説明

毛髪化粧料

【課題】使用時のエタノール刺激臭を抑え、マイルドな香り立ちを有し、かつ嗜好性が高い毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】(A)発酵エタノール6質量%以上と、(B)3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン及び3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテートとを含有する毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時のエタノール刺激臭が抑制され、マイルドな香り立ちを有し、かつ嗜好性が高い毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料は、防腐力、凍結防止等の点からエタノールが必須であるが、刺激臭を有することから、使用時及び使用後の心地良さを損ねる原因となっていた。一方、香りについては、各種香料を組み合わせて、香り立ち、香りの嗜好性を向上させる技術が提案されている(特許文献1:特開2000−191448号公報参照)。しかしながら、エタノールの配合量が増えた場合、刺激臭の緩和が十分といえなかった。
【0003】
毛髪化粧料は、その使用時に優れた香り立ちが必要とされ、また、毛髪処理後にその香りが毛髪に残るため、エタノール刺激臭が抑えられ、嗜好性が高く、心地よい香り立ちが望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−191448号公報
【特許文献2】特開2003−267841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、使用時のエタノール刺激臭を抑え、マイルドな香り立ちを有し、かつ嗜好性が高い毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、発酵エタノール6質量%以上を含有する毛髪化粧料に、3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン及び3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテートを配合することにより、エタノール刺激臭が抑制され、マイルドな香り立ちとなり、香りが好まれて嗜好性が向上し、広い対象者に好まれることを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
従って、本発明は、
[1].(A)発酵エタノール6質量%以上と、(B)3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン及び3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテートとを含有する毛髪化粧料、
[2].3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(G)と、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテート(L)との質量比(G)/(L)が、0.6〜2.2である[1]記載の毛髪化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発酵エタノール6質量%以上を含有する毛髪化粧料に、3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン及び3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテートを配合することにより、エタノール刺激臭の抑制及び嗜好性向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の(A)成分は発酵エタノールである。エタノールとして発酵エタノールを使用することにより、その刺激臭が抑制される。特に、(B)成分の香料を組み合わせることにより、より刺激臭が抑制され、広い対象者に好まれる香りになる。本発明の(A)発酵エタノールは、発酵法で製造されたものであれば特に限定されず、好ましくは政府所定の発酵エタノールである。発酵エタノールは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0010】
(A)発酵エタノールの配合量は、毛髪化粧料中6質量%以上であり、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%である。配合量が6質量%未満だと毛髪化粧料の組成が安定しない。一方、80質量%を超えるとエタノールの刺激臭が強くなるおそれがある。
【0011】
本発明の(B)成分は、3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(3,4,6,7,8−hexahydro−4,6,6,7,8,8−hexamethylcyclopenta−γ−2−benzopyran,Gと略す:ガラクソライド)及び3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテート(3,7−dimethyl−1,6−octadien−3−yl−acetate,Lと略す:リナリルアセテート)の香料成分である。
【0012】
3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(G)と、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテート(L)との質量比(G)/(L)は、0.6〜2.2が好ましく、より好ましくは0.6〜1.9の範囲である。上記質量比が大きすぎると、香りが強くバランスがくずれ嗜好性が低下する場合があり、質量比が小さすぎると、香りのマイルド性が低下してしまい、嗜好性が低下する場合がある。
【0013】
(B)成分の3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(G)及び、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテート(L)の毛髪化粧料中における合計配合量は、下限は0.001質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%、さらに好ましくは0.05質量%、最も好ましくは0.1質量%であり、上限は2質量%が好ましく、より好ましくは1質量%、さらに好ましくは0.5質量%、最も好ましくは0.3質量%である。0.001質量%未満では所望の効果が発現されず、2質量%を超えると不経済となり、香りが強すぎる場合がある。
【0014】
本発明の毛髪化粧料には、(C)2−アセチル−1,2,3,4,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチルナフタレン(イソ・E・スーパー)(2−Acetyl−1,2,3,4,6,7,8−octahydro−2,3,8,8−tetramethyl naphthalene(Iso E Super))、ρ−tert−ブチル−α−メチルハイドロシナミックアルデヒド(リリアール)(ρ−tert−Butyl−α−Methylhydrocinnamic Aldehyde(Lillial))、3,7−ジメチル−1,6−オクダジエン−3−オール(リナロール)(3,7−Dimethyl−1,6−octadien−3−ol(Linalool))から選ばれる1種又は2種以上の香料成分を配合することが好ましい。
【0015】
上記(C)香料成分の毛髪化粧料中における配合量は、下限は0.0001質量%が好ましく、上限は2質量%が好ましい。(B)成分と(C)成分との質量比((C)成分/(B)成分)は、0.1〜1.5の範囲が好ましい。
【0016】
本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、第4級アンモニウム塩を配合することが好ましい。第4級アンモニウム塩としては、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩、下記一般式(2)〜(7)で表される分子内にエステル基を1〜3つ含む第4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【化1】

(式中、R1、R2、R3及びR4のうち1〜2個は炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基を示し、残りは炭素数3以下のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
【0017】
上記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩で表される第4級アンモニウム塩としては、具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0018】
分子内にエステル基を1つ含む第4級アンモニウム塩としては、下記一般式(2)で表わされる化合物が挙げられる。
【0019】
【化2】

【0020】
一般式(2)中、R5は炭素数12〜26で、エステル基を1つ含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、R6はメチル基、エチル基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。Z-はアニオンを示し、例えば、CH3SO4-、C25SO4-、Cl-、Br-等が挙げられる。R6は、互いに同一であっても異なっていてもよい。分子内にエステル基を1つ含む第4級アンモニウム塩としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0021】
【化3】

【0022】
一般式(3)中、R7は直鎖又は分岐鎖の炭素数9〜23のアルキル基又はアルケニル基を示す。R7としては、直鎖の炭素数13〜21のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸及びエライジン酸等の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であることが好ましい。
【0023】
分子内にエステル基を2つ含む第4級アンモニウム塩としては、下記一般式(4)で表わされる化合物が挙げられる。
【0024】
【化4】

【0025】
一般式(4)中、R5、R6及びZ-は一般式(2)中と同じ意味を示す。R5及びR6はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。分子内にエステル基を2つ含む第4級アンモニウム塩としては、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0026】
【化5】

【0027】
一般式(5)中、R7は一般式(3)中と同じ意味を示す。R7は互いに同一であっても異なっていてもよい。一般式(5)中、R7は直鎖の炭素数13〜21のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸及びエライジン酸等の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であることが好ましい。
【0028】
分子内にエステル基を3つ含む第4級アンモニウム塩としては、一般式(6)で示される化合物が挙げられる。
【0029】
【化6】

【0030】
一般式(6)中、R5、R6及びZ-は一般式(2)中と同じ意味を示す。R5は互いに同一であっても異なっていてもよい。分子内にエステル基を3つ含む第4級アンモニウム塩としては、下記一般式(7)で表される化合物が好ましい。
【0031】
【化7】

【0032】
一般式(7)中、R7は一般式(3)中と同じ意味を示す。R7は互いに同一であっても異なっていてもよい。一般式(7)中、R7は直鎖の炭素数13〜21のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸及びエライジン酸等の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であることが好ましい。なお、各式中のR5、R6、R7及びZ-は、他の式中のR5、R6、R7及びZ-とはそれぞれ独立である。
【0033】
上記R7は、炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれから誘導される基である。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜80/20が好ましく、より好ましくは40/60〜80/20である。R7のもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素化10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素化10〜60)等が挙げられる。この中でも、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ステアリン酸が好ましい。特に好ましいのは、植物由来のステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜50/50(質量/質量)、シス/トランス体の質量比が40/60〜80/20、炭素数18の比率が60質量%以上であり、炭素数20脂肪酸を2質量%以下、炭素数22脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。
【0034】
分子内にエステル基を1〜3つ含む第4級アンモニウム塩は、上記脂肪酸組成物又は脂肪酸メチルエステル組成物と、トリエタノールアミンとの縮合反応、続いてジメチル硫酸等の4級化試薬による4級化反応により合成することができる。
【0035】
第4級アンモニウム塩の配合量は特に限定されないが、毛髪化粧料中、通常0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0036】
本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、1種又は2種以上の多価アルコール類を配合することが好ましい。多価アルコール類としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。この中でも、油っぽさのないしっとり感を付与する点で、プロピレングリコール、グリセリンが好ましい。
【0037】
多価アルコール類の配合量は、毛髪化粧料中、通常0.1〜50質量%であり、10〜30質量%が好ましい。この範囲で、油っぽさが生じることもなく、十分なセット保持性やうるおい感触をより効果的に得ることができる。
【0038】
本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン及びジメチルシリコーンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン化合物を配合することが好ましい。アミノ変性シリコーンとしては、特に限定されないが、アミノガム、アンモニウム変性シリコーン、アルキレンオキサイドを付加したアミノ変性シリコーン、及びこれらをエマルション化したものを用いることができる。具体的には、東レ・ダウコーニング(株)製のアモジメチルシリコーンエマルションSM8704C、FZ−4671、FZ−4672、F4−116−04(商品名)、GE東芝シリコーン(株)製のKT−1989、XF42−B1989(商品名)、信越化学工業(株)製のXS65−C0032、XS65−B4280、KF−8004、KF−8005、KF−8015(商品名)等が挙げられる。これらの中でも、SM8704C、FZ−4671、FZ−4672が好ましく、SM8704C、FZ−4672がより好ましい。
【0039】
アミノ変性シリコーンを配合する場合、その配合量は特に限定されないが、毛髪化粧料中0.001〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%、さらに好ましくは0.05〜10質量%である。0.001質量%未満では所望の効果が発現されず、30質量%を超えると不経済である上にべたつきなどの不具合が生じる場合がある。
【0040】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、特に限定されないが、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。具体的には、東レ・ダウコーニング(株)製のFZ−2123、FZ−2136、FZ−2222、FZ−2233、FZ−2250、SS−2801、SH3771M、SH3773M、SH3775M、F4−116−03(商品名)、信越化学工業(株)製のKF6008、KF351A、KF353A、KF6008、KF6017、KF6013(商品名)等が挙げられる。これらの中でも、FZ−2222、F4−116−03、KF6017が好ましく、FZ−2222がより好ましい。
【0041】
ポリエーテル変性シリコーンを配合する場合、その配合量は特に限定されないが、毛髪化粧料中0.001〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%、さらに好ましくは0.05〜10質量%である。0.001質量%未満では所望の効果が発現されず、30質量%を超えるとべたつきなどの不具合が生じる場合がある。
【0042】
本発明のジメチルシリコーンの25℃における粘度は、30〜50,000,000mm2/sが好ましく、より好ましくは30〜10,000,000mm2/s、さらに好ましくは30〜5,000,000mm2/sである。なお、本発明中のシリコーン粘度は化粧品原料基準一般試験法粘度測定法第1法に準拠して測定した方法である。
【0043】
ジメチルシリコーンを配合する場合、その配合量は特に限定されないが、毛髪化粧料中
0.001〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜20質量%、さらに好ましくは0.05〜10質量%である。0.001質量%未満では所望の効果が発現されず、30質量%を超えるとべたつき、きしみ等の不具合が生じる場合がある。
【0044】
本発明の毛髪化粧料には、上記成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、毛髪化粧料に通常用いられる成分を適当量配合することができる。毛髪化粧料に通常用いられる成分としては、アニオン界面活性剤、4級アンモニウム塩以外のカチオン界面活性剤、テトラオレイン酸ソルビット、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステロール等のノニオン界面活性剤、半極性界面活性剤、高分子化合物類、高級アルコール、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン類、長鎖脂肪酸、エステル油、増粘剤、微粒子粉末、植物抽出物、アミノ酸類、蛋白及びその誘導体、金属封鎖剤、低級アルコール類、油剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、(B)成分以外の香料、酸化防止剤、酸化剤、還元剤、アルカリ剤、色素、抗菌剤、殺菌剤、噴射剤、エタノール、精製水等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0045】
本発明の毛髪化粧料に(B),(C)成分以外の香料を配合する場合、使用される香料は、特開2003−95895号公報に記載した香料、香料組成物に準じ、香料組成物を配合する場合、毛髪化粧料全量に対して香料組成物が0.00001〜50質量%となるように配合すると好適であり、より好ましくは0.0001〜30質量%配合される。香料の溶剤又は保留剤としては、ジエチルフタレート、ベンジルベンゾエート、イソプロピルミリステート、ハーコリン等を使用することができる。
【0046】
本発明の毛髪化粧料は、上記成分及び残部の水を混合し、毛髪化粧料の常法に基づいて調製することができる。毛髪化粧料としては、シャンプー、リンス、トリートメント、整髪料、育毛剤等の毛髪化粧料に適用できる。特に、本発明の毛髪化粧料は、刺激臭を抑えられ、マイルドで心地よい香り立ちを有するので、長時間塗布したままで使用する、洗い流さないトリートメント、整髪料に適用すると好適である。
【0047】
本発明の毛髪化粧料の剤型は特に限定されず、液剤、ジェル剤、ローション剤、クリーム剤、ワックス剤、ミスト剤、エアゾールフォーム剤、非エアゾールフォーム剤、エアゾールスプレー剤、非エアゾールスプレー剤等が挙げられる。エアゾールにする場合は、ブタン、プロパン、イソブタン、液化石油ガス、ジメチルエーテルから選ばれる可燃性ガス、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガスから選ばれる圧縮ガスを配合することができ、その混合物の使用も可能である。
【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%である。
【0049】
[実施例1〜4、比較例1〜5]
表1に示す組成の毛髪化粧料を常法に従って調製し、下記の方法で評価した。結果を表1に併記する。
【0050】
毛髪化粧料をスプレー容器「M−3トリガー」(商品名、(株)吉野工業所製)に充填した。この毛髪化粧料について、染毛やパーマにより毛髪に損傷を受けた20〜30代の女性30名が実使用評価を行った。評価は、使用時の「香り立ちのマイルド性」、「香りの嗜好性及び「エタノール刺激臭のなさ」の3項目について行った。結果を良好と回答した人数により下記評価基準で示した。
〈評価基準〉
◎:良好と答えた者が30名中25名以上
○:良好と答えた者が30名中15〜24名
△:良好と答えた者が30名中5〜14名
×:良好と答えた者が30名中5名未満
【0051】
【表1】

【0052】
[実施例5]
(トリガータイプのウォーター剤)
下記処方のウォーター剤を調製し、PET製トリガー容器に充填した。
組成 %
アミノ変性シリコーン(1) 1.2
ジメチルシリコーン 1.0
没食子酸−3,5−ジグルコシド 0.4
プロピレングリコール 6.0
ポリオキシエチレン(30)フィトステロール 0.3
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット 0.3
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.0
ポリオキシエチレン(30)ステアリルエーテル 2.0
塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン液 2.0
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミノエチル−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(A) 0.05
加水分解ケラチン 2.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
無水ピロリン酸ナトリウム 0.05
グリコール酸 0.2
香料組成物1 0.1
発酵エタノール 20.0
精製水 残部
合計 100.0
【0053】
[実施例6]
(ノンエアゾールポンプフォーム)
下記処方のフォーム剤を調製し、ポリプロピレン製ポンプフォーム容器に充填した。なお、pHは4.5(25℃)に調整した。
組成 %
没食子酸−3,5−ジグルコシド 0.8
塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン液 3.0
ポリオキシエチレン(40)フィトステロール 0.5
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット 3.0
プロピレングリコール 10.0
ジメチルシリコーン 2.0
ポリオキシエチレン(30)ステアリルエーテル 0.6
ラウリルジメチルアミンオキシド 0.5
植物性スクワラン 0.1
水溶性コラーゲン 1.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
塩化ベンザルコニウム 0.1
グリコール酸 0.5
ジエタノールアミン 1.0
香料組成物1 0.1
発酵エタノール 20.0
精製水 残部
合計 100.0
【0054】
[実施例7]
(トリガータイプのヘアトリートメント)
下記処方のヘアトリートメントを調製し、PET製トリガータイフ゜容器に充填した。なお、pHは4.3(25℃)に調整した。
組成 %
没食子酸−3,5−ジグルコシド 1.0
アミノ変性シリコーン(1) 1.0
ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド 0.6
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 1.0
ポリオキシエチレン(40)フィトステロール 1.5
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット 0.1
硫酸ナトリウム 0.001
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
プロピレングリコール 4.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.05
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.2
無水ピロリン酸ナトリウム 0.05
グリコール酸 0.3
発酵エタノール 15.0
香料組成物1 0.05
精製水 残部
合計 100.0
【0055】
[実施例8]
(ヘアケアジェル)
下記処方のジェルを調製し、PET製ポンプタイプ容器に充填した。
組成 %
キトサン液 1.0
アミノ変性シリコーン(2) 2.0
没食子酸−3,5−ジグルコシド 0.5
POE(30)フィトステロール 0.5
ローズマリーエキス 0.2
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.5
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 3.0
モノイソステアリン酸テトラグリセリル 5.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット 0.5
ジヒドロキシベンゾフェノン 0.1
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
無水ピロリン酸ナトリウム 0.2
グリコール酸 0.1
発酵エタノール 18.0
香料組成物2 0.05
精製水 残部
合計 100.0
【0056】
[実施例9]
(ポンプディスペンサーヘアミスト)
下記処方のヘアミストを調製し、ポリエチレン製ポンプディスペンサー容器に充填した。なお、pHは5.0(25℃)に調整した。
組成 %
アミノ変性シリコーン(1) 1.0
没食子酸−3,5−ジグルコシド 0.5
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミノエチル−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(A) 0.03
ポリオキシエチレン(40)フィトステロール 0.1
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット 0.2
タンニン酸 0.1
硫酸ナトリウム 0.001
N−ヤシ油脂肪酸L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩 2.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
ジイソステアリン酸デカグリセリル 2.0
ソルビトール 1.0
シラカバエキス 1.0
リンゴエキス 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
安息香酸 0.2
モノエタノールアミン 0.5
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
香料組成物2 0.2
発酵エタノール 15.0
精製水 残部
合計 100.0
【0057】
[実施例10]
(エアゾールフォーム)
下記処方のエアゾールフォームを調製した。なお、容器はアルミニウム製の耐圧缶を用いた。
(原液)
組成 %
アミノ変性シリコーン(1) 2.0
没食子酸−3,5−ジグルコシド 1.0
ポリオキシエチレン(25)フィトステロール 2.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(6)ソルビット 1.5
硫酸ナトリウム 0.005
カチオン化セルロース 0.1
ジプロピレングリコール 6.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.5
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 2.0
加水分解ケラチン 1.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩
0.5
トリメチルグリシン 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.5
トリエタノールアミン 2.0
シア脂 1.0
安息香酸 0.2
香料組成物2 0.1
発酵エタノール 20.0
精製水 残部
合計 92.0
(ガス)
液化石油ガス(0.49MPa、25℃) 8.0
合計 100.0
【0058】
[実施例11]
(ヘアワックス)
下記処方のヘアワックスを調製し、帯電防止剤および紫外線吸収剤を練り込んだポリプロピレン製のジャータイプ容器に充填した。
組成 %
シア脂 3.0
アミノ変性シリコーン(1) 2.0
ポリエーテル変性シリコーン 1.0
ポリオキシプロピレン(14)ジグリセリルエーテル 7.0
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 1.0
没食子酸−3,5−ジグルコシド 2.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット 0.1
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 3.0
カルボキシビニルポリマー 0.5
キサンタンガム 0.25
加水分解シルク液 0.5
ワセリン 3.0
植物性スクワラン 2.0
キャンデリラロウ 1.0
リンゴエキス 2.0
ポリオキシプロピレン(14)ジグリセリルエーテル 4.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.3
パラオキシ安息香酸プロピル 0.2
エデト酸四ナトリウム四水塩 0.05
ジエタノールアミン 1.0
香料組成物1 0.05
発酵エタノール 6.0
精製水 残部
合計 100.0
【0059】
[実施例12]
(ジェル)
下記処方のジェルを調製し、ポリプロピレン製チューブ容器に充填した。
組成 %
ポリオキシエチレン(40)フィトステロール 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(30)ソルビット 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 5.0
カルボキシビニルポリマー 0.5
キサンタンガム 0.25
ポリエーテル変性シリコーン 5.0
水溶性固体シリコーン 2.0
シリコーンパウダー 1.0
加水分解シルク液 0.5
ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル 4.0
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
安息香酸 0.3
塩化ベンザルコニウム 0.1
トリエタノールアミン 2.5
香料組成物2 0.05
発酵エタノール 15.0
精製水 残部
合計 100.0
【0060】
[実施例13]
(ヘアクリーム)
下記A,Bを70℃でそれぞれ溶解し、BにAを加えて均一に乳化し、さらに冷却しながらCを加え、下記処方のクリームを調製し、アルミラミネートチューブに充填した。
組成 %
(A油相部)
植物性スクワラン 5.0
オレイン酸エチル 2.0
ミリスチン酸オクチルドデシル 1.5
流動パラフィン 1.0
ジメチルシリコーン 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO) 3.0
ヤシ油脂肪酸ソルビタン 2.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
セトステアリルアルコール 1.0
パラオキシ安息香酸プロピル 0.1
(B水相部)
没食子酸−3,5−ジグルコシド 0.5
ポリオキシエチレン(40)フィトステロール 0.5
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(60)ソルビット 0.5
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.3
1,3−ブチレングリコール 2.5
ジプロピレングリコール 2.5
モノエタノールアミン 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
ソルビン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.2
ゲンチアナエキス 0.1
発酵エタノール 6.0
精製水 残部
香料組成物2 0.05
合計 100.0
【0061】
[実施例14]
(エアゾールフォーム)
下記処方のエアゾールフォームを調製し、PET製耐圧容器に充填した。
組成 %
(原液)
アミノ変性シリコーン(2) 1.0
没食子酸3,5−ジグルコシド 2.0
ポリオキシエチレン(30)フィトステロール 1.5
テトラオレイン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビット 0.5
ピロクトンオラミン 0.5
オレイン酸エチル 3.0
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミノエチル−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体(B) 0.4
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリルエーテル 1.5
モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.5
ポリオキシエチレン(30)ステアリルエーテル 1.0
モノエタノールアミン 2.5
ソルビン酸 0.1
安息香酸 0.1
香料組成物2 0.2
発酵エタノール 20.0
精製水 残部
合計 80.0
(ガス)
液化石油ガス(0.49MPa、25℃) 10.0
ジメチルエーテル 10.0
合計 100.0
【0062】
上記実施例5〜14について,上記実施例1〜4と同様、使用時の「香り立ちのマイルド性」、「香りの嗜好性」及び「エタノール刺激臭のなさ」のについて評価したところ、いずれも良好であった。
【0063】
実施例で使用した香料組成物の組成、成分の原料名、商品名、原料メーカーを示す。なお、各例の配合量は成分純分換算数値(AI)である。
【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)発酵エタノール6質量%以上と、(B)3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン及び3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテートとを含有する毛髪化粧料。
【請求項2】
3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン(G)と、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル−アセテート(L)との質量比(G)/(L)が、0.6〜2.2である請求項1記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2007−176815(P2007−176815A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374390(P2005−374390)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】