説明

気密材及び建具

【課題】弾性変形代を大きくできると共に、小さな力で弾性変形し、戸当りとしての十分な機能を有する気密材とする。
【解決手段】枠体1又は開閉体2に取り付けるための取付部50と、この取付部50に見付け方向に離隔して見込み方向一側に向けて設けた気密片60、ストッパー70を備え、この気密片60は基片61と先片62でほぼくの字形状に屈曲して気密片60の弾性変形代を大きくできるようにし、その先片62が開閉体2又は枠体1に接したときには先片62が小さな力で弾性変形して基片61と先片62がほぼ鉤形状の気密姿勢となり、この気密姿勢よりも更に先片62が弾性変形するとストッパー70に当接してそれ以上の弾性変形を規制し、戸当りとしての十分な機能を有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に戸当りとして用いられ、枠体と開閉体との間を気密する気密材及び、その気密材で枠体と開閉体との間を気密するようにした建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具に戸当りとして用いられる気密材としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
この気密材は、建具の枠体としてのドア用開口枠に取り付けるための取付部に、略L字型に屈曲した基体と弾性連結片を設けたもので、建具の開閉体としてのドア本体を開き位置から閉じ位置に向けて移動し、そのドア本体が閉じられると、ドア本体が基体の屈曲部に接触して基体を弾性変形することで、ドア用開口部とドア本体との間を気密し、ドア本体を更に閉じ位置に向けて移動して閉じ位置としてドア本体が閉まると、基体が更に弾性変形して基体の屈曲部が弾性連結片に接し、その屈曲部を弾性連結片で支持して屈曲部がへたるのを防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−177427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
枠体に開閉体を開閉自在に取り付けた建具においては、加工誤差や組立誤差などにより開閉体の閉じ位置が、その開閉体の開閉方向にずれることがある。このような建具に戸当りとして用いる気密材は、その弾性変形代を大きくし、開閉体の閉じ位置が開き寄りにずれた場合でも開閉体が気密材に接して枠体と開閉体との間を気密できるようにする必要がある。
前述した従来の気密材の場合には、基体と弾性連結片を長くし、開閉体の閉じ位置が取付部から遠く離れた場合でも基体の屈曲部に開閉体が接し、かつ屈曲部が弾性連結片に接するようにする。
【0005】
しかし、前述のように基体と弾性連結片が長いと、開閉体の閉じ位置が取付部に接近した場合に、その基体、弾性連結片の弾性圧縮変形代が大きくなり、開閉体を閉じ位置まで閉じ移動する操作力が大きくなってしまう。
このことを解消するには、基体と弾性連結片を弾性変形し易い材質とし、小さな力で弾性圧縮変形するようにすれば良いが、このようにすると、開閉体が小さな力で閉じ位置よりも更に閉じ方向に移動してしまうので、気密材の戸当りとしての機能が劣ってしまう。
【0006】
本発明の目的は、弾性変形代が大きく、小さな力で弾性変形すると共に、戸当りとしての十分な機能を有する気密材及びその気密材を用いた建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の気密材は、取付部と、この取付部に見付け方向に離隔して見込み方向一側方に向けてそれぞれ設けた気密片、ストッパーを備え、前記気密片は、取付部に設けた見込み方向一側方に向かう基片と、この基片の見込み方向一側部に設けた見込み方向一側方に向かい、かつ見付け方向のストッパーに向かう方向に向けて斜めとなった先片でほぼくの字形状に屈曲し、その先片が基片に対して見込み方向他側に向けて弾性変形するようにし、前記基片と先片の屈曲部はストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向一側方に位置し、先片の見込み方向他側面はストッパーの見込み方向一側面と間隔を置いて対向するようにしたことを特徴とする気密材である。
【0008】
本発明の気密材は、取付部と、この取付部に見付け方向に離隔して見込み方向一側方に向けてそれぞれ設けた気密片、補助気密片、およびストッパーを備え、前記気密片は前記取付部の見付け方向一端側に設けられ、前記ストッパーは前記取付部の見付け方向中間部に設けられ、前記補助気密片は前記取付部の見付け方向他端側に設けられ、前記気密片は、見込み方向他端部から見込み方向一側部に亘って見付け方向他端側に向かって順次湾曲した形状で、前記気密片の見込み方向一側部はストッパーの見込み方向一側面および補助気密片の見込み方向一側部よりも見込み方向一側方に位置し、その気密片の見込み方向他側面はストッパーの見込み方向一側面と間隔を置いて対向し、前記補助気密片の見込み方向一側部はストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向一側方に位置し、前記気密片が見込み方向他側に向けて弾性変形すると、気密片の見込み方向一側部が補助気密片の見込み方向一側部に接するようにしたことを特徴とする気密材とすることもできる。
【0009】
本発明の気密材においては、前記取付部の見付け方向一端側に気密片、中間部にストッパーをそれぞれ設け、その取付部の見付け方向他端側に補助気密片を見込み方向一側方に向けて設け、この補助気密片の見付け方向一側部は、前記ストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向一側方に位置し、前記気密片が見込み方向他側に向けて弾性変形すると、その見込み方向一側部が補助気密片の見込み方向一側部に接するようにすることができる。
このようにすれば、気密片が気密姿勢に弾性変形することで、気密片と補助気密片が連続するので、その気密片に雨水等が溜まることがない。
【0010】
本発明の気密材においては、前記気密片と補助気密片は取付部よりも軟らかい材質で、前記ストッパーは気密片と補助気密片よりも硬い材質とすることができる。
このようにすれば、気密片、補助気密片をより小さな力で弾性変形するようにできると共に、ストッパーによって気密片の弾性変形をしっかりと規制して戸当りとしての機能を十分なものにできる。
【0011】
本発明の気密材においては、前記気密片の見込み方向他側部と前記取付部との境界部は前記ストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向他側方に位置するものにできる。
このようにすれば、ストッパーが戸当りとして機能した際、取付部における気密片の見込み方向他側部と隣接す部分に対する負荷を軽減してこの部分の変形を抑制できるため、当該部分に設けられた気密片の機能低下を防止することができる。
【0012】
本発明の建具は、枠体に開閉体を、開き位置と閉じ位置とに亘って面外方向に開閉自在に取り付けた建具であって、前記枠体又は開閉体に、請求項1〜5いずれか1項に記載した気密材を取り付け、前記開閉体を閉じ位置としたときに、枠体又は開閉体に、前記気密材の気密片を接して枠体と開閉体との間を気密するようにしたことを特徴とする建具である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の気密材によれば、気密材が非気密姿勢のときの気密片を見込み方向に長くして弾性変形代を大きくできると共に、小さな力で弾性変形するようにできる。
しかも、気密材の気密片が気密姿勢よりも更に弾性変形すると、その気密片がストッパーの見込み方向一側面に接してそれ以上の弾性変形を規制するので、戸当りとしての十分な機能を有する。
【0014】
本発明の建具によれば、枠体と開閉体との間を気密材で気密できると共に、開閉体を閉じ位置で小さな操作力で閉じ側に移動しないように保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】建具の概略正面図である。
【図2】建具の詳細縦断面図である。
【図3】気密材の拡大断面図である。
【図4】開閉体が開いている状態の建具の上部断面図である。
【図5】開閉体を閉じた状態の建具の上部断面図である。
【図6】開閉体が閉じ位置の状態の建具の上部断面図である。
【図7】開閉体が閉じ位置よりも更に閉じ方向に移動した状態の建具の上部断面図である。
【図8】気密材の第2の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、枠体1に開閉体2を開閉自在に取り付けて建具としてある。
図1に示す建具は浴室用の折れ戸で、枠体1は上枠10と下枠11と左右一方の縦枠12と左右他方の縦枠13を方形状に連結してある。
開閉体2は、左右一方の障子2aと左右他方の障子2bを有し、左右一方の障子2aの戸先側の縦框20と左右他方の戸先側の縦框21を折曲自在に連結してある。
左右一方の障子2aの戸尻側の縦框22を、上枠10、下枠11に面外方向に回動自在に支持し、左右他方の障子2bの戸尻側の縦框23を上枠10、下枠11に沿って面内方向に摺動自在に支承している。
【0017】
そして、把手3を持って左右他方の障子2bを面外方向における枠体1から離れる方向(浴室側)に引くことで、左右一方の障子2aと左右他方の障子2bが連結部において浴室側に突出するように折れ曲がり、左右一方の障子2aが戸尻側の縦框22を中心として浴室側に回動し、左右他方の障子2bの戸尻側の縦框22が上枠10、下枠11に沿って面内方向の左右一方側に摺動することで、両方の障子2a,2bは重なり合って面外方向一側方である浴室側に張り出した開き位置に移動する。
前述の状態から把手3を持って左右他方の障子2bを面内方向の左右他方側に引張りながら脱衣室側に向けて押すことで、両方の障子2a,2bは図1に示す閉じ位置に移動する。
本発明の建具は、折れ戸に限ることはなく、内開き窓、外開き窓、内倒し窓、外倒し窓などでも良い。
つまり、本発明の建具は、開閉体2が開き位置と閉じ位置に亘って面外方向に移動する建具であれば良い。
【0018】
前記左右一方の障子2aの戸先側の縦框20と上枠10とに亘ってラッチ装置4が取り付けてある。
このラッチ装置4は、両方の障子2a,2bが閉じ位置のときに、把手3を所定の操作力で引いても両方の障子2a,2bが開き側に移動しないように保持し、把手3を所定の操作力よりも大きな操作力で引くことで両方の障子2a,2bが開き側に移動するようにしてある。
【0019】
図2に示すように、上枠10の面内方向の内側面14は、その上枠10の面外方向に向かい、その内側面14の面外方向の中間に上レール15を長手方向に連続して有し、その上枠10の面外方向閉じ側(図2の右側)である脱衣室側には内側面14よりも下方に突出した戸当り部16を有し、この戸当り部16に本発明の気密材5が面外方向開き側(図2の左側)である浴室側に向けて開閉体2である障子2a,2bと対向して取り付けてある。
【0020】
気密材5は前述のように上枠10の戸当り部16に、面外方向開き側に向けて突出して取り付けてあり、図3の左右方向が面外方向、上下方向が面内方向であるので、気密材5を戸当り部16に取り付けたときに面外方向(開閉方向)に向かう方向を見込み方向、面内方向(開閉方向と直角な方向)に向かう方向を見付け方向として図3に基づき気密材5を説明する。
気密材5は、取付部50と、この取付部50の見込み方向一側寄りで見付け方向一端側に設けた気密片60と、前記取付部50の見込み方向一側における見付け方向中間部に設けたストッパー70と、前記取付部50の見込み方向一側寄りで見付け方向他端側に設けた補助気密片80を備えている。
【0021】
気密片60は、取付部50の見込み方向一側寄りで、見付け方向一端部に設けた見付け方向一側方(開き側)に向かう基片61と、この基片61の見込み方向一端部(見付け方向一端側)に設けた見込み方向一側方に向かい、かつ見付け方向他端部に向けて斜めとなった先片62を有し、先片62が障子に接しない非気密姿勢のときには、基片61と先片62でほぼくの字形状に屈曲している。この先片62に障子2a,2bが接することで、先片62が基片61に対して見込み方向他側方に向けて弾性変形し、基片61と先片62がほぼ鉤形状の気密姿勢となるようにしてある。
基片61の見込み方向一側部(基片61と先片62の屈曲部)は、ストッパー70の見込み方向一側面71よりも見込み方向一側方に位置している。
先片62の見込み方向一側部62aはストッパー70よりも見付け方向他端寄りに位置し、この先片62の見込み方向他側面62bはストッパー70の見込み方向一側面71と間隔を置いて対向している。
【0022】
ストッパー70は、所定の見込み寸法と見付け寸法を有した矩形状で、気密片60の先片62が前述の気密姿勢よりも更に見込み方向他側に向けて弾性変形したときに、その先片62の見込み方向他側面62bがストッパー70の見込み方向一側面71に接するようにしてある。これによって、その気密片60の先片62が、それ以上見込み方向他側に向けて弾性変形することを規制する。
補助気密片80の見込み方向一側部80aは、ストッパー70の見込み方向一側面71よりも見込み方向一側方に位置し、基片61と先片62の屈曲部と見込み方向にほぼ同一位置で、先片62の見込み方向一側部62aは補助気密片80の見込み方向一側部80aよりも見込み方向一側方に位置している。
【0023】
そして、先片62が基片61に対して見込み方向他側に向けて弾性変形し、先片62が見付け方向に向かう前述した気密姿勢となると、その先片62の見込み方向一側部62aが補助気密片80の見込み方向一側部80aに接する。このとき、先片62の見込み方向他側面62bはストッパー70の見込み方向一側面71と離隔している。
【0024】
図4に示すように、障子2a,2bが開放した状態では、気密材5は障子2a,2bの見込み方向他側面2cと離隔し、気密材5(気密片60)は非気密姿勢で、その気密片60は基片61と先片62がほぼくの字形状に屈曲している。そして、上枠10の戸当り部16(気密材5を取り付ける部分)から気密材60の先片62の見込み方向一側部62aまでの距離L1が長くなっている。つまり、気密片60が見込み方向に長い。
このとき、ラッチ装置4のラッチ40は解錠姿勢で、第1突起41が上レール15よりも下方に位置し、第2突起42は上レール15よりも見込み方向一側寄りである。
【0025】
前述の開放状態から障子2a,2bを矢印cで示すように、閉じ移動(閉じ位置に向けて移動すること)することで、図5に示すように、障子2a,2bの見込み方向他側面2cが気密材5の気密片60の先片62の見込み方向一側部62aに接する。
このとき、ラッチ40は第2突起42が上レール15と干渉して施錠姿勢に向けて回動する。
【0026】
障子2a,2bを更に閉じ移動して図6に示す閉じ位置とすると共に、気密材5の気密片60の先片62が基片61に対して弾性変形し、その先片62の見込み方向一側に向かう面62cのほぼ全面が障子2a,2bの見込み方向他側面2cに接すると共に、気密片60は前述の気密姿勢となり、上枠10と障子2a,2bとの間を気密することができる。
【0027】
このようであるから、気密材5の気密片60の弾性変形代を大きくできる。
しかも、気密片60の先片62は小さな力で弾性変形するので、障子2a,2b(開閉体2)を閉じ位置まで閉じ移動する操作力を小さくできる。
【0028】
また、前述した気密材5は補助気密片80を備え、気密片60が気密姿勢のときに、その先片62の見込み方向一側部62aが補助気密片80の見込み方向一側部80aに接するので、気密片60(基片61)の見付け方向他端側面60a上に雨水等が浸入して溜まることがない。
つまり、気密片60は、気密姿勢のときにほぼ鉤形状であるので、図5に示すように補助気密片80と離れていると、その気密片60の見付け方向他端側面60a上に雨水等が溜まることがある。
【0029】
図6のように障子2a,2bが閉じ位置のときには、ラッチ40の第1突起41が上レール15に接し、障子2a,2bを閉じ位置で保持して、小さな操作力では障子2a,2bを開放できないようにする。
【0030】
図6のように障子2a,2bが閉じ位置の状態から、その障子2a,2bが矢印cで示すように更に閉じ方向に移動すると、図7に示すように気密材5の気密片60と補助気密片80が弾性変形し、気密片60の先片62の見込み方向他側面62bがストッパー70の見込み方向一側面71に接し、気密片60、補助気密片80がそれ以上弾性変形することを規制する。
【0031】
このようであるから、前述のように気密片60の弾性変形代が大きく、小さな力で弾性変形するようにしても、閉じ位置の障子2a,2bが小さな操作力で閉じ方向に移動する距離が短く、この気密材は戸当りとしての十分な機能を有する。
【0032】
図7に示すように、気密片60の先片62の見込み方向他側面62bがストッパー70の見込み方向一側面71に当接したときに、ラッチ40は、その第2突起42が上レール15を超えて見込み方向他側方(閉じ側)に移動しないようにしてある。
これにより、障子2a,2bが閉じ位置よりも更に閉じ方向に移動し、ラッチ40の第2突起42が上レール15を越えて上レール15よりも見込み方向他側方となることがなく、障子2a,2bを開放するための操作力が大きくなることがなく、閉じ状態の障子2a,2bを小さな操作力で開放することができる。
【0033】
気密材5の取付部50は、戸当り部16の取付用溝17内に取り付けられる溝取付片51と、この溝取付片51の見込み方向一側部に一体に設けた連結片52と、この連結片52の見込み方向一側部に一体に設けた取付片53で断面略H字形状である。
この取付用溝17は、開口幅(見付け方向の寸法)が大きな奥側開口部17aと、開口幅が小さな開口側開口部17bを有する、いわゆるあり溝形状である。
気密材5は、溝取付片51が奥側開口部17a内に挿入され、連結片52が開口側開口部17bに挿入され、取付片53が戸当り部16の取付用溝17の開口側面16aと対向するように取り付けられる。
取付片53の見込み方向他側面の見付け方向一端部と基片61には突部54が設けてあり、この突部54が前記戸当り部16の開口側面16aに接するようにしてある。
【0034】
取付片53の見付け方向一端面53a(取付部50の見付け方向一端側)に気密片60の基片61が一体に設けてある。
この取付片53と基片61の境界部aは、ストッパー70の見込み方向一側面71よりも見込み方向他側寄りである。
これにより、気密片60の先片62がストッパー70に当接し、そのストッパー70が戸当りとして機能した際、取付部50における気密片60の見込み方向他側部と隣接する部分(取付部50における気密片60を設けた部分)に対する負荷を軽減して、この部分の変形を抑制できるため、当該部分に設けられた気密片60の機能低下を防止することができる。
取付片53の見込み方向一側面53bの見込み方向他端部(取付部50の見付け方向他端側)に補助気密片80が一体に設けてある。
この取付片53と補助気密片80の境界部bは、ストッパー70の見込み方向一側面71よりも見込み方向他側寄りである。
これにより、前述の気密片60と同様に補助気密片80の機能低下を防止することができる。
【0035】
気密片60の先片62の厚さ(先片62の突出方向に対して直交する方向の寸法)は基片61の厚さ(基片61の突出方向に対して直交する方向の寸法)よりも小さく、かつ基片61と先片62の屈曲部の見付け方向他端面には凹部、好ましくはほぼ半円形の凹部63が形成してある。
これにより、気密片60は、その先片62が基片61に対して見込み方向他側に向けて弾性変形し易い。
【0036】
気密片60の先片62の見込み方向一側部62aは、見込み方向他側に向けて円弧状に湾曲し、かつ端部は半円形状となっている。
補助気密材80の見込み方向一側部80aは、見付け方向一端に向けて円弧状に湾曲している。
このようであるから、先片62が見込み方向他側に向けて弾性変形したときに、その見込み方向一側部62aが補助気密片80の見込み方向一側部80aの見付け方向他端面に接し、更に先片62が弾性変形することで、その先片62によって補助気密片80を見付け方向一端に向けてスムーズに弾性変形することができる。
【0037】
ストッパー70は、取付片53の見込み方向一側面53bにおける見付け方向中間部に一体に設けてある。
このストッパー70は、見込み方向一側面71と、見付け方向一端面72と、見付け方向他端面73で矩形状となり、このストッパー70は前記連結片52の見付け幅内に設けてある。
【0038】
気密片60と補助気密片80は取付部50よりも軟らかい材質である。
ストッパー70は気密片60と補助気密片80よりも硬い材質である。
取付部50とストッパー70は同じ硬さの材質でも良いし、異なる硬さの材質でも良い。
例えば、取付部50とストッパー70を半硬質樹脂とし、気密片60と補助気密片80を軟質樹脂とし、2色成形といわれる手法で成形する。
【0039】
取付部50の取付片53と気密片60の基片61の境界部aは、図3で仮想線で示す位置でも良いし、取付部50の取付片53と補助気密片80の境界部bは、図3で仮想線で示す位置でも良い。
つまり、前述の境界部a,bはストッパー70の見付け方向一側面71よりも見込み方向他側寄りであれば良い。
【0040】
本発明の気密材5は前述のものに限ることはなく、気密片50を、図3に示すように基片61と先片62でほぼくの字形状に屈曲した形状ではなく、図8に示すように、気密片60を、見込み方向他側部60b(取付部50に取り付けた部分)から見込み方向一側部60cに亘って、見付け方向他端に向かって順次湾曲した形状で、見込み方向一側部寄りが見付け方向に向かうようにしても良い。
【0041】
図8に示す気密材5の場合には、気密片60の見込み方向一側部60c寄り部分が障子2a,2bに接し、その障子2a,2bが閉じ移動することで気密材5の見込み方向全長が順次見込み方向他側に向けて弾性変形する。
そして、気密材5(気密片60)が気密姿勢のときに、気密片60の見込み方向一側部60cが補助気密片80の見込み方向一側部80aに接するようになる。
また、前述の気密姿勢よりも更に気密片60が見込み方向他側に弾性変形したときに、気密片60の見込み方向一側寄りの見込み方向他側面60dがストッパー70の見込み方向一側面71に接し、それ以上の弾性変形を規制する。
【0042】
また、本発明の気密材5は、図示しないが補助気密片80を有しないものでも良い。
この場合には、気密片60とストッパー70を取付部50(取付片53)の見込み方向一側寄りに見付け方向に離隔して設け、気密片60はストッパー70に向けて屈曲、湾曲した形状とする。
【0043】
また、本発明の気密材5を枠体1の上枠10に取り付けたが、下枠11や縦枠13に取り付けても良い。
また、本発明の気密材5を枠体1の上枠10に取り付けたが、下枠11や縦枠13に取り付けても良い。
また、本発明の気密材5は枠体1(上枠10)に取付部50を取り付け、気密片60を障子(開閉体2)に向けるようにしたが、障子(開閉体2)に取付部50を取り付け、気密片60を枠体1(上枠10)に向けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
1…枠体、2…開閉体、5…気密材、50…取付部、60…気密片、61…基片、62…先片、62a…見込み方向一側部、70…ストッパー、71…見込み方向一側面、80…補助気密片、80a…見込み方向一側部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部と、この取付部に見付け方向に離隔して見込み方向一側方に向けてそれぞれ設けた気密片、ストッパーを備え、
前記気密片は、取付部に設けた見込み方向一側方に向かう基片と、この基片の見込み方向一側部に設けた見込み方向一側方に向かい、かつ見付け方向のストッパーに向かう方向に向けて斜めとなった先片でほぼくの字形状に屈曲し、その先片が基片に対して見込み方向他側に向けて弾性変形するようにし、
前記基片と先片の屈曲部はストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向一側方に位置し、先片の見込み方向他側面はストッパーの見込み方向一側面と間隔を置いて対向するようにしたことを特徴とする気密材。
【請求項2】
取付部と、この取付部に見付け方向に離隔して見込み方向一側方に向けてそれぞれ設けた気密片、補助気密片、およびストッパーを備え、
前記気密片は前記取付部の見付け方向一端側に設けられ、前記ストッパーは前記取付部の見付け方向中間部に設けられ、前記補助気密片は前記取付部の見付け方向他端側に設けられ、
前記気密片は、見込み方向他端部から見込み方向一側部に亘って見付け方向他端側に向かって順次湾曲した形状で、
前記気密片の見込み方向一側部はストッパーの見込み方向一側面および補助気密片の見込み方向一側部よりも見込み方向一側方に位置し、その気密片の見込み方向他側面はストッパーの見込み方向一側面と間隔を置いて対向し、
前記補助気密片の見込み方向一側部はストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向一側方に位置し、前記気密片が見込み方向他側に向けて弾性変形すると、気密片の見込み方向一側部が補助気密片の見込み方向一側部に接するようにしたことを特徴とする気密材。
【請求項3】
前記取付部の見付け方向一端側に気密片、中間部にストッパーをそれぞれ設け、その取付部の見付け方向他端側に補助気密片を見込み方向一側方に向けて設け、
この補助気密片の見付け方向一側部は、前記ストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向一側方に位置し、
前記気密片が見込み方向他側に向けて弾性変形すると、その見込み方向一側部が補助気密片の見込み方向一側部に接するようにした請求項1記載の気密材。
【請求項4】
前記気密片と補助気密片は取付部よりも軟らかい材質で、
前記ストッパーは気密片と補助気密片よりも硬い材質とした請求項2又は3記載の気密材。
【請求項5】
前記気密片の見込み方向他側部と前記取付部との境界部は、前記ストッパーの見込み方向一側面よりも見込み方向他側方に位置するようにした請求項4記載の気密材。
【請求項6】
枠体に開閉体を、開き位置と閉じ位置とに亘って面外方向に開閉自在に取り付けた建具であって、
前記枠体又は開閉体に、請求項1〜5いずれか1項に記載した気密材を取り付け、
前記開閉体を閉じ位置としたときに、枠体又は開閉体に、前記気密材の気密片を接して枠体と開閉体との間を気密するようにしたことを特徴とする建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−92563(P2012−92563A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240672(P2010−240672)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】