説明

気体サンプル室及びこの気体サンプル室を備えた濃度測定装置

【課題】雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができ且つ速やかに測定することができる気体サンプル室及びこの気体サンプル室を備えた濃度測定装置を提供する。
【解決手段】濃度測定装置1は、気体サンプル室2とμcomとを備えている。気体サンプル室2は、測定セル6と光源7と受光ユニット8を備えている。測定セル6は、筒状に形成されているとともに、側壁22が、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁24と第2の壁25とで構成されて、当該測定セル6の内外を連通する連通部26を備えている。光源7は測定セル6の一端部に設けられ赤外線を他端部に向かって照射する。受光ユニット8は測定セル6の他端部に設けられ且つ光源7からの赤外線を受光する受光器12を複数備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、二酸化炭素、水蒸気、一酸化炭素などの所定の気体の濃度を測定する濃度測定装置に用いられる気体サンプル室及びこの気体サンプル室を備えた濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、二酸化炭素、水蒸気、一酸化炭素などの所定の気体の濃度を測定する濃度測定装置には、従来から種々の気体サンプル室が用いられてきた。従来の気体サンプル室は、内部が密閉された筒状の本体部と、本体部の一端部に設けられた光源と、本体部の他端部に設けられた受光器と、前記本体部内に外部の雰囲気を強制的に供給する気体供給部と、を備えている。
【0003】
本体部の内面は、鏡面に形成されている。光源は、例えば、赤外線を放射する。受光器は、赤外線センサと、この赤外線センサと光源との間に配置されて所定の波長の赤外線のみを透過させるフィルタと、を備えている。フィルタを透過する赤外線波長は、測定対象の気体に対する測定濃度範囲により定められている。即ち、フィルタを透過する赤外線波長は、測定対象の気体の測定範囲が0ppmから数千ppmオーダーであれば最も減衰し易い赤外線波長が選択されるなど、測定対象の気体の測定濃度範囲に応じて適切に選ばれている。気体供給部は、ポンプと配管などを備えており、本体部内に雰囲気を強制的に供給し、該本体部内の気体を強制的に排出する。
【0004】
前述した従来の気体サンプル室即ち濃度測定装置は、気体供給部が雰囲気を強制的に本体部内に供給し、フィルタを介して赤外線センサが受光した光源からの赤外線の強さを測定することで、前記雰囲気中の前述した測定対象の気体の濃度を測定する。
【0005】
しかしながら、前述した従来の気体サンプル室は、本体部内に強制的に雰囲気を供給する気体供給部を備えているので、装置自体が大型化する傾向であるとともに、気体供給部内に粉塵などの異物が蓄積されると、雰囲気を本体部内にスムーズに供給できなくなり、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を正確に測定することが困難となる。
【0006】
この種の問題を解決するために、例えば、特許文献1に示された気体サンプル室が提案されている。特許文献1に示された気体サンプル室は、一端部側に光源部を配設する第一の円筒体と、一端部側に検出部を配設する第二の円筒体と、を備えて、これらの第一及び第二の円筒体が、当該第一及び第二の円筒体の他端部側同士を嵌合するとともに、軸方向に相対的に移動可能となっている。
【0007】
前述した第一及び第二の円筒体の周壁には、それぞれ、自然体流用孔を設けている。自然対流用孔は、前記第一及び第二の円筒体の相対的な移動範囲において、該第一及び第二の円筒体によって塞がることのない位置に設けられている。このように、自然体流用孔を設けることで、特許文献1に示された気体サンプル室は、気体供給部を設けることなく、前記第一及び第二の円筒体に雰囲気を出入り自在としている。
【特許文献1】特開平10−62335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示された気体サンプル室は、第一及び第二の円筒体の周壁に設けられた自然体流用孔から光源からの光(赤外線)が洩れて、雰囲気中の測定対象の気体の濃度の測定感度が劣化するため、該自然体流用孔を小さくしなければならず、速やかに雰囲気を第一及び第二の円筒体内に導くことが困難となる傾向であった。このため、特許文献1に示された気体サンプル室は、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することが困難となる傾向であった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができ且つ速やかに測定することができる気体サンプル室及びこの気体サンプル室を備えた濃度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、光源からの光を受光器に導く気体サンプル室において、筒状に形成された本体部と、前記本体部の一端部に配置された前記光源と、前記本体部の他端部に配置され且つ前記光源からの光を受光する前記受光器と、を備え、前記本体部の側壁が、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁及び第2の壁から構成されて、前記本体部の内外を連通する連通部を少なくとも一つ備えていることを特徴とする気体サンプル室である。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記連通部が、前記側壁の前記光源から前記受光器に向かう光の光軸を挟んで互いに相対する箇所に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、前記連通部が、前記側壁の上部に位置する箇所と、前記側壁の下部に位置する箇所とに設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記連通部が、前記第1の壁と前記第2の壁とのうち外側に位置する一方に設けられた開口部を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記第1の壁と前記第2の壁との双方が、前記本体部の前記一端部から前記他端部方向に沿って外側に傾斜する第1傾斜部と、前記第1傾斜部に連なり且つ前記本体部の前記一端部から前記他端部方向に沿って内側に傾斜する第2傾斜部と、を有していることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記第1の壁と前記第2の壁とのうち少なくとも一方が、これらの壁同士が互いに相対する対向面から突設した突出壁を有していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載された発明は、一端部に光源を設け且つ他端部に該光源からの光を受光する受光器を設けた気体サンプル室と、前記受光器が受光した前記光源からの光の強さに基づいて前記気体サンプル室内の予め定められた気体の濃度を算出する濃度算出部と、を備えた濃度測定装置において、前記気体サンプル室として、請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の気体サンプル室を備えたことを特徴とする濃度測定装置である。
【0017】
請求項1に記載された本発明によれば、筒状に形成されて一端部に光源が配され且つ他端部に該光源からの光を受光する受光器が配された本体部の側壁が、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁及び第2の壁から構成されて、本体部の内外を連通する連通部を少なくとも一つ備えているので、本体部外への光源からの光の洩れを低減できるとともに、本体部に雰囲気を出し入れ自在にできる。
【0018】
請求項2に記載された本発明によれば、複数の連通部が、光源から受光器に向かう光の光軸を挟んで互いに相対して設けられているので、本体部に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。
【0019】
請求項3に記載された本発明によれば、連通部が、側壁の上部に位置する箇所と、側壁の下部に位置する箇所とに設けられているので、煙突効果により本体部に雰囲気を更に速やかに出し入れ自在にできる。
【0020】
請求項4に記載された本発明によれば、前記連通部が、前記第1の壁と前記第2の壁とのうち外側に位置する一方に設けられた開口部を備えているので、本体部に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。
【0021】
請求項5に記載された本発明によれば、第1の壁と第2の壁との双方が、本体部の一端部から他端部方向に沿って外側に傾斜する第1傾斜部と、該第1傾斜部に連なり且つ本体部の一端部から他端部方向に沿って内側に傾斜する第2傾斜部と、を有しているので、本体部外への光源からの光の洩れを低減することができる。
【0022】
請求項6に記載された本発明によれば、第1の壁と第2の壁とのうち少なくとも一方が、これらの壁同士が互いに相対する対向面から突設した突出壁を有しているので、本体部外への光源からの光の洩れを更に低減することができる。
【0023】
請求項7に記載された本発明によれば、前述した気体サンプル室を備えているので、気体サンプル室の本体部外への光源からの光の洩れを低減できるとともに、該本体部に雰囲気を出し入れ自在にできる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、本体部が、当該本体部外への光源からの光の洩れを低減するとともに、当該本体部に雰囲気を出し入れ自在にするので、十分な強さの光を受光部に導くことができるとともに、雰囲気を速やかに本体部内に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができ且つ速やかに測定することができる。
【0025】
請求項2に記載の本発明は、本体部に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0026】
請求項3に記載の本発明は、煙突効果により本体部に雰囲気を更に速やかに出し入れ自在にできる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を更に速やかに測定することができる。
【0027】
請求項4に記載の本発明は、本体部に雰囲気を出し入れ自在にするので、雰囲気を速やかに本体部内に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0028】
請求項5に記載の本発明は、本体部外への光源からの光の洩れを低減することができるので、十分な強さの光を受光器に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができる。
【0029】
請求項6に記載の本発明は、本体部外への光源からの光の洩れを更に低減することができるので、十分な強さの光を受光部に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を更に向上させることができる。
【0030】
請求項7に記載の本発明は、前述した気体サンプル室を備えているので、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができ且つ速やかに測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態に係る濃度測定装置を、図1乃至図5を参照して説明する。
【0032】
濃度測定装置1は、図2に示すように、濃度の測定対象の気体を含んだ雰囲気が充填される気体サンプル室2と、制御回路部3と、受光回路部4と、濃度算出部としてのマイクロコンピュータ(以下、μcomと記載する)5と、を備えている。
【0033】
気体サンプル室2は、図1に示すように、本体部としての測定セル6と、光源7と、受光ユニット8とを備えている。
【0034】
測定セル6は、筒状に形成されており、図示例では、図1中の奥行き方向の長さが1cm、前記奥行き方向に対し直交する幅方向の長さが5cm、前記奥行き方向と幅方向との双方に対し直交する厚み方向の長さが1cm程度の略四角筒状に形成されている。
【0035】
測定セル6は、該測定セル6の長手方向、即ち前記幅方向に互いに相対する一対の対向壁23a,23bと、この一対の対向壁23a,23b同士を連結する側壁22と、を備えている。一対の対向壁23a,23bは、測定セル6の長手方向の一端部に一方の対向壁23aが位置し且つ他端部に他方の対向壁23bが位置している。
【0036】
側壁22は、4つの平坦な壁22a,22b,22c,22dから構成されており、これらの壁22a,22b,22c,22dのうち図1中の奥行き方向に沿って互いに相対する一対の壁22a,22b(即ち側壁22の互いに相対する箇所)には、それぞれ、連通部26が設けられている。また、これら一対の壁22a,22bは、光源7から受光ユニット8の後述する受光器12に向かう光の光軸を挟んで互いに相対している。
【0037】
連通部26は、第1の壁24と第2の壁25とで構成されている。そして、本実施例では、各連通部26を構成する第1の壁24及び第2の壁25が、測定セル6の互いに相対する壁22a,22bそれぞれを構成している。第1の壁24は、図1及び図3に示すように、第2の壁25より外側に配されている。第1の壁24は、中央に矩形状の開口部24aが設けられている。この開口部24aは、壁22a,22bの全長に亘って設けられている。
【0038】
第2の壁25は、平板状に形成されており、第1の壁24と間隔をあけ且つ平行に配されている。第2の壁25は、第1の壁24の開口部24aを塞ぐように配されているとともに、該開口部24aよりも大きく形成されている。即ち、第2の壁25は、第1の壁24と間隔をあけ且つ一部が重なるように配されている。
【0039】
前述した構成の測定セル6は、側壁22の図1中の奥行き方向に沿って、即ち光源7から受光ユニット8の後述する受光器12に向かう光の光軸を挟んで互いに相対する各壁22a,22bに設けられた連通部26が、当該測定セル6の内外を連通している。即ち、測定セル6の光源7から受光ユニット8の後述する受光器12に向かう光の光軸を挟んで互いに相対する各壁22a,22bに設けられた連通部26が、気体サンプル室2の内外を連通している。
【0040】
また、第1の壁24と第2の壁25とで構成された連通部26(図2又は図3に示す)は、第1の壁24と第2の壁25との間隔が0.5mm〜2.0mm程度の、雰囲気中の粉塵などの気体浮遊粒子よりも遥かに大きく形成されている。そして、連通部26は、雰囲気が通ることを許容して、測定セル6即ち気体サンプル室2の内外を雰囲気が移動自在となるようにしている。即ち、連通部26を構成する第1の壁24と第2の壁25とによって、送風機やポンプなどを設けることなく、測定セル6内に雰囲気を速やかに導いて、当該測定セル6内の気体を速やかに雰囲気と等しくするものである。
【0041】
さらに、前述した測定セル6は、側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26を構成する第1の壁24の開口部24aよりも第2の壁25が大きく形成されるとともに、これらの第1の壁24と第2の壁25との一部が重なるように配されて、当該測定セル6外へ光源7からの光を洩れにくくしている。
【0042】
光源7は、測定セル6内で且つ当該測定セル6の一端部に位置する一方の対向壁23aに設けられている。光源7は、電圧が印加されることで、光としての赤外線を測定セル6の他端部に向かって放射する。光源として、例えば黒体炉、電球等が用いられる。
【0043】
受光ユニット8は、図3及び図4に示すように、ユニット本体11と、複数の受光器12と、集光部材13と、を備えている。ユニット本体11即ち受光ユニット8は、測定セル6内で且つ当該測定セル6の他端部に位置する他方の対向壁23bに設けられている。ユニット本体11は、箱状に形成されている。なお、集光部材13は、光源7が平行光である場合には省略可能である。
【0044】
受光器12は、図示例では、四つ設けられている。受光器12は、それぞれ、赤外線センサ14と、透過部材15とを備えている。
【0045】
赤外線センサ14は、ユニット本体11に取り付けられている。複数の受光器12の赤外線センサ14は、同一平面上に配置されている。赤外線センサ14は、光源7が発し且つ透過部材15を透過した赤外線を受光し、この赤外線の熱を電気エネルギーに変換する。赤外線センサ14は、赤外線の熱を電気エネルギーに変換して、センサ出力としてμcom5に出力する。赤外線センサ14として、例えば、焦電型、サーモパイル型のものが用いられる。
【0046】
透過部材15は、ユニット本体11に取り付けられて、赤外線センサ14と光源7との間に配置されている。複数の受光器12の透過部材15は、同一平面上に配置されている。透過部材15は、それぞれ、光源7からの赤外線のうち予め定められた波長の赤外線のみを透過させて、当該透過させた波長の赤外線を赤外線センサ14まで導く。複数の受光器12の透過部材15は、互いに透過させる赤外線の波長が異なる。透過部材15は、例えば本実施形態では、図6にその透過率が示された二酸化炭素の濃度を測定するために用いられる際には、波長が4.27μmの赤外線のみを透過させる。
【0047】
そして、透過部材15を透過する赤外線の波長は、濃度測定装置1が濃度の測定対象とする気体に対する測定濃度範囲により定められる。つまり、透過部材15を透過する赤外線波長は、測定範囲が0ppmから数千ppmオーダーであれば最も減衰し易い赤外線波長が選択されるなど、測定対象の気体の測定濃度範囲に応じて適切に選ばれている。なお、受光器12は、二酸化炭素以外にも水蒸気、一酸化炭素を測定対象の気体とする。
【0048】
図示例では、一つの受光器12は基準として用いられ、その透過部材15が例えば大気中で全く減衰しない波長である1.5μm又は4.0μmの赤外線を透過させる。また、他の一つの受光器12は二酸化炭素の濃度を測定するために用いられ、その透過部材15が例えば前述した二酸化炭素中で減衰しやすい波長である4.27μmの赤外線のみを透過させる。
【0049】
更に他の受光器12は水蒸気の濃度を測定するために用いられ、その透過部材15が例えば前述した水蒸気中で減衰しやすい波長である1.9μmの赤外線のみを透過させる。更に別の受光器12は一酸化炭素の濃度を測定するために用いられ、その透過部材15が例えば前述した一酸化炭素中で減衰しやすい波長である4.64μmの赤外線のみを透過させる。
【0050】
なお、前述した透過部材15は、必ずしも前述した波長の赤外線のみを透過させるものでなくても良く、前述したように、測定対象の気体の測定濃度範囲に応じて、これらの気体の濃度測定に最適な波長の赤外線のみを透過させるものであれば良い。
【0051】
そして、受光ユニット8は、互いに透過部材15が透過させる赤外線の波長の異なる受光器12を複数備えているので、複数の種類の気体の濃度を測定するために用いることができる。
【0052】
なお、図6は、二酸化炭素に対する赤外線の透過率を示しており、図6中の横軸は赤外線の波長(μm)を示し、図6中の縦軸は赤外線の透過率(%)を示している。図6によれば、波長が4.27μmの赤外線の二酸化炭素中の透過率が、略零であることが示されており、波長が4.27μmの赤外線は、二酸化炭素中を殆ど透過しない(殆ど吸収されてしまう)ことが示されている。
【0053】
集光部材13は、例えば300度などの所定の角度の範囲の赤外線を集光して、透過部材15つまり赤外線センサ14に集中させる。すると、光源7から直接入射する赤外線以外にも、測定セル6の外壁6aの内面で反射する赤外線も赤外線センサ14に集めることができるので、赤外線の受光効率を良くすることができる。なお、集光部材13として、フレーネルレンズ等を用いることができる。
【0054】
制御回路部3は、図2に示すように、発振器16、クロック分周回路17、定電圧回路18などを備えており、μcom5の命令とおりに、所定の周波数で光源7を点滅させる。
【0055】
受光回路部4は、図5に示すように、複数のアンプ19と、切り換え器20と、A/D変換器21とを備えている、アンプ19は、それぞれ、受光器12と1対1に対応して設けられている。アンプ19は、対応する受光器12の赤外線センサ14からの信号を増幅して、切り換え器20を介してA/D変換器21に向かって出力する。A/D変換器21は、赤外線センサ14からの信号をデジタル信号に変換して、μcom5に向かって出力する。
【0056】
μcom5は、制御回路部3及び受光回路部4と接続して、これらの動作を制御することで、濃度測定装置1全体の動作をつかさどる。μcom5は、予め定められたプログラムに従って動作するコンピュータである。このμcom5は、周知のように、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)、CPUのためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROM、各種のデータを格納するとともにCPUの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM等を有して構成している。
【0057】
また、μcom5には、濃度測定装置1自体がオフ状態の間も記憶内容の保持が可能な電気的消去/書き換え可能な読み出し専用のメモリが接続している。そして、このメモリには、濃度の算出に必要な後述する吸光係数、測定距離、濃度変換係数等の各種情報を記憶するとともに、算出した濃度を外部から読出可能に時系列的に記憶する。
【0058】
前述した構成の濃度測定装置1は、測定セル6の光源7から受光ユニット8の受光器12に向かう光の光軸を挟んで互いに相対する一対の壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26が、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁24と第2の壁25とで構成され且つ該第1の壁24に設けられた開口部24aを備えている。この連通部26によって、雰囲気が測定セル6の内外を移動自在となって、この測定セル6即ち気体サンプル室2内の気体を雰囲気と等しくする。そして、濃度測定装置1は、光源7を点滅させて、この光源7からの赤外線を各受光器12の赤外線センサ14で受光する。
【0059】
そして、濃度測定装置1のμcom5は、赤外線センサ14で受光した赤外線の強さなどに基づいて、予め定められた気体の雰囲気中の濃度を測定する。具体的には、濃度測定装置1のμcom5は、基準として用いられる受光器12の赤外線センサ14で受光した赤外線の強さと、二酸化炭素、水蒸気及び一酸化炭素を測定するための受光器12の赤外線センサ14で受光した赤外線の強さとを比較して、測定対象の二酸化炭素、水蒸気及び一酸化炭素の濃度を測定する。このように、濃度測定装置1の気体サンプル室2は、光源7からの赤外線を受光器12に導くように形成されている。
【0060】
本実施形態によれば、筒状に形成されて一端部に光源7が配され且つ他端部に該光源7からの光を受光する受光器12が配された測定セル6の側壁22が、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁24及び第2の壁25から構成されて、測定セル6の内外を連通する連通部26を少なくとも一つ備えている。
【0061】
このため、測定セル6が、当該測定セル6外への光源7からの光の洩れを低減するとともに、当該測定セル6に雰囲気を出し入れ自在にすることができるので、十分な強さの光を受光部に導くことができるとともに、雰囲気を速やかに測定セル6内に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができ且つ速やかに測定することができる。
【0062】
また、連通部26が、光源7から受光ユニット8の受光器12に向かう光の光軸を挟んで互いに相対する一対の壁22a,22bに設けられているので、測定セル6に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0063】
さらに、連通部26が、第1の壁24と第2の壁25とのうち外側に位置する一方、即ち第1の壁24に設けられた開口部24aを備えているので、測定セル6に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。したがって、雰囲気を速やかに測定セル6内に導くことができ、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0064】
また、前述した実施形態では、測定セル6の側壁22の互いに相対する一対の壁22a,22bそれぞれに、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁24と第2の壁25とで構成されて、測定セル6の内外を連通する連通部26を設けていた。しかしながら、本発明では、図7に示すように、測定セル6の側壁22の互いに相対する一対の壁22a,22bそれぞれに、複数の連通部26を設けていても良い。なお、図7において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
図7に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する一対の壁22a,22bそれぞれに、該測定セル6の幅方向に沿って複数の連通部26が設けられている。複数の連通部26は、それぞれ、第1の壁28と第2の壁29とで構成されており、図示例では、複数の連通部26が、3つの第1の壁28と、4つの第2の壁29とで構成されている。そして、複数の連通部26を構成する複数の第1の壁28及び第2の壁29は、測定セル6の互いに相対する一対の壁22a,22bそれぞれを構成している。
【0066】
複数の第1の壁28は、それぞれ、平板状に形成されており、測定セル6の長手方向、即ち幅方向に沿って互いに間隔をあけて配されている。また、複数の第1の壁28は、それぞれ、複数の第2の壁29の外側に間隔をあけるとともに、一部が重なるように配されている。
【0067】
複数の第2の壁29は、それぞれ、平板状に形成されており、複数の第1の壁28と間隔をあけ且つ平行に配されている。そして、複数の第1の壁28と、複数の第2の壁29とで構成された各連通部26が、測定セル6即ち気体サンプル室2の内外を連通している。
【0068】
そして、図7に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに、該測定セル6の幅方向に沿って設けられた複数の連通部26それぞれが、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁28と第2の壁29とで構成されて、これら複数の連通部26それぞれが測定セル6の内外を連通しているので、測定セル6に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。このため、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0069】
また、前述した実施形態では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに、該測定セル6の幅方向に沿って複数の連通部26を設けて、該複数の連通部26それぞれが互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁28と第2の壁29とで構成されていた。しかしながら、本発明では、図8に示すように、複数の連通部26それぞれが互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁30と第2の壁31とで構成されて、これらの第1の壁30と第2の壁31との双方が、第1傾斜部32と第2傾斜部33とを有していても良い。なお、図8において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
図8に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに、該測定セル6の幅方向に沿って複数の連通部26が設けられている。複数の連通部26は、それぞれ、第1の壁30と第2の壁31とで構成されており、図示例では、複数の連通部26が、2つの第1の壁30a,30bと、2つの第2の壁31a,31bとで構成されている。そして、複数の連通部26を構成する複数の第1の壁30a,30b及び第2の壁31a,31bは、測定セル6の互いに相対する一対の壁22a,22bそれぞれを構成している。
【0071】
上記第1の壁30aは、測定セル6の一端部に位置する対向壁23aと連なるように設けられている。上記第1の壁30bは、測定セル6の他端部に位置する対向壁23bと連なるように設けられている。これら複数の第1の壁30a,30bには、それぞれ、測定セル6の一端部から他端部に向かうにしたがって外側に傾斜する第1傾斜部32と、該第1傾斜部32に連なり且つ測定セル6の一端部から他端部に向かうにしたがって内側に傾斜する第2傾斜部33と、が設けられている。
【0072】
また、複数の第1の壁30a,30bは、一方の第1の壁30aの第1傾斜部32及び第2傾斜部33が一方の第2の壁31aより外側に位置するように配されるとともに、他方の第1の壁30bの第1傾斜部32及び第2傾斜部33が他方の第2の壁31bより内側に位置するように配されている。
【0073】
複数の第2の壁31a,31bは、それぞれ、各第1の壁30a,30bと間隔をあけて配されている。複数の第2の壁31a,31bには、それぞれ、測定セル6の一端部から他端部に向かうにしたがって外側に傾斜する第1傾斜部32と、該第1傾斜部32に連なり且つ測定セル6の一端部から他端部に向かうにしたがって内側に傾斜する第2傾斜部33と、が設けられている。複数の第2の壁31a,31bは、それぞれ、第1傾斜部32及び第2傾斜部33が複数設けられている。
【0074】
また、複数の第2の壁31a,31bは、測定セル6の長手方向に沿って互いに間隔をあけるとともに、互いに近接した一方の第1傾斜部32及び第2傾斜部33同士が重なるように配されている。また、複数の第2の壁31a,31bは、それぞれ、他方の第1傾斜部32及び第2傾斜部33が、各第1の壁30a,30bの第1傾斜部32及び第2傾斜部33と、間隔をあけて重なるように配されている。即ち、これらの各第1の壁30a,30bと各第2の壁31a,31bとは、互いに間隔をあけ且つ一部が重なるように配されている。
【0075】
そして、図8に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに、該測定セル6の幅方向に沿って設けられた複数の連通部26それぞれが、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁30と第2の壁31とで構成されて、これらの第1の壁30と第2の壁31との双方が、第1傾斜部32及び第2傾斜部33を有している。
【0076】
このため、測定セル6外への光源からの光の洩れを低減することができるので、十分な強さの光を受光器12に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができる。
【0077】
また、図8に示された場合では、前述した複数の連通部26それぞれが、互いに間隔をあけた第1の壁30と第2の壁31とで構成されているので、これら複数の連通部26それぞれが測定セル6の内外を連通して、測定セル6に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。このため、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0078】
さらに、前述した実施形態では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに、該測定セル6の幅方向に沿って複数の連通部26を設けて、該複数の連通部26それぞれを構成する互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁30と第2の壁31との双方が、第1傾斜部32及び第2傾斜部33を有していた。
【0079】
しかしながら、本発明では、図9に示すように、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26が、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁34と第2の壁35とで構成されて、これらの第1の壁34と第2の壁35との双方に、当該第1の壁34と第2の壁35との互いに相対する(重なる)対向面の縁から突設された突出壁36が設けられていても良い。なお、図9において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
図9に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに、連通部26が設けられており、該連通部26が第1の壁34と第2の壁35とで構成されている。第1の壁34は、中央に矩形状の開口部34aが各壁22a,22bの全長に亘って設けられるとともに、第2の壁35より外側に位置するように配されている。第2の壁35は、平板状に形成されており、第1の壁34と間隔をあけ且つ平行に配されるとともに、第1の壁34の開口部34aよりも大きく形成されて該開口部34aを塞ぐように配されている。これらの第1の壁34と第2の壁35とが、互いに間隔をあけ且つ一部が重なるように配されている。
【0081】
また、第1の壁34と第2の壁35との双方には、それぞれ、当該第1の壁34と第2の壁35との互いに相対する(重なる)対向面の縁から突設された突出壁36が複数設けられている。複数の突出壁36は、第1の壁34の開口部34aの第2の壁35と重なる両端部に設けられているとともに、第2の壁35の第1の壁34と重なる両端部に設けられている。即ち、複数の突出壁36は、第1の壁34と第2の壁35とが互いに重なる部分に配されている。また、第1の壁34から突出した突出壁36と第2の壁35から突出した突出壁36とは、互いに間隔をあけて平行に配置されている。
【0082】
そして、図9に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26を構成する互いに間隔をあけ且つ一部が重なるように配された第1の壁34と第2の壁35との双方に、これらの第1の壁34と第2の壁35との互いに相対する(重なる)対向面から突設した複数の突出壁36が設けられているとともに、この複数の突出壁36が、第1の壁34と第2の壁35とが互いに重なる部分に配されているので、前記連通部26から測定セル6外に光源からの光を更に洩れにくくすることができる。
【0083】
このため、測定セル6外への光源からの光の洩れを更に低減することができるので、十分な強さの光を受光器12に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を更に向上させることができる。
【0084】
また、図9に示された場合では、前述した連通部26が、互いに間隔をあけた第1の壁34と第2の壁35とで構成され、更に、互いに間隔をあけ且つ前記壁34,35と間隔をあけて突出壁36が設けられているので、前記連通部26が測定セル6の内外を連通して、測定セル6に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。このため、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0085】
さらに、前述した実施形態では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26を構成する互いに間隔をあけ且つ一部が重なるように配された第1の壁34と第2の壁35との双方に、それぞれ、複数の突出壁36が設けられていた。しかしながら、本発明では、図10に示すように、第1の壁34と第2の壁35とにそれぞれ設けられた複数の突出壁36に、それぞれ、第2突出壁37が形成されていても良い。なお、図10において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
図10に示された場合では、第1の壁34と第2の壁35とが互いに重なる対向面の縁から突出した突出壁36の先端から更に第2突出壁37が突出している。第1の壁34から凸の突出壁36から突出した第2突出壁37と、第2の壁35から凸の突出壁36から突出した第2突出壁37とは、互いに平行に配置されているとともに、第1の壁及び第2の壁34,35の双方と平行に配置されている。
【0087】
また、第1の壁34から凸の突出壁36から突出した第2突出壁37と、第2の壁35から凸の突出壁36から突出した第2突出壁37とは、互いに間隔をあけて重なっている。即ち、第1の壁及び第2の壁34,35と突出壁36,37とは、互いに間隔をあけて配置されている。
【0088】
そして、図10に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26を構成する第1の壁及び第2の壁34,35と突出壁36,37とが、互いに間隔をあけ且つ一部が重なるように配されているので、前記連通部26から測定セル6外に光源からの光を更に洩れにくくすることができる。
【0089】
このため、測定セル6外への光源からの光の洩れを更に低減することができるので、十分な強さの光を受光器12に導くことができる。したがって、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を測定する感度を向上させることができる。
【0090】
また、図10に示された場合では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26が、互いに間隔をあけた第1の壁34と第2の壁35とで構成され、更に、互いに間隔をあけ且つ前記第1の壁及び第2の壁34,35と間隔をあけて突出壁36,37が設けられているので、前記連通部26が測定セル6の内外を連通して、測定セル6に雰囲気を速やかに出し入れ自在にできる。このため、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を速やかに測定することができる。
【0091】
さらに、前述した実施形態では、測定セル6の側壁22の図1中の奥行き方向に沿って相対する一対の壁22a,22bそれぞれに、連通部26を設けて、該連通部26が互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁34と第2の壁35とで構成されていた。しかしながら、本発明では、図11又は図12に示すように、測定セル6の図中の上下方向、即ち測定セル6の厚み方向に沿って相対する一対の壁22c,22dそれぞれに、連通部26を設けて、該連通部26が互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁38と第2の壁39とで構成されていても良い。なお、図11又は図12において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0092】
図11又は図12に示された場合では、測定セル6は、略四角筒状に形成されており、内面の四隅部分Cが、外側に向かって凸の曲面状に形成されている。測定セル6は、側壁22の該測定セル6の図中の上下方向、即ち測定セル6の厚み方向に沿って相対する一対の壁22c,22dそれぞれに、連通部26が設けられており、該連通部26が第1の壁38と第2の壁39とで構成されている。また、これら一対の壁22c,22dは、前述した光源7から受光ユニット8の受光器12に向かう光の光軸を挟んで互いに相対している。
【0093】
第1の壁38は、中央に矩形状の開口部38aが各壁22a,22bの全長に亘って設けられるとともに、第2の壁39より外側に位置するように配されている。第2の壁39は、平板状に形成されており、第1の壁38と間隔をあけ且つ平行に配されるとともに、第1の壁38の開口部38aよりも大きく形成されて該開口部38aを塞ぐように配されている。そして、これらの第1の壁38と第2の壁39とが、互いに間隔をあけ且つ一部が重なるように配されている。
【0094】
前述した構成の測定セル6は、図12に示すように、側壁22の該測定セル6の厚み方向に沿って相対する一対の壁22c,22dそれぞれに設けられ且つ第1の壁38と第2の壁39とで構成された連通部26が、当該測定セル6の内外を連通している。即ち、測定セル6の上下部に位置する各壁22c,22dそれぞれに設けられ且つ第1の壁38と第2の壁39とで構成された連通部26が、気体サンプル室2の内外を連通している。
【0095】
そして、図11又は図12に示された場合では、第1の壁38と第2の壁39とで構成された連通部26が、測定セル6の側壁22の上部に位置する壁22c(即ち側壁22の上部に位置する箇所)と、該測定セル6の下部に位置する壁22d(即ち側壁22の下部に位置する箇所)とに設けられているので、前記連通部26が測定セル6の内外を連通して、煙突効果により測定セル6に雰囲気を更に速やかに出し入れ自在にできる。このため、雰囲気中の測定対象の気体の濃度を更に速やかに測定することができる。
【0096】
また、図11又は図12に示された場合では、測定セル6が略四角筒状に形成されて、当該測定セル6の内面の四隅部分Cを外側に向かって凸の曲面状に形成することで、測定セル6内の四隅部分Cにおいて雰囲気を移動しやすくしている。
【0097】
さらに、図11又は図12に示された場合では、測定セル6の側壁22の該測定セル6の厚み方向に沿って相対する一対の壁22c,22dそれぞれに、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁38と第2の壁39とで構成されて、これらの第1の壁38と第2の壁39との間の空間Kが測定セル6の内外を連通する連通部26を設けている。しかしながら、前記連通部26はこれに限定されるものではなく、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22c,22dそれぞれに、連通部26を複数設けていても良い。また、前記第1の壁38と第2の壁39とのうち少なくとも一方が、これらの第1の壁38と第2の壁39との互いに相対する対向面に突出壁を有して、測定セル6外に光源からの光を洩れにくくしていても良い。
【0098】
また、図11又は図12に示された場合では、前述したように測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22c,22dそれぞれに、連通部26を複数設けて、更に、前記複数の連通部26それぞれを構成する第1の壁38と第2の壁39との双方が、測定セル6の一端部から他端部方向に沿って外側に傾斜する第1傾斜部と、該第1傾斜部に連なり且つ測定セル6の一端部から他端部方向に沿って内側に傾斜する第2傾斜部とを有して、測定セル6外に光源からの光を洩れにくくしていても良い。
【0099】
前述した実施形態では、光としての赤外線を用いている。しかしながら、本発明では、赤外線以外の種々の光を用いても良い。
【0100】
また、前述した実施形態では、測定セル6が略四角筒状に形成されていた。しかしながら、本発明では、測定セル6の形状については、これに限定されるものではなく、円筒状や多角筒状のものであっても良く、測定セル6内において雰囲気を移動しやすい形状であれば、如何なる形状であっても良い。
【0101】
さらに、前述した実施形態では、測定セル6の側壁22のうち互いに相対する一対の壁22a,22bそれぞれに連通部26を設けて、該連通部26を互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁24と第2の壁25とで構成して、これらの第1の壁24と第2の壁25との間の空間Kが測定セル6即ち気体サンプル室2の内外を連通している。しかしながら、本発明では、測定セル6の側壁22のうち一つの壁のみに連通部26を設けて、該連通部26を構成する第1の壁24と第2の壁25との間の一対の空間Kが測定セル6、即ち気体サンプル室2の内外を連通しても良い。また、気体サンプル室2の内外を連通する空間Kは、気体サンプル室2内の雰囲気が移動しやすいように、少なくとも二箇所に設けられていることが好ましい。
【0102】
また、前述した実施形態では、測定セル6の側壁22の互いに相対する各壁22a,22bそれぞれに設けられた連通部26を構成する互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁34と第2の壁35との双方が、当該第1の壁34と第2の壁35との互いに相対する対向面から突設された突出壁36を有していた。しかしながら、本発明では、前記第1の壁34と第2の壁35とのうち少なくとも一方が、突出壁36を有していれば良い。
【0103】
さらに、前述した実施形態では、濃度測定装置1が二酸化炭素、水蒸気、一酸化炭素の濃度を測定している。しかしながら、本発明では、濃度測定装置1がNOx、SOx、H2S、O3、CH4、NOなどの二酸化炭素、水蒸気、一酸化炭素以外の種々の気体の濃度を測定しても良い。
【0104】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施形態に係る濃度測定装置の気体サンプル室の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示された濃度測定装置の構成を示す説明図である。
【図3】図1中のIII−III線の断面を模式的に示す説明図である。
【図4】図3中のIV−IV線の断面を模式的に示す説明図である。
【図5】図2に示された濃度測定装置の受光回路の構成を示す説明図である。
【図6】二酸化炭素の透過率を示したグラフである。
【図7】図1に示された濃度測定装置の気体サンプル室の変形例の構成を模式的に示す説明図である。
【図8】図1に示された濃度測定装置の気体サンプル室の別の変形例の構成を模式的に示す説明図である。
【図9】図1に示された濃度測定装置の気体サンプル室の更に別の変形例の構成を模式的に示す断面図である。
【図10】図9に示された濃度測定装置の気体サンプル室の変形例の構成を模式的に示す断面図である。
【図11】図10に示された濃度測定装置の気体サンプル室の更にまた別の変形例の構成を模式的に示す斜視図である。
【図12】図11中のXII−XII線の断面を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0106】
1 濃度測定装置
2 気体サンプル室
5 マイクロコンピュータ(濃度算出部)
6 測定セル(本体部)
7 光源
12 受光器
22 側壁
24 第1の壁
25 第2の壁
26 連通部
28 第1の壁
29 第2の壁
30,30a,30b 第1の壁
31,31a,31b 第2の壁
32 第1傾斜部
33 第2傾斜部
34 第1の壁
35 第2の壁
36 突出壁
38 第1の壁
39 第2の壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を受光器に導く気体サンプル室において、
筒状に形成された本体部と、前記本体部の一端部に配置された前記光源と、前記本体部の他端部に配置され且つ前記光源からの光を受光する前記受光器と、を備え、
前記本体部の側壁が、互いに間隔をあけ且つ一部が重なる第1の壁及び第2の壁から構成されて、前記本体部の内外を連通する連通部を少なくとも一つ備えていることを特徴とする気体サンプル室。
【請求項2】
複数の前記連通部が、前記光源から前記受光器に向かう光の光軸を挟んで互いに相対して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の気体サンプル室。
【請求項3】
前記連通部が、前記側壁の上部に位置する箇所と、前記側壁の下部に位置する箇所とに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の気体サンプル室。
【請求項4】
前記連通部が、前記第1の壁と前記第2の壁とのうち外側に位置する一方に設けられた開口部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の気体サンプル室。
【請求項5】
前記第1の壁と前記第2の壁との双方が、前記本体部の前記一端部から前記他端部方向に沿って外側に傾斜する第1傾斜部と、前記第1傾斜部に連なり且つ前記本体部の前記一端部から前記他端部方向に沿って内側に傾斜する第2傾斜部と、を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の気体サンプル室。
【請求項6】
前記第1の壁と前記第2の壁とのうち少なくとも一方が、これらの壁同士が互いに相対する対向面から突設した突出壁を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の気体サンプル室。
【請求項7】
一端部に光源を設け且つ他端部に該光源からの光を受光する受光器を設けた気体サンプル室と、前記受光器が受光した前記光源からの光の強さに基づいて前記気体サンプル室内の予め定められた気体の濃度を算出する濃度算出部と、を備えた濃度測定装置において、
前記気体サンプル室として、請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の気体サンプル室を備えたことを特徴とする濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−139215(P2009−139215A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315739(P2007−315739)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】