方法とその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品加工現場においては、殺菌のために、殺菌効果が保証される200ppm前後の次亜塩素酸ナトリウム(ソーダ)含有水が使用されている。次亜塩素酸ナトリウム含有水としては、工場で生産された50000〜60000ppmの高濃度次亜塩素酸ナトリウム含有水が、食品添加剤として市場に流通している。そのため、食品加工の現場においては、その高濃度次亜塩素酸ナトリウム含有水に対して水道水を添加し、濃度200ppm程度に希釈することによって殺菌用の殺菌水を得ている。このような殺菌水は、例えば、特許文献1に開示されており、野菜などを漬け込み、浸漬するなどして殺菌するために使用されている。
【0003】
しかし、一般的に、この殺菌用途に用いられる次亜塩素酸ナトリウムは、アルカリ性が強いため、従業員の手指が荒れ、そこへ病原菌が蝟集し、調理人から食中毒を伝染させる等の問題が指摘されていた。また、残留した次亜塩素酸ナトリウムの匂いが食品に残るなどの問題も生じていた。
【0004】
また、200ppm前後の次亜塩素酸ナトリウム含有水を用いる場合、残留有効塩素と食品の有機物との間に反応を生じ、トリハロメタンが発生するという問題もある。トリハロメタンは発癌性があることが指摘されおり、消費者に対する健康被害が危惧されている。
【0005】
また、大多数の小規模料理店等では、次亜塩素酸ナトリウムや塩酸の取扱い等が、面倒であり、危険であるため、一般的な調理場では、洗浄を水洗のみで行う場合が多い。このように、料理人や従業員の手洗いなど通常安全性や食品衛生上の問題があり、解決が待たれている状態である。
【0006】
また病院や介護施設では手指の殺菌は、主に薬剤による殺菌が行われているが、薬剤による皮膚荒れなどに問題が生じている。
【0007】
他方、食塩を電気分解することによって、使用する現場で30ppm以下の残留有効塩素濃度を有する殺菌水を生成する機器が開発されており、このような機器が調理室等に設置をされてきている。しかしながら、小規模の食品関係の店舗では、機器の取扱いやコスト面の課題があり、抜本的な解決の手段になり得ていない。
【0008】
最近になり、これらの課題を解決するために、工場において管理された高濃度電解次亜塩素酸水溶液が製造され、20リットル程度の小型のパックに注入し、一般の調理場で希釈して簡単に使用できるシステムを提供する試みがなされている(特許文献2)。この方法において、次亜塩素酸水溶液の品質を一定期間保ったまま、安定的に供給する場合には、弱酸性高濃度次亜塩素酸水の濃度保証が2000ppmである。また、保存期間1ヶ月以内で副反応が生じるために濃度低下がおこる。そのために輸送コストが高く、一般的な流通システムに乗せることができないために、広く普及できていない。
【0009】
図1に、次亜塩素酸含有水(残留有効塩素水溶液)の存在形態とpHとの関係の模式図を示す。図1に示すように、次亜塩素酸含有水は、pH8以上では残留有効塩素が、ClOの形になっているため、殺菌力が弱い。これらの塩素化合物による殺菌は、次亜塩素酸HClOによる殺菌であることはすでに判明しており、pHを中性に近づけることにより殺菌効果が増大する。しかしながら、次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈しただけではpHを8以下に下げることは困難である。
【0010】
そこで、大手食品工場では、次亜塩素酸ナトリウムを容器内で希釈した後、静かに希塩酸を加えて緩やかに掻き混ぜることで中和し、pHを酸性にして殺菌効果を高めることにより、殺菌水として用いている。しかしながら、この方法を用いた場合、一旦容器内で反応を起こした溶液は、その後、液中の副反応のために急激に残留有効塩素濃度が減少する。そのため、1日以上経過すると殺菌能力は大幅に低下してしまい、必要量を適時に得ることは困難である。また、大手食品工場のように、熟練した技術者がいない所では、薬品の取扱いなどに危険性があるために使用できないという欠点がある。
【0011】
特許文献3には、殺菌用の残留有効塩素含有水の製造方法及びその製造装置の一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特公平7−8768号公報
【特許文献2】特開2000−5756号公報
【特許文献3】特開2009−29792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
殺菌用残留有効塩素含有水において、専門技術者の確保の困難な小規模事業所のために、輸送コストを下げ、保存期間を延長することにより市場性を高め、一般飲食店やファーストフード店などでアルバイト作業員でも簡単に確実に食品や手指などの環境菌制御の衛生管理が容易になり、かつ低コストで所定の濃度及び所定のpHを有する殺菌用の残留有効塩素含有水を提供することが必要である。すなわち、発癌性が指摘されているトリハロメタンの発生も抑制することができるような所定の濃度の残留有効塩素を有し、所定のpHを有する殺菌力のある残留有効塩素含有水を、水道水を使うような簡便な操作で、厳しい設定条件を受け入れ、しかも水道水圧力の変化にも対応して、所定の濃度の残留有効塩素が生成できる製造装置及び方法を提供することが必要である。また、原料の輸送コストを下げることも必要である。
【0014】
また、本発明の製造装置の対象になっている料理店やコンビニエンスストアなどの小規模店では、従業員の出入りが多く、技術の継承ができにくい環境にあり、精密な機械を扱う特定の管理者や技術者がおらず、せいぜい、水洗のカラン(水栓開閉弁)を捻るのが、精一杯というのが現実である。そのため、水栓開閉弁を捻るだけという簡単な操作で所定の殺菌力を有する殺菌水が、容易に生成される製造装置及び製造方法を得ることも必要である。
【0015】
また、高濃度残留有効塩素水溶液を原料として用いているので、残留有効塩素含有水の製造後、装置を安全に停止することができることも必要である。
【0016】
そこで、本発明は、水圧の変動に対応しながら、所定の濃度を有し、所定のpHを有する殺菌力のある残留有効塩素含有水(次亜塩素酸含有水)を、安全に、水道水を使うような簡便な操作で用いるための、残留有効塩素含有水の製造装置及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本明細書では、次亜塩素酸含有水や次亜塩素酸ナトリウム含有水やその混合物などの水溶液を、「残留有効塩素水溶液」という。また、所定の濃度及び所定のpHを有する、殺菌能力を有する残留有効塩素水溶液を、「殺菌用残留有効塩素含有水」又は単に「残留有効塩素含有水」という。
【0018】
本発明は、水を導入するための水導入口と、水導入口の下流側に流体接続され、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤との混合水溶液を水で希釈して殺菌用残留有効塩素含有水を生成するための希釈部であって、混合水溶液導入口を有し、水の水流のベンチュリ効果によって混合水溶液導入口から導入される混合水溶液が水と混合して希釈されるベンチュリ部を有する、希釈部と、希釈部の下流側に流体接続される殺菌用残留有効塩素含有水出口と、水導入口の下流側に流体接続され、水の流れを断続するための水栓開閉弁と、原料容器と希釈部との間に流体接続する原料水溶液配管に配置される原料水溶液導入量調節器とを含む、残留有効塩素含有水の製造装置である。
【0019】
本発明の残留有効塩素含有水の製造装置の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)製造装置が、希釈部の混合水溶液導入口に流体接続する混合水溶液混合室と、混合水溶液混合室に流体接続する高濃度残留有効塩素水溶液導入口及び酸性添加剤導入口とを有し、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤とを混合し、攪拌し、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤との混合水溶液を生成するための混合部をさらに含み、原料容器が、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽及び酸性添加剤貯留瓶であり、原料水溶液導入量調節器が、高濃度残留有効塩素水溶液導入口と高濃度残留有効塩素水溶液保管槽との間に配置される高濃度残留有効塩素計測器、及び、酸性添加剤導入口と酸性添加剤貯留瓶との間に配置される酸性添加剤計測器である。
(2)原料容器が、混合水溶液保管槽であり、原料水溶液導入量調節器が、混合水溶液保管槽と希釈部との間に流体接続するように配置される混合水溶液導入量調節器である。
(3)混合水溶液保管槽が、高濃度残留有効塩素水溶液と、酸性添加剤を有する酸性添加剤容器とを有し、混合水溶液が、酸性添加剤容器の少なくとも一部を破壊することにより得られる酸性添加剤と、高濃度残留有効塩素水溶液とを混合することにより得られる混合水溶液である。
(4)原料容器が、着脱及び変形可能な容器であり、原料容器が、原料水溶液及び気体を内部に有する。
(5)希釈部と殺菌用残留有効塩素含有水出口との間に流体接続するように配置され、外部から内部を目視可能な攪拌槽をさらに含む。
(6)攪拌槽と殺菌用残留有効塩素含有水出口との間に流体接続するように配置される殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンクをさらに含む。
(7)希釈部と攪拌槽とが、直線部を含む攪拌槽接続配管により流体接続され、直線部が、希釈部の出水口に接するように接続し、ベンチュリ部と希釈部の出水口との間に、希釈混合室が配置され、直線部の長さが、希釈混合室の長さの1〜10倍である。
(8)水導入口と希釈部との間に流体接続するように配置されるエアー緩衝装置をさらに含む。
(9)原料容器と希釈部との間に流体接続するように配置され、少なくとも一つの密閉式計測器を有する原料水溶液計測器をさらに含み、密閉式計測器が、混合水溶液を通過させるための密閉空間を有する点滴貯留用管と、点滴貯留用管の上端に配置され、一端が密閉空間の内部に配置され、他端が原料容器に流体接続され、内径が点滴貯留用管の内径より小さい滴下管と、一端が点滴貯留用管の下端に配置され、他端が希釈部に流体接続され、内径が点滴貯留用管の内径より小さい排出管とを含む。
(10)原料水溶液計測器が、上下に直列に配置された二つの密閉式計測器を含み、下に配置された密閉式計測器の滴下管の密閉空間への開口部に、オリフィス孔を有するオリフィス部が配置される。
(11)希釈部の混合水溶液導入口、攪拌槽及び原料水溶液計測器のそれぞれ少なくとも一部が、同じ高さになるように配置される。
【0020】
また、本発明は、上述の製造装置を用いる殺菌用の残留有効塩素含有水の製造方法であって、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤とを混合して、混合水溶液を製造する工程と、混合水溶液を、水で希釈し混合することによって、残留有効塩素濃度が10ppm〜150ppm及びpHが6±2である残留有効塩素含有水を製造する工程とを含み、高濃度残留有効塩素水溶液が、残留有効塩素濃度2000ppm〜15000ppm、及びpHが10.5±1.5であり、酸性添加剤が、食酢並びに濃度0.1〜50重量%の塩酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−アルギニン−グルタミン酸、アルギン酸、L−イソロイシン、クエン酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも一つを含み、混合水溶液を製造する工程において、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤との混合割合が、残留有効塩素含有水のpHが6±2となるように調節される、殺菌用の残留有効塩素含有水の製造方法である。
【0021】
本発明の残留有効塩素含有水の製造方法の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)高濃度残留有効塩素水溶液が、次亜塩素酸水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液又はこれらの混合水溶液である。
(2)酸性添加剤が、食酢、濃度0.1〜50重量%の酢酸、濃度0.1〜50重量%の塩酸、濃度0.1〜50重量%のクエン酸、食酢と濃度0.1〜50重量%の酢酸との混合液、食酢と濃度0.1〜50重量%のクエン酸との混合液、又は食酢と濃度0.1〜50重量%の酢酸と濃度0.1〜50重量%のクエン酸との混合液である。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、水圧の変動に対応しながら、所定の濃度を有し、所定のpHを有する殺菌力のある残留有効塩素含有水(次亜塩素酸含有水)を、安全に、水道水を使うような簡便な操作で用いるための、残留有効塩素含有水の製造装置及びその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】次亜塩素酸ナトリウム含有水(残留有効塩素水溶液)の存在形態とpHとの関係の模式図である。
【図2】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の、第1の例の一例の模式図である。
【図3】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の、第1の例の一例の模式図である。
【図4】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の、第1の例の一例の模式図である。
【図5】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の、希釈部の一例の断面模式図である。
【図6】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の、貯留水タンクを用いた例の断面模式図である。
【図7】円筒状の内部形状の攪拌槽67において、希釈水溶液の入口が偏芯して配置されている例を示す模式図である。
【図8】密閉式計測器の断面模式図である。
【図9】上下に直列に配置された二つの密閉式計測器の一例の断面模式図である。
【図10】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の、第2の例の一例の模式図である。
【図11】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の第2の例の、希釈部及び混合部の一例の模式図である。
【図12】本発明の残留有効塩素含有水の製造を行うための製造装置の第2の例の希釈部及び混合部において、製造停止時の流体の流れ(逆流)を示す模式図である。
【図13】少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器を有する混合水溶液保管槽の一例の断面模式図である。
【図14】少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器を有する混合水溶液保管槽の一例の、混合水溶液保管槽キャップの正面模式図である。
【図15】少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器を有する混合水溶液保管槽の一例の断面模式図である。
【図16】少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器の別の一例の断面模式図である。
【図17】図16に示す酸性添加剤容器240を取り付けるための混合水溶液保管槽の断面模式図である。
【図18】図16に示す酸性添加剤容器を有する混合水溶液保管槽の断面模式図である。
【図19】図18に示す混合水溶液保管槽を開封するための封止破壊棒付キャップの模式図である。
【図20】封止破壊棒付キャップによって図18に示す混合水溶液保管槽を開封した状態の断面模式図である。
【図21】少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器の別の一例を有する混合水溶液保管槽の断面模式図である。
【図22】封止破壊棒付キャップによって図21に示す混合水溶液保管槽を開封した状態の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に、残留有効塩素水溶液(次亜塩素酸含有水)の、水素イオン濃度(pH)に対する塩素の存在形態の割合を示す。この図から明らかなように、塩素の存在形態は、pHに依存して異なっており、pHが高くなるにつれて、塩素ガス(Cl)、次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)という形態となる残留有効塩素水溶液は、弱酸性領域を中心としたpH6±2、好ましくはpH4〜6.5、さらに好ましくはpH5〜6の水素イオン濃度の場合に、殺菌効果が高いことが知られている。
【0025】
本発明の残留有効塩素含有水の製造装置及びそれを用いる残留有効塩素含有水の製造方法では、原料として、pHが10.5±1.5であり、2000ppm〜15000ppm、好ましくは3000ppm〜10000ppm、より好ましくは4000ppm〜8000ppm程度の高濃度の残留有効塩素濃度を有する水溶液(高濃度残留有効塩素水溶液)を原料として用いることができる。なお、本明細書で示す割合(%及びppm等)は、特にことわりのない限り、重量割合(重量%及び重量ppm等)を示す。高濃度残留有効塩素水溶液のpHが10.5±1.5である場合、高濃度残留有効塩素水溶液を安定に保存することができる。
【0026】
pHが10.5±1.5の高濃度残留有効塩素水溶液を水で希釈しただけでは、pHを所定の範囲とすることができないので、殺菌力のある残留有効塩素水溶液を得ることはできない。そこで、本願発明者らは、pHが10.5±1.5の高濃度残留有効塩素水溶液に対して酸性添加剤を添加して混合水溶液とし、これを水で希釈することにより所定の水素イオン濃度、すなわちpH6±2、好ましくはpH4〜6.5の残留有効塩素水溶液を得ることができることを見出した。すなわち、殺菌効果が高い殺菌用残留有効塩素含有水を製造するための本発明の方法及び製造装置は、高濃度残留有効塩素水溶液と、所定の酸性添加剤とを混合して混合水溶液とし、混合水溶液を水道水のベンチュリ効果を利用して水道水で希釈することに特徴がある。ベンチュリ効果を用いて、水による混合水溶液の希釈を行うことにより、水の流量の変動が生じた場合でも、安定して、所定のpH及び残留有効塩素濃度の殺菌用の残留有効塩素含有水を得ることができるのである。
【0027】
本発明の製造装置は、水道水の水圧変動に対応して、安定的に殺菌用残留有効塩素含有水を製造することが可能である。水道水の流量は、一般的には40〜120cm/秒となる。一般的な流量の水道水を希釈用の水として用いた場合、ベンチュリ効果を用いた簡便で低コストの希釈方法を好適に用いるための原料となる高濃度残留有効塩素水溶液の残留有効塩素濃度は、2000ppm〜15000ppm、好ましくは3000ppm〜10000ppm程度の濃度範囲である。この濃度範囲以外では適正な残留有効塩素濃度の殺菌水を得ることは困難である。すなわち、高濃度残留有効塩素水溶液の残留有効塩素濃度が15000ppmを超える場合には、正確な希釈能力の限界を超える恐れがある。また、高濃度残留有効塩素水溶液の残留有効塩素濃度が2000ppm以下の場合には、適正な残留有効塩素濃度の殺菌用残留有効塩素含有水を得ることができない恐れがある。なお、適正な残留有効塩素濃度とは、10ppm〜150ppm、好ましくは30ppm〜90ppm、より好ましくは40ppm〜60ppmである。
【0028】
本発明によると、使用者が使用現場で使用量に応じて適時に必要とする量の殺菌用の残留有効塩素含有水を製造することができるので、水道水を使うのと同様の作業性で食材等の洗浄殺菌を行うことができる。本発明の方法及び製造装置を用いると、高濃度残留有効塩素水溶液は工場で大量生産でき、高濃度なので濃度の割には体積が小さいために配送も容易なので、製造コストや流通コストを下げることができるという利点も有する。
【0029】
また、本発明は、水道水の水流量及び水圧の変化がある作業現場において、水流量及び水圧の変化があっても、自動的に(自己補償的に)、殺菌能力を有する範囲の残留有効塩素濃度及びpHの殺菌用の残留有効塩素含有水の製造を可能にし、ポンプ等の機械的な手段を用いなくとも、水道水の水流のエネルギーだけで、所定の残留有効塩素濃度及びpHにコントロールされた殺菌用の残留有効塩素含有水を製造することを目的とする。
【0030】
自動的に(自己補償的に)、殺菌能力を有する範囲の残留有効塩素濃度及びpHの殺菌用の残留有効塩素含有水の製造することを具体化する手段として、希釈部のベンチュリ部において混合水溶液を水道水によって希釈する前に、原料水溶液配管に減圧式密閉管(密閉式計測器)を設置し、気体減圧により水道水の水圧変動を吸収し、さらにコントロールバルブ等の水溶液導入量調節器で吸引量を制御する。
【0031】
上記の機能をさらに高めるために、減圧式密閉管(密閉式計測器)を上下に直列に二つ設置して、希釈部のベンチュリ部内の水圧変動を下部減圧式密閉管(密閉式計測器)内の気体の伸縮弾性によって吸収し、さらに所定の水圧変動の吸収量にコントロールするため下部減圧式密閉管(密閉式計測器)の滴下管にオリフィス孔を設け、オリフィス孔を通過する原料水溶液によって上下の減圧式密閉管(密閉式計測器)の気体層(密閉空間)を遮断し、下部減圧式密閉管(密閉式計測器)の気体圧力の変動と共に、上部減圧式密閉管(密閉式計測器)内の気体圧力を安定させる。さらにコントロールバルブ等の水溶液導入量調節器により原料水溶液の流量を調整することにより、安定な気体層(密閉空間)に中でより正確な点滴計量(原料水溶液の流量調節)ができるようになる。
【0032】
さらに下部減圧式密閉管(密閉式計測器)の入口(滴下管)にオリフィス孔を設けたことにより、原料水溶液の吸入量(流量)を制御することができるため、上部減圧式密閉管(密閉式計測器)の底部に一定の原料水溶液が貯留されることになる。貯留している原料水溶液が下部減圧式密閉管(密閉式計測器)の減圧気体により下部減圧式密閉管(密閉式計測器)へ移動する状態を作りだすことで、制御された所定の流量の原料水溶液が、下部減圧式密閉管(密閉式計測器)内の気体圧力変動にも影響されずに吸引(下部減圧式密閉管へ移動)されるので、水道水の水圧変動に左右されず、正確な混合水溶液の注入(水道水との混合)が可能になる。
【0033】
次に、本発明の残留有効塩素含有水の製造方法に用いる製造装置について具体的に説明する。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲では、殺菌用残留有効塩素含有水20を製造する際の、本発明の製造装置の製造動作中の水及び水溶液等の流れの方向にしたがって、本発明の製造装置の水導入口30に近い側を「上流側」、殺菌用残留有効塩素含有水出口64に近い側を「下流側」という。同様に、混合水溶液配管281等についても混合水溶液211等の製造動作中の流れの方向にしたがって、混合水溶液保管槽210等に近い側を「上流側」及び希釈部6に近い側を「下流側」という。
【0035】
また、「流体接続」とは、配管、バルブ及び本発明の製造装置を構成する部分などの部品により、二つのものの間に流体が流れることができるように接続されていることをいう。なお、「流体接続」されているとは、必ずしも常に流体が連続的に存在することを意味するものではない。例えば、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66に汲み上げる場合にも、少なくとも間欠的に流体の流れが存在するのであるから、流体接続されているという。
【0036】
また、高濃度残留有効塩素水溶液11、酸性添加剤16及び混合水溶液211のことを総称して「原料水溶液」という。また、高濃度残留有効塩素水溶液11等の原料水溶液を供給するための配管を総称して「原料水溶液配管」という。
【0037】
また、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10、酸性添加剤貯留瓶15及び混合水溶液保管槽210等の原料水溶液を保管するための容器を「原料容器」という。
【0038】
また、高濃度残留有効塩素水溶液導入量調節器7、酸性添加剤導入量調節器13及び混合水溶液導入量調節器207を総称して「原料水溶液導入量調節器」という。原料水溶液導入量調節器は、流量を調節することのできるバルブを用いることができる。
【0039】
高濃度残留有効塩素計測器74、酸性添加剤計測器76及び混合水溶液計測器274を総称して「原料水溶液計測器」という。
【0040】
本発明は、所定の水導入口30と、希釈部6と、殺菌用残留有効塩素含有水出口64と、水栓開閉弁8と、原料水溶液導入量調節器とを含む、残留有効塩素含有水の製造装置である。以下、本発明の製造装置について、例を挙げて具体的に説明する。
【0041】
<本発明の製造装置の第1の例>
図2〜4に、本発明の製造装置の第1の例の、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造を行うための製造装置を例示する模式図を示す。本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置は、水導入口30と、希釈部6と、殺菌用残留有効塩素含有水出口64と、水栓開閉弁8と、原料水溶液導入量調節器として混合水溶液導入量調節器207とを含む。また、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置は、さらに、原料容器として混合水溶液保管槽210、攪拌槽67、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66及び原料水溶液計測器として混合水溶液計測器274等を含むことができる。以下、本発明の製造装置の構成についてさらに詳しく説明する。
【0042】
図2に示す本発明の製造装置の一例について説明する。この製造装置は、水道水などの水を導入するための水導入口30を有する。通常、水導入口30は水道配管に流体接続されるので、水道水を供給することができる。この製造装置によって製造された殺菌用残留有効塩素含有水20は、殺菌用残留有効塩素含有水出口64より取り出され、被殺菌物65の殺菌に用いることができる。
【0043】
水導入口30から導入する水は、高濃度残留有効塩素水溶液11を希釈するために用いる。水としては、水道水、純水、イオン交換水等、一定以上の純度を有するどのような種類の水をも用いることができるが、低コストであり、簡単に入手可能であることから、水導入口30を水道に接続し、水道水を用いることが好ましい。
【0044】
また、図6に示すように、貯留水タンク120を用い、貯留水タンク120の水を水導入口30から導入する構造とすることもできる。
【0045】
水導入口30の下流側には、通常、水の導入を制御するための水栓開閉弁8が配置される。操作の容易性の点から、水栓開閉弁8は、ワンタッチで開閉可能なコックであることが好ましい。なお、水道水の流量が40〜60cm/秒以上の場合などにおいて、図3に示す殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66を配置しない構造の場合には、残留有効塩素含有水用水栓63を閉じることにより、水の流れを止めることができる。すなわち、図3に示す構造の製造装置では、残留有効塩素含有水用水栓63が水栓開閉弁8を兼ねることができる。また、図3に示す構造の製造装置の場合、希釈部6の上流側の混合水溶液配管281に、逆流防止弁73が配置される。逆流防止弁73を配置することにより、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造を停止した際の流体の、混合水溶液配管281への逆流を防止することができる。そのため上水道の逆流による、水圧には耐えられない混合水溶液計測器274及び278等及びそれらの接続部の破壊も防止することができる。
【0046】
なお、水導入口30と、希釈部6との間には、水道水の流量を調整するための水道水調整弁75及びエアー緩衝装置31を流体接続するように配置することが、本発明の製造装置により製造される殺菌用残留有効塩素含有水20の残留有効塩素の所定の値に制御することを確実にするために好ましい。エアー緩衝装置31を配置することにより、水道水圧力の変動をエアーで緩衝することでほぼ一定にすることができる。なお、エアー緩衝装置31は、水導入口30側の配管出口が、排出側の配管より高い位置にあるため、水の直接的な流体接続を断つ構造になっている。そのため、万が一、水が逆流するようなことが生じた際に、水道に対する殺菌用残留有効塩素含有水20の逆流を防止することができる。また、図6に示すように、貯留水タンク120を用いる構造の場合には、エアー緩衝装置31bとして、単に、エアーで緩衝するための構造を有するものを用いることができる。
【0047】
本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置は、希釈部6を含む。図5に希釈部6の一例の断面模式図を示す。希釈部6は、水導入口30の下流側に流体接続され、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを混合した混合水溶液211を水で希釈し、希釈水溶液を生成するためのものである。希釈部6は、混合水溶液211の導入口である混合水溶液導入口41を有する。水の水流によるベンチュリ効果によって混合水溶液導入口41から導入される混合水溶液211が水と混合して希釈される。希釈部6において、ベンチュリ効果により混合水溶液211を水で希釈するための部分のことを、ベンチュリ部という。ベンチュリ部の水の水路の径は、他の部分と比べて狭くなっている。そのため、ベンチュリ部では、水の流速は速くなり、ベンチュリ効果が効率的に生じる。水の流れによるベンチュリ効果を用いると、ポンプ等を特別に設けることなく混合水溶液211を混合水溶液導入口41から導入し、混合水溶液211を水で希釈することができる。また、希釈部6において、ベンチュリ部より下流側には、水と、混合水溶液211との攪拌混合を確実にするために、希釈混合室87を有する。希釈混合室87とは、ベンチュリ部において合流した水と混合溶液との希釈混合を確実にするための、ベンチュリ部の径より大きな内径を有する部分である。水と混合溶液との希釈混合を確実にするため、希釈混合室87内部には、邪魔板等を適宜配置することができる。
【0048】
本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置は、希釈部6の混合水溶液導入口41に流体接続する混合水溶液保管槽210を含む。
【0049】
混合水溶液保管槽210は、着脱及び変形可能な容器であることが好ましい。混合水溶液保管槽210が着脱な容器であることにより、工場で、原料となる高濃度残留有効塩素水溶液11を充填し、現場まで運搬し、酸性添加剤を添加して使用することができる。また、混合水溶液保管槽210が変形可能な容器であることにより、空気抜き等を設けなくとも使用の状況に応じて保管槽が変形し、最後まで原料となる水溶液を用いることができる。混合水溶液保管槽210としては、具体的には、可撓性のプラスチック容器、例えば、キュービテナー等を用いることができる。また、適宜、空気抜き等を設けることによって、ポリ缶等のポリ容器(剛体のプラスチック容器)等を用いることもできる。
【0050】
また、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置においては、混合水溶液保管槽210が、混合水溶液211及び気体212を内部に有する殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置であることが好ましい。混合水溶液保管槽210が気体212を内部に有することにより、混合水溶液保管槽210内の混合水溶液211が枯渇したときは、気体212が希釈部6の混合水溶液導入口41から水へと混合されることとなる。そのため、外部から内部を目視可能な攪拌槽67において、泡の発生を目視することができるので、原料の混合水溶液211が枯渇したことを容易に知ることができる。
【0051】
混合水溶液保管槽210内部の気体212は、原料となる水溶液との反応を防止する点から、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を用いることができる。低コストの点から、不活性ガスとしては、窒素を用いることが好ましい。
【0052】
また、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置においては、混合水溶液保管槽210が、高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16をその内部に含む酸性添加剤容器220とを有することが好ましい。工場において、高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16とを混合した混合水溶液211を、混合水溶液保管槽210に充填することは可能である。しかしながら、混合後の劣化を避けるために、高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16との混合は、殺菌用残留有効塩素含有水を製造し、使用する場所(使用現場)で行うことが好ましい。この場合の酸性添加剤として、例えば、酢酸を用い、高濃度残留有効塩素水溶液11としてば次亜塩素酸ナトリウムを用いることにより、酢酸と次亜塩素酸ナトリウムのナトリウム塩とによる電離平衡、平衡移動によって緩衝性を生じせしめることで、高濃度次亜塩素酸溶液と高濃度酢酸とを緩衝液として安定させることができる。高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16との混合を使用現場で行うために、図15に示すように、酸性添加剤16をその内部に含む酸性添加剤容器220を、高濃度残留有効塩素水溶液11と共に、混合水溶液保管槽210の中に入れる。この酸性添加剤容器220は、容易にその容器の少なくとも一部を破壊することができる構造を有する。そのため、現場で、酸性添加剤容器220の少なくとも一部を破壊することにより、酸性添加剤16と、高濃度残留有効塩素水溶液11とを混合し、混合水溶液211を得ることができる。酸性添加剤16と、高濃度残留有効塩素水溶液11との混合は、酸性添加剤容器220の少なくとも一部の破壊後、所定時間放置して、拡散させることにより行うことができる。また、強制的に攪拌することにより、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16を混合することもできる。混合水溶液保管槽210が可撓性のプラスチック容器である場合には、外部から力を加えて混合水溶液保管槽210を変形させることにより、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16を混合することができる。なお、混合水溶液保管槽210は、気体212を含むことができる。
【0053】
「少なくとも一部を破壊することができる構造」とは、容器の隔壁等の「一部」が他の部分より機械的強度の低い材料で形成するか、容易に剥れやすい蓋などによって容器の隔壁等の孔を塞ぐなどすることによって、棒で突いたり、付着した紐を引っ張るなどの機械的手段によって容器の隔壁等に貫通孔を形成することが可能な構造のことをいう。
【0054】
図13及び図14に、容易にその容器の少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器220を有する混合水溶液保管槽210の一例を示す。この例では、混合水溶液保管槽210の混合水溶液保管槽キャップ214に、酸性添加剤注入パイプ225を装着する構造となっている。図13及び図14に示す混合水溶液保管槽210では、キュービテナー等の混合水溶液保管槽210の混合水溶液保管槽キャップ214の中に酸性添加剤注入パイプ225を装着する。酸性添加剤注入パイプ225は酸性添加剤容器220に接続されている。次に、酸性添加剤容器220が混合水溶液保管槽210の中に入るように、混合水溶液保管槽キャップ214を取り付ける。次に、混合水溶液保管槽210に高濃度残留有効塩素水溶液11を導入し、封入する。次に、酸性添加剤注入パイプ225から酸性添加剤容器220へ、酸性添加剤16を注入し、パイプキャップ226をねじ込むことにより、酸性添加剤16の漏出を止める。パイプキャップ226の中にはゴム状の栓が仕込まれており、栓の中に酸性添加剤開封紐221を通す構造とすることができる。そのため、酸性添加剤開封紐221を引いて酸性添加剤容器220を破壊しても、混合水溶液211は漏水することはない。このようにしてできた混合水溶液保管槽210を、本発明の製造装置を用いることによる殺菌用残留有効塩素含有水の製造場所まで運搬する。使用の際には、酸性添加剤開封紐引輪222を引いて酸性添加剤容器220を破壊することにより、酸性添加剤16と、高濃度残留有効塩素水溶液11とを混合することができる。
【0055】
図16〜図20に、容易にその容器の少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器240を有する混合水溶液保管槽210の別の一例を示す。図16に、酸性添加剤容器240の断面模式図を示す。酸性添加剤容器240の一端には、酸性添加剤16を供給するための酸性添加剤導入口242が配置されている。酸性添加剤導入口242は、酸性添加剤16の供給の後、酸性添加剤導入口栓243によって封止することができる。酸性添加剤容器240の他端は、破壊可能な酸性添加剤封止部材247により封止されている。また、酸性添加剤容器240の他端には、複数の柱状の接続部材245を介して混合水溶液保管槽キャップ244が取り付けられている。また、混合水溶液保管槽キャップ244の中央には、破壊可能な混合水溶液保管槽封止部材246が取り付けられている。
【0056】
図17に、図16の酸性添加剤容器240を取り付けるための混合水溶液保管槽210の断面模式図を示す。混合水溶液保管槽210には、酸性添加剤容器240を取り付けるための混合水溶液保管槽キャップ取付部214が配置されている。混合水溶液保管槽キャップ取付部214の開口部から混合水溶液保管槽210へ高濃度残留有効塩素水溶液11を供給することができる。高濃度残留有効塩素水溶液11の供給の後、酸性添加剤容器240を混合水溶液保管槽キャップ取付部214に取り付ける。なお、混合水溶液保管槽210は、気体212を含むことができる。
【0057】
図18に、酸性添加剤容器240を混合水溶液保管槽キャップ取付部214に取り付けた状態の断面模式図を示す。酸性添加剤容器240の混合水溶液保管槽キャップ244が、混合水溶液保管槽キャップ取付部214に取り付けられることにより、混合水溶液保管槽210を封止し、高濃度残留有効塩素水溶液11を格納することができる。この混合水溶液保管槽210を、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造場所まで運搬することができる。
【0058】
図19に、図18に示す混合水溶液保管槽210を開封するための封止破壊棒付キャップ230の模式図を示す。封止破壊棒付キャップ230は、キャップ部材231及びキャップ部材231の一端に取り付けられた封止破壊棒232を含む。キャップ部材231は管状の構造のため、内部に流体の通過が可能である。キャップ部材231の他端には、混合水溶液保管槽開閉弁215及び混合水溶液出口213を取り付けることができる。
【0059】
図20に、封止破壊棒付キャップ230によって混合水溶液保管槽210を開封した状態の断面模式図を示す。封止破壊棒付キャップ230を、酸性添加剤容器240の混合水溶液保管槽キャップ244に差し込むことにより、封止破壊棒232によって混合水溶液保管槽封止部材246及び酸性添加剤封止部材247を破壊することができる。この結果、酸性添加剤容器240の中の酸性添加剤16は、高濃度残留有効塩素水溶液11へと拡散混合され、混合水溶液211を得ることができる。なお、混合水溶液保管槽210の混合水溶液保管槽封止部材246は破壊されるが、混合水溶液211は封止破壊棒付キャップ230のキャップ部材231及び混合水溶液保管槽キャップ244により封止されるので、外部に混合水溶液211が漏れ出すことはない。なお、封止破壊棒232の長さは、開封時に、キャップ部材231及び混合水溶液保管槽キャップ244による封止が可能な長さであることが好ましい。また、混合水溶液出口213を混合水溶液配管281に接続することにより、混合水溶液211を本発明の製造装置へ導入することができる。
【0060】
図16〜図20に示す例の酸性添加剤容器240を有する混合水溶液保管槽210を用いることにより、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを混合することによる混合水溶液211の製造を、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造場所において行うことができる。
【0061】
図21及び図22に、容易にその容器の少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器240を有する混合水溶液保管槽210の別の一例を示す。図21に、混合水溶液保管槽210の混合水溶液保管槽キャップ取付部214に、酸性添加剤容器240を取り付けた状態の断面模式図を示す。酸性添加剤容器240の混合水溶液保管槽キャップ244が、混合水溶液保管槽キャップ取付部214に取り付けられることにより、混合水溶液保管槽210を封止し、高濃度残留有効塩素水溶液11を格納することができる。この混合水溶液保管槽210を、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造場所まで運搬することができる。混合水溶液保管槽キャップ244の材料としては、ゴム等の弾性材料を用いることができる。混合水溶液保管槽210としては、ポリ缶等のポリ容器(剛体のプラスチック容器)又はキュービテナー等の可撓性のあるプラスチック容器等を用いることができる。
【0062】
図21に示す酸性添加剤容器240の一端から、酸性添加剤16を供給し、酸性添加剤16の供給の後、酸性添加剤導入口栓243及び破壊可能な酸性添加剤封止部材247aによって封止することができる。酸性添加剤容器240の他端は、破壊可能な酸性添加剤封止部材247bにより封止されている。
【0063】
図21に示す混合水溶液保管槽210には、酸性添加剤容器240を取り付けるための混合水溶液保管槽キャップ取付部214が配置されている。混合水溶液保管槽210に高濃度残留有効塩素水溶液11の供給の後、酸性添加剤容器240を混合水溶液保管槽キャップ取付部214に取り付ける。なお、混合水溶液保管槽210は、気体212を含むことができる。
【0064】
図22に、封止破壊棒付吸入管235によって混合水溶液保管槽210を開封した状態の断面模式図を示す。酸性添加剤導入口栓243を取り外し、封止破壊棒付吸入管235を酸性添加剤容器240の混合水溶液保管槽キャップ244に差し込むことにより、封止破壊棒付吸入管235によって酸性添加剤封止部材247a及び247bを破壊することができる。この結果、酸性添加剤容器240の中の酸性添加剤16は、高濃度残留有効塩素水溶液11へと拡散混合され、混合水溶液211を得ることができる。なお、封止破壊棒付吸入管235の長さは、開封時に、酸性添加剤封止部材247a及び247bを破壊することが可能な長さであることが好ましい。また、封止破壊棒付吸入管235は、その先端に吸入口ストレーナー237を有することが好ましい。吸入口ストレーナー237は、酸性添加剤容器240を突き抜けて、混合水溶液保管槽210の中に位置することにより、吸入口ストレーナー237を経由して混合水溶液211を吸入することができる。また、封止破壊棒付吸入管235に取り付けられた配管ジョイントキャッチ弁236に混合水溶液配管281を接続することにより、混合水溶液211を本発明の製造装置へ導入することができる。
【0065】
図21〜図22に示す例の酸性添加剤容器240を有する混合水溶液保管槽210の場合、酸性添加剤容器240としては、ポリ缶等のポリ容器(剛体のプラスチック容器)を用いることができる。酸性添加剤容器240の一端から、酸性添加剤16を供給する場合に、酸性添加剤容器240の酸性添加剤16の供給口が小さい場合には、高濃度、例えば50重量%程度の濃度の酢酸を酸性添加剤容器240へと供給することが、安全性の点から困難である。しかしながら、酸性添加剤容器240としてポリ缶等のポリ容器を用いることにより、高濃度、例えば50重量%程度の濃度の酢酸を、酸性添加剤容器240に供給することが可能である。
【0066】
図21〜図22に示す例の酸性添加剤容器240を有する混合水溶液保管槽210を用いることにより、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを混合することによる混合水溶液211の製造を、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造場所において行うことができる。
【0067】
なお、容易にその容器の少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器220を有する混合水溶液保管槽210において、酸性添加剤16と、高濃度残留有効塩素水溶液11との混合方法はこれに限られるものではなく、例えば、高濃度残留有効塩素水溶液11を有する混合水溶液保管槽210に対して、外部から酸性添加剤16を添加することもできる。また、混合水溶液保管槽210に、容易に少なくとも一部を破壊することのできる隔壁を設け、隔壁で隔離された部分に酸性添加剤容器220を保管するという形態にすることもできる。
【0068】
また、容易にその容器の少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器220を有する混合水溶液保管槽210において、安全性を確実にする点からは、酢酸等の酸性添加剤16の濃度は低い方が好ましい。また、搬送を容易にするために、酸性添加剤容器240を有する混合水溶液保管槽210を小さくする点からは、酢酸等の酸性添加剤16の濃度は高い方が好ましい。そのため、酢酸濃度は20〜50重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましく、25〜35重量%であることがさらに好ましく、具体的には30重量%であることが特に好ましい。また、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを混合した後の混合水溶液211のpHは、5.5〜6.5程度とすることが好ましい。
【0069】
密閉容器内で確実に混合ができる点から、混合水溶液保管槽210内に、少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器220を用いる方法により混合水溶液211を得ることが好ましい。
【0070】
本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置は、混合水溶液保管槽210と希釈部6との間に流体接続するように配置される混合水溶液導入量調節器207をさらに含むことが好ましい。混合水溶液導入量調節器207により、混合水溶液211の流量を調節することができるので、混合水溶液211の水による希釈量を調節することができ、所定の濃度の殺菌用残留有効塩素含有水20を得ることができる。
【0071】
本発明の製造装置は、希釈部6の下流側に、希釈部6と、殺菌用残留有効塩素含有水出口64との間に流体接続するように配置される攪拌槽67をさらに有することが好ましい。希釈部6において混合水溶液211が水によって希釈され、攪拌槽67でさらに混合し、強制攪拌されることにより、所定の残留有効塩素濃度及び所定の水素イオン濃度を有する、殺菌能力を有する殺菌用残留有効塩素含有水20(希釈水溶液)を得ることができる。図7に示すように、攪拌槽67は円筒状の内部形状であり、殺菌用残留有効塩素含有水20の入口が偏芯して配置されていることが好ましい。攪拌槽67がそのような構造の場合には、殺菌用残留有効塩素含有水20の流れがスパイラル状となり攪拌を確実にすることができる。
【0072】
また、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置において、希釈部6と攪拌槽67とが直線部160を含む攪拌槽接続配管により流体接続され、攪拌槽接続配管の直線部160が希釈部6の出水口88に接するように接続し、ベンチュリ部と、希釈部6の出水口88との間に希釈混合室87が配置され、攪拌槽接続配管の直線部160の長さDbが、希釈混合室87の長さDaの1〜10倍、好ましくは2〜8倍、より好ましくは4倍以上であることが好ましい。「直線部160」とは、希釈部6の出水口88と攪拌槽67とを流体接続する攪拌槽接続配管において、希釈部6の出水口88から延びる攪拌槽接続配管の直線状の配管の部分のことをいう。本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置が、このような構造を有することにより、水と混合水溶液211との混合を確実に行うことができる。
【0073】
攪拌槽67の少なくとも一部は、外部から内部を目視可能なように、透明な材料からなることが好ましい。攪拌槽67において、混合水溶液の水道水に対する混合を確実にできる。また、透明な材料を通して攪拌槽67内を視認することができることにより、色の変化等から、製造装置の不具合等の発見を容易に行うことができる。また、原料の混合水溶液211が枯渇したときは、混合水溶液保管槽210内の不活性ガス等の気体212が、希釈部6の混合水溶液導入口41から水へ混合する。そのため、外部から内部を目視可能な攪拌槽67において、泡の発生を目視することができるので、原料の混合水溶液211が枯渇したことを容易に知ることができる。
【0074】
このようにして得られる殺菌力を有する殺菌用残留有効塩素含有水20は、被殺菌物65の殺菌に用いることができる。殺菌用残留有効塩素含有水20は、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66の下流側に配置される殺菌用残留有効塩素含有水出口64から取り出して、被殺菌物65を殺菌することができる。
【0075】
本発明の製造装置では、殺菌用残留有効塩素含有水出口64の上流側に流体接続される、一つ以上の残留有効塩素含有水用水栓63をさらに有することが好ましい。複数の水栓を有することにより、複数の被殺菌物65を独立に殺菌することができる。
【0076】
なお、図2に示す例の製造装置は、攪拌槽67の下流側に、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66を有する。殺菌用残留有効塩素含有水20は、攪拌槽67から殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66へと移動し、そこで貯留される構造となっている。殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66は、殺菌用残留有効塩素含有水20の水位を感知する貯留タンク用水位センサー70を有することができる。また、貯留タンク用水位センサー70と連動する水栓開閉弁8を遠隔操作で閉弁するための機構を有することができる。
【0077】
殺菌用残留有効塩素含有水20は、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66に流体接続する残留有効塩素含有水出口64から取り出し、被殺菌物65の殺菌のために用いることができる。
【0078】
また、図4に示す例の製造装置は、攪拌槽67の下流側に、下部貯留タンク130を有する。下部貯留タンク130にはポンプ131が配置され、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66へと移動することを可能にする。
【0079】
本発明の製造装置は、混合水溶液保管槽210と、希釈部6との間に流体接続するように配置される混合水溶液計測器274を有することができる。混合水溶液計測器274としては、図8に示すような密閉式計測器500を用いることができる。混合水溶液計測器274により、混合水溶液の流れを目視により計測することができる。
【0080】
本発明の製造装置に用いる混合水溶液計測器274は、密閉式計測器500であることが好ましい。本発明の製造装置に用いる密閉式計測器500は、点滴貯留用管510と、滴下管512と、排出管513とを含むことができる。点滴貯留用管510は、液体の出入りを除き気密性であり、液体が通過でき、液体の流れの目視するため及び必要に応じて液体を貯留することのできる密閉空間511を有する。すなわち、本発明の製造装置の動作中は、点滴貯留用管510の上部には気体が存在し、下部には液体が存在することとなる。また、滴下管512は、点滴貯留用管510の上端に配置され、一端が、液体を滴下(点滴)するための密閉空間511の内部に配置され、他端が、混合水溶液保管槽210に流体接続される。また滴下管512の内径は、点滴貯留用管510の内径より小さい。排出管513は、一端が、点滴貯留用管510の下端に配置され、他端が、混合部80に流体接続される。また、排出管513の内径は、点滴貯留用管510の内径より小さい。密閉空間511は、基本的に、滴下管512と、排出管513とに開口部を有する以外はゴム栓等の上部栓514などのシール材によって密封されている。ただし、必要に応じて、密閉空間511に液体や気体の導入を可能にするためのガラス管空気圧調整機構を設けることができる。なお、滴下管512内の液体の高さ及び希釈部6の高さは、混合水溶液211の導入を、希釈部6内のベンチュリ効果による流入によりスムーズに行うために、同程度の高さとすることが好ましい。
【0081】
密閉式計測器500は、滴下管512から密閉空間511へ液体を滴下(点滴)し、必要に応じて一時貯留することができる。また、滴下管512中の滴下を目視することにより液体の流れの状態を計測することができる。したがって、密閉式計測器500の点滴貯留用管510の材料としては、ガラス管、アクリル管、及びその他の樹脂製の管など透明な材料を用いることができる。
【0082】
密閉式計測器500を用いると、点滴貯留用管510の中で滴下管512から液体が滴下する様子を観察することができる。滴下する液体の液滴は、1滴が0.02〜0.1mLであるので、滴下する速度を目視しながら、液体の導入量を調節することができる。密閉式計測器500を用いることによって、酸性添加剤16を添加する添加量の調整を、より精密に、的確に行うことができる。
【0083】
密閉式計測器500において、ガラス製又は透明アクリル製等の透明な材料を用いる場合には、密閉式計測器500中の液体の滴下している様子を見ることができるため、点滴数による液体の添加量と、製造装置の動作の状態が正常かどうかを使用者に知らせるための、目視用の添加量計測器と添加確認装置として用いることができる。例えば、酸性添加剤16が滴下していない場合には、殺菌用残留有効塩素含有水20が製造されていないことを示すので、被殺菌物65の殺菌が有効に行われない状況にあることを使用者が知ることができる。
【0084】
また、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置においては、混合水溶液計測器274を一つ、又は複数配置することができる。図9に示すように、本発明では、上下に直列に配置された二つの密閉式計測器500a及び500bを含む殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置であることが好ましい。上下に直列に配置された二つの密閉式計測器500a及び500bの形態を含むことにより、混合水溶液211の供給をより安定に行うことができる。なお、二つの密閉式計測器500を流体接続する配管に、混合水溶液導入量調節器207を配置することができる。また、二つの密閉式計測器500のうち上流側(上側)に配置される密閉式計測器500bは、下流側(下側)に配置される密閉式計測器500aより内径が小さいことが好ましい。
【0085】
また、図9に示すように、下流側(下側)に配置される密閉式計測器500aの滴下管512aの密閉空間511aへ配置される一端の開口部は、オリフィス孔521を有するオリフィス部520を配置することが好ましい。オリフィス孔521は0.05〜1mmの直径、好ましくは0.1〜0.5mmの直径を有することができる。オリフィス孔521の長さは、0.1〜2mmの直径、好ましくは0.5〜1.5mmとすることができる。なお、上流側(上側)に配置される密閉式計測器500bにもオリフィス部520を配置することができるが、本発明の装置を安定に作動させるためには、下流側(下側)に配置される密閉式計測器500aのみにオリフィス部520を配置することが好ましい。
【0086】
また、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置においては、希釈部6の混合水溶液導入口41、攪拌槽67及び混合水溶液計測器274の、それぞれの少なくとも一部が、同じ高さになるように配置される殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置であることが好ましい。殺菌用残留有効塩素含有水20の製造を停止したときに、希釈部6の混合水溶液導入口41、攪拌槽67及び混合水溶液計測器274において、液体の高さが同程度で停止することにより、望まれない液体の逆流を防止することができるためである。
【0087】
上述のような本発明の方法及び製造装置を用いると、必要最小限の必要量だけの殺菌用残留有効塩素含有水20を水道水の水栓を開くだけという簡単な操作で適時使用することが可能となる。
【0088】
次に、本発明の製造装置の動作及び本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造方法について説明する。
【0089】
本発明は、上述の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置を用いる殺菌用の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造方法である。本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造方法は、高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16とを混合して、混合水溶液211を製造する工程と、混合水溶液211を、水で希釈し混合することによって、所定の残留有効塩素濃度及び所定のpHであって殺菌力のある殺菌用残留有効塩素含有水20を製造する工程とを含む。
【0090】
本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造方法は、高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16とを混合して、混合水溶液211を製造する工程を含む。本発明に用いることのできる高濃度残留有効塩素水溶液11は、残留有効塩素濃度2000ppm〜15000ppm、好ましくは3000ppm〜10000ppm、及びpHが10.5±1.5である。
【0091】
本発明に用いる高濃度残留有効塩素水溶液11は、次亜塩素酸水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液又はこれらの混合液であることが好ましい。次亜塩素酸水溶液及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、公知の製造方法によって製造することができ、例えば、電解装置を用いて製造することができる。
【0092】
本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造方法では、酸性添加剤16としては、食品添加物として添加することができる酸を用いることができる。本発明に用いる酸性添加剤16は、具体的には、食酢並びに濃度0.1〜50重量%(好ましくは0.1〜30重量%)の塩酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−アルギニン−グルタミン酸、アルギン酸、L−イソロイシン、クエン酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも一つを含むことができる。本明細書では、酸性添加剤16に含まれる上記酸の濃度のことを「酸濃度」という。
【0093】
食酢は酢酸を2〜3%を含み、希釈せずそのまま酸性添加剤16として使用することができる。また、「食酢」とは「食酢品質表示基準」(平成12年12月19日農林水産省告示第1668号)に記載されたものであることができる。
【0094】
塩酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−アルギニン−グルタミン酸、アルギン酸、L−イソロイシン、クエン酸及び酢酸の酸性添加剤16中の濃度(酸濃度)は、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下であることが好ましい。酸濃度が低い場合には、未熟練の者でも容易に取り扱うことができる。
【0095】
酸性添加剤16中の塩酸等の酸濃度の下限は、本発明の方法の酸性添加剤16としての機能を果たす濃度、すなわち酸性添加剤16を添加した混合水溶液211を所定の流量の水で希釈することによって得られる希釈水溶液のpHが、所定の範囲となる濃度であればよい。具体的には、酸性添加剤16中の塩酸及び酢酸等の濃度が、0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であることができる。
【0096】
本発明において、酸性添加剤16は、具体的には、食酢、濃度0.1〜50重量%の酢酸、濃度0.1〜50重量%の塩酸、濃度0.1〜50重量%のクエン酸、食酢と濃度0.1〜50重量%の酢酸との混合液、食酢と濃度0.1〜50重量%のクエン酸との混合液及び食酢と濃度0.1〜50重量%の酢酸と濃度0.1〜50重量%のクエン酸との混合液から選択されるいずれか1つを用いることができる。上記の濃度は、好ましくは、濃度0.1〜30重量%、より好ましくは、濃度0.1〜20重量%、さらに好ましくは濃度0.1〜20重量%である。酸の濃度が低いほど、取扱いが容易になるためである。
【0097】
例えば食酢又は酢酸にクエン酸のような緩衝力のある酸を混合させて用いる場合、本発明の製造装置は、調理現場の他のカラン使用等による水道の水圧変動に対応してpHが変動する場合にpHの変動許容幅を緩和することができ、殺菌能力を有するpHの範囲を確実に保持するための緩衝力を発生させることができる。このことにより、水圧変動によりpHが所定の値以上になることによって水洗による皮膚の角質を分解して雑菌を謂集させる手荒れが発生してしまうという危険を防止し、さらにこの緩衝力により、水圧が低下することによってpH3以下の酸性になると生じる塩素ガスの発生を防止し、人体に及ぼす危険を回避することができる。
【0098】
酸性添加剤16としては、酢酸を用いることが特に好ましい。その理由は次のとおりである。すなわち、一般的に弱酸とその塩、又は弱塩基とその塩の混合物は緩衝作用があることが知られている。緩衝作用とは、少量の酸や塩基が加えられても溶液のpHはほとんど変わらない性質のことをいう。弱酸である酢酸の水溶液は緩衝作用があり、次亜塩素酸ナトリウムと酢酸との混合比率の変化によるpHの変化は小さい。一方、塩酸のような強酸の場合には、その添加によりpHが大幅に変化し、pHが3以下になって塩素ガスの発生の危険を生じる。以上の述べたように、酸性添加剤16として酢酸を用いた場合には、調理室の水道の使用状況により本発明の製造装置に供給される水流量が変化した場合でも、殺菌用残留有効塩素含有水のpHはあまり変わらず、pHが所定の範囲が保持されるのである。
【0099】
また、酸性添加剤16は、上記の酸の他に、食品添加物として添加することができる酸の塩を含むことができる。具体的には、酸性添加剤16は、塩化ナトリウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−アルギニン−グルタミン酸塩、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、L−グルタミン酸カリウム、L−グルタミン酸カルシウム、L−グルタミン酸ナトリウム、L−グルタミン酸マグネシウム、酢酸ナトリウム及びL−システイン塩酸基などから選択される塩を含んでもよい。これらの塩は、希釈水溶液のpHを所定の値となるように調節するという酸性添加剤16の機能を妨げない範囲で添加することができる。
【0100】
混合水溶液211を製造する工程において、高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16との混合割合は、後の工程で水により希釈されて得られる殺菌用残留有効塩素含有水20のpHが、6±2、好ましくはpH4〜6.5となるように調節されることが好ましい。
【0101】
使用現場での混合水溶液211の作製を容易にするため、上述の少なくとも一部を破壊することができる構造を有する酸性添加剤容器220を用いることによって、混合水溶液保管槽210内で混合水溶液211を作製することができる。なお、酸性添加剤16と、高濃度残留有効塩素水溶液11との混合方法はこれに限られるものではなく、例えば、高濃度残留有効塩素水溶液11を有する混合水溶液保管槽210に対して、酸性添加剤16を後から添加することもできる。
【0102】
本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造方法は、混合水溶液211を、水で希釈し混合することによって、所定の残留有効塩素濃度及び所定のpHである殺菌用残留有効塩素含有水20を製造する工程を含む。所定の残留有効塩素濃度とは、10ppm〜150ppm、好ましくは30ppm〜90ppm、より好ましくは40ppm〜60ppmである。また、所定のpHとは、pH6±2、好ましくはpH4〜6.5である。このような範囲の残留有効塩素濃度及びpHを有する殺菌用残留有効塩素含有水20は、十分な殺菌力を有する。
【0103】
次に、本発明の製造装置の第1の例の動作について、図面を参照して説明する。
【0104】
まず、高濃度残留有効塩素水溶液11と、酸性添加剤16とを混合した混合水溶液211を、混合水溶液保管槽210の中に準備する。混合水溶液保管槽210内には、混合水溶液211の他に気体212を有することが好ましい。
【0105】
次に、水栓開閉弁8を開き、水道配管に流体接続した水導入口30から、水道水を導入する。この結果、希釈部6の中に水道水の流れが生じ、希釈部6のベンチュリ部においてベンチュリ効果による吸引力で高混合水溶液211を吸入することによって、混合水溶液211を混合水溶液導入口41から所定の流量で導入することができる。その結果、希釈部6では希釈水溶液(殺菌用残留有効塩素含有水20)を生成することができる。
【0106】
混合水溶液211は、混合水溶液保管槽210から混合水溶液計測器274及び278を経由し、混合水溶液混合室86に導入される。混合水溶液211は、混合水溶液混合室86から混合水溶液導入口41を経て希釈部6に導入される。本発明の製造装置が動作し、水道水が所定の方向へ流れている場合には、混合水溶液は、希釈部6の混合水溶液導入口41におけるベンチュリ効果により、希釈部6へと流入するため、混合水溶液211は混合水溶液保管槽210から希釈部6へと流れることができる。
【0107】
図4に示すように、本発明の製造装置は、液体の逆流を自動的に止水するために、混合水溶液211を供給する混合水溶液配管281に逆流防止弁73を設けることが好ましい。図4に示す構造の装置の場合には、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造停止の際、水栓開閉弁8を閉じなくとても、残留有効塩素含有水用水栓63を閉めるだけで、残留有効塩素含有水の製造を停止することができる。このときに、混合水溶液配管281に逆流防止弁73を設けてあるので、水道水の混合水溶液配管281への逆流を防止することができる。
【0108】
希釈部6において、混合水溶液211が水道水によって希釈され、攪拌槽67でさらに混合し、強制攪拌されることにより、希釈混合が確実に行われ、pHが6±2、好ましくはpH4〜6.5、残留有効塩素濃度が10ppm〜150ppmである殺菌能力を有する殺菌用残留有効塩素含有水20(希釈水溶液)を得ることができる。
【0109】
図2に示す構造の装置の場合、さらに、殺菌用残留有効塩素含有水20は、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66へと移動し、そこで貯留される。
【0110】
殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66は、所定の高さに設置されており、殺菌用残留有効塩素含有水20はそこに放水される。殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66が満杯になったときは、液面スイッチで、水栓開閉弁8を遠隔操作で閉弁し、減水したときは、再度開弁して殺菌用残留有効塩素含有水20の生成を再開することができる。また、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66に貯留タンク用水位センサー70を配置し、上述の水栓開閉弁自動開閉機構により、水栓開閉弁8を自動的に開閉することができる。
【0111】
殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66から流下する殺菌用残留有効塩素含有水20は、配管を用いて必要な場所に誘導し、残留有効塩素含有水出口64から取り出され、被殺菌物65に対してシャワーリングされ、被殺菌物65の殺菌を行うことができる。
【0112】
また、供給される水が、超低圧及び/又は小水量の場合には、図3に示す例の製造装置のように、攪拌槽67の下流側に、下部貯留タンク130を有する構造の装置とすることができる。下部貯留タンク130に蓄えられた殺菌用残留有効塩素含有水20は、ポンプ131により、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66へと移動し、そこで貯留される。したがって、この場合には、殺菌用残留有効塩素含有水20を任意の高さまで移送することができる。
【0113】
本発明の製造装置では、水道から供給する水の流量は、30〜300cm/秒、35〜120cm/秒であることがより好ましく、40〜90cm/秒であることがさらに好ましい。水道から供給する水の流量がこのような範囲であると、殺菌力を有する十分な量の殺菌用残留有効塩素含有水20を安定して製造することができる。
【0114】
上水道(水道)を本発明の製造装置へ供給するための配管には、水栓開閉弁8が配置される。操作性の点から、水栓開閉弁8はワンタッチで開閉可能なコックであることが好ましい。なお、水栓開閉弁8及び水道水調整弁75は、適宜、それらの位置を変更して配置することも可能である。
【0115】
本発明の製造装置は、水の輸送のために水道水の水圧を用い、ベンチュリ効果による混合水溶液211の導入機構等を用いているので、流体の移送のためのポンプ等及びそれらを駆動するための電力等が不要であり、低コストの製造装置であり、操作も簡便である。本発明の製造装置により、殺菌力のある殺菌用残留有効塩素含有水20を低いコストで得ることができる。
【0116】
<本発明の製造装置の第2の例>
次に、本発明の製造装置の第2の例について説明する。本発明の製造装置の第2の例の一例を、図10に示す。
【0117】
本発明の製造装置の第2の例において、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置は、水導入口30と、希釈部6と、殺菌用残留有効塩素含有水出口64と、水栓開閉弁8と、原料水溶液導入量調節器として混合水溶液導入量調節器207とを含む。本発明の製造装置の第2の例では、さらに、混合部80を含む。混合部80は、希釈部6の混合水溶液導入口41に流体接続する混合水溶液混合室86と、混合水溶液混合室86に流体接続する高濃度残留有効塩素水溶液導入口及び酸性添加剤導入口とを有する。本発明の製造装置の第2の例では、混合部80において、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを混合し、攪拌し、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16との混合水溶液211を生成することができる。本発明の製造装置の第2の例において、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16との混合は殺菌用残留有効塩素含有水の製造のときに行われるので、原料水溶液の劣化を避けることができる。
【0118】
本発明の製造装置の第2の例では、混合部80において高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを混合し、攪拌する。そのため、原料容器は、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10及び酸性添加剤貯留瓶15の二つを備える。また、原料水溶液導入量調節器としては、高濃度残留有効塩素水溶液導入口と高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10との間に配置される高濃度残留有効塩素計測器74と、酸性添加剤導入口と酸性添加剤貯留瓶15との間に配置される酸性添加剤計測器76とを備える。
【0119】
また、本発明の殺菌用残留有効塩素含有水20の製造装置は、攪拌槽67、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66、下部貯留タンク130並びに原料水溶液計測器として高濃度残留有効塩素計測器74及び酸性添加剤計測器76等を含むことができる。以下、本発明の製造装置の第2の例の構成についてさらに詳しく説明する。
【0120】
本発明の製造装置の第2の例において、水導入口30、貯留水タンク120、水栓開閉弁8、エアー緩衝装置31(又は31b)、希釈部6、攪拌槽67、下部貯留タンク130、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66及び残留有効塩素含有水用水栓63等については、第1の例と同様の構造のものを用いることができる。
【0121】
本発明の製造装置の第2の例は、希釈部6の混合水溶液導入口41に流体接続される混合部80を有する。混合部80は、混合水溶液混合室86と、高濃度残留有効塩素水導入配管83及び酸性添加剤導入配管84とを有する。混合水溶液混合室86は、希釈部6の混合水溶液導入口41に流体接続される。また、混合水溶液混合室86は、高濃度残留有効塩素水導入配管83及び酸性添加剤導入配管84に流体接続される。混合部80において、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを混合し、攪拌し、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16との混合水溶液211を生成する。
【0122】
混合部80は、三つの接続孔を有する分岐型流水路85、例えばY字型流水路(例えばY字管)又はT字型流水路(例えばT字管)を有することが好ましい。分岐型流水路85の三つの接続孔は、それぞれ高濃度残留有効塩素水導入配管83、酸性添加剤導入配管84及び混合水溶液混合室86に流体接続する。高濃度残留有効塩素水導入配管83及び酸性添加剤導入配管84は、分岐型流水路85の分岐点の部分で合流する。この高濃度残留有効塩素水導入配管83及び酸性添加剤導入配管84の合流する部分を、それぞれ高濃度残留有効塩素水溶液導入口及び酸性添加剤導入口という。高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16は、分岐型流水路で合流し、混合され、混合水溶液混合室86に導かれ、混合水溶液混合室86においてさらに十分混合・攪拌される。
【0123】
混合部80の混合水溶液混合室86の内径Dは、分岐型流水路85の内径の1.5〜10倍であり、好ましくは、2〜5倍である。図11に示す混合水溶液混合室86の内径Dの具体例は12mm、分岐型流水路85の内径の具体例は5mmである。この具体例では、上述の倍率が2.4倍である。また、混合水溶液混合室86の長さLの具体例は20mmである。なお、これらの具体例は、例示的に示したにすぎない。
【0124】
混合部80の分岐型流水路85としては、T型ジョイント(例えばT字管)を用いることが好ましい。それぞれ流量調整された高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16をフレキシブルホース等の配管で、混合部80の高濃度残留有効塩素水導入配管83及び酸性添加剤導入配管84であるT型ジョイントを構成する2つの配管に連結する。2つの液体は、逆T型ジョイントの残り1つの配管を通って、混合水溶液混合室86に入り、そこで十分に混合される。
【0125】
混合水溶液混合室86の混合水溶液211は、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16の流量の差によってスパイラル状に吸入、混合されることができる。さらに混合水溶液211は、希釈部6でのベンチュリ効果により希釈部6へ導入されると同時に瞬間的に相当量の水で、所定の濃度に希釈され、希釈水溶液となる。
【0126】
酸とアルカリの中和反応は、拡散律速で非常に短時間の反応であることは、よく知られている。しかも、発生する熱エネルギー及び塩素ガスは反応する液体の量に比例する。本発明では、反応による危険性を解消するために、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16を、混合部80の小さいスペースの中で合流させて、非常に短時間で混合し、さらに混合水溶液混合室86で、一挙の混合する方法を用いることが好ましい。その方法を具現化する本発明の製造装置の第2の例を用いると、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16の混合時の危険性を回避することができる。
【0127】
本発明の製造装置の第2の例は、希釈部6の下流側に配置される殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66を含む。殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66において、殺菌用残留有効塩素含有水20が大気圧に解放される。また、製造された殺菌用残留有効塩素含有水20は、使用されるまで殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66において貯蔵される。
【0128】
本発明の製造装置の第2の例は、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66が、貯留タンク用水位センサー70を有し、貯留タンク用水位センサー70(水位センサー又はボールタップ式スイッチ)によって感知された水位が所定の値(第一の水位)以上の場合に、水導入口30と希釈部6との間の配管に位置する水栓開閉弁8を自動的に閉じる機構(水栓開閉弁自動開閉機構)を有することが、殺菌用残留有効塩素含有水20の供給を安全に行う点から好ましい。また、水栓開閉弁自動開閉機構は、貯留タンク用水位センサー70によって感知された水位が第一の水位より低い第二の水位以下の場合(すなわち、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66が空に近くなった場合)に、水栓開閉弁8を自動的に開く動作を行うことが好ましい。例えば、第一の水位は、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66の満水の80〜99%の水位、好ましくは85〜95%の水位とすることができる。また、第二の水位は、例えば、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66の満水の1〜30%の水位、好ましくは5〜20%の水位とすることができる。
【0129】
本発明の製造装置の第2の例は、希釈部6の下流側であって、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66の上流側に流体接続される攪拌槽67をさらに有することが好ましい。また、攪拌槽67の少なくとも一部が、透明な材料からなることが好ましい。攪拌槽67において、混合水溶液211の水道水に対する混合を確実にできる。また、透明な材料を通して攪拌槽67内を視認することができることにより、酸性添加剤16が適正に混入されると即時中和されるが過剰な酸性添加剤16が混入されると攪拌槽67内の残留有効塩素含有水が急激に白濁し、その色の変化等から、製造装置の不具合等の発見を容易に行うことができる。また、本発明の製造装置の第1の例と同様に、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10及び酸性添加剤貯留瓶15が気体212を内部に有することにより、原料容器内の原料水溶液が枯渇したときは、気体212が希釈部6の混合水溶液導入口41から水へと混合されることとなる。そのため、外部から内部を目視可能な攪拌槽67において、泡の発生を目視することができるので、原料水溶液が枯渇したことを容易に知ることができる。
【0130】
所定のpHに転換した希釈水溶液は、殺菌力を有する残留有効塩素含有水として殺菌に用いることができる。殺菌用残留有効塩素含有水は、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66の下流側に配置される殺菌用残留有効塩素含有水出口64から取り出して、被殺菌物65を殺菌することができる。
【0131】
本発明の製造装置の第2の例は、高濃度残留有効塩素計測器74を有する。高濃度残留有効塩素計測器74は、混合部80の高濃度残留有効塩素水導入配管83に流体接続される。高濃度残留有効塩素計測器74としては、第1の例と同様に、図8に示すような密閉式計測器500を、一つ又は複数用いることができる。例えば、高濃度残留有効塩素計測器74及び174として、図9に示す二つの密閉式計測器500a及び500bを用いることができる。図10には、二つの高濃度残留有効塩素計測器(高濃度残留有効塩素計測器74及び第二高濃度残留有効塩素計測器174)を上下に直列に配置した本発明の製造装置の例を示している。図10では、高濃度残留有効塩素計測器74が密閉式計測器500aに相当し、第二高濃度残留有効塩素計測器174が密閉式計測器500bに相当する。高濃度残留有効塩素水溶液11の導入を安定して確実に行い、殺菌用残留有効塩素含有塩素水20の逆流を防止する点から、高濃度残留有効塩素計測器として、二つの密閉式計測器500a及び500b(高濃度残留有効塩素計測器74及び第二高濃度残留有効塩素計測器174)を用いることが好ましい。
【0132】
本発明の製造装置の第2の例は、酸性添加剤計測器76を有する。酸性添加剤計測器76は、混合部80の酸性添加剤導入配管84に流体接続される。酸性添加剤計測器76としては、第1の例と同様に、図8に示すような密閉式計測器500を、一つ又は複数用いることができる。例えば、酸性添加剤計測器76及び176として、図9に示す二つの密閉式計測器500a及び500bを用いることができる。図10には、二つの酸性添加剤計測器(酸性添加剤計測器76及び第二酸性添加剤計測器176)を上下に直列に配置した例を示している。図10では、酸性添加剤計測器76が密閉式計測器500aに相当し、第二酸性添加剤計測器176が密閉式計測器500bに相当する。酸性添加剤16の導入を安定して確実に行い、殺菌用残留有効塩素含有塩素水20の逆流を防止する点から、酸性添加剤計測器として、二つの密閉式計測器500a及び500b(酸性添加剤計測器76及び第二酸性添加剤計測器176)を用いることが好ましい。
【0133】
本発明の製造装置の第2の例は、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10を有する。高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10は、高濃度残留有効塩素計測器74に流体接続される。また、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10が、残量センサー12を有し、残量センサー12からの情報に基づいて警告を発する警告装置18を配置し、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10の高濃度残留有効塩素水溶液11の容積が高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10の容積の所定の割合(例えば、5分の1又は10分の1)まで減量した場合に、警告装置18から警告を発するようにすることが、安全性及び作業能率の点から好ましい。また、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10及び酸性添加剤貯留瓶15が気体を内部に有することにより、原料容器内の原料水溶液が枯渇したときは、外部から内部を目視可能な攪拌槽67において、泡の発生を目視することもができる。
【0134】
本発明の製造装置の第2の例は、酸性添加剤貯留瓶15を有する。酸性添加剤貯留瓶15は、酸性添加剤計測器76に流体接続される。また、酸性添加剤貯留瓶15が、残量センサー12を有し、残量センサー12からの情報に基づいて警告を発する警告装置18を配置し、酸性添加剤貯留瓶15の酸性添加剤16の容積が酸性添加剤貯留瓶15の容積の所定の割合(例えば、5分の1又は10分の1)まで減量した場合に、警告装置18から警告を発するようにすることが、安全性及び作業能率の点から好ましい。また、酸性添加剤貯留瓶15が気体を内部に有することにより、原料容器内の原料水溶液が枯渇したときは、外部から内部を目視可能な攪拌槽67において、泡の発生を目視することもができる。
【0135】
本発明の製造装置の第2の例では、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10と混合部80との間を流体接続する配管及び/又は酸性添加剤貯留瓶15と混合部80とを流体接続する配管に、逆流防止弁73(図10には図示せず)を配置することができる。逆流防止弁73を配置することにより、殺菌用残留有効塩素含有水20の製造を停止した際の流体の逆流を防止することができる。ただし、水の流量が40cm/秒以下の場合は逆流防止弁73の抵抗によりベンチュリの吸引機能が低下し、原料水溶液を十分に吸引することができなくなるおそれがある。したがって、水の流量が40cm/秒以下の場合には、高濃度残留有効塩素水配管81及び酸性添加剤配管82に逆流防止弁73を配置しないことが好ましい。また、水栓開閉弁8が閉じられてベンチュリ機能が停止されたとき、サイフォン現象で生成途上の残留有効塩素含有塩素水20が、高濃度残留有効塩素水配管81及び酸性添加剤配管82を逆流して高濃度塩素水溶液瓶10及び/又は酸性添加剤貯留瓶15に流入する恐れがある場合には、二つの密閉式計測器500a及び500bを配置することにより、残留有効塩素含有塩素水20の逆流の問題に対応することができる。この場合には、高濃度残留有効塩素水配管81及び酸性添加剤配管82に逆流防止弁73を必ずしも配置しなくても、殺菌用残留有効塩素含有塩素水20の逆流を防止することができる。すなわち、原料水溶液計測器として、二つの密閉式計測器500a及び500bを配置することにより、殺菌用残留有効塩素含有塩素水20の逆流の量を制限することができるので、結果的に逆流防止弁73を配置することと同様の機能を有することができるのである。
【0136】
二つの密閉式計測器500a及び500bの機能について、酸性添加剤計測器76及び第二酸性添加剤計測器176を例に、さらに説明する。酸性添加剤計測器76は、混合部80の酸性添加剤導入配管84に流体接続される。第二酸性添加剤計測器176の上部は高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10に配管で流体接続されているが、配管の内容積と同じか、それよりも大きな容積の酸性添加剤計測器176が装備されているため、前述のごとく酸性添加剤計測器76と同じ密閉式で減圧状態であるためサイフォン現象が起こり、生成途上の残留有効塩素含有塩素水20が連動して酸性添加剤導入配管84から酸性添加剤配管82へと逆流するが、酸性添加剤配管82内の吸引途上の酸性添加剤16が酸性添加剤貯留瓶15に逆流し終わったとき、酸性添加剤計測器176内まで逆流してきた残留有効塩素含有塩素水20は酸性添加剤計測器176内と同量の空気に遮断されサイフォン現象は消滅し、逆流現象は停止する。すなわち、酸性添加剤計測器76及び第二酸性添加剤計測器176により逆流防止弁73の機能を代替することができる。そのため、逆流防止弁73が不要なので、逆流防止弁73での流体の抵抗がなくなり低流量の水流でのベンチュリ効果が生かされ、30cm/秒という低流量でも残留有効塩素含有塩素水20の製造機能が減少することがなくなる。すなわち、酸性添加剤16の導入を安定して確実に行う点から、酸性添加剤計測器として、二つの密閉式計測器500a及び500b(酸性添加剤計測器76及び第二酸性添加剤計測器176)を用いることが好ましい。直列の酸性添加剤計測器76及びその上流側の第二酸性添加剤計測器176は、正確な吸入添加による量を確保するとの役割と共に、逆流を防止するとの役割を担うことができることになる。高濃度残留有効塩素水溶液11の供給についても酸性添加剤16の例と同様である。
【0137】
本発明の製造装置の第2の例は、安定して正確な原料水溶液の吸引供給量を確保するために、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10と高濃度残留有効塩素計測器74との間を流体接続する配管に、高濃度残留有効塩素水溶液導入量調節器7を配置する。また、本発明の製造装置の第2の例は、酸性添加剤貯留瓶15と酸性添加剤計測器76との間を流体接続する配管に、酸性添加剤導入量調節器13を配置する。高濃度残留有効塩素水溶液導入量調節器7及び酸性添加剤導入量調節器13によって、高濃度残留有効塩素水溶液11の導入量を微調整等の調節をすることができる。高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16を、正確な吸引、供給を行い、混合部80に所定量を供給することができる。
【0138】
本発明の製造装置の第1の例と同様に、図9に示すように、高濃度残留有効塩素計測器74又は酸性添加剤計測器76として用いられる密閉式計測器500aにおいて、その滴下管512aの密閉空間511aへ配置される一端の開口部が、所定の直径及び長さのオリフィス孔521を有するオリフィス部520を配置することが好ましい。
【0139】
オリフィス孔521を有するオリフィス部520を配置した密閉式計測器500aを用いることにより、オリフィス孔521の微細な開孔部を通った原料水溶液が糸状にオリフィス孔521の下部から吸引され、密閉空間510aへと所定量を供給することができる。さらに細微なオリフィス孔521により密閉空間510a内の気体の圧力により吸引される量が規制され、上部の密閉式計測器500bの密閉空間510bの底の部分に原料水溶液が一時貯留する。そのことにより水流の変化により微妙に変化するベンチュリ作用の気密度の変化(圧力変化)が遮断され、上部の密閉式計測器500bの密閉空間510b内の空気圧が安定して、上部の密閉式計測器500bから下部の密閉式計測器500aへの正確な原料水溶液の点滴を実現させることができる。
【0140】
本発明の製造装置の第2の例では、高濃度残留有効塩素計測器74及び174並びに酸性添加剤計測器76及び176(すなわち、密閉式計測器500a及び500b)の少なくとも一部が、透明な材料からなることによって、高濃度残留有効塩素水溶液11又は酸性添加剤16の滴下を観察可能であることが好ましい。そのため、高濃度残留有効塩素水溶液11又は酸性添加剤16の滴下の様子から、高濃度残留有効塩素水溶液11又は酸性添加剤16の添加量及び高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16との混合割合を判断することが可能となる。
【0141】
高濃度残留有効塩素計測器74及び174並びに酸性添加剤計測器76及び176として密閉式計測器500を用いると、点滴貯留用管510の中で滴下管512から液体が滴下する様子を観察することができる。滴下する液体の液滴は、1滴が0.02〜0.1mLであるので、滴下する速度を目視しながら、液体の導入量を調節することができる。密閉式計測器500を用いることによって、原料水溶液の流量の調整を、より精密及び的確に行うことができる。また、密閉式計測器500は、二つを上下に直列に配置して用いることにより、原料水溶液の流量の調整を、さらに精密及び的確に行うことができる。
【0142】
上述のような本発明の製造装置の第2の例を用いると、必要最小限の必要量だけの殺菌用残留有効塩素含有水を水道水の水栓を開くだけという簡単な操作で適時使用することが可能となる。
【0143】
また、本発明の製造装置の第1の例及び第2の例は、適宜組み合わせることができる。例えば、図3に示す構造と同様な構造を、第2の例においても用いることができる。すなわち、本発明の製造装置の第2の例においても、図4に示す構造を用いることで、残留有効塩素含有水用水栓63を閉じることにより、水の流れを止めるようにすることができ、残留有効塩素含有水用水栓63が水栓開閉弁8を兼ねることができる。
【0144】
次に、本発明の製造装置の第2の例の動作について、図10、図11及び図12を用いて説明する。
【0145】
まず、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10に、所定の高濃度残留有効塩素水溶液11を導入する。また、酸性添加剤貯留瓶15に、所定の酸性添加剤16を導入する。
【0146】
次に、水栓開閉弁8を開き、水道配管に流体接続した水導入口30から、水道水を導入する。この結果、希釈部6の中に水道水の流れが生じ、ベンチュリ効果による吸引力で高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とを吸入し、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16との混合水溶液211を混合水溶液導入口41から所定の流量で導入することができる。その結果、希釈部6では希釈水溶液(残留有効塩素含有水)を生成することができる。
【0147】
図10に示すように、高濃度残留有効塩素水溶液11は、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10から高濃度残留有効塩素計測器74及び174を経由し混合部80に導入される。また、酸性添加剤16は、酸性添加剤貯留瓶15から酸性添加剤計測器76及び176を経由し混合部80に導入される。図11に示すように、混合部80において、高濃度残留有効塩素水溶液11と酸性添加剤16とが混合されて混合水溶液211となる。混合水溶液211は、混合水溶液導入口41から希釈部6に導入される。なお、本発明の製造装置が動作し、水道水が所定の方向へ流れている場合には、混合水溶液211は、希釈部6の混合水溶液導入口41におけるベンチュリ効果により、希釈部6へと流入するため、高濃度残留有効塩素水溶液11は高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10から混合部80へと流れることができ、酸性添加剤16は酸性添加剤貯留瓶15から混合部80へと流れることができる。
【0148】
高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16の供給について、さらに説明する。
【0149】
水栓開閉弁8が開かれると、水道水の流入によるベンチュリ効果によって、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16は、高濃度残留有効塩素計測器74及び酸性添加剤計測器76まで吸い上げられている。なお、本発明の製造装置は、原料水溶液の逆流を自動的に止水するために、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16を供給する配管に逆流防止弁73を設けることができる。逆流防止弁73がない場合には、製造装置の停止のために水栓開閉弁8が閉じられると、ベンチュリ効果の吸引力が消滅し、サイフォン現象で、原料水溶液が高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10及び酸性添加剤貯留瓶15に戻ってしまうので、製造装置作動に時間がかかる。また、製造装置作動初期に、希釈部6への原料水溶液の吸入時間に空白ができてしまい、殺菌用残留有効塩素含有水出口64へ向かって水道水のみが流れてしまう可能性がある。また、逆流防止弁73を設置する代わりに、上述のように二つの密閉式計測器500a及び500bを配置することができる。密閉式計測器500a及び500bの容量が吸引パイプの内容積と同じか、それよりも大きな容積であることにより、サイフォン現象で製造の途中の残留有効塩素含有水20が高濃度残留有効塩素水配管81及び酸性添加剤配管82を逆流し、高濃度残留有効塩素計測管の上部の計測管174及び酸性添加剤計測器76の上部の第二酸性添加剤計測器176まで逆流充填される。ワンストップバルブである水栓開閉弁8が開き、水道水が導入されて水の流れが生じ、希釈部6においてベンチュリ効果で原料水溶液の吸引が始まると高濃度残留有効塩素計測管74と上部の第二高濃度残留有効塩素計測器174及び酸性添加剤計測器76の上部の第二酸性添加剤計測器176内の残留有効塩素含有水20が高濃度残留有効塩素水配管81及び酸性添加剤配管82を通って希釈部6のベンチュリ内に吸引されるため、吸引時間に空白が生じることなく残留有効塩素含有水20を製造することができる。
【0150】
高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10及び酸性添加剤貯留瓶15から吸引された液体は、混合部80で混合されるが、通常の場合、化学反応で反応熱が発生し、危険な塩素ガスの発生が予測されるので、小スペースの中で、極力短時間で混合された後、瞬時に水道水で希釈される構造を必要とする。
【0151】
図12に残留有効塩素含有水の製造が停止した場合の流体の流れを示す。残留有効塩素含有水の製造が停止した場合には、希釈部6でのベンチュリ効果の吸引力が一挙に消滅し、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16は、高濃度残留有効塩素計測器74及び酸性添加剤計測器76の減圧空気のために、混合部80の分岐型流水路85の分岐点で引き戻され、反応が進むことがなくなる。さらに、水で希釈後の殺菌用残留有効塩素含有水20が大気圧に押されて希釈部6の混合水溶液導入口41から、混合水溶液混合室86へ逆流し、混合部80内の混合水溶液211が薄められて、化学反応を阻止して安全が確保される。これは、本発明の製造装置が作動中に、希釈部6のベンチュリ効果によって、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16が、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10及び酸性添加剤貯留瓶15から希釈部6方向へ流れることによる。すなわち、製造装置が停止すると、ベンチュリ効果による液体の吸引力がなくなるので、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16のそれぞれに分岐型流水路85の分岐点を超えて逆流が生じ、高濃度残留有効塩素水溶液11及び酸性添加剤16が分離され、原料水溶液の混合が停止することによる。
【0152】
高濃度残留有効塩素水溶液保管槽10及び酸性添加剤貯留瓶15から、計量、混合、希釈に至る一連の液体の吸入の流れの中で、特に、高濃度残留有効塩素計測器74及び酸性添加剤計測器76と、混合部80とを結ぶ配管(フレキシブルホース)の中にある高濃度残留有効塩素水溶液及び酸性添加剤16のそれぞれの液体を介在にして、高濃度残留有効塩素計測器74及び酸性添加剤計測器76内の空気の圧縮力と、ベンチュリ効果による希釈部6への吸引力とで、連動しながら、桔抗関係を造ることで、両液体の混合比率を変えずに水道水圧力の変化に対応して、高濃度残留有効塩素計測器74及び酸性添加剤計測器76の空気の圧縮空気の弾性で、濃度調整バルブ(高濃度残留有効塩素水溶液導入量調節器7及び酸性添加剤導入量調節器13)間の吸引力を微妙に変化させることができる。その結果、両液体の吸引量の比率を変えないで、水道水の流量に順応し、生成される残留有効塩素含有水20の濃度比率とpH比率を連動させることで、所定の水量に対応して所定の残留有効塩素濃度及び所定のpHの殺菌用残留有効塩素含有水20を製造することができる。
【0153】
希釈部6において、混合水溶液211が水道水によって希釈され、攪拌槽67でさらに混合し、強制攪拌されることにより、中和され、pHが6±2、好ましくはpH4〜6.5、残留有効塩素濃度が10ppm〜150ppmである殺菌能力を有する残留有効塩素含有水(希釈水溶液)を得ることができる。
【0154】
さらに、残留有効塩素含有水は、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66へと移動し、そこで貯留される。
【0155】
殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66は、所定の高さに設置されており、殺菌用残留有効塩素含有水20はそこに放水される。殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66が満杯になったときは、液面スイッチで、水栓開閉弁8を遠隔操作で閉弁し、減水したときは、再度開弁して殺菌用残留有効塩素含有水20の生成を再開することができる。また、殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66に貯留タンク用水位センサー70を配置し、上述の水栓開閉弁自動開閉機構により、水栓開閉弁8を自動的に開閉することができる。
【0156】
殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク66から流下する殺菌用残留有効塩素含有水20は、配管を用いて必要な場所に誘導し、残留有効塩素含有水出口64から取り出され、被殺菌物65に対してシャワーリングされ、被殺菌物65の殺菌を行うことができる。
【0157】
本発明の製造装置の第2の例では、水道から供給する水量は、30〜300cm/秒、40〜120cm/秒であることがより好ましく、50〜90cm/秒であることがさらに好ましい。水道から供給する水量がこのような範囲であると、殺菌力を有する十分な量の残留有効塩素含有水を安定して製造することができる。また、混合水溶液211の希釈を、ベンチュリ効果を用いた簡便で低コストの希釈方法により行うときに、流速によって生ずるベンチュリ効果の吸引力が不足し、必要とする10〜150ppmの希釈水溶液濃度が得られない恐れがある。また、希釈用の水(水道水)の流量が多すぎる場合には、正確な希釈能力の限界を超え、10ppm〜150ppmの希釈水溶液濃度が得られない恐れがある。
【0158】
上水道(水道)を本発明の製造装置の第2の例へ供給するための配管には、水栓開閉弁8が配置される。操作性の点から、水栓開閉弁8はワンタッチで開閉可能なコックであることが好ましい。なお、水栓開閉弁8及び水道水調整弁75は、適宜、それらの位置を交換して配置することも可能である。
【0159】
本発明の製造装置の第2の例は、水の輸送のために水道水の水圧を用い、水道水の水圧、酸性添加剤16及び高濃度残留有効塩素水溶液11の混合のためのベンチュリ効果による混合水溶液211の導入機構等を用いているので、ポンプ等の流体を輸送するための製造装置及びそれらを駆動するための電力等が不要であり、低コストの製造装置であり、操作も簡便である。本発明の製造装置の第2の例により、殺菌力のある殺菌力のある殺菌用残留有効塩素含有水20を低いコストで使用可能となる。
【0160】
本発明の製造装置の使用目的に応じて、原料水溶液となる高濃度残留有効塩素水溶液11を、適宜、選択することができる。例えば、本発明の方法により得られる殺菌用の残留有効塩素含有水を、褥創を修復するための除菌に用いる場合には、クラスターの小さい電解による高濃度電解水を原料水溶液とすることが効果的であるといわれている。電解による高濃度電解次亜塩素酸水溶液の濃度の上限は、一般に2000ppm程度であるため、コストを下げ、原料水溶液の保持期間を延長させるため、pHを10〜12にすることによって、2500〜4000ppmに濃度を上げることができ、濃度保持期間を長くすることができる。
【0161】
また、本発明の方法及び製造装置を、医療や介護現場などでの手指等の消毒に使用することができる。このような用途のために、原料水溶液として電解による高濃度電解次亜塩素酸水溶液を用いる場合、低いコストで殺菌用の残留有効塩素含有水を供給するために、原料水溶液の残留有効塩素濃度をさらに高めることが有効である。そのために、前記の高濃度電解次亜塩素酸水溶液に10〜20%程度の高濃度次亜塩素酸ナトリウム含有水を混合することにより、例えば残留有効塩素濃度5000ppm〜7000ppm及びpH10〜12の原料水溶液を得ることができる。
【実施例】
【0162】
本発明を、実施例によって詳しく説明する。なお、本実施例において、電解水の製造装置はジプコム株式会社製電解水生成装置の「サニーハイ(登録商標)」供給装置を用いた。この装置は、電解水の連続製造装置であり、室温でのNaCl飽和水溶液(表中の「NaCl」)及びHCl水溶液(濃度40%、表中の「HCl」)の流量を調節することにより、電解水の残留有効塩素濃度を調節することができる。また、下記の記載中、割合(%及びppm)は、特にことわりのない限り、重量割合(重量%及び重量ppm)を示す。
【0163】
<実験1>
図2に示す構造の製造装置を用いて、実験1を行った。原料の残留有効塩素水溶液として、7500ppmの残留有効塩素濃度の残留有効塩素水溶液を用いた。酸性添加剤は、1〜4重量%の濃度の酢酸を用いた。残留有効塩素水溶液と、酸性添加剤とを、体積比(原料水溶液:酸性添加剤)が2:1〜20:1となるように混合し、混合水溶液を得た。この混合水溶液を水道水で希釈することにより、実験番号1−1〜1−16の残留有効塩素含有水を得た。なお、水道水による希釈は、希釈後の残留有効塩素含有水の残留有効塩素濃度が75ppmとなるような水道水の量に対して行った。混合水溶液の製造条件及び得られた残留有効塩素含有水のpHを表1に示す。
【0164】
表1の結果から明らかなように、本発明の製造装置を用いて、トリハロメタンを生じない所定の残留有効塩素濃度であり、かつ殺菌能力を示すpH6±2を有する残留有効塩素含有水を得ることができた。
【0165】
【表1】

【0166】
<実験2>
図2に示す構造の製造装置を用いて、実験2を行った。原料の残留有効塩素水溶液として、75ppmの残留有効塩素濃度の残留有効塩素水溶液を用いた。酸性添加剤は、2重量%の濃度の酢酸を用いた。残留有効塩素水溶液と、酸性添加剤とを、体積比(原料水溶液:酸性添加剤)が20:0〜20:15となるように混合し、混合水溶液を得た。この混合水溶液を水道水で希釈することにより、実験番号1−1〜1−16の残留有効塩素含有水を得た。なお、残留有効塩素含有水の残留有効塩素濃度は75ppmのままだった。混合水溶液の製造条件及び得られた残留有効塩素含有水のpHを表2に示す。
【0167】
表2の結果から明らかなように、酸性添加剤を添加した実験2−2〜2−16の場合には、トリハロメタンを生じない所定の残留有効塩素濃度であり、かつ殺菌能力を示すpH6±2を有する残留有効塩素含有水を得ることができた。
【0168】
【表2】

【0169】
<実験3>
図2に示す装置を用いて実験3を行った。原料の残留有効塩素水溶液として、7500ppmの残留有効塩素濃度の残留有効塩素水溶液を用いた。酸性添加剤は、2又は3重量%の濃度の酢酸を用いた。残留有効塩素水溶液と、酸性添加剤とを、体積比(原料水溶液:酸性添加剤)が1:1となるように混合し、混合水溶液を得た。この混合水溶液を水道水で希釈することにより、実験番号1−1〜1−16の残留有効塩素含有水を得た。なお、水道水による希釈は、希釈後の残留有効塩素含有水の残留有効塩素濃度が50又は70ppmとなるような水道水の流量を選択して行った。混合水溶液の製造条件及び得られた残留有効塩素含有水のpHを表3に示す。
【0170】
表1の結果から明らかなように、本発明の方法を用いて、トリハロメタンを生じない所定の残留有効塩素濃度であり、かつ殺菌能力を示すpH6±2を有する残留有効塩素含有水を得ることができた。
【0171】
【表3】

【0172】
<実験4>
第二高濃度残留有効塩素計測器及び第二酸性添加剤計測器を配置せず、一段の高濃度残留有効塩素計測器及び酸性添加剤計測器を用いた以外は、図10に示す本発明の製造装置を用いて殺菌用残留有効塩素含有水を製造した(実験4)。表4に示すように、原料水溶液となる高濃度残留有効塩素水溶液は、次亜塩素酸6000ppmのものを用いた。この原料水溶液と、酸性添加剤(6%の酢酸)とを混合部で混合し、所定の流量の水道水へ導入して希釈、混合した。得られた残留有効塩素含有水のpH及び残留有効塩素濃度を表4に示す。これらの結果から明らかなように、本発明の製造装置及び方法を用いて、トリハロメタンを生じない所定の残留有効塩素濃度であり、かつ殺菌能力を示すpH6±2を有する残留有効塩素含有水を得ることができた。
【0173】
【表4】

【0174】
<実験5>
図10に示すものと同様の製造装置を用いて殺菌用残留有効塩素含有水を製造した(実験5)。表5に示すように、原料水溶液となる高濃度残留有効塩素水溶液は、次亜塩素酸7500ppmのものを用いた。この原料水溶液と、酸性添加剤(3%の酢酸)とを混合部で混合し、所定の流量の水道水へ導入して希釈、混合した。得られた残留有効塩素含有水のpH及び残留有効塩素濃度を表5に示す。これらの結果から明らかなように、本発明の製造装置及び方法を用いて、トリハロメタンを生じない所定の残留有効塩素濃度であり、かつ殺菌能力を示すpH6±2を有する残留有効塩素含有水を得ることができた。
【0175】
【表5】

【符号の説明】
【0176】
6 希釈部
7 高濃度残留有効塩素水溶液導入量調節器
8 水栓開閉弁
10 高濃度残留有効塩素水溶液保管槽
11 高濃度残留有効塩素水溶液
12 残量センサー
13 酸性添加剤導入量調節器
15 酸性添加剤貯留瓶
16 酸性添加剤
18 警告装置
20 殺菌用残留有効塩素含有水
30 水導入口
31、31b エアー緩衝装置
41 混合水溶液導入口
63 殺菌用残留有効塩素含有水用水栓
64 殺菌用残留有効塩素含有水出口
65 被殺菌物
66 殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンク
67 攪拌槽
70 貯留タンク用水位センサー
73 逆流防止弁
74 高濃度残留有効塩素計測器
75 水道水調整弁
76 酸性添加剤計測器
77 フィルター
80 混合部
81 高濃度残留有効塩素水配管
82 酸性添加剤配管
83 高濃度残留有効塩素水導入配管
84 酸性添加剤導入配管
85 分岐型流水路
86 混合水溶液混合室
87 希釈混合室
88 希釈部の出水口
95 入口配管
98 水道水の流れ方向
100 逆流
120 貯留水タンク
130 下部貯留タンク
131 ポンプ
160 攪拌槽接続配管の直線部
174 第二高濃度残留有効塩素計測器
176 第二酸性添加剤計測器
207 混合水溶液導入量調節器
210 混合水溶液保管槽
211 混合水溶液
212 気体
213 混合水溶液出口
214 混合水溶液保管槽キャップ取付部
215 混合水溶液保管槽開閉弁
220 酸性添加剤容器
221 酸性添加剤開封紐
222 酸性添加剤開封紐引輪
225 酸性添加剤注入パイプ
226 パイプキャップ
230 封止破壊棒付キャップ
231 キャップ部材
235 封止破壊棒付吸入管
236 配管ジョイントキャッチ弁
237 吸入口ストレーナー
232 封止破壊棒
240 酸性添加剤容器
242 酸性添加剤導入口
243 酸性添加剤導入口栓
244 混合水溶液保管槽キャップ
245 接続部材
246 混合水溶液保管槽封止部材
247、247a、247b 酸性添加剤封止部材
274 混合水溶液計測器
277 混合水溶液フィルター
278 混合水溶液計測器
281 混合水溶液配管
500、500a、500b 密閉式計測器
510、510a、510b 点滴貯留用管
511、511a、511b 密閉空間
512、512a、512b 滴下管
513、513a、513b 排出管
514、514a、514b 上部栓
520 オリフィス部
521 オリフィス孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を導入するための水導入口と、
水導入口の下流側に流体接続され、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤との混合水溶液を水で希釈して殺菌用残留有効塩素含有水を生成するための希釈部であって、混合水溶液導入口を有し、水の水流のベンチュリ効果によって混合水溶液導入口から導入される混合水溶液が水と混合して希釈されるベンチュリ部を有する、希釈部と、
希釈部の下流側に流体接続される殺菌用残留有効塩素含有水出口と、
水導入口の下流側に流体接続され、水の流れを断続するための水栓開閉弁と、
原料容器と希釈部との間に流体接続する原料水溶液配管に配置される原料水溶液導入量調節器と
を含む、残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項2】
製造装置が、希釈部の混合水溶液導入口に流体接続する混合水溶液混合室と、混合水溶液混合室に流体接続する高濃度残留有効塩素水溶液導入口及び酸性添加剤導入口とを有し、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤とを混合し、攪拌し、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤との混合水溶液を生成するための混合部をさらに含み、
原料容器が、高濃度残留有効塩素水溶液保管槽及び酸性添加剤貯留瓶であり、
原料水溶液導入量調節器が、高濃度残留有効塩素水溶液導入口と高濃度残留有効塩素水溶液保管槽との間に配置される高濃度残留有効塩素計測器、及び、酸性添加剤導入口と酸性添加剤貯留瓶との間に配置される酸性添加剤計測器である、請求項1記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項3】
原料容器が、混合水溶液保管槽であり、
原料水溶液導入量調節器が、混合水溶液保管槽と希釈部との間に流体接続するように配置される混合水溶液導入量調節器である、請求項1記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項4】
混合水溶液保管槽が、高濃度残留有効塩素水溶液と、酸性添加剤を有する酸性添加剤容器とを有し、混合水溶液が、酸性添加剤容器の少なくとも一部を破壊することにより得られる酸性添加剤と高濃度残留有効塩素水溶液とを混合することにより得られる混合水溶液である、請求項3記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項5】
原料容器が、着脱及び変形可能な容器であり、原料容器が、原料水溶液及び気体を内部に有する、請求項1〜4のいずれか1記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項6】
希釈部と殺菌用残留有効塩素含有水出口との間に流体接続するように配置され、外部から内部を目視可能な攪拌槽をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項7】
攪拌槽と殺菌用残留有効塩素含有水出口との間に流体接続するように配置される殺菌用残留有効塩素含有水貯留タンクをさらに含む、
請求項6記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項8】
希釈部と攪拌槽とが、直線部を含む攪拌槽接続配管により流体接続され、直線部が、希釈部の出水口に接するように接続し、ベンチュリ部と希釈部の出水口との間に、希釈混合室が配置され、直線部の長さが、希釈混合室の長さの1〜10倍である、請求項6又は7記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項9】
水導入口と希釈部との間に流体接続するように配置されるエアー緩衝装置をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項10】
原料容器と希釈部との間に流体接続するように配置され、少なくとも一つの密閉式計測器を有する原料水溶液計測器をさらに含み、
密閉式計測器が、
混合水溶液を通過させるための密閉空間を有する点滴貯留用管と、
点滴貯留用管の上端に配置され、一端が密閉空間の内部に配置され、他端が原料容器に流体接続され、内径が点滴貯留用管の内径より小さい滴下管と、
一端が点滴貯留用管の下端に配置され、他端が希釈部に流体接続され、内径が点滴貯留用管の内径より小さい排出管とを含む、
請求項1〜9のいずれか1項記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項11】
原料水溶液計測器が、上下に直列に配置された二つの密閉式計測器を含み、下に配置された密閉式計測器の滴下管の密閉空間への開口部に、オリフィス孔を有するオリフィス部が配置される、請求項10記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項12】
希釈部の混合水溶液導入口、攪拌槽及び原料水溶液計測器のそれぞれ少なくとも一部が、同じ高さになるように配置される、請求項10又は11記載の残留有効塩素含有水の製造装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の製造装置を用いる殺菌用の残留有効塩素含有水の製造方法であって、
高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤とを混合して、混合水溶液を製造する工程と、
混合水溶液を、水で希釈し混合することによって、残留有効塩素濃度が10ppm〜150ppm及びpHが6±2である残留有効塩素含有水を製造する工程とを含み、
高濃度残留有効塩素水溶液が、残留有効塩素濃度2000ppm〜15000ppm、及びpHが10.5±1.5であり、
酸性添加剤が、食酢並びに濃度0.1〜50重量%の塩酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−アルギニン−グルタミン酸、アルギン酸、L−イソロイシン、クエン酸及び酢酸からなる群から選択される少なくとも一つを含み、
混合水溶液を製造する工程において、高濃度残留有効塩素水溶液と酸性添加剤との混合割合が、残留有効塩素含有水のpHが6±2となるように調節される、
殺菌用の残留有効塩素含有水の製造方法。
【請求項14】
高濃度残留有効塩素水溶液が、次亜塩素酸水溶液、次亜塩素酸ナトリウム水溶液又はこれらの混合水溶液である、請求項13記載の残留有効塩素含有水の製造方法。
【請求項15】
酸性添加剤が、
食酢、
濃度0.1〜50重量%の酢酸、
濃度0.1〜50重量%の塩酸、
濃度0.1〜50重量%のクエン酸、
食酢と濃度0.1〜50重量%の酢酸との混合液、
食酢と濃度0.1〜50重量%のクエン酸との混合液、又は
食酢と濃度0.1〜50重量%の酢酸と濃度0.1〜50重量%のクエン酸との混合液である、請求項13又は14記載の残留有効塩素含有水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−253463(P2010−253463A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276463(P2009−276463)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(507214108)株式会社新明和 (4)
【Fターム(参考)】