説明

気化管、および気化特徴を適合させた気化装置

【課題】気化材料がるつぼ内を移動して、るつぼの各部分を溶かすことや、そのため温度安定性が不十分となることを防止できる金属気化用るつぼを提供する。
【解決手段】気化るつぼは、囲いを形成するための壁を有する電気伝導性で管軸を具備したチャンバ管120と、第1電気接続部162、182と、第2電気接続部と、少なくとも1個の供給開口134と、上記チャンバ管の少なくとも1個のディストリビュータ口170とを備えており、上記囲いは溶解/気化範囲を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]一般的に、本発明は、薄膜形成装置と、薄膜形成気化装置に使用するるつぼに関する。具体的には、合金または金属気化用るつぼに関する。明確には、気化用るつぼと、気化装置とに関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]基板上の材料の薄膜をコーティングするために気化装置を使用することが可能である。例えば、気化装置を用いて、大型パネルディスプレイのキャパシタやウェブ上の保護層を提供する金属膜によるコーティングを付加することができる。具体的に述べれば、大型パネルディスプレイの場合には、大型で比較的薄いガラス板として提供できる基板をコーティング処理の最中に垂直に位置決めし、垂直気化装置でコーティングすることができる。
【0003】
[0003]具体的に垂直気化の場合には、基板上に堆積させる材料の蒸気源に垂直ノズルパイプが普通に提供されているが、この垂直ノズルパイプは、垂直に整列した基板をコーティングするための直線形に垂直に延びた源を画成する。
【0004】
[0004]そのため、この直線形の源は非常に複雑であり、製造と維持にコストがかかり過ぎる。
【0005】
[0005]これに加えて、気化する材料がるつぼの様々な範囲内で移動して、るつぼの各部分を溶かしてしまう可能性があり、これにより温度カスタマイゼーションが劣化することで、気化るつぼとして提示された各温度範囲の安定性が不十分となってしまう可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]上記を斟酌し、本発明は、独立請求項1、3、22に従って気化るつぼを提供し、請求項24に従って気化装置を提供する。
【0007】
[0007]一実施形態によれば、気化るつぼが提供される。この気化るつぼは、囲いを形成する壁を有する電気伝導性のチャンバ管を含み、チャンバ管は管軸を有し、第1電気接続部をと、第2電気接続部を含み、第1および第2電気接続部は、管軸と実質的に平行する加熱電流を提供するように適合されており、少なくとも1個の供給開口と、少なくとも1個のディストリビュータ口を含んでいる。
【0008】
[0008]別の実施形態によれば、気化るつぼが提供される。この気化るつぼは、囲いを形成する壁を有する電気伝導性のチャンバ管を含み、少なくとも2個のディストリビュータ口か、切れ目形状をしたディストリビュータ口をさらに含み、少なくとも2個のディストリビュータ口またはディストリビュータ口は切れ目形状をしており、チャンバ管の壁に形成され、優先方向を画成しており、第1電気接続部と、第2電気接続部を含み、第1および第2電気接続部は、優先方向と実質的に平行する加熱電流を提供するように適合されており、少なくとも1個の供給開口を含んでいる。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態によれば、気化るつぼが提供される。この気化るつぼは、囲いを形成する壁を有する電気伝導性で管軸を設けたチャンバ管と、第1電気接続部と、第2電気接続部とを含んでおり、囲いは溶解/気化範囲を含み、気化るつぼはさらに、少なくとも1個の供給開口と、少なくとも1個のディストリビュータ口とを備えている。
【0010】
[0010]別の実施形態によれば、少なくとも1個の気化るつぼを含んだ気化装置が提供される。上記気化るつぼは、囲いを形成する壁を有する電気伝導性で管軸を有するチャンバ管(120)を含み、気化るつぼは第1電気接続部(162、182)と、第2電気接続部(162、182)を含み、第1および第2電気接続部は、管軸と実質的に平行する加熱電流を提供するように適合されており、気化るつぼは少なくとも1個の供給開口(134)と、チャンバの壁に少なくとも1個のディストリビュータ口(170、470、670)を含んでいる。
【0011】
[0011]上記実施形態と組み合わせることができる更なる利点、特徴、態様、詳細は、従属請求項、詳細な説明、図面から明白となる。
【0012】
[0012]実施形態は、開示された方法を実施するための、また、記述の各方法ステップを実行する装置部品を含んだ装置に向けられている。これらの方法ステップは、ハードウェア構成部品、適切なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータの方法、またこれら2つの方法の任意の組み合わせ、あるいはこれ以外の任意の方式によって実行される。さらに、実施形態は、記述の装置の動作方法または製造方法に向けられている。この方法は、装置の機能、または装置の製造部品の機能を実行する方法ステップを含む。
【0013】
[0013]本発明の上述の態様、およびこれ以外のより詳細な態様は、以下の記述において記述され、図面を参照して部分的に図示される。
【図面の詳細な説明】
【0014】
[0024]本出願の範囲から逸脱しない限り、以下に登場するアルミニウムとは、主に基板上に堆積させる材料として述べられている。本発明はまた、気化されて、例えば基板のコーティングに使用される金属、合金、これ以外の材料に向けられている。さらに、「基板」は、典型的には、本発明の範囲を限定せずに、例えばディスプレイのようなディスプレイ技術に多く使用されるガラス基板を意味する。本発明の実施形態は、これ以外の基板への薄膜気相堆積、およびこれ以外の技術に適用できる。
【0015】
[0025]本出願の範囲を限定することなく、本明細書で登場する「シリンダ」は、主に円形シリンダとして説明されている。本明細書で請求および説明されているシリンダは、さらに、これ以外の形態をしたシリンダ、例えば楕円形シリンダや、四角形、長方形、三角形、五角形などといった幾何学形状に基づいたシリンダにも向けられている。
【0016】
[0026]以降の図面の記述において、同じ参照符号は同じ構成部品を表している。一般的には、それぞれの実施形態に関連した違いのみについて記述している。
【0017】
[0027]図1は気化るつぼ100を示す。この気化るつぼ100は第1電気接続部162、第2電気接続部182を含んでいる。2つの電気接続部の間にはチャンバ管120が提供されている。チャンバ管120は、例えば円筒形の形状をした壁132含む。
【0018】
[0028]図1は、気化るつぼがチャンバ管、第1および第2電気接続部を含んでおり、これらが一体要素として形成されている実施形態を図示している。本明細書で述べられる実施形態は、気化るつぼが、別々の要素として形成され接続されたチャンバ管、第1および第2電気接続部を含むように改造することができる。
【0019】
[0029]或る実施形態によれば、シリンダは円形シリンダである。本明細書に記述の別の実施形態によれば、チャンバ管120は、別の幾何学形状に基づいたシリンダとして提供してもよい。そのため、別の実施形態によれば、楕円形シリンダ、長円形シリンダ、角張った形状のシリンダを提供できる。気化るつぼ100およびチャンバ管120はそれぞれ管軸2を有する。管軸2はシリンダの軸に対応しており、つまり、管軸はシリンダの高さと平行する。
【0020】
[0030]図1中では、チャンバ管120の左側に第1電気接続部162が提供されている。この電気接続部は接続部分、断面範囲減少部分163、加熱部分164を含む。これに加えて、電気接続部162のこの断面範囲は、凹部165によって形作られていてもよい。第1電気接続部162並びに第2電気接続部182によって、加熱電流がチャンバ管内を通過できるようになる。本明細書で定義しているように、加熱電流を提供するように適合され、管軸と実質的に平行している第1および第2電気接続部は、チャンバ領域内において、主要電流方向が管軸と、またチャンバ管範囲内の電流の流れと平行することが理解されよう。このチャンバ管範囲は一つまたは複数の口170を含み、軸2と実質的に平行している。更なる例として、図1中での電流の流れは、一般に(軸2に沿って)左から右、あるいはこの反対であると述べることができる。
【0021】
[0031]本明細書で定義している実施形態によれば、加熱電流の方向は、加熱源流の流れの少なくとも70%がチャンバ管内にある管軸、あるいはチャンバ管の口170が含まれる範囲内にある管軸と実質的に平行する。したがって、チャンバ管壁の開口周囲に流れる電流は、チャンバ管内に流れる電流全体の僅かな部分でしかない。
【0022】
[0032]一般的に、気化るつぼの各部は例えば以下のように提供できる。したがって、気化るつぼの各部どうしは重なる可能性がある、または少なくとも部分的に重なると理解されよう。電気接続部の幅広い部分162、182のそれぞれは、比較的低い電流密度と、このために例えば銅を含む接続要素と接触できる比較的低温な部分とを提供する大きな断面範囲を有する。断面範囲減少部分163は加熱部分164への移行を提供する。加熱部分とチャンバ管は電気接続部よりも断面範囲が小さい。そのため、加熱部分とチャンバ管は加熱電流によって加熱される。断面範囲減少部分163と加熱部分164により、チャンバ管内で材料を溶解および気化させるために実施される熱生成を要望に合わせて変更できるようになる。
【0023】
[0033]本発明の更なる実施形態によれば、電気接続部の接続部分は、軸2に対して半径方向外方に延びた一つまたは複数の突起によって形成されていてもよい。突起をこのように設けることで、気化るつぼの電気接続部に接続する気化装置の接続要素のクランプが突起に接触できるようになる。例として、図1の接続要素182を、気化装置のパイプクリップ形の接続要素に接触させ、電気接続部と接触させることも可能である。
【0024】
[0034]堆積させる材料は、蒸留器るつぼ100を加熱することによって溶解および気化する。この熱は、第1電気接続部162、第2電気接続部182に接続した電源(図示せず)を提供することで伝導させることができる。したがって、熱はるつぼ100の本体120を通って流れる電流により伝導される。一般的に、断面範囲が小さい領域内では、気化るつぼ本体の抵抗が増加する。そのため、加熱電力は方程式P=R Iに従って計算でき、ここでPは電力、Rは抵抗、Iは電流である。抵抗と断面範囲の間の比率により、断面範囲の小さい領域内で温度が上昇する。したがって、るつぼの異なる範囲の抵抗を、所望の温度が得られる形で制御することが可能である。例えば、チャンバ130内の溶解/気化範囲内の温度は700〜1600℃、または1300〜1600℃の範囲内であってもよい。
【0025】
[0035]別の例として、チャンバ130の溶解/加熱範囲内の温度は、堆積させる材料の気化温度よりも高い。しかし、材料を供給するためのワイヤによって、溶解/気化範囲の小規模な部分において温度が低下してしまう。したがって、更なる実施形態によれば、この温度は気化温度よりも少なくとも200℃高く、例えば気化温度よりも200〜900℃、または600〜870℃高い。例えば、アルミニウムの場合には温度は約900℃高い、または1150℃高い温度であってもよい。
【0026】
[0036]典型的には、この温度の下方限度は、堆積させる材料の溶解温度とチャンバ圧に従って異なる。また典型的には、温度の上方限度は気化るつぼの温度安定性によって得ることができる。
【0027】
[0037]更なる実施形態によれば、気化るつぼ100の各範囲の抵抗は、気化るつぼの材料組成を変更することでさらに制御できる。
【0028】
[0038]一般的に、本明細書で記述されている実施形態によれば、るつぼの材料は伝導性材料であり、溶解および気化用の温度に対して温度抵抗性を有し、さらに、液体材料または材料蒸気に対して抵抗性を有する必要がある。例えば、液体アルミニウムは反応性が非常に高いので、アルミニウムを溶解するためのるつぼが大きなダメージを受ける可能性がある。これに従えば、金属ホウ化物、金属窒化物、非金属ホウ化物、非金属窒化物、窒化物、ホウ化物、黒鉛、TiB、TiBとAINの組み合わせ、TiBとBNの組み合わせ、およびこれらの組み合わせで構成されたグループより選択した材料を使用することができる。
【0029】
[0039]これら材料の電気抵抗の違いを、るつぼ内でさらに熱生成を適合させるために使用することが可能である。そのため、各領域内の材料組成を、各領域内に望ましい熱生成に従った関連抵抗性を有するように選択することができる。
【0030】
[0040]図1に示すように、気化させる材料をワイヤに供給するための開口134をチャンバ管120の壁に提供することができる。図1に示すように、一実施形態によれば、チャンバ管に1つの供給開口134を提供することができる。別の実施形態によれば(例えば図2、図5を参照)、気化させる材料をチャンバ管内に供給するための2つ、3つまたはこれ以上の開口130を提供できる。
【0031】
[0041]典型的には、気化させる材料は、開口を通る材料ワイヤからチャンバ管内に供給することができる。そのため、ワイヤは、チャンバ表面に対して傾斜させた角度でチャンバ内に供給される。具体的に傾斜供給では、加熱したチャンバ壁の内部をワイヤと接触させてもよい。これにより、ワイヤの材料が溶解する。
【0032】
[0042]図1では、チャンバ管120の両端は閉鎖されている。一方の端部は第1電気接続162によって閉鎖されている。他方の端部は、例えば円板型に形成され、第2電子接続部182内に提供されたカバー150によって閉鎖されている。これにより、閉鎖したチャンバ管120が囲いを提供し、この内部に気化るつぼ100の溶解/気化範囲が得られる。チャンバ130は材料を供給するための開口と、ディストリビュータ口170の開口とを含む。
【0033】
[0043]本明細書で記述されている実施形態によれば、ディストリビュータ口はチャンバ管のディストリビュータ口、あるいはチャンバ管のディストリビュータ口である。
【0034】
[0044]本明細書で記述されている実施形態によれば、溶解/気化範囲は最大限に閉鎖される。このため、チャンバから望ましくない方向(例えば、材料を供給する開口の方向)へ漏れる蒸気が少量となる。
【0035】
[0045]典型的には、温度の下限は、堆積させる材料の溶解温度とチャンバ圧によって異なる。典型的には、温度の上限は気化るつぼの温度安定性により与えられる。
【0036】
[0046]図1に示すように、本明細書で記述されている実施形態によれば、チャンバ130のチャンバ壁132は1つのディストリビュータ口170を有しており、この口170を介して、材料蒸気が囲いから定義された気化方向へ逃げることができる。
【0037】
[0047]薄膜の気相堆積を、例えば、有機発光ダイオード(OLED)、別のディスプレイデバイス(例えばTFT)、あるいは一般的にガラス基板やホイル上の薄膜コーティングに適用することができる。これの一例として、ディスプレイの各画素を制御するために、ディスプレイアプリケーションに金属薄膜を提供するというものがある。
【0038】
[0048]典型的には、垂直に配置した基板に気相堆積を提供する用途の場合、細長いるつぼの気化範囲から発せられた蒸気の方向を変更するためのノズルパイプを設けた直線気化装置ユニットを使用することができる。これにより、垂直配列した基板を、直線気化装置を超えて、基板の薄膜コーティングの水平方向に移送できるようになる。しかし、材料蒸気を水平気化軸に沿って垂直パイプの外へ方向転換するためのノズルパイプのシステムと、普通に使用されているるつぼは複雑であり、維持が難しい。垂直基板は、垂直配置が基板の粒子汚染や屈曲という点から望ましいため、垂直気化用途には単純な気化源を有することが望ましい。本明細書で記述されている気化るつぼの実施形態は、垂直気化装置の直線源として使用することができる。
【0039】
[0049]本明細書で記述されている気化るつぼは、気化方向が(例えば直線形状に)案内されるタイプの、垂直方向に移送された基板のための直列式気化装置に利用することができる。この気化るつぼの配列は単純であってもよいため、コスト低減が図れる。これは例えば、メンテナンスが必要な構成部品の個数が限定されるために可能となる。
【0040】
[0050]更なる例として、本明細書で記述されている実施形態を、ディスプレイ技術などの基板コーティングに利用することができる。そのため、基板のサイズは次のとおりになる;典型的なガラス基板、およびこれに従ったコーティング範囲の寸法は約0.7×370×470mmであってもよい。しかし、次世代の基板の寸法は約1100×1300mmまたはこれ以上にすることができる。例えば、本明細書で記述されている用途は、典型的には大型の基板を意味している。そのため、大型基板の高さおよび長さは500mmまたはこれ以上であってもよい。ガラス基板の場合では、典型的には680×880mm、1100×1300mm、またはこれ以上であってもよい。ホイルのような典型的な柔軟な大型基板の場合には、少なくとも500mmの幅を有することができる。
【0041】
[0051]図1に対して記述された実施形態によれば、電気接続部182にカバー150が提供されている。これにより、溶解/気化範囲を含んだ囲いが提供される。気化させる材料、例えばアルミニウムが開口134からチャンバ内に提供され、チャンバ内部の加熱された表面と接触する。
【0042】
[0052]チャンバ内で材料は溶解し、さらに加熱を行うことで溶解/蒸発範囲から蒸発する。材料蒸気はディストリビュータ口170からチャンバを出て、その後、基板上に堆積される。
【0043】
[0053]本明細書に記述の他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態によれば、ディストリビュータ口のチャネル長さは、蒸発軸に沿って3〜20mmであってもよい。また更なる実施形態によれば、口の幅は2mm以上、例えば5〜6mmの範囲内であってもよい。切れ目の長さは例えば最大80mm以上であってもよく、実質的にチャンバ管の軸方向長さに沿って延びていてもよい。
【0044】
[0054]それぞれ異なる実施形態によれば、チャンバは、軸2の方向に80〜1500mm、あるいは最大2000mmの長さで延びた寸法を有する。更なる実施形態によれば、チャンバの直径10〜200mm、または20〜50mmの範囲内であってもよい。
【0045】
[0055]本明細書で記述されている実施形態によれば、溶解/蒸発範囲は、蒸発させる材料が溶解および蒸発する範囲として理解されるべきである。これにより、チャンバ内に類似した複数の圧力条件を設けたチャンバシステムを提供できる。これに加えて、または代替的方法として、本明細書に記述された本発明の実施形態によれば、これ以外の、チャンバ内で溶解範囲と気化範囲を分離させるための分離手段は省略することができる。それに応じて、気化るつぼが部分的に溶解するという点からは、極薄液状膜の移動の問題や、時間によって変化するカスタマイズ温度指標の問題が防止できる。
【0046】
[0056]本明細書で記述している実施形態によれば、溶解気化範囲の溶解ゾーン(例えば表面)は気化ゾーン内に含まれる。
【0047】
[0057]気化ゾーン内の溶解ゾーンは、例えば溶解/気化範囲内における気化ゾーンの、ガス圧を例えば10〜20%低下させたガス圧領域として理解されよう。
【0048】
[0058]別例として、気化ゾーン内の溶解ゾーンとは、主要気化ゾーン内の溶解ゾーン(例えば表面)、即ち、例えば内部において少なくとも50〜75%の気化が実施されるゾーンとして理解されよう。
【0049】
[0059]これにより、スプラッシュ板、スプラッシングを制御するためのフェースプレートなどの実現性によって溶解気化範囲の機能が影響を受けることはない。
【0050】
[0060]気化るつぼ100は囲いを含んでおり、この囲いの中で、堆積させる材料の溶解と気化が行われる。例えばアルミニウムのような材料が、堆積させる材料を供給ワイヤやペレットの形態で連続的に供給される場合には、システム内の材料の量が実質的に一定となるよう平衡を維持する。そのため、システム内に挿入する材料の量は、供給ワイヤの直径および供給速度によって提供される。平衡を提供するには、気化るつぼ100から気化する材料の量と、システム内に供給する材料の量を類似したものにする必要がある。これに加え、または代替方法として、気化量を加熱電流によって制御することも可能である。さらに、本明細書で記述されている実施形態によれば、ワイヤ、ペレットなどの断続的な供給を実現することができる。
【0051】
[0061]図1に示すように、カバー150は第2電気接続部182内に提供することができる。一実施形態によれば、カバー150は非伝導性材料で作成されている。したがって、カバー150は例えばBNなどを含有していてもよい。非伝導性カバーは、隣接するるつぼの部分によって受動的に加熱される。しかし、電流は、カバー150の両端上の電位が実質的に同一となるよう軸2と平行に流れるため、たとえ伝導性材料のカバー150を用いてもカバーに電流が流れない場合もある。伝導性カバーは、チャンバ管に対して上述したTiBあるいは別の材料を含むことができる。更なる実施形態によれば、カバーとチャンバ管に同じ材料を使用することにより、カバーとチャンバ管の熱延長(thermal extension)をより容易に適合させられるようになる。
【0052】
[0062]本明細書で記述されている複数の実施形態では、気化るつぼの形状はそれぞれ異なる断面を有するように設計されている。図1に示すように、第1電気接続部162は、これ自体が比較的大きな断面範囲を有することができる。一方、これと隣接した部分163の断面範囲は減少している。これによって加熱部分164内の電流が上昇し、加熱部分が加熱される。チャンバ管の断面範囲は加熱部分の断面範囲と類似するか、あるいはこれよりも小さい。したがって、チャンバ管は、堆積させる材料を溶解および気化させるために加熱される。例えば、チャンバ管の断面範囲および/または抵抗性は加熱部分164の断面範囲および/または抵抗性の−30〜30%の範囲内で異なっていてもよい。チャンバ管と、このチャンバ管に隣接している加熱領域とを加熱することで、チャンバ130内および周囲に非常に対称的な熱生成を提供することが可能である。
【0053】
[0063]チャンバの両側の加熱部分、およびこれに隣接した部分の加熱部分は、チャンバを局所的にのみ加熱する場合と比較して、加熱の対称性が向上する。チャンバ内での熱生成を、隣接する加熱部分164内での熱生成よりも延出の低いものにすることで、チャンバ内、さらに溶解/気化範囲内の温度が均質化する。
【0054】
[0064]更なる実施形態によれば、例えば円形シリンダ形状のチャンバ管を提供し、第1電気接続部と第2電気接続部も回転対称的である場合には、非常に対称的な気化るつぼの配列が実現できる。そのため、開口134とディストリビュータ口170の形状が多少不規則であることに加えて、対称的な熱電流分配と対称的な加熱が得られる。
【0055】
[0065]さらに別の実施形態によれば、ディストリビュータ口170がチャンバ管軸2と平行な直線上に提供されている場合には、熱生成の不規則性は、シリンダ壁132上の1本の線に沿ってのみ提供される。
【0056】
[0066]図2は更なる気化るつぼ200を示す。気化るつぼ200は、電気接続部と共にチャンバ130を形成するチャンバ管120を含む。図2に示すように、電気接続部162を、チャンバ管の両側に、管軸2の方向に対して提供することができる。
【0057】
[0067]チャンバ管120の壁には、気化させる材料を供給するための2つの開口134が提供されている。例えば、材料は、材料ワイヤによってチャンバ130内に挿入することができる。
【0058】
[0068]一般的に、本明細書で記述されている実施形態では、少なくとも1つの開口が提供されている。他の実施形態によれば、2個またはこれ以上の供給開口を提供することができる。また更なる実施形態によれば、チャンバ管の壁、電気接続要素162、および/またはカバー150に一つまたは複数の供給開口を提供できる。
【0059】
[0069]更なる実施形態によれば、に、ワイヤをチャンバ内に挿入するための供給開口を、(図示せず)をチャンバのブシュを介して設けることができる。ブシュと組み合わせたり、別個に提供することができる。また更なる実施形態によれば、チャンバ壁132の開口はチャンバ壁に対して傾斜している。このため、ワイヤをチャンバの底部に向けて挿入することができる。また更なる実施形態によれば、チャンバ壁の開口の縁は面取りされていてもよい。
【0060】
[0070]チャンバ管の別の部分(図2では、開口134の反対側)において、壁132は3個のディストリビュータ口170、170’をそれぞれ含んでいる。したがって、チャンバ管の壁には、直線に沿って2種類の形状のディストリビュータ口が含まれている。形状の異なるディストリビュータ口は、チャンバ130の溶解/加熱範囲内で生成された蒸気の異なる気化速度を有する。異なる蒸気分配どうしを組み合わせて、実質的に均質なコーティングを基板上に提供することができる。
【0061】
[0071]次に、気化るつぼ300の更なる実施形態を図3a〜図3cに対して説明する。第1電気接続部162と第2電気接続部182の間にはチャンバ管が提供されている。図3a〜図3cはチャンバ管の2種類の図である。
【0062】
[0072]図3aは、ワイヤ102をチャンバ130内に供給するための開口134を示す。開口134の長円形の断面で表しているように、例えばチャンバ管の壁132に設けた円形の内径は、挿入したワイヤがチャンバ管のチャンバ内壁上に案内されるように提供されている。図3bには、更なる側断面を概略的に示している。
【0063】
[0073]チャンバ壁の別の部分では、チャンバ管の壁の直線に沿ってディストリビュータ口170が提供されている。別の実施形態によれば、ディストリビュータ口は必ずしも直線上に提供する必要はなく、2本またはこれ以上の直線上に提供したり、あるいは、チャンバ管に対して別の形で配列してもよい。図3cに示すように、また更なる実施形態によれば、ディストリビュータ口170は丸い切れ目の形状において提供されている。
【0064】
[0074]したがって、本明細書で記述されている実施形態では、2個またはこれ以上のディストリビュータ口を、本質的に直線上に位置するよう、または直線上に位置するように任意に配列することができる。そのため、2個またはこれ以上のディストリビュータ口の優先方向は直線によって画成される。さらに、1個のディストリビュータ口が切れ目である場合には、この切れ目の長寸法はディストリビュータ口の優先方向を画成することができる。
【0065】
[0075]一般的に、本明細書で記述されている実施形態では、チャンバ管内、またはチャンバ管の口170を含む範囲内における、加熱電流のうちの少なくとも70%といった大部分の加熱電流は、管軸に対して、および/または、一つまたは複数のディストリビュータ口の優先方向に対してそれぞれ実質的に平行であってもよい。
【0066】
[0076]次に、ディストリビュータ口の更なる実施形態を図4a〜図4dに関連して記述する。各図面中では、気化るつぼ400を示している。るつぼは、気化るつぼのチャンバ管の管軸である軸2を有する。そのため、シリンダ管の場合、軸2はシリンダ軸および/またはシリンダの高さに対応する。
【0067】
[0077]図4aは円形のディストリビュータ口470を示す。ディストリビュータ口は、チャンバ管の壁の対称的な内径として提供することができる。別の実施形態によれば、内径は縁を面取りした形で、あるいは、チャンバ管の壁表面に対して傾斜させて提供することができる。これにより、軸2に向かう傾斜、および/または軸2に対して垂直な傾斜を実現できる。更なる実施形態によれば、2個またはこれ以上のディストリビュータ口470を提供できる。
【0068】
[0078]四角形のディストリビュータ口470’を示す。図4aに関連して記述した口と類似し、複数の実施形態を、上述した四角形の口の実施形態を改造することで、あるいは上述した四角形の口の一つまたは複数の実施形態を組み合わせることで形成することができる。図4bでは、更なる実施形態により、ディストリビュータ口の角を丸くすることがさらに可能である。またさらに、図4Bに示す四角形を矩形に形成してもよい。
これにより、例えば、図4cに示した切れ目470”を提供できる。既に上述しているように、ディストリビュータ口470”を形成している切れ目の縁を面取りするか、または、気化るつぼの軸2に関連した方向を傾斜させることができる。やはり上述したように、傾斜は、チャンバ壁の内径軸が各位置においてチャンバ壁に対し垂直にならないように理解されよう。更なる実施形態によれば、2個またはこれ以上のディストリビュータ口470’または470”を提供することができる。
【0069】
[0079]図4dは、2個のディストリビュータ口470’’’を含んだ気化るつぼ400を示す。図3cに関連した実施形態とは異なり、長円形のディストリビュータ口470’’’の長軸は管軸2に対して垂直である。
【0070】
[0080]上述した口の実施形態によれば、形状、直径、壁の内径、壁の厚みによってカスタマイズすることが可能な、口の方向性気化軸に沿った長さを画成する気化分配が得られる。異なる実施形態によれば、ディストリビュータ口の形状は円形、長円形、楕円形、角張った形状、円筒形、切れ目形状であってもよく、あるいはこれ以外の形に形成することができる。これと組み合わせることができるさらに別の実施形態によれば、内径の方向は水平であるか、もしくはチャンバ壁面に対して傾斜していてもよい。さらにこれに加えて、または代替形態として、内径の縁を面取りすることが可能である。
【0071】
[0081]本明細書に記述の他の実施形態と組み合わせることが可能な、また更なる実施形態によれば、ディストリビュータ口に、気化軸に沿った3〜20mmのチャネル長さを設けることができる。また更なる実施形態によれば、口の幅は2mm以上、例えば5〜6mmであってもよい。隙間の長さは、例えば最大80mmまたはこれ以上であってもよく、実質的にチャンバ管の軸長さに沿って延びていてもよい。
【0072】
[0082]図5に更なる気化るつぼ500を示す。同図では、2個の電気接続部162が提供されている。さらに、相互に組み合わせてチャンバ130を形成している3個のチャンバ管部分121が存在する。各チャンバ管部分121は、3個のディストリビュータ口170と、気化する材料を供給するための開口とを有する。チャンバ管部分間の接続を破線502で表している。
【0073】
[0083]一実施形態によれば、電気接続部と第1チャンバ管部分の間の接続部は、接続する構成部品の一方または両方に設けた階段状または溝状(舌および溝接続)の中心決め要素によって実現することができる。図9aは、チャンバ管の、階段状接続部と接続する部分121を示す。そのため、一実施形態によれば、チャンバ管部分121が相互に合致して接続できるように、両方のチャンバ管部分121は階段状の断面を有する。
【0074】
[0084]本明細書で記述されているいくつかの実施形態では、チャンバ管、第1および第2電気接続部は、相互に接続する別々の要素として形成されている。そのため、図9a、図9bに関連し、更なる実施形態によれば、チャンバ管と一方または両方の電気接続部との間に類似の接続部を提供することが可能である。したがって、上述の実施形態で使用されているチャンバ管と電気接続部の間の接続部に、やはり階段状または溝状の接続部を適用することができる。一般的に、接続部は、この内部に、これの光軸2の方向に向かって浸入する熱電流を有するよう適合されるべきである。しかし、本明細書で記述されている実施形態は、チャンバ管、第1および第2電気接続部を単体要素で形成できるように改造することによってももたらすことができる。
【0075】
[0085]各実施形態によれば、さらに、チャンバ部分どうしの間、またはチャンバと接続要素の間の接続部を図9bに示すように実現できる。ここでは、1つの段がこれと隣接した部分121に提供されており、また、接続用のリング921が提供されている。異なる実施形態によれば、リングはチャンバに対して半径方向外方に突出しているか(図9bを参照)、あるいは、リングは突起の壁(図示せず)と同一平面を成していてもよい。また更なる実施形態によれば、リングは非伝導性材料で形成することができる。
【0076】
[0086]図6aは更なる気化るつぼ600を示す。この気化るつぼ600は、チャンバ管の一端に第1電気接続部162を、他端に第2電気接続部182を含む。電気接続部、チャンバ管、他の電気接続部は、この順序でチャンバ管の軸の方向に沿って配列することができる。図6aに示すように、複数の第1ディストリビュータ口670、これとは別の複数の第2ディストリビュータ670’を提供できる。異なる実施形態によれば、ディストリビュータ口の実施形態の任意の組み合わせをさらに組み合わせてチャンバ管を形成できる。これにより、異なる2個、3個、またはこれ以上の異なる口の実施形態を使用できるようになる。
【0077】
[0087]また更なる実施形態によれば(図6b、図6c参照)、口のサイズおよび/または形状はチャンバ管の方向に沿って変化していてもよい。図6bは、口のサイズが気化るつぼの頂部に向かって増加してゆく実施形態を示す。この一例として、るつぼの上方領域における蒸気圧の減少をこうした配列によって補正することができる。図6cは、口のサイズが気化るつぼの中心に向かって増加してゆく実施形態を示す。これにより、減少した蒸気圧領域を補正することが可能となり、また、より一般的には、気化した材料の分配の適合が可能となる。一般的に、本明細書で記述されている実施形態では、個数、サイズ、形状、配列の異なる口を、本明細書に記述の任意の実施形態と組み合わせることができる。
【0078】
[0088]図7は気化装置700を示す。この気化装置はハウジング701を含んでいる。ハウジング内には4個の気化るつぼ100が示されている。具体的には、気化装置700は大型の垂直配列された基板に有用である。しかし、これは水平配列された基板にも使用できる。基板寸法のサイズの増加に応じて、気化るつぼ100、またはこのいくつかを積み重ね、気化範囲を拡大することができる。図7に示すように、2組の積み重ねた気化るつぼが、互いに重なり合った形で隣り合わせて提供されている。異なる実施形態によれば、気化装置内で複数の気化るつぼを使用することができる。こうして2個、3個またはこれ以上の気化るつぼで構成された1つのグループを軸に沿って提供することにより、隣り合った数グループの気化るつぼを、例えば図7に示した重なり合った形で提供することが可能になる。
【0079】
[0089]例証的な実施形態として、本明細書で記述した気化るつぼを設けた薄膜を形成する方法を、10−2〜10−6mbarの真空雰囲気内に全体的に配置された装置を使用して実施できる。これにより、薄膜を、粒子を周囲大気で汚染することなく、基板またはキャリアホイル上に気相堆積させることができる。
【0080】
[0090]本明細書で記述されている実施形態によれば、材料の気化方法は、チャンバに溶解/気化範囲を提供するステップと、気化させる固体材料を溶解/気化範囲内に挿入するステップとを含んでいる。
【0081】
[0091]図8に、気化装置800内における気化るつぼ100の更なる配列を示す。ここでは、この気化るつぼの軸、即ち軸2が約30°傾斜している。更なる実施形態によれば、これ以外の角度、例えば10〜45°を実現することができる。
【0082】
[0092]さらに、るつぼ内で、複数のディストリビュータ口を管軸に対して傾斜させることが可能である。これにより、るつぼ自体の傾斜に関係なく、複数のディストリビュータ口を垂直方向または水平方向に配列することができる。更なる実施形態によれば、回転させた複数のディストリビュータ口を直線上に提供することも依然として可能である。本明細書で記述されている、ディストリビュータ口が気化るつぼの管軸と平行な直線に沿って配列されている実施形態によれば、ディストリビュータ口が加熱電流分配に及ぼす影響が最小化する。
【0083】
[0093]本明細書で記述されている気化るつぼは、基板が垂直方向に移送され、気化方向が案内される(例えば線形に)タイプの直列気化装置に利用することができる。気化るつぼの配列を単純化できるため、コストの低減が図れる。これは例えば、メンテナンスを要する構成部品の個数が限定されるためである。
【0084】
[0094]本明細書で記述されている実施形態によれば、カバーと電気接続部で構成されたグループより選択した2個の要素によって軸端部が閉鎖されたチャンバ管を提供する。気化させる材料を供給するための一つまたは複数の開口と、一つまたは複数のディストリビュータ口とがチャンバ管の壁に設けられている。別の更なる実施形態によれば、ディストリビュータ口を様々な形状および寸法、例えば1つの切れ目、複数の短い切れ目、複数の内径などに形成および配列することができる。こうすることで、発せられた蒸気の分配に影響を及ぼすことができる。これにより、分配制御開口装置の必要性が減少する。
【0085】
[0095]本明細書に記述された実施形態による、製造および維持が容易な気化るつぼは、垂直、水平、またはこれの間の方位といった異なる方位において使用することが可能である。別の実施形態によれば、蒸気の分配をより上手く制御するために、蒸気ビームが方向気化軸に沿って方向付けされる。
【0086】
[0096]前述の説明は本発明の実施形態に向けられているが、本発明のこれ以外および更なる実施形態の考案が、本発明の基本範囲から逸脱しない範囲内で可能であり、この範囲は請求項によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本明細書に記述された実施形態による電気接続部とチャンバ管を含む気化るつぼの略図を示す。
【図2】本明細書に記述された実施形態による電気接続部とチャンバ管を含んだ更なる気化るつぼの略図を示す。
【図3a】本明細書に記述された実施形態による電気接続部とチャンバ管を含んだ、また更なる気化るつぼの略図を示す。
【図3b】図3aの気化るつぼの他の略図を示す
【図3c】図3aの気化るつぼの他の略図を示す。
【図4a】気化るつぼの略図を示し、本明細書に記述された実施形態による異なるディストリビュータ口を図示している。
【図4b】気化るつぼの略図を示し、本明細書に記述された実施形態による異なるディストリビュータ口を図示している。
【図4c】気化るつぼの略図を示し、本明細書に記述された実施形態による異なるディストリビュータ口を図示している。
【図4d】気化るつぼの略図を示し、本明細書に記述された実施形態による異なるディストリビュータ口を図示している。
【図5】本明細書に記述された実施形態による電気接続部と、チャンバ管を形成するいくつかの部分とを含んだ気化るつぼの略図を示す。
【図6a】本明細書に記述された実施形態による電気接続部と、チャンバ管と、形状の異なる複数のディストリビュータ口とを含んだ気化るつぼの略図を示す。
【図6b】本明細書に記述された実施形態による電気接続部と、チャンバ管と、形状の異なる複数のディストリビュータ口とを含んだ気化るつぼの略図を示す。
【図6c】本明細書に記述された実施形態による電気接続部と、チャンバ管と、形状の異なる複数のディストリビュータ口とを含んだ気化るつぼの略図を示す。
【図7】本明細書に記述された実施形態による複数の気化るつぼを含んだ気化装置を示す。
【図8】本明細書に記述された実施形態による、複数の気化るつぼを含んだ更なる気化装置の略図を示す。
【図9a】チャンバ管部分どうしの間の接続部の略図を示す。
【図9b】チャンバ管部分どうしの間の接続部の略図を示す。
【参照符号の説明】
【0088】
2…軸、100…気化るつぼ、102…ワイヤ、120…チャンバ管、121 チャンバ管部分 130…チャンバ、132…壁、134…開口、150…カバー、162…第1電気接続部、163…断面範囲減少部分、164…加熱部分、165…凹部、170、170’…口、182…第2電気接続部、200…気化るつぼ、470…円形ディストリビュータ口、470’’…切れ目、470’’’…ディストリビュータ口、502…破線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化るつぼであって、
囲いを形成する壁を有する電気伝導性チャンバ管(120)であって、前記チャンバ管が管軸(2)を有する、前記電気伝導性チャンバ管と、
第1電気接続部及び第2電気接続部(162、182)であって、前記第1電気接続部及び第2電気接続部が、前記管軸と実質的に平行する加熱電流を提供するように適合されている、前記第1電気接続部及び第2電気接続部と、
少なくとも1個の供給開口(134)と、
少なくとも1個のディストリビュータ口(170、470、670)と、
を備える、前記気化るつぼ。
【請求項2】
前記チャンバ管(120)の前記壁の各部分がシリンダを形成し、前記管軸が前記シリンダの高さの方向に提供されている、請求項1に記載の気化るつぼ。
【請求項3】
気化るつぼであって、
囲いを形成する壁を有する電気伝導性のチャンバ管(120)を備え、
少なくとも2個のディストリビュータ口(170、470、670)か、切れ目形状をしたディストリビュータ口を備え、前記少なくとも2個のディストリビュータ口またはディストリビュータ口(170、470、670)が切れ目形状をしており、前記チャンバ管の壁に形成され、優先方向を画成しており、
第1電気接続部及び第2電気接続部(162、182)であって、前記第1電気接続部及び前記第2電気接続部が、前記優先方向と実質的に平行する加熱電流を提供するように適合されている、前記第1電気接続部及び第2電気接続部と、
少なくとも1個の供給開口(134)と、
を備える、前記気化るつぼ。
【請求項4】
前記囲いが溶解/気化範囲を備えている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項5】
前記供給開口(134)が前記チャンバ管(120)の壁に設置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項6】
前記第1電気接続部(162、182)が、前記チャンバ管の片側に、前記管軸(2)の方向に対して設置されており、前記第2電気接続部(162、182)が、前記チャンバ管のもう片側に、前記管軸の方向に対して設置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項7】
前記チャンバ管と共に囲いを形成する少なくとも1個のカバーをさらに備えている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項8】
前記少なくとも1個のディストリビュータ口(170、470、670)が、前記チャンバ管の壁の内径である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項9】
前記少なくとも1個のディストリビュータ口が少なくとも3個のディストリビュータ口である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項10】
前記少なくとも3個のディストリビュータ口が、優先方向を画成するように配列されている、請求項9に記載の気化るつぼ。
【請求項11】
前記優先方向が、前記管軸(2)と前記加熱電流方向からなるグループより選択した少なくとも1個の要素と平行する、請求項10に記載の気化るつぼ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのディストリビュータ口(170、470、670)が切れ目形状または円形である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項13】
少なくとも1個の更なる供給開口(134)をさらに備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項14】
前記チャンバ管(120)が、前記管軸(2)の方向に相互に前後して配列された複数の管要素によって形成されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項15】
前記チャンバ管と隣接した場所の、前記チャンバ管と前記第1および第2電気接続部(162、182)の電気接続部との間に提供された第1加熱部分をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項16】
前記加熱部分の断面範囲が前記電気接続部の断面範囲よりも小さい、請求項15に記載の気化るつぼ。
【請求項17】
前記チャンバ管(120)が、金属ホウ化物、金属窒化物、非金属ホウ化物、非金属窒化物、非金属炭化物、窒化物、ホウ化物、黒鉛、TiB、BN、およびこれらの組み合わせからなるグループより選択した少なくとも1つの材料を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項18】
前記ディストリビュータ口が気化軸を画成し、前記気化軸が実質的に水平である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項19】
前記ディストリビュータ口が気化軸を画成し、前記気化軸が上方に向いている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項20】
前記ディストリビュータ口が気化軸を画成し、前記ディストリビュータ口が、前記気化軸に沿った3〜20mmの長さを有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項21】
前記ディストリビュータ口の幅が少なくとも2mmである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の気化るつぼ。
【請求項22】
気化るつぼであって、
囲いを形成する壁を有する電気伝導性チャンバ管(120)であって、前記チャンバ管が管軸(2)を有する前記電気伝導性チャンバ管と、
さらに、第1電気接続部(162、182)と、
第2電気接続部(162、182)と、
少なくとも1個の供給開口(134)と、
少なくとも1個のディストリビュータ口(170、470、670)と、
を備え、
前記囲いが溶解/気化範囲を備えている、前記気化るつぼ。
【請求項23】
前記第1電気接続部及び第2電気接続部が、前記管軸と実質的に平行する加熱電流を提供するように適合されている、請求項22に記載の気化るつぼ。
【請求項24】
気化装置であって、
前出の請求項にいずれか一項に記載の少なくとも1個の気化るつぼ(100、200、300、400、500、600、600a/b)を備えた気化装置。
【請求項25】
前出の請求項にいずれか一項に記載の少なくとも2個の気化るつぼを備えた、請求項24に記載の気化装置。
【請求項26】
前記少なくとも1個の気化るつぼが、垂直な前記管軸と共に配列されている、請求項24〜25のいずれか一項に記載の気化るつぼ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【公開番号】特開2008−261048(P2008−261048A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−56827(P2008−56827)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】