説明

気体除去方法、気体除去装置、混練材料の製造方法及び積層支持体

【課題】塑性流動材料と硬質充填材の混練片又は塑性流動材料と硬質充填材を混練する際に、混練物に含有された気体を除去することで、性能が安定した成型品を得ることを課題とする。
【解決手段】塑性流動材料と硬質充填材の混練物片56Aが投入された加圧室50を加圧すると、加圧室50の混練物片56Aは、流動して開口部54を通過して充填室52へ充填される。このとき、開口部54の加圧方向と直交する方向の断面積は、加圧室50の断面積よりも小さくされているため、加圧室50内の混合物片56Aに働く力の大きさよりも、開口部54を流動する混練物56の単位面積当たりに働く力の大きさの方が大きくなる。これにより、混練中に混練物56に含有された気体が抜け易くなる。したがって、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片56Aの混練中に含有された気体が、混練物56から除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塑性流動材料と硬質充填材の混練物片又は塑性流動材料と硬質充填材を混練する際に含有された気体を、混練物から除去する気体除去方法及び気体除去装置と、積層弾性体の積層方向に形成された中空部に注入される金属コアの製造方法及び、この製造方法で製造された金属コアを用いて構成された積層支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴムなどの弾性板と金属などの剛性板とを交互に積層した積層支持体が、免震装置の支承等として使用されている。このような積層支持体には、例えば、中心に中空部を形成し、この中空部内に鉛製の金属コアを圧入して構成されたものがある(特許文献1参照)。このような構成により、積層支持体がせん断変形するときに、金属コアが塑性変形することで、ダンパとして機能するようになっている。
【0003】
ところで、金属コアとしては、減衰性能が安定している鉛製のもの(鉛プラグ)が使用されることが多い。しかし、鉛プラグは、廃却時等に要するコストが大きい。このため、鉛プラグに替えて、塑性流動材料と硬質充填材の混練物が用いられている。
【0004】
塑性流動材料と硬質充填材の混練はニーダーを用いて行われる。ニーダーによって混練された塑性流動材料と硬質充填材の混練物100は、図9(A)に示すような複数の塊状に形成され、これを成型機102に投入して必要に応じて加熱しながら加圧して(図9(B)及び図9(C))、金属コアの形状に成型する。
【0005】
複数の塊状の混練物100を成型機102に投入するときに、混練物100の間に隙間ができてしまい、この状態で加圧し流動させて金属コアを成型する際に、空気(気体)が金属コア内に混入してしまう。金属コア内に混入した空気が多くなると、金属コアの強度が低くなり、積層支持体は安定した減衰性能を発揮できない。
【特許文献1】特公平7−84815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、塑性流動材料と硬質充填材の混練片又は塑性流動材料と硬質充填材を混練する際に、混練物に含有された気体を除去することで、性能が安定した成型品を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練中に含有された気体を除去する気体除去方法であって、加圧室に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、前記加圧室を加圧して、該加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、該加圧室に連通され加圧方向と直交する方向の該加圧室の断面積よりも小さい断面積を有する連通部を通過させ、前記連通部に連通され該連通部の断面積よりも大きい断面積を有する充填室へ充填させる工程と、を有していることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の気体除去方法では、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が投入された加圧室を加圧すると、加圧室の塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材は、流動して連通部を通過して充填室へ充填される。このとき、連通部の加圧方向と直交する方向の断面積は、加圧室の断面積よりも小さくされているため、加圧室内の塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材に単位面積当たりに働く力の大きさよりも、連通部内の流動した混練物の単位面積当たりに働く力の大きさの方が大きくなる。つまり、連通部を混練物が通過するとき、加圧室で加えられた圧力よりも、大きな圧力が混練物に加えられるため、混練中に混練物に含有された気体が抜け易くなる。
【0009】
そして、混練物が連通部から、連通部の断面積よりも大きい断面積の充填室へ充填される際に、混練物から抜けた気体が充填室へ放出される。
【0010】
したがって、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練中に含有された気体が、混練物から除去される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記充填室に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が流動して充填された後、該充填室を加圧して前記連通部を通過させて前記加圧室へ充填させる工程を有することを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の気体除去方法では、加圧室に充填された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、連通部を通過させて充填室に充填させた後、この充填室を加圧して、充填室の混練物を、連通部を通過させて加圧室に充填させる。つまり、混練物は連通部を複数回通過させられるので、先に連通部を通過させた時に放出されずに混練物に残った気体が、後の連通部を通過させた時に放出される。これにより、混練物から気体をほぼ完全に除去できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練中に含有された気体を除去する気体除去方法であって、室部に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、前記室部に摺動可能に設けられた加圧部材で該室部に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧して、前記加圧部材と該室部の内壁との隙間を通過させ、前記室部の前記加圧部材の摺動方向と反対方向に形成された空間へ充填させる工程と、を有していることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の気体除去方法では、室部に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、室部に摺動可能に設けられた加圧部材で加圧することで、この流動した混練物は、加圧部材と室部の内壁との隙間を通過して、室部の加圧部材の摺動方向と反対方向に形成された空間へ充填される。
【0015】
つまり、加圧部材と室部の内壁の隙間の加圧方向と直交する方向の隙間の面積は、室部の加圧方向と直交する方向の断面積よりも小さいので、加圧部材と室部の内壁の隙間を通過する混練物は、室部で加えられた圧力よりも、大きな圧力が加えられるため、混練中に混練物に含有された気体が抜け易くなる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練物に含有された気体を除去する気体除去装置であって、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が投入される加圧室と、前記加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材に圧力を加える第1加圧装置と、前記加圧室に連通され、加圧方向と直交する方向の該加圧室の断面積よりも小さい断面積を有し、該加圧室から流動性を持たされた混合物が流動して通過する連通部と、前記連通部に連通され、該連通部の断面積よりも大きい断面積を有し、該連通部を通過した混合物が充填される充填室と、を有して構成されることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の気体除去装置では、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が投入される加圧室には、連通部が連通されている。この連通部の加圧方向と直交する方向の断面積は、加圧室の断面積よりも小さくされている。また、連通部には、連通部の断面積よりも断面積が大きくされた充填室が連通している。そして、加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧すると、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材は流動性を持たされ、連通部を流動して通過して充填室へ充填される。
【0018】
このとき、加圧室の塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の単位面積当たりに働く力の大きさよりも、流動して連通部を通過する混練物の単位面積当たりに働く力の大きさの方が大きくなる。つまり、連通路を混練物が通過するとき、加圧室で加えられた圧力よりも、さらに大きな圧力が混練物に加えられるため、混練中に混練物に含有された気体が抜け易くなる。
【0019】
したがって、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練中に混練物に気体が含有されても、上記装置を用いて混練物に圧力を加えれば、混練物から気体を除去できる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、前記充填室には、該充填室に充填された前記混合物に圧力を加え、前記連通部を通過させて前記加圧室へ充填させる第2加圧装置が設けられていることを特徴としている。
【0021】
請求項5に記載の気体除去装置では、充填室には加圧装置が設けられており、加圧室から連通部を通過して充填室に充填された混練物に、圧力を加えることが可能となっている。つまり、混練物は連通部を複数回通過させられるので、先に連通部を通過させた時に放出されずに混練物に残った気体を、後の連通部を通過させた時に放出させることができる。これにより、混練物から気体をほぼ完全に除去できる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、シリンダ内に前記連通部として外周部に孔が形成された隔壁を設け、前記隔壁で分割された前記シリンダ内の一方の空間を前記加圧室とすると共に、他方の空間を前記充填室とし、前記加圧室には、投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を該加圧室の内壁を摺動して加圧する第1ピストンが設けられ、前記充填室には、前記第1ピストンで加圧されて前記孔を通過した流動性を持たされた混合物で押される第2ピストンが設けられていることを特徴としている。
【0023】
請求項6に記載の気体除去装置では、シリンダ内は、外周部に孔が形成された隔壁によって、加圧室と充填室とに分割されている。加圧室には第1ピストンが摺動可能に設けられており、この第1ピストンの摺動によって、加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が加圧されると、隔壁に形成された孔を混練物が流動して通過し、充填室に摺動可能に設けられた第2ピストンを摺動させて、充填室に混練物が充填される。
【0024】
このとき、隔壁の外周部に形成された孔の加圧方向と直交する方向の断面積は、空間部の断面積よりも小さいため、混練物が孔を通過する際に、混練物に含有された気体が抜ける。
【0025】
請求項7に記載の発明は、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練物に含有された気体を除去する気体除去装置であって、密閉されたシリンダ内に、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が通過可能な前記連通部としての隙間を形成して摺動するピストンが設けられ、前記ピストンで分割された前記シリンダ内の一方の空間を加圧室とすると共に、他方の空間を充填室として、前記ピストンを摺動させて前記加圧室の塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧すると、該加圧室から流動性を持たされた混合物が流動して前記隙間を通過して前記充填室に充填されることを特徴としている。
【0026】
請求項7に記載の気体除去装置では、シリンダ内には、ピストンが摺動可能に設けられており、シリンダとピストンの間には、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練物が通過可能な隙間が形成されている。そして、ピストンによってシリンダ内が加圧室と充填室に分割され、ピストンを摺動させて加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が加圧されると、ピストンとシリンダの隙間を混練物が通過して、充填室に充填される。
【0027】
このように、気体除去装置はシリンダとピストンだけで構成されているため、装置の構成が単純になる。
【0028】
請求項8に記載の発明は、剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが所定の積層方向に交互に積層されて構成された積層弾性体の積層方向に形成された中空部に注入される塑性流動材料と硬質充填材の混練物である金属コアの製造方法であって、加圧装置で圧力を加え流動性を持たせる加圧室に、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、前記加圧室を加圧して、該加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、該加圧室に連通され加圧方向と直交する方向の該加圧室の断面積よりも小さい断面積を有する連通部を通過させ、前記連通部に連通され該連通部の断面積よりも大きい断面積を有する充填室へ充填させる工程と、前記充填室から前記混練物を取り出す工程と、を有していることを特徴としている。
【0029】
請求項8に記載の製造方法では、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が投入された加圧室を加圧することで、加圧室の塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材は、流動して連通部を通過して充填室へ充填される。このとき、連通部の断面積は、加圧室の断面積よりも小さくされているため、加圧室内の塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材に単位面積当たりに働く力の大きさよりも、連通部内の混練物の単位面積当たりに働く力の大きさの方が大きくなる。つまり、連通部を通過する混練物は、加圧室で加えられた圧力よりも、大きな圧力が加えられるため、混練物に含有されている気体が抜け易くなる。
【0030】
そして、混練物が連通部から充填室へ充填される際に、混練物から抜けた気体が充填室へ放出される。したがって、混練物に含有される気体が除去される。
【0031】
請求項9に記載の発明は、前記充填室に前記混練物が充填された後、該充填室を加圧して前記連通部を通過させて前記加圧室へ充填させる工程を有することを特徴としている。
【0032】
請求項9に記載の製造方法では、加圧室に充填された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、連通部を通過させて充填室に充填させた後、この充填室を加圧して、混練物を連通部を通過させて加圧室に充填させる。つまり、混練物を複数回連通部を通過させるので、先に連通部を通過させた時に放出されずに混練物に残った気体が、後の連通部を通過させた時に放出される。これにより、混練物から気体をほぼ完全に除去できる。
【0033】
請求項10に記載の発明は、剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが所定の積層方向に交互に積層されて構成された積層弾性体の積層方向に形成された中空部に注入される塑性流動材料と硬質充填材の混練物である金属コアの製造方法であって、室部に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、前記室部に摺動可能に設けられた加圧部材で該室部に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧して、前記加圧部材と該室部の内壁との隙間を通過させ、前記室部の前記加圧部材の摺動方向と反対方向に形成された空間へ充填させる工程と、前記空間から混練物を取り出す工程と、を有していることを特徴としている。
【0034】
請求項10に記載の製造方法では、室部に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、室部に摺動可能に設けられた加圧部材で加圧することで、この塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材は、加圧部材と室部の内壁との隙間を通過して、室部の加圧部材の摺動方向と反対方向に形成された空間へ充填される。
【0035】
つまり、加圧部材と室部の内壁の隙間の加圧方向と直交する方向の隙間の面積は、室部の加圧方向と直交する方向の断面積よりも小さいので、加圧部材と室部の内壁の隙間を通過する塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練物は、室部で加えられた圧力よりも、大きな圧力が加えられるため、混練物に含有された気体が抜け易くなる。
【0036】
請求項11に記載の発明は、前記混練材料は、単位面積当たり10MPa〜100MPaの力で加圧することを特徴としている。
【0037】
請求項11に記載の製造方法では、単位面積当たり10MPa〜100MPaの力で塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧することで、混練物が連通部もしくは、室部と加圧部材の隙間を通過する際に、混練物の気体が除去されやすくなる。
【0038】
請求項12に記載の発明は、前記塑性流動材料は、せん断降伏応力が0.1MPa〜10MPaであることを特徴としている。
【0039】
請求項12に記載の製造方法では、せん断降伏応力が0.1MPa〜10MPaである塑性流動材料に硬質充填材を混練させることで、安定した減衰性能が発揮できる成型品が得られる。
【0040】
請求項13に記載の発明は、前記硬質物質は、鉄を主成分としていることを特徴としている。
【0041】
請求項13に記載の製造方法では、鉄を主成分とした硬質物質を塑性流動材料に混練した混練物でコア部材を形成することで、安定した減衰性能を発揮できる成型品が得られる。
【0042】
請求項14に記載の発明は、剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが所定の積層方向に交互に積層されて構成された積層弾性体と、前記積層弾性体の積層方向に形成された中空部に注入される請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載の製造方法で製造された金属コアと、を有して構成されていることを特徴としている。
【0043】
請求項14に記載の積層支持体では、請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載の製造方法で製造された混練物で成型されたコア部材が、剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが所定の積層方向に交互に積層されて構成された積層弾性体の積層方向に形成された中空部に設けられ、積層支持体が形成される。
【0044】
これにより、積層支持体の中空部には、気体が含有されていない混練物で成型されたコア部材が設けられているので、このコア部材は十分な強度を得ることができ、安定した減衰性能を発揮できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明は上記構成としたので、塑性流動材料と硬質充填材の混練片又は塑性流動材料と硬質充填材を混練する際に、混練物に含有された気体を除去することで、性能が安定した成型品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1には、本発明の第1実施形態に係る製造装置40を用いて成型された金属コア30が搭載された積層支持体12が示されている。
【0047】
積層支持体12は、複数枚の円盤状の金属板18と、同じく複数枚の円盤状のゴム板20とを厚み方向に交互に積層した(以下この積層方向を「X方向」という)積層弾性体16を備えている。
【0048】
積層弾性体16のX方向両端面には、フランジ板14が固定されている。フランジ板14は、積層弾性体16よりも側方に張り出すフランジ部14Fを備えており、このフランジ部14Fに形成された図示しないボルト孔にボルトを挿通して、積層支持体12が、支持部材(たとえば、建物基礎、土台、地盤等)及び被支持部材(たとえば、オフィスビル、病院、集合住宅、美術館、公会堂、学校、庁舎、神社仏閣、橋梁等)に取り付けられる。取付け状態では、被支持部材が積層支持体12を介して支持部材に支持される。
【0049】
積層弾性体16を構成する金属板18とゴム板20とは加硫接着により(あるいは接着剤により)強固に張り合わされており、これらが不用意に分離したり位置ズレしたりしないようになっている。そして、積層支持体12が水平方向のせん断力を受けると、積層弾性体16も弾性的にせん断変形する。
【0050】
したがって、支持部材と被支持部材とが水平方向に相対移動(振動)すると、積層弾性体16が全体として弾性的にせん断変形する。ここで、上記のように、金属板18とゴム板20とを交互に積層したことで、積層方向に荷重が作用しても、積層弾性体16の圧縮変形(すなわちゴム板20の圧縮)が抑制されている。
【0051】
積層弾性体16はさらに、金属板18とゴム板20の外側端面を周囲から被覆する被覆材22を有している。被覆材22によって金属板18及びゴム板20に外部から雨や光が作用しなくなり、酸素やオゾン、紫外線などによる劣化が防止される。また、被覆材22は、厚さが一定とされており、その強度にばらつきがでないようにされている。なお、被覆材22はゴム板20と同一の材料によって形成することができる。この場合、ゴム板20と被覆材22とを別体で形成しておき、後工程で加硫接着等によって一体化させることが可能である。あるいは、被覆材22とゴム板20を接着剤等で接着してもよい。
【0052】
積層弾性体16の中央部には、積層弾性体16をX方向に貫通する弾性体中空部28が形成されている。弾性体中空部28は、本実施形態では円柱状の空間とされているが、形状は円柱状に限定されない。
【0053】
弾性体中空部28には、塑性流動材料と硬質充填材が混練された混練物56(図4参照)から成型された金属コア30が嵌め込まれている。
【0054】
また、弾性体中空部28の端部には閉塞板24が配置されている。閉塞板24は、弾性体中空部28のX方向の端部を閉塞できるように、弾性体中空部28よりも大径の円盤状に形成されている。閉塞板24をフランジ板14に固定することで、弾性体中空部28を密閉することができる。
【0055】
このような構成とされた第1実施形態の積層支持体12では、支持部材と被支持部材との水平方向への相対移動(振動)により、図2に示すように積層弾性体16が弾性的にせん断変形し、エネルギーを吸収する。
【0056】
ここで、弾性体中空部28に嵌め込まれる金属コア30を製造する製造装置40(気体除去装置)について説明する。図3(A)は、製造装置40の側面断面図であり、図3(B)は、図3(A)のC−C断面である。
【0057】
図3(A)に示すように、製造装置40は、長手方向の両端が開口された円筒状のシリンダ42を備えている。このシリンダ42内には、一方(図の上側)の開口部42A側にピストン44が設けられており、他方(図の下側)の開口部42B側には、ピストン46が設けられている。
【0058】
これにより、シリンダ42内は、上側の開口部42A側をピストン44で閉塞され、下側の開口部42B側をピストン46で閉塞されて、シリンダ42の内壁とピストン44及びピストン46で、大気と非連通状態にある空間が形成されている。
【0059】
ピストン44及びピストン46には、図示しないピストン駆動装置が連結されており、ピストン駆動装置の駆動によって、ピストン44又はピストン46が、シリンダ42内を摺動する構成となっている。
【0060】
シリンダ42内の略中央には、隔壁48が配設されており、シリンダ42の内壁とピストン44及びピストン46で形成された空間は、隔壁48によって二分されている。この隔壁48は、ネジ49によってシリンダ42に取り外し可能な状態で固定されている。
【0061】
そして、シリンダ42の内壁とピストン44及び隔壁48とで、塑性流動材料と硬質充填材の混練物56(図4参照)が投入される加圧室50が形成され、シリンダ42の内壁とピストン46及び隔壁48とで、加圧室50から塑性流動材料と硬質充填材の混練物56が充填される充填室52とが形成されている。
【0062】
また、図3(B)に示すように、隔壁48の外周には、複数(本実施形態では、4つ)の開口部54が形成されている。つまり、シリンダ42の内壁と隔壁48の間には開口部54が設けられ、加圧室50と充填室52とが連通された状態となっている。これにより、ピストン44を隔壁48へ向かって摺動させると、加圧室50内の空気が開口部54から充填室52へ流動して、ピストン46が隔壁48と反対方向に向かって摺動する構成となっている。
【0063】
次に、上記構成の製造装置40を用いて、金属コア30を製造する工程について説明する。
【0064】
まず、図4(A)に示すように、ピストン44を取り外した状態のシリンダ42内に、ブロック状の塑性流動材料と硬質充填材の混練物片56Aを投入する。このとき、混練物片56Aは、シリンダ42の加圧室50に投入される。この混練物片56Aは、予めニーダーを用いて塑性流動材料と硬質充填材を混練することで形成されている。
【0065】
そして、図4(B)に示すように、シリンダ42にピストン44を挿入し、図4(C)に示すように、ピストン44側のピストン駆動装置を駆動して、ピストン44を隔壁48に向かって摺動させ、加圧室50に投入された混練物片56Aを、単位面積当たり10MPa〜100MPaの力で加圧する。なお、このとき、必要に応じて加圧室50内の混練物片56Aを加熱してもよい。
【0066】
これにより、混練物片56Aは流動しながら隔壁48とシリンダ42の内壁の間に設けられた開口部54を通過する。そして、開口部54を通過した混練物56が充填室52へ流入すると、この混練物56によって、ピストン46が隔壁48と反対方向に摺動されて、混練物56は充填室52に充填される。
【0067】
このとき、隔壁48に設けられた開口部54の加圧方向と直交する方向の断面積は、加圧室50の断面積よりも小さくされているため、加圧室50内の混練物片56Aに単位面積当たりに働く力の大きさよりも、開口部54を通過する混練物56の単位面積当たりに働く力の大きさの方が大きくなる。つまり、開口部54を混練物56が通過するとき、加圧室50で加えられた圧力よりも、大きな圧力が混練物56に加えられるため、混練物56に含有された気体が抜け易くなる。
【0068】
そして、開口部54を通過した混練物56が、開口部54の断面積よりも大きい断面積の充填室52へ充填される際に、混練物56から抜けた気体が充填室52へ放出される。
【0069】
充填室52に混練物56が充填されると、図4(D)に示すように、今度はピストン46に連結されたピストン駆動装置を駆動して、ピストン46を隔壁48に向かって摺動させる。つまり、混練物56を充填室52から加圧室50へ向かって流動させる。このとき、混練物56は開口部54を通過するので、加圧室50から充填室52へ向かって開口部54を通過させたときに、除去されずに混練物56に残った気体が除去されて、図4(E)に示すように、混練物56から抜けた気体が加圧室50へ放出される。
【0070】
このようにして、混練物56を加圧室50から充填室52へ流動させ、充填室52から加圧室50へ流動させる工程を繰り返すことで、混練物56は何度も開口部54を通過させられるので、混練物56に含有された気体が除去される。
【0071】
混練物56に含有された気体が除去された時点で、図4(F)に示すように、ピストン44をシリンダ42から取り外す。そして、図4(G)に示すように、ネジ49を取り外し、ピストン46を摺動させて隔壁48ごと混練物56を上昇させて、シリンダ42内の混練物56を取り出す。最後に、所望のサイズにカットして、金属コア30(図1参照)が成型される。
【0072】
なお、加圧室50に投入される塑性流動材料としては、たとえば、せん断降伏応力が0.1MPa〜10MPaである未加硫ゴム、熱可塑性エラストマー等を挙げることができるが、これらに限定されない。未加硫ゴムの主成分(ポリマー)としては、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、シリコーンゴム(Q)等が挙げられる。さらに、未加硫ゴムや熱可塑性エラストマー等にカーボンブラック、炭酸カルシウム、オイル・樹脂等の配合剤を配合したものでもよい。
【0073】
また、硬質充填材は、塑性流動材料に対して剛体とみなせる程度の硬さを有する材料であればよい。たとえば、金属、セラミックやエンジニアリングプラスチック等を適用することができるが、これらに限定されない。金属の具体例としては、純鉄、あるいは炭素鋼やステンレス鋼などの鉄を主成分とした粉体を挙げることができる。
【0074】
また、本実施形態では、予めニーダーで塑性流動材料と硬質充填材を混練させて形成された混練物56を、製造装置40の加圧室50に投入する方法で説明したが、塑性流動材料と硬質充填材を、それぞれ加圧室50に投入して、加圧室50を加圧して開口部54を通過させる際に、塑性流動材料と硬質充填材を混練させることも可能である。
【0075】
さらに、本実施形態では、加圧室50を構成するピストン44を隔壁48側へ摺動させることで、加圧室50に投入された混練物56を加圧して開口部54を通過させる構成としたが、充填室52を構成するピストン44を隔壁48と反対方向に摺動させれば、充填室52が負圧となって、加圧室50の混練物56を開口部54を介して充填室52へ引き込み、充填室52へ充填させることもできる。
【0076】
次に、本発明の第2の実施形態に係る製造装置60について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分についての説明は割愛する。
【0077】
図5に示すように、製造装置60は、底板62Aと、この底板62Aから立設する円筒状の側壁62Bとで構成されたシリンダ62を備えている。このシリンダ62内には、ピストン64が側壁62Bとの間に、塑性流動材料と硬質充填材を混練させて形成された混練物74が通過可能な隙間を設けながら、摺動可能に設けられている。
【0078】
ピストン64には、図示しないピストン駆動装置が連結されており、ピストン駆動装置の駆動によって、ピストン64がシリンダ62内を摺動する構成となっている。
【0079】
一方、シリンダ62の一端には、ピストン64のロッド64Aが挿通可能な開口孔68が形成された蓋部66が設けられている。これにより、シリンダ62内は大気と非連通状態とされ、シリンダ62の内壁と蓋部66及びピストン64によって形成された第1空間70と、シリンダ62の内壁と底部62A及びピストン64によって形成された第2空間72とに、シリンダ62内が二分される。
【0080】
したがって、ピストン64を図の下方へ摺動させると、第2空間72が加圧され、第2空間72の空気が、ピストン64とシリンダ62の隙間から、第1空間70へ流動する構成となっている。
【0081】
次に、上記構成の製造装置60を用いて、金属コア30を製造する工程について説明する。
【0082】
まず、図6(A)に示すように、蓋部66及びピストン64を取り外した状態のシリンダ62内に、ブロック状の塑性流動材料と硬質充填材の混練物片74Aを投入する。そして、図6(B)に示すように、シリンダ62にピストン64を挿入し、シリンダ62の一方の端部を蓋部66で閉塞する。これにより、シリンダ62内の第2空間72に混練物片74Aが投入された状態となる。
【0083】
そして、図6(C)に示すように、ピストン駆動装置を駆動して、ピストン64を下方に摺動させ、第2空間72に投入された混練物片74Aを、単位面積当たり10MPa〜100MPaの力で加圧する。なお、このとき、必要に応じてシリンダ62内の混練物片74Aを加熱してもよい。これにより、混練物片74Aは流動しながら、側壁62Bとピストン64の隙間を通過して、シリンダ62の上方に形成される第1空間70へ流入する。
【0084】
このとき、側壁62Bとピストン64の隙間の加圧方向と直交する方向の断面積は、第2空間72の断面積よりも小さくされているため、第2空間72にある混練物片74Aに単位面積当たりに働く力の大きさよりも、側壁62Bとピストン64の隙間を通過する混練物74の単位面積当たりに働く力の大きさの方が大きくなる。つまり、側壁62Bとピストン64の隙間を混練物74が通過するとき、第2空間72で加えられた圧力よりも、大きな圧力が混練物74に加えられるため、混練物74に含有された気体が抜け易くなる。
【0085】
そして、側壁62Bとピストン64の隙間を通過した混練物74が、側壁62Bとピストン64の隙間の断面積よりも大きい断面積の第1空間70へ充填される際に、混練物74から抜けた気体が第1空間70へ放出される。
【0086】
第1空間70に混練物74が充填されると、図6(D)に示すように、今度はピストン64を上方に摺動させる。つまり、混練物74を第1空間70から第2空間72へ向かって流動させる。このとき、混練物74は側壁62Bとピストン64の隙間を通過するので、第2空間72から第1空間70へ向かって混練物74を流動させたとき、側壁62Bとピストン64の隙間を通過する際に除去されずに残った気体が除去されて、図6(E)に示すように、混練物74から抜けた気体が第1空間70へ放出される。
【0087】
このようにして、混練物74を第2空間72から第1空間70へ流動させ、第1空間70から第2空間72へ流動させる工程を繰り返すことで、混練物74は何度も側壁62Bとピストン64の隙間を通過させられるので、混練物74に含有された気体が除去される。
【0088】
混練物74に含有された気体が除去された時点で、図6(F)に示すように、シリンダ62から蓋部66を取り外すと共に、シリンダ62内のピストン64を取り外す。そして、図6(G)に示すように、側壁62Bを底板62Aから取り外し、シリンダ62内の混練物74を取り出して、所望のサイズにカットする。これにより、金属コア30(図1参照)が成型される。
【0089】
なお、本実施形態では、図7(A)のような、シリンダ62(図5参照)の側壁62Bに沿って摺動可能な円柱状のピストン64を用いる構成で説明したが、シリンダ62とピストン64の間に、混練物74が通過可能な隙間を形成することができれば、図7(B)のような、角部にテーパを形成したピストン76や、図7(C)のような、角部をR形状としたピストン78を用いてもよい。
【0090】
次に、本発明の第3の実施形態に係る製造装置80について説明する。
【0091】
図8に示すように、製造装置80は、有底円筒状のチャンバー82、84を有している。チャンバー82、84には、それぞれ内壁に沿って摺動可能とされた円板状のプレス板86、88が設けられている。これにより、チャンバー82内には、チャンバー82の内壁とプレス板86とで、大気と非連通状態とされた空間が形成され、チャンバー84内には、チャンバー84の内壁とプレス板88とで、大気と非連通状態とされた空間が形成されている。
【0092】
プレス板86、88には、図示しない駆動装置が連結されており、駆動装置の駆動によってプレス板86、88がチャンバー82、84内を摺動する構成となっている。
【0093】
一方、チャンバー82の底部82Aには、連通路90の一端が連結されている。この連通路90の他端は、チャンバー84の底部84Aに連結されている。これにより、チャンバー82とプレス板86とで形成された空間と、チャンバー84とプレス板88とで形成された空間が連通された状態となっている。
【0094】
したがって、プレス板86をチャンバー82の底部82Aに向かって摺動させると、チャンバー82内の空気が連通路90を介してチャンバー84内に流入されて、プレス板88がチャンバー84の底部84Aと反対方向に向かって摺動する構成となっている。
【0095】
この構成の製造装置80を用いて、金属コア30を製造する場合、図8(A)に示すように、ブロック状の塑性流動材料と硬質充填材の混練物片92Aを、チャンバー82内に投入する。そして、プレス板86をチャンバー82の底部82Aに向かって摺動させ、チャンバー82内に投入された混練物片92Aを、単位面積当たり10MPa〜100MPaの力で加圧する。これにより、混練物片92Aは流動しながら連通路90を通過する。そして、この混練物92によってプレス板88が押し上げられて、チャンバー84内に混練物92が充填される。
【0096】
このとき、連通路90の加圧方向と直交する方向の断面積は、チャンバー82の断面積よりも小さくされているため、チャンバー82内の混練物片92Aに単位面積当たりに働く力の大きさよりも、連通路90を通過する混練物92の単位面積当たりに働く力の大きさの方が大きくなる。つまり、連通路90を混練物92が通過するとき、チャンバー82内で加えられた圧力よりも、大きな圧力が混練物92に加えられるため、混練物92に含有された気体が抜け易くなる。
【0097】
そして、連通路90を通過した混練物92が、連通路90の断面積よりも大きい断面積のチャンバー84内へ充填される際に、混練物92から抜けた気体がチャンバー84へ放出される。
【0098】
チャンバー84に混練物92が充填され、今度はプレス板88をチャンバー84の底部84Aに向かって摺動させる。つまり、混練物92をチャンバー84内からチャンバー82内へ向かって流動させる。このとき、混練物92は連通路90を通過するので、チャンバー82内からチャンバー84内へ向かって連通路90を通過させたときに、除去されずに混練物92に残った気体が除去されて、混練物92から抜けた気体がチャンバー82内へ放出される。
【0099】
このようにして、混練物92をチャンバー82内からチャンバー84内へ充填させ、チャンバー84内からチャンバー82内へ充填させる工程を繰り返すことで、混練物92は何度も連通路90を通過させられるので、混練物92に含有された気体が除去される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態の積層支持体を変形前において示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態の積層支持体を変形後において示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る製造装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る製造装置を示す断面図であり、(A)〜(F)は製造工程を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る製造装置を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る製造装置を示す断面図であり、(A)〜(F)は製造工程を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る製造装置に搭載されるピストンの他の形態を示す側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る製造装置を示す断面図であり、(A)、(B)は製造工程を示す図である。
【図9】従来の製造装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0101】
12 積層支持体
28 弾性体中空部(中空部)
30 金属コア
40 製造装置(気体除去装置)
42 シリンダ
44 ピストン(第1加圧装置、第1ピストン)
46 ピストン(第2加圧装置、第2ピストン)
48 隔壁
50 加圧室
52 充填室
54 開口部(連通部、孔)
56 混練物
56A 混練物(塑性流動材料、硬質充填材)
60 製造装置(気体除去装置)
62 シリンダ
64 ピストン(加圧部材)
70 空間(加圧室)
72 空間(室部、充填室)
74 混練物
74A 混練物(塑性流動材料、硬質充填材)
80 製造装置(気体除去装置)
82 チャンバー(加圧室)
84 チャンバー(充填室)
86 プレス板(第1加圧装置)
88 プレス板(第2加圧装置)
90 連通路(連通部)
92 混練物
92A 混練物(塑性流動材料、硬質充填材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練中に含有された気体を除去する気体除去方法であって、
加圧室に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、
前記加圧室を加圧して、該加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、該加圧室に連通され加圧方向と直交する方向の該加圧室の断面積よりも小さい断面積を有する連通部を通過させ、前記連通部に連通され該連通部の断面積よりも大きい断面積を有する充填室へ充填させる工程と、
を有していることを特徴とする気体除去方法。
【請求項2】
前記充填室に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が流動して充填された後、該充填室を加圧して前記連通部を通過させて前記加圧室へ充填させる工程を有することを特徴とする請求項1に記載の気体除去方法。
【請求項3】
塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練中に含有された気体を除去する気体除去方法であって、
室部に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、
前記室部に摺動可能に設けられた加圧部材で該室部に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧して、前記加圧部材と該室部の内壁との隙間を通過させ、前記室部の前記加圧部材の摺動方向と反対方向に形成された空間へ充填させる工程と、
を有していることを特徴とする気体除去方法。
【請求項4】
塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練物に含有された気体を除去する気体除去装置であって、
塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が投入される加圧室と、
前記加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材に圧力を加える第1加圧装置と、
前記加圧室に連通され、加圧方向と直交する方向の該加圧室の断面積よりも小さい断面積を有し、該加圧室から流動性を持たされた混合物が流動して通過する連通部と、
前記連通部に連通され、該連通部の断面積よりも大きい断面積を有し、該連通部を通過した混合物が充填される充填室と、
を有して構成されることを特徴とする気体除去装置。
【請求項5】
前記充填室には、該充填室に充填された前記混合物に圧力を加え、前記連通部を通過させて前記加圧室へ充填させる第2加圧装置が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の気体除去装置。
【請求項6】
シリンダ内に前記連通部として外周部に孔が形成された隔壁を設け、前記隔壁で分割された前記シリンダ内の一方の空間を前記加圧室とすると共に、他方の空間を前記充填室とし、前記加圧室には、投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を該加圧室の内壁を摺動して加圧する第1ピストンが設けられ、前記充填室には、前記第1ピストンで加圧されて前記孔を通過した流動性を持たされた混合物で押される第2ピストンが設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の気体除去装置。
【請求項7】
塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材の混練物に含有された気体を除去する気体除去装置であって、
密閉されたシリンダ内に、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材が通過可能な前記連通部としての隙間を形成して摺動するピストンが設けられ、
前記ピストンで分割された前記シリンダ内の一方の空間を加圧室とすると共に、他方の空間を充填室として、前記ピストンを摺動させて前記加圧室の塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧すると、該加圧室から流動性を持たされた混合物が流動して前記隙間を通過して前記充填室に充填されることを特徴とする気体除去装置。
【請求項8】
剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが所定の積層方向に交互に積層されて構成された積層弾性体の積層方向に形成された中空部に注入される塑性流動材料と硬質充填材の混練物である金属コアの製造方法であって、
加圧装置で圧力を加え流動性を持たせる加圧室に、塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、
前記加圧室を加圧して、該加圧室に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を、該加圧室に連通され加圧方向と直交する方向の該加圧室の断面積よりも小さい断面積を有する連通部を通過させ、前記連通部に連通され該連通部の断面積よりも大きい断面積を有する充填室へ充填させる工程と、
前記充填室から前記混練物を取り出す工程と、
を有していることを特徴とする混練材料の製造方法。
【請求項9】
前記充填室に前記混練物が充填された後、該充填室を加圧して前記連通部を通過させて前記加圧室へ充填させる工程を有することを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが所定の積層方向に交互に積層されて構成された積層弾性体の積層方向に形成された中空部に注入される塑性流動材料と硬質充填材の混練物である金属コアの製造方法であって、
室部に塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を投入する工程と、
前記室部に摺動可能に設けられた加圧部材で該室部に投入された塑性流動材料と硬質充填材の混合物片又は塑性流動材料と硬質充填材を加圧して、前記加圧部材と該室部の内壁との隙間を通過させ、前記室部の前記加圧部材の摺動方向と反対方向に形成された空間へ充填させる工程と、
前記空間から混練物を取り出す工程と、
を有していることを特徴とする製造方法。
【請求項11】
前記混練材料は、単位面積当たり10MPa〜100MPaの力で加圧することを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記塑性流動材料は、せん断降伏応力が0.1MPa〜10MPaであることを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記硬質物質は、鉄を主成分としていることを特徴とする請求項8〜請求項12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
剛性を有する剛性板と弾性を有する弾性板とが所定の積層方向に交互に積層されて構成された積層弾性体と、
前記積層弾性体の積層方向に形成された中空部に注入される請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載の製造方法で製造された金属コアと、
を有して構成されていることを特徴とする積層支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−142927(P2008−142927A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329648(P2006−329648)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】