説明

毛髪用洗浄剤組成物

【課題】泡性能を満足しつつ、洗浄時及び濯ぎ時に優れた洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、(B)、(C)、及び(D)を含有し、成分(A)と成分(B)との重量比[(A)/(B)]が0.1〜1.2であり、成分(A)と成分(C)との重量比[(A)/(C)]が0.1〜1.2である、毛髪用洗浄剤組成物。
(A)エーテルカルボン酸塩型界面活性剤
(B)エーテル硫酸塩型界面活性剤
(C)ベタイン型両性界面活性剤
(D)3種の単量体を含有するモノマー混合物を共重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪洗浄剤用の主界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、コハク酸系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤が使われている。また、洗髪・すすぎ時に毛髪の指通り性を向上させる方法として、カチオン性ポリマーを洗浄剤組成物に含有させることが知られている。
【0003】
特許文献1には、(A)分子中にカチオン性基と架橋構造とを有する共重合体であって、その0.5重量%ハイドロゲルの、25℃、シェアレート1sec-1の粘度η1 、シェアレート10sec-1の粘度η2 が、0.3≦η1 ≦20(Pa・sec)、0.01≦η2≦5(Pa・sec)、かつη1 >η2 である共重合体、及び(B)アニオン性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物が、塗布時の感触及び伸び性が良く、起泡性が良好で、かつ洗浄時及び乾燥後の感触に優れ、しかも洗浄後に高いコンディショニング効果を有することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、(A)少なくとも1種のサルフェート又はスルホネート系アニオン界面活性剤、(B)ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルエーテルカルボン酸類、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルアリールエーテルカルボン酸類、及びそれらの塩類、ポリオキシアルキレン化(C6〜C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸類及びそれらの塩類から選択される、(A)で言及した前記界面活性剤以外の少なくとも1種のカルボン酸系アニオン界面活性剤、(C)少なくとも1種の両性界面活性剤、並びに(D)少なくとも1種の水に不溶性のカルボン酸エステル、を含む新規な洗浄及びコンディショニング用組成物が開示されている。
特許文献3には、(A)、(B)および(C)(A)一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸系界面活性剤:(B)炭素数4〜12のアルキル基またはアルケニル基を有するグリセリルエーテル;(C)カチオン性基含有共重合体を含有する洗浄剤組成物であって、皮膚等に対する刺激性が少なく、起泡力および泡質に優れ、かつ、洗浄時、すすぎ時、および乾燥後の感触が良好な洗浄剤組成が記載されている。
しかし、これらの従来技術を利用した毛髪洗浄剤組成物であっても、泡性能と毛髪洗浄に求められる性能との両立においては未だ不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−144184号公報
【特許文献2】特開2006−282662号公報
【特許文献3】特開2005−336387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、泡性能を満足しつつ、洗浄時及び濯ぎ時の感触、特に指通り、柔らかさに優れた洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、成分(A)と成分(B)との重量比[(A)/(B)]が0.1〜1.2であり、成分(A)と成分(C)との重量比[(A)/(C)]が0.1〜1.2である、毛髪用洗浄剤組成物を提供するものである。
(A)エーテルカルボン酸塩型界面活性剤
(B)エーテル硫酸塩型界面活性剤
(C)ベタイン型両性界面活性剤
(D)次の単量体(a1)、(a2)及び(a3)を含有するモノマー混合物を共重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体 :
〔単量体(a1)〕一般式(I)又は(II)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基示し、R3は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基示す。〕
【0010】
【化2】

【0011】
〔式中、R1は前記の意味を示し、A1及びA2は同一又は異なって、式 −(CH2)n−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH2−基を示す。〕
〔単量体(a2)〕一般式(III)及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種
【0012】
【化3】

【0013】
〔式中、R1は前記の意味を示し、R4及びR5は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Y は −O−、−NH−、−CH2−又は−O−CH2CH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH2−のときは炭素数0〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。〕
【0014】
【化4】

【0015】
〔式中、R7及びR8は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R9及びR10は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、X は前記の意味を示す。〕
〔単量体(a3)〕2個以上の反応性不飽和基を有する架橋性単量体
【発明の効果】
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は、毛髪を洗浄した時の泡性能を満足しつつ、洗浄時及び濯ぎ時の感触に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、上記成分(A)〜(D)を、特定の割合で含有する洗浄剤組成物を用いることにより、泡性能を満足しつつ、洗浄時及び濯ぎ時において、優れた感触を与えることができることが見出され、完成されたものである。
これは、本発明の洗浄剤組成物が、洗浄中の希釈過程、及び更にすすぎ時の希釈過程において、(D)成分のカチオン性基含有共重合体と前記(A)、(B)、(C)成分を含有する界面活性剤組成物を特定の割合で用いることにより、泡性能を満足しつつ、指通りや柔らかさを向上させる構造性複合体(単に、複合体ともいう)が析出し易くなるためであると考えられる。
更に本発明の洗浄剤組成物中にシリコーンを含有させることで、洗浄時及び濯ぎ時だけでなく、毛髪が濡れた時及び乾燥した時の柔らかさや指通りにおいても、優れた感触を与えることができる。これは、洗浄時もしくはすすぎ時に、前記複合体にシリコーンが取り込まれ、前記複合体の性能を向上させると共に、シリコーンの毛髪への残留性を高めるためと推定される。
以下、本発明の構成について詳述する。
【0018】
成分(A)のエーテルカルボン酸塩型界面活性剤は、主に(D)成分との相互作用により、指通りや柔らかさを向上させる構造性複合体の性能を形成するのに主要な成分と考えられる。成分(A)は、特に限定されないが、好ましいものとしては、下記一般式(4)、(5)で表されるものが挙げられる。
【0019】
11−Z1−(A1O)n−Y1−COOX1 (4)
(式中、R11は炭素数5〜21の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシル基を含んでもよいアルキル基又はアルケニル基を示し、Z1は−O−又は−CONH−を示し、A1は炭素数2又は3のアルキレン基を示し、X1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニ
ウム、又は有機アンモニウムを示し、Y1は炭素数1〜3のアルキレン基を示し、nは、平均付加モル数を意味し、2〜15の数を示す。)X1がアルカリ土類金属の場合は、界面活性剤に対して、1/2のモル比となる。以下同様である。
【0020】
式(4)中、Z1が−O−の場合、R11は炭素数12〜16の基が好ましく、Z1が−CONH−の場合、R11は炭素数11〜15の基が好ましい。A1はエチレン基又はプロピレン基であり、エチレン基が好ましい。
nの平均付加モル数は、泡量又は洗浄時及び濯ぎ時の感触の観点から、好ましくは2〜11、更に好ましくは4〜10が好ましいが、泡量の観点からは2〜6が好ましく、洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさの観点からは、6〜11が好ましい。これらの平均付加モル数の相違するエーテルカルボン酸塩型界面活性剤の2種以上を併用することも好ましい。
【0021】
またX1のアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム及びカリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム等が挙げられ、有機アンモニウムとしては、トリエタノールアンモニウム等の好ましくは炭素数2〜9のアルカノールアンモニウム;トリメチルアンモニウム等の好ましくは炭素数1〜9のアルキルアンモニウム;リジンカチオン、アルギニンカチオン等の塩基性アミノ酸カチオンが挙げられる。これらの中では、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属が好ましい。
1としては炭素数1のメチレン基が好ましい。
【0022】
一般式(5)
【0023】
【化5】


(式中R12は炭素数4〜34の直鎖もしくは分岐鎖のアルキルまたはアルケニル基を示す。X2及びX3の少なくとも一方は−CH2COOM1を示し、他方は水素原子でもよい。M1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを
示す。)
式(5)中、R12は、好ましくは炭素数8〜25、更に好ましくは炭素数8〜18の基であり、X2及びX3は、両者とも−CH2COOM1であるか、少なくとも一方は−CH2COOM1であり、他方は水素原子である。M1は、前述のX1と好ましい例示は同じである。
市販のものとしては三洋化成工業(株)の「ビューライト」、花王(株)の「カオーアキポRLM」シリーズ等が例示できる。また、特開平6−316546号公報記載のエーテルカルボン酸を用いてもよい。具体的には、ポリオキシエチレン(平均付加モル数4〜10)デシルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数4〜10)ラウリルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数4〜10)ミリスチルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数4〜10)セチルエーテル酢酸塩等が挙げられ、塩としてナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0024】
成分(B)のエーテル硫酸塩型界面活性剤は、主に泡性能を向上させると共に、成分(C)とで構造性複合体を析出し易くすると考えられる。成分(B)は、特に限定されないが、好ましいものとしては、下記一般式(6)で表されるものが挙げられる。
【0025】
13O(CH2CH2O)pSO32 (6)
【0026】
(式中、R13は炭素数6 〜22のアルキル又はアルケニル基を示し、pは平均付加モル数を意味し、0.5〜5を示し、M2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを示す。)
式中、R13は、起泡性の観点から、炭素数10〜18の基が好ましい。pは起泡性の観点から好ましくは0.5〜3あり、M2は、前述のX1と好ましい例示は同じである。 市販のものとしては花王(株)製「エマール」シリーズ等が例示できる。具体的には、ポリオキシエチレン(平均付加モル数0.5〜3)デシルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数0.5〜3)ラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数0.5〜3)ミリスチルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン(平均付加モル数0.5〜3)セチルエーテル硫酸塩等が挙げられ、塩としてナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアンモニウム等が挙げられる。
【0027】
成分(C)のベタイン型両性界面活性剤は、主に増泡性能を有すると共に、成分(B)とで構造性複合体を析出し易くすると考えられる。成分(C)は、カルボベタイン型及びアミドカルボベタイン型(以下、両者を併せて単にカルボベタインという);スルホベタイン型及びアミドスルホベタイン型(以下、両者を併せて単にスルホベタインという);イミダゾリニウムベタイン型並びにホスホベタイン型等が挙げられる。
具体的には、次の一般式(B−2a)、(B−2b)で表されるカルボベタイン、アミドカルボベタイン、次の一般式(B−2c)、(B−2d)で表わされるスルホベタイン、アミドスルホベタイン、一般式(B−2e)又は(B−2f)で表されるイミダゾリニウムベタインが挙げられる。
【0028】
【化6】

【0029】
〔各式中、R24は炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、R25及びR26はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、R27は炭素数1〜6のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を示し、R28は単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R29は炭素数1〜5のアルキレン基又はヒドロキシアルキレン基を示す。〕
【0030】
一般式(B−2a)〜(B−2f)で表される各種ベタインのうち、R24が炭素数8〜16のアルキル基、R25及びR26がメチル基、R27〜R29が炭素数1〜5のアルキレン基のものが好ましく、具体的にはアルキルジメチルアミノカルボベタイン、アルキルアミドアルキレンジメチルアミノカルボベタイン、アルキルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドアルキレンジメチルアミノスルホベタイン、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。より具体的には、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタインが好ましい。
これらの中でも、カルボベタイン及びスルホベタインからなる群から選ばれる一種以上が、泡性能と洗浄時及び濯ぎ時の感触の点から好ましく、両者を併用することが更に好ましい。カルボベタインとスルホベタインの重量比(カルボベタイン/スルホベタイン)は、好ましくは1/5〜5/1、更に好ましくは1/3〜3/1で用いることが泡性能と洗浄時及び濯ぎ時の感触の点から好ましい。
【0031】
本発明に用いる成分(D)は、上記単量体(a1)、(a2)及び(a3)を必須構成単量体とし、重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体である。
【0032】
〔単量体(a1)〕
一般式(I)又は(II)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種である。
【0033】
【化7】

【0034】
〔式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基示し、R3は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基示す。〕
【0035】
【化8】

【0036】
〔式中、R1は前記の意味を示し、A1及びA2は同一又は異なって、式 −(CH2)n−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH2−基を示す。〕
【0037】
式(I)中、R2は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基が、すすぎ時の指通り、柔らかさの観点から好ましい。R2、R3の好ましい基としては、同一又は異なって、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
【0038】
前記一般式(I)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N, N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N, N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、一般式(II)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体としては、N−(メタ)アクロイルモルホリンなどが挙げられるが、N,N−ジ置換アクリルアミドを用いた場合に使用感が好ましく、さらにはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等がより好ましい。
【0039】
〔単量体(a2)〕
一般式(III)及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種である。
【0040】
【化9】

【0041】
〔式中、R1は前記の意味を示し、R4及びR5は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Y は −O−、−NH−、−CH2−又は−O−CH2CH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH2−のときは炭素数0〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。〕
【0042】
【化10】

【0043】
〔式中、R7及びR8は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R9及びR10は同一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、X は前記の意味を示す。〕
【0044】
4、R5、R6、R9及びR10の好ましい例として、同一又は異なって、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられる。
Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基が好ましい。
式(III)及び(IV)の単量体の塩を得るために用いる好ましい酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、スルファミン酸などが挙げられ、4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等が挙げられる。
【0045】
単量体(a2)としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドを前記の4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0046】
単量体(a3)は、2個以上の反応性不飽和基を有する架橋性単量体であり、具体的には、(1)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物;(2)ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;(3)ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物等が挙げられる。好ましくは、(1)の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル化合物であり、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0047】
単量体(a1)と単量体(a2)との好ましい配合比率は、起泡性、洗髪時の髪のからまりのなさ及びすすぎ性の観点から、(a1)/(a2)のモル比で、好ましくは2/98〜98/2であり、さらに好ましくは50/50〜95/5であり、より更に好ましくは60/40〜93/7である。
単量体(a3)の割合は、起泡性、洗髪時の髪のからまりなさ、頭皮のマッサージ性及びすすぎ性の観点から単量体全量に対して0.002〜5重量%が好ましく、柔らかく、すべりの良いものとなるすすぎ時の感触の観点から、0.002〜0.5重量%がより好ましく、0.002〜0.08重量%が更により好ましい。
【0048】
成分(D)の共重合体を製造する方法は、特開平11−71435号公報段落0041〜0045及び実施例に記載されている。
【0049】
成分(D)のカチオン電荷密度は、洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさの観点から、0.3〜2.5meq/gが好ましく、0.3〜2meq/gがより好ましく、0.5〜1.5meq/gがより更に好ましい。
ここでカチオン電荷密度は、ポリマーの仕込みカチオンモノマー量より、下記式で求めることができる。
ポリマーのカチオン電荷密度(meq/g)=a2重量×1000/[(a1+a2+a3の合計重量)×a2の分子量]
【0050】
成分(D)は、その0.5%ハイドロゲルの、25℃、シェアレート1sec-1の粘度η1、シェアレート10sec-1の粘度η2が、0.3≦η1≦20(Pa・sec)、0.01≦η2≦5(Pa・sec)、かつη1>η2であるものが好ましい。
粘度挙動がこの範囲内にあれば起泡性、洗髪時の髪のからまりなさ及びすすぎ性が良好な使用感を得ることができる。特に、成分(D)が0.4≦η1≦10(Pa・sec)、0.5≦η2≦3(Pa・sec)であるとき、一層好ましい使用感が得られる。
【0051】
また、成分(D)の0.5%ハイドロゲルの、25℃、ひずみ周波数6.28rad/sec、ひずみ1%での複素弾性率ε1 、損失正接tan δ1、ひずみ500%での複素弾性率ε2、損失正接tan δ2が、1≦ε1≦300(N/m2)、tan δ1 ≦2、かつ、0.01≦ε2 ≦30(N/m2 )、tan δ2 ≧1であるとき、より好ましい感触の毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。ここで、成分(D)の損失正接が、tan δ1 ≦1.5、更にはtan δ1 ≦1.0となるに従って、より好ましい感触の毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。
【0052】
η1〜η2の測定は、以下の方法による。
検体1:イオン交換水に粉末試料(平均粒径50μm以下)を加え、50℃、半日保持して調製した0.5%のハイドロゲル。
測定装置:HAAKE社製粘度計、Rotovisco RV-20、
測定条件:測定頭M10、共軸2重円筒型ローター、
測定温度25℃、試料量15ml、
シェアレート:2分間で0sec-1 から15sec-1 まで上昇、
測定点数:上記シェアレート範囲に亙り60点測定。
計算方法:上記測定値からRotation Version 2.8のプログラムにより算出。
【0053】
δ1 、δ2 、ε1 、ε2 の測定は下記の方法による。
検体:上記検体1と同じ。
測定装置:Rheometrics 社製、Fluids Spectrometer RFS-II
測定条件:Dynamic Strain Sweep (動的ひずみ掃引) モード
コーンプレート:直径50mm、ギャップ0.05mm、アングル0.04rad、ひずみ周波数6.2rad/sec、ひずみ0.5〜500%。
測定温度:25℃。
【0054】
成分(D)は、洗浄時及び濯ぎ時の毛髪の指通り、及び柔らかさの向上の観点から、ポリマー粒子であることが好ましく、その平均粒径(体積中位粒径)は、上記の観点から、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、1〜4μmが更により好ましくい。
この粒径の範囲内では、(E)成分のシリコーンを構造性複合体に、多く取り込むことができ、乾燥時の毛髪の指通り、滑り、柔らかさに優れる。
平均粒径の測定は、成分(D)の粉体をシクロヘキサン中、機器にて測定可能な任意の濃度(約10重量%前後)に分散させ、このポリマー分散液を数滴、測定溶媒(シクロヘキサン)に加え、1分間測定後の体積中位粒径(D50)を測定した。
測定装置:コールター(株)社製 レーザー解説散乱粒度分析装置LS230(スモールボリュームモジュール付き)
【0055】
本発明の洗浄剤組成物中、上記成分(A)の含有量は、前記(D)成分との相互作用による、洗浄時の柔らかさ及び濯ぎ時の指通り等の観点から、好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは1〜8重量%、より好ましくは1.8〜7重量%である(酸としての割合を示す。以下、同じ)。本発明の洗浄剤組成物中、成分(A)と成分(D)との重量比[成分(D)/成分(A)]は、構造性複合体の性能を決定するために重量比はある程度高くする必要があり、洗浄時の柔らかさ及び濯ぎ時の指通りの観点から、0.05〜0.3が好ましく、0.06〜0.25が好ましく、0.07〜0.2が好ましい。
本発明の洗浄剤組成物中、上記成分(B)の含有量は、主に泡性能と、前記(D)成分との相互作用により、成分(C)と共に構造性複合体を析出し易くする観点から、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%、より好ましくは3.5〜13重量%である。
本発明の洗浄剤組成物中、上記成分(C)の含有量は、増泡性能と、前記(D)成分との相互作用により、成分(B)と共に構造性複合体を析出し易くし、洗浄時の柔らかさを向上させる観点から、好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%、より好ましくは3〜13重量%である。本発明の洗浄剤組成物中、成分(C)と成分(D)との重量比[成分(D)/成分(C)]は、上記の観点から、0.02〜0.25が好ましく、0.03〜0.2が好ましく、0.03〜0.15が好ましい。
【0056】
本発明の洗浄剤組成物中、成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計含有量は、充分な泡性能を有すると共に、洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさの観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜25重量%が更に好ましく、5〜20重量%が更に好ましい。
成分(D)は、1種以上を用いることができ、本発明の洗浄剤組成物中の含有量は、洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさの観点から、好ましくは0.01〜3重量%、更に好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物中の成分(A)と成分(C)との重量比[(A)/(C)]は、0.1〜1.2であり、0.15〜1が好ましく、0.2〜0.8が更に好ましい。0.1未満では、前記成分(D)との相互作用による洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさの点で低下し、1.2を超えると泡性能が低下する。
【0058】
本発明の洗浄剤組成物中の成分(B)と成分(C)との重量比[(B)/(C)]は、泡性能と共に、成分(B)と(C)と(D)との相互作用により、構造性複合体を析出し易くし、洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさを向上する観点から、0.1〜6が好ましく、0.2〜5が更に好ましく、0.3〜3がより更に好ましい。
【0059】
本発明の洗浄剤組成物中の成分(A)と成分(B)との重量比[(A)/(B)]は、0.1〜1.2であり、0.15〜1が更に好ましく、0.2〜0.8が、より更に好ましい。0.1未満では、前記成分(D)との相互作用による洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさの点で低下し、1.2を超えると泡性能が低下する。
【0060】
本発明の洗浄剤組成物中、成分(A)の含有量と、成分(A)と(B)と(C)の合計含有量との重量比〔成分(A)/[成分(A)+成分(B)+成分(C)]〕は、主に洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさを向上させる共に、泡性能とのバランスの観点から、好ましくは0.08〜0.37、更に好ましくは0.1〜0.3、より更に好ましくは0.1〜0.25である。
成分(B)の含有量と、成分(A)と(B)と(C)の合計含有量との重量比〔成分(B)/[成分(A)+成分(B)+成分(C)]〕は、主に泡性能を向上させると共に、洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさのバランスの観点から、好ましくは0.1〜0.8、更に好ましくは0.2〜0.7、より更に好ましくは0.2〜0.6である。
成分(C)の含有量と、成分(A)と(B)と(C)の合計含有量との重量比〔成分(C)/[成分(A)+成分(B)+成分(C)]〕は、増泡性能と洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさのバランスの観点から、好ましくは0.1〜0.8、更に好ましくは0.2〜0.8、より更に好ましくは0.2〜0.7である。
洗浄剤組成物中、 成分(D)の含有量と、成分(A)と(B)と(C)の合計含有量との重量比〔成分(D)/[成分(A)+成分(B)+成分(C)]〕は、構造性複合体を析出させる観点から、好ましくは0.005〜0.1であり、更に好ましくは0.007〜0.05である。
【0061】
本発明の毛髪用洗浄剤組成物は、(D)成分のカチオン性基含有共重合体と前記(A)、(B)、(C)成分を含有する界面活性剤組成物との相互作用による構造性複合体により、シリコーン、香料等の油性成分、セラミド等の保湿剤をすすぎ時に効率的に残留させることができる。
本発明の毛髪用洗浄剤組成物の構造性複合体の析出量は、界面活性剤濃度を一定にし、析出量の測定に影響を与える成分を排除したモデル洗浄剤組成物を用いて測定することができる。
具体的には、下記の工程1で調整された洗浄剤組成物の工程2での希釈時の透過率T(%)(600nm)から、下記式(1)を用いて求められる濁度により、測定することができる。
【0062】
濁度(%)=100−T(%) (1)
工程1:成分(A)〜(D)を、同一組成比を維持したまま成分(A)〜(C)の合計 含有量が15重量%になるように、洗浄剤組成物を調整する工程
但し、該洗浄剤組成物は、成分(A)〜(D)以外の成分として、NaCl1重量%と精製水と必要ならpH調整剤とだけを含み、pH(20℃)を6.0に調整したものである。
工程2:工程1で得られた洗浄剤組成物1gを4°硬水7gで希釈する工程
【0063】
上記工程1では、成分(A)〜(C)の合計含有量が15重量%になるように、成分(A)〜(D)が同一組成比を維持したまま洗浄剤組成物を調整する。この洗浄剤組成物は、希釈時の透過率を測定するために、成分(A)〜(D)以外の成分として、NaCl1重量%と精製水と必要ならpH調整剤とだけを含むものであり、成分(A)〜(C)以外の他の界面活性剤、成分(D)以外のポリマー、シリコーン、パール化剤等は含まないように調整する。
pH(20℃)を6.0にするために必要であるならば、pH調整剤として、NaOH又はHClを用いる。
工程2では、工程1の洗浄剤組成物1gに、4°硬水7gを添加、希釈し、構造性複合体を析出させる。希釈後、5分以内に透過率の測定を行う。透過率の測定は、1cm長のガラスセルを用いる。
【0064】
濁度(%)は、洗浄時及び濯ぎ時において、指通り、柔らかさに優れた感触を与えるためには、10以上が好ましく、10〜60が更に好ましく、10〜50がより更に好ましい。
特定量の前記成分(A)〜(C)の界面活性剤と(D)カチオン性基含有共重合体とから得られる複合体が、洗浄時及び濯ぎ時において、優れた感触を与えるものである。
【0065】
本発明ではさらに、成分(E)としてシリコーンを含有させることが、毛髪が濡れた時及び乾燥した時の柔らかさや指通りにおいて優れた感触を与える観点から好ましい。
かかる成分(E)は、化粧品用途に使われるシリコーン及びシリコーン誘導体であれば何でも良く、ジメチコン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、分岐(ポリ)グリセロール変性シリコーン、グリセリルエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミドアルキル変性シリコーン、アミノグリコール変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン、アクリル・アミノシリコーン共重合体、フェニル変性シリコーン、アミノフェニル変性シリコーン、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、シリコーンエラストマー(パウダー)、変性シリコーン被覆架橋ポリマー(パウダー)等が挙げられる。
【0066】
市販のものとしては、信越化学工業(株)、東レ・ダウコーニング(株)等シリコーン製造メーカーから発売され、「化粧品用シリコーン」、または「パーソナルケア用シリコーン」等のカタログに記載されているものも使用できる。
他に特許公報 特開平4−108795や特開2004−339244記載のシリコーンを用いてもよい。
【0067】
上記成分(E)は、1種以上を用いることができ、本発明の毛髪洗浄剤組成物中、好ましくは0.5〜5重量%、更に好ましくは1〜3重量%含有される。成分(D)のカチオン性基含有共重合体と界面活性剤との複合体中に、成分(E)を取り込ませ、毛髪が濡れた時及び乾燥した時の柔らかさや指通りにおいて優れた感触を与える観点から、成分(E)と成分(D)との重量比[(D)/(E)]は、1/20〜1/1が好ましく、1/10〜1/2が更に好ましい。
【0068】
本発明に用いる毛髪洗浄剤組成物では、前記必須成分のほか、目的に応じて、通常洗浄料に用いられる他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で配合することが出来る。
アルキル硫酸塩、コハク酸系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤等の上記成分(A)、(B)以外のアニオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグルコシド等のノニオン性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;カチオン化多糖、カチオン化ポリペプチド、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムなどの成分(D)以外のカチオン性ポリマー;多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、植物由来油脂、動物由来油脂、鉱物油などの油性成分;ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;エチレングリコールジステアリン酸エステル、マイカ等のパール化剤;多価アルコール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン、セラミド、コレステロールなどの保湿剤;メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ポリビニルアルコールなどの増粘剤;エタノール、1,3−ブチレングリコールなどの溶媒;ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸などの酸化防止剤;安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル、ヘキサクロロフェンなどの抗菌防腐剤;グリシン、アラニンなどのアミノ酸又はこれらの塩。クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、ナフタレンスルホン酸などの有機酸又はこれらの塩;ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンC類及びその誘導体、ビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチンなどのビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、などの各種薬剤;センブリ、トウキ、ユーカリなどの有機溶剤、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコールなどで抽出した天然エキス;その他に、香料、スクラブ剤、精製水などを配合することができる。
【0069】
本発明の毛髪洗浄剤組成物の剤型は液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、泡状いずれの形態をとることもできる。本発明の毛髪洗浄剤組成物のpH(20℃)は、4〜7が好ましい。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
【0071】
製造例1(カチオン性基含有共重合体)
反応容器中に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩(MOEDES:日東化学工業社製)23.85g、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)71.37g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(NK-9G:新中村化学社製)0.0429g、イオン交換水350gからなる予め窒素置換した単量体水溶液を入れ、20分間窒素を吹き込んだ後、更に、窒素雰囲気下で55℃まで昇温した。次いで、重合開始剤(2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩)を0.22g添加した。30分〜1時間後に重合し始め、全体が柔らかいゲル状となった。そのまま攪拌を続け、重合開始剤添加4時間後、重合を停止させた。餅状の内容物を取り出し、5リットルのエタノール中で10分攪拌洗浄し、乾燥させた。その後、コーヒーミル、ジェットミルで粉砕し、粉砕粒子をハイボルターで分級し、KGポリマー(0.8meq/g)を得た。前期測定法により、平均粒径値(体積中位粒径)は、2.7μmであった。
MOEDES:DMAAm:NK-9G=10:90:0.01(モル比)、η1:2.5、η2:0.5、ε1:2.4、ε2:1.3、 tan δ1:0.98、tan δ2:2.28
【0072】
実施例1〜10、比較例1〜7
表4に示す組成の毛髪洗浄剤組成物を常法により製造し、pHを水酸化ナトリウムで6.0(20℃)に調整した。これらを使用したときの泡量、泡質、洗浄時、すすぎ時の毛髪を下記のように評価し、平均点数化した。
結果を表4に併せて示す。表中の数値は、純分の重量%である。
【0073】
官能評価の詳細な手順を示す。
5人のパネラー: 25〜40歳の日本人女性。
使用温水: 38〜40℃の水道水(硬度3〜5°DH)。
【0074】
手順
温水を頭髪にかけ十分に水分を含ませた後、本発明の毛髪洗浄剤組成物を適量(パネラーが自分の髪の長さに合せて使用するシャンプーと同量)手に取り、毛髪洗浄剤組成物を頭髪に十分行き渡させる様に手を動かしてシャンプーを行う。シャンプー時、すすぎ時、の状態を、下記表の評価基準により評価した。
【0075】
尚、成分(D)を含む複合体の析出量を以下の方法で求めた。
(測定方法)
(1)実施例及び比較例のシャンプー溶液(界面活性剤濃度15重量%)をサンプル管 に1gとり、4°硬水を7g加える
(2)吸光光度計(U-2000A;日立(株)製)を用いて、600nmにおける透過率T(%)を測定する(20℃)。
(3)透過率から濁度を算出する。
濁度(%)=100‐T(%)
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
表4中で用いた界面活性剤及びポリマーは、下記のものである。表中の数値は、純分で記載しており、界面活性剤量の純分の合計量を15重量%にした。
*1:KAO AKYPO RLM100NV ; 花王(株)社製
*2: KAO AKYPO RLM45NV ; 花王(株)社製
*3:エマール270J ; 花王(株)社製
*4:アンヒトール55AB; 花王(株)社製
*5:アンヒトール20HD; 花王(株)社製
*6:前記ポリマー粒子
*7: JR-400 INCI: Polyquaternium-10 ; Dow Amerchol社製
Salcare 92 :チバスペシャリティケミカルス(株)アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(20/80)の架橋ポリマー 3.8meq/g
精製水はイオン交換水の意味である。
【0081】
表4より、本願発明の洗浄剤は、泡質、泡量を満足しつつ、洗浄時及び濯ぎ時の指通り、柔らかさにおいて、比較例より優れている。これは、本願の洗浄剤の希釈過程において、析出する複合体がこのような感触を与えるものと推定される。
また、実施例4と比較例6、7とを比較すると、同じカチオン性ポリマーであっても、本願と異なるポリマーでは、性能において劣ることがわかる。実施例7から10のようにコカミドプロピルベタイン(カルボベタイン)とラウリルヒドロキシスルホベタイン(スルホベタイン)とを併用することで、泡性能が向上すると共に、感触も向上している。
【0082】
実施例11、比較例8−9
表5に示す組成の毛髪洗浄剤組成物を常法により製造し、pHを水酸化ナトリウムで6.0(20℃)に調整し、泡量、泡質、洗浄時、すすぎ時に加えて、WET時、DRY時の毛髪についても、同様に評価し、平均点数化した。
尚、シリコーンの析出量は、以下の方法で求めた。
(測定方法)
(1)アジア人毛髪を結って作った毛束1g(10cm)に対し、シャンプー8倍溶液1.6gで
30秒間泡立てた。
(2)500mlの40℃温水で3回濯いだ。1回あたり、毛束を5回温水に浸漬と引き上げ
を繰り返すことで濯ぎを行った。
(3)毛束をドライヤーで乾燥した。
(4)試験管に処理した毛束を入れ、クロロホルム5mlを加え、30秒間振とうし、三角
フラスコへ移した。(3回繰り返す)
(5)200ppmジニトロベンゼン内標(クロロホルム溶液)を5ml加えた。
(6)窒素ガスで乾固させた。
(7)クロロホルム1mlで三角フラスコを洗い、NMRチューブに入れて、1Hを測定した。
(8)測定結果より得られた内標とシリコーンのピーク強度(下記)から、シリコーン
残留量をNMRより、定量した。
1H−NMRスペクトル
0.05-0.25ppm(Si-CH3)
【0083】
【表5】

【0084】
表5中で用いた界面活性剤及びポリマーは、下記のものである。表中の数値は、純分の重量%である。
*1:KAO AKYPO RLM100NV ; 花王(株)社製
*2:KAO AKYPO RLM45NV ; 花王(株)社製
*3:エマール270J ; 花王(株)社製
*4:前記ポリマー粒子
*5:JR-400 ; Dow Amerchol社製
*6:BY22-050A ; 東レ・ダウコーニング(株)社製
*7:KALCOL6098 ; 花王(株)社製
*8:エチレングリコールジステアレート
【0085】
表5より、実施例11は、比較例8,9と比較して、WET時、DRY時の滑り、柔らかさ、指通りにおいても優れている。これは、複合体によるシリコーンの残留量が増加したためと、推定される。実施例11のコカミドプロピルベタインに代えて、コカミドプロピルベタインとラウリルヒドロキシスルホベタインとを重量比で1/1で用いた場合、泡性能と感触も向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、成分(A)と成分(B)との重量比[(A)/(B)]が0.1〜1.2であり、成分(A)と成分(C)との重量比[(A)/(C)]が0.1〜1.2である、毛髪用洗浄剤組成物。
(A)エーテルカルボン酸塩型界面活性剤
(B)エーテル硫酸塩型界面活性剤
(C)ベタイン型両性界面活性剤
(D)次の単量体(a1)、(a2)及び(a3)を含有するモノマー混合物を共重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体 :
〔単量体(a1)〕一般式(I)又は(II)で表される親水性ノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種
【化1】


〔式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子、あるいは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基示し、R3は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基示す。〕
【化2】


〔式中、R1は前記の意味を示し、A1及びA2は同一又は異なって、式 −(CH2)n−(nは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH2−基を示す。〕
〔単量体(a2)〕一般式(III)及び(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量
体の少なくとも1種
【化3】


〔式中、R1は前記の意味を示し、R4及びR5は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Y は −O−、−NH−、−CH2−又は−O−CH2CH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH2−のときは炭素数0〜3)の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基を示す。〕
【化4】


〔式中、R7及びR8は同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R9及びR10は同
一又は異なって水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは前記の意味を示す。〕
〔単量体(a3)〕2個以上の反応性不飽和基を有する架橋性単量体
【請求項2】
組成物中、成分(A)の含有量と、成分(A)と(B)と(C)の合計含有量との重量比〔成分(A)/[成分(A)+成分(B)+成分(C)]〕が、0.08〜0.37である、請求項1記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(A)の含有量と、成分(D)の含有量との重量比[成分(D)/成分(A)]が、0.05〜0.3である、請求項1又は2記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項4】
成分(D)が、ポリマー粒子である、請求項1〜3のいずれか1項記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項5】
成分(C)が、カルボベタインとスルホベタインとを含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項6】
カルボベタインとスルホベタインとの重量比(カルボベタイン/スルホベタイン)が1/5〜5/1である、請求項5記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項記載の毛髪用洗浄剤組成物であって、下記の工程1で調整された洗浄剤組成物の工程2での希釈時の透過率T(%)(600nm)から、下記式(1)を用いて求められる濁度が、10(%)以上である、毛髪用洗浄剤組成物。
濁度(%)=100−T(%) (1)
工程1:成分(A)〜(D)を、同一組成比を維持したまま成分(A)〜(C)の合計
含有量が15重量%になるように、洗浄剤組成物を調整する工程
但し、該洗浄剤組成物は、成分(A)〜(D)以外の成分として、NaCl 1
重量%と精製水と必要ならpH調整剤とだけを含み、pH(20℃)を6.0
に調整したものである。
工程2:工程1で得られた洗浄剤組成物1gを4°硬水7gで希釈する工程
【請求項8】
更に、成分(E)としてシリコーンを含有する請求項1〜7の何れか1項記載の毛髪用洗浄剤組成物。
【請求項9】
成分(E)のシリコーンと、成分(D)のカチオン性基含有共重合体との重量比[(D)/(E)]が、1/20〜1/1 である、請求項8記載の毛髪用洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−235059(P2009−235059A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30980(P2009−30980)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】