説明

毛髪処理剤

【課題】毛髪のおさまり、並びに、柔らかさ及び厚みの感触を良好にできるリンス、トリート、コンディショナー等の毛髪処理剤の提供。
【解決手段】毛髪処理剤に、炭素数2以上4以下の多価アルコール、N−アシルアミノ酸エステル、4級アンモニウム塩、高級アルコール、及びアミノ変性シリコーンを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー後の濡れた毛髪に塗布し、洗い流されるリンス、トリートメント、コンディショナー等として用いられる毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リンス、トリートメント、コンディショナー等のシャンプー後の毛髪に適用される毛髪処理剤には、毛髪へのコンディショニング効果を期待して、4級アンモニウム塩、アミノ変性シリコーン等が配合される。また、N−アシルアミノ酸エステルその他の化合物が配合された毛髪処理剤として、特許文献1には、塩化セチルトリメチルアンモニウム及びステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシルを配合したトリートメントが開示され、特許文献2には、ベヘニルアルコール、セタノール、ステアリルトリモニウムクロリド、及びN−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)を配合したリンス、並びに、ステアリルアルコール、セタノール、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、及び1,3−ブチレングリコール、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)を配合したコンディショナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−61911号公報
【特許文献2】特開2009−67733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、毛髪処理剤を使用する需要者からは、毛髪全体としてのおさまり、髪を触ったときの柔らかさ、及び毛髪の補修感を抱かせる髪の厚みが、毛髪処理剤の効果として求められることがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、毛髪のおさまり、並びに、柔らかさ及び厚みの感触が良好となるリンス、トリートメント、コンディショナー等の毛髪処理剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が4級アンモニウム塩、高級アルコール、及びアミノ変性シリコーンが配合された毛髪処理剤について検討を行った結果、N−アシルアミノ酸エステルと共に特定の多価アルコールをも配合すれば、毛髪のおさまり、並びに、柔らかさ及び厚みが良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明に係る毛髪処理剤は、シャンプー後の毛髪に塗布し、洗い流されるものであって、炭素数2以上4以下の多価アルコール、N−アシルアミノ酸エステル、4級アンモニウム塩、高級アルコール、及びアミノ変性シリコーンが配合されたことを特徴とする。
【0008】
上記炭素数2以上4以下の多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びグリセリンから選ばれた一種又は二種以上を本発明に係る毛髪処理剤に配合すると良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る毛髪処理剤によれば、4級アンモニウム塩、高級アルコール、及びアミノ変性シリコーンと共に炭素数2以上4以下の多価アルコールとN−アシルアミノ酸エステルも配合されているので、外観視したときの毛髪のおさまり、毛髪を触ったときに感じる柔らかさと厚みが良好となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の毛髪処理剤に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態の毛髪処理剤は、水と共に、特定の多価アルコール、N−アシルアミノ酸エステル、4級アンモニウム塩、高級アルコール、及びアミノ変性シリコーンが配合されたO/Wエマルションである(毛髪処理剤における水の配合濃度は、例えば60質量%以上95質量%以下。)。また、この毛髪処理剤には、任意原料として公知の毛髪処理剤原料が適宜配合される。
【0011】
(多価アルコール)
本実施形態の毛髪処理剤には、炭素数2以上4以下の多価アルコールから選ばれた一種又は二種以上が配合される。
【0012】
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール;が挙挙げられる。これらの多価アルコールの中でも毛髪のおさまりがより良好となるものは、プロピレングリコールである。
【0013】
本実施形態の毛髪処理剤における上記多価アルコールの配合濃度は、余りに低濃度であると髪のおさまりと厚み感を良好にできない虞があるので、例えば0.1質量%以上であり、通常1質量%以上である。また、その配合濃度の上限は、特に限定されないが、例えば5質量%であり、3質量%であっても良い。
【0014】
(N−アシルアミノ酸エステル)
本実施形態の毛髪処理剤には、N−アシルアミノ酸とアルコールとのモノエステル及びジエステルから選ばれた一種又は二種以上がN−アシルアミノ酸エステルとして配合される。
【0015】
本実施形態のN−アシルアミノ酸エステルにおけるアシル基は、一般式RCO−で表される(Rは、炭素数が8〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素を表す。)。RCO−基を誘導するための脂肪酸としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0016】
上記N−アシルアミノ酸エステルを構成するためのN−アシルアミノ酸としては、例えば、N−アシル−2−メチルアラニン、N−アシルグルタミン酸が挙げられる。
【0017】
また、上記N−アシルアミノ酸エステルを構成させるためのアルコールとしては、例えば、コレステロール、フィトステロール等のステロール;ベヘニルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール等の炭素数8〜24の直鎖状又は分岐状の高級アルコール;が挙げられる。
【0018】
上記N−アシルアミノ酸モノエステルとしては、例えば、ミリストイルメチル−β−アラニン(フィトステリル/デシルテトラデシル)が挙げられる。また、上記N−アシルアミノ酸ジエステルとしては、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)が挙げられる。
【0019】
本実施形態の毛髪処理剤におけるN−アシルアミノ酸エステルの配合濃度は、例えば0.01質量%以上3.0質量%以下であり、通常0.04質量%以上1.5質量%以下である。
【0020】
(4級アンモニウム塩)
本実施形態の毛髪処理剤には、モノ長鎖アルキルアンモニウム塩及びジ長鎖アルキルアンモニウム塩から選ばれた一種又は二種以上が4級アンモニウム塩として配合される。ここでの「長鎖アルキル」とは、炭素数が8以上の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、この炭素数は16以上22以下であると良い。
【0021】
上記モノ長鎖アルキルアンモニウム塩としては、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムブロミドが挙げられる。また、ジ長鎖アルキルアンモニウム塩としては、例えば、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0022】
本実施形態の毛髪処理剤における4級アンモニウム塩の配合濃度は、公知の毛髪処理剤と同様であると良く、例えば1質量%以上7質量%以下であり、通常2質量%以上5質量%以下である。
【0023】
(高級アルコール)
本実施形態の毛髪処理剤には、炭素数6以上のアルコールから選ばれた一種又は二種以上が高級アルコールとして配合される。配合するアルコールとして好適なものは、炭素数16以上22以下のアルコールから選ばれた一種又は二種以上である。
【0024】
上記高級アルコールは、直鎖アルコール、分枝アルコール、不飽和アルコール、飽和アルコール等、特に限定されるものではないが、飽和アルコールが良い。この飽和高級アルコールは、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールである。
【0025】
本実施形態の毛髪処理剤における高級アルコールの配合濃度は、公知の毛髪処理剤と同様であると良く、例えば1質量%以上15質量%以下であり、3質量%以上10質量%以下が通常である。
【0026】
炭素数18以上の高級アルコールとセタノールを配合する場合、髪のおさまりと厚みを向上させるには、炭素数18以上の高級アルコール配合量よりもセタノールの配合量が多いのが好ましい。
【0027】
(アミノ変性シリコーン)
本実施形態の毛髪処理剤には、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等の公知のアミノ変性シリコーンから選ばれた一種又は二種以上が配合される。
【0028】
本実施形態の毛髪処理剤におけるアミノ変性シリコーンの配合濃度は、公知の毛髪処理剤と同様、例えば1質量%以上5質量%以下であり、通常1質量%以上3質量%以下である。
【0029】
(任意原料)
本実施形態の毛髪処理剤に配合される任意原料は、公知の毛髪処理剤原料から選択される。この毛髪処理剤原料は、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、低級アルコール、糖類、エステル油、油脂、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
【0030】
(pH、粘度)
本実施形態に係る毛髪処理剤のpHは、酸性であると良く、例えば4.0以上6.0以下である。また、粘度は、適宜設定されるべきものであり、例えば、B型粘度計を使用して25℃、ローターNo.4、12rpmで計測した60秒後の値が10000mPa・s以上45000mPa・s以下である。
【0031】
(使用方法)
本実施形態の毛髪処理剤は、アニオン界面活性剤等が配合されたシャンプーで洗浄した後の濡れた毛髪に対して適用されるものである。そして、その毛髪に本実施形態の毛髪処理剤を塗布し、当該毛髪処理剤を水洗することにより用いられる。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
(毛髪処理剤)
下記表1又は2に示す原料を水に配合し、実施例1〜2及び比較例1〜6の毛髪処理剤(クリーム状エマルション)を調製した。
【0034】
(評価方法)
カラーリング処理履歴のある頭髪を、シャンプーで洗髪した後、上記調製した約3gの毛髪処理剤を塗布し、揉み込んだ。このとき、頭髪の左半分に塗布した毛髪処理剤と右半分に塗布した毛髪処理剤は、異なるものとした(表1の実施例1〜2と比較例1〜2との間での対比では比較例1を基準とし、表2の比較例1及び3〜6での対比では比較例5を基準とした。)。その後、頭髪を水洗し、ドライヤーで乾燥した。乾燥後、頭髪を外観視したときのおさまり、触ったときに感じる髪の柔らかさ、及び、触ったときに感じる髪の厚みについて、専門の評価者10名程度が評価した。
【0035】
(評価基準)
上記評価は、評価者の多数決により決した。評価基準は以下の通りである。
おさまり:
A 毛先までのおさまりが良い。
B 毛先までのおさまりがやや良い。
C 毛先までのおさまりが良くない。
やわらかさ:
A 柔らかさを感じる。
C 硬さを感じる。
厚み:
A 厚みを感じる。
C 厚みを余り感じられない。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンプー後の毛髪に塗布し、洗い流される毛髪処理剤であって、炭素数2以上4以下の多価アルコール、N−アシルアミノ酸エステル、4級アンモニウム塩、高級アルコール、及びアミノ変性シリコーンが配合されたことを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
前記多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びグリセリンから選ばれた一種又は二種以上である請求項1に記載の毛髪処理剤。







【公開番号】特開2012−82168(P2012−82168A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230198(P2010−230198)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(592255176)株式会社ミルボン (138)
【Fターム(参考)】