説明

気体溶解装置

【課題】大きなタンクを必要とすることなく効率良く気体を溶解させることができると共に、また異物が混入しても詰まるようなことなく気体溶解液の減圧を行なうことができ、気泡の発生を防止して安定した高濃度の気体溶解液を得ることができる気体溶解装置を提供する。
【解決手段】液体を圧送する加圧部1。液体に気体を注入する気体注入部2。気体が注入された液体が加圧部1で圧送されることによる加圧で液体に気体を溶解させる加圧溶解部3。加圧溶解部3で気体を溶解させた気体溶解液の圧力を、気体溶解液の流入側から流出側に向かって順次大気圧まで減圧する減圧部4。これらを備え、加圧部1、気体注入部2、加圧溶解部3の各部を連続的に運転させて、減圧部4に気体溶解液を連続的に供給し、減圧部4の流出側から気泡の発生のない気体溶解液を連続的に吐出させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を高濃度で溶解した気体溶解液を得るために用いられる気体溶解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸素、オゾン、二酸化炭素、アルゴン等の気体を水などの液体に高濃度に溶解させた気体溶解液は、各種の分野に利用されている。例えば、環境分野では、池や貯水池等の閉鎖水域の浄化、下水処理、土壌浄化、産業排水浄化などに、農林水産分野では、溶液栽培、農業水、農業廃水処理などに、食品分野では、食品加工水、食品洗浄水、腐敗防止などに、製造産業分野では、部品洗浄などに、家庭用では酸素水として飲料、美容用などに利用されている。
【0003】
このような気体を高濃度に溶解した気体溶解液を製造する気体溶解装置としては、密閉タンクに液体と気体を供給し、密閉タンク内に設けた邪魔板に液体を衝突させて、液体の飛沫を多量に発生させることによって、液体の飛沫に気体を溶解させるようにしたもの(特許文献1参照)、密閉タンクに液体と気体を供給し、密閉タンクを複数の室に分割して、各室の圧力差を用いて液体を他の室に噴出させることによって、噴出した液体の飛沫に気体を溶解させるようにしたもの(特許文献2参照)、などが提案されている。
【0004】
しかし、上記の特許文献1,2のものでは、液体の飛沫に気体を接触させることによって、気体を溶解させるようにしているために、大きな密閉タンクを必要とし、装置が大掛かりなものになるという問題があり、また気体の溶解効率も悪いという問題があった。さらに、気体を高濃度で溶解させた気体溶解液を密閉タンクから取り出す際に、圧力の急激な低下で液体中に気泡が発生し、気体溶解量が減少したりキャビテーションが生じたりするおそれがあるという問題もあった。
【0005】
また特許文献3には、酸素を含有する気体と液体とを加圧下において混合し、液体中に気体を溶解させて高濃度酸素の気泡水を生成する気体溶解装置が提案されており、またこの気体溶解装置から供給される気泡水を、植物の栽培を行なう培地や土壌に供給することによって、高酸素濃度の水で、酸欠状態を起こすことなく多数の植物を栽培することができるようにした植物栽培装置が提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3の気体溶解装置にあっても、上記と同様に高酸素濃度の気泡水を供給する際に、圧力の急激な低下で液体中に気泡が発生し、酸素溶解量が減少することになるという問題がある。また気体溶解装置から培地や土壌に高酸素濃度の気泡水を供給するにあたって、このように発生した気泡が水路に付着したり、さらに植物の根に気泡が付着したりして、多数の植物の全体に酸素を行き渡らせることが難しいという問題もある。
【0007】
一方、気体を高濃度で溶解させた気体溶解液を、液体中に気泡が発生しない状態で吐出することができるようにした技術も提案されている。
【0008】
例えば特許文献4では、水などの溶媒にオゾンを混合して加圧することによって溶解させた後、オゾン溶解液を細路に層流状態で通して減圧することによって、オゾンの気泡が発生しない状態でオゾン溶解液を吐出させるようにしている。しかし特許文献4においてこの細路は、直径0.5mm程度の細管の集合体からなるものであり、異物の混入によって細路に詰まりが発生し易く、廃水処理や水浄化などの用途に使用することはできないものであって、用途が限定されるという問題があった。
【0009】
また特許文献5では、廃水中に処理ガスを溶存させたガス富化流体を、複数の流体通路を有するノズルを通して減圧することによって、気泡が発生しない状態でガス富化流体を吐出させるようにしている。しかし特許文献5において流体通路は、内径約150乃至450μmの毛細管などからなるものであり、上記と同様に異物の混入によって流体通路に詰りが発生し易いという問題があった。
【0010】
また特許文献6は、液体を圧縮してキャビテーション核を除去した後に、液体とガスを圧縮してガス過飽和液体を形成し、ガス過飽和液体を送出系統を通して噴射させるようにしたものであり、キャビテーション核を除去しておくことによって、気泡が発生しない状態でガス過飽和液体を送出系統を通して噴射できるようにしたものである。しかし特許文献6では、このように液体を圧縮してキャビテーション核を除去するために、小さな毛管流路を使用するようにしており、上記と同様に異物の混入によって毛管流路に詰りが発生し易いという問題があった。
【特許文献1】特開2002−346351号公報
【特許文献2】特開2003−190750号公報
【特許文献3】特開2006−304714号公報
【特許文献4】特開2000−334283号公報
【特許文献5】特表2004−505752号公報
【特許文献6】特表平10−507400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、大きなタンクを必要とすることなく効率良く気体を溶解させることができると共に、また異物が混入しても詰まるようなことなく気体溶解液の減圧を行なうことができ、気泡の発生を防止して安定した高濃度の気体溶解液を得ることができる気体溶解装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る気体溶解装置は、液体を圧送する加圧部1と、液体に気体を注入する気体注入部2と、気体が注入された液体が加圧部1で圧送されることによる加圧で液体に気体を溶解させる加圧溶解部3と、加圧溶解部3で気体を溶解させた気体溶解液の圧力を、気体溶解液の流入側から流出側に向かって順次大気圧まで減圧する減圧部4とを備え、加圧部1、気体注入部2、加圧溶解部3の各部を連続的に運転させて、減圧部4に気体溶解液を連続的に供給し、減圧部4の流出側から気泡の発生のない気体溶解液を連続的に吐出させるようにして成ることを特徴とするものである。
【0013】
この発明によれば、加圧によって液体に気体を溶解させるため、効率良く気体を溶解させることができると共に、加圧溶解部3を容積の大きなタンクで形成するような必要がなく、装置規模を小さくすることが可能になるものである。また気体を溶解した気体溶解液を減圧部4で減圧するため、気体溶解液に気泡が発生することを防止して安定した高濃度の気体溶解液を得ることができ、キャビテーションが生じることを防ぐことができるものである。そしてこの減圧部4は気体溶解液の圧力を流入側から流出側に向かって順次大気圧まで減圧するものであるため、細い流路などで形成する必要なく比較的太い流路などで形成することができるものであり、異物が混入しても詰まるようなことなく気体溶解液の減圧を行なうことができるものである。さらにこのような減圧部4を設けることによって、減圧部4を流れる気体溶解液のレイノルズ数が臨界レイノルズ数(Re=2320)より小さなレイノズル数である層流状態だけではなく、臨界レイノルズ数より大きなレイノルズ数である乱流状態でも対応することが可能になるものである。
【0014】
また請求項2の発明は、請求項1において、加圧溶解部3で液体に溶解しない余剰気体を排出する余剰気体排出部5を備えて成ることを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、気体の溶解飽和量以上の溶解できない余剰気体を加圧溶解部3から排出することによって、余剰気体が残留することによる加圧溶解部3内の気体と液体の比率を安定させて圧力変動を防ぐことができ、気体の溶解効率を高く維持することができるものである。
【0016】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、減圧部4を、加圧溶解部3から気体溶解液を送り出す流路6に設けられ、気体溶解液の圧力を大気圧にまで段階的に減圧する複数の圧力調整弁7で構成して成ることを特徴とするものである。
【0017】
この発明によれば、圧力調整弁7による圧力調整で気体溶解液の圧力を下げることができ、加圧溶解部3における圧力に応じて圧力調整弁7で減圧調整することによって、気体溶解液に気泡が発生することを安定して防ぐことができるものである。
【0018】
また請求項4の発明は、請求項1又は2において、減圧部4を、流路断面積と流路長さの少なくとも一方の調整で気体溶解液の圧力を大気圧にまで減圧するように形成された、加圧溶解部3から気体溶解液を送り出す流路6で構成して成ることを特徴とするものである。
【0019】
この発明によれば、加圧溶解部3から気体溶解液を送り出す流路6の流路断面積と流路長によって、気体溶解液の圧力を下げることができ、装置の構造を簡単なものに形成することができるものである。
【0020】
また請求項5の発明は、請求項3又は4において、減圧部4は、一つの流路で形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
この発明によれば、複数の流路を設けて減圧部4を形成する場合のような、装置構成が複雑になることがないものである。
【0022】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、加圧溶解部3から気体溶解液を送り出す流路6の圧力損失とこの流路6に付加した延長流路8の圧力損失の和が、加圧部1で圧送される液体と気体の押し込み圧によって加圧溶解部3内で液体と気体を加圧するのに必要な圧力となるように、流路6に延長流路8を付加して成ることを特徴とするものある。
【0023】
この発明によれば、流路6に延長流路8を付加することによって、絞り弁を用いる必要なく、加圧部1からの押し込み圧で加圧溶解部3内の圧力を確保することができ、この圧力で液体に気体を溶解させることができるものである。
【0024】
また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、加圧溶解部3から気体溶解液を送り出す流路6に、気体溶解液中の気体を微細気泡として発生させるための微細気泡抽出流路9を設けて成ることを特徴とするものである。
【0025】
この発明によれば、気体を高濃度に溶解した気体溶解液を取り出す他に、気体溶解液から微細気泡を発生させるようにすることもできるものである。
【0026】
また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、気体注入部2に余剰気体排出部5を連結部10で連結して成ることを特徴とするものである。
【0027】
この発明によれば、加圧溶解部3で液体に溶解しない余剰気体を気体注入部2で再度液体に混合することができ、余剰気体を大気に放出して捨てる必要がなくなるものである。
【0028】
また請求項9の発明は、加圧部1を、気体注入部2に水を圧送する水道配管11で形成して成ることを特徴とするものである。
【0029】
この発明によれば、所定の圧力で水道水が供給される水道配管19を利用して気体注入部2に水を圧送することができ、気体注入部2に水を圧送するための動力が不要になるものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、加圧によって液体に気体を溶解させるようにしているので、効率良く気体を溶解させることができると共に、加圧溶解部3を容積の大きなタンクで形成するような必要がなく、装置規模を小さくすることが可能になるものである。また気体を溶解した気体溶解液を減圧部4で減圧するようにしているので、気体溶解液に気泡が発生することを防止して安定した高濃度の気体溶解液を得ることができるものであり、キャビテーションが生じることを防ぐことができるものである。さらに減圧部4は気体溶解液の圧力を流入側から流出側に向かって順次大気圧まで減圧するものであって、比較的太い流路などで減圧部4を形成することができるものであり、異物が混入しても詰まるようなことなく気体溶解液の減圧を行なうことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0032】
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものであり、加圧溶解部3の流出側と流入側にそれぞれ配管で形成される流路15,6が接続してある。流入側の流路15は一端を加圧溶解部3に、他端を水などの液体16を貯留する液体槽17に接続してあり、この流路15の途中に加圧部1が設けてある。加圧部1は、例えば、液体槽17から液体16を吸い上げて加圧溶解部3に圧送するポンプ18などで形成されるものである。
【0033】
またこの流入側の流路15に気体注入部2が接続してある。気体注入部2は気体を流路15に供給して注入するためのものであり、例えば気体として空気を供給する場合には、一端を大気中に開放させた管体の他端を流路15に接続して気体注入部2を形成するようにしてある。あるいは気体として酸素、オゾン、水素、窒素、二酸化炭素、アルゴン等を供給する場合には、これらの気体を封入したボンベなどを流路15に接続して気体注入部2を形成するようにしてある。流路15への気体注入部2の接続位置は、加圧溶解部3より上流側の位置であればよく、図1のように加圧部1より上流側の流路15に接続するようにしても、あるいは加圧部1より下流側の流路15に接続するようにしてもいずれでもよい。
【0034】
一方、流出側の流路6は一端を加圧溶解部3に接続し、他端は気体溶解液回収槽(図示省略)などに接続して、大気に開放してある。またこの流路6には減圧部4が設けてある。さらに、加圧溶解部3には余剰気体排出部5が設けてある。余剰気体排出部5は、例えば、一端を大気に開放した管体を、加圧溶解部3内の気圧が所定の圧力以上になると開口するガス抜き弁などを介して加圧溶解部3に接続することによって、形成してある。
【0035】
上記のように形成される気体溶解装置にあって、ポンプ18で形成される加圧部1を作動させ、液体槽17から液体を吸い上げ、流路15を通して加圧溶解部3へ液体を圧送して供給する。このように流路15内を液体が流れる際に、気体注入部2から気体が流路15内に吸引されて液体に気体が注入される。そしてこのように気体が注入された液体を加圧部1で加圧溶解部3へ圧送して送り込むことによって、この圧送による押し込み力で加圧溶解部3内において液体と気体に圧力が加わって高圧になる。このように加圧溶解部3内で液体と気体を加圧することによって、液体に気体を効率高く飽和量以上に溶解させることができ、液体に気体が高濃度で溶解した気体溶解液を得ることができるものである。図10は本発明の気体溶解装置を用いて、0.5MPaの圧力で空気を水に溶解させる場合の、水温と溶存酸素濃度(DO)との関係を示すグラフである。このグラフにみられるように、水温27℃の水に空気を混合して加圧溶解部3内で0.5MPaの圧力を加圧すると、溶存酸素濃度35mg/Lの高濃度酸素溶解水を造ることができるものである。
【0036】
また、上記のように加圧溶解部3内において液体と気体を加圧して強制的に効率良く溶解させ、高濃度で気体が溶解した気体溶解液を短時間で生成することができるため、加圧溶解部3内で生成された気体溶解液を流路6を通して送り出しながら、加圧溶解部3内で液体に気体を溶解させるようにすることができるものである。従って、加圧溶解部3をタンクのような容積の大きなもので形成する必要がなくなるものであり、装置規模を小さくして装置のコストを低減することが可能になるものである。
【0037】
ここで、気体の全量が液体に溶解しないと、加圧溶解部3内で液体に溶解しない余剰気体が生じるが、加圧溶解部3に余剰気体排出部5を設け、気体の溶解飽和量以上の溶解できない余剰気体を加圧溶解部3から排出することによって、余剰気体が残留することによる加圧溶解部3内の気体と液体の比率を安定させて圧力変動を防ぐことができ、気体の溶解効率を高く維持することができるものである。
【0038】
そして、上記のように加圧溶解部3で生成された気体溶解液は、流路6を通して送り出されるが、加圧溶解部3内で気体溶解液は高圧に加圧された状態にあるので、そのまま大気圧下にある外部に排出されると、急激な圧力低下によって、気体溶解液中に気泡が発生するおそれがあり、気体溶解量が減少し、またキャビテーションが発生することがある。このために本発明では、流路6に減圧部4を設け、加圧溶解部3内で加圧された状態の気体溶解液を流路6を通して送り出す際に、減圧部4で大気圧まで気泡を発生させることなく減圧をした後に吐出するようにしてある。
【0039】
ここで、加圧溶解部3内で生成されるのと同じ濃度の気体溶解液について、加圧溶解部3内で加圧されている圧力と同じ圧力から大気圧まで減圧する際に、気泡が発生しない減圧度を、予め計算や測定で求めておき、減圧部4をこの予め求めた減圧度で、気体溶解液が流入側する側から流出側に向かって、気体溶解液の圧力を段階的に、あるいは連続的に、徐々に大気圧まで減圧できるように設定してある。従って、加圧溶解部3内で加圧された気体溶解液を、減圧部4において気泡が発生しない減圧度で徐々に大気圧まで減圧した後に、流路6の先端から吐出することによって、気体溶解液に気泡が発生することなく気体溶解液を吐出することができるものであり、加圧溶解部3で飽和量以上に気体が溶解された気体溶解液を、安定した高濃度の状態のまま取り出して利用することが可能になるものである。
【0040】
図2は、減圧部4の具体的な実施の形態の一例を示すものであり、加圧溶解部3に接続される流路6に、液体の流れ方向に沿って複数の圧力調整弁7(7a,7b,7c)を設けることによって、減圧部4を形成するようにしてある。このように減圧部4を複数の圧力調整弁7を備えて形成することによって、気泡が発生しない減圧度で気体溶解液の圧力を段階的に徐々に下げることができるものである。
【0041】
各圧力調整弁7a,7b,7cは、気体溶解液に気泡発生が生じない減圧度で減圧するように設定されているものであり、この減圧度は予め計算や測定で求めた数値に設定されるものである。例えば、加圧溶解部3から流路6に送り出された気体溶解液の加圧圧力が0.5MPaであるとき、気泡が発生しない減圧量が0.12MPaであると測定によって判明しているとすると、圧力調整弁7aで気体溶解液の圧力を0.12MPa減圧して、0.38MPaに落とす。また気体溶解液の加圧圧力が0.38MPaであるとき、気泡が発生しない減圧量が0.16MPaであると測定によって判明しているとすると、次の圧力調整弁7bで気体溶解液の圧力を0.16MPa減圧して、0.22MPaに落とす。さらに気体溶解液の加圧圧力が0.22MPaであるとき、気泡が発生しない減圧量が0.22MPa以上であると測定によって判明しているとすると、次の圧力調整弁7cで気体溶解液の圧力を0.22MPa減圧して、加圧圧力を0MPaに落とし、大気圧まで減圧することができるものである。尚、圧力調整弁7による減圧量は、液体の種類、温度、気体の種類、溶解濃度、加圧溶解部3内の圧力、流路6の径などに応じて変動するものであり、装置毎に、計算や測定をして、適宜設定されるものである。
【0042】
ここで、上記の図1や図2の実施の形態では、加圧部1をポンプ18で形成し、加圧溶解部3をタンクほどの大きな容積は必要ではないにしても一定の容積を有する容器で形成したが、図3に示すように、加圧部1を所定の水圧で水が供給される水道配管19で形成することもできる。このように水道配管19は所定の水圧で水を供給するので、水を加圧溶解部3に送り込むことによる押し込み圧で、加圧溶解部3内を加圧することができるものである。また、水道配管19の蛇口などを流路6に接続すると、水道配管19から水を流路6に送り込むことによる押し込み圧で、流路6内を加圧することができるものであり、流路6自体で加圧溶解部3を形成するようにすることもできる。
【0043】
図3は、水道配管19で加圧部1を形成し、水道配管19に接続される流路6で加圧溶解部3を形成するようにした実施の形態を示すものであり、流路6のうち、流路6に接続した気体注入部2と、流路6に設けた圧力調整弁7からなる減圧部4との間の部分が、加圧溶解部3となるものである。流路6で形成される加圧溶解部3には、必要に応じて余剰気体排出部5を設ければよい。従ってこのものでは、ポンプ18などの動力が不要になり、また容器などを用いて加圧溶解部3を形成する必要もなくなるので、装置の製造コストを一層低減することができるものである。
【0044】
図4は、減圧部4の具体的な実施の形態の他の一例を示すものであり、加圧溶解部3に接続される流路6を流路断面積が異なる複数の管体20a,20b,20cを備えて形成し、この流路断面積の異なる複数の管体20a,20b,20cで減圧部4が形成されるようにしてある。
【0045】
図4(a)の実施の形態では、流路断面積が異なる、つまり内径の異なる複数の管体20a,20b,20cを一体に連ねるようにしてあり、気体溶解液の流れの上流側から下流側へと、徐々に管体20a,20b,20cの径が小さくなるようにしてある。また図4(b)の実施の形態では、内径の異なる複数の管体20a,20b,20cをレジューサ21を介して接続して連ねるようにしてあり、気体溶解液の流れの上流側から下流側へと、徐々に管体20a,20b,20cの径が小さくなるようにしてある。さらに図4(c)の実施の形態では、気体溶解液の流れの上流側から下流側へと連続的に径が小さくなる管体20a,20b,20cを一体に連ねるようにしてある。
【0046】
この図4のものにあって、各管体20a,20b,20cの内径はφd>φd>φdであるので、各管体20a,20b,20c内の気体溶解液の流速はV<V<Vとなり、各管体20a,20b,20c内の気体溶解液の圧力はP>P>Pとなる。従って、加圧溶解部3から送り出される気体溶解液の圧力Pを気泡が発生しない減圧度で、図4(a)(b)のものでは段階的に減圧して、また図4(c)のものでは連続的に減圧して、Pの大気圧まで徐々に下げることができるものである。
【0047】
図5は、減圧部4の具体的な実施の形態の他の一例を示すものであり、加圧溶解部3に接続される流路6を通して気体溶解液を排出する際に、流路6内を気体溶解液が流れる際の圧力損失によって、気体溶解液に気泡が発生しない減圧速度で気体溶解液の圧力を徐々に連続的に低下させ、気体溶解液の圧力を大気圧にまで低下させるようにしてある。従って図5の実施の形態では、加圧溶解部3内での圧力がPの気体溶解液を、流路6内を通過させる際にP〜Pn−1へと、気体溶解液に気泡が発生しない減圧速度で徐々に連続的に圧力を低下させ(P>P>Pn−1)、流路6の終端では気体溶解液の圧力Pが大気圧にまで低下するように、流路6の流路断面積と管路長Lを設定するようにしてあり、このような流路断面積と管路長さLを有する流路6によって減圧部4が形成されるものである。
【0048】
この管路長さLは、次の式から設定することができる。すなわち、
流体の関係式P=λ・(L/d)・(v/2g)
[Pは加圧溶解部3内の圧力、λは管摩擦係数、dは内径、vは流速、gは加速度]
から、L=(P・d・2g)/(λ・v)を導くことができ、この式から計算して流路6の管路長さLを求めることができるものである。このように、流路6の管路長さLを所定長さに形成するだけで減圧部4を形成することができるものであり、気体溶解装置の構造をより簡単なものに形成することができるものである。
【0049】
上記のように本発明では加圧部1によって液体と気体を加圧溶解部3に圧送し、この際の押し込み圧によって加圧溶解部3内で液体と気体を加圧して気体を溶解させるようにしているが、この押し込み圧を受けて加圧溶解部3内に必要な圧力が発生するようにする必要がある。このように加圧部1からの押し込み圧を受ける圧力を確保するために、加圧溶解部3の流出側の流路6に絞り弁などの絞り部を設けることが考えられるが、このように絞り部を流路6に設けると、加圧溶解部3で生成された気体溶解液を流路6に送り出して排出する際に、絞り部の前後で大きな圧力差が生じ、気体溶解液が急激に減圧されることになり、気体溶解液に気泡が発生するおそれがある。
【0050】
そこで図6の実施の形態では、流路6の圧力損失を利用して、流路6に絞り部を設ける必要なく、押し込み圧を受ける圧力を確保するようにしている。このとき、上記各実施形態の流路6の長さでは、流路6の圧力損失で押し込み圧を受ける圧力を確保することは難しいので、流路6の加圧溶解部3と反対側の端部に延長流路8を付加するようにしてある。すなわち、流路6の減圧部4も含めた全体の圧力損失を算出し、加圧部1からの押し込み圧によって加圧溶解部3内で液体と気体を加圧するのに必要な圧力と、この流路6の圧力損失との差を算出し、さらにこの差の圧力損失が生じる管路の長さを上記の式から算出して、この管路長さの延長流路8を流路6に付加するようにしてある。このように、流路6の圧力損失と延長流路8の圧力損失の和が、加圧部1で圧送される液体と気体の押し込み圧によって加圧溶解部3内で液体と気体を加圧するのに必要な圧力となるように、流路6に延長流路8を付加することによって、絞り弁などの絞り部を用いる必要なく、加圧部1からの押し込み圧で加圧溶解部3内の加圧力を確保して、液体に気体を溶解させることができるものである。
【0051】
図7は本発明の気体溶解装置の具体的な一例を示すものであり、液体槽17から供給される水は流路15に導入口30から導入される。流路15には空気が導入される気体注入部2が接続してあり、空気が注入された水はポンプで形成される加圧部1によって、小容量のタンクで形成される加圧溶解部3に圧送される。このように空気が注入された水が加圧溶解部3に圧送されることによって、加圧溶解部3内で水に空気が溶解された気体溶解液が生成される。そしてこの気体溶解液は加圧溶解部3から流路6に送り出され、流路6の先端の吐出口31から吐出される。この流路6には減圧部4が設けてあり、加圧溶解部3から送り出された気体溶解液は大気圧まで減圧された後に吐出口31から吐出され、気泡が発生しない状態で気体溶解液を吐出することができる。図7の実施の形態では、減圧部4は、図4(a)の内径が異なる管体20a,20b,20cを連ねたもので形成してある。
【0052】
この気体溶解装置にあって、ポンプで形成される加圧部1を連続運転することによって、気体注入部2、加圧溶解部3を連続的に運転させて、減圧部4に気体溶解液を連続的に供給するようにすることができるものであり、減圧部4の流出側である吐出口31から気泡の発生のない気体溶解液を連続的に吐出させることができるものである。
【0053】
また、減圧部4は加圧溶解部3から気体溶解液を送り出す流路6の一部として設けられており、そしてこの減圧部4は気体溶解液の圧力を流入側から流出側に向かって順次大気圧まで減圧するものであるため、減圧部4を例えば内径2〜50mm程度の比較的大きい流路として形成することができるものであり、異物が混入しても減圧部4内が詰まるようなことがないものである。さらにこのような構成の減圧部4を設けることによって、減圧部4を流れる気体溶解液のレイノルズ数が臨界レイノルズ数(Re=2320)より小さなレイノズル数である層流状態だけではなく、臨界レイノルズ数より大きなレイノルズ数である乱流状態でも対応することが可能になるものである。
【0054】
さらに、減圧部4をこのように内径の大きな流路として形成することによって、気体溶解液の供給量を多くすることができ、減圧部4を一つの流路のみで形成することが可能になるものであり、装置構成を簡単なものに形成することができるものである。
【0055】
図8は本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、加圧溶解部3の流出側に接続される流路6に分岐接続して、微細気泡抽出流路9が設けてある。図8(a)に示すように、微細気泡抽出流路9は加圧溶解部3と減圧部4との間の箇所において、あるいは減圧部4より下流側の箇所において、切り替え弁22を介して流路6に分岐接続されるものである。また微細気泡抽出流路9の先端には図8(b)に示すような微細気泡発生ノズル23が設けてある。微細気泡発生ノズル23は吐出口に多数の微細穴24を設けて形成してある。
【0056】
このものにあって、加圧溶解部3で生成された気体溶解液は、流路6を通して取り出して使用することができる他に、切り替え弁22を切り替えて気体溶解液を流路6から微細気泡抽出流路9に送り出し、微細気泡発生ノズル23から吐出させることによって、微細気泡を含む微細気泡含有液を得ることができるものであり、一台の装置で、気体溶解液と微細気泡含有液の二種類の液を造ることができるものである。
【0057】
図9は本発明の他の実施の形態を示すものであり、加圧溶解部3の余剰気体排出部5を気体注入部2に連結部10で連結するようにしてある。このように余剰気体排出部5を気体注入部2に接続することによって、加圧溶解部3で液体に溶解しなかった余剰気体を気体注入部2に返送して、再度液体に溶解させるようにすることができるものである。従って、加圧溶解部3で液体に溶解しなかった気体を捨てることなく有効利用することができるものであり、またオゾンなどの有害気体が外部に排出されて環境が汚染されることを防ぐことができるものである。
【0058】
上記のように形成される本発明の気体溶解装置は、酸素やオゾンなどの気体を高濃度で溶解した気体溶解液を生成して供給することができるので、環境分野、製造・産業分野、農林水産分野、家庭用分野、医療分野や、その他の各種の分野において使用することができるものである。
【0059】
例えば環境分野では、海、河川、湖、池、ダム湖等の閉鎖水域に、酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を供給することによって、溶存酸素量を高めて水浄化を行なうことができるものであり、同様に浄化槽、下水道施設、し尿処理施設において、酸素供給に利用することができる。また土壌への酸素供給によって有害物質や油汚染等を処理することができる。
【0060】
製造・産業分野では、工場排水処理施設に、酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を供給することによって、溶存酸素の向上による排水処理を行なうことができ、あるいはオゾンが高濃度で溶解した気体溶解液を供給することによって、排水をオゾン処理することができる。また食品工場での発酵食品の発酵と培養促進のための、酸素供給に利用することができる。また業務用浴場、プール、水族館等の循環水ろ過システムへの酸素やオゾンの供給に利用することができ、工場の塗装工程循環水、工場の洗浄工程循環水、冷却循環水への酸素やオゾン供給による浄化に利用することができる。さらに本発明の気体溶解装置を、工場等で発生した有毒ガスを水に高濃度で溶解させて処理する装置として利用することもできる。
【0061】
農林水産分野では、農業排水、水産排水、畜産排水に酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を供給することによって、溶存酸素向上による水浄化や汚物の浮上分離に利用することができる。また酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を農業用水や水産用水として用いることによって、植物の発芽促進や成長促進、魚介類の成長促進を図ることができる。さらに生簀に高濃度で溶解した気体溶解液を供給することによって、活魚輸送などの際の酸素供給を行なうことができる。
【0062】
家庭用分野では、生活排水の浄化槽などに酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を供給することによって、溶存酸素の向上による排水処理を効率良く行なうことができる。また二酸化炭素が高濃度で溶解した気体溶解液を浴槽に供給することによって、炭酸ガス風呂を形成することができる。
【0063】
医療分野では、酸素が高濃度で溶解した気体溶解液や、二酸化炭素が高濃度で溶解した気体溶解液を、飲料用、癌治療用、結石破壊用などに利用することができる。
【0064】
その他の分野では、飲料用の酸素水製造装置、飲料用の炭酸水製造装置として本発明の気体溶解装置を利用することができる。さらに殺菌用、脱色用、脱臭用、有機物分解用など多分野で使用されるオゾン水製造装置として本発明の気体溶解装置を利用することができる。
【0065】
本発明に係る気体溶解装置を、上記の各分野のうち農林水産分野において、植物の栽培に利用した植物栽培装置について説明する。植物栽培装置は、気体溶解装置で生成される酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を農業用水として植物に供給するようにしたものであり、植物に多量の酸素を供給することができ、植物の生育や発芽を促進することができると共に、密生状態でも酸欠状態が生じることなく植物を栽培することができるものである。
【0066】
図11は植物栽培装置の実施の形態を示すものであり、減圧部4を有する本発明の気体溶解装置Aと、植物35を栽培する栽培容器36とを備え、減圧部4の流出側から吐出される気泡の発生のない気体溶解液を栽培容器36に供給するようにしたものである。気体溶解装置Aは上記の図1乃至図7、図9と同様に形成されるものである。
【0067】
図11(a)は水耕栽培用の植物栽培装置を示すものであり、栽培容器36として水耕栽培槽37を用い、水耕栽培槽37内の水面付近に配置した複数の定植パネル38に植物35が植えてある。気体溶解装置Aの流出側の流路6は水耕栽培槽37の一端部に接続してある。また気体溶解装置Aの流入側の流路15が接続される液体槽17と水耕栽培槽37の他端部の間には返送流路39が接続してある。液体槽17には水耕栽培用の液体が貯留してあり、この液体としては例えば肥料成分を含有する水を用いることができる。
【0068】
この植物栽培装置にあって、気体溶解装置Aの加圧部1を作動させ、液体槽17から液体を吸い上げて加圧溶解部3へ液体を圧送して供給すると共に、気体注入部2から空気など酸素を含む気体を注入することによって、加圧溶解部3内で液体に酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を得ることができる。そして加圧溶解部3で生成された気体溶解液は、減圧部4で大気圧まで減圧された後に流路6を通して水耕栽培槽37に送り出されるものである。このように気体溶解装置Aで生成された酸素が高濃度に溶解した気体溶解液を水耕栽培槽37に供給することによって、定植パネル38に植えた植物35の根に多量の酸素を供給することができるものであり、植物35の発育を促進することができると共に、多数の植物35を密生して植えていても酸素欠乏状態になることがなく、植物35の栽培効率を高めることができるものである。水耕栽培槽37に供給された気体溶解液は、返送流路39を通して液体槽17に返送され、循環して繰り返して使用される。
【0069】
ここで、気体溶解装置Aで生成された気体溶解液は減圧部4で大気圧に減圧された後に、流路6を通して水耕栽培槽37に供給されるので、気体溶解液から気泡が発生することを防ぐことができ、酸素が気泡として抜けて気体溶解液の酸素濃度が低下することを防止することができるものであり、植物35への酸素の供給の効率を高めることができるものである。またこのように気体溶解液から気泡が発生することを防ぐことができるので、気体溶解装置Aから水耕栽培槽37までの間の水路に気泡が付着したり、植物35の根に気泡が付着したりすることがなくなり、植物35の全体に酸素が行き渡らなくなるということもなくなるものである。
【0070】
図11(b)は液肥栽培用の植物栽培装置を示すものであり、栽培容器36として土壌などの培地41を収容した栽培鉢42を用い、栽培鉢42の培地41に植物35が植えてある。気体溶解装置Aの流出側の流路6には栽培鉢42の培地41に気体溶解液を滴下して供給する供給流路43が接続してある。図の実施の形態では、複数の栽培鉢42を用い、各栽培鉢42に個別に気体溶解液を滴下などして供給するように、複数の供給流路43を流路6に分岐して設けるようにしてある。また気体溶解装置Aの流入側の流路15が接続される液体槽17には液肥栽培用の液体が貯留してあり、この液体としては例えば肥料を水に溶解した肥料液を用いることができる。
【0071】
この植物栽培装置にあって、気体溶解装置Aの加圧部1を作動させ、液体槽17から肥料液を吸い上げて加圧溶解部3へ液体を圧送して供給すると共に、気体注入部2から空気など酸素を含む気体を注入することによって、加圧溶解部3内で肥料液に酸素が高濃度で溶解した気体溶解液を得ることができる。そして加圧溶解部3で生成された気体溶解液は、減圧部4で大気圧まで減圧された後に流路6を通して供給流路43の先端から各栽培鉢42の培地41に滴下などして供給される。このように気体溶解装置Aで生成された酸素が高濃度に溶解した気体溶解液からなる肥料液を栽培鉢42の培地41に供給することによって、培地41に植えた植物35の根に肥料と共に多量の酸素を供給することができるものであり、植物35の発育を促進することができると共に、植物35を密生して植えていても酸素欠乏状態になることがなく、植物35の栽培効率を高めることができるものである。
【0072】
このものにあっても、気体溶解装置Aで生成された気体溶解液は減圧部4で大気圧に減圧された後に、流路6を通して栽培鉢42に供給されるので、気体溶解液から気泡が発生することを防ぐことができ、酸素が気泡として抜けて気体溶解液の酸素濃度が低下することを防止することができるものであり、植物35への酸素の供給の効率を高めることができるものである。またこのように気体溶解液から気泡が発生することを防ぐことができるので、気体溶解装置Aから栽培鉢42までの間の水路の途中に気泡が付着し、気体溶解装置Aから遠い栽培鉢42にまで酸素が行き渡らなくなるということもなくなるものである。
【0073】
また、気体溶解装置で生成される高酸素濃度の気体溶解液を植物に供給する植物栽培装置としては、上記のような水耕栽培用や液肥栽培用に限られるものではなく、例えば、高酸素濃度の気体溶解液を植物の種子に供給し、種子の発芽を酸素供給によって促進するものに使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の他の実施の形態の一例を示す一部の概略図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の一例を示す一部の概略図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、(a)(b)(c)はそれぞれ一部の概略図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の一例を示す一部の概略図である。
【図6】本発明の他の実施の形態の一例を示す一部の概略図である。
【図7】(a)(b)は本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は概略図、(b)は微細気泡発生ノズルの斜視図である。
【図9】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図10】0.5MPaの圧力で空気を水に溶解させる場合の、水温と溶存酸素濃度(DO)との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の気体溶解装置を用いた植物栽培装置を示すものであり、(a)は水耕栽培用の植物栽培装置の概略図、(b)は液肥栽培用の植物栽培装置の概略図である。
【符号の説明】
【0075】
1 加圧部
2 気体注入部
3 加圧溶解部
4 減圧部
5 余剰気体排出部
6 流路
7 圧力調整弁
8 延長流路
9 微細気泡抽出流路
10 連結部
19 水道配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を圧送する加圧部と、液体に気体を注入する気体注入部と、気体を注入された液体が加圧部で圧送されることによる加圧で液体に気体を溶解させる加圧溶解部と、加圧溶解部で気体を溶解させた気体溶解液の圧力を、気体溶解液の流入側から流出側に向かって順次大気圧まで減圧する減圧部とを備え、加圧部、気体注入部、加圧溶解部の各部を連続的に運転させて、減圧部に気体溶解液を連続的に供給し、減圧部の流出側から気泡の発生のない気体溶解液を連続的に吐出させるようにして成ることを特徴とする気体溶解装置。
【請求項2】
加圧溶解部で液体に溶解しない余剰気体を排出する余剰気体排出部を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の気体溶解装置。
【請求項3】
減圧部を、加圧溶解部から気体溶解液を送り出す流路に設けられ、気体溶解液の圧力を大気圧にまで段階的に減圧する複数の圧力調整弁で構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体溶解装置。
【請求項4】
減圧部を、流路断面積と流路長さの少なくとも一方の調整で気体溶解液の圧力を大気圧にまで減圧するように形成された、加圧溶解部から気体溶解液を送り出す流路で構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体溶解装置。
【請求項5】
減圧部は、一つの流路で形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の気体溶解装置。
【請求項6】
加圧溶解部から気体溶解液を送り出す流路の圧力損失とこの流路に付加した延長流路の圧力損失の和が、加圧部で圧送される液体と気体の押し込み圧によって加圧溶解部内で液体と気体を加圧するのに必要な圧力となるように、流路に延長流路を付加して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の気体溶解装置。
【請求項7】
加圧溶解部から気体溶解液を送り出す流路に、気体溶解液中の気体を微細気泡として発生させるための微細気泡抽出流路を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の気体溶解装置。
【請求項8】
気体注入部に余剰気体排出部を連結部で連結して成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の気体溶解装置。
【請求項9】
加圧部を、気体注入部に水を圧送する水道配管で形成して成ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに1項に記載の気体溶解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−188574(P2008−188574A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31021(P2007−31021)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】