説明

毛髪化粧料組成物

【課題】毛髪の加齢に伴って減少する毛髪脂質を的確に補給し、加齢した毛髪に見られるパサ付きや指通りの悪化、染毛性や色持ちの悪さを改善できる毛髪化粧料組成物を提供する。
【解決手段】油性成分として(A)成分:アボカド油とマカデミアナッツ油の一方又は双方、及び(B)成分:オリーブ油を含有し、界面活性剤として(C)成分:カチオン性界面活性剤を含有し、(A)成分と(B)成分の合計含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/(A+B)が0.1〜5の範囲内である毛髪化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、毛髪の加齢に伴って減少する特定の毛髪脂質を特定の植物油の配合によって的確に補給し、加齢した毛髪に見られるパサ付きや指通りの悪化を改善すると共に、毛髪化粧料が染毛剤である場合における染毛性と色持ちをも向上させる毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、加齢に伴って毛髪が細くなりハリ・コシの低下等の毛髪の脆弱化が起こることが知られており、このような毛髪にハリ・コシを付与する毛髪化粧料が提案されている。
【0003】
例えば下記の特許文献1では、加齢に伴い減少した毛髪内在脂質成分であるセラミド、コレステロールやそれらの誘導体を含有する毛髪化粧料を加齢した毛髪に適用し、毛髪のハリ、コシ及び感触を改善するとしている。又、下記の特許文献2では、ケラチン蛋白質の加水分解物、特定のアミノ酸及び非イオン界面活性剤を必須成分として含有する毛髪処理剤組成物が、加齢と共に細く、ハリのなくなった毛髪にハリや弾力を与えることができるとしている。
【0004】
一方、下記の特許文献3では、加齢により髪の内部の脂質量が減少するとの認識に基づき、両親媒性アミド脂質と、炭化水素油、エステル油及び動植物油から選ばれる油剤と、界面活性剤とを必須成分として含有する毛髪化粧料が髪に弾力を付与するとしている。更に下記の特許文献4では、オレイン酸を多く含む脂肪酸トリグリセライドとしての各種の植物油に着目し、このような植物油と、カチオン性界面活性剤と、シリコーン化合物、有機酸、脂肪族誘導体化合物を必須成分として含有する毛髪化粧料を提案している。特許文献4では毛髪化粧料の加齢毛髪への適用を明記していないが、この毛髪化粧料がすすぎ感触が良好で乾燥後の仕上り感触を向上させるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−152421号公報
【特許文献2】特開平11−139941号公報
【特許文献3】特開2004−307378号公報
【特許文献4】特開2007−77057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の特許文献では主として加齢した毛髪におけるハリ・コシの向上等を課題とするが、加齢した毛髪では、毛髪内部の脂質量の減少により、毛髪のパサ付きや指通りの悪化という問題を伴う。更に、加齢した毛髪では、各種の染毛剤を適用した場合に染毛性と色持ちが悪いという問題も伴う。
【0007】
加齢した毛髪における毛髪のパサ付きや指通りの悪化、染毛性及び色持ちの悪さといった上記の問題は、特許文献1〜特許文献4では検討されていない。又、特許文献1及び特許文献3では加齢に伴う毛髪内在脂質の減少に言及するものの、具体的には特許文献1ではセラミド、コレステロールやそれらの誘導体に着目し、特許文献3ではもっぱら両親媒性アミド脂質のみが詳細に検討されている。更に、特許文献4では各種の植物油に着目するが、そのような植物油は、オレイン酸を多く含むか否かを基準として選択されている。
【0008】
以上の点から、特許文献1〜特許文献4の毛髪化粧料は、本願発明者の観点からすれば、加齢した毛髪に対して「必要な毛髪脂質を的確に補給している」とは言えず、従って、加齢した毛髪におけるパサ付きや指通りの悪化、染毛性や色持ちの悪さという問題を有効に解決できない。
【0009】
そこで本発明は、毛髪の加齢に伴って減少する毛髪脂質を的確に補給し、加齢した毛髪に見られるパサ付きや指通りの悪化、染毛性や色持ちの悪さを改善できる毛髪化粧料組成物を提供することを、解決すべき課題とする。
【0010】
本願発明者は、従来より漠然と指摘されていた「毛髪の加齢に伴って減少する毛髪脂質」が何であるかを具体的に分析して追及した結果、それらの脂質がパルミトレイン酸グリセライドとスクワレンであることを突き止めた。そして更に下記の(1)〜(4)の知見を得るに至って、本願発明を完成した。
【0011】
(1)パルミトレイン酸グリセライドやスクワレンを豊富に含む特定の植物油を選択的に配合してこれら2種類の脂質が含有された毛髪化粧料を構成すれば、加齢した毛髪におけるパサ付きや指通りの悪化を解決することができる。
【0012】
(2)加齢に伴う毛髪脂質の減少(毛髪の親油性の低下)は、基本的に親油性である染料の定着性の低下、即ち、加齢した毛髪における染毛性や色持ちの悪さと大きく関係する。従って、必要な毛髪脂質を的確に補給することで、毛髪内部における染料の定着性が向上し、そのため毛髪の染毛性や色持ちも改善される。
【0013】
(3)更に、毛髪化粧料に適量のカチオン性界面活性剤を併せ配合すると、毛髪化粧料の塗布性や操作性を向上できる他、パルミトレイン酸グリセライドとスクワレンを毛髪内部まで導入して定着させる上で有効である。
【0014】
(4)なお、(1)で述べた特定の植物油に加えて、それ以外の植物油を多く併用すると、恐らくは脂質相互間の競合により、十分量のパルミトレイン酸グリセライドとスクワレンが毛髪内部に補給されなくなるため、上記の効果を確保できなくなる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、油性成分として少なくとも下記の(A)成分及び(B)成分を含有し、界面活性剤として少なくとも下記の(C)成分を含有し、(A)成分と(B)成分の合計含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/(A+B)が0.1〜5の範囲内である、毛髪化粧料組成物である。
【0016】
(A):アボカド油とマカデミアナッツ油の一方又は双方。
【0017】
(B):オリーブ油。
【0018】
(C):カチオン性界面活性剤。
【0019】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る毛髪化粧料組成物において、油性成分として配合された植物油の合計含有量の内、(A)成分及び(B)成分の合計含有量が質量比で50%以上を占める、毛髪化粧料組成物である。
【0020】
なお、この第2発明を含め、本願明細書で一定の成分の含有量を「質量比」又は「質量%」で表記する時は、1剤式の毛髪化粧料組成物においては当該毛髪化粧料における質量基準の含有量を意味するが、2剤式、3剤式等の多剤混合式の毛髪化粧料組成物においては、特段のことわりがない限り、その各剤の混合状態における質量基準の含有量を意味する。
【0021】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る毛髪化粧料組成物において、(A)成分の含有量が0.01〜5質量%の範囲内であり、(B)成分の含有量が0.01〜5質量%の範囲内である、毛髪化粧料組成物である。
【0022】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る毛髪化粧料組成物が、酸化染毛剤である、毛髪化粧料組成物である。
【発明の効果】
【0023】
第1発明の毛髪化粧料組成物は、油性成分として少なくとも(A)成分と(B)成分を含有する。(A)成分であるアボカド油やマカデミアナッツ油はパルミトレイン酸グリセライドを豊富に含み、(B)成分であるオリーブ油はスクワレンを豊富に含むことが知られている。そのため、第1発明の毛髪化粧料組成物によって、毛髪の加齢に伴い減少するパルミトレイン酸グリセライドとスクワレンが的確に補給され、加齢した毛髪に見られるパサ付きや指通りの悪化が改善される。毛髪化粧料が染毛剤である場合には、加齢した毛髪における染料の定着性が向上し、染毛性や色持ちの悪さが改善される。(A)成分、(B)成分の一方又は双方を含有しない毛髪化粧料では、これらの効果は期待できない。
【0024】
更に、第1発明の毛髪化粧料組成物では、(A)成分、(B)成分に加えて(C)成分であるカチオン性界面活性剤を含有し、質量比C/(A+B)が0.1〜5の範囲内であるため、パルミトレイン酸グリセライドとスクワレンを確実に毛髪内部まで導入して定着させることができる。カチオン性界面活性剤の配合は、塗布性や操作性に優れたクリーム状製剤とする上でも有効である。質量比C/(A+B)が0.1未満であると、カチオン性界面活性剤の不足のため、これらの効果を確保できなくなる。質量比C/(A+B)が5を超えると加齢した毛髪に適した塗布性や操作性を発揮しないという不具合を生じる。
【0025】
第2発明の毛髪化粧料組成物では、油性成分として配合された植物油の合計含有量の内、(A)成分及び(B)成分の合計含有量が質量比で50%以上を占めるので、加齢した毛髪に対して十分量のパルミトレイン酸グリセライドとスクワレンが補給される。
【0026】
第3発明の毛髪化粧料組成物では、(A)成分の含有量が0.01〜5質量%の範囲内であり、(B)成分の含有量が0.01〜5質量%の範囲内であるため、上記第1発明の効果が特に顕著に確保される。(A)成分と(B)成分の一方又は双方の含有量が上記の範囲を下回るとパルミトレイン酸グリセライドやスクワレンの補給量の不足から第1発明の効果が十分に確保されない恐れがあり、逆に上記の範囲を上回ると、毛髪の感触が悪くなる恐れがある。
【0027】
第4発明では、毛髪化粧料組成物が酸化染毛剤であるため、上記した各種の効果に加えて、毛髪内部における染料の定着性が向上し、加齢した毛髪における染毛性や色持ちの悪さも改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
【0029】
〔毛髪化粧料組成物〕
本発明に係る毛髪化粧料組成物は、油性成分として少なくとも(A)成分:アボカド油とマカデミアナッツ油の一方又は双方、及び(B)成分:オリーブ油を含有し、界面活性剤として少なくとも(C)成分:カチオン性界面活性剤を含有し、(A)成分と(B)成分の合計含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/(A+B)が0.1〜5の範囲内である。質量比C/(A+B)は、特に好ましくは0.5〜4.6の範囲内である。
【0030】
又、毛髪化粧料組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、(A)成分及び(B)成分以外の油性成分を含有することができ、それらの油性成分には(A)成分、(B)成分以外の植物油も包含されるが、その場合においては、油性成分として配合された植物油の合計含有量の内、(A)成分及び(B)成分の合計含有量が質量比で50%以上を占めることが好ましい。
【0031】
毛髪化粧料組成物における(A)成分、(B)成分及び(C)成分自体の含有量は、C/(A+B)が0.1〜5の範囲内であることを条件として、必ずしも限定されないが、好ましくは、(A)成分の含有量は0.01〜5質量%の範囲内、特に0.01〜3質量%の範囲内であり、(B)成分の含有量は0.01〜5質量%の範囲内、特に0.01〜3質量%の範囲内であり、(C)成分の含有量は0.1〜10質量%の範囲内、特に0.2〜5質量%の範囲内である。
【0032】
本発明に係る毛髪化粧料組成物の用途もしくは種類は特段に限定されないが、例えば各種のヘアケア用剤や染毛剤が例示される。
【0033】
ヘアケア用剤としては、プレシャンプー剤、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、セットローション、ブロースタイリングローション、ヘアスプレー、スタイリング剤、ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアクリーム、育毛剤、養毛剤等が例示される。
【0034】
染毛剤としては、酸化染毛剤(アルカリ性酸化染毛剤、酸性酸化染毛剤)、ヘアマニキュア(酸性染毛料)、及び広義の染毛剤としての毛髪脱色剤や毛髪脱染剤等が例示される。これらの染毛剤の内でも、酸化染毛剤においては、加齢した毛髪内部における染料の定着性向上に基づいて、染毛性や色持ちの悪さが改善されるという効果も期待できる。
【0035】
本発明の毛髪化粧料組成物は、上記のヘアケア用剤や染毛剤の他にも、例えばパーマネントウェーブ用の第1剤又は第2剤、縮毛矯正剤の第1剤又は第2剤、一時着色料、カーリング剤その他の各種の毛髪化粧料として、限定なく使用することができる。
【0036】
毛髪化粧料組成物は、使用目的に応じて、1剤式又は使用時に混合する2剤式に構成することができる。更に、酸化染毛剤、毛髪脱色剤、毛髪脱染剤等においては、第1剤と第2剤に加えて、例えば酸化助剤等を含有する第3剤も付加された3剤式に構成することもできる。毛髪化粧料組成物が2剤式以上の多剤混合式に構成される場合において、前記(A)成分〜(C)成分は、それぞれ、多剤式毛髪化粧料を構成する各剤のいずれの剤に配合しても良く、あるいは、(A)成分〜(C)成分のそれぞれを2以上の剤に分散して配合しても良い。
【0037】
毛髪化粧料組成物の剤型としては、(C)成分を含有する点に基づき、塗布性や操作性の優れたクリーム状の製剤とすることが特に好ましいが、その他各種の剤型、例えばジェル状、液体状、フォーム状、乳化物状、ペースト状、霧状、あるいは使用時にフォーマー容器を用いて泡立てて使用するものとしても構わない。
【0038】
〔毛髪化粧料組成物の必須成分〕
((A)成分及び(B)成分)
(A)成分はアボカド油とマカデミアナッツ油の一方又は双方である。アボカド油は熱帯アメリカ原産の亜熱帯性常緑果樹であるアボカドの果実から採取される液体油であり、マカデミアナッツ油はオーストラリア原産の常緑果樹であるマカデミアの穀果(ナッツ)から採取される液体油である。アボカド油とマカデミアナッツ油は共に不飽和脂肪酸を多量に含むが、特にパルミトレイン酸グリセライドを豊富に含有する点に特徴がある。パルミトレイン酸グリセライドはアボカド油中には0.5〜10質量%程度含有され、マカデミアナッツ油中には1〜20質量%程度含有されている。
【0039】
(B)成分であるオリーブ油は、主に地中海沿岸地域や米国カリフォルニア地区で栽培されるオリーブの果実から採取される液体油であり、不飽和脂肪酸を多量に含むが、特にスクワレンを豊富に含有する点に特徴がある。オリーブ油中にはスクワレンが0.1〜5質量%程度含有されている。
【0040】
((C)成分:カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、例えば塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアルジモニウムクロリド)、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びクオタニウム−91等が例示されるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤は、1種類を単独で用い、又は2種類以上を併用することができる。
【0041】
〔毛髪化粧料組成物におけるその他の必須成分〕
(アルカリ剤、酸化剤、還元剤)
本発明の毛髪化粧料組成物の1種である酸化染毛剤、毛髪脱色剤、毛髪脱染剤等においては、その第1剤がアルカリ剤を含有し、第2剤が酸化剤を含有する。酸化染毛剤のうち、酸性酸化染毛剤においては、その第1剤は必要に応じてアルカリ剤を含有し、第2剤が酸化剤を含有する。パーマネントウェーブ用剤や縮毛矯正剤の第1剤は還元剤を含有し、第2剤は酸化剤を含有する。
【0042】
アルカリ剤としては、アンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が例示される。アルカリ剤の含有量は、必要に応じて適宜に設定すれば良い。
【0043】
酸化剤としては、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化物等が例示される。過酸化物としては、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が例示される。酸化剤の含有量は、必要に応じて適宜に設定すれば良い。
【0044】
還元剤としては、例えば、チオグリコール酸やその塩類及び/又は、システインやその塩類等が挙げられる。チオグリコール酸としては、チオグリコール酸アンモニウムやチオグリコール酸モノエタノールアミン等が例示される。
【0045】
(染料)
各種の染毛剤には酸化染料中間体や直接染料が含有される。酸化染料中間体は主要中間体からなり、あるいは主要中間体とカプラーからなる。
【0046】
酸化染料中間体の内、主要中間体としては、主としてo−又はp−のフェニレンジアミン類あるいはアミノフェノール類が挙げられ、具体的にはp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(p−トルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール及びそれらの塩類等が例示される。塩類としては、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等が例示される。主要中間体の含有量は、必要に応じて適宜に設定すれば良い。
【0047】
カプラーとしては、主としてm−のジアミン類、アミノフェノール類又はジフェノール類が挙げられ、具体的にはレゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’−イミノジフェニール、1,5−ジヒドロキシナフタレン及びタンニン酸及びそれらの塩等が例示される。カプラーの含有量は、必要に応じて適宜に設定すれば良い。
【0048】
直接染料としては、各種の酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、分散染料等が挙げられる。これらの内、酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、アシッドオレンジ3等が挙げられ、塩基性染料としては、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等が挙げられ、ニトロ染料としては、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、3−ニトロ−p−ヒドロキシエチルアミノフェノール、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−p−フェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等が挙げられる。直接染料の含有量は、必要に応じて適宜に設定すれば良い。
【0049】
〔毛髪化粧料組成物におけるその他の成分〕
(界面活性剤)
本発明の毛髪化粧料組成物は、(C)成分である前記カチオン性界面活性剤の他に、発明の効果を阻害しない範囲において、アニオン性、非イオン性、両性の各種界面活性剤を含有することができる。
【0050】
アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セトステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、POEラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸TEA)、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステル等が例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。アニオン性界面活性剤は1種類を単独で用い、又は2種類以上を併用することができる。毛髪化粧料組成物におけるアニオン性界面活性剤の含有量は、例えば0.1〜5質量%程度である。
【0051】
非イオン性界面活性剤としては、各種のPOEアルキルエーテル、各種のPOEアルキルフェニルエーテル、各種のPOEソルビタン脂肪酸エステル、各種のPOEグリセリルモノ脂肪酸エステル、各種のPOEソルビトール脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、各種のモノ脂肪酸ポリエチレングリコール、各種の高級脂肪酸グリセリンエステル、各種のソルビタン脂肪酸エステル、各種のPOEラノリン誘導体、各種のアルキロールアミド、各種のPOE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、各種のアルキルアミンオキシド、各種のアルキルグルコシド、水素添加卵黄レシチン、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等を例示することができる。毛髪化粧料組成物における非イオン性界面活性剤の含有量は、例えば1〜10質量%程度である。
【0052】
両性界面活性剤としては、以下の(1)〜(5)のものが例示される。
【0053】
(1)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0054】
(2)デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ベヘニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアミン塩。
【0055】
(3)ココアンホ酢酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ココアンホプロピオン酸Na(N−ヤシ油脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、ラウロアンホ酢酸Na(N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン)、オリーブアンホ酢酸Na、カカオ脂アンホ酢酸Na、ゴマアンホ酢酸Na、スイートアーモンドアンホ酢酸Na、ステアロアンホ酢酸塩、パームアンホ酢酸Na、ピーナッツアンホ酢酸Na、ヒマワリ種子アンホ酢酸Na、綿実アンホ酢酸Na等のN−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0056】
(4)ココアンホジ酢酸Na、ココアンホジプロピオン酸Na、及びラウロアンホジ酢酸Na等のN−アシルアミノエチル−N−カルボキシメトキシエチルアミノカルボン酸塩。
【0057】
(5)ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシン。
【0058】
毛髪化粧料組成物における両性界面活性剤の含有量は、例えば0.1〜5質量%程度である。
【0059】
(油性成分)
本発明の毛髪化粧料組成物は、前記(A)成分及び(B)成分以外の植物油を包含する各種の油性成分を、発明の効果を阻害しない範囲において含有することができる。但し、第2発明において前記したように、油性成分として配合された植物油の合計含有量の内、(A)成分及び(B)成分の合計含有量が質量比で50%未満であると、発明の効果が阻害される恐れがある。
【0060】
油性成分としては、高級アルコール、シリコーン類、油脂、炭化水素、高級脂肪酸、ロウ類、エステル類等が例示される。
【0061】
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルドデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール、及び水添ラノリンアルコール等から選ばれる1種以上が挙げられる。より好ましくは飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐鎖状の高級アルコールであるミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−ヘキシルデカノール、及び2−オクチルドデカノール等を例示できる。
【0062】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンとして好ましくは、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。ポリエーテル変性シリコーンとして好ましくは、PEG−10ジメチコン、PEG−11ジメチコンが挙げられる。
【0063】
油脂としては、ローズヒップ油、ツバキ油、ヒマワリ油、アマニ油、アーモンド油、シア脂、ミンク油等が例示される。
【0064】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が例示される。
【0065】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が例示される。
【0066】
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が例示される。
【0067】
エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、オクタン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、イソオクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、カプリル酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2−エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル等が例示される。
【0068】
(ペプチド、アミノ酸系成分)
ペプチド、アミノ酸系成分としては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、シルク、カゼイン、ゼラチン等の動物系蛋白質、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、アーモンド等の植物から得られるタンパク質、これらのタンパク質を酸、アルカリ、酵素等により加水分解したもの、等が例示される。
【0069】
(高分子化合物)
高分子化合物としては、カチオン化ポリマー、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマー、水溶性ポリマー等が例示される。カチオン化ポリマーの具体例としては、カチオン化多糖類であるカチオン化セルロース、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム等の他、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリクオタニウム−6、例えばマーコート100;Nalco社)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム−7、例えばマーコート550;Nalco社)、4級化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。水溶性ポリマーの具体例としては、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物性高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子等が例示される。
【0070】
(pH緩衝成分)
pH緩衝成分は、無機酸又は有機酸である酸成分と、無機アルカリ又は有機アルカリであるアルカリ成分とからなる。特に、有機酸と有機アルカリからなるものが好ましい。有機酸としては、ヒドロキシカルボン酸(グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等)、ジカルボン酸(コハク酸等)が例示される。有機アルカリとしては、モルフォリン等の揮発性アルカリ成分、L−ヒスチジン等の塩基性アミノ酸が例示される。
【0071】
(その他の各種成分)
本発明の毛髪化粧料は、上記の各成分以外にも、金属封鎖剤、防腐剤、殺菌剤、着色剤、紫外線吸収剤、香料等を目的に応じて含有させることができる。
【実施例】
【0072】
以下に本発明の実施例及び比較例を説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例及び比較例によって限定されない。
【0073】
〔第1実施例:酸化染毛剤〕
末尾の表1に示す実施例1−1〜実施例1−7に係る組成の2剤式酸化染毛剤の第1剤と、末尾の表2に示す比較例1−1〜比較例1−11に係る組成の2剤式酸化染毛剤の第1剤を、それぞれ常法に従いクリーム状に調製した。
【0074】
表1及び表2において、各成分の含有量を示す数値は質量%単位で表記しているが、第1剤における含有量の表記であって、第1剤と第2剤の混合時における含有量の表記ではない。
【0075】
又、上記の各実施例、各比較例の第1剤における(A)成分と(B)成分の合計含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/(A+B)を表1、表2中の「C/(A+B)」の欄に示す。次に述べるように、酸化染毛剤の第2剤は(A)成分〜(C)成分を含有していないので、この質量比C/(A+B)が毛髪適用時の酸化染毛剤における質量比C/(A+B)を表す。
【0076】
これらの実施例及び比較例に係る酸化染毛剤の第2剤としては、共通して、下記の組成のものをクリーム状に調製して用いた。下記の第2剤の組成における各成分の含有量を示す数値も、第1剤と第2剤の混合時における含有量ではなく、第2剤における含有量の質量%単位の表記である。
【0077】
酸化染毛剤の第2剤
ステアリルアルコール 5質量%
POE(10)セチルエーテル 1質量%
流動イソパラフィン 1質量%
35%過酸化水素水 15質量%
精製水 残量
又、表1及び表2中、成分欄に「A/B比1」〜「A/B比4」と付記した成分は、(A)成分であるアボカド油とマカデミアナッツ油(それぞれ表中に「(A)」と表記)、及び(B)成分であるオリーブ油(表中に「(B)」と表記)に対する比較用の成分として配合したものであることを示す。
【0078】
以上の各実施例及び各比較例に係る酸化染毛剤の第1剤を、それぞれ前記の酸化染毛剤の第2剤と1:1の質量比で混合して、これらを白髪混じりの人毛毛束に塗布し、30分間放置した後、水洗することにより染毛処理を施した。そして、各実施例及び各比較例について、「毛髪内脂質の補充効果」、「塗布性」及び「染毛性」を以下のようにして評価した。
【0079】
(毛髪内脂質の補充効果の評価)
上記染毛処理後に乾燥させた各実施例及び各比較例に係る人毛毛束の内部への脂質補充の程度を評価した。具体的には「染毛処理後におけるパルミトレイン酸グリセライド及びスクワレンの毛髪内部での増加量を測定し、毛髪内にどれだけの脂質が補充されているか」を評価した。評価は、当該増加量について、「非常に優れる」を5、「優れる」を4、「良好である」を3、「やや悪い」を2、「悪い」を1とした。
【0080】
この増加量の測定は、染毛処理後の人毛毛束における毛髪内部のパルミトレイン酸グリセライド及びスクワレンの含有量の定量値から、染毛処理前の人毛毛束について予め得ていたこれらの含有量の定量値を差し引いて求めた。又、これらの定量においては、予め溶剤により脱脂するという処理により人毛毛束の外部に付着した脂質類を除去した後、クロマトグラフィー法により毛髪内部でのパルミトレイン酸グリセライド及びスクワレンの含有量を定量した。評価の結果を表1及び表2の「毛髪内脂質の補充効果」の欄に示す。
【0081】
(塗布性の評価)
10名のパネラーが、各実施例及び各比較例に係る酸化染毛剤の第1剤と第2剤との質量比1:1の混合物について、塗布性を評価した。具体的には混合物について「ハケですくい取り易く、毛髪への塗布時の伸びが良く、毛髪への喰い付きが良く、しかも放置途中での乾きがない」か否かをを評価した。評価は、「非常に優れる」を5点、「優れる」を4点、「良好」を3点、「やや悪い」を2点、「悪い」を1点とした。そして各実施例及び各比較例について10名のパネラーの点数の平均値を算出し、平均値が4.6点以上であれば「5」、平均値が3.6〜4.5点であれば「4」、平均値が2.6〜3.5点であれば「3」、平均値が1.6〜2.5点であれば「2」、平均値が1.5点以下であれば「1」とした。評価の結果を表1及び表2の「塗布性」の欄に示す。
【0082】
(染毛性の評価)
10名のパネラーが、上記染毛処理後に乾燥させた各実施例及び各比較例に係る人毛毛束の染色の程度を評価した。具体的には「毛束における染毛のハッキリした色味が出ており、染毛色の濃さが十分に出ており、そして白髪と黒髪とのなじみが良い」か否かを評価した。評価は、「非常に優れる」を5点、「優れる」を4点、「良好」を3点、「やや悪い」を2点、「悪い」を1点とした。そして各実施例及び各比較例について10名のパネラーの点数の平均値を算出し、平均値が4.6点以上であれば「5」、平均値が3.6〜4.5点であれば「4」、平均値が2.6〜3.5点であれば「3」、平均値が1.6〜2.5点であれば「2」、平均値が1.5点以下であれば「1」とした。評価の結果を表1及び表2の「染毛性」の欄に示す。
【0083】
〔第2実施例:トリートメント〕
末尾の表3に示す実施例2−1〜実施例2−7に係る組成の1剤式毛髪化粧料と、末尾の表4に示す比較例2−1〜比較例2−11に係る組成の1剤式毛髪化粧料を、それぞれ常法に従いクリーム状に調製した。表3及び表4において各成分の含有量を示す数値は質量%単位である。
【0084】
又、表3及び表4中、成分欄に「A/B比1」〜「A/B比4」と付記した成分は、(A)成分であるアボカド油とマカデミアナッツ油、及び(B)成分であるオリーブ油に対する比較用の成分として配合したものであることを示す。又、表3及び表4で「オレス−2」と表記した成分はPOE(2)オレイルエーテルである。
【0085】
以上の各実施例及び各比較例に係る毛髪化粧料を、それぞれ水に濡れた状態の白髪混じりの人毛毛束に塗布し、3分間放置した後、水洗することにより処理を施した。そして、各実施例及び各比較例について、「毛髪内脂質の補充効果」、「操作性」及び「褪色性」を以下のようにして評価した。
【0086】
(毛髪内脂質の補充効果の評価)
上記処理後に乾燥させた各実施例及び各比較例に係る人毛毛束の内部への脂質補充の程度を評価した。具体的には「パルミトレイン酸グリセライド及びスクワレンの毛髪内部での増加量を測定し、毛髪内にどれだけの脂質が補充されているか」を評価した。評価は、「非常に優れる」を5、「優れる」を4、「良好」を3、「やや悪い」を2、「悪い」を1とした。増加量の測定は、第1実施例の場合と同様にして行った。評価の結果を表3及び表4の「毛髪内脂質の補充効果」の欄に示す。
【0087】
(操作性の評価)
10名のパネラーが、各実施例及び各比較例に係る毛髪化粧料について、人毛毛束への塗布性を評価した。具体的には「毛髪とのなじみが良く、毛髪への塗布時の伸びが良く、毛髪への喰い付きが良く、しかも水洗時に流し易い」か否かを評価した。評価は、「非常に優れる」を5点、「優れる」を4点、「良好」を3点、「やや悪い」を2点、「悪い」を1点とした。そして各実施例及び各比較例ごとに10名のパネラーの点数の平均値を算出し、平均値が4.6点以上であれば「5」、平均値が3.6〜4.5点であれば「4」、平均値が2.6〜3.5点であれば「3」、平均値が1.6〜2.5点であれば「2」、平均値が1.5点以下であれば「1」とした。評価の結果を表3及び表4の「操作性」の欄に示す。
【0088】
(褪色性の評価)
以下に示すクリーム状の酸化染毛剤第1剤(各成分の含有量を示す数値は、第1剤における含有量である。)を調製し、第1実施例で前記した酸化染毛剤の第2剤と1:1の質量比で混合して、これらを白髪混じりの人毛毛束に塗布し、30分間放置した後、水洗することにより染毛処理を施した。
酸化染毛剤第1剤
パラフェニレンジアミン 1質量%
レゾルシン 1質量%
セトステアリルアルコール 10質量%
ラノリン 1質量%
グリセリン 5質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 1質量%
28%アンモニア水 4質量%
精製水 残量
染毛処理後に水に濡れた状態の白髪混じりの人毛毛束に各実施例及び各比較例に係る毛髪化粧料を塗布し、3分間放置した後、水洗することにより処理を施した。処理後の毛束を、室温(25℃)50%RHの恒温恒湿槽に24時間静置後、50℃の1質量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に浴比1:20で浸漬させ、水洗して乾燥させた。
【0089】
10名のパネラーが、各実施例及び各比較例に係る人毛毛束の褪色性を評価した。具体的には「褪色時の色落ちが少なく、毛髪の色持ちが良く、白髪と黒髪とのなじみが良い」か否かを評価した。評価は、「非常に優れる」を5点、「優れる」を4点、「良好」を3点、「やや悪い」を2点、「悪い」を1点とした。そして各実施例及び各比較例ごとに10名のパネラーの点数の平均値を算出し、平均値が4.6点以上であれば「5」、平均値が3.6〜4.5点であれば「4」、平均値が2.6〜3.5点であれば「3」、平均値が1.6〜2.5点であれば「2」、平均値が1.5点以下であれば「1」とした。評価の結果を表3及び表4の「褪色性」の欄に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によって、毛髪の加齢に伴って減少する毛髪脂質を的確に補給し、加齢した毛髪に見られるパサ付きや指通りの悪化、染毛性や色持ちの悪さを改善できる毛髪化粧料組成物が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性成分として少なくとも下記の(A)成分及び(B)成分を含有し、界面活性剤として少なくとも下記の(C)成分を含有し、(A)成分と(B)成分の合計含有量に対する(C)成分の含有量の質量比C/(A+B)が0.1〜5の範囲内であることを特徴とする毛髪化粧料組成物。
(A):アボカド油とマカデミアナッツ油の一方又は双方。
(B):オリーブ油。
(C):カチオン性界面活性剤。
【請求項2】
前記油性成分として配合された植物油の合計含有量の内、(A)成分及び(B)成分の合計含有量が質量比で50%以上を占めることを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量が0.01〜5質量%の範囲内であり、(B)成分の含有量が0.01〜5質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項4】
前記毛髪化粧料組成物が酸化染毛剤であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の毛髪化粧料組成物。

【公開番号】特開2012−211108(P2012−211108A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77743(P2011−77743)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】