説明

気体含有溶液の保存および送達のためのシステム

【課題】気体発生溶液(例えば、重炭酸含有溶液)を収容しそして保存するための容器システムを提供すること。
【解決手段】本発明は、気体発生溶液(例えば、重炭酸含有溶液)を収容しそして保存するための容器システムを提供する。本システムは、気体非透過性の外側の容器またはバリアを含む。本システムはまた、気体が外側の容器から漏出するかまたは漏れ得、それゆえに気体発生溶液の物理的特性が変化する場合に視覚的に表示するための指標を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、一般に、将来の送達または使用のために、気体含有溶液(例えば重炭酸塩含有溶液)を収容しかつ保存するためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、容器システムからの気体の漏れの場合、視覚的な表示を提供する気体含有溶液を含むためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
気体含有溶液(例えば重炭酸塩含有溶液)は、医用手順において、しばしば使用される。詳細には、重炭酸塩含有溶液は、血液透析または腹膜透析溶液のためにしばしば使用される。重炭酸塩含有溶液において、重炭酸塩は二酸化炭素と均衡状態である。二酸化炭素は、常温常圧で気体であるので、二酸化炭素は簡単に溶液から漏れる。二酸化炭素の漏出は溶液の物理的および化学的特性を変えるので、溶液からの二酸化炭素の漏出を避けることが必要とされる。例えば、重炭酸塩含有溶液からの二酸化炭素の放出は、溶液のpHを増大させる。当然、溶液が医用目的のために使用される場合、重炭酸塩含有溶液の特徴のいかなる変化も所望されない。
【0003】
それゆえに、医用目的(例えば、透析溶液)で使用するには、重炭酸塩含有溶液からの二酸化炭素の放出は、避けることが必要とされる。さらに、気体が溶質と平衡状態にある他の気体含有溶液について、上記のように、気体の放出が溶液の特徴を変えるため、溶液を含む容器、器またはパッケージからの気体の放出は回避されることを必要とする。
【0004】
現在までは、溶液容器から気体の放出を防ぐことの試みは、絶対安全な(fail-proof)容器設計を得る方向に指向していた。例えば、溶液の安定性を確実にする容器から二酸化炭素または他の気体が漏出することを防ぐ気体不透過性の物質が使用されている。しかし、気体不透過性の物質の偶発的損傷は、常に可能性として残っている。さらに、重炭酸塩含有溶液の場合、二酸化炭素は色がなくそして無臭の気体である。それゆえに、容器からの二酸化炭素のいかなる漏れも、使用者には検知されないままである。
【0005】
従って、容器システムの気体遮断能力が損壊するか損傷した場合、使用者に視覚的表示を提供するように、気体含有溶液(例えば、重炭酸塩含有溶液)を収容し、そして保存するための容器システムを改良する必要がある。このような改良型の容器システムで、重炭酸塩含有透析溶液を利用する医用人員または患者には、二酸化炭素が、透析溶液の特性の変化を引き起こす容器システムからの漏れまたは漏出が生じる場合に視覚的表示が提供される。さらに、他の気体含有溶液の使用者は、気体の容器(containment)システムからの漏れを許しそれによって溶液の物理的および/または化学的特性が変わる場合に視覚的表示が提供される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、気体含有溶液のための容器システムおよび気体含有溶液を収容するための方法を提供する。本発明の容器システムは、気体がシステムから漏れるか、または漏出した場合、システムの使用者に視覚的表示を提供する。
【0007】
この目的のため、1つの実施態様において、システムは気体含有溶液をパッケージするために提供される。1つの実施態様において、システムは、溶液、ならびに溶液の1つ以上の物理的および/または化学的特性の変化を示す(その結果、気体が容器から漏れるか、または漏出する事態になる)ための表示装置を収納する気体不透過性の容器を含む。
【0008】
1つの実施態様において、システムは、外側の気体不透過性容器内に配置した内側の気体透過性容器を有する。内側の気体透過性容器は、少なくとも部分的に気体含有溶液で満たされる。気体は、外側の容器の気体不透過性の性質のため、内側容器と外側容器との間に収容される。指標は、内側容器と外側容器との間、または内側の容器内のいずれかで提供され、気体がシステムから漏れるか、または漏出した場合、溶液の1つ以上の物理的および/また化学的特性の変化を表示する。
【0009】
1つの実施態様において、溶液によって発生されそして内側の容器の隔壁を通過する気体を含有するのに役立つように、内側容器と外側容器との間に、間隔が提供される。
【0010】
1つの実施態様において、システムは重炭酸塩含有溶液を収容し、そして保存するために提供される。気体透過性の内側の容器は、重炭酸塩溶液を収容する。
内側の容器はより大きい気体不透過性の外側容器の中に配置される。重炭酸塩含有溶液によって発生される気体は、内側容器と外側容器との間の提供される間隔内に収容される。二酸化炭素ガスが外側の容器から漏れるか、または漏出する場合、指標は、視覚的表示を使用者に提供するために外側の容器内に配置される。
【0011】
1つの実施態様において、指標は内側容器と外側容器との間の配置される。
【0012】
1つの実施態様において、指標は内側の容器内に配置される。
【0013】
1つの実施態様において、指標装置は、バインダーおよび指標物質から成るタブレット形状で、提供される。
【0014】
1つの実施態様において、指標装置は、指標物質を含有する気体透過性材料でできた容器を含む。
【0015】
1つの実施態様において、指標装置は、溶液および指標物質を含有する気体透過性材料でできた容器を含む。
【0016】
1つの実施態様において、指標装置は、アルカリ化剤または酸性化剤を含むか含まない平板(粉末および指標物質から成る)を含む。
【0017】
1つの実施態様において、指標装置は、粉末および指標物質を含有する気体透過性材料でできた容器を含む。
【0018】
1つの実施態様において、指標装置は、指標物質ならびに湿潤剤、電解液および/または安定剤を含む。
【0019】
1つの実施態様において、指標物質は、特性を変える物質である(例えばその環境のpHが変わる場合の色)。
【0020】
1つの実施態様において、指標物質は、クレゾールレッド(o-クレゾールスルホンフタレイン)である。
【0021】
1つの実施態様において、指標物質は、m-クレゾールパープル(m-クレゾールスルホンフタレイン)である。
【0022】
1つの実施態様において、指標物質は、α-ナフトールアゾベンゼン-p-スルホン酸である。
【0023】
1つの実施態様において、指標物質は、チモールブルー(チモールスルホンフタレイン)である。
【0024】
1つの実施態様において、指標物質は、ブロモチモールブルー(ジブロモチモールスルホンフタレイン)である。
【0025】
1つの実施態様において、指標物質は、p-キシレノールスルホンフタレインである。
【0026】
1つの実施態様において、指標物質は、フェノールレッド(フェノールスルホンフタレイン)である。
【0027】
1つの実施態様において、内側の気体透過性容器は、重炭酸塩含有溶液または気体含有溶液で満たされる1つ以上の区画を有する多数の区画された容器であり得る。
【0028】
1つの実施態様において、本発明は、気体含有溶液を収容するための方法を提供する。この方法は、気体透過性の内側の容器を内側の容器を封止して気体含有溶液で満たす工程、内側の容器をより大きな気体不透過性の外側の容器内で囲む工程、それにより溶液から発生しそして内側の容器の隔壁を通過する気体の量を収容するために内側容器と外側容器との間の配置した間隔を設ける工程、少なくとも1つの気体含有溶液の物理的および/または化学的特性の変化を示すために内側容器と外側容器との間に指標を配置する工程、および外側の容器を封止する工程を含む。
【0029】
1つの実施態様において、指標は内側溶液と外側容器との間の間隔に対して、気体透過性の内側の容器内に配置される。
【0030】
それゆえに、本発明の利点は、重炭酸塩溶液を収容し、そして保存するための改良された容器システムを提供することである。
【0031】
本発明の別の利点は、気体発生容液または気体含有溶液を収容しかつ保存するために改良された容器システムである。
【0032】
本発明の別の利点は、二酸化炭素がシステムから漏れるか、または漏出した場合に使用者に視覚的表示をさらに提供する重炭酸塩含有溶液を収容しかつ保存するシステムのための改良された容器である。
【0033】
本発明のさらに別の利点は、システムから気体が漏れるか、または漏出した場合に、使用者に視覚的表示を提供する気体発生溶液または気体含有溶液を収容しかつ保存するために改良されたシステムを提供することである。
【0034】
本発明のなおさらなる利点は、本システムの気体遮断特性が損傷したか悪くなった場合に使用者に視覚的表示を提供する、気体発生溶液または気体含有溶液の収容および保存のために改良されたシステムおよび方法を提供することである。
【0035】
したがって、本発明は、以下をも提供する。
1.気体含有溶液または気体発生溶液のための容器システムであって、上記容器が、上記気体発生溶液、および気体発生溶液の少なくとも一つの物理的または化学的特性を示すための指標を含む気体不透過性の外側の容器からなる、容器システム。
2.内側容器と外側容器との間の少なくとも一部に配置している間隔を有する気体不透過性の外側の容器に囲まれる気体透過性の内側の容器をさらに含み、上記内側の容器が上記気体含有溶液または気体発生溶液を収容し、上記間隔は上記溶液により発生しそして上記内側の容器を通過するある量の気体を含む上記内側の容器と上記外側の容器の間に配置される、項目1に記載の容器システム。
3.上記指標が気体透過性のカプセルに入れられる、項目1に記載の容器システム。
4.上記指標が、上記内側の容器と外側の容器との間の間隔に配置される、項目2に記載の容器システム。
5.上記指標が、上記内側の容器の内側に配置される、項目2に記載の容器システム。
6.上記気体含有溶液または気体発生溶液がpHを有し、そして上記指標が上記溶液のpHの変化を示す、項目1に記載の容器システム。
7.上記指標が上記溶液の組成物の変化を示す、項目1に記載の容器システム。
8.上記指標が指標物質を含有する気体透過性のバッグを含む、項目5に記載の容器システム。
9.上記指標が以下から成る群から選択される指標物質を含む、項目1に記載の容器システム:クレゾールレッド(o-クレゾールスルホンフタレイン)、m-クレゾールパープル(m-クレゾールスルホンフタレイン)、α-ナフトールアゾベンゼン-p-スルホン酸、チモールブルー(チモールスルホンフタレイン)、ブロモチモールブルー(ジブロモチモールスルホンフタレイン)、p-キシレノールスルホンフタレインおよびフェノールレッド(フェノールスルホンフタレイン)。
10.上記内側の容器が気体含有溶液または気体発生溶液を収容するために、複数の区画をさらに含む、項目2に記載の容器システム。
11.気体含有溶液または気体発生溶液のための容器システムであって、上記気体含有溶液または気体発生溶液はpHを有し、上記容器は以下を含む:
内側の容器と外側の容器との間に配置される間隔を有する気体不透過性の外側の容器内に配置される気体透過性の内側の容器であって、上記内側の容器は上記気体含有溶液または気体発生溶液を収容し、上記間隔は気体含有溶液または気体発生溶液により発生され上記内側の容器を通る二酸化炭素ガスの量を収容する上記内側の容器と外側の容器との間に配置される内側の容器、
上記気体含有溶液または気体発生溶液のpHの変化を示すための指標。
12.上記指標が上記内側の容器と外側の容器との間の間隔に配置される、項目11に記載の容器システム。
13.上記指標が上記内側の容器の内側に配置される、項目11に記載の容器システム。
14.上記指標が以下から成る群から選択される指標物質を含む、項目11に記載の容器システム:クレゾールレッド(o-クレゾールスルホンフタレイン)、m-クレゾールパープル(m-クレゾールスルホンフタレイン)、α-ナフトールアゾベンゼン-p-スルホン酸、チモールブルー(チモールスルホンフタレイン)、
ブロモチモールブルー(ジブロモチモールスルホンフタレイン)、p-キシレノールスルホンフタレインおよびフェノールレッド(フェノールスルホンフタレイン)。
15.上記内側の容器が、気体含有溶液または気体発生溶液を収容するために、複数の区画をさらに含む、項目11に記載の容器システム。
16.重炭酸塩溶液のための容器システムであって、上記容器が以下を含む:
内側の容器と外側の容器との間に配置される間隔を有する気体不透過性の外側の容器内に配置される気体透過性の内側の容器であって、上記内側の容器は重炭酸塩溶液を含有し、上記間隔は上記重炭酸塩溶液により発生され上記内側の容器を通る二酸化炭素ガスの量を収容するために上記内側の容器と外側の容器との間に配置される、内側の容器、
上記内側の容器と外側の容器との間の間隔に位置する二酸化炭素ガスの量の変化を示すための指標。
17.上記指標が上記内側の容器と外側の容器との間の間隔に配置される、項目16に記載の容器システム。
18.上記指標が上記内側の容器の内側に配置される、項目16に記載の容器システム。
19.項目16に記載の容器システムであって、ここで、上記指標は、以下からなる群から選択される指標物質を含む:クレゾールレッド(o-クレゾールスルホンフタレイン)、m-クレゾールパープル(m-クレゾールスルホンフタレイン)、α-ナフトールアゾベンゼン-p-スルホン酸、チモールブルー(チモールスルホンフタレイン)、ブロモチモールブルー(ジブロモチモールスルホンフタレイン)、p-キシレノールスルホンフタレインおよびフェノールレッド(フェノールスルホンフタレイン)。
20.上記内側の容器は、重炭酸塩溶液を収容するための複数の区画をさらに含む、項目16に記載の容器システム。
21.気体発生溶液を収容する方法であって、上記気体発生溶液が少なくとも一つの物理的および/または化学的特性を有し、上記方法は以下の工程を包含する:
気体透過性の内側の容器を少なくとも部分的に上記気体発生溶液で満たす工程、
上記内側の容器を封止する工程、
より大きい気体非透過性の外側の容器内に上記内側の容器を囲む工程、
それにより、上記溶液により発生し上記内側の容器を通る気体の量を収容するために、内側の容器と外側の容器との間に配置された間隔を残す工程
上記気体発生溶液の少なくとも一つの物理的および/または化学的特性の変化を示すために上記内側の容器と外側の容器との間に指標を配置する工程、
上記外側の容器を封止する工程。
22.気体発生溶液を収容するための方法であって、上記気体発生溶液が少なくとも一つの物理的および/または化学的特性を有し、上記方法は以下の工程を含む方法:
気体透過性の内側の容器を少なくとも部分的に上記気体発生溶液で満たす工程、
上記気体発生溶液の少なくとも一つの物理的および/または化学的特性の変化を示すために上記内側の容器内に指標を配置する工程、
上記内側の容器を封止する工程、
より大きい気体非透過性の外側の容器内で上記内側の容器を囲む工程、
それにより、上記溶液により発生し上記内側の容器を通る気体の量を収容するために、内側の容器と外側の容器との間に配置される間隔を残す工程、
上記外側の容器を封止する工程。
【0036】
さらなる本発明の特徴および効果は、好ましい本実施態様の詳細な説明および図面に記載されており、そして明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、重炭酸塩含有溶液のような気体発生溶液を収容しかつ保存するのためのシステムおよび方法を提供する。より詳細には、本発明は、気体がシステムから漏れるか、または漏出した場合に、視覚的表示を使用者に提供する、気体含有溶液(重炭酸塩含有溶液する含む)を収容するためのシステムおよび方法を提供する。
【0038】
図1で示したように、本発明のシステム10aは、少なくとも部分的に12で示される気体発生溶液で満たされる内側の容器llを含む。内側の容器11および溶液12は、外側の容器13の内に収納される。内側の容器11は、気体透過性物質から製作される。外側の容器13は、気体不透過性の物質から製作される。外側の容器13が、内側の容器llより大きく、それにより内側の容器llと外側の容器13との間に、14で示される間隔を提供する。間隔14は、溶液12によって発生し、内側の容器11の隔壁を通過するが気体不透過性の外側の容器13を通過し得ない気体を含有する。
【0039】
しかし、外側の容器13が損傷されるかまたはさもなければ改悪される場合、気体は外側の容器13から大気中にまで漏れ得る。このような状況において、間隔14の条件の変化を検出する指標15が、提供される。詳細には、溶液12が重炭酸含有溶液の場合には、間隔14は少なくとも部分的に二酸化炭素で満たされる。二酸化炭素の外側の容器13による漏出を許す場合、間隔14内の二酸化炭素の分圧は二酸化炭素の漏出に従って間隔14から減少し、そして空気が間隔14に入る。指標15が、この二酸化炭素分圧の減少の視覚的表示を提供する。好ましくは、二酸化炭素の分圧が減少し、空気が間隔14に入ると、指標15は色を変える。
【0040】
図2で示したように、システム10bは、2つの分離した区画17、18に容器llを分割する隔壁16を含む内側の容器llを備えている。区画17、18は、それぞれ隔離された溶液19、20を含有する。また、指標15は、外側の容器13の気体遮断特性が改悪されるか、または損なわれた場合、間隔14の範囲内で配置される気体の分圧の変化を検出するために提供される。外側の容器13の気体遮断特性が改悪されまたは損なわれた場合、視覚的表示を提供する1つのシステムlOb内で、2つの溶液19、20が収納され得るために、隔離された溶液19、20は別々に使用され得る。さらに、いくらかの出願において、重炭酸塩溶液は、インスタント(ready-to-use)医用溶液である。対照的に、腹膜透析のために使用される重炭酸塩溶液は、2つの切り離されたチャンバを有するバッグにおいて、代表的に提供される。1つのチャンバはデキストロースおよびカルシウムの溶液を含有し、他のチャンバは重炭酸塩および二酸化炭素ガスの溶液を含有する。これらの物質は、熱によって、一緒に殺菌され得ず、それゆえに、分離される。両方のチャンバは、脆いかまたは剥げるシールにより、無菌的再構成を使用の前に可能にするために接続される。これらの適用のために、図2にて示したように、容器システム10bは、特に適切である。さらに、1つのシステム10b中の2つの溶液19、20を提供することによって、溶液当たりのパッケージングコストは減少し、そして必要な場合、無菌的再構成が好ましい。
【0041】
図3および4で示したように、システム10cおよび10dは、図1および2で示したように、内側の容器11および外側の容器13の間の配置した指標15を含まない。対照的に、溶液21(図3)は溶液21中に溶けている指標を含有する。溶液21が重炭酸塩含有溶液であり、かつ外側の容器13が二酸化炭素を漏出するかまたは外側の容器13の通過を許した場合、溶液21のpHが増大する。この結果、溶液21の中に溶けている指標は色が変わり、それにより、溶液21の物理的特性が変わり、そして、溶液21を使用すべきでないという視覚的表示を使用者に提供する。
【0042】
患者により使用される溶液中に指標を溶かすことが所望されない場合、内側の容器llが2つ以上の区画17、18に分割されるために、内側の容器llは1つ以上の隔壁16で分割され得る。次いで、指標は図4に示される溶液22または溶液23のいずれかに溶かされ得る。好ましくは、より小さい区画内に含まれる溶液、すなわち、より小さい区画18内に含まれる溶液23は、溶かされた指標を含む。外側の容器が漏出する場合、溶けた指標を含有するより小さい溶液23は、色を変え、患者に溶液22またはシステム10d内に含まれる溶液のいずれも使用しないこと、そして、システム10dが単に捨てるべきであるという警報を出す。
【0043】
図5は、外側の気体不透過性の容器13内に配置された気体透過性の内側の容器11を特徴とする容器10eを示す。指標15aは、重炭酸塩含有溶液24内に配置される。指標15aの外被は、気体透過性である。それ故、二酸化炭素ガスが内側の容器11を通ってそして外側の容器13を通り外への漏れが可能である場合、指標15aに曝露される二酸化炭素の濃度が変化する。そして、このため、二酸化炭素、またはその物質について溶液24に含まれる任意の気体が、システム10eから漏れると、指標15aは色を変え、さもなければ、視覚的表示を提供する。
【0044】
図6は、溶液25を収納する外側の非透過性の容器13だけを含むシステムlOeを示す。指標15aは溶液25内に配置され、そして、指標15aの外被は気体透過性である。気体の外側の容器13からの漏れが可能である場合、指標15aに曝される気体の濃度は変わる。そして、それゆえに、指標15aはこの変化の視覚的表示を使用者に提供し得る。
【0045】
本発明のシステムは、特に重炭酸塩含有透析溶液を含有するのに有用である。指標15による視覚的表示は、内側の容器llおよび外側の容器13の間に配置するか、または、対照的に、外側の容器13の気体遮断特性が改悪されるかまたは損なわれる場合、重炭酸塩含有溶液21(図3)内の溶かされた指標または重炭酸塩含有溶液23(図4)の1つもしくは浮き斑指標(floatingindicator)は患者に視覚的表示を提供する。従って、溶液の性質が変わり、そして、製品が捨てられるべきであるという視覚的表示を、患者または医療技術者は提供される。当然、本発明のシステムが、重炭酸塩含有溶液溶液に加えて、他の気体含有溶液または気体発生溶液にも適用し得る。
【0046】
指標としての使用のために利用可能な物質は以下を含むが、これらに限定されない:クレゾールレッド(o-クレゾールスルホンフタレイン)、m-クレゾールパープル(m-クレゾールスルホンフタレイン)、α-ナフトールアゾベンゼン-p-スルホン酸、チモールブルー(チモールスルホンフタレイン)、ブロモチモールブルー(ジブロモチモールスルホンフタレイン)、p-キシレノールスルホンフタレイン、およびフェノールレッド(フェノールスルホンフタレイン)、または、組合せ。
【0047】
外側の容器13は、好ましくは、気体不透過性の物質(例えば、多層ラミネートまたは共押し出し成型された物質(これは、アルミニウム、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンのような気体遮断要素を含有する)、および/または、酸化アルミニウムまたは酸化けい素堆積コーティングによる中間層)から製造される。これらの物質の適切な単一層もまた、使用し得る。代替物において、このような物質の厚い層が透過性を適切なレベルに減らすため、ポリ塩化ビニルのような厚い透過性物質が使用され得る。
【0048】
内側の容器llは、ブロー成形および/または押し出し成型することによって得られるポリ塩化ビニルまたはポリプロピレン、またはラミネート化されたかまたは共押し出されたポリオレフィンベース物質の単一層、または多層のような気体透過性物質から好ましくは製造される。
【0049】
外側の容器13および内側の容器llの物質は、当然、内側の容器11が比較的気体透過性であり、一方で外側の容器13が比較的気体非透過性であるように選択されるべきである。内側の容器llは、外側の容器13よりも少なくとも2倍は透過性であるべきである。好ましくは、内側の容器llは、外側の容器13より10〜約1000倍透過性である。内側の容器llは、内側の容器llに含まれる溶液と内側の容器11と外側の容器13の間に配置された間隔14に含まれる気体との間の平衡状態を達成し得るのに十分に透過性であるべきである。
【0050】
本明細書中で記載される好ましい本実施態様に対する種々の変化および改変が明らかであると当業者に理解されるべきである。このような変化および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、かつその付随する利点を減らすことなくなされ得る。それゆえに、このような変化および改変は、添付の請求の範囲により包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は本発明の容器システムの実施態様を模式的に示す。
【図2】図2は本発明の容器システムの実施態様を模式的に示す。
【図3】図3は本発明の容器システムの実施態様を模式的に示す。
【図4】図4は本発明の容器システムの実施態様を模式的に示す。
【図5】図5は本発明の容器システムの実施態様を模式的に示す。
【図6】図6は本発明の容器システムの実施態様を模式的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−111839(P2008−111839A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287847(P2007−287847)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【分割の表示】特願平10−534806の分割
【原出願日】平成10年1月30日(1998.1.30)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】