説明

気中終端箱

本発明は、高圧ケーブル5の次のような気中終端箱に関する。すなわちこの気中終端箱は、第1および第2の末端領域2、3を含む絶縁体1と、第1の末端領域2において絶縁体1の内側スペース18に少なくとも一部が突出する受け具絶縁部10と、ケーブル5と結合している電界制御エレメント8とを備え、この電界制御エレメントは、受け具絶縁部10と差し込み可能な方法で結合され、必要があればこの受け具絶縁部から取り外し可能である。気中終端箱はさらに、絶縁体1の第2の末端領域3に配置されたコネクタ21を備え、ケーブル5は、このコネクタと電気的に結合可能であり、この場合内側スペース18に絶縁媒体が設けられている。本発明の提案は、次の通りである。すなわ、内側スペース18には、事前設定された間隔を取って受け具絶縁部10を囲む電界制御電極28を設ける。受け具絶縁部10は、内側スペース18内で受け具絶縁部の末端19に接点体22を備える。内側スペース18において、前記接点体22とコネクタ21との間に、この接点体と電気的に結合された結合導体24を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載される特徴を持つ気中終端箱(Freiluftendverschluss)、特にプラスチック絶縁された高圧および超高圧ケーブル用の気中終端箱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の気中終端箱は、欧州特許出願公開第1494329号明細書および国際公開第03/085795号パンフレットから知られている。その図5で説明されている第1の実施例は、チューブ状の磁器製絶縁体を備え、この絶縁体は、垂直に立てた場合、下側となる第1の末端領域と、上側となる第2の末端領域を持つ。第1の末端領域には、電界制御エレメントとして形成されたストレスコーン(Stresskonus)を受けるため、エポキシ樹脂製の受け具絶縁部が設けられている。ケーブル末端は、この受け具絶縁部と、絶縁体のほぼ全長とを通って導かれ、第2の絶縁体末端領域で1つの接点体と結合されている。この接点体は、絶縁体の第2の末端領域に設けられた頭部プレートを通って、絶縁体から外側に導かれている。絶縁体の内側スペースには絶縁媒体が充填され、この絶縁媒体は、そのほぼ全長にわたって延びるケーブル末端と、第2の絶縁体末端領域に設けられた接点体とを囲んでいる。絶縁体外部で、絶縁体の第1の末端領域に接して、クランプ機構が設けられている。このクランプ機構を用いて、ストレスコーンを受け具本体に、そしてケーブル末端またはそこに設けられた接点エレメントを、絶縁体上側の第2の末端で前記接点体に押し付ける。絶縁体を貫通して導かれるケーブル末端の長さの変化、特に温度変化によるこの変化が、自由なケーブル末端と接点体との電気的接触に、不利な影響をおよぼさないようにするために、特別な措置を取らなければならない。変更措置または修理上の措置が生じた場合、絶縁媒体を絶縁体から取り除き、後に再び充填しなければならない。それには作業上および取り付け上の手間が少なからず生じる。さらにその図1に説明されている実施例では、ポリマーからなるチューブ状の絶縁体が設けられ、この絶縁体の第1の末端領域には、延長チューブが設けられている。この絶縁体は、同絶縁体の第2の末端領域を通って導かれる導体に貫通され、延長チューブ内部でこの導体は、一体型の受け具によってケーブルの接点エレメントを受けている。絶縁体には、前記導体と接点エレメントとを囲むエポキシ樹脂製の絶縁スリーブが設けられている。この絶縁スリーブは、延長チューブ内部でコーン状の受け具部品を備え、ケーブル末端と結合されたストレスコーンを受けている。さらに絶縁体内部には、電界を補正するため、前記の導体を囲む金属フィッティングが、金属製の底部プレート領域に設けられている。これら受け具とコーン状受け具部品とは、金属フィッティングの外部にある。この気中終端箱は、全体として軸方向にいちじるしく長くなる。
【0003】
知られているように気中終端箱は、高圧ケーブルと高圧架空線とを接続する際に必要とされる。現在典型的な解決法は、ケーブル外側導電層のカッティングエッジ領域における電界分布を最適化するため、絶縁体内に電界制御エレメントを収める。この電界制御エレメントは、好ましくはストレスコーンとして形成され、固体、液体、または気体の絶縁媒体に囲まれるものとする。そして好ましくは絶縁媒体として、ポリオレフィンまたはシリコン油のような絶縁油、または気体の絶縁物質を用いる。この絶縁体は、空気中で十分な絶縁耐力と、汚れ、湿気、塩霧、氷などに対して、周囲条件に適合された沿面距離(Kriechweg)とを持つ。加工されたケーブル特に絶縁された導体は、この電界制御エレメントを通って導かれ、このエレメントから、高圧部につながるコネクタまたは頭部取り付け金具まで、絶縁体内部を貫通し、適切な方法でこのコネクタと結合される。この種の終端箱は、製造上、組み立て上、いちじるしく手間がかかり、その際特に、ケーブル末端が比較的長いことが指摘される。さらには絶縁体にケーブル末端を貫通させ、ケーブル末端と頭部取り付け金具とを結合することは、製造上、組み立て上、大きな手間をともなう。サービスや修理の作業が生じた場合も、多大の時間と手間を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを出発点として、本発明の課題は、前記種類の気中終端箱を発展させて、前記欠点を回避し、ケーブルと気中終端箱との機能上確実な結合を得ることである。気中終端箱の周囲に弾性的または液体の絶縁媒体を用いることは避けたい。そしてこの種の絶縁媒体に必要な密封措置は不要なものとしたい。さらには必要があれば、わずかな手間で、そして手間のかかる作業を行わずに、ケーブルを絶縁体から取り外し可能なものとしたい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載された特徴によって解決される。
【0006】
本発明による気中終端箱がすぐれているのは、確実に機能する構造である点、また使用上の要件に対するこの構造の対応がすぐれている点である。差し込み可能な構造によって、全長が非常に短くなり、弾性ある絶縁媒体、すなわち通常は液体または気体である絶縁媒体を追加的に使用する必要がなくなる。差し込み可能なケーブル終端箱を用いるので、漏れによる絶縁媒体の損失を防ぐための密封措置が省かれる。この場合使用される差し込み構造を、「乾式」終端箱技術と呼ぶこともできる。差し込み可能な仕様であるため、絶縁体から、および/または絶縁体のコネクタにかかっている高電圧から、ケーブルを簡単に分離することができる。差し込み可能なケーブル終端箱を組み込む方式の、本発明による気中終端箱は、組み立て時間が短いことと、ケーブル末端領域の「乾式」解決法が得られることが、有利な点である。そのほか、加工されるケーブル長さは比較的短いものでよい。またケーブル末端の絶縁体への組み付けおよび/または差し込み結合を行う前に、さまざまな部品に対し事前検査を問題なく行うことができる。好ましくは差し込み可能なケーブル終端箱を、気中使用される絶縁体に、コーン差し込みの方法で組み込む。
【0007】
本発明が提案する差し込み可能な気中終端箱は、特に超高圧レベルであってケーブル直径が大きい場合に用いれば有利である。なぜならば、この場合大きな直径の絶縁体を用いる必要があるが、幾何形状上の理由、特に電界制御エレメントに必要なスペース上の理由から、それが可能だからである。特に重要なのは電界制御電極であって、この電極を用いれば、前方に配置された電極(vorgeschobene Elektrode)という高圧技術原理により、絶縁体の第1の末端領域の電界、特にそこに設けられた底部プレート領域の電界が緩和される。そして外側スペースでも絶縁体内部でも、最適な絶縁耐力が得られる。電界制御電極のうち絶縁体の第1の末端領域にある部分は、本発明では、軸方向長さを次のように事前設定される。すなわち、受け具絶縁部のうち絶縁体内側スペースにある部分の軸方向長さに、少なくとも近似的に等しい長さにする。この受け具絶縁部は、その末端が絶縁体内側スペース内に位置するが、この末端に接する接点体がある。この接点体は、一方ではケーブルの電気導体またはケーブル心線と、他方では次のような接続導体と、電気的結合を得るために形成されている。この接続導体とは、絶縁体を通ってその第2の末端領域まで貫通し、そこで内側スペースから外側につながるコネクタに結合されているものである。好ましくは、電界制御電極の軸方向長さを次のようなものとする。すなわち電界制御電極は、少なくともほぼ接点体を超えるところまで延び、その結果、接点体の領域でも、電界分布の最適化が得られるような長さとする。この電界制御エレメントを用いれば、ケーブル外側の導電層の電界分布、特にカッティングエッジ領域の電界分布が最適化される。本発明によれば、絶縁体の内側スペースには、次のような電気的結合が存在する。すなわち、受け具絶縁部に接して設けられて受け具絶縁部に固定された接点体と、絶縁体の第2の末端領域に設けられたコネクタとの電気的結合である。この接点体は、好ましくはケーブル末端に向かってカップ状に口を開くものとする。そして、自由なケーブル末端の取り付けに、特に自由なケーブル末端に設けられた電気的接点エレメントとの電気的結合に用いられる。第2の末端領域側を向く受け具絶縁部末端は、接点体に対し少なくとも軸方向にその一部を把握し、またこの接点体は絶縁媒体に囲まれている。
【0008】
外側スペースにおけるスポット状の電界強度の過負荷は、防止される。この場合特に、電界制御電極を囲む外側スペースにおける電界制御電極までの間隔は、最適なものに事前設定される。それだけでなく、電界制御電極の内側領域における間隔、または絶縁体内部の電流が流れる導線エレメントまでの間隔は、確実な絶縁耐力が得られるような大きさとする。電界制御電極は、好ましくはほぼ回転対称形の中空体で、導電性金属からなるものとする。さらに電界制御電極は、好ましくは金属板からなるものとして、絶縁体の第2の末端領域側の電極末端は、縁取りとして、特には事前設定された半径で外側に向かって丸く折り曲げられる。
【0009】
そのほか特に重要なこととして、本発明は、電界制御エレメントにおける電界の強度を、主として電界制御電極末端の形状および/または半径で調節する。特にエポキシ樹脂絶縁体として形成されている受け具絶縁部に対する電界が強すぎないよう、本発明は、電界制御電極の最小限直径を事前設定する。それだけでなく、電界制御電極の全長を、受け具絶縁部の全長および/または前記接点体を含む全長よりも、事前設定された値だけ大きくすれば、特に有利であることがわかっている。これにより1つには、受け具絶縁部周囲の電界が明確に事前設定される。2つには、絶縁体末端領域および/またはそこに設けられた気中終端箱の底部プレートは、前方に配置された電極の原理により、電界に関する負荷を解除される。さらには特にエポキシ樹脂の絶縁体として形成されている受け具絶縁部まで、その間隔を次のような大きさとすれば、特に有利であることがわかっている。すなわち、電界成分の接線方向性が強くても、受け具絶縁部および/または注型樹脂絶縁媒体の外側境界面が、過負荷を受けないような大きさとする。
【0010】
本発明の特別な発展形態を、従属請求項に、そしてまた特別な実施形態に関する下記の説明中に挙げた。
【0011】
図面に示した特別な実施形態により、下記に本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれらだけに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、気中終端箱の原理図であるが、この気中終端箱は、絶縁体1と、差し込み可能なケーブル終端箱4とを備え、この絶縁体は、第1の末端領域2と、第2の末端領域3とを持つ。ケーブル終端箱4は、ケーブル5の末端を含むが、このケーブル末端は、知られているように、ケーブル心線または電気導体6とこれらを囲む絶縁層7をともない、好ましくはストレスコーンとして形成された電界制御エレメント8を含む。絶縁体1は、この場合円筒形とすることができ、あるいは上に向かって円錐形にテーパを付けることができる。絶縁体1を垂直に立てるとき、絶縁体下側となる第1の末端領域に、受け具絶縁部10を配置し、この受け具絶縁部は、好ましくはエポキシ樹脂絶縁体として形成する。受け具絶縁部10は、好ましくは径方向外側に突起するカラー11を備え、特にこのカラーおよび/または底部プレート12を介して、絶縁体1に固定されている。特に有利な方法としては、受け具絶縁部10と絶縁体1の結合部を、気密性、および/または防湿性、および/または液密性を持つものに形成する。ケーブル5は、本発明で用いられる差し込み可能なケーブル終端箱の電界制御エレメント8を備え、それらを付けたままで、必要があれば受け具絶縁部10から、したがって絶縁体1から分離することができる。ケーブル終端箱4は、取り外し可能な結合、特には受け具絶縁部10とそのような結合を行うための結合具14を備える。この場合電界制御エレメント8は、合目的な方法として、スプリングエレメント16に支持されるものとし、事前設定されたプレストレスで受け具絶縁部10の中に、および/またはそれに対して押し付けられている。本発明は、ケーブル終端箱を、有利な方法として、内側コーンの原理に従って構成する。図示のように、本発明で受け具絶縁部は、少なくともその一部が、絶縁媒体を充填された絶縁体1の内側スペース18に差し込まれている。特に受け具絶縁部10の一部として、絶縁体1の内側スペース18に差し込まれた部分が、内側を円錐形に形成され、および/または円錐形内面を備えて、これに対応する形状および/または適合した形状の電界制御エレメント8の密着面を受ける。電界制御エレメント8を用いて電界分布を、特にはケーブル5の外側導電層のカッティングエッジ領域で、最適化していることを、特に指摘しておきたい。
【0013】
絶縁体1の第2の末端領域または上側末端領域には、頭部プレート20とコネクタ21とが設けられている。このコネクタは、高電圧が通る接続点を形成する。頭部プレート20と絶縁体1の結合部は、好ましくは気密性、および/または防湿性、および/または液密性を持つものに形成される。絶縁体1の内側スペース18の絶縁媒体は、好ましくは気体、特にはSF6、N2、SF6−N2、またはこれらの混合物とする。そのほか液体、泡状、ゲル状の絶縁媒体を用いることができる。この場合好ましくは、絶縁体1の内側スペース18の上部領域または外部の補正タンクで、気体体積による補正を行うものとする。そのほか絶縁体1の内側スペース18では、受け具絶縁部10の自由末端19と結合している接点体22と、上記コネクタ21との間に、結合導体24を設ける。自由末端19は、好ましくはカップ状とし、自由末端19と噛み合う接点体22の少なくとも一部分を囲む。接点体22は、自由なケーブル末端またはその接点エレメント25に対し、好ましくは差し込みコネクタとして形成され、しかもやはり好ましくはカップ状、および/または絶縁体1の第1の末端領域2に向かって開放された形状とする。接点体22と対応する、特に差し込みコネクタとして形成された接点エレメント25が、ケーブル5の末端に設けられている。ケーブル終端箱4を取り外すときには、接点エレメント25の差し込みコネクタが、接点体22から取り外される。本発明によって形成された、および/または受け具絶縁部10の末端19に接して絶縁体1の内部に設けられた差し込みコネクタによって、ケーブル5と絶縁体1の結合と、必要な場合はこれらの分離が、問題なくそして機能上確実に行えるようになる。好ましい方法として、接点体22または接続具20との導体結合部24の少なくとも一方の末端を、可動型のガイド、および/または軸方向可動のおよび/またはスライド可能な端子26、27として形成し、長さを補償する。
【0014】
本発明は、絶縁体1の内側スペース18で、受け具絶縁部10の領域に、電界制御電極28を設ける。この電極は、好ましくは絶縁体1の末端で底部プレート12と結合されている。この電界制御電極28は、受け具絶縁部10を囲み、好ましくは本発明に従って、接点体22および/または接続具20および/または端子26をも囲む。本発明の場合、電界制御電極28の軸方向長さ40は、受け具絶縁部10の一部として内側スペース18に配置された部分の軸方向長さ46と、少なくとも同じ大きさとする。電界制御電極28は、好ましくは円筒形とし、前方に配置された電極という高電圧技術上の原理に従って、この電極から電界の緩和が、特に底部プレート12、および/または受け具絶縁部10の一部として内側スペース18に配置された部分、および/または受け具絶縁部10と結合された接点体22の各領域で得られる。別な方法として、この電界制御電極28の外径に、好ましくは頭部プレートに向かって円錐形にテーパを付けることができる。電界制御電極28の径方向内側では、受け具絶縁部10まで内側領域30が、径方向外側の絶縁体1に向かっては、外側領域32が存在する。この場合電界制御電極28は、コネクタ20の方向に、自由末端34を備える。この電界制御電極28の寸法は、下記でさらに詳しく説明する。図1に記載するように、本発明によって配置および/または形成された電界制御電極28は、受け具絶縁部10を完全に囲むだけでなく、好ましくは接点体22をも、そして特には導体結合体24の端子26の少なくとも一部をも接点体22を含めて囲む。その結果、本発明によって、接点体22の領域でも最適化された電界分布が得られる。電界制御電極は、絶縁体1の長手軸に対して好ましくは回転対称形の中空体として形成され、特に金属板から製造される。図1では単に模式的に示す自由末端34は、好ましくは周縁を外側に曲げられたものとして形成される。
【0015】
図2は、差し込み可能なケーブル終端箱4を分離された気中終端箱の一部分を示す。好ましくはシリコンゴム製とする電界制御エレメント8は、外側輪郭の少なくとも一部が円錐形であり、この場合、受け具絶縁部10のそれを受ける内側輪郭は、電界制御エレメント8の輪郭に対応する。図示のように、ケーブル5の末端に固定密着した電界制御エレメント8は、機械的なスプリングエレメント16を用いて、結合具14に支持される。このケーブル5は、たとえばVPE絶縁ケーブルとして形成されているが、本発明の場合、そのほかの絶縁ケーブル、たとえばEPRまたはPE絶縁ケーブルを用いることもできることに、留意されたい。結合部を作るには、ケーブル終端箱4を、受け具絶縁部10に矢印36の方向に導き入れ、このとき、接点エレメント24と接点体22との電気的結合を生じる。その後、結合エレメント14およびここには図示しないネジなどを用いて、受け具絶縁部10、および/または底部プレート12、および/または絶縁体との結合部として、固定されて入るが、必要に応じて取り外し可能な結合部を作る。本発明は、差し込み可能なケーブル終端箱を用いるため、気中終端箱または高圧電流が通るケーブルから、ケーブル5をいつでも簡単に分離することができ、その際、気中終端箱に対して煩瑣な作業を行う必要はない。
【0016】
図3は、ケーブル終端箱4を用い、かつ本発明によって電界制御電極28を用いる、気中終端箱の一部分を示す。この電界制御電極28は、長さ40を持ち、絶縁体1の内面に対し間隔42の位置にある。またこの電界制御電極28、特にその自由末端34は、中心導体または結合導体24に対して内側間隔44を取る。好ましくはエポキシ樹脂製の絶縁体である受け具絶縁部10は、絶縁体内部において、および/または底部プレート12に対し、軸方向長さ46を持つ。またこの電界制御電極28の自由末端34は、定められた周囲境界および/または形状、特に半径48を持つ。本発明は、使用される電界制御電極28を、次のような寸法および配置とする。すなわち、この電極の長さ40、および/または間隔42、44、および/または形状または半径48によって、最適化された電界が、全体配置に対し事前設定される寸法および配置とする。好ましくはこの寸法として、下記の状態が成立するように事前設定する。
0.03<半径48/間隔44<0.7
0.3<長さ40/長さ46<3
0.1<間隔42/間隔44<10
【0017】
好ましくは、半径48と間隔44の比を、0.1〜0.5とする。さらには電界制御エレメント28の軸方向長さ40と、受け具絶縁部10の軸方向長さ46との比を、1〜2とする。また間隔42と内側間隔44との比は、1〜7とするのが合目的である。
【0018】
本発明が用いる電界制御電極28および/またはその寸法によって、電界制御電極と絶縁体1内面との間の外側スペース32で、スポット状の電界強度の過負荷を生じるのが防止される。さらには間隔44の事前設定によって、十分な大きさの絶縁耐力が得られる。また電界制御電極28の自由末端の形状および/または半径48によって、電界制御エレメントにおける電界の強さが最適化される。電界制御電極28の最小直径を指定する結果、受け具絶縁部における電界が、許容されないほど過大となるのが防止される。そのほか、特に重要なこととして、電界制御電極28の全長40は、受け具絶縁部10の全長46よりも、事前設定された数値だけ大きい。したがって1つには、受け具絶縁部10を中心とする、そして好ましくは接点体22をも中心とする、そして特にはコネクタ20および/または接点体26をも中心とする電界が、明確に事前設定される。2つには、気中終端箱の第1または第2の末端における電界、および/または底部プレートの領域における電界が、前方に配置された電極の原理に従って、その負荷を解除される。また事前設定された寸法によって、電界制御電極28から受け具絶縁部10までの間隔44を十分大きくして、次のように事前設定する。すなわち、外側境界面および/または注型絶縁媒体が、接戦方向の強い電場成分によって、過負荷を受けないようにする。
【0019】
図4は、図3の細部IVに相当し、電界制御電極28の自由末端34を示す。この自由末端34は、電界制御電極28の周縁を、好ましくは事前設定された半径48で、特には外側に、曲げて形成される。電界制御電極28は、中空体またはチューブとして、好ましくは導電性金属製、特には金属板からなるものとして形成される。事前設定された半径48による上記周縁の曲げ加工は、わずかな製造コストで実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】差し込み可能な気中終端箱の原理図である。
【図2】分離状態の気中終端箱の部分図であり、電界制御電極と絶縁体を省いている。
【図3】図1の気中終端箱の部分図である。
【図4】図3のIVで示した部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0021】
1 絶縁体
2 絶縁体1の第1の末端領域
3 絶縁体1の第2の末端領域
4 ケーブル終端箱
5 ケーブル
6 電気導体
7 絶縁層
8 電界制御エレメント
10 受け具絶縁部/エポキシ樹脂絶縁体
11 受け具絶縁部10のカラー
12 底部プレート
14 結合具
16 スプリングエレメント
18 絶縁体1の内側スペース
19 受け具絶縁部10の自由末端
20 頭部プレート
21 コネクタ
22 接点体
24 絶縁体1における結合導体/中心導体
25 ケーブル5の接点エレメント/導体結合部
26、27 端子/可動型ガイド
28 電界制御電極
30 内側領域
32 外側領域
34 電界制御電極28の自由末端
36 矢印
40 電界制御電極28の長さ
42 絶縁体1までの間隔
44 内側間隔
46 受け具絶縁部10の軸方向長さ
48 自由末端34の半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ケーブル(5)の気中終端箱であり、該気中終端箱が、第1および第2の末端領域(2、3)を含む絶縁体(1)と、第1の末端領域(2)において絶縁体(1)の内側スペース(18)に少なくとも一部が突出する受け具絶縁部(10)と、高圧ケーブル(5)と結合されて特にストレスコーンとして形成された電界制御エレメント(8)とを備え、該電界制御エレメントが、受け具絶縁部(10)と差し込み可能な方法で結合され、必要があれば受け具絶縁部から取り外し可能であり、前記気中終端箱がさらに、絶縁体(1)の第2の末端領域(3)に配置されたコネクタ(21)を備え、高圧ケーブル(5)が、コネクタと電気的に結合可能であり、内側スペース(18)に絶縁媒体が充填される気中終端箱であって、
内側スペース(18)には、事前設定された間隔を取って受け具絶縁部(10)を囲む電界制御電極(28)が設けられ、該電界制御電極の長さ(40)が、受け具絶縁体(10)の一部として内側スペース(18)内に位置する部分の軸方向長さ(46)に、少なくとも近似的に等しい大きさであることと、受け具絶縁部(10)が、内側スペース(18)内で受け具絶縁部の末端(19)に接点体(22)を備え、高圧ケーブル(5)の電気導体(7)が、接点体と電気的に結合され、必要があれば取り外し可能であることと、内側スペース(18)において、前記接点体(22)と、第2の末端領域(3)に設けられたコネクタ(21)との間には、接点体と電気的に結合された結合導体(24)が設けられていることとを特徴とする、気中終端箱。
【請求項2】
電界制御電極(28)が、絶縁体(1)の内側スペース(18)で、事前設定された値で受け具絶縁部(10)より上に突出すること、および/または電界(28)の長さ(40)と受け具絶縁部(10)の長さ(46)の比が、0.3〜3、好ましくは1〜2の範囲に事前設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の気中終端箱。
【請求項3】
電界制御電極(28)の自由末端(34)が、事前設定された半径(48)を持つこと、および/または前記事前設定された半径(48)と内側間隔(44)の比が、0.03〜0.7、好ましくは0.1〜0.5の範囲に事前設定され、前記内側間隔が、自由末端(34)および/または電界制御電極(28)と、絶縁体(1)に設けられた結合導体(24)との間隔であることを特徴とする、請求項1または2に記載の気中終端箱。
【請求項4】
電界制御電極(28)、特に電界制御電極の自由末端(34)が、周囲の絶縁体(1)まで、1つの事前設定された間隔(42)を持つこと、および/または結合導体(24)まで、事前設定された内側間隔(44)を持つこと、および/または事前設定された間隔(42)と内側間隔(44)の比が、0.1〜10、好ましくは1〜7に事前設定されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の気中終端箱。
【請求項5】
絶縁体(1)内部の絶縁媒体として、気体の絶縁媒体が、好ましくは事前設定された正圧を加えて充填されていること、および/または絶縁媒体として、SF6および/またはN2および/またはSF6−N2および/またはこれらの混合物が充填されていること、および/または該絶縁媒体が、事前設定された正圧、特に1〜10barの範囲の正圧を持つことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の気中終端箱。
【請求項6】
絶縁体(1)内部の絶縁媒体として、液体またはゲル状の絶縁媒体を充填すること、および/または気体体積による補正を、好ましくは絶縁体の内側スペース(18)の上部領域または外部の補正タンクで行うことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の気中終端箱。
【請求項7】
絶縁体(1)の内部に泡状の絶縁媒体を充填することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の気中終端箱。
【請求項8】
絶縁体(1)が複合絶縁体として形成され、該複合絶縁体が、シリコンシールドつきのGfKチューブとして形成されること、または絶縁体(1)が、磁器絶縁体として形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の気中終端箱。
【請求項9】
コネクタ(21)が、特に第2の末端領域(3)に配置された頭部プレートに設けられ、電界制御電極(28)の外径が、コネクタに向かって円錐形にテーパ付けされていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の気中終端箱。
【請求項10】
電界制御電極(28)が、受け具絶縁部(10)に結合された接点体(22)をも囲み、該接点体は、好ましくは少なくともその一部が、受け具絶縁体(10)の末端部分(19)に挿入され、末端部分は、カップ状に形成されて絶縁体(1)の第2の末端領域(3)に向かって開いていること、および/またはさらに結合導体(24)の端子(26)の少なくとも一部が、電界制御電極(28)の中に突出するように、電界制御電極(28)の軸方向長さ(40)が事前設定されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の気中終端箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−509641(P2008−509641A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524242(P2007−524242)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008224
【国際公開番号】WO2006/015735
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506398782)ズユートカベル・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【Fターム(参考)】