説明

毛髪用組成物

【課題】粉末状シリコーンを配合する毛髪用組成物において、粉末状シリコーンの凝集を抑制することができる毛髪用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の毛髪用組成物は、下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とする。
(A):粉末状シリコーン。
(B):下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩。


(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末状シリコーンと特定のカチオン性界面活性剤を併用することにより、粉末状シリコーンの凝集を防止した毛髪用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、シャンプー、ヘアコンディショナー等の毛髪用組成物に粉末状シリコーンを配合する構成が知られている。粉末状シリコーンはぬれた髪にくし通りの良さと乾燥後コンディショニング効果を付与するために配合される。従来より、特許文献1に開示される毛髪用組成物が知られている。かかる毛髪用組成物は、粉末状シリコーンとしてシリコーンエラストマー粉体を含有するとともにコンディショニング効果を付与するためにα−ヒドロキシカルボン酸を配合する。
【特許文献1】特開平10−203932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に開示される従来の毛髪用化粧料は、コンディショニング効果等を付与するために配合される粉末状シリコーンが、組成物調製時又は保存時に凝集しやすく取り扱いが難しいという問題があった。そのため、特に液状、クリーム状剤等として主に用いられる毛髪用化粧料に適用することは容易ではなかった。
【0004】
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、粉末状シリコーンに特定のカチオン性界面活性剤を併用することにより、粉末状シリコーンの凝集を抑制することができることを見出したことに基づくものである。
【0005】
本発明の目的とするところは、粉末状シリコーンを配合する毛髪用組成物において、粉末状シリコーンの凝集を抑制することができる毛髪用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪用組成物では、下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とする毛髪用組成物。
(A):粉末状シリコーン。
(B):下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩。
【0007】
【化2】

(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の毛髪用組成物において、さらに(C)25℃で液状のシリコーン類を配合することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の毛髪用組成物において、前記(A)粉末状シリコーンは、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、及びそれらの複合体から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項記載の毛髪用組成物において、さらに(D)水を配合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粉末状シリコーンを配合する毛髪用組成物において、粉末状シリコーンの凝集を抑制することができる毛髪用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の毛髪用組成物をヘアトリートメント剤として具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の毛髪用組成物としてのヘアトリートメント剤は、有効成分である(A)成分として粉末状シリコーン、(B)成分として下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩が含有される。さらに、その他の成分として好ましくは(C)成分として25℃で液状のシリコーン類が含有される。(A)〜(C)成分からなる有効成分がその他の成分である(D)水に溶解又は分散され水溶液、分散液、乳化液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等の状態で毛髪に適用される。
【0012】
【化3】

(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)
本実施形態において(A)粉末状シリコーンは、ぬれた髪にくし通りの良さや仕上がりの滑らかさ等のコンディショニング効果を付与するために配合される。(A)粉末状シリコーンとして用いられるシリコーンとしては、水不溶性のシリコーン樹脂粉末、シリコーンエラストマー粉末、及びそれらの複合体が挙げられる。
【0013】
シリコーン樹脂粉末は、シロキサン結合が(CH3SiO3/2nで表わされる三次元網目状に架橋した構造を持つポリメチルシルセスキオキサンの微粉末が挙げられる。
シリコーンエラストマー粉末は、直鎖状のジメチコン(ジメチルポリシロキサン)を架橋した構造を有するシリコーンゴムの微粉末が挙げられる。架橋型のジメチコンとして(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー等を挙げることができる。これらのシリコーン粉末は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの中でコンディショニング効果及び洗い流しやすさの観点から(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー及びポリメチルシルセスキオキサンが好ましい。
【0014】
また、上記例示した粉末状シリコーンの一種又は二種以上と水不溶性粒子との複合体を使用してもよい。水不溶性粒子としては二酸化ケイ素等の無機粒子、及びポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステルの共重合体等の高分子粒子を挙げることができる。また、球状シリコーンゴム粒子の表面をシリコーン樹脂で被覆したシリコーン複合粒子も使用することができる。
【0015】
(A)粉末状シリコーンの平均粒子径は、特に限定されないが0.01〜100μmが好ましく、0.1〜30μmであるのがより好ましい。また、粒子形状は球状、楕円状、紡錘状等のいずれでも良いが、特に球状であるのがより好ましい。
【0016】
(A)粉末状シリコーンは、毛髪用組成物中において0.01〜10質量%配合するのが好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。この配合量が0.01質量%未満の場合、コンディショニング効果が十分に得られない。一方、10質量%を超えると、毛髪を処理した後に過剰量残留した粉末状シリコーンが毛髪上に白化してしまう等の不具合を生じるおそれがある。
【0017】
(B)成分としてのイミダゾリン型第四級アンモニウム塩は、カチオン性界面活性剤の一種であり、毛髪用組成物中の(A)粉末状シリコーンの凝集を防止するために配合される。この(B)イミダゾリン型第四級アンモニウム塩としては、例えばジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェート(di-behenyl imidazolinium methosulfate)が好適に用いられる。なお、このジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートのInternational Nomenclature Cosmetic Ingredient名(INCI名))はクオタニウム−91であり、上記一般式(1)のRが炭素数21のアルキル基であるとともにXがメチルサルフェート残基である下記式(2)に示される化合物である。
【0018】
【化4】

このジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートの市販品としては、例えばクローダ社のクロダゾソフト(商品名)DBQが挙げられる。この他のイミダゾリン型第四級アンモニウム塩としては、例えば一般式(1)のRが炭素数11、15、17又は19であるとともにXが塩素原子である化合物、及びRが炭素数15であるとともにXがメチルサルフェート残基である化合物等が挙げられる。これらのイミダゾリン型第四級アンモニウム塩は、単独で配合してもよいし、複数種を組み合わせて配合してもよい。
【0019】
(B)イミダゾリン型第四級アンモニウム塩の配合量は、毛髪用組成物中において好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。この配合量が0.05質量%未満の場合、(A)粉末状シリコーンの凝集防止効果が得られにくくなる。また、仕上がり後の感触向上効果が得られにくくなる。一方、3質量%を超えると、頭皮に対する刺激が感じられる場合があり、不快感を与えるおそれがある。
【0020】
(C)成分である25℃で液状のシリコーン類は、(B)成分による(A)粉末状シリコーンの凝集抑制効果をさらに向上させるために配合される。(C)成分としては好ましくはシリコーン油が使用され、具体例としてはオクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。その他、下記一般式(3)で示されるメチルポリシロキサン、下記一般式(4)又は一般式(5)で示されるメチルフェニルポリシロキサン、下記一般式(6)で示される環状シリコーン、及び末端水酸基変性ジメチルポリシロキサンが挙げられる。尚、下記一般式(3)において、nは3〜650の整数を示す。また、下記一般式(4)及び一般式(5)において、nは1〜410の整数を示すとともにn=a+bである。一般式(6)において、nは3〜7の整数を示す。各シリコーン類の分子量は150000未満が好ましく、粘度は0.5〜500000mm/sの範囲が好ましい。末端水酸基変性ジメチルポリシロキサンは、末端に水酸基が結合しているジメチルポリシロキサンであって、INCI名をジメチコノール(Dimethiconol)としてICIDに記載されているものを示す。
【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

毛髪用組成物中の(C)成分の含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、最も好ましくは1〜15質量%である。0.1質量%未満では、(A)粉末状シリコーンの凝集抑制効果を十分に向上させることができない。一方、30質量%を超えると、仕上がり後の感触の低下を招くおそれがある。
【0025】
(D)水は、上記(A)〜(C)の有効成分の溶媒又は分散媒として含有される。(D)水の毛髪用組成物中における含有量は好ましくは40〜95質量%、さらに好ましくは50〜90質量%である。(D)水の含有量が40質量%未満の場合、水溶液、分散液又は乳化液を安定して形成することが困難となるおそれがある。一方、水の含有量が95質量%を超える場合、毛髪用組成物の均一性及び安定性を確保しにくくなるおそれがある。
【0026】
本実施形態の毛髪用組成物としてのヘアトリートメント剤には、その他の成分として、油性成分、多価アルコール、界面活性剤等を配合することができる。
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与するという観点から、配合されることが好ましい。油性成分としては、油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、上記以外のシリコーン類、炭化水素等が挙げられる。
【0027】
油脂としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン等が挙げられる。
【0028】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0029】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0030】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0031】
シリコーン類としては、上記(A)成分及び(C)成分以外のジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、脂肪酸変性ポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、グリセリン変性シリコーン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0032】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。これらの油性成分は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0033】
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0034】
界面活性剤は、乳化剤又は可溶化剤として毛髪用組成物の安定性を保持するために配合される。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、上記以外のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0035】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0036】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等が挙げられる。
【0037】
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0038】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0039】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0040】
さらに、その他の成分としてソルビトール、マルトース等の糖類、アラビアガム、カラヤガム、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、セルロース誘導体、架橋ポリアクリル酸、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等の水溶性高分子化合物、パラベン等の防腐剤、EDTA−2Na等のキレート剤、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等の安定剤、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエタノールアミン、リン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グリコール酸カリウム等のpH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、タンパク質加水分解物、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また「医薬部外品原料規格」(1991年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を配合してもよい。
【0041】
本実施形態のヘアトリートメント剤は、通常の方法に従い、各有効成分を混合させることにより製造することができる。毛髪に塗布された後に、水や温水で洗い流したり、洗い流さずに放置することにより使用してもよい。また、シャンプー、リンス、染毛剤、脱色剤、パーマネントウェーブ剤等が適用された後の毛髪に適用してもよい。
【0042】
本実施形態の毛髪用組成物としてのヘアトリートメント剤によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のヘアトリートメント剤において、(A)粉末状シリコーンと上述した(B)イミダゾリン型第四級アンモニウム塩を併用した。したがって、粉末状のシリコーンの凝集性を抑制することができ、組成物の取り扱い性を向上させることができる。特に、保存時においても粉末状シリコーンの凝集性を抑制することができるため、(D)水を用いて組成物を調製する時にも溶媒中における分散性を向上させることができ、容易に液状組成物に製剤化することができる。
【0043】
(2)また、(A)及び(B)成分の併用によって塗布性や濯ぎ性等のハンドリング効果を向上させることができる。また、仕上がり後の滑らかさ等のコンディショニング効果をさらに向上させることができる。
【0044】
(3)本実施形態のヘアトリートメント剤において、(A)粉末状シリコーンを使用した。したがって、他の合成樹脂製のパウダー(ナイロン、ポリエチレン等)を配合した場合に比べ仕上がり後の滑らかさ等のコンディショニング効果が優れるとともに濯ぎ性が優れる。
【0045】
(4)本実施形態のヘアトリートメント剤において、その他の成分である(C)25℃で液状のシリコーン類を配合した。したがって、(A)粉末状シリコーンの凝集抑制効果をさらに向上させることができる。
【0046】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の毛髪用組成物は、液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等の形態で、公知の各種容器に充填して使用することができる。剤型をミスト状にする場合はハンドポンプスプレー容器に充填されることが好ましい。
【0047】
・上記実施形態において毛髪用組成物をヘアトリートメント剤として適用した。しかしながら、用途は限定されることはなく、それ以外にもリンス等のヘアコンディショニング剤、シャンプー等の洗髪用組成物、ヘアパック等に適用してもよい。
【0048】
・上記実施形態において上記(A)〜(C)成分を配合してなる固体状組成物を毛髪用組成物としてのヘアトリートメント剤等の液状組成物の原料として使用することができる。
【実施例】
【0049】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
表1,2に示される各成分の配合によって毛髪用組成物としてのヘアトリートメント剤をそれぞれ調製した。表中、各成分の配合量を示す数値の単位は、質量%である。また、表中のクオタニウム−91は、前記一般式(2)に示されるジベヘニルイミダゾリニウムメトサルフェートを示す。各例のヘアトリートメント剤を濡れた毛束に均一に塗布し3分間放置した。その毛束を温水ですすいだ後、ドライヤーで乾燥させることにより、ヘアトリートメント剤によって処理した毛束を準備した。各例のヘアトリートメント剤について、以下の評価を行った。これらの評価結果を表1,2に示す。
【0050】
<調製時のパウダーの凝集の少なさ>
各例の各成分を卓上型ホモジナイザー(特殊機化工業製 T.K.アジホモミキサー2M−03型)を用い、ホモミキサー3000rpm、パドルミキサー45rpm、80℃の条件にて1分間乳化した後、冷却し各組成物を得て、目視で評価した。◎:凝集成分が全く認められず製剤化が容易である、○:凝集成分がわずかに認められるが製剤化に影響を与えない、△:製剤化に影響を与える凝集が少なからず認められる、×:凝集成分が多く認められる、として評価結果とした。
【0051】
<塗布時の伸びのよさ>
各ヘアトリートメント剤を適量手のひらに取り、手櫛で毛髪に塗布した際、塗布のしやすさについて評価した。◎:手櫛により容易に塗布できる、○:手櫛により塗布できる、△:伸びが悪く手櫛により塗布しにくい、×:伸びが悪く手櫛により塗布できない、として評価結果とした。
【0052】
<すすぎのしやすさ>
表1,2に示される各ヘアトリートメント剤を毛髪に塗布する。そして20分経過後、洗い流す。各ヘアトリートメント剤の洗浄のしやすさを下記の基準により評価した。◎:短時間で容易に洗浄できる、○:容易に洗浄できる、△:洗浄にやや時間がかかる、×:洗浄に長時間を要する、としてすすぎやすさとした。
【0053】
<仕上がり後の滑らかさ>
各ヘアトリートメント剤で処理する前の毛束と、各ヘアトリートメント剤で処理した毛束とをパネラーが毛束に指を通した感触を比較し、以下の基準によって評価した。◎:滑らかさの向上が顕著である、○:滑らかさの向上が認められる、△:滑らかさの向上がわずかに認められる、×:滑らかさの向上が認められない、として評価結果とした。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

表1の実施例1〜7に示されるように、(A)粉末状シリコーンと(B)クオタニウム−91を併用する場合には調製時の粒子の凝集を抑制することができることが示される。また、仕上がり後の滑らかさ等のコンディショニング効果が向上するとともに塗布性及びすすぎ性等のハンドリング性が向上することが確認される。特に実施例1〜3,5〜7の(C)シリコーン類をさらに併用する場合には粒子の凝集抑制効果をさらに向上させることができる。
【0056】
一方、表2の比較例7〜13に示されるように(B)成分以外のカチオン性界面活性剤のみを併用した場合は粉末状シリコーンの凝集を抑制することはできないことが確認される。また、仕上がり後の滑らかさも各実施例に比べ低いことが示される。また、比較例1〜3に示されるように(A)粉末状シリコーンの代わりにナイロン粉末等を(B)クオタニウム−91と併用した場合にはパウダーの凝集性を十分に抑制することはできないことが示される。パウダーの凝集抑制効果は(A)粉末状シリコーンと(B)成分を併用することによって初めて得られることが確認される。
【0057】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(a)前記(A)及び(B)成分、又は前記(A)〜(C)成分を混合した後、(D)水に溶解させることにより製剤化する毛髪用組成物の製造方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)成分を含有することを特徴とする毛髪用組成物。
(A):粉末状シリコーン。
(B):下記一般式(1)に示されるイミダゾリン型第四級アンモニウム塩。
【化1】

(式中、Rは炭素数11〜23のアルキル基又はアルケニル基を示し、Xはハロゲン原子、メチルサルフェート残基又はエチルサルフェート残基を示す。)
【請求項2】
さらに(C)25℃で液状のシリコーン類を配合することを特徴とする請求項1記載の毛髪用組成物。
【請求項3】
前記(A)粉末状シリコーンは、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、及びそれらの複合体から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の毛髪用組成物。
【請求項4】
さらに(D)水を配合することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の毛髪用組成物。

【公開番号】特開2008−214287(P2008−214287A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55680(P2007−55680)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】