説明

殺虫性5−置換−オキシアルキルアミノ−1−アリールピラゾール誘導体

本発明は、式(I)


(式中、種々の記号は明細書に定義した通りである)で示される5−置換−オキシアルキルアミノピラゾール誘導体又はこの塩、この製造方法、この組成物、及びこの害虫(節足動物及び蠕虫を含む)を防除するための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(殺虫剤化合物)
本発明は、新規5−置換−オキシアルキルアミノピラゾール誘導体、この製造方法、この組成物、及びこの害虫(節足動物及び蠕虫を包含する)を防除するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1−アリールピラゾール化合物を用いた昆虫、クモ形類動物及び蠕虫の防除は、例えば、特許公開番号 第WO87/03781号公報、欧州特許第0295117号公報、米国特許第5556873号公報、米国特許第4771066号公報及び第WO02/066423号公報に記載されている。
【0003】
しかし、最新の殺虫剤は、広範な要求、例えば作用のレベル、持続時間及びスペクトル、使用スペクトル、毒性、他の活性物質との併用、製剤補助剤との併用又は合成に関する要求を満たさなければならないことから及び抵抗性が出現し得ることから、このような物質の開発は決して完結したものとみなすことはできず、しかも少なくとも幾つかの側面に関する限りは、公知の化合物よりも都合のよい新規化合物に対する高い要求が絶えず存在している。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、家庭内伴侶動物に使用し得る新規殺虫剤を提供することにある。
【0005】
ヒト又は周囲環境の起こり得る汚染を防止するように殺虫剤を経口剤形で動物に施用することが都合がよい。
【0006】
本発明の別の目的は、既存の殺虫剤よりも低薬量で使用し得る新規殺虫剤を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、実質的に催吐性のない新規殺虫剤を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、使用者及び環境に安全な新規殺虫剤を提供することにある。
【0009】
これらの目的は、本発明によって完全に又は部分的に満たされる。
【0010】
本発明は、式(I):
【0011】
【化4】

{式中:
はCN、CSNH又はC(=N−Z)−S(O)−Qであり;
ZはH、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、−(CH、COR、CO−(C−C)−アルキル又はS(O)であり;
Qは(C−C)−アルキル又はCHであり;
WはC−ハロゲン、C−CH又はNであり;
は水素、ハロゲン又はCHであり;
は(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−ハロアルコキシ又はSFであり;
は水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルケニル、CO−(C−C)−アルキニル、CO−(CH又はSOであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、S(O)、CN、NO、OH、COR、NR10、S(O)、OR及びCOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;
Aは(C−C)−アルキレン又は(C−C)−ハロアルキレンであり;
XはC(=O)、C(=S)又はSOであり;
YはO、NR11又は共有結合であり;
は(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、−(CH又は−(CH12であるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、S(O)、CN、NO、OH、COR、NR10、S(O)、OR及びCOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;
は(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル又は(C−C)−ハロアルキニルであり;
は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO、S(O)、COR10、COR13、CONR10、SONR10、NR10及びOHからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり;
は(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり;
及びR10はそれぞれ独立してH、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル又は−(C−C)−アルキル−(C−C)−シクロアルキルであるか;又は
及びR10は結合されたN原子と一緒になって環中にO、S及びN原子から選択される異種原子をさらに含有していてもよい5員又は6員飽和環を形成し〔但し、前記の環は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−ハロアルキルからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されている〕;
11はH、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル又は(C−C)−アルキニルであり;
12は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、NO、CN、CO(C−C)−アルキル、S(O)、OH及びオキソからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたヘテロシクリルであり;
13は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO、S(O)及びNR10からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり;
n、p及びrはそれぞれ独立して0、1又は2であり;
m及びqはそれぞれ独立して独立して0又は1であり、及び
前記の基中のそれぞれのヘテロシクリルは、独立して、3から7個の環原子を有し、環中にN、O及びS原子からなる群の中から選択される1個、2個又は3個の異種原子を有する複素環式基である}
で示される5−置換−オキシアルキルアミノピラゾール誘導体又は殺虫剤に許容し得るこの塩である化合物を提供する。
【0012】
これらの化合物は、有用な殺虫性を有する。
【0013】
本発明はまた、任意の立体異性体、鏡像異性体又は幾何異性体、及びこれらの混合物を包含する。
【0014】
「殺虫剤に許容し得る塩」という用語は、この陰イオン又は陽イオンが、殺虫剤用途の塩の形成について当該技術で知られており、許容されている塩を意味する。塩基との適切な塩、例えばカルボン酸基を含有する式(I)で示される化合物によって形成される塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩)、アンモニウム塩及びアミン塩(例えば、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、オクチルアミン塩、モルホリン塩及びジオクチルメチルアミン塩)が挙げられる。適切な酸付加塩、例えばアミノ基を含有する式(I)で示される化合物によって形成される酸付加塩としては、無機酸との塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び硝酸塩並びに有機酸との塩、例えば酢酸との塩が挙げられる。
【0015】
添付の特許請求の範囲を含め本明細書において、前記の種々の置換基は、下記の意味を有する:
ハロゲン原子とは、弗素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0016】
基の名前の前の「ハロ」という用語は、この基が部分的に又は完全にハロゲン化されている、すなわち、任意の組み合わせのF、Cl、Br又はI、好ましくはF又はClで置換されていることを意味する。
【0017】
アルキル基及びこの部分(特に定義しない限りは)は、直鎖又は分枝鎖であり得る。
【0018】
「(C−C)−アルキル」という表現は、炭素原子を1個、2個、3個、4個、5個又は6個有する非分枝又は分枝炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル又はtert−ブチル基を意味すると解釈されるべきである。
【0019】
アルキル基及び複合した基のアルキル基は、特に定義しない限りは、炭素原子を1から4個有することが好ましい。
【0020】
「(C−C)ハロアルキル」とは、前記の「(C−C)−アルキル」という表現の下で述べたアルキル基であって、この1個又はそれ以上の水素原子がこれと同じ個数の同一又は異なるハロゲン原子で置換されているアルキル基、例えばモノハロアルキル、ペルハロアルキル、CF、CHF、CHF、CHFCH、CFCH、CFCF、CHFCF、CHFCHCl、CHCl、CCl、CHCl又はCHCHClを意味する。
【0021】
「(C−C)−アルキレン」という表現は、IUPAC有機化学命名法(1979年)に従って炭素原子を1から6個有する非分枝鎖又は分枝鎖アルカンジイル基、例えば、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−又は−CHCH(CH)−を意味すると解釈されるべきである。
【0022】
「(C−C)−ハロアルキレン」という表現は、前記の「(C−C)−アルキレン」という表現の下で述べたアルキレン基であって、この1個又はそれ以上の水素原子がこれと同じ個数の同一又は異なるハロゲン原子で置換されたアルキレン基を意味すると解釈されるべきである。
【0023】
「(C−C)アルコキシ」とは、この炭素鎖が前記の「(C−C)アルキル」という表現の下で示された意味を有するアルコキシ基を意味すると解釈されるべきである。「ハロアルコキシ」は、例えば、OCF、OCHF、OCHF、CFCFO、OCHCF又はOCHCHClである。
【0024】
「(C−C)アルケニル」とは、この記載範囲に対応する個数の炭素原子を有し、それぞれの不飽和基の任意の位置に配置し得る二重結合を少なくとも1個含有する非分枝又は分枝非環状炭素鎖を意味する。従って、「(C−C)アルケニル」とは、例えば、ビニル、アリル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、ペンテニル、2−メチルペンテニル又はヘキセニル基を示す。
【0025】
「(C−C)アルキニル」とは、この記載範囲に対応する個数の炭素原子を有し、それぞれの不飽和基の任意の位置に配置し得る三重結合を少なくとも1個含有する非分枝又は分枝非環状炭素鎖を意味する。従って、「(C−C)アルキニル」とは、例えば、プロパルギル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニル又は3−ブチニル基を示す。
【0026】
シクロアルキル基は、好ましくは環中に3から7個の炭素原子を有し、場合によりハロゲン又はアルキルで置換されていてもよい。
【0027】
式(I)の化合物において、種々の基について次の例が示される:
シクロアルキルで置換されたアルキルの例は、シクロプロピルメチルであり;
アルコキシで置換されたアルキルの例は、メトキシメチル(CHOCH−)であり;及び
アルキルチオで置換されたアルキルの例は、メチルチオメチル(CHSCH−)である。
【0028】
「ヘテロシクリル」基は、飽和のもの、不飽和のもの又は複素環式芳香族であることができる;「ヘテロシクリル」基は、複素環中に好ましくはN、O及びS原子からなる群の中から選択される1個以上、特に1個、2個又は3個の異種原子を含有することが好ましい;「ヘテロシクリル」基は、3から7個の環原子を有する脂肪族複素環式基であるか又は5から7個の環原子を有する複素環式芳香族基であることが好ましい。前記複素環式基は、例えば複素環式芳香族基又は環(ヘテロアリール)、例えば、少なくとも1個の環が1個又はそれ以上の異種原子を含有する単環式、二環式又は多環式芳香族系であることができ、例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、チエニル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル及びトリアゾリルであることができるし、又は、部分的に又は完全に水素化された基、例えばオキシラニル、オキセタニル、オキソラニル(=テトラヒドロフリル)、オキサニル、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、ジオキソラニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル及びモルホリニルであることができる。「ヘテロシクリル」基は、非置換であってもよいし又は好ましくはハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、カルボキシル、シアノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、カルバモイル、モノ及びジアルキルアミノカルボニル、置換アミノ、例えばアシルアミノ、モノ及びジアルキルアミノ、並びにアルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、アルキル及びハロアルキル、並びにオキソからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基(好ましくは1個、2個又は3個の基)で置換されていてもよい。オキソ基はまた、種々の酸化数が可能である複素環原子に、例えばN及びSの場合に、存在することができる。
【0029】
害虫という用語は、節足動物害虫(昆虫及びクモ形類動物を含む)、及び蠕虫(線虫類を含む)を意味する。
【0030】
次の好ましい定義において、種々の記号が具体的に定義されていない場合には、これらは本明細書の記載において先に定義されているような定義であると一般的に解釈されるべきである。
【0031】
好ましくは、RはCN、CSNH又はC(=N−Z)−S(O)−Qであり;式中のZはH、(C−C)−アルキル、−(CH、COR、CO−(C−C)−アルキル又はS(O)であり、式中のRは非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、CN及びNOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり、それぞれのRは(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり;Qは(C−C)−アルキルであり、rは0である。
【0032】
さらに好ましくは、RはCN又はCSNHである。
【0033】
好ましくは、WはC−Cl又はNである(さらに好ましくは、WはC−Clである)。
【0034】
好ましくは、RはClである。
【0035】
好ましくは、RはCF又はOCFである(さらに好ましくは、RはCFである)。
【0036】
好ましくは、Rは水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、CO−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルケニル、CO−(C−C)−アルキニル、CO−(CH又はSOであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−シクロアルキル及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;式中のRは 非置換であるかハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり、及びそれぞれのRは(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルフェニルである。
【0037】
さらに好ましくは、RはCO(C−C)−アルキル又はS(O)であるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、S(O)及びCO(C−C)−アルキルからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり、式中のRは(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルである。最も好ましくは、Rは(C−C)−アルキルである。
【0038】
好ましくは、Aは(C−C)−アルキレンである。
【0039】
さらに好ましくは、Aは−CHCH−又は−CHCHCH−である。
【0040】
好ましくは、Rは(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル又は−(CHであるか、又は非置換であるかハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、S(O)、CN、NO、OH、COR及びCOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり、式中のRは非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり;それぞれのRは(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、及びRはH又は(C−C)−アルキルである。
【0041】
さらに好ましくは、Rは(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、
−(CH、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、式中のRは非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり、及びそれぞれのRは(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルである。
【0042】
好ましくは、Rは(C−C)−ハロアルキルである(さらに好ましくは、RはCFである)。
【0043】
本発明で使用するのに好ましい種類の式(I)で示される化合物は、式中:
がCN、CSNH又はC(=N−Z)−S−Qであり(さらに好ましくは、RがCN又はCSNHであり);
ZがH、(C−C)−アルキル、−(CH、COR、CO−(C−C)−アルキル又はS(O)であり;
Qが(C−C)−アルキルであり;
WがC−Cl又はNであり;
がClであり;
がCF又はOCFであり(さらに好ましくは、RがCFであり);
が水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、CO−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルケニル、CO−(C−C)−アルキニル、CO−(CH又はSOであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−シクロアルキル及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり〔さらに好ましくは、RがCO−(C−C)−アルキル又はSOであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、S(O)及びCO−(C−C)−アルキルからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり〕;
Aが(C−C)−アルキレンであり(さらに好ましくは、Aが−CHCH−又は−CHCHCH−であり);
XがC(=O)、C(=S)又はSOであり;
YがO、NH又は共有結合であり;
が(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル又は−(CHであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、S(O)、CN、NO、OH、COR及びCOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり〔さらに好ましくは、Rが(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、−(CH、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり〕;
が(C−C)−ハロアルキルであり(さらに好ましくはRがCFであり);
それぞれのRが独立して非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり;
それぞれのRが独立して(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり、及び
がH又は(C−C)−アルキルである
化合物である。
【0044】
別の好ましい種類の式(I)で示される化合物は、式中:
がCN、CSNH又はC(=N−Z)−S−Qであり;
ZがH、(C−C)−アルキル、−(CH、COR、CO−(C−C)−アルキル又はS(O)であり;
Qが(C−C)−アルキルであり;
WがC−Clであり;
がClであり;
がCFであり;
が水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、CO−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルケニル、CO−(C−C)−アルキニル、CO−(CH又はSOであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、S(O)及びCO−(C−C)−アルキルからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;
Aが−CHCH−又は−CHCHCH−であり;
XがC(=O)又はSOであり;
YがO、NH又は共有結合であり;
が(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、−(CH、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり;
がCFであり;
それぞれのRが独立して非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり、及び
それぞれのRが独立して(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルである
化合物である。
【0045】
別の好ましい種類の式(I)で示される化合物は、式中:
がCN又はCSNHであり;
WがC−Clであり;
がClであり;
がCFであり;
が(C−C)−アルキルであり;
Aが−CHCH−又は−CHCHCH−であり;
XがC(=O)であり;
YがO、NH又は共有結合であり;
が(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、−(CH、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり;
がCFであり;
が非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり、及び
が独立して(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルである
化合物である。
【0046】
別の好ましい種類の式(I)で示される化合物は、式中:
がCNであり;
WがC−Clであり;
がClであり;
がCFであり;
がメチルであり;
Aが−CHCH−であり;
XがC(=O)又はSOであり;
YがO、NH又は共有結合であり;
が(C−C)−アルケニル、(C−C)−シクロアルキル又は−(CHであるか、又はハロゲン及び(C−C)−アルコキシからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;
がCFであり、及び
が非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ及びNOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルである
化合物である。
【0047】
一般式(I)で示される化合物は、公知の方法(すなわち、これまでに使用されているか又は化学文献に記載されている方法)を適用するか又は適合させることにより製造することができる。
【0048】
種々の方法に関する以下の説明において、式中に現れる記号が具体的に定義されていない場合には、これらは本明細書においてそれぞれの記号の最初の定義に従って「前記で定義した通り」であると解釈される。
【0049】
本発明の特徴によれば、式(I)で示される化合物であって、式中のR、R、R、R、R、W、A及びnが前記で定義した通りであり、RがCNであり、Y及びXが、−Y−X−が−NH−CO−又は−NH−CS−である化合物を除いて前記で定義した通りである場合の化合物は、式(II):
【0050】
【化5】

(式中、R、R、R、R、W、A及びnは前記で定義した通りである)
で示される化合物を、式(III):
【0051】
【化6】

(式中、Y及びXは、−Y−X−が−NH−CO−又は−NH−CS−である化合物を除いて前記で定義した通りであり、Lは脱離基である)
で示される化合物を用いてアシル化するか又はスルホニル化することによって製造し得る。アシル化については、XがCO又はCSであり、YがO又は共有結合である場合には、化合物(III)は、酸ハロゲン化物であることが好ましく、Lは好ましくは塩素又は臭素(さらに好ましくは塩素)である。塩基は、場合によって反応に存在させてもよく、反応は一般に不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド又はN,N−ジメチルホルムアミド中で、0から150℃、好ましくは20℃から100℃の温度で行なわれる。前記の塩基は、一般にアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウム、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウムであるか、又は有機塩基、例えば三級アミン例えば、トリエチルアミン又はエチルジイソプロピルアミン、又はピリジン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。
【0052】
スルホニル化については、XがSOである場合には、化合物(III)は、スルホニルハライドであることが好ましく、Lは好ましくは塩素又は臭素(さらに好ましくは塩素)である。塩基は、場合により反応に存在させてもよく、反応は、一般に、前記アシル化反応で用いられる塩基、溶媒及び温度と同様の塩基、溶媒及び温度を使用して行なわれる。
【0053】
本発明の別の特徴によれば、式(I)で示される化合物であって、式中のRがCNであり、−Y−X−が −NH−CO−又は−NH−CS−であり、R、R、R、R、R、W、A及びnが前記で定義した通りである場合の化合物は、式(II)(式中、R、R、R、R、W、A及びnは前記で定義した通りである)で示される化合物を、式(IV)又は(V):
−N=C=O (IV) R−N=C=S (V)
(式中、Rは前記で定義した通りである)
で示されるイソシアネート又はイソチオシアネート化合物と反応させることによって製造し得る。この反応は、場合により、塩基、例えばアルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウムの存在下で、溶媒、例えばアセトニトリル又はテトラヒドロフラン中で、0℃から100℃の温度で行なわれる。
【0054】
本発明の別の特徴によれば、式(I)で示される化合物であって、式中のRがCNであり、nが1又は2であり、R、R、R、R、R、W、A、X及びYが前記で定義した通りである場合の化合物は、nが0又は1である対応化合物を酸化することによって製造し得る。この酸化は、一般に、過酸、例えば3−クロロ過安息香酸を使用して、溶媒、例えばジクロロメタン又は1,2−ジクロロエタン中で、0℃から溶媒の還流温度までの時間で行なわれる。
【0055】
本発明の別の特徴によれば、式(I)で示される化合物であって、式中のRがCSNHであり、R、R、R、R、R、W、A、X、Y及びnが前記で定義した通りである場合の化合物は、RがCNである場合の式(I)で示される対応化合物を、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水硫化物、例えば水硫化リチウム、カリウム、カルシウム又は好ましくは水硫化ナトリウムと、不活性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、メタノール又はエタノール中で、−35℃から50℃、好ましくは0℃から30℃の温度で反応せることによって製造し得る。場合によっては、水硫化物は、有機塩基、例えば金属アルコキシド又はトリアルキルアミン又は無機塩基、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、カリウム又はアンモニウムの存在下でHSを用いて処理することによりこの場で生成させてもよい。金属錯化剤、例えばクラウンエーテルなどの使用は、反応を促進させるのに役立ち得る。水硫化物塩と式(II)で示される化合物との反応は、水/有機溶媒の2相系で、相間移動触媒、例えばクラウンエーテル又はテトラアルキルアンモニウム塩、例えばテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド又はベンジルトリメチルアンモニウムクロリドを使用して行うこともできる。水との2相系に使用するのに適した有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、1−クロロブタン及びメチルtert−ブチルエーテルが挙げられる。
【0056】
別法として、RがCSNHである場合の式(I)で示される化合物は、RがCNである場合の式(I)で示される対応化合物から、試薬PhPSを用いて、Tet.Lett.,24(20),2059(1983)に記載のようにして処理することによっても製造し得る。
【0057】
本発明の別の特徴によれば、式(I)で示される化合物であって、式中のRがCSNHであり、R、R、R、R、R、W、A、X、Y及びnが前記で定義した通りである場合の化合物は、RがCNである場合の式(I)で示される対応化合物を、ビス(トリアルキルシリル)スルフィド、好ましくはビス(トリメチルシリル)スルフィドと、塩基、一般的に、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドの存在下で、溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中で0℃から60℃の温度で反応させることによって製造し得る。この操作は、一般にLin、Ku及びShiaoによりSynthesis 1219(1992)に記載されている。
【0058】
本発明の別の特徴によれば、式(I)で示される化合物であって、式中のRがC(=N−H)−S−Qであり、Q、R、R、R、R、R、W、A、X、Y及びnが前記で定義した通りである場合の化合物は、RがCSNHである場合の式(I)で示される対応化合物を、式(VI)又は(VII):
Q−L (VI) QBF (VII)
(式中、Qは前記で定義した通りであり、Lは脱離基、一般的にはハロゲン、好ましくは塩素、臭素又はヨウ素である)
で示されるアルキル化剤と反応させることによって製造し得る。この反応は、一般に、塩基、例えばアルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム、又はアルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムtert−ブトキシドの存在下で、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、0から60℃の温度で行なわれる。別法として、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウム、又は有機塩基、例えばトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを、不活性溶媒、例えばアセトン中で0℃から溶媒の還流温度までの温度で使用してもよい。式(VII)で示される化合物、例えばトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートをアルキル化剤として使用する場合には、塩基はアルカリ金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウムであることが好ましく、溶媒は例えばジクロロメタンであり、温度は0℃から溶媒の還流温度までの温度である。
【0059】
本発明の別の特徴によれば、式(I)で示される化合物であって、RがC(=N−Z)−S−Qであり、ZがHを除いて前記で定義した通りであり、この他の値が式(I)で定義した通りである場合の化合物は、ZがHである場合の式(I)で示される対応化合物を、式(VIII):
Z−L (VIII)
(式中、ZはHを除いて前記で定義した通りであり、Lは脱離基である)
で示される化合物を用いてアルキル化、アシル化又はスルホニル化することによって製造し得る。アルキル化については、Zが(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル又は−(CHである場合には、Lは好ましくはハロゲン、アルキルスルホニルオキシ又はアリールスルホニルオキシ(さらに好ましくは塩素、臭素、ヨウ素、メチルスルホニルオキシ又はp−トルエンスルホニルオキシ)である。塩基は、場合により反応に存在させてもよく、反応は一般に不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド又はN,N−ジメチルホルムアミド中で、−30℃から200℃、好ましくは20℃から100℃の温度で行なわれる。塩基は、一般にアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウム、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、アルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、又は有機塩基、例えば三級アミン、例えばトリエチルアミン又はエチルジイソプロピルアミン、又はピリジン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。
【0060】
アシル化については、ZがCOR又はCO−(C−C)−アルキルである場合には、化合物(VIII)は酸ハロゲン化物であり、式中のLは好ましくは塩素又は臭素(さらに好ましくは塩素)である。塩基は、場合により反応に存在させてもよく、反応は一般にアルキル化について用いられるものと同様の塩基、溶媒及び温度を使用して行なわれる。
【0061】
スルホニル化については、ZがS(O)である場合には、化合物(VIII)は好ましくはスルホニルハライドであり、式中のLは好ましくは塩素又は臭素(さらに好ましくは塩素)である。塩基は、場合により反応させてもよく、反応は一般にアルキル化について用いられる塩基、溶媒及び温度と同様の塩基、溶媒及び温度を使用して行なわれる。
【0062】
式(II)で示される中間体であって、式中のAが−CHCH−であり、R、R、R、R、W及びnが前記で定義した通りである場合の中間体は、式(IX):
【0063】
【化7】

で示される化合物をエチレンオキシドと反応させることによって都合よく製造し得る。この反応は、一般に、触媒(塩基又は酸であってもよい)の存在下で、不活性溶媒中で0℃から還流温度までの温度で行なわれる。
【0064】
式(II)で示される中間体であって、式中のAが−CHCH−であり、R、R、R、W及びnが前記で定義した通りであり、RがHを除いて前記で定義した通りである場合の中間体は、公知の条件に従って、RがHである場合の式(II)で示される対応化合物をアルキル化、アシル化又はスルホニル化することによって製造し得る。ある場合には、ヒドロキシ基での反応を避けるために適切な保護基を用い、適切なR部分を導入した後に保護基を除去することが必要であり得る。適切な保護方法は、当該技術で周知である。
【0065】
式(II)で示される中間体であって、式中のnが2であり、R、R、R、R、W及びAが前記で定義した通りである場合の中間体は、式(X):
【0066】
【化8】

(式中、R、R、R、R、W及びAが前記で定義した通りであり、nは2であり、Lは脱離基、一般的にはハロゲン、好ましくは臭素である)
で示される化合物を、式(XI):
【0067】
【化9】

(式中、Rは上記で定義した通りである)
で示される化合物と反応させることによって製造し得る。この反応は、塩基の存在下で、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド又はN,N−ジメチルホルムアミド中で、0℃から100℃の温度で行なわれる。塩基は、一般的にアルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、又はアルカリ土類金属炭酸塩、例えば炭酸カルシウムである。
【0068】
さらにまた、式(II)で示される中間体であって、式中のR、R、R、R、W、A及びnが前記で定義した通りである場合の中間体は、別の公知の方法に従って製造し得る。
【0069】
前記の方法で合成することができる式(I)で示される化合物のコレクションはまた並行方法で製造し得、これは手動で又は半自動化法又は全自動化法で行ってもよい。この場合、例えば反応、後処理又は生成物もしくは中間体の精製の操作を自動化することができる。全体として、これは、例えばS.H.DeWittによって「Annual Reports in Combinatorial Chemistry and Molecular Diversity: Automated Synthesis」,Volume 1,Verlag Escom 1997,pages 69から77に記載されているような手操作を意味すると解釈されるべきである。
【0070】
例えば、Stem Corporation,Woodrolfe Road,Tollesbury,Essex,CM9 8SE,England又はH+P Labortechnik GmbH,Bruckmannring 28,85764 Oberschleisheim,Germany 又は Radleys,Shirehill,Saffron Walden,Essex,Englandによって提供されるような一連の市販されている装置が、反応及び後処理の並行操作に使用し得る。式(I)で示される化合物又は製造中に得られる中間体の並行精製については、特にクロマトグラフィー装置、例えばISCO Inc.,4700 Superior Street,Lincoln,NE68504,USAによって提供されるものを使用し得る。
【0071】
前記装置により、個々のプロセス工程が自動化されるモジュラー操作がもたらされるが、手動操作はプロセス工程同士の間で行なわねばならない。これは、問題の自動化モジュールが例えばロボットによって操作される半統合又は完全統合自動化システムを使用することによって回避することができる。このような自動化システムは、例えばZymark Corporation,Zymark Center,Hopkinton,MA01748,USAから入手できる。
【0072】
ここで説明したものの他に、式(I)で示される化合物は、固相支持(solid−state−supported)法で部分的に又はは完全に製造し得る。このために、前記合成法又は問題の操作に合わせて適合させた合成法の個々の中間工程又は全ての中間工程は、合成樹脂に結合される。固相支持合成法は、専門文献、例えばBarry A.Buninの「The Combinatorial Index」,Academic Press,1998に広範囲にわたって記載されている。
【0073】
固相支持合成法の使用は、文献から知られており、次々に手動で又は自動化方法で行うことができる一連のプロトコルを可能にする。例えば、IRORI、11149 North Torrey Pines Road,La Jolla,CA92037,USA製の製品が用いられる「ティーバッグ法」(Houghtenの米国特許第4,631,211号公報;HoughtenらのProc.Natl.Acad.Sci.,1985,82,5131から5135)は、半自動化し得る。固相支持並行合成法の自動化は、例えばArgonaut Technologies Inc.,887 Industrial Road,San Carlos,CA94070,USA又はMultiSynTech GmbH,Wullener Feld 4,58454 Witten,Germany製の装置で首尾よく行なわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
本明細書に記載の方法による製造は、式(I)で示される化合物をライブラリーと呼ばれる物質コレクションの形態で生成する。本発明はまた、式(I)で示される少なくとも2個の化合物からなるライブラリーに関する。
【0075】
式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(Vll)、(VIII)、(IX)、(X)及び(XI)で示される化合物は、公知であるか又は公知の方法で製造し得る。
【0076】
以下の非限定的実施例により、式(I)で示される化合物の製造を例証する。
【実施例】
【0077】
化合物実施例
NMRスペクトルは、特に断らない限りはジューテロクロロホルム中で測定した。
【0078】
以下の実施例において、量(及び%)は、特に断らない限りは重量基準である。溶媒の比率は容量基準である。
【0079】
(実施例1)
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−{N−メチル−N−[2−(4−トルエンスルホニルオキシ)エチル]アミノ}−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ]−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール(0.100g、0.2ミリモル)と水素化ナトリウム(0.016g、0.4ミリモル)とを乾燥テトラヒドロフランに溶解した溶液を、窒素雰囲気下に20℃で1時間激しく攪拌した。次いで、4−トルエンスルホニルクロリド(0.056g、0.3ミリモル)を加え、攪拌を20℃で1時間続けた。次いで、得られた混合物を飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルに加え;有機層を水及び食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、及び蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーで、ヘプタン/酢酸エチル(4:1)を用いて溶出することにより精製して、表題化合物を微細白色粉末として得た(0.074g、化合物93、収率55%)。19F−NMR:−64.2、−79.2。
【0080】
(実施例2)
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−{N−メチル−N−[2−(4−トリフルオロメチル−ベンゾイルオキシ)エチル]アミノ}−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ]−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール(0.100g、0.2ミリモル)を乾燥テトラヒドロフランに溶解した溶液に、水素化ナトリウム(0.012g、0.3ミリモル)を加え、混合物を窒素雰囲気下に20℃で1時間激しく攪拌した。4−トリフルオロメチルベンゾイルクロリド(0.053g、0.3ミリモル)を加え、混合物を20℃で2時間攪拌した。得られた混合物を飽和塩化アンモニウム溶液及び酢酸エチルに注ぎ、有機層を水及び食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、及び蒸発させた。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーで、ヘプタン/酢酸エチル(4:1)を用いて溶出することにより精製して、表題化合物を淡い色の油状物として得た(0.085g、化合物54、収率61%)。19F−NMR:−63.7、−63.8、−78.6。
【0081】
(実施例3)
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−{N−メチル−N−[2−(4−エトキシフェニルアミノカルボニルオキシ)エチル]アミノ}−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ]−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール(0.100g、0.2ミリモル)を乾燥テトラヒドロフランに溶解した溶液に水素化ナトリウム(0.012g、0.3ミリモル)を加え、窒素雰囲気下で20℃で1時間激しく攪拌した。4−エトキシフェニルイソシアネート(0.041g、0.3ミリモル)を加え、攪拌を20℃で2時間続けた。得られた混合物を飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルに注ぎ、有機層を水及び食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、及び蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによりヘプタン/酢酸エチル(4:1から2:1)を用いて溶出することにより精製して、表題化合物を白色粉末として得た(0.041g、化合物69、収率30%)、19F−NMR:−63.7、−78.5。
【0082】
(実施例4)
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−{N−メチル−N−[2−(エトキシカルボニルオキシ)エチル]アミノ}−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ]−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール(0.100g、0.2ミリモル)を乾燥テトラヒドロフランに溶解した溶液に、水素化ナトリウム(0.012g、0.3ミリモル)を加え、窒素雰囲気下で20℃で2時間攪拌した。クロロギ酸エチル(0.029g、0.3ミリモル)を加え、攪拌を20℃で1時間続けた。次いで、得られた混合物を飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルに加え、有機層を水及び食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、及び蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーでヘプタン/酢酸エチル(4:1)を用いて溶出することにより精製して、表題化合物を白色粉末として得た(0.098g、化合物6、収率:81%)、19F−NMR:−63.8、−78.6。
【0083】
以下の中間体実施例により、前記実施例の合成で使用した中間体の製造を例証する。
【0084】
(中間体実施例1)
5−ブロモ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール(10.00g、19.3ミリモル)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(85ml)に溶解した溶液に、微粉砕炭酸カリウム(7.29g、52.2ミリモル)を加え、20℃で1時間攪拌した。次いで、2−(メチルアミノ)エタノール(3.11ml、38.7ミリモル)を加え、攪拌を20℃で2時間続けた。得られた混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水及び食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、蒸発させ、カラムクロマトグラフィーでヘキサン及び酢酸エチル(2:1)を用いて溶出することにより精製して、1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ]−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾールを微細白色粉末として得た(5.65g、収率57%)。19F−NMR:−63.7、−78.4。
【0085】
(中間体実施例2)
5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾール(100g、0.221モル)をブロモホルム(320ml)に懸濁した懸濁物に、t−ブチルニトリル(84ml、0.662モル)を加えた。得られた混合物を60から70℃に3時間加熱した。別量のt−ブチルニトリル(84ml、0.662モル)を加え、混合物を60から70℃でさらに2.5時間攪拌した。次いで、この混合物を冷却し、ヘキサン、ヘキサン−トルエンで洗浄し、次いで濾過した。固体をペンタンで洗浄し、真空乾燥して、5−ブロモ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルスルホニルピラゾールを黄色固体として得た(96.69g、収率79%)。mp142℃。
【0086】
表1に示す下記の好ましい化合物もまた、本発明の一部を形成し、前記の実施例1から4又は前記の一般方法に従って又はこれらと同様にして製造した又は製造し得る。
【0087】
表中、Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、Prはn−プロピルを意味し、i−Prはイソプロピルを意味し、cPrはシクロプロピルを意味し、OMeはメトキシを意味し、OEtはエトキシを意味し、Phはフェニルを意味し及びCH(2−FPh)は2−フルオロベンジルを意味する。
【0088】
19F−NMRスペクトルのシフト値はppmで示す。
【0089】
化合物番号は参考のためにだけ示す。
【0090】
【表1】





【0091】
本発明の別の特徴によれば、有効量の式(I)で示される化合物又はこの塩を害虫に施用することからなる、この場で害虫を防除する方法が提供される。この目的のために、前記化合物は、例えば以下に記載のように、通常は殺虫剤組成物の形で(すなわち、殺虫剤組成物に使用するのに適した混和性希釈剤又は担体及び/又は界面活性剤と一緒に)使用される。
【0092】
以下で使用する「本発明の化合物」という用語は、前記で定義したような式(I)で示される5−置換−オキシアルキルアミノピラゾール及びこの殺虫剤に許容し得る塩を包含する。
【0093】
前記の本発明の一つの側面は、ある場所での害虫の防除方法である。前記の場所としては、例えば、害虫これ自体、害虫が生息するか又は摂食する場所(植物、田畑、森林、果樹園、水路、土壌、植物生産物など)又は将来害虫の寄生を受け易い場所が挙げられる。従って、本発明の化合物は、害虫、害虫が生息するか又は摂食する場所、又は将来害虫の寄生を受け易い場所に直接に施用し得る。
【0094】
前記の殺虫剤用途から明らかであるように、本発明は、殺虫活性化合物を提供し、また節足動物、特に昆虫又はダニ又は植物線虫を含む多数の害虫種を防除するための前記化合物の使用方法を提供する。従って、本発明の化合物は、実用において、例えば農園芸作物、林業、動物薬又は家畜飼育、又は公衆衛生において都合よく使用し得る。
【0095】
本発明の化合物は、例えば以下の用途において及び以下の害虫に対して使用し得る:
土壌昆虫、例えば根切り虫(corn rootworm)、シロアリ(特に建造物の保護のため)、根食い虫、コメツキムシ、ルート・ウィービル(root weevils)、ストークボーラー(stalkborer)、ヤガ類、根アブラムシ又は地虫の防除のため。本発明の化合物はまた、植物病原性線虫、例えばネコブセンチュウ、シストセンチュウ、オオハリセンチュウ、ネグサレセンチュウ又はナミキクセンチュウに対して、又はダニに対して活性を提供するために使用し得る。土壌害虫、例えばコーン・ルートワームの防除のために、本発明の化合物は、作物を植えてあるか又は植えるべき土壌に、又は種子もしくは栽培中の植物の根に、有効量で都合よく施用又は混合される。
【0096】
公衆衛生の領域では、本発明の化合物は、多数の昆虫、特に不潔なハエ又はこの他の双翅目害虫、例えばイエバエ、サシバエ、ミズアブ、ノサシバエ、メクラアブ、アブ、ユスリカ、ヌカカ、ブユ又は蚊の防除に特に有用である。
【0097】
貯蔵製品、例えば穀物、例えば穀粒又は小麦粉、落花生、動物飼料、材木又は家庭用品、例えばカーペット及び織物の保護において、本発明の化合物は、節足動物、さらに特別には甲虫目、例えばゾウムシ、ガ又はダニ、例えばマダラメイガ(Ephestia)種、マルカツオブシムシ(Anthrenus)種、コクヌストモドキ(Tribolium)種、コクゾウムシ(Sitophilus)種又はダニ(Acarus)種による攻撃に対して有用である。
【0098】
寄生した家屋又は工業施設におけるゴキブリ、アリもしくはシロアリ又は同様の節足動物害虫の防除において、又は水路、井戸、貯水池又はこの他の流水もしくは貯留水のボウフラの防除において。
【0099】
シロアリ、例えばヤマトシロアリ(Reticulitermes)種、ヘテロテルメス(Heterotermes)種、イエシロアリ(Coptotermes)種による建造物に対する攻撃の防止における基礎、建造物又は土壌の処理のために。
【0100】
農業において、鱗翅目(蝶及び蛾)、例えばヒリオシス(Heliothis)種、例えばオオタバコガ(Heliothis virescens)、オオタバコガ(Heliothis armigera)及びタバコガ(Heliothis zea)の成虫、幼虫及び卵に対して。甲虫目、例えばハナゾウムシ(Anthonomus)種、例えばワタミハナゾウムシ(Anthonomus grandis)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、ディアブロチカ(Diabrotica)種の成虫及び幼虫に対して。異翅目(半翅目及び同翅目)、例えばキジラミ(Psylla)種、コナジラミ(Bemisia)種、コナジラミ(Trialeurodes)種、アブラムシ(Aphis)種、ミズス(Myzus)種、Megoura viciae、フィロキセラ(Phylloxera)種、ツマグロヨゴバイ(Nephotettix)種、トビイロウンカ(Nilaparvata)種に対して。
【0101】
双翅目、例えばイエバエ(Musca)種に対して。総翅目、例えばネギアザミウマ(Thrips tabaci)に対して。直翅目(Orthoptera、例えばトノサマバッタ(Locusta)種及びSchistocerca種、(イナゴ及びコオロギ)、例えばGryllus種、及びAcheta種、例えば、トウヨウゴキブリ(Blatta orientalis)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、チャバネゴキブリ(Blatella germanica)、トノサマバッタ(Locusta migratoria migratorioides)、及びサバクトビバッタ(Schistocerca gregaria)に対して。トビムシ目(Collembola)、例えばPeriplaneta種及びBlatella種(ゴキブリ)に対して。
【0102】
農業上重要な節足動物、例えばダニ類、例えばハダニ(Tetranychus)種及びパノニクス(Panonychus)種に対して。
【0103】
農業、林業又は園芸に重要な植物又は樹木を直接的に攻撃するか、又は植物の細菌、ウィルス、マイコプラズマ又は真菌による病害を蔓延させることによって攻撃する線虫に対して。例えば根寄生土壌生息線虫、例えばネコブセンチュウ(Meloidogyne)属〔例えばサツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)〕。
【0104】
動物薬又は家畜飼育の分野において又は脊椎動物、特に温血脊椎動物、例えば家畜、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、家禽、イヌ又はネコに内部又は外部寄生する節足動物、例えばダニ目、例えばダニ類〔例えば、軟ダニ、ヒメダニ種(Argasidae spp.)、例えばナガヒメダニ(Argas)種及びカズキダニ(Ornithodorus)種(例えば、Ornithodorus moubata)〕;マダニ、例えばマダニ(Ixodidae)種、例えばウシダニ(Boophilus)種、例えばオウシマダニ(Boophilus microplus)、コイタマダニ(Rhipicephalus)種、例えば褐色ダニ(Rhipicephalus appendiculatus)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus);ダニ類〔例えばダマリニア(Damalinia)種〕;ノミ類〔例えばイヌノミ(Ctenocephalides)種、例えばネコノミ(Ctenocephalides felis)及びイヌノミ(Ctenocephalides canis)〕;シラミ類、例えばタンカクハジラミ(Menopon)種;双翅目(Diptera)〔例えば、ヤブカ(Aedes)種、ハマダラカ(Anopheles)種、イエバエ(Musca)種、ヒフバエ(Hypoderma)種〕;半翅目(Hemiptera);網翅目(Dictyoptera)(例えば、ゴキブリ(Periplaneta)種、Blatella種);膜翅目(Hymenoptera)に対する公衆衛生の維持において;例えば寄生線虫、例えば毛様線虫(Trichostrongylidae)科の構成線虫により引き起こされる胃腸管の感染症に対する公衆衛生の維持において。
【0105】
本発明の好ましい側面において、式(I)で示される化合物は、動物の寄生虫の駆除に使用される。好ましくは、処理される動物は家庭内伴侶動物、例えばイヌ又はネコである。
【0106】
本発明の別の側面において、式(I)で示される化合物又はこの塩又は組成物は動物薬の製造に使用される。
【0107】
従って、本発明の別の特徴は、害虫を防除するための式(I)で示される化合物又はこの塩の使用、又はこれらの組成物の使用に関する。
【0108】
節足動物、特に昆虫又はダニ、又は蠕虫、特に植物の線虫害虫の防除のための実用において、方法は、例えば、植物に又はこれらが生育する媒体に、有効量の本発明の化合物を施用することからなる。このような方法のために、本発明の化合物は、一般に、節足動物又は線虫の蔓延を防除すべき場所に、処理される場所1ヘクタール当たり活性化合物が約2gから約1kgの範囲の有効量で施用される。理想的な条件下では、防除すべき害虫に応じて、さらに低い施用量で十分な保護を提供し得る。他方、悪天候条件、害虫の耐性又はこの他の要因は、有効成分をより多い量で使用することを必要とし得る。最適量は、通常は多数の因子、例えば防除される害虫の種類、寄生される植物の種類又は成長段階、畝間又は施用方法に左右される。活性化合物の有効量の範囲は、好ましくは約10g/haから約400g/ha、さらに好ましくは約50g/haから約200g/haである。
【0109】
害虫が土壌介在性である場合には、一般に製剤化された組成物中の活性化合物は、任意の都合のよい方法で処理すべき領域全体に均一に散布され(すなわち、例えば広範処理又は帯状処理)、約10g/haから約400g有効成分/ha、好ましくは約50g/haから約200g有効成分/haの量で施用される。苗に対する根浸漬液として又は植物への細流灌漑として施用する場合には、液剤又は懸濁剤は、約0.075から約1000mg有効成分/リットル、好ましくは約25から約200mg有効成分/リットルを含有する。施用は、必要に応じて、一般的に田畑又は作物栽培領域に、又は攻撃から保護すべき種子又は植物の近くに行い得る。本発明の化合物は、前記領域全体に水を用いて噴霧することによって土壌中に洗い流すことができるし又は降雨の自然作用に任せることができる。施用中又は施用後に、必要ならば、製剤した化合物を、例えば耕起、ディスキング(disking)、又はドラッグチェーンの使用により土壌中に機械的に散布することができる。施用は、植え付けの前、植え付け時、植え付け後であることができるが、また発芽前又は発芽後に行う。
【0110】
本発明の化合物及びこれを用いた害虫の防除方法は、田畑、飼料、農園、温室、果樹園又はブドウ園の作物の保護、観賞植物の保護、又は農園又は森林の樹木の保護において、例えば:穀類(例えばコムギ又はイネ)、ワタ、野菜(例えば、コショウ)、畑作物(例えばテンサイ、ダイズ又はナタネ)、草地又は飼料作物(例えばトウモロコシ又はモロコシ)、果樹園又は柑橘果樹園(例えば、石果又は核果又は柑橘類など)、観賞植物、温室又は庭園もしくは公園内の草花又は野菜又は低木、又は森林、植え込み又は苗床の森林樹(落葉樹及び常緑樹)の保護において特に有用である。
【0111】
これらはまた、例えばハバチ又は甲虫又はシロアリによる攻撃から材木(立木、伐採された材木、用材、保存材木又は構造木材)の保護にも有用である。
【0112】
これらは、貯蔵品、例えば穀物、果物、堅果、香辛料又はタバコを、このままで、ミル粉砕され又は製品中に配合されていようといまいと、ガ、甲虫、ダニ又はコクゾウムシの攻撃からの保護において用途を有する。また、自然状態又は加工された状態(例えば、カーペット又は織物として)の貯蔵動物製品、例えば皮膚、毛、羊毛又は羽毛もまた、ガ又は甲虫の攻撃から保護され、また保存されている肉、魚又は穀物も、甲虫、ダニ又はハエの攻撃から保護される。
【0113】
また、本発明の化合物及びこの使用方法は、家畜に有害であるか又はこれらに伝播するか又は病気の媒介体として働く節足動物又は蠕虫、例えば前述の節足動物又は蠕虫の防除において、さらに特別にはマダニ、ダニ、シラミ、ノミ、ユスリカ、又はサシバエ、不快なハエ又はハエウジの防除において特に有用である。本発明の化合物は、家畜宿主動物内に存在するか又はこの皮膚内でもしくは皮膚上で摂食するか又は動物の血液を吸う節足動物又は蠕虫の防除に特に有用であり、この目的に本発明の化合物は経口、非経口、経皮又は局所投与し得る。
【0114】
栽培中の作物又は作物を栽培している場所への施用又は種子粉衣としての施用について、以下に記載の組成物は、一般に、貯蔵品、家庭用品、所有地及び公衆環境の区域の保護において代替的に使用し得る。本発明の化合物の適切な施用手段としては:
栽培中の作物に対しては、茎葉散布剤(例えば、畝間内散布剤として)、粉剤、粒剤、煙霧剤又は発泡剤として、又はまた液体潅注液、粉剤、粒剤、くん煙剤又は発泡剤による土壌又は根の処理として微細化又はカプセル化組成物の懸濁剤として;作物の種子に対しては液体スラリー又は粉剤による種子粉衣剤として;
節足動物又は蠕虫が寄生した動物又はこれらの寄生に暴露された動物に対しては、有効成分が節足動物又は蠕虫に対して即時作用及び/又は一定の期間にわたる持続作用を示す組成物を、非経口、経口又は局所施用することにより、例えば飼料中への配合、又は適切な経口摂取可能な医薬製剤、食用ベイト、家畜用岩塩、栄養補助側品、ポアオン製剤、噴霧剤、浴剤、ディップ、シャワー、ジェット、粉剤、グリース、シャンプー、クリーム、ワックス・スミア又は家畜自己処理システムにより;
一般環境に対して又は害虫が潜伏し得る特定の場所、例えば貯蔵品、材木、家庭用品、又は家屋もしくは工業施設に対しては、噴霧剤、煙霧剤、粉剤、くん煙剤、ワックス・スミア、ラッカー、粒剤又はベイトとして、又は水路、井戸、貯水池又はこの他の流水もしくは貯留水への細流供給において。
【0115】
式(I)で示される化合物は、経口投与した場合に動物の寄生虫の駆除に特に有用であり、本発明の別の好ましい側面において、式(I)で示される化合物は、経口投与による動物の寄生虫の駆除に使用される。式(I)で示される化合物又はこの塩は、食前、食事中又は食後に投与し得る。式(I)で示される化合物又はこの塩は、担体及び/又は食物と混合し得る。
【0116】
式(I)で示される化合物又はこの塩は、動物に対してある用量で、一般的には動物の体重1kg当たり式(I)で示される化合物又はこの塩が0.1から500mg/kgの用量範囲(mg/kg)で経口投与される。
【0117】
式(I)で示される化合物又はこの塩で処理すべき動物、好ましくは家畜の処理の頻度は、一般に1週当たり約1回から1年当たり約1回まで、好ましくは2週間毎に約1回から3ヶ月毎に1回までである。
【0118】
本発明の化合物は、別の殺寄生虫有効物質、例えば内部寄生生物駆除剤、及び/又は外部寄生生物駆除剤、及び/又は内部寄生生物外部寄生生物駆除剤と共に最も都合よく投与し得る。例えば、このような化合物としては、大環状ラクトン、例えばアベルメクチン類又はミルベマイシン類、例えばイベルメクチン、ピラテル(pyratel)又は昆虫成長調節剤、例えばルフェヌロン又はメトプレンが挙げられる。
【0119】
式(I)で示される化合物は、公知の遺伝子組換え植物又はこれから開発されるべき遺伝子組換え植物の作物において有害生物を防除するために用いることもできる。一般に、トランスジェニック植物は、特に都合のよい性質によって、例えば特定の作物保護剤に対する耐性、植物の病気又は植物の病気の病原体、例えば特定の昆虫又は微生物、例えば真菌、細菌又はウィルスに対する耐性により識別される。この他の特定の性質は、例えば、収穫物の量、品質、貯蔵性、組成及び特定の成分に関する。従って、デンプン含有量が増加しているか又はデンプンの品質が変えられているトランスジェニック植物、又は収穫物が異なる脂肪酸組成を有するトランスジェニック植物が知られている。
【0120】
有用植物及び観賞植物の経済的に重要なトランスジェニック作物、例えば穀類、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ、イネ、キャッサバ及びトウモロコシ、又はテンサイ、ワタ、ダイズ、アブラナ、ジャガイモ、トマト、エンドウ及びこの他の種類の野菜の作物の経済的に重要なトランスジェニック作物における使用が好ましい。
【0121】
トランスジェニック作物、特に昆虫に対して抵抗性を有するトランスジェニック作物において使用される場合、この他の作物において認められるべき有害生物に対する効果の他に、当該トランスジェニック作物における施用に特有の効果、例えば防除できる害虫の変えられた又は特異的に拡大されたスペクトル、又は施用に使用し得る変えられた施用量が認められる場合が多い。
【0122】
従って、本発明はまた、トランスジェニック作物植物において有害生物を防除するための式(I)で示される化合物の使用に関する。
【0123】
本発明の別の特徴によれば、1種又はそれ以上の混和性の殺虫剤に許容し得る希釈剤もしくは担体及び/又は界面活性剤〔すなわち、殺虫剤組成物に使用するのに適していると当該技術において一般的に認められており、本発明の化合物と混和性である種類の希釈剤もしくは担体及び/又は界面活性剤〕と一緒に及び好ましくはこれらに均質に分散された1種又はそれ以上の前記の本発明の化合物を含有してなる殺虫剤組成物が提供される。
【0124】
実際には、本発明の化合物は、最も高い頻度で組成物の一部を形成する。これらの組成物は、節足動物、特に昆虫、又は植物線虫又はダニ類の防除に用いることができる。該組成物は、任意の建物又は屋内もしくは屋外領域における所望の害虫に施用するのに適した当該技術で公知の任意の種類のものであり得る。これらの組成物は、有効成分として本発明の少なくとも1種の化合物を、例えば意図する用途に適した固体もしくは液状担体又は希釈剤、補助剤、界面活性剤などであり、農薬に又は医薬に許容し得る1種又はそれ以上のこの他の混和性成分と組合わせて又はこれらと共に含有する。これらの組成物は、当該技術において知られている任意の方法で製造し得、同様に本発明の一部を形成する。
【0125】
本発明の活性化合物は、この市販の製剤で及びこれらの製剤から製造される使用形態で、この他の活性化合物、例えば殺虫剤、誘引物質、滅菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節化合物又は除草剤との混合物中に存在させ得る。
【0126】
殺虫剤としては、例えば、リン酸エステル、カルバメート、カルボン酸エステル、ホルムアミジン、スズ化合物及び微生物により産生される物質が挙げられる。
【0127】
混合物において好ましい成分は:
1.リン化合物の群から
アセフェート、アザメチホス、アジンホス・エチル、アジンホス・メチル、ブロモホス、ブロモホス・エチル、カズサホス(F−67825)、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス・メチル、ジメトン、ジメトン−S−メチル、ジメトン−S−メチルスルホン、ジアリホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、ファムフル、フェナミホス、フェニトリオチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フルピラゾホス、ホノホス、ホルモチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イサゾホス、イソチオエート、イソキサチオン、マラチオン、メタクリホス、メタミドホス、メチダチオン、サリチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレッド、オメトエート、オキシジメトン・メチル、パラチオン、パラチオン・メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスホラン、ホスホカルブ(BAS−301)、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホス、ピリミホス・エチル、ピリミホス・メチル、プロフェノホス、プロパホス、プロエタムホス(proetamphos)、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルプロホス、テメホス、テルブホス、テブピリムホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン;
【0128】
2.カルバメートの群から
アラニカルブ(OK−135)、アルジカルブ、メチルカルバミン酸2−sec−ブチルフェニル(BPMC)、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、ベンフラカルブ、エチオフェンカルブ、フラチオカルブ、HCN−801、イソプロカルブ、メソミル、5−メチル−m−クメニルブチリル(メチル)カルバメート、オキサミル、ピリミカーブ、プロポキスル、チオジカルブ、チオファノックス、1−メチルチオ(エチリデンアミノ)−N−メチル−N−(モルホリノチオ)カルバメート(UC 51717)、トリアザメート;
【0129】
3.カルボン酸エステルの群から
アクリナトリン、アレスリン、アルファメトリン、(E)−(1R)−シス−2,2−ジメチル−3−(2−オキソチオラン−3−イリデンメチル)シクロプロパンカルボン酸5−ベンジル−3−フリルメチル、β−シフルトリン、α−シペルメトリン、β−シペルメトリン、ビオアレスリン、ビオアレスリン〔(S)−シクロペンチル異性体〕、ビオレスメトリン、ビフェントリン、(1RS)−トランス−3−(4−tert−ブチルフェニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(RS)−1−シアノ−1−(6−フェノキシ−2−ピリジル)メチル(NCI85193)、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シチトリン(cythithrin)、シペルメトリン、シフェノトリン、デルタメトリン、エンペントリン、エスフェンバレレート、フェンフルトリン、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、フルバリネート(D異性体)、イミプロトリン(S−41311)、λ−シハロトリン、ペルメトリン、フェノトリン(R異性体)、プラレスリン、ピレトリン(天然生成物)、レスメトリン、テフルトリン、テトラメトリン、θ−シペルメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、ζ−シペルメトリン(F−56701);
【0130】
4.アミジン類の群から
アミトラズ、クロルジメホルム;
【0131】
5.スズ化合物の群から
シヘキサチン、酸化フェンブタスズ;
【0132】
6.その他
アバメクチン、ABG−9008、アセタミプリド、アセキノシル、アナグラファ・ファルシテラ(Anagrapha falcitera)、AKD−1022、AKD−3059、ANS−118、アザジラクチン、バシラス・スリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)、ボーベリア・バシアーナ(Beauveria bassiana)、ベンスルタップ、ビフェナゼート、ビナパクリル、BJL−932、ブロモプロピレート、BTG−504、BTG−505、ブプロフェジン、カンフェクロル、カルタップ、クロルベンジレート、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、2−(4−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルチオフェン(UBI−T930)、クロルフェンテジン、クロルプロキシフェン(chlorproxyfen)、クロマフェノジド、クロチアニジン、シクロプロパンカルボン酸2−ナフチルメチル(Ro12−0470)、シロマジン、ジアクロデン(チアメトキサム)、ジアフェンチウロン、DBI−3204、エチル=2−クロロ−N−(3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルオキシ)フェニル)カルバモイル)−2−カルボキシイミデート、DDT、ジコホル、ジフルベンズロン、N−(2,3−ジヒドロ−3−メチル−1,3−チアゾール−2−イリデン)−2,4−キシリデン、ジヒドロキシメチルジヒドロキシピロリジン、ジノブトン、ジノカップ、ジオフェノラン、エマメクチン安息香酸塩、エンドスルファン、エチプロール(スルフェチプロール)、エトフェンプロックス、エトキサゾール、フェナザキン、フェノキシカルブ、フィプロニル、フロニカミド (IKI−220)、フルアズロン、flumite〔フルフェンジン(flufenzine)、SZI−121〕、2−フルオロ−5−(4−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−ペンチル)ジフェニルエーテル(MTI800)、顆粒病ウィルス及び核多核体病ウィルス、フェンピロキシメート、フェンチオカルブ、フルアクリプリム、フルベンジミン、フルブロシトリネート、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、フルフェノクスロン、フルフェンジン(flufenzine)、フルフェンプロックス、フルプロキシフェン、γ−HCH、ハロフェノジド、ハロフェンプロックス、ヘキサフルムロン(DE 473)、ヘキシチアゾックス、HOI−9004、ヒドラメチルノン(AC217300)、インドキサカルブ、イベルメクチン、L−14165、イミダクロプリド、インドキサカルブ(DPXMP062)、カネマイト(AKD−2023)、ルフェヌロン、M−020、M−020、メトキシフェノジド、ミルベメクチン、NC−196、ニームガード(neemgard)、ニジノテルフラン(nidinoterfuran)、ニテンピラム、2−ニトロメチル−4,5−ジヒドロ−6H−チアジン(DS52618)、2−ニトロメチル−3,4−ジヒドロチアゾール(SD35651)、2−ニトロメチレン−1,2−チアジナン−3−イルカルバムアルデヒド(WL108477)、ノバルロン、ピリダリル(pirydaryl)、プロパルギット、プロトリフェンブテ(protrifenbute)、ピメトロジン、ピリダベン、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、NC−196、NC−1111、NNI−9768、ノバルロン(MCW−275)、OK−9701、OK−9601、OK−9602、OK−9802、R−195、RH−0345、RH−2485、RYI−210、S−1283、S−1833、SI−8601、シラフルオフェン、シロマジン(CG−177)、スピノサド、スピロジクロフェン、SU−9118、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルベンズロン、テトラジホン、テトラサル、チアクロプリド、チオシクラム、チアメトキサム、トルフェンピラド、トリアザメート、トリエトキシスピノシンA、トリフルムロン、ベルブチン(verbutin)、バータレック(mykotal)、YI−5301
である。
【0133】
併用のための前記の成分は、公知の活性物質であり、これらの多くはCh.R Worthing,S.B.Walker,The Pesticide Manual,12th Edition,British Crop Protection Council,Farnham 2000に記載されている。
【0134】
本発明において用いられる化合物の有効使用量は、特に排除すべき害虫の性質又は例えば作物のこれらの害虫による蔓延の度合いに応じて、広い範囲で変化させることができる。一般に、本発明の組成物は、通常、本発明の1種又はそれ以上の有効成分を約0.05から約95%(重量で)含有し、1種又はそれ以上の固体又は液状担体を約1から約95%含有し、場合によっては1種又はそれ以上の他の混和性成分、例えば界面活性剤等を約0.1から約50%含有する。
【0135】
本明細書において、「担体」という用語は、有効成分と組み合わせて、例えば植物、種子又は土壌への有効成分の施用を容易にする天然又は合成の有機又は無機成分を意味する。従って、この担体は、一般に不活性であり、許容し得る(例えば、特に処理される植物に農学的に許容し得る)ものなければならない。
【0136】
担体は、固体、例えば、クレー、天然又は合成のケイ酸塩、シリカ、樹脂、ワックス、固形肥料(例えばアンモニウム塩)、粉砕天然鉱物、例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト又は珪藻土、又は粉砕合成鉱物、例えばシリカ、アルミナ、又はケイ酸塩、特にケイ酸アルミニウムもしくはケイ酸マグネシウムであり得る。粒剤用の固形担体としては、次の粉砕及び分別天然岩石、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石及びドロマイト;無機及び有機物粉末の合成顆粒;有機物、例えばおがくず、ヤシ殻、トウモロコシ穂軸、タバコ茎の顆粒、;ケイソウ土(kieselguhr)、リン酸三カルシウム、粉末コルク又は吸収剤カーボンブラック;水溶性のポリマー、樹脂、ワックス;又は固体肥料が適切である。このような固体組成物は、必要ならば、1種又はそれ以上の混和性の湿潤剤、分散剤、乳化剤又は着色剤を含有し得、これらは固体の場合には希釈剤としても役立ち得る。
【0137】
担体はまた、液体、例えば:水;アルコール類、特にブタノール又はグリコール、並びにこれらのエーテル又はエステル、特にメチルグリコールアセテート;ケトン類、特にアセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、又はイソホロン;石油留分、例えばパラフィン系炭化水素又は芳香族炭化水素、特にキシレン類又はアルキルナフタレン類;鉱油又は植物油;脂肪族塩素化炭化水素、特にトリクロロエタン又は塩化メチレン;芳香族塩素化炭化水素、特にクロロベンゼン類;水溶性又は強極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はN−メチルピロリドン;液化ガスなど又はこれらの混合物であってもよい。
【0138】
界面活性剤は、イオン性又は非イオン性の乳化剤、分散剤又は湿潤剤、又はこのような界面活性剤の混合物であってもよい。
【0139】
これらの中で、例えばポリアクリル酸の塩、リグノスルホン酸の塩、フェノールスルホン酸又はナフタレンスルホン酸の塩、酸化エチレンと脂肪アルコール又は脂肪酸又は脂肪エステル又は脂肪族アミンとの重縮合物、置換フェノール(特にアルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特にアルキルタウレート)、アルコールのリン酸エステル又は酸化エチレンとフェノールとの重縮合物のリン酸エステル、脂肪酸とポリオールとのエステル、又は上記化合物のスルフェート、スルホネート又はホスフェート官能誘導体である。有効成分及び/又は不活性担体が水に極わずかしか溶解しないか又は水溶性ではない場合及び施用のための組成物の担体が水である場合には、一般に少なくとも1種の界面活性剤の存在が不可欠である。
【0140】
本発明の組成物は、さらに粘着剤又は着色剤などの他の添加剤を含有し得る。粘着剤、例えばカルボキシメチルセルロース、又は粉末、顆粒又はラテックスの形の天然又は合成重合体、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニル、天然リン脂質、例えばセファリン類又はレシチン類、又は合成リン脂質を製剤に使用できる。着色剤、例えば無機顔料、例えば酸化鉄、酸化チタン又はプルシアンブルー;有機染料、例えばアリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料、又は微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン又は亜鉛の塩を使用することができる。
【0141】
従って、これらの農業用途について、本発明の化合物は一般に組成物の形態であり、該組成物は種々の固体又は液体の形態である。
【0142】
使用できる固体形態の組成物は、粉剤(最大80%までの範囲の本発明の化合物の含有量を有する)、水和剤又は粒剤(例えば水和性顆粒剤)であり、特に押出し、圧縮成形、粒状担体の含浸によって又は粉末から出発する造粒によって得られるものである(これらの水和剤又は粒剤中の本発明の化合物の含有量は、約0.5から約80%である)。1種又はそれ以上の本発明の化合物を含有する固形の均質又は不均質組成物、例えば粒剤、ペレット剤、ブリケット(brickettes)又はカプセル剤は、ある期間にわたって貯留水又は流水を処理するのに使用し得る。同様の効果は、本明細書に記載の水和性濃厚物の散水供給また断続的供給により達成し得る。
【0143】
液状組成物としては、例えば、水性又は非水性液剤又は懸濁剤(例えば乳剤、エマルション剤、フロアブル剤、分散物又は液剤)又はエアロゾル剤が挙げられる。液状組成物としてはまた、特に、液体であるか又は施用時に液体組成物を形成することが意図される組成物の形態として、例えば水性散布液(例えば少量及び微量水性散布液)として又は煙霧剤又はエアロゾル剤として、乳剤、分散剤、エマルション剤、フロアブル剤、エアロゾル剤、水和剤(又は噴霧用粉末)、乾燥フロアブル剤又はペースト剤が挙げられる。
【0144】
液状組成物、例えば乳剤又は溶解性濃厚物の形態の液状組成物は、最も高い頻度で有効成分を約5から約80質量%を含有しており、これに対していつでも施用できる状態になっているエマルション剤又は液剤は、この場合には、有効成分を約0.01から約20%含有する。乳剤又は溶解性濃厚物は、溶媒の他に、必要な場合には適切な添加剤、例えば安定剤、界面活性剤、浸透剤、腐食防止剤、着色剤又は接着剤を約2から約50%含有し得る。例えば植物に施用するのに特に適している任意の所定の濃度のエマルション剤は、これらの濃厚物から水で希釈することによって取得し得る。これらの組成物は、本発明において使用し得る組成物の範囲内に包含される。エマルション剤は、油中水型又は水中油型の形態であってもよいし、高粘度を有していてもよい。
【0145】
本発明の液状組成物は、通常の農業用途の他に、例えば節足動物(又は本発明の化合物で防除されるこの他の害虫)が寄生しているか又は寄生し易い基材又は場所、例えば建物、屋外又は屋内倉庫の貯蔵又は加工領域、容器又は装置又は貯留水又は流水を処理するために使用し得る。
【0146】
全てのこれらの水性分散物又はエマルション剤又は噴霧混合物は、例えば、作物に対して任意の適切な手段により、主として噴霧により、一般的に1ヘクタール当たり噴霧混合物が約100から約1,200リットル程度の量で施用することができるが、必要に応じて又は施用法に応じてこれよりも多いか又は少ない量(例えば少量又は微量)であってもよい。本発明の化合物又は組成物は、排除すべき害虫を有する植生及び特に根又は葉に対して都合よく施用される。本発明の化合物又は組成物の別の施用方法は、ケミゲーションン(chemigation)、すなわち有効成分を含有する製剤の灌漑用水への添加によるものである。この灌漑は、茎葉処理殺虫剤用のスプリンクラー灌漑であってもよいし、又は土壌用又は浸透性殺虫剤のための地面灌漑又は地下灌漑であってもよい。
【0147】
噴霧によって施用できる濃厚懸濁液は、沈降しない(微粉砕)安定な流動生成物を生成させるように調製され、通常有効成分を約10から約75質量%、界面活性剤を約0.5から約30%、チキソトロープ剤を約0.1から約10%、適切な添加剤、例えば消泡剤、腐食防止剤、安定剤、浸透剤、接着剤を約0から約30%含有し及び担体として有効成分がほとんど溶解しないか又は全く溶解しない水又は有機液体を含有する。幾つかの有機固体又は無機塩は、担体に溶解して沈降の防止に役立つか又は水の凍結防止剤として役立ち得る。
【0148】
水和剤(又は噴霧用粉末)は、通常、有効成分を約10から約80重量%、固形担体を約20から約90%、湿潤剤を約0から約5%、分散剤を約3から約10%及び必要に応じて1種又はそれ以上の安定剤及び/又はこの他の添加剤、例えば浸透剤、粘着剤、凝結防止剤、着色剤等を約0から約80%含有するように調製される。これらの水和剤を得るためには、有効成分を、適切なブレンダー中で、多孔性充填剤に含浸させ得る追加の物質と十分に混合し、ミル又は他の適切な粉砕機を使用して粉砕する。これにより水和剤が製造され、この湿潤性及び懸濁性は都合がよい。これら水和剤は、水に懸濁されて任意の所望の濃度を提供し得、この懸濁物は特に植物の葉への施用に極めて都合よく使用できる。
【0149】
「水和性顆粒剤(WG)」(水に容易に分散し得る粒剤)は、水和剤の組成に実質的に近い組成を有する。これらは、湿式法(微細有効成分を不活性充填剤及び少量の水、例えば1から20質量%の水と接触させるか又は分散剤もしくは結合剤の水溶液と接触させ、次いで乾燥及び選別する)又は乾式法(圧縮成形し、次いで粉砕し、選別する)のいずれかによって水和剤について記載の製剤の造粒によって調製し得る。
【0150】
製剤化組成物の量及び濃度は、施用方法又は組成物の性質又はこの用途に応じて変化し得る。一般に、節足動物又は植物線虫害虫に施用するための組成物は、本発明の1種又はそれ以上の化合物又は有効成分全部(すなわち、本発明の化合物を節足動物又は植物線虫に対して毒性のあるこの他の物質、協力剤、微量元素又は安定剤と一緒に)を、通常は約0.00001重量%から約95重量%、特に約0.0005重量%から約50重量%含有する。用いる実際の組成物及びこの施用量は、農業従事者、家畜生産者、医師又は獣医師、害虫防除作業者又はこの他の当業者によって所望の効果を達成するために選択される。動物、材木、貯蔵品又は家庭用品に対して局所施用するための固形又は液状組成物は、本発明の1種又はそれ以上の化合物を通常は約0.00005重量%から約90重量%、特に約0.001重量%から約10重量%含有する。固形又は液状組成物を動物に経口又は非経口投与、例えば経皮投与するためには、これらの組成物は、本発明の1種又はそれ以上の化合物を通常は約0.1重量%から約90重量%含有する。薬用飼料は、本発明の1種又はそれ以上の化合物を通常約0.001重量%から約3重量%含有する。飼料と混合するための濃厚物又は栄養補助食品は、本発明の1種又はそれ以上の化合物を通常は約5重量%から約90重量%、好ましくは約5重量%から約50重量%含有する。無機塩塊は、1種又はそれ以上の式(I)で示される化合物又はこの殺虫剤に許容し得る塩を通常約0.1重量%から約10重量%含有する。
【0151】
家畜、物品、建物又は屋外領域に施用するための粉剤又は液状組成物は、本発明の1種又はそれ以上の化合物を約0.0001重量%から約15重量%、さらに特別には約0.005重量%から約2.0重量%含有し得る。
【0152】
処理した水中の適切な濃度は、本発明の1種又はそれ以上の化合物が約0.0001ppmから約20ppm、さらに具体的には約0.001ppmから約5.0ppmであり、及び魚の養殖においては適切な暴露時間で治療的に使用し得る。食用ベイトは、本発明の1種又はそれ以上の化合物を約0.01重量%から約5重量%、好ましくは約0.01重量%から約1.0重量%含有し得る。
【0153】
脊椎動物に対して、非経口的に、経口的に又は経皮的に、又はこの他の手段で投与する場合には、本発明の化合物の投与量は、脊椎動物の種、年齢又は健康状態に依存し、また節足動物又は蠕虫害虫による実際の又は潜在的な蔓延の性質及び程度に依存する。動物の体重1kg当たり約0.1から約100mg、好ましくは約2.0から約20.0mgの単回投与又は1日当たりの動物の体重1kg当たり約0.01から約20.0mg、好ましくは約0.1から約5.0mgの投与(持続的投薬について)が、一般に経口又は非経口による投与に適している。徐放性製剤又はデバイスの使用により、動物に対して、1ヶ月間にわたって必要な1日量を一緒にして1回で投与してもよい。
【0154】
以下の組成物実施例2Aから2Mにより、節足動物、特に昆虫又はコナダニ、又は植物線虫に対して使用するための組成物を例証する。前記組成物は、有効成分として本発明の化合物、例えば製造例に記載の化合物を含有する。実施例2Aから2Mに記載の組成物は、それぞれ希釈して、田畑で使用するのに適した濃度の噴霧用組成物を得ることができる。以下に例示する組成物実施例2Aから2Mで使用される種々の成分の一般的な化学的説明(これについて、以下の%全ては重量%である)は、次の通りである:
商品名 化学的説明
Ethylan BCP ノニルフェノールエチレンオキシド縮合物
Soprophor BSU トリスチリルフェノールエチレンオキシド縮合物
Arylan CA ドデシルベンゼンスルホネン酸カルシウムの70%w/v溶液
Solvesso 150 軽質C10芳香族系溶媒
Arylan S ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
Darvan NO リグノスルホン酸ナトリウム
Celite PF 合成ケイ酸マグネシウム担体
Sopropon T36 ポリカルボン酸のナトリウム塩
Rhodigel 23 多糖キサンタンガム
Bentone 38 マグネシウムモンモリロナイトの有機誘導体
Aerosil 超微粒二酸化ケイ素
【0155】
(実施例2A)
下記の組成を有する水溶性濃厚物を製造した:
有効成分 7%
Ethylan BCP 10%
N−メチルピロリドン 83%
Ethylan BCPをN−メチルピロリドンの一部に溶解した溶液に、有効成分を加熱し撹拌しながら溶解するまで加えた。得られた溶液に、残りの溶媒を加えて容量を調整した。
【0156】
(実施例2B)
下記の組成を有する乳剤(EC)を製造した:
有効成分 25%(最大)
Soprophor BSU 10%
Arylan CA 5%
N−メチルピロリドン 50%
Solvesso 150 10%
最初の3つの成分をN−メチルピロリドンに溶解し、次いでこれにSolvesso 150を加えて最終容量を得た。
【0157】
(実施例2C)
下記の組成を有する水和剤(WP)を製造した:
有効成分 40%
Arylan S 2%
Darvan NO 5%
Celite PF 53%
前記の成分を混合し、ハンマーミルで粒径50ミクロン未満の粒度をもつ粉末に粉砕した。
【0158】
(実施例2D)
下記の組成を有する水性フロアブル剤を製造した:
有効成分 40.00%
Ethylan BCP 1.00%
Sopropon T360 0.20%
エチレングリコール 5.00%
Rhodigel 230 0.15%
水 53.65%
前記の成分を均質に混合し、ビーズミルで3ミクロン未満の平均粒径が得られるまで粉砕した。
【0159】
(実施例2E)
下記の組成を有する乳化性SC剤を製造した:
有効成分 30.0%
Ethylan BCP 10.0%
Bentone 38 0.5%
Solvesso 150 59.5%
【0160】
前記の成分を均質に混合し、ビーズミルで3ミクロン未満の平均粒径が得られるまで粉砕した。
【0161】
(実施例2F)
下記の組成を有する水和性顆粒剤を製造した:
有効成分 30%
Darvan No2 15%
Arylan S 8%
Celite PF 47%
前記の成分を混合し、流体エネルギーミルで微粉砕し、次いで水(最大10%)を噴霧することにより回転ペレタイザー中で造粒した。得られた顆粒を流動床式乾燥機中で乾燥して過剰の水分を除去した。
【0162】
(実施例2G)
下記の組成を有する粉剤を製造した:
有効成分 1から10%
超微細タルク粉末 99から90%
【0163】
前記の成分を均質に混合し、必要に応じて微細粉末が得られるまでさらに粉砕した。この粉末は、節足動物が蔓延する場所、例えば節足動物が蔓延しているか又は蔓延する恐れのあるごみ処理場、貯蔵品もしくは家庭用品又は動物に施用して、節足動物を経口摂取により防除し得る。節足動物が蔓延する場所に散布剤を散布するのに適した手段としては、機械式ブロワー、ハンドシェーカー又は家畜自己処理デバイスが挙げられる。
【0164】
(実施例2H)
下記の組成を有する食用ベイトを製造した:
有効成分 0.1から1.0%
小麦粉 80%
糖蜜 19.9から19%
【0165】
前記の成分を均質に混合し、必要に応じてベイトの形に成形した。この食用ベイトは、例えば節足動物、例えばアリ、イナゴ、ゴキブリ又はハエが蔓延している家屋又は工業施設、例えば台所、病院又は店舗、又は屋外領域に散布して、節足動物を経口摂取により防除し得る。
【0166】
(実施例2I)
下記の組成を有する液剤を製造した:
有効成分 15%
ジメチルスルホキシド 85%
【0167】
有効成分をジメチルスルホキシドに、混合しながら及び必要に応じて加熱しながら溶解した。この液剤は、節足動物が蔓延している家畜に対してポアオン施用として経皮的に施用し得るし、又はポリテトラフルオロエチレン膜(孔径0.22μm)に通して濾過することにより滅菌した後に、動物の体重100kg当たり液剤1.2から12mlの施用量で非経口注射により施用し得る。
【0168】
(実施例2J)
下記の組成を有する水和剤を製造した:
有効成分 50%
Ethylan BCP 5%
Aerosil 5%
Celite PF 40%
【0169】
Ethylan BCPをAerosil表面に吸着させ、次いでこれをこの他の成分と混合し、ハンマーミルで粉砕して水和剤を得た。これを、水で0.001重量%から2重量%の活性化合物濃度に希釈し、節足動物、例えば双翅目幼虫又は植物線虫が蔓延している場所に噴霧することにより施用し得るし、又は節足動物が蔓延しているか又は蔓延する恐れのある家畜に噴霧するか又は家畜を浸すことにより、又は飲料水に経口投与することにより施用して、節足動物を防除し得る。
【0170】
(実施例2K)
徐放性ボーラス組成物を、下記の成分を必要性に応じて(前記組成について記載した%と同様の)種々の%で含有する粒剤から形成した:
有効成分
密度調整剤
徐放剤
結合剤
【0171】
均質に混合した成分を顆粒に成形し、これを2以上の比重を有するボーラスに圧縮した。これは、網状第一胃内に保持させるために反芻動物家畜に経口投与して、長期間にわたって活性化合物の連続的な徐放を得て、節足動物による反芻動物家畜への侵入を防除し得る。
【0172】
(実施例2L)
下記の組成を有する粒剤、錠剤、ブリケットなどの形の徐放性組成物を製造した:
有効成分 0.5から25%
塩化ポリビニル 75から99.5%
フタル酸ジオクチル(可塑剤)
【0173】
前記の成分を混合し、次いで溶融押し出し又は成形により適切な形状に成形した。これらの組成物は、徐放により害虫を防除するために、例えば静水への添加又は家畜に取り付けるための首輪又は耳タグへの製作に有用である。
【0174】
(実施例2M)
下記の組成を有する水和性顆粒剤を製造した:
有効成分 85%(最大)
ポリビニルピロリドン 5%
アタパルジャイトクレー 6%
ラウリル硫酸ナトリウム 2%
グリセリン 2%
【0175】
前記の成分を水と45%スラリーとして混合し、4ミクロンの粒度まで湿式粉砕し、次いで噴霧乾燥して水を除去した。
【0176】
殺虫剤使用方法
本発明の化合物を使用して下記の代表的な試験操作を行って、本発明の化合物の殺寄生虫活性を測定した。
【0177】
方法A:ネコノミ(Ctenocephalides felis)に対する本化合物の浸透性を試験するためのスクリーニング方法
試験容器にネコノミ(Ctenocephalides felis)の成虫10匹を入れた。ガラスシリンダーの一端をパラフィルムで密閉し、試験容器の上部に置いた。次に、試験化合物溶液をピペットでウシの血液に入れ、これをガラスシリンダーに加えた。処理したネコノミをこの擬似イヌ試験(血液37℃、相対湿度40から60%;ネコノミ20から22℃、相対湿度40から60%)に付し、施用して24および48時間後に評価を行なった。
【0178】
化合物番号6、30、39、51、54、57、63、69、72、84、90及び93は、500ppm以下の試験濃度でネコノミ(Ctenocephalides felis)について少なくとも80%の防除率を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

{式中:
はCN、CSNH又はC(=N−Z)−S(O)−Qであり;
ZはH、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、−(CH、COR、CO−(C−C)−アルキル又はS(O)であり;
Qは(C−C)−アルキル又はCHであり;
WはC−ハロゲン、C−CH又はNであり;
は水素、ハロゲン又はCHであり;
は(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−ハロアルコキシ又はSFであり;
は水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルケニル、CO−(C−C)−アルキニル、CO−(CH又はSOであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、S(O)、CN、NO、OH、COR、NR10、S(O)、OR及びCOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;
Aは(C−C)−アルキレン又は(C−C)−ハロアルキレンであり;
XはC(=O)、C(=S)又はSOであり;
YはO、NR11又は共有結合であり;
は(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−ハロアルキニル、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)−アルキル、−(CH又は−(CH12であるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルケニルオキシ、(C−C)−ハロアルケニルオキシ、(C−C)−アルキニルオキシ、(C−C)−ハロアルキニルオキシ、(C−C)−シクロアルキル、S(O)、CN、NO、OH、COR、NR10、S(O)、OR及びCOからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;
は(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル又は(C−C)−ハロアルキニルであり;
は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO、S(O)、COR10、COR13、CONR10、SONR10、NR10及びOHからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり;
は(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり;
及びR10はそれぞれ独立してH、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル、(C−C)−ハロアルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル又は−(C−C)−アルキル−(C−C)−シクロアルキルであるか;又は
及びR10は結合されたN原子と一緒になって環中にO、S及びN原子から選択される異種原子をさらに含有していてもよい5員又は6員飽和環を形成し〔但し、前記の環は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル及び(C−C)−ハロアルキルからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されている〕;
11はH、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルケニル又は(C−C)−アルキニルであり;
12は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、NO、CN、CO(C−C)−アルキル、S(O)、OH及びオキソからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたヘテロシクリルであり;
13は非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO、S(O)及びNR10からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり;
n、p及びrはそれぞれ独立して0、1又は2であり;
m及びqはそれぞれ独立して独立して0又は1であり、及び
前記の基中のそれぞれのヘテロシクリルは、独立して、3から7個の環原子を有し、環中にN、O及びS原子からなる群の中から選択される1個、2個又は3個の異種原子を有する複素環式基である}
で示される化合物又は殺虫剤に許容し得るこの塩。
【請求項2】
がCN又はCSNHである、請求項1に記載の化合物又はこの塩。
【請求項3】
がCFである、請求項1又は2に記載の化合物又はこの塩。
【請求項4】
がCN、CSNH又はC(=N−Z)−S−Qであり;
ZがH、(C−C)−アルキル、−(CH、COR、CO−(C−C)−アルキル又はS(O)であり;
Qが(C−C)−アルキルであり;
WがC−Clであり;
がClであり;
がCFであり;
が水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、(C−C)−シクロアルキル、CO−(C−C)−アルキル、CO−(C−C)−アルケニル、CO−(C−C)−アルキニル、CO−(CH又はSOであるか、又は非置換であるかもしくはハロゲン、(C−C)−アルコキシ、S(O)及びCO−(C−C)−アルキルからなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換された(C−C)−アルキルであり;
Aが−CHCH−又は−CHCHCH−であり;
XがC(=O)又はSOであり;
YがO、NH又は共有結合であり;
が(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、−(CH、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり;
がCFであり;
それぞれのRが独立して非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及びS(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり、及び
それぞれのRが独立して(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルである、請求項1、2又は3に記載の化合物又はこの塩。
【請求項5】
がCN又はCSNHであり;
WがC−Clであり;
がClであり;
がCFであり;
が(C−C)−アルキルであり;
Aが−CHCH−又は−CHCHCH−であり;
XがC(=O)であり;
YがO、NH又は共有結合であり;
が(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルキニル、−(CH、(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルであり;
がCFであり;
が非置換であるか又はハロゲン、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、CN、NO及び
S(O)からなる群の中から選択される1個又はそれ以上の基で置換されたフェニルであり、及び
が(C−C)−アルキル又は(C−C)−ハロアルキルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物又はこの塩。
【請求項6】
a)R、R、R、R、R、W、A及びnが請求項1で定義した通りであり、RがCNであり、Y及びXが、−Y−X−が−NH−CO−又は−NH−CS−である化合物を除いて、請求項1で定義した通りである場合には、式(II):
【化2】

〔式中、R、R、R、R、W、A及びnは式(I)で定義した通りである〕
で示される化合物を、式(III):
【化3】

〔式中、X及びYは、−Y−X−が−NH−CO−又は−NH−CS−である化合物を除いて式(I)で定義した通りであり、Lは脱離基である〕
で示される化合物を用いてアシル化又はスルホニル化するか;又は
b)RがCNであり、R、R、R、R、R、W、A及びnが請求項1で定義した通りである場合には、式(II)〔式中、R、R、R、R、W、A及びnは請求項1で定義した通りであり、−Y−X−は−NH−CO−又は−NH−CS−である〕で示される化合物を、式(IV)又は(V):
−N=C=O (IV) R−N=C=S (V)
〔式中、Rは式(I)で定義した通りである〕
で示されるイソシアネート又はイソチオシアネート化合物と反応させるか;又は
c)RがCNであり、nが1又は2であり、R、R、R、R、R、W、A、X及びYが請求項1で定義した通りである場合には、nが0又は1である対応化合物を酸化するか;又は
d)RがCSNHであり、R、R、R、R、R、W、A、X、Y及びnが請求項1で定義した通りである場合には、RがCNである場合の式(I)で示される対応化合物を、アルカリ又はアルカリ土類金属の水硫化物、又は試薬PhPSと反応させるか ;又は
(e)RがCSNHであり、R、R、R、R、R、W、A、X、Y及びnが請求項1で定義した通りである場合には、RがCNである場合の式(I)で示される対応化合物を、塩基の存在下でビス(トリアルキルシリル)スルフィドと反応させるか;又は
(f)RがC(=N−H)−S−Qであり、Q、R、R、R、R、R、W、A、X、Y及びnが請求項1で定義した通りである場合には、RがCSNHである場合の式(I)で示される対応化合物を、式(VI)又は(VII):
Q−L (VI) QBF (VII)
〔式中、Qは式(I)で定義した通りであり、Lは脱離基である〕
で示されるアルキル化剤と反応させるか;又は
(g)RがC(=N−Z)−S−Qであり、ZがHを除いて請求項1で定義した通りであり、この他の値が式(I)で定義した通りである場合には、ZがHである場合の式(I)で示される対応化合物を、式(VIII):
Z−L (VIII)
〔式中、ZはHを除いて式(I)で定義した通りであり、Lは脱離基である〕
で示される化合物を用いてアルキル化、アシル化又はスルホニル化し;及び
(h)必要に応じて、得られた式(I)で示される化合物をこの殺虫剤に許容し得る塩に転化させる
ことからなる請求項1から5のいずれか1項に記載の式(I)で示される化合物又はこの塩の製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の式(I)で示される化合物又はこの殺虫剤に許容し得る塩を、殺虫剤に許容し得る希釈剤又は担体及び/又は界面活性剤と共に含有してなる殺虫剤組成物。
【請求項8】
動物薬を製造するための請求項1から5のいずれか1項に記載の式(I)で示される化合物又はこの塩又は請求項7に記載の組成物の使用。
【請求項9】
害虫を防除するための請求項1から5のいずれか1項に記載の式(I)で示される化合物又はこの塩又は請求項7に記載の組成物の使用。
【請求項10】
有効量の請求項1から5のいずれか1項に記載の式(I)で示される化合物又はこの塩又は請求項7に記載の組成物を害虫の活動場所に施用することからなる害虫の防除方法。

【公表番号】特表2007−504185(P2007−504185A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525067(P2006−525067)
【出願日】平成16年8月21日(2004.8.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009378
【国際公開番号】WO2005/023776
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(502429279)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (4)
【Fターム(参考)】