説明

毛髪を乾式染色するための化粧料物品、その使用及び該物品の使用方法

【課題】ケラチン物質、特にヒトケラチン物質を、乾式熱転写によって、染色するための化粧料物品を提供することを目的とする。
【解決手段】ケラチン物質を染色するための、実質的に乾燥状態にある化粧料物品であって、
・多孔質で可撓性の支持体と;
・熱転写によって、該ケラチン物質を染色することのできる、1種又はそれ以上の、粉末状態にある、直接染料又は直接染料プリカーサを含み、
該支持体及び該直接染料又は直接染料プリカーサが、該支持体及び/又は該支持体内で、これと非-共有結合的に結合しており、
該多孔質で可撓性の支持体が、不織り繊維支持体及び発泡型の気泡支持体であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特にヒトケラチン物質を、乾式熱転写によって、染色するための化粧料物品に関する。本発明は、さらにこの乾式熱転写用の化粧料物品を用いた、ケラチン物質の染色方法にも関連する。本発明は、またケラチン物質、特にヒトケラチン物質を、乾式熱転写によって染色するための、該化粧料物品の使用にも関連する。
本発明は、より具体的には、ヒトケラチン物質、及び特に毛髪の染色の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
かなり以前から、毛髪の色を修正する方法、及び特に白髪を隠蔽する方法が知られている。
本質的に、ヒトのケラチン繊維を染色するのに用いられる、2つの型の技術が知られている。
その第一の方法、即ち直接又は半-永久的な染色法として知られている方法は、繊維内に拡散によって浸透し、及び/又はその表面に吸着した状態で維持される、着色分子を適用することによって、該繊維の色を変化させ、あるいはこれに色を付与することからなっている。
また第二の方法、即ち酸化染色又は永久的染色法として知られている方法は、該繊維自体の内側で、染料プリカーサの酸化的な縮合を行わせることによって、該繊維の色を変化させ、あるいはこれに色を付与することからなっており、ここで該染料プリカーサは、未着色のあるいは殆ど着色されていない化合物である。この反応の後に、生成される該染料は、不溶性となり、また該繊維の内部に捕捉される。
【0003】
上で概説した該2つの方法は、広範囲の色に対して利用可能であった。
染色組成物は、一般に様々な形状、例えばローション、ムース、クリーム又はゲル形状にある。しかし、これら形状の殆どは、顔面又は染色が望ましくない領域に流出するという、欠点を有している。その上、これら製品の使用は、一般的に衣類、ヘアスタイリングアクセサリー(櫛、タオル等)、タンク等を汚してしまう。
さらに、該染色工程の期間が長い。その理由は、該染色組成物の放置期間経過後、該毛髪を十分にリンスし、あるいはシャンプー洗浄さえも行い、次いで乾燥する必要があることにある。
最後に、該繊維に有利な染色性能を与える、幾つかの染料の使用は、しばしばその水性処方用担体に対する低い溶解性のために、制限されてしまう。
観測されるように、効果的な着色を可能とするものの、既に述べたような欠点を示さない、ヒトのケラチン繊維を染色するための方法に関する、絶え間ない研究がなされている。
最近、本出願人は、その特許出願:FR 0502034号、FR 0502030号及びFR 0502031号において、染色用の粉末を用いた熱転写によって、毛髪を染色することが可能であることを見出した。
【0004】
幾つかの直接染料が、単に染料を乾式組成物から毛髪に、温度の作用下で転写することによって、液状ビヒクル担体を使用することなしに、毛髪を着色することが可能であることが明らかとなった。さらに、該染料を、先ず固体状態で使用すると言う事実のために、該ケラチン繊維をリンスしあるいはシャンプー洗浄し、及び/又は乾燥する必要がない。その上、該熱転写は、迅速(数分)であることから、放置時間が短い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乾式熱転写による、この新規な染色技術は、非-多孔質の固体物質(アルミニウム、プラスチック等)の上に堆積された、1又はそれ以上の染料の分散物を含有する、乾式ポリマーフィルムの状態にある、染料組成物を使用する。該フィルム-形成性ポリマーを、水性-アルコール系媒体中に溶解し、次いで該染料を分散させ、この配合物を該固体支持体上に薄い層として展開させ、かつ最終的に乾燥することにより、乾燥フィルムを製造するためのこの経路は長く、また溶解度、処方及び乾燥時間に関して、問題を生じる。さらに、このような形状で与えられる該組成物では、その使用は、容易なものではない。というのは、該固体支持体が、あまりに高い剛性を有し、また殆ど適合性に欠けるからである。従って、製造並びに使用が容易であり、また繊維との良好な接触を可能とする、物品を手に入れることが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願人は、熱転写によって、毛髪を染色する上で、実施がきわめて容易である、簡単な方法を開発した。
即ち、本発明の課題の一つは、ケラチン物質、好ましくはヒトのケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための、実質的に乾式の化粧料物品を提供することにあり、該化粧料物品は、
− 多孔質で可撓性の支持体と;
− 熱転写によって、該ケラチン物質を染色することのできる、1種又はそれ以上の、粉末状態にある、直接染料又は直接染料プリカーサとを含み、
該支持体及び該直接染料又は直接染料プリカーサは、該支持体上及び/又は該支持体内で、これと非-共有結合的に結合しており、
該多孔質で可撓性の支持体は、不織り繊維支持体又は発泡型の気泡構造の支持体から選択される。
【0007】
本発明は、またこの物品を使用して、これらの染料又は染料プリカーサの乾式熱転写によって、ケラチン物質を染色する方法にも関連する。
最後に、本発明の課題は、またこの物品を、ケラチン物質、例えばケラチン繊維、特に毛髪を染色するために、使用することにある。
本発明による化粧料物品は、乾燥物品、即ちその使用中に、全く液体との接触状態には置かれず、また該支持体に該着色剤を結合するための接着剤を一切含まない。
本発明の化粧料物品は、溶媒を使用せずに、該多孔質で可撓性の支持体を、直接染料又は直接染料プリカーサ粉末で直接的に含浸することによって製造する。この方法は、該染料に対する液状処方担体の使用を必要としないという利点を有し、この利点は、該染色操作を、全く汚染とは無縁のものとする。さらに、該染料をその固体状態で直接使用するという事実は、標準的な染色媒体中で、殆ど安定性を示さず、また殆ど不溶であるような、染料の使用を可能とする。これは、可能な色の範囲をさらに拡大し、また堅牢な色を与えるように寄与する。
【0008】
該用語「実質的に乾式」とは、該物品の質量に対して、5質量%未満の水を含むことを意味する。
該表現「非-永続的に結合された」とは、非-共有的に結合されたことを意味する。
該用語「ヒトケラチン物質」とは、より具体的にはケラチン繊維、例えば毛髪及び睫毛を表す。
最後に、特に述べない限り、ある値の範囲の限界を定めている、その境界は、その範囲の一部を構成することを思い起こすべきである。
【0009】
上記の多孔質で可撓性の支持体は、より一般的には拭取り布として知られている。
拭取り布、特に化粧学的な拭取り布は、一般には天然又は合成起源の、好ましくは不織布であるが、発泡体又は織物であってもよい、支持体で構成され、該支持体は、意図した目的にとって適した組成物で含浸されている。これらの拭取り布は、一般に使用されており、またその実際の局面のために認識されている。というのは、これらは、使捨て可能であり、また必要かつ十分な量のクレンジング又は処置製品で含浸されているからである。
本発明によれば、該多孔質で可撓性支持体は、例えば織り又は不織り繊維支持体又は発泡型の気泡構造の支持体である。ここで使用する用語「可撓性」とは、0.5mm〜20mmなる範囲、及び好ましくは1mm〜3mmなる範囲の厚みを持つ、処置すべき表面の輪郭に、容易に追従することのできる、薄い担体を意味するものとする。これらは、例えば一房の毛髪の周りに、容易に巻付けることのできるものであり得る。
【0010】
これらの支持体を構成する物質は、該物品が、該支持体の分解を起こすことなしに、毛髪に該染料を熱転写するのに必要とされる温度に耐え得るように選択される。結果として、好ましくは、非-ホットメルト型の天然繊維で構成され、該染料の熱転写の際に溶融する危険性のある、化学的な結合剤を含まない技術によって、一緒に結合された不織り支持体が選択される。列挙可能な技術は、カーディング又は空力的方法(エアーレイド)によって、予め生成されたウエブを、ハイドロ結合(hydrobonding)又はニードル結合することを包含する。非-ホットメルト型の天然繊維とは、本発明に従って該繊維が受ける加熱条件下で、特に熱転写時において、その有形的な保全性を維持する繊維として、理解すべきである。列挙可能な天然繊維の例は、絹繊維及びセルロース繊維を包含する。列挙可能なセルロース繊維の例は、木材パルプ繊維、綿繊維、ジュート繊維、及び亜麻繊維、並びにこれらの組合せを包含する。合成繊維、例えばセルロースエステル(酢酸セルロース)繊維、ビスコース、ポリ乳酸繊維、又はポリアミド繊維も、使用することができる。
【0011】
本発明の趣旨において、粉末状態にある上記直接染料又は直接染料プリカーサは、単独で、又は他の型の粉末との混合物として使用することができる。これら粉末の粒径は、一般的に0.1〜100μmなる範囲及びより好ましくは0.5〜60μmなる範囲内にある。
該直接染料又は直接染料プリカーサは、未変性の状態で、あるいは直接染料又は直接染料プリカーサを含有するマイクロカプセルとして使用することができる。
好ましくは、本発明の内容において使用する、該直接染料又は直接染料プリカーサは、200KJ/モル以下の気化熱を持つ化合物から選択される。
これらの染料は、ノニオン性、カチオン性又はアニオン性であり得る。
【0012】
例示可能な、適当な染料の例は、アクリジン、アクリドン、アントラントロン (anthranthrone)、アンスラピリミジン、アンスラキノン、アジン、アゾ、アゾメチン、メチン、ベンズアンスロン、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンズオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、ベンゾキノン、ビスアジン、ビス-イソインドリン、カルボキシアニリド、クマリン、シアニン(例えば、アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニン又はテトラアザカルボシアニン)、ジアジン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルアミン、ジフェニルメタン及びジチアジン染料、フラボノイド(例えば、フラバンスロン及びフラボン)、フルオリンジンのホルマザン染料、ヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン染料、ヒドロキシケトン、インダミン、インダンスロン、インジゴイド及びシュードインジゴイド、インドフェノール、インドアニリン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオランスロン、ラクトン、メチン、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフトラクタム、ナフトキノン、ニトロ(ヘテロ)芳香族化合物、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、フタロシアニン、ポリエン/カロチノイド、ポルフィリン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピラゾロン、ピリミジノアントロン、ピロニン、キナクリドン、キノリン、キノフタロン、スクアラン、スチルベン、テトラゾリウム、チアジン、チオインジゴ、チオピロニン、トリアリールメタン、及びキサンテン染料の単独又は組合せを包含する。
本発明の一特定の有利な態様によれば、該直接染料は、以下に列挙するものから選択される:
− 以下の一般式(I)に相当するアゾメチン染料:
【0013】
【化1】

ここで、
R1は、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;又は
同一でも異なっていてもよい、1又は2個の基で、モノ-置換又はジ-置換されたアミノ基、ここで該置換基は、以下に列挙するものから選択される:
場合により(C1-C4)アルキルSO2NH基又はNH2CO-基で置換されていてもよい、C1-C6アルキル基;
(C1-C6)アルキルO2SNH-(C1-C6)アルキルNH-基;
(C6)アリール(C1-C6)アルキル基;
C6アリール基;及び
(C1-C4)アルキルピペリジン基;
該アミノ基に結合する基は、該基が結合している窒素原子と共に、5-又は6-員の、場合により酸素及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を含む、ヘテロ環式基を形成することができ、
【0014】
R2は、同一でも異なっていてもよく、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
直鎖又は分岐鎖の、場合によりヒドロキシル又はC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい、C1-C6アルキル基;
場合によりヒドロキシル又はC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい、C5-C6シクロアルキル基;
C1-C6アルコキシ基;
ハロゲン原子、特に塩素原子;
シアノ基;
(C6)アリール(C1-C6)アルキル基、ここで該アリール基は、場合により少なくとも一つのC1-C6アルキル基、ヒドロキシル基又はC1-C6アルコキシ基で置換されており;
場合により少なくとも一つのC1-C6アルキル基、ヒドロキシル基又はC1-C6アルコキシ基で置換された、C6アリール基;
【0015】
(C1-C6)アルキルカルボニル基;
(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
(C1-C6)アルキルスルホニルアミノ基;
アミノカルボニルアミノ基;
(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
(C1-C6)アルキルスルホアミノ基;又は
同一でも異なっていてもよい、C1-C6アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基及びトリフルオロメチル基から選択される、1又は2個の基で置換された、アミノ基;
R3は、同一でも異なっていてもよく、以下に列挙する基を表し:
− 水素原子;
− ハロゲン原子、特に塩素原子;
− 場合によってヒドロキシル基又はC1-C6アルコキシ基で置換された、C1-C6アルキル基;
【0016】
− C1-C6アルコキシ基;
− (C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
− アミノ基;
− アミノ(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
− アミノカルボニルアミノ基;
− (C1-C6)アルコキシカルボニルアミノ基(C1-C4アミノエステルアルキル);
− アミノカルボニル基、ここで該アミノ基は、同一でも異なっていてもよく、C1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(C6)アリール(C1-C6)アルキル基、C6アリール基、(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基及び(C1-C6)アルキルスルホニルアミノ基、RaCONH-(ここで、RaはC1-C4ハロアルキル基、(C6)アリール(C1-C6)アルキル基、C6アリール基、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基、シアノ(C1-C6)アルキル基、メタンスルホンアミド基、(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキル基、置換又は無置換のC3-C6シクロアルケニル基、β-チエニル基、又は以下の基の一種:
【0017】
【化2】

(ここで、Rb及びRcは夫々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル鎖を表し、またZは、CH2、O、S又はNRdを表し(ここでRdは、水素原子又はC1-C6アルキル鎖を表す)である))から選択される基でモノ-又はジ-置換されていてもよく;
− 2つの隣接する炭素原子に結合する2つの基R3は、ベンゼンリングを形成することができ、このベンゼンリングは、場合によりハロゲン原子、C1-C6アルキル基、アミノ基又はC1-C6アルキル基又はC1-C6ヒドロキシアルキル基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基で置換されており;及び
Xは、酸素原子又はNH基を表し;
【0018】
− 以下の一般式(II)で表される特定のアンスラキノン染料:
【化3】

ここで、
Rは、夫々独立に、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;又は
同一でも異なっていてもよい、1又は2個の基によって、モノ-又はジ-置換されたアミノ基、ここで該置換基は、C1-C6アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基及び場合により1又はそれ以上のC1-C6アルキル基で置換された、C6アリール基から選択することができ;
R'は、夫々独立に、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
ハロゲン原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;
【0019】
同一でも異なっていてもよい、1又は2個の基によって、モノ-又はジ-置換されたアミノ基、ここで該置換基は、C1-C6アルキル基、C1-C6アルキルアミノ基、C5-C8シクロアルキル基及び(C1-C6)アルコキシ基(C1-C6)アルキル基から選択でき;
場合により1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子、C1-C6アルキル基、(C1-C6)アルコキシ基及び(C1-C6)アルコキシ基(C1-C6)アルキル基から選択し得る基で置換されたC6アリール基;
(C6)アリールオキシ基;
(C6)アリール-SO3基で置換された(C6)アリールオキシ基、ここで該アリール基は、場合により1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子及びヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C6アリール基、(C6)アリール(C1-C4)アルキル基、(C6)アリールオキシ基、ニトロ基、C2-C6アシル基、(C2-C6)アシルアミノ基、(C1-C6)アルキルメルカプト基、C6チオフェニル基、スルホニルオキシ基及び(C1-C6)アルキルベンゼンスルホニル基から選択し得る基で置換されており;
【0020】
基:-SO2(Ra)2で置換されている(C6)アリールオキシ基、ここでRaは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はC1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、(C6)アリール(C1-C6)アルキル基又はC5-C8シクロアルキル基を表し、該2つのRaは、これらが結合している窒素原子と共に、5-又は6-員のヘテロ環を形成することができ;
基:-SRb、ここでRbは、硫黄原子を含み及び場合により窒素、硫黄又は酸素原子を含む、5-又は6-員のヘテロ環を表し;
-COORc基、ここでRcは、C1-C4ヒドロキシアルキル基、(C1-C4)アルキルフェニル基、C5-C8シクロアルキル基、カルボニルオキシ(C6)アリール基又はカルボニル(C6)アリール基を表す;
-SO3-(C6)アリール基、ここで該アリール基は、場合により1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子及びヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C6アリール基、(C6)アリール(C1-C4)アルキル基、(C6)アリールオキシ基、ニトロ基、C2-C6アシル基、(C2-C6)アシルアミノ基、(C1-C6)アルキルメルカプト基、チオフェニル基、スルホニルオキシ基及び(C1-C6)アルキルベンゼンスルホニル基から選択し得る基で置換されており;及び
【0021】
・以下の一般式(III)に相当するアゾ染料:
【化4】

ここで、
同一でも異なっていてもよいR及び同一でも異なっていてもよいR'は、各々独立に、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
直鎖、分岐、又は環式の、飽和、不飽和又は芳香族のC1-C30の炭化水素を基本とする連鎖、該連鎖は、場合により1又はそれ以上のハロゲン原子で置換されていてもよく、また1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、以下に列挙する基から選択される基で置換されていてもよい:ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;カルボン酸残基;アリル基;ハロアリル基;C1-C10アルコキシ基;(C1-C4)アルキルカルボニルアミノ基;(C1-C4)アルキルアミノカルボニル基;ヒドロジェノ-カルボニルアミノ基;(C1-C4)アルキルスルホニルアミノ基;(C1-C4)アルコキシカルボニルアミノ基;(C1-C4)アルコキシカルボニル基;(C1-C4)アルキルカルボニル(C1-C4)アルコキシカルボニル基;CF3基;アミノ基;場合により、1又はそれ以上の、同一又は異なる、C1-C10アルキル基、C1-C10ヒドロキシアルキル基、C1-C10アルコキシアルキル基、C1-C10アミノアルキル基、(ジ)(C1-C10)アルキルアミノ(C1-C10)アルキル基、シアノ(C1-C10)アルキル基、C6-C30アリール基、(C6-C30)アリール(C1-C4)アルキル基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボニル(C1-C4)アルキル基、アリル基、ハロアリル基;
【0022】
あるいは場合によっては、1又はそれ以上のヘテロ原子を介して、あるいは酸素、硫黄及び窒素原子から選択される、1又はそれ以上のヘテロ原子を含む基を介して芳香族核に結合された、あるいは該基によって遮断されており;
以下に列挙するものから選択される基:ヒドロキシル基;C1-C4アルコキシ基;カルボン酸残基;アミノ基;1又はそれ以上の、同一又は異なっている、(C1-C4)アルキル基、C2-C4アルケニル基、シアノ(C1-C4)アルキル基、C1-C4ヒドロキシアルキル基、C6-C30アリール基、(C6-C30)アリール(C1-C4)アルキル基、アリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)カルボニル(C1-C4)アルキル基、ハロアリル基、アミノ(C1-C4)アルキル基、(ジ)(C1-C4)アルキルアミノ(C1-C4)アルキル基、(C1-C4)アルキルスルホニル基、(C1-C4)アルコキシカルボニル基から選択できる基で置換されたアミノ基;ハロゲン原子;アリル基;ヒドロジェノ-カルボニル基;トリフルオロメチル基;ニトロ基;シアノ基;
該基:R又はR'の少なくとも一方は、ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;場合により1又はそれ以上の基で置換されたアミノ基から選択される基を表すものと理解すべきであり;及び
場合により、2つの隣接炭素原子に結合する2つのR基、又は2つの隣接炭素原子に結合する2つのR'基は、これら基の各々が結合している、該炭素原子を担持する芳香族リングと共に、場合によりアミノスルホニル基又は(C1-C4)アルキルアミノスルホニル基で置換されている、ナフタレン型の縮合核を形成し得る。
【0023】
本発明の特定の一態様によれば、上記式(I)の基R1は、以下に列挙する基を表す:
水素原子;
アミノ基;
1又は2つの基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基、ここで該置換基は、同一又は異なっており、場合により(C1-C4)アルキルSO2NH基又はNH2CO-基で置換されたC1-C4アルキル基から選択することができ、
該アミノ基に結合した基は、これらが結合している窒素原子と共に、場合により酸素及び窒素原子から選択されるへテロ原子を含む、5-又は6-員のヘテロ環を形成することができる。
【0024】
さらに、同一でも異なっていてもよい、該式(I)の基R2は、より具体的には、以下に列挙する基を表す:
水素原子;
直鎖又は分岐鎖のC1-C4アルキル基;
C1-C4アルコキシ基;
ハロゲン原子、特に塩素原子。
該式(I)の基R3に関連して、これらの基は、同一でも異なっていてもよく、好ましくは以下に列挙する基を表す:
− 水素原子;
− 場合によりヒドロキシル基又はC1-C6アルコキシ基で置換された、C1-C6アルキル基;
− C1-C4アルコキシ基;
− アミノ基;
− (C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
− (C1-C4)アルコキシカルボニルアミノ基;
− 2つの隣接する炭素原子に結合する2つの基R3は、場合によりハロゲン原子、C1-C6アルキル基、アミノ基、又はC1-C6アルキル基又はC1-C6ヒドロキシアルキル基で、モノ-又はジ-置換されたアミノ基で置換された、ベンゼンリングを形成することができる。
【0025】
好ましくは、該アンスラキノン直接染料は、以下の式(IIa)に相当するものである:
【化5】

ここで、
R1は、水素原子又はヒドロキシル基又はアミノ基、あるいは同一でも異なっていてもよい、C1-C4アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基、及び場合により1又はそれ以上のC1-C4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基から選択し得る、1又は2個の基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基を表し;
R'1は、水素原子又はヒドロキシル基又はアミノ基を表し;
R2及びR'2は、各々独立に、
水素原子;
ハロゲン原子、好ましくは塩素又は臭素原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;
同一でも異なっていてもよい、C1-C6アルキル基、C1-C6アルキルアミノ基、C5-C8シクロアルキル基及び(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基から選択し得る、1又は2個の基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基;
場合により、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子及びC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及び(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基から選択し得る、1又はそれ以上の基で置換されていてもよい、C6アリール基;又は
(C6)アリールオキシ基を表し;
R3は、水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;同一でも異なっていてもよい、C1-C6アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基及び場合によって1又はそれ以上のC1-C6アルキル基で置換されたC6アリール基から選択できる、1又は2個の基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基を表し;
R'3は、水素原子;ヒドロキシル基;又はアミノ基を表す。
【0026】
本発明の有利な一態様によれば、該一般式(II)で示されるアンスラキノン直接染料は、以下に列挙する直接染料から選択される:ディスパースブルー(Disperse Blue) 1 [2475-45-8]、ディスパースブルー3 [2475-46-9]、ディスパースブルー14 [2475-44-7]、ディスパースブルー19 [4395-65-7]、ディスパースブルー26 [3860-63-7]、ディスパースブルー56 [31810-89-6]、ディスパースオレンジ(Disperse Orange) 11 [82-28-0]、ディスパースレッド(Disperse Red) 60 [17418-58-5]、ディスパースバイオレット(Disperse Violet) 1 [128-95-0]、ソルベントブルー(Solvent Blue) 35 [17354-14-2]、ソルベントブルー59 [6994-46-3]、ソルベントグリーン(Solvent Green) 3 [17418-58-5]、6-メチル-1,3,8-トリヒドロキシアンスラキノン(エモジン(Emodine)) [518-82-1]、パープリン[81-54-9]、キナリザリン[81-61-8]及びこれらの混合物。
【0027】
好ましくは、上記アゾ直接染料は、以下の一般式(IIIa)で表される直接染料に相当するものである:
【化6】

ここで、
R'1は、水素原子、アミノ基又はヒドロキシル基を表し;
R'2は、水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、アリル基又はアミノカルボニル(C1-C4)アルキル基を表し;
R'3は、水素原子、ヒドロキシル基又はNR'1R'2型の基(ここで、R'1及びR'2は、各々独立に、水素原子、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、シアノ(C1-C4)アルキル基、C1-C4ヒドロキシアルキル基、C6-C30アリール基、(C6-C30)アリール(C1-C4)アルキル基、アリル基、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボキシ(C1-C4)アルキル基又はハロアリル基、C1-C4アミノアルキル基又は(ジ)(C1-C4)アルキルアミノ(C1-C4)アルキル基を表す)を表し;
R'2及びR'3は、該ベンゼン核と共に、場合によって-SO2-NHR (ここで、Rは水素原子又は場合により置換された(C1-C4)アルキル鎖を表す)なる基で置換された、ナフタレン型の縮合核を形成することができ;
R'4は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基又は(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル基を表し;
【0028】
R'5は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、(C1-C4)アルキルカルボニルアミノ基、ハイドロジェノ-カルボニルアミノ基、(C1-C4)アルキルスルホニルアミノ基、(C1-C4)アルコキシカルボニルアミノ基又はCF3基を表し;
R'4及びR'5は、該ベンゼン核と共に、ナフタレン型の縮合核を形成でき;
R1は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表し;
R2は水素原子、ニトロ基又はC1-C4アルキル基を表し;
R3は、水素原子、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、C2-C4アルケニル基、(C1-C4)アルコキシカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)アルコキシカルボニル(C1-C4)アルコキシカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボニル(C1-C4)アルコキシカルボニル基、アリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基又はCF3基を表し;
R4は、水素原子又はニトロ基を表し;
R5は、水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基又はC1-C4アルキル基を表し;
該基R'1〜R'5及びR1〜R5の内の少なくとも一つは、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、場合により1又はそれ以上の基で置換された、アミノ基から選択される基を表すものと理解すべきである。
【0029】
有利な一態様によれば、上記式(IIIa)の基R'1、R'2、R1、R2及びR4は、水素原子を表す。
より詳しくは、上記式(IIIa)の基R'3は、水素原子又はNR"1R"2型の基(ここで、R"1及びR"2は、各々独立に、水素原子、C1-C4アルキル基、シアノ(C1-C4)アルキル基、C1-C4ヒドロキシアルキル基、又はC1-C4アミノアルキル基を表す)を表す。
上記式(IIIa)の基R'4は、より具体的には、水素原子を表す。
好ましくは、上記式(IIIa)の基R'5は、水素原子又はC1-C4アルキル基を表す。
他の態様によれば、上記式(IIIa)の基R'4及びR'5は、該ベンゼン核と共に、ナフタレン型の縮合核を形成する。
該式(IIIa)の基R3は、より詳しくは、アミノ基又はニトロ基を表す。
該式(IIIa)の基R5は、より詳しくは、水素原子;ハロゲン原子、好ましくは塩素又はフッ素原子;又はアミノ基を表す。
【0030】
本発明の有利な一態様によれば、該一般式(IIIa)で表されるアゾ直接染料は、ソルベントブラウン(Solvent Brown) 1 [6416-57-5]、ソルベントオレンジ(Solvent Orange) 1 [2051-85-6]、ソルベントオレンジ7 [3118-97-6]、ソルベントイエロー(Solvent Yellow) 2 [60-11-7]、ソルベントイエロー3 [97-56-3]、ソルベントイエロー7 [1689-82-3]、ソルベントイエロー14 [842-07-9]、ディスパースオレンジ(Disperse Orange) 1 [2581-69-3]、ディスパースオレンジ3 [730-40-5]、ディスパースオレンジ25 [31482-56-1]、ディスパースレッド(Disperse Red) 1 [2872-52-8]、ディスパースレッド13 [3180-81-2]、ディスパースレッド19 [2734-52-3]、ディスパースレッド50 [12223-35-7]+[40880-51-1]、ディスパースイエロー3、モルダントブラウン(Mordant Brown) 4 [6247-28-5]、モルダントブラウン6 [6247-28-5]、モルダントブラウン24 [6370-46-3]、モルダントブラウン48 [6232-53-7]、モルダントオレンジ(Mordant Orange) 1 [2243-76-7]、ピグメントレッド(Pigment Red) 3 [2425-85-6]、4-ジメチルアミノ-2-メチルアゾベンゼン [54-88-6]、2-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)安息香酸「76058-33-8」、N-エチル-N-(2-アミノエチル)-4-(4-ニトロフェニルアゾ)アニリン、N,N-ヒドロキシエチル-4-(4-ニトロフェニルアゾ)-2-メチルアニリン、N,N-ヒドロキシエチル-4-(4-アミノフェニルアゾ)-2-アニリン、及びこれらの混合物から選択されるものである。
【0031】
これら直接染料のプリカーサも使用することができる。列挙可能なプリカーサは、ロイコ型のものを包含する。
ケラチン繊維、例えば毛髪中に存在するアミン官能基と反応することのできる、直接染料又は直接染料のプリカーサも、使用することができる。
本発明によれば、本発明で使用される該直接染料又は直接染料プリカーサは、一般的に本発明の化粧料物品に対して、約0.5〜50質量%なる範囲、及びより好ましくは5〜50質量%なる範囲の割合を占める。
本発明の粉末組成物は、さらに粉末形状にあり、他の化粧学的薬剤、例えばポリマー(ホット-メルトポリマー)、香料、保存剤、pH調節剤、界面活性剤、遮断剤、酸化防止剤、脂肪物質、シリコーン、アミノ酸又はケラチン物質の染色において通常使用されている、あらゆる他のアジュバントから選択される、1又はそれ以上の化粧料添加剤を、含むことも可能である。
【0032】
通常、該粉末中の添加剤の含有率は、各々0.01〜20%なる範囲を占め、該添加剤の全含有率は、これらが存在する場合には、該粉末の80質量%を越えることはない。
使用する本発明の化粧料物品の製造方法によれば、殆ど着色されていない又は着色されていない直接染料又は直接染料プリカーサで含浸された化粧料物品を得るか、あるいは実質的に着色された物品を得ることが可能となる。
該用語「殆ど着色されていない又は着色されていない」とは、該染料又は該プリカーサによる含浸前後に見られる着色における差が、10以下である物品を意味し、ここで該着色における差は、好ましくは以下の色差によって評価される:

ここで、Li*、ai*、bi*及びL0*、a0*、及びb0*は、夫々含浸前後に見られる該繊維の、La*b*系における測色座標であり、その色度における差:

は、5未満である。
【0033】
該用語「実質的に着色された」とは、上に定義した値DEが、5を越え、及び/又はその色度における差が、5を越える物品を意味する。
実質的に着色された粒子に関連して、該好ましい染料は、上記一般式(I)、(II)及び(III)で表される直接染料及び上記染料プリカーサである。
本発明による、該物品の製造方法は、任意の公知の乾式含浸法であり得る。これは、特に該直接染料又は該直接染料プリカーサを、該多孔質で可撓性支持体上に散布した後に、交流電場の、低温プラズマ(0.1〜20kV/mm)を用いた、含浸工程であり得る。本発明に関連して、該染料又は染料プリカーサを固定化する工程を実施する必要はない。
この方法は、該支持体上及び/又はその内部における、該直接染料又は直接染料プリカーサの均一な分布を達成するように行われる。
該殆ど着色されていない又は着色されていない物品と関連して、該含浸は、70〜240℃なる範囲の温度での、熱固定操作を伴う。これら両者の場合において、該随意の熱的に固定され、含浸された支持体は、一般的にポリマー特性を持つ保護フィルムで被覆することができる。
【0034】
本発明は、また該物品を用いた染髪方法にも関連する。この方法は、以下の過程を含む:
該粉末-含浸化粧料物品又は不織り拭取り布のストリップを、所定のサイズに裁断することができ、この過程は、入手することのできる該ストリップの形状並びにサイズに依存する。
該拭取り布を、次に該ケラチン繊維、例えば一房の毛髪の何れかの側に配置する。この拭取り布は、例えば該一房の毛髪を包囲し、あるいはこれを挟むことができる。
次いで、この拭取り布に熱源を適用して、該染料を、該ケラチン物質の表面上に、及び/又は該物質の内部に熱転写させる。
さらに、本発明の目的にとって、該用語「熱転写」とは、処理すべきケラチン物質と接触又はこれと近接して配置された、該乾式組成物に熱を適用することを意味する。この熱は、ある温度、より具体的には100〜500℃なる範囲の、有利には130〜250℃なる範囲、及びより一層有利には140〜220℃なる範囲の温度の熱源によって得られる。
【0035】
該熱源は、従来公知の方法、例えばヘアドライヤー、スタイリング用フード、平滑化アイロン、クリンピングアイロン、パルス化又は非-パルス化レーザー装置(UV、可視又は高-エネルギー赤外光輻射)、加熱チップを備えた装置等によって与えることができる。
好ましくは、この熱源は、該拭取り布と、処理すべき該ケラチン物質とを含むアセンブリーとの接触状態に置かれる。
該熱源は、該拭取り布に、例えば平滑化アイロンで、一般的には1秒〜5分間なる範囲、及び好ましくは30秒〜3分間なる範囲の期間に渡り適用される。この温度が高いほど、該処置の時間は短縮される。
如何なる理論にも拘泥するつもりはないが、該ケラチン物質の染色に関する可能なメカニズムの一つは、本発明による該乾式組成物中に存在する、該直接染料の気化又は昇華段階を介して進行する。
【0036】
本発明の具体的ではあるが、非-限定的な例を以下に提示する。

組成物
本発明の拭取り布を、以下のような2枚の100%ビスコース製の、不織り支持体(非-ホットメルト繊維)から製造した:
・低坪量を持つ、微細な比較的薄い不織布:V68L アカディム(Aquadim):タロー(Tharreau);及び
・高坪量を持つ、より厚い不織布:VI 41 17C:タロー(Tharreau)
また、該拭取り布を、低温プラズマ技術によって、染料:ディスパースブルー3又はディスパースレッド60で、(該不織布の質量に対して)夫々該厚い不織布に関しては10%、及び該薄い不織布に対しては15%なる、該染料粉末による含浸度まで、含浸させた。
【0037】
【化7】

【0038】
染色工程
染料で含浸した不織布のストリップを、5×9cmなるサイズに裁断し、次いで90%の白髪を含む天然の毛髪の房の、何れかの側に、予め広げておいた該ストリップを配置した。
次いで、平滑化アイロンを、180℃にて5分間、該毛髪の房に適用した。
結果
該不織布のサンプルは、該毛髪への色の転写を可能とした:即ち、ディスパースレッド60に関しては、フクシアレッド(赤紫色)及びディスパースブルー3に関しては、シアンブルーであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質を染色するための、実質的に乾燥状態にある化粧料物品であって、
・多孔質で可撓性の支持体と;
・熱転写によって、該ケラチン物質を染色することのできる、1種又はそれ以上の、粉末状態にある、直接染料又は直接染料プリカーサを含み、
該支持体及び該直接染料又は直接染料プリカーサが、該支持体上及び/又は該支持体内で、これと非-共有結合的に結合しており、
該多孔質で可撓性の支持体が、不織り繊維支持体及び発泡型の気泡構造の支持体であることを特徴とする、上記化粧料物品。
【請求項2】
乾式含浸法によって得られるものである、請求項1記載の化粧料物品。
【請求項3】
該多孔質で可撓性の支持体が、絹繊維、セルロース繊維、木材パルプ繊維、綿繊維、ジュート繊維及び亜麻繊維、並びにこれら繊維の組合せ、セルロースエステル繊維、ビスコース、ポリ乳酸繊維、及びポリアミド繊維から選択される、請求項1又は2記載の化粧料物品。
【請求項4】
該直接染料が、アクリジン、アクリドン、アントラントロン (anthranthrone)、アンスラピリミジン、アンスラキノン、アジン、アゾ、アゾメチン、メチン、ベンズアンスロン、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンズオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、ベンゾキノン、ビスアジン、ビス-イソインドリン、カルボキシアニリド、クマリン、シアニン、ジアジン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルアミン、ジフェニルメタン及びジチアジン染料、フラボノイド、フルオリンジン、ホルマザン、ヒドラゾン、ヒドロキシケトン、インダミン、インダンスロン、インジゴイド及びシュードインジゴイド、インドフェノール、インドアニリン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオランスロン、ラクトン、メチン、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフトラクタム、ナフトキノン、ニトロ(ヘテロ)芳香族化合物、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、フタロシアニン、ポリエン/カロチノイド、ポルフィリン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピラゾロン、ピリミジノアントロン、ピロニン、キナクリドン、キノリン、キノフタロン、スクアラン、スチルベン、テトラゾリウム、チアジン、チオインジゴ、チオピロニン、トリアリールメタン、及びキサンテン染料単独又は組合せから選択される、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧料物品。
【請求項5】
該直接染料が、以下に列挙するものから選択される、請求項4記載の化粧料物品:
− 以下の一般式(I)に相当するアゾメチン染料:
【化1】

ここで、
R1は、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;又は
同一でも異なっていてもよい、1又は2個の基で、モノ-置換又はジ-置換されたアミノ基、ここで該置換基は、以下に列挙するものから選択される:
場合により(C1-C4)アルキルSO2NH基又はNH2CO-基で置換されていてもよい、C1-C6アルキル基;
(C1-C6)アルキルO2SNH-(C1-C6)アルキルNH-基;
(C6)アリール(C1-C6)アルキル基;
C6アリール基;及び
(C1-C4)アルキルピペリジン基;
該アミノ基に結合する基は、該基が結合している窒素原子と共に、5-又は6-員の、場合により酸素及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を含む、ヘテロ環式基を形成することができ、
R2は、同一でも異なっていてもよく、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
直鎖又は分岐鎖の、場合によりヒドロキシル又はC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい、C1-C6アルキル基;
場合によりヒドロキシル又はC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい、C5-C6シクロアルキル基;
C1-C6アルコキシ基;
ハロゲン原子;
シアノ基;
(C6)アリール(C1-C6)アルキル基、ここで該アリール基は、場合により少なくとも一つのC1-C6アルキル基、ヒドロキシル基又はC1-C6アルコキシ基で置換されており;
場合により少なくとも一つのC1-C6アルキル基、ヒドロキシル基又はC1-C6アルコキシ基で置換された、C6アリール基;
(C1-C6)アルキルカルボニル基;
(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
(C1-C6)アルキルスルホニルアミノ基;
アミノカルボニルアミノ基;
(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
(C1-C6)アルキルスルホアミノ基;又は
同一でも異なっていてもよい、C1-C6アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基及びトリフルオロメチル基から選択される、1又は2個の基で置換された、アミノ基;
R3は、同一でも異なっていてもよく、以下に列挙する基を表し:
− 水素原子;
− ハロゲン原子;
− 場合によってヒドロキシル基又はC1-C6アルコキシ基で置換された、C1-C6アルキル基;
− C1-C6アルコキシ基;
− (C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
− アミノ基;
− アミノ(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基;
− アミノカルボニルアミノ基;
− (C1-C6)アルコキシカルボニルアミノ基(C1-C4アミノエステルアルキル);
− アミノカルボニル基、ここで該アミノ基は、同一でも異なっていてもよく、C1-C6アルキル基、C1-C6ハロアルキル基、(C6)アリール(C1-C6)アルキル基、C6アリール基、(C1-C6)アルキルカルボニルアミノ基及び(C1-C6)アルキルスルホニルアミノ基、RaCONH-(ここで、RaはC1-C4ハロアルキル基、(C6)アリール(C1-C6)アルキル基、C6アリール基、(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基、シアノ(C1-C6)アルキル基、メタンスルホンアミド基、(C1-C6)アルキルアミノ(C1-C6)アルキル基、置換又は無置換のC3-C6シクロアルケニル基、β-チエニル基、又は以下の基の一種:
【化2】

(ここで、Rb及びRcは夫々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はC1-C6アルキル鎖を表し、またZは、CH2、O、S又はNRdを表し(ここでRdは、水素原子又はC1-C6アルキル鎖を表す)である))から選択される基でモノ-又はジ-置換されていてもよく;
2つの隣接する炭素原子に結合する2つの基R3は、ベンゼンリングを形成することができ、このベンゼンリングは、場合によりハロゲン原子、C1-C6アルキル基、アミノ基又はC1-C6アルキル基又はC1-C6ヒドロキシアルキル基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基で置換されており;及び
Xは、酸素原子又はNH基を表し;
− 以下の一般式(II)で表される特定のアンスラキノン染料:
【化3】

ここで、
Rは、夫々独立に、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;又は
同一でも異なっていてもよい、1又は2個の基によって、モノ-又はジ-置換されたアミノ基、ここで該置換基は、C1-C6アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基及び場合により1又はそれ以上のC1-C6アルキル基で置換された、C6アリール基から選択することができ;
R'は、夫々独立に、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
ハロゲン原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;
同一でも異なっていてもよい、1又は2個の基によって、モノ-又はジ-置換されたアミノ基、ここで該置換基は、C1-C6アルキル基、C1-C6アルキルアミノ基、C5-C8シクロアルキル基及び(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基から選択でき;
場合により1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子、C1-C6アルキル基、(C1-C6)アルコキシ基及び(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基から選択し得る基で置換されたC6アリール基;
(C6)アリールオキシ基;
(C6)アリール-SO3基で置換された(C6)アリールオキシ基、ここで該アリール基は、場合により1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子及びヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、(C6)アリール基、(C6)アリール(C1-C4)アルキル基、(C6)アリールオキシ基、ニトロ基、C2-C6アシル基、(C2-C6)アシルアミノ基、(C1-C6)アルキルメルカプト基、C6チオフェニル基、スルホニルオキシ基及び(C1-C6)アルキルベンゼンスルホニル基から選択し得る基で置換されており;
基:-SO2(Ra)2で置換されている(C6)アリールオキシ基、ここでRaは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は(C1-C6)アルキル基、(C2-C6)アルケニル基、(C6)アリール(C1-C6)アルキル基又はC5-C8シクロアルキル基を表し、該2つのRaは、これらが結合している窒素原子と共に、5-又は6-員のヘテロ環を形成することができ;
基:-SRb、ここでRbは、硫黄原子を含み及び場合により窒素、硫黄又は酸素原子を含む、5-又は6-員のヘテロ環を表し;
-COORc基、ここでRcは、C1-C4ヒドロキシアルキル基、(C1-C4)アルキルフェニル基、C5-C8シクロアルキル基、カルボニルオキシ(C6)アリール基又はカルボニル(C6)アリール基を表す;
-SO3-(C6)アリール基、ここで該アリール基は、場合により1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子及びヒドロキシル基、トリフルオロメチル基、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、(C6)アリール基、(C6)アリール(C1-C4)アルキル基、(C6)アリールオキシ基、ニトロ基、C2-C6アシル基、(C2-C6)アシルアミノ基、(C1-C6)アルキルメルカプト基、チオフェニル基、スルホニルオキシ基及び(C1-C6)アルキルベンゼンスルホニル基から選択し得る基で置換されており;及び
− 以下の一般式(III)に相当するアゾ染料:
【化4】

ここで、
同一でも異なっていてもよいR及び同一でも異なっていてもよいR'は、各々独立に、以下に列挙する基を表し:
水素原子;
直鎖、分岐、又は環式の、飽和、不飽和又は芳香族のC1-C30の炭化水素を基本とする連鎖、該連鎖は、場合により1又はそれ以上のハロゲン原子で置換されていてもよく、また1又はそれ以上の、同一でも異なっていてもよい、以下に列挙する基から選択される基で置換されていてもよい:ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;カルボン酸基;アリル基;ハロアリル基;C1-C10アルコキシ基;(C1-C4)アルキルカルボニルアミノ基;(C1-C4)アルキルアミノカルボニル基;ヒドロジェノ-カルボニルアミノ基;(C1-C4)アルキルスルホニルアミノ基;(C1-C4)アルコキシカルボニルアミノ基;(C1-C4)アルコキシカルボニル基;(C1-C4)アルキルカルボニル(C1-C4)アルコキシカルボニル基;CF3基;アミノ基;場合により、1又はそれ以上の、同一又は異なる、C1-C10アルキル基、C1-C10ヒドロキシアルキル基、C1-C10アルコキシアルキル基、C1-C10アミノアルキル基、(ジ)(C1-C10)アルキルアミノ(C1-C10)アルキル基、シアノ(C1-C10)アルキル基、C6-C30アリール基、(C6-C30)アリール(C1-C4)アルキル基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボキシ(C1-C4)アルキル基、アリル基、ハロアリル基;
あるいは場合によっては、1又はそれ以上のヘテロ原子を介して、あるいは酸素、硫黄及び窒素原子から選択される、1又はそれ以上のヘテロ原子を含む基を介して芳香族核に結合された、あるいは該基によって遮断されており;
以下に列挙するものから選択される基:ヒドロキシル基;C1-C4アルコキシ基;カルボン酸基;アミノ基;1又はそれ以上の、同一又は異なっている、(C1-C4)アルキル基、C2-C4アルケニル基、シアノ(C1-C4)アルキル基、(C1-C4)ヒドロキシアルキル基、C6-C30アリール基、(C6-C30)アリール(C1-C4)アルキル基、アリル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボキシ(C1-C4)アルキル基、ハロアリル基、アミノ(C1-C4)アルキル基、(ジ)(C1-C4)アルキルアミノ(C1-C4)アルキル基、(C1-C4)アルキルスルホニル基、(C1-C4)アルコキシカルボニル基から選択できる基で置換されたアミノ基;ハロ源原子;アリル基;ヒドロジェノ-カルボニル基;トリフルオロメチル基;ニトロ基;シアノ基;
該基:R又はR'の少なくとも一方は、ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;場合により1又はそれ以上の基で置換されたアミノ基から選択される基を表すものと理解すべきであり;及び
場合により、2つの隣接炭素原子に結合する2つのR基、又は2つの隣接炭素原子に結合する2つのR'基は、これら基の各々が結合している、該炭素原子を担持する芳香族リングと共に、場合によりアミノスルホニル基又は(C1-C4)アルキルアミノスルホニル基で置換されている、ナフタレン型の縮合核を形成し得る。
【請求項6】
該アンスラキノン直接染料が、以下の一般式(IIa)に相当するものである、請求項5記載の化粧料物品:
【化5】

ここで、
R1は、水素原子又はヒドロキシル基又はアミノ基、あるいは同一でも異なっていてもよい、C1-C4アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基、及び場合により1又はそれ以上のC1-C4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基から選択し得る、1又は2個の基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基を表し;
R'1は、水素原子又はヒドロキシル基又はアミノ基を表し;
R2及びR'2は、各々独立に、
水素原子;
ハロゲン原子、好ましくは塩素又は臭素原子;
ヒドロキシル基;
アミノ基;
同一でも異なっていてもよい、C1-C6アルキル基、C1-C6アルキルアミノ基、C5-C8シクロアルキル基及び(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基から選択し得る、1又は2個の基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基;
場合により、同一でも異なっていてもよい、ハロゲン原子及びC1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基及び(C1-C6)アルコキシ(C1-C6)アルキル基から選択し得る、1又はそれ以上の基で置換されていてもよい、C6アリール基;又は
(C6)アリールオキシ基を表し;
R3は、水素原子;ヒドロキシル基;アミノ基;同一でも異なっていてもよい、C1-C6アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基及び場合によって1又はそれ以上のC1-C6アルキル基で置換されたC6アリール基から選択できる、1又は2個の基でモノ-又はジ-置換されたアミノ基を表し;
R'3は、水素原子;ヒドロキシル基;又はアミノ基を表す。
【請求項7】
該一般式(IIa)で表されるアンスラキノン直接染料が、以下に列挙する直接染料から選択される、請求項6記載の化粧料物品:ディスパースブルー(Disperse Blue) 1 [2475-45-8]、ディスパースブルー3 [2475-46-9]、ディスパースブルー14 [2475-44-7]、ディスパースブルー19 [4395-65-7]、ディスパースブルー26 [3860-63-7]、ディスパースブルー56 [31810-89-6]、ディスパースオレンジ(Disperse Orange) 11 [82-28-0]、ディスパースレッド(Disperse Red) 60 [17418-58-5]、ディスパースバイオレット(Disperse Violet) 1 [128-95-0]、ソルベントブルー(Solvent Blue) 35 [17354-14-2]、ソルベントブルー59 [6994-46-3]、ソルベントグリーン(Solvent Green) 3 [17418-58-5]、6-メチル-1,3,8-トリヒドロキシアンスラキノン(エモジン(Emodine)) [518-82-1]、パープリン[81-54-9]、キナリザリン[81-61-8]、及びこれらの混合物。
【請求項8】
上記アゾ直接染料が、以下の一般式(IIIa)で表される直接染料に相当するものである、請求項5記載の化粧料物品:
【化6】

ここで、
R'1は、水素原子、アミノ基又はヒドロキシル基を表し;
R'2は、水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、アリル基又はアミノカルボニル(C1-C4)アルキル基を表し;
R'3は、水素原子、ヒドロキシル基又はNR'1R'2型の基(ここで、R'1及びR'2は、各々独立に、水素原子、C1-C4アルキル基、C2-C4アルケニル基、シアノ(C1-C4)アルキル基、C1-C4ヒドロキシアルキル基、C6-C30アリール基、(C6-C30)アリールC1-C4アルキル基、アリル基、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボキシ(C1-C4)アルキル基又はハロアリル基、C1-C4アミノアルキル基又は(ジ)(C1-C4)アルキルアミノ(C1-C4)アルキル基を表し;
R'2及びR'3は、該ベンゼン核と共に、場合によって-SO2-NHR (ここで、Rは水素原子又は場合により置換された(C1-C4)アルキル鎖を表す)なる基で置換された、ナフタレン型の縮合核を形成することができ;
R'4は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基又は(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル基を表し;
R'5は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、(C1-C4)アルキルカルボニルアミノ基、ハイドロジェノ-カルボニルアミノ基、(C1-C4)アルキルスルホニルアミノ基、(C1-C4)アルコキシカルボニルアミノ基又はCF3基を表し;
R'4及びR'5は、該ベンゼン核と共に、ナフタレン型の縮合核を形成でき;
R1は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基又はシアノ基を表し;
R2は水素原子、ニトロ基又はC1-C4アルキル基を表し;
R3は、水素原子、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、(C4-C30)シクロ(C1-C12)アルキル基、C2-C4アルケニル基、(C1-C4)アルコキシカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボニル基、(C1-C4)アルコキシカルボニル(C1-C4)アルコキシカルボニル基、(C1-C4)アルキルカルボニル(C1-C4)アルコキシカルボニル基、アリール基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基又はCF3基を表し;
R4は、水素原子又はニトロ基を表し;
R5は、水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、ヒドロキシル基、アミノ基、シアノ基又はC1-C4アルキル基を表し;
該基R'1〜R'5及びR1〜R5の内の少なくとも一つは、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、場合により1又はそれ以上の基で置換された、アミノ基から選択される基を表すものと理解すべきである。
【請求項9】
該一般式(IIIa)で表されるアゾ直接染料が、ソルベントブラウン(Solvent Brown) 1 [6416-57-5]、ソルベントオレンジ(Solvent Orange) 1 [2051-85-6]、ソルベントオレンジ7 [3118-97-6]、ソルベントイエロー(Solvent Yellow) 2 [60-11-7]、ソルベントイエロー3 [97-56-3]、ソルベントイエロー7 [1689-82-3]、ソルベントイエロー14 [842-07-9]、ディスパースオレンジ(Disperse Orange) 1 [2581-69-3]、ディスパースオレンジ3 [730-40-5]、ディスパースオレンジ25 [31482-56-1]、ディスパースレッド(Disperse Red) 1 [2872-52-8]、ディスパースレッド13 [3180-81-2]、ディスパースレッド19 [2734-52-3]、ディスパースレッド50 [12223-35-7]+[40880-51-1]、ディスパースイエロー3、モルダントブラウン(Mordant Brown) 4 [6247-28-5]、モルダントブラウン6 [6247-28-5]、モルダントブラウン24 [6370-46-3]、モルダントブラウン48 [6232-53-7]、モルダントオレンジ(Mordant Orange) 1 [2243-76-7]、ピグメントレッド(Pigment Red) 3 [2425-85-6]、4-ジメチルアミノ-2-メチルアゾベンゼン [54-88-6]、2-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)安息香酸「76058-33-8」、N-エチル-N-(2-アミノエチル)-4-(4-ニトロフェニルアゾ)アニリン、N,N-ヒドロキシエチル-4-(4-ニトロフェニルアゾ)-2-メチルアニリン、N,N-ヒドロキシエチル-4-(4-アミノフェニルアゾ)-2-アニリン、及びこれらの混合物から選択されるものである、請求項8記載の化粧料物品。
【請求項10】
ケラチン物質の染色方法であって、請求項1〜9の何れか1項に記載の化粧料物品を、該ケラチン物質上に又はその近傍に配置させ、また熱源を適用し、該染料を、該ケラチン物質上に又はその内部に、熱転写させることを特徴とする、上記方法。

【公開番号】特開2008−150381(P2008−150381A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−341788(P2007−341788)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】