説明

気泡混入率センサおよびそれを備えたオイルレベル検出装置

【課題】気泡混入率を効率よく高い精度で検出でき、構造を簡素化でき良好な生産効率が得られる気泡混入率センサ、および気泡混入率センサにより検出されたオイル中の気泡混入率に基づいて、簡単な構造でオイルパン内のオイルレベルを精度よく検出できるオイルレベル検出装置を提供すること。
【解決手段】電圧印加電極21dと接地電極21sとを有するキャパシタ部21と、オイルパン2の底部2tと、絶縁部22と、キャパシタ部21の隙間S内に介在するオイル中の誘電率εの変化に応じて出力される出力信号に基づいて、キャパシタ部21の静電容量Cを算出する静電容量算出回路23sと、気泡混入率マップを記憶するメモリ23mと、静電容量算出回路23sにより算出された算出静電容量Csと、メモリ23mに記憶された気泡混入率マップに基づいて、オイル中の気泡混入率を算出する気泡混入率算出回路23kとにより構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に混入した気泡の混入率を検出する気泡混入率センサ、および気泡混入率センサにより検出されたオイル中の気泡混入率に基づいてオイルパン内のオイルレベルを検出するオイルレベル検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の気泡混入率センサとして、エンジンのオイルポンプとシリンダーブロック内のオイルギャラリーとを連結するオイル供給通路部と、オイル供給通路部内のオイルの密度を検出する密度計と、オイルの圧力を検出する圧力計と、オイルの温度を検出する温度計と、この密度計、圧力計および温度計により検出されたオイルの密度、オイルの圧力およびオイルの温度に基づいて、オイル供給通路部内のオイルの空気混入率を計算するプロセッサーとを含んで構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この気泡混入率センサにおいては、オイル供給通路部内のオイルの密度を測定する段階と、オイルの圧力を測定する段階と、オイルの温度を測定する段階と、測定されたオイルの圧力および測定されたオイルの温度に基づいて純粋オイルの密度を計算する段階と、測定されたオイルの圧力および測定されたオイルの温度に基づいて空気の密度を計算する段階とからなる各段階を経て、測定されたオイルの圧力、計算された純粋オイルの密度、そして計算された空気の密度に基づいて、プロセッサーがオイル中の空気混入率を計算するようにしている。
【0004】
また、この種のオイルレベル検出装置として、液体を貯留した容器と、この容器内に配置され、液体の比誘電率を測定するリファレンスセンサと、測定された比誘電率に基づいて液面レベルを測定するメインセンサとを備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このオイルレベル検出装置においては、メインセンサが、筒状に成形されてかつ軸線方向に垂直な断面において、互いに相似する電圧印加電極および接地電極を有し、この電圧印加電極または接地電極のいずれか一方の電極の内側に同軸に他方の電極が収容され、その軸線方向の一端が容器の底面の近傍で液面の変位方向に延在するよう配置されている。
また、リファレンスセンサが、平板状に成形されて対面配置された電圧印加電極および接地電極を有し、メインセンサの軸方向の一端に連なって容器の底面に添って配置されている。
【0006】
このオイルレベル検出装置においては、リファレンスセンサが気体中にあるときのリファレンスセンサの静電容量と、液体中にあるときのリファレンスセンサの静電容量との比によって液体の比誘電率が求められ、液体中のメインセンサの静電容量およびメインセンサの寸法や構造から定まる定数と、求められた比誘電率とに基づいて、容器に貯留された液体の液面レベルが求められるようになっている。
【0007】
また、リファレンスセンサを、メインセンサの軸方向の一端に連なるよう配置するとともに、容器の底面に添って配置し、液面が容器の底面に近くなった場合でも測定できるようにして測定範囲を拡大するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−10699号公報
【特許文献2】特開2007−333728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
また、プロセッサーにおいては、オイル中の空気混入率が算出されるまでに、多くの計算処理が必要となっていた。すなわち、オイルの密度を測定する段階と、オイルの圧力を測定する段階と、オイルの温度を測定する段階と、測定されたオイルの圧力および測定されたオイルの温度に基づいて純粋オイルの密度を計算する段階と、測定されたオイルの圧力および測定されたオイルの温度に基づいて空気の密度を計算する段階とからなる各段階を経る必要があり、さらに、測定されたオイルの圧力と、算出された純粋オイルの密度と、算出された空気の密度を使用して最終的にオイル中の空気混入率が算出されるので、計算処理の効率が低下してしまうという問題があった。
【0010】
また、従来のオイルレベル検出装置においては、電圧印加電極および接地電極を有し、そのいずれか一方の電極の内側に同軸に他方の電極が収容され、その軸線方向の一端が容器の底面の近傍で液面の変位方向に延在するよう配置されたメインセンサと、メインセンサと同様に電圧印加電極および接地電極を有し、メインセンサの軸方向の一端に連なって容器の底面に添って配置されているリファレンスセンサとの2個のセンサにより構成されている。そのため各センサがそれぞれ電圧印加電極および接地電極を有する構成となり、構造が複雑化し、生産効率が低下して生産コストが高くなってしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、前述のような従来における問題を解決し、液体に混入した気泡の混入率を、効率よく高い精度で検出することができるとともに、構造を簡素化でき良好な生産効率が得られる気泡混入率センサ、および気泡混入率センサにより検出されたオイル中の気泡混入率に基づいて、簡単な構造でオイルパン内のオイルレベルを精度よく検出することができるオイルレベル検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る気泡混入率センサは、上記課題を解決するため、(1)円柱状に形成され電圧が印加される電圧印加電極と、円筒状に形成され接地されるとともに、前記電圧印加電極の外周面と一定の隙間をもって対向する内周面を有し、軸線が前記電圧印加電極の軸線と一致するよう前記電圧印加電極を収容する接地電極とにより構成されるキャパシタ部と、前記キャパシタ部を支持するキャパシタ支持部と、前記キャパシタ支持部と前記キャパシタ部との間に介在し、前記キャパシタ部の前記電圧印加電極と前記キャパシタ支持部とを絶縁する絶縁部と、前記キャパシタ部の前記隙間内に介在する被測定物の誘電率の変化に応じて出力される出力信号に基づいて、前記キャパシタ部の静電容量を算出する静電容量算出回路と、予め設定された前記キャパシタ部の静電容量と、前記被測定物中に含まれる気泡の割合を表す気泡混入率との関係を示す気泡混入率マップを記憶するメモリと、前記静電容量算出回路により算出された算出静電容量と、前記メモリに記憶された気泡混入率マップに基づいて、前記被測定物中の気泡混入率を算出する気泡混入率算出回路とにより構成される演算処理部と、前記キャパシタ支持部に装着され前記演算処理部を収容するハウジング部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成により、従来の気泡混入率センサのように、センサ部分を温度計、圧力計および密度計の各センサで構成する必要がなく、電圧印加電極と接地電極とにより構成されるキャパシタ部のみでセンサ部分を構成することができるので、構造が簡素化され、良好な生産効率が得られ、生産コストが抑えられる。
【0014】
また、キャパシタ部の静電容量を静電容量算出回路で算出するとともに、算出した算出静電容量と、メモリに記憶された気泡混入率マップに基づいて、被測定物中の気泡混入率が算出されるので、効率よく高い精度で気泡混入率が検出される。
【0015】
本発明に係るオイルレベル検出装置センサは、上記課題を解決するため、(2)オイルパン内のオイルの油面の高さを表すオイルレベルを検出するオイルレベルセンサと、予め設定され基準となる基準オイルレベルを記憶する記憶手段と、前記オイルレベルセンサにより検出された検出オイルレベルと前記記憶手段に記憶された基準オイルレベルとを比較する比較手段と、前記比較手段により前記検出オイルレベルが前記基準オイルレベル以上であるとされた場合に、前記検出オイルレベルが適正であると判定する判定手段とを備えたオイルレベル検出装置において、前記オイルレベルセンサが、請求項1に記載の気泡混入率センサにより構成され、前記記憶手段が、予め設定された基準となる基準気泡混入率を記憶し、前記比較手段が、前記気泡混入率センサにより検出されたオイル中の検出気泡混入率と前記記憶手段に記憶された基準気泡混入率とを比較し、前記判定手段が、前記比較手段により前記検出気泡混入率が前記基準気泡混入率以下であるとされた場合に、前記検出オイルレベルが適正であると判定することを特徴とする。
【0016】
この構成により、構造が簡素化された気泡混入率センサを含み簡単な構造でオイルレベルが検出されるとともに、比較手段により検出気泡混入率(%)と基準気泡混入率(%)とが比較され、判定手段により検出オイルレベルの適否が判定されるのでオイルパン内のオイルレベルが精度よく検出される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液体に混入した気泡の混入率を効率よく高い精度で検出することができるとともに、構造を簡素化でき良好な生産効率が得られる気泡混入率センサ、および気泡混入率センサにより検出されたオイル中の気泡混入率に基づいて、簡単な構造でオイルパン内のオイルレベルを精度よく検出することができるオイルレベル検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサのマップであり、気泡混入率とセンサ出力との関係を示す。
【図5】本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の部分断面を示す断面図であり、車両の停止時におけるオイルパン内のオイルの状態を示す。
【図6】本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の部分断面を示す断面図であり、車両の運転時におけるオイルパン内の気泡混入率センサの一部がオイルから露出した状態を示す。
【図7】本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の部分断面を示す断面図であり、車両の運転時におけるオイルパン内の気泡混入率センサの半分以上がオイルから露出した状態を示す。
【図8】本発明の第1実施形態に係るオイルレベル検出装置のオイルレベル検出処理内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る気泡混入率センサの斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の部分断面を示す断面図であり、車両の停止時におけるオイルパン内のオイルの状態を示す。
【図13】本発明の第2実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の部分断面を示す断面図であり、車両の運転時におけるオイルパン内の気泡混入率センサの一部がオイルから露出した状態を示す。
【図14】本発明の第2実施形態に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の部分断面を示す断面図であり、車両の運転時におけるオイルパン内の気泡混入率センサの半分以上がオイルから露出した状態を示す。
【図15】本発明の第2実施形態に係るオイルレベル検出装置のオイルレベル検出処理内容を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第1変形例に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の概略構成図である。
【図17】本発明の第2変形例に係る気泡混入率センサが適用されるオイルレベル検出装置の概略構成図である。
【図18】本発明の第3変形例に係るオイルレベル検出装置のマップであり、気泡混入率と油圧との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態および第2実施形態に係る気泡混入率センサおよびそれを備えたオイルレベル検出装置について図面を参照して説明する。
【0020】
まず、構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る気泡混入率センサ20は、エンジン1のオイルパン2に貯留されたオイルの油面の高さHを表すオイルレベルを検出するオイルレベル検出装置10に適用されており、オイルレベル検出装置10の説明を通じて気泡混入率センサ20をも説明する。
【0022】
エンジン1は、その種類に制限はなく、適宜選択された単気筒または複数気筒を有するガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンからなる。
【0023】
オイルパン2は、エンジン1のエンジンブロック1eにボルトなどの締結手段により締結されており、エンジン1の被潤滑部材を潤滑するオイルを貯留するよう構成されている。また、オイルパン2内には、図示しないオイルストレーナがオイル内に浸漬するよう設けられている。また、オイルパン2の底部2tには、外側に向かって突出して形成された複数のねじ部2nが設けられており、このねじ部2nで気泡混入率センサ20が固定されるようになっている。
【0024】
オイルレベル検出装置10は、図1および図2に示すように、気泡混入率センサ20と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)40とを含んで構成されており、公知のバッテリ60から供給される電力により動作し、オイルパン2内のオイルレベルを検出し、その適否を判定して、判定結果を表示処理するよう構成されている。
【0025】
判定結果は、例えば、オイルレベルが適正でないとされた場合に、オイルレベル検出装置10から、車両の運転席のインジケータ1dに表示信号を出力して、適正でないことを表示することに使用される。また、ブザーなどの注意喚起ユニット1uに動作信号を出力して、運転者に注意を喚起することに使用される。
【0026】
気泡混入率センサ20は、図2に示すように、キャパシタ部21と、キャパシタ部21を支持するキャパシタ支持部としてのオイルパン2の底部2tと、キャパシタ部21とオイルパン2の底部2tとを絶縁する絶縁部22と、キャパシタ部21から出力された出力信号などのデータを演算処理する演算処理部23と、演算処理部23を収容するとともにオイルパン2の底部2tに装着されるハウジング部24とを含んで構成されている。
【0027】
キャパシタ部21は、図2および図3に示すように、電圧が印加される電圧印加電極21dと、接地される接地電極21sと、電圧印加電極21dに接続されるリード線21wと、接地電極21sに接続されるリード線21xとを含んで構成されている。
【0028】
電圧印加電極21dは、電気を通す導電材料からなり、円柱状に形成され、直径a(m)の円形断面と、長さL(m)を有している。
【0029】
接地電極21sは、電気を通す導電材料からなり、円筒状に形成され、内径b(m)と外径c(m)の円形断面と、電圧印加電極21dと同じ長さL(m)を有しており、接地電極21sの軸線と、電圧印加電極21dの軸線が一致するよう、電圧印加電極21dを収容している。
【0030】
したがって、接地電極21sの内周面21nと電圧印加電極21dの外周面21gとが、次式(1)で表される間隔K(m)をもって、全周囲に亘って均一な隙間Sを有して対向している。
【数1】

【0031】
リード線21wは、プラスチックなどの絶縁材料により被覆された電気を通す導電材料からなり、一方端部が半田付けなどの導電性のある接合手段21aにより電圧印加電極21dに電気的に接続されており、他方端部が演算処理部23に電気的に接続されている。
リード線21xも、リード線21wと同様、プラスチックなどの絶縁材料により被覆された電気を通す導電材料からなり、一方端部が半田付けなどの導電性のある接合手段21aにより接地電極21sに電気的に接続されており、他方端部が接地されるとともに演算処理部23に電気的に接続されている。
【0032】
なお、リード線21w、21xは、それぞれオイルパン2の底部2tに設けられた配線支持部材21yによって支持されるとともに、オイルパン2がシールされオイルが漏出しないよう構成されている。
【0033】
この構成により、キャパシタ部21においては、電圧印加電極21dと接地電極21sと、電圧印加電極21dと接地電極21sとの間の隙間S内に介在する、空気やオイルなどの誘電体とによりキャパシタが形成されている。この電圧印加電極21dに電圧(V)を印加すると、隙間S内に電気エネルギとなる電荷Q(C)が所定の量だけ蓄積されるようになっている。この所定の量の電荷Qは、キャパシタ部21の静電容量をC(F)とすると、Q=CVで表される。
【0034】
ここで、静電容量Cは、キャパシタ部21の構造や形状の大きさおよび隙間S内に介在する誘電体により定まるもので、キャパシタ部21内にどれだけの量の電荷Qを蓄えることができるかの能力を示している。
【0035】
具体的には、静電容量Cは、次式(2)で表される。
【数2】


ここで式(2)中、εは隙間S内に介在する誘電体の誘電率(F/m)、Lは電圧印加電極21dの長さ(m)、aは電圧印加電極21dの直径(m)、bは接地電極21sの内径(m)をそれぞれ表している。なお、空気の誘電率εは、真空の1とほぼ同じであり、エンジン1のオイルの誘電率εは、オイルの種類やエンジン1の運転状態などの外部環境により異なるが、2ないし5程度のものである。
【0036】
絶縁部22は、電圧印加電極支持部22dと接地電極支持部22eとを含んで構成されており、電圧印加電極支持部22dと接地電極支持部22eの下端部でオイルパン2の底部2tに固定されている。
【0037】
電圧印加電極支持部22dは、例えば、絶縁抵抗が高い熱硬化性プラスチックなどの絶縁材料からなり、電圧印加電極21dと同形状の円柱状に形成され、直径a(m)の円形断面と、長さZ(m)を有している。
【0038】
また、接地電極支持部22eは、電圧印加電極支持部22dと同様の絶縁材料からなり、接地電極21sと同形状の円筒状に形成され、内径b(m)と外径c(m)の円形断面と、電圧印加電極支持部22dと同じ長さZ(m)を有しており、その軸線と、電圧印加電極支持部22dの軸線とが一致するよう、電圧印加電極支持部22dを収容している。
したがって、絶縁部22には、接地電極21sの内周面21nと電圧印加電極21dの外周面21gとの間の間隔K(m)と同様の間隔が形成され、隙間Sと同様の隙間が形成されている。
【0039】
また、絶縁部22のオイルパン2の底部2t側には、隙間Sを外部に開放するようオイル流通孔22oが、円周方向に等間隔で複数個形成されており、オイルパン2内のオイルが隙間S内を流通するようになっている。
【0040】
この絶縁部22は、キャパシタ部21がオイルパン2内の図示しないストレーナの吸入口よりも、底部2tから離隔するとともに、オイルパン2内のオイルレベルが最も低下した状態でも、キャパシタ部21の一部がオイルに浸漬する高さになるよう、底部2tとキャパシタ部21との間に設けられている。
【0041】
演算処理部23は、キャパシタ部21の静電容量C(F)を算出する静電容量算出回路23sと、気泡混入率マップを記憶するメモリ23mと、被測定物としてのオイル中の気泡混入率を算出する気泡混入率算出回路23kとを含んで構成されている。
【0042】
静電容量算出回路23sは、キャパシタ部21の隙間S内に介在するオイルの誘電率εの変化に応じて出力される出力信号に基づいて、キャパシタ部21の静電容量Cを算出するよう公知の電気回路で構成されている。
【0043】
公知の電気回路としては、詳説しないが、例えば、導電性のあるハウジング内に接地され支持された接地電極と、この接地電極と隙間を持って対向して配置された電圧印加電極とにより構成されたキャパシタと、電圧印加電極に接続されコイルLとコンデンサC0とにより構成されたLC発振部と、このLC発振部に接続され、LC発振部の周波数(Hz)を検出し出力する発振回路とを備えたものが挙げられる。
【0044】
この電気回路においては、キャパシタ内を流動するオイルの誘電率ε(F/m)の変化に応じて変化する出力周波数(Hz)と、キャパシタの構造や形状によって決まる定数とに基づいて、キャパシタの静電容量Cを算出するようにしている。
【0045】
また、導電性のあるハウジング内に接地され支持された接地電極と、この接地電極と隙間を持って対向して配置され、高周波電圧(V)を印加させる発振器に接続された電圧印加電極とにより構成されたキャパシタと、この電圧印加電極と発振器との間に設けられ、電圧印加電極と発振器との間に流れる電流(A)を測定するよう構成された変換器とを備えたものが挙げられる。
【0046】
この電気回路においては、キャパシタの静電容量C(F)は、次式、C=I/(ω・V)により、算出されるようになっている。ここで、Iは、変換器により検出された検出電流(A)、ωは周波数をfとする2πf、Vは高周波電圧をそれぞれ表している。
【0047】
メモリ23mは、例えば、算出プログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)、静電容量(F)、電圧(V)および電流(A)などのデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、電気的に書換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの記憶媒体からなり、オイル中に含まれる気泡の割合を表す気泡混入率(%)とキャパシタ部21の静電容量(F)との関係を示す気泡混入率マップを記憶するよう構成されている。
【0048】
また、メモリ23mには、式(1)および式(2)と、式(1)および式(2)に使用するオイルの誘電体の誘電率ε(F/m)、電圧印加電極21dの長さL(m)、電圧印加電極21dの直径a(m)、接地電極21sの内径b(m)、静電容量算出回路23sにおける電流(A)とオイルの誘電体の誘電率ε(F/m)との関係を示す電流およびオイルの誘電率のマップ、静電容量算出回路23sにおける周波数(Hz)とオイルの誘電体の誘電率ε(F/m)との関係を示す周波数およびオイルの誘電率のマップ、気泡混入率マップなどのデータが記憶されている。
【0049】
気泡混入率算出回路23kは、静電容量算出回路23sにより算出された算出静電容量Cs(F)と、メモリ23mに記憶された気泡混入率マップに基づいて、オイルパン2内のオイル中の気泡混入率を算出するよう構成されている。
【0050】
気泡混入率マップは、図4に示すように、縦軸に表されたキャパシタ部21の算出静電容量Cs(F)と、横軸に表されたオイル中の気泡混入率(%)との関係を示すもので、キャパシタ部21の算出静電容量Cs(F)が求まれば、その算出静電容量Cs(F)に対するオイル中の気泡混入率(%)が決定されるようになっている。
【0051】
例えば、算出静電容量Cs(F)が、Fのとき、気泡混入率(%)は、Rとなることがわかる。同様に、Fのとき、Rとなり、Fのとき、Rとなる。
特に、Fのときは、オイル中への気泡の混入がなく、オイル100%を示しており、逆に、Fのときは、オイルがなく、空気100%を示している。
【0052】
この気泡混入率マップは、予め実験値や経験値などの蓄積されたデータにより設定されたもので、図4に示す点線の傾斜線は、データのばらつきの範囲を表したもので、実線の傾斜線はこれらのばらつきを考慮して、車種やエンジン1の各諸元に基づいて適宜選択された適正値を示している。
【0053】
ハウジング部24は、図2に示すように、演算処理部23を収容するよう一端が開放された本体24bと、本体24bの開放側を封止する蓋24cと、蓋24cをオイルパン2の底部2tから離隔して取り付けるスペーサ24sと、蓋24cをオイルパン2の底部2tに固定するナット24nとを含んで構成されている。
【0054】
本体24bは、開放側にフランジ24fを有しており、本体24bと蓋24cは、フランジ24fで、図示しない固定ねじなどの締結手段により締結され一体化されている。
また、本体24bには、演算処理部23とECU40とを接続する配線が挿通される貫通孔24kと、演算処理部23とバッテリ60とを接続する配線が挿通される貫通孔24dとが形成されている。
【0055】
また、蓋24cには、キャパシタ部21の電圧印加電極21dと演算処理部23とを接続するリード線21wが挿通される貫通孔24wと、キャパシタ部21の接地電極21sと演算処理部23とを接続するリード線21xが挿通される貫通孔24xとが形成されている。
【0056】
ECU40は、CPU(Central Processing Unit)と、処理プログラムなどを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、電気的に書換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROMと、A/D変換器やバッファなどを含む入力ポート、出力ポートとを含んで構成されている。
【0057】
また、ECU40は、記憶手段40mと、比較手段40cと、判定手段40jと、表示処理手段40dとを含んで構成されており、キャパシタ部21で検出された検出気泡混入率Sr(%)に基づいてオイルパン2内のオイルレベルが適正か否かを判定し、判定結果を表示処理し、外部に出力するようになっている。したがって、気泡混入率センサ20、ECU40の記憶手段40m、比較手段40cおよび判定手段40jは、本発明に係るオイルレベル検出装置を構成している。
【0058】
記憶手段40mには、予め設定され基準となる基準気泡混入率Kr(%)が記憶されており、適宜読み出されて使用される。
【0059】
比較手段40cは、気泡混入率センサ20により算出されたオイル中の検出気泡混入率Sr(%)と記憶手段40mに記憶された基準気泡混入率Kr(%)とを比較し、比較結果を判定手段40jに出力するよう構成されている。
【0060】
判定手段40jは、比較手段40cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)以下であるとされた場合に、検出オイルレベルが適正であると判定するよう構成されている。他方、比較手段40cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)を超えているとされた場合に、検出オイルレベルが不適正であると判定するよう構成されている。
【0061】
表示処理手段40dは、判定手段40jによる判定結果を、表示可能な信号に変換処理し、表示信号を出力するよう構成されている。
【0062】
入力ポートには、公知のバッテリ60から電力が供給され、キャパシタ部21から出力され、演算処理部23で演算処理された信号が入力されるようになっており、出力ポートから表示信号が出力されるようになっている。
【0063】
次に、第1実施形態に係る気泡混入率センサ20の動作について説明する。
【0064】
車両の停止時には、図5に示すように、エンジン1内に供給されたオイルは、オイルパン2内に還流しオイルレベルは、最も高いHhighの位置となる。オイルがオイルパン2内に還流すると、キャパシタ部21の上方が開口しているので、オイルパン2内のオイルは、矢印で示すように絶縁部22のオイル流通孔22oを通って、電圧印加電極21dと接地電極21sとの間の隙間S内に流入する。
【0065】
そして、キャパシタ部21の全体がオイル中に浸漬した状態になるまで、オイルはオイル流通孔22oを通って、隙間S内に流入し、キャパシタ部21の全体がオイル中に浸漬したとき、隙間S内もオイルで満たされた状態になる。
他方、隙間S内のオイルは、矢印で示すようにオイル流通孔22oからオイルパン2内に流通しうる。
【0066】
このように、車両の停止時には、隙間S内がオイルで満たされた状態になるので、隙間S内はオイル100%の状態となり、キャパシタ部21によりオイル100%の状態の出力信号が静電容量算出回路23sに出力される。
【0067】
静電容量算出回路23sにおいては、オイル100%の状態の出力信号、例えば、静電容量算出回路23s内の電流値(A)が検出されると、メモリ23mに記憶されている電流およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部21内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出される。
【0068】
また、オイル100%の状態の出力信号が、周波数(Hz)となるよう静電容量算出回路23sが構成されている場合には、メモリ23mに記憶されている周波数およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部21内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出される。
【0069】
キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出されると、気泡混入率算出回路23kにより、キャパシタ部21の静電容量C(F)とメモリ23mに記憶されている気泡混入率マップとに基づいて、キャパシタ部21の隙間S内のオイル中の気泡混入率(%)が算出され、ECU40の入力ポートに気泡混入率(%)の信号が出力される。
【0070】
車両の運転時、例えば、低回転および低負荷での運転時には、図6に示すように、図示しないオイルポンプによりエンジン1内にオイルが供給され、オイルパン2内のオイルレベルは車両の停止時よりも低下し、Hmidの位置となる。
【0071】
すなわち、車両の停止時に、キャパシタ部21の隙間Sを満たしていたオイルは、オイルパン2内のオイルレベルが低下すると、オイル流通孔22oを通ってオイルパン2内に流入するので、隙間S内のオイルレベルとオイルパン2内のオイルレベルが等しくなる。
【0072】
このとき、隙間S内の高さMmidで表される範囲に、気泡が混入している状態、すなわち、隙間S内への気泡の混入により実際のオイルレベルよりも、オイルレベルが高いとされてしまう見かけ上高いオイルレベルの状態となっている。
そして、キャパシタ部21によりMmidで表される範囲に、気泡が混入している状態の出力信号が静電容量算出回路23sに出力される。
【0073】
静電容量算出回路23sにおいては、車両の停止時と同様、Mmidで表される範囲に、気泡が混入している状態の出力信号、例えば、静電容量算出回路23s内の電流値(A)が検出されると、メモリ23mに記憶されている電流およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部21内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出される。
【0074】
また、Mmidで表される範囲に、気泡が混入している状態の出力信号が、周波数(Hz)となるよう静電容量算出回路23sが構成されている場合には、メモリ23mに記憶されている周波数およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部21内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出される。
【0075】
キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出されると、車両の停止時と同様、気泡混入率算出回路23kにより、キャパシタ部21の静電容量C(F)とメモリ23mに記憶されている気泡混入率マップとに基づいて、キャパシタ部21の隙間S内のオイル中の気泡混入率(%)が算出され、ECU40の入力ポートに気泡混入率(%)の信号が出力される。
【0076】
車両の運転時、例えば、高回転および高負荷での運転時には、図7に示すように、図示しないオイルポンプによりエンジン1内にオイルが供給され、オイルパン2内のオイルレベルは低回転および低負荷での運転時車両の停止時よりも低下し、Hlowの位置となる。
【0077】
すなわち、車両の停止時に、キャパシタ部21の隙間Sを満たしていたオイルは、オイルパン2内のオイルレベルが低下すると、オイル流通孔22oを通ってオイルパン2内に流入するので、隙間S内のオイルレベルとオイルパン2内のオイルレベルが等しくなる。
【0078】
このとき、隙間S内の高さMlowで表される範囲に、気泡が混入している状態、すなわち、隙間S内への気泡の混入により実際のオイルレベルよりも、オイルレベルが高いとされてしまう見かけ上高いオイルレベルの状態となっている。
そして、キャパシタ部21によりMlowで表される範囲に、気泡が混入している状態の出力信号が静電容量算出回路23sに出力される。
【0079】
静電容量算出回路23sにおいては、車両の停止時と同様、Mlowで表される範囲に、気泡が混入している状態の出力信号、例えば、静電容量算出回路23s内の電流値(A)が検出されると、メモリ23mに記憶されている電流およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部21内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出される。
【0080】
また、Mlowで表される範囲に、気泡が混入している状態の出力信号が、周波数(Hz)となるよう静電容量算出回路23sが構成されている場合には、メモリ23mに記憶されている周波数およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部21内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出される。
【0081】
キャパシタ部21の静電容量C(F)が算出されると、車両の停止時と同様、気泡混入率算出回路23kにより、キャパシタ部21の静電容量C(F)とメモリ23mに記憶されている気泡混入率マップとに基づいて、キャパシタ部21の隙間S内のオイル中の気泡混入率(%)が算出され、ECU40の入力ポートに気泡混入率(%)の信号が出力される。
【0082】
次に、第1実施形態に係るオイルレベル検出装置10のオイルレベル検出処理について説明する。
【0083】
図8に示すフローチャートは、ECU40のROMに格納されたオイルレベル検出処理プログラムの実行内容を示すもので、このオイルレベル検出処理プログラムは、制御内容を実行する単一または複数のプログラムを含んで構成されている。オイルレベル検出処理プログラムは、ECU40のCPUによって実行される。
【0084】
図8に示すように、まず、ECU40は、エンジン1の運転開始前、すなわちオイルがオイルパン2内で最も高い図5に示すオイルレベルHhighとなり、キャパシタ部21の全体がオイルに浸漬しオイル100%のとき、キャパシタ部21から出力された信号に基づいて、静電容量算出回路23sで算出された静電容量C(F)が、メモリ23mに記憶されているか判断する(ステップS1)。
【0085】
エンジン1の運転開始前であるか否かは、エンジン1が停止状態にあることの情報、イグニッションスイッチ(IG)がONになる前段階の情報などのエンジン1の運転開始前の情報に基づいて判断される。例えば、運転開始前の情報として、エンジン1内の冷却水やオイルの温度が基準以下の低温であることや、車両のドアロックが解除されたという情報、運転席に運転者が着席したという情報が挙げられる。
【0086】
ステップS1で、静電容量算出回路23sで算出された静電容量C(F)が、メモリ23mに記憶されていないと判断された場合には、キャパシタ部21から出力された信号に基づいて、静電容量算出回路23sで算出された静電容量C(F)が、メモリ23mに記憶される(ステップS2)。このとき、メモリ23m内の静電容量C(F)が、新たな静電容量Cに書き換えられ、その後の気泡混入率センサ20における気泡混入率(%)の算出の基準となる。すなわち、新たな記憶により気泡混入率センサ20が校正されたことになり、いわゆるゼロ点補正がなされたことになる。
【0087】
ECU40は、イグニッションスイッチ(IG)がONになったか否かを判断する(ステップS3)。ECU40は、イグニッションスイッチ(IG)がONになっていないと判断した場合には、イグニッションスイッチ(IG)がONになるまで、定期的に繰り返し判断する。
【0088】
次いで、ECU40は、気泡混入率センサ20を動作させ、気泡混入率センサ20によりメモリ23mに記憶されているキャパシタ部21の静電容量Cを算出する式(2)を導く(ステップS4)。
【0089】
次いで、気泡混入率センサ20により、キャパシタ部21の静電容量Cが算出され(ステップS5)、キャパシタ部21内のオイル中の気泡混入率(%)が算出され(ステップS6)、算出値である算出気泡混入率(%)の信号がECU40の入力ポートを介して比較手段40cに出力される(ステップS7)。
【0090】
ECU40の比較手段40cは、気泡混入率センサ20により算出されたオイル中の検出気泡混入率Sr(%)と記憶手段40mに記憶された基準気泡混入率Kr(%)とを比較し(ステップS8)、比較結果を判定手段40jに出力する(ステップS9)。
【0091】
ECU40の判定手段40jは、比較手段40cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)以下であるとされた場合に、検出オイルレベルが適正であると判定する(ステップS10)。他方、比較手段40cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)を超えているとされた場合に、検出オイルレベルが不適正であると判定する(ステップS11)。
【0092】
次いで、ECU40の表示処理手段40dは、判定手段40jによる判定結果を、表示可能な信号に変換処理し、表示信号を出力する(ステップS12)。
【0093】
次いで、ECU40は、エンジン1が停止したか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13でエンジン1が停止していないと判定された場合、ECU40は、ステップS5に戻り、エンジン1が停止していると判定された場合、このオイルレベル検出処理を終了する。
【0094】
第1実施形態に係る気泡混入率センサ20およびオイルレベル検出装置10は、前述のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0095】
すなわち、気泡混入率センサ20は、電圧印加電極21dと接地電極21sとにより構成されるキャパシタ部21と、キャパシタ支持部としてのオイルパン2の底部2tと、絶縁部22と、演算処理部23と、ハウジング部24とにより構成されている。
【0096】
この演算処理部23は、キャパシタ部21の隙間S内に介在するオイルの誘電率の変化に応じて出力される出力信号に基づいて、キャパシタ部21の静電容量Cを算出する静電容量算出回路23sと、予め設定されキャパシタ部21の静電容量Cと、オイル中に含まれる気泡の割合を表す気泡混入率(%)との関係を示す気泡混入率マップを記憶するメモリ23mと、静電容量算出回路23sにより算出された算出静電容量Csと、メモリ23mに記憶された気泡混入率マップに基づいて、オイル中の気泡混入率(%)を算出する気泡混入率算出回路23kとにより構成されている。
【0097】
その結果、従来の気泡混入率センサのように、センサ部分を温度計、圧力計および密度計の各センサで構成する必要がなく、電圧印加電極21dと接地電極21sとにより構成されるキャパシタ部21のみでセンサ部分を構成することができるので、構造を簡素化することができ、良好な生産効率が得られ、生産コストを抑えることができるという効果が得られる。
【0098】
また、キャパシタ部21の静電容量Cを静電容量算出回路23sで算出するとともに、算出した算出静電容量Csと、メモリ23mに記憶された気泡混入率マップに基づいて、オイル中の気泡混入率(%)を算出するようにしたので、効率よく高い精度で気泡混入率(%)を検出することができるという効果が得られる。
【0099】
また、オイルレベル検出装置10は、気泡混入率センサ20と、ECU40とにより構成され、ECU40が、記憶手段40m、比較手段40cおよび判定手段40jとを含んで構成されている。この記憶手段40mは、予め設定された基準となる基準気泡混入率(%)を記憶し、比較手段40cが、気泡混入率センサ20により検出されたオイル中の検出気泡混入率(%)と記憶手段40mに記憶された基準気泡混入率(%)とを比較し、判定手段40jが、比較手段40cにより検出気泡混入率(%)が基準気泡混入率(%)以下であるとされた場合に、検出オイルレベルが適正であると判定するよう構成されている。
【0100】
その結果、構造が簡素化された気泡混入率センサ20およびECU40の簡単な構造で構成することができ、ECU40の比較手段40cが、検出気泡混入率(%)を基準気泡混入率(%)と比較し、判定手段40jが、検出オイルレベルの適否を判定しているのでオイルパン内のオイルレベルを精度よく検出できるという効果が得られる。
【0101】
(第2実施形態)
次いで、第2実施形態に係る気泡混入率センサ120およびそれを備えたオイルレベル検出装置110について図面を参照して説明する。
【0102】
第2実施形態に係るオイルレベル検出装置110においては、第1実施形態における気泡混入率センサ20が異なっているが、他の構成要素は同様に構成されている。したがって、同一の構成要素については、図1ないし図8に示した第1実施形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0103】
まず、構成について説明する。
【0104】
図9に示すように、本発明の第2実施形態に係る気泡混入率センサ120は、第1実施形態と同様、エンジン1のオイルパン2に貯留されたオイルの油面の高さHを表すオイルレベルを検出するオイルレベル検出装置110に適用されており、オイルレベル検出装置110の説明を通じて気泡混入率センサ120をも説明する。
【0105】
オイルレベル検出装置110は、図9および図10に示すように、第1実施形態と同様、気泡混入率センサ120と、ECU140とを含んで構成されており、公知のバッテリ60から供給される電力により動作し、オイルパン2内のオイルレベルを検出し、その適否を判定して、判定結果を表示処理するよう構成されている。
【0106】
判定結果は、第1実施形態と同様、オイルレベルが適正でないとされた場合に、オイルレベル検出装置110から、車両の運転席のインジケータ1dに表示信号を出力して、適正でないことを表示することに使用される。また、ブザーなどの注意喚起ユニット1uに動作信号を出力して、運転者に注意を喚起することに使用される。
【0107】
気泡混入率センサ120は、図10に示すように、キャパシタ部121と、キャパシタ部121を支持するキャパシタ支持部としてのオイルパン2の底部2tと、キャパシタ部121とオイルパン2の底部2tとを絶縁する絶縁部122と、キャパシタ部121から出力された出力信号などのデータを演算処理する演算処理部123と、演算処理部123を収容するとともにオイルパン2の底部2tに装着されるハウジング部124とを含んで構成されている。
【0108】
キャパシタ部121は、図10および図11に示すように、下側キャパシタ部51と、中間キャパシタ部52と、上側キャパシタ部53と、下側キャパシタ部51と中間キャパシタ部52とを結合するとともに絶縁するキャパシタ絶縁部54と、中間キャパシタ部52と上側キャパシタ部53とを結合するとともに絶縁するキャパシタ絶縁部55と含んで構成されている。
【0109】
下側キャパシタ部51は、第1実施形態と同様、電圧が印加される電圧印加電極51dと、接地される接地電極51sと、電圧印加電極51dに接続されるリード線51wと、接地電極51sに接続されるリード線51xとを含んで構成されている。電圧印加電極51dは、電気を通す導電材料からなり、円柱状に形成され、直径a(m)の円形断面と、長さL(m)を有している。
【0110】
接地電極51sは、電気を通す導電材料からなり、円筒状に形成され、内径b(m)と外径c(m)の円形断面と、電圧印加電極51dと同じ長さL(m)を有しており、接地電極51sの軸線と、電圧印加電極51dの軸線が一致するよう、電圧印加電極51dを収容している。したがって、接地電極51sの内周面51nと電圧印加電極51dの外周面51gとが、前述の式(1)で表される間隔K(m)をもって、全周囲に亘って均一な隙間Sを有して対向している。
【0111】
リード線51wは、第1実施形態と同様、プラスチックなどの絶縁材料により被覆された電気を通す導電材料からなり、一方端部が半田付けなどの導電性のある接合手段51aにより電圧印加電極51dに電気的に接続されており、他方端部が演算処理部123に電気的に接続されている。
【0112】
リード線51xも、リード線51wと同様、プラスチックなどの絶縁材料により被覆された電気を通す導電材料からなり、一方端部が半田付けなどの導電性のある接合手段51aにより接地電極51sに電気的に接続されており、他方端部が接地されるとともに演算処理部123に電気的に接続されている。
【0113】
中間キャパシタ部52は、下側キャパシタ部51と同様、電圧印加電極52dと、接地電極52sと、リード線52wと、リード線52xとを含んで構成され、上側キャパシタ部53も、下側キャパシタ部51と同様、電圧印加電極53dと、接地電極53sと、リード線53wと、リード線53xとを含んで構成されている。
【0114】
なお、リード線51w、52w、53w、51x、52x、53xは、それぞれオイルパン2の底部2tに設けられた配線支持部材121yによって支持されるとともに、オイルパン2がシールされオイルが漏出しないよう構成されている。
【0115】
キャパシタ絶縁部54は、電圧印加電極絶縁部54dと接地電極絶縁部54eとを含んで構成されており、電圧印加電極絶縁部54dおよび接地電極絶縁部54eの両端部で、下側キャパシタ部51と中間キャパシタ部52をそれぞれ絶縁している。
【0116】
キャパシタ絶縁部55も、キャパシタ絶縁部54と同様、電圧印加電極絶縁部55dと接地電極絶縁部55eとを含んで構成されており、電圧印加電極絶縁部55dおよび接地電極絶縁部55eの両端部で、中間キャパシタ部52と上側キャパシタ部53をそれぞれ絶縁している。
【0117】
下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の長さを同一のLとして構成したが、中間キャパシタ部52の長さをLとし、上側キャパシタ部53の長さをLとし、それぞれ異なった長さで構成してもよい。
【0118】
また、キャパシタ絶縁部54およびキャパシタ絶縁部55の長さを同一のZとして構成したが、キャパシタ絶縁部55の長さをZとし、それぞれ異なった長さで構成してもよい。
【0119】
絶縁部122は、電圧印加電極支持部122dと接地電極支持部122eとを含んで構成されており、電圧印加電極支持部122dと接地電極支持部122eの下端部でオイルパン2の底部2tに固定されている。
【0120】
電圧印加電極支持部122dは、第1実施形態と同様、絶縁抵抗が高い熱硬化性プラスチックなどの絶縁材料からなり、下側キャパシタ部51の電圧印加電極51dと同形状の円柱状に形成され、直径a(m)の円形断面と、長さZ(m)を有している。
【0121】
また、接地電極支持部122eは、電圧印加電極支持部122dと同様の絶縁材料からなり、下側キャパシタ部51の接地電極51sと同形状の円筒状に形成され、内径b(m)と外径c(m)の円形断面と、電圧印加電極支持部22dと同じ長さZ(m)を有しており、その軸線と、電圧印加電極支持部122dの軸線とが一致するよう、電圧印加電極支持部122dを収容している。したがって、絶縁部122には、接地電極51sの内周面51nと電圧印加電極51dの外周面51gとの間の間隔K(m)と同様の間隔が形成され、隙間Sと同様の隙間が形成されている。
【0122】
また、絶縁部122のオイルパン2の底部2t側には、隙間Sを外部に開放するようオイル流通孔122oが、円周方向に等間隔で複数個形成されており、オイルパン2内のオイルが隙間S内を流通するようになっている。
【0123】
この絶縁部122は、第1実施形態と同様、キャパシタ部121がオイルパン2内の図示しないストレーナの吸入口よりも、底部2tから離隔するとともに、オイルパン2内のオイルレベルが最も低下した状態でも、キャパシタ部121の一部がオイルに浸漬する高さになるよう、底部2tとキャパシタ部121との間に設けられている。
【0124】
演算処理部123は、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51の静電容量Ck(F)と、中間キャパシタ部52の静電容量Ct(F)と、上側キャパシタ部53の静電容量Cu(F)とをそれぞれ算出する静電容量算出回路123sと、気泡混入率マップを記憶するメモリ123mと、下側キャパシタ部51内のオイル中の気泡混入率(%)と、中間キャパシタ部52内のオイル中の気泡混入率(%)と、上側キャパシタ部53内のオイル中の気泡混入率(%)とをそれぞれ算出する気泡混入率算出回路123kとを含んで構成されている。
【0125】
静電容量算出回路123sは、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51の隙間S内、中間キャパシタ部52の隙間S内および上側キャパシタ部53の隙間S内にそれぞれ介在する各オイルの誘電率εの変化に応じてそれぞれ出力される出力信号に基づいて、キャパシタ部121の静電容量Ck(F)、Ct(F)、Cu(F)をそれぞれ算出するよう前述の公知の電気回路で構成されている。
【0126】
メモリ123mは、第1実施形態のメモリ23mと同様に構成され、オイル中に含まれる気泡の割合を表す気泡混入率(%)と、下側キャパシタ部51の静電容量Ck(F)、中間キャパシタ部52のCt(F)、上側キャパシタ部53のCu(F)との関係を示すそれぞれの気泡混入率マップを記憶するよう構成されている。
【0127】
また、メモリ123mには、第1実施形態のメモリ23mと同様、式(1)および式(2)と、式(1)および式(2)に使用するオイルの誘電体の誘電率ε(F/m)、電圧印加電極51d、52dおよび53dの長さL(m)、電圧印加電極51d、52dおよび53dの直径a(m)、接地電極51s、52sおよび53sの内径b(m)、静電容量算出回路123sにおける電流(A)とオイルの誘電体の誘電率ε(F/m)との関係を示す電流およびオイルの誘電率のマップ、静電容量算出回路123sにおける周波数(Hz)とオイルの誘電体の誘電率ε(F/m)との関係を示す周波数およびオイルの誘電率のマップなどのデータが記憶されている。
【0128】
気泡混入率算出回路123kは、静電容量算出回路123sにより算出された下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の算出静電容量Cs(F)と、メモリ123mに記憶された下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53に関する各気泡混入率マップに基づいて、オイルパン2内のオイル中の気泡混入率(%)を算出するよう構成されている。
【0129】
この気泡混入率算出回路123kにおいては、下側キャパシタ部51における気泡混入率(%)、中間キャパシタ部52における気泡混入率(%)および上側キャパシタ部53における気泡混入率(%)がそれぞれ算出されることになるが、これらの気泡混入率(%)のうち、最大の気泡混入率(%)および最小の気泡混入率(%)を参照し中間の気泡混入率(%)が算出された下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53のいずれかに油面があると考えられる。
【0130】
この場合、下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53のいずれかが中間の気泡混入率(%)であること、およびその気泡混入率(%)の数値が、気泡混入率算出回路123kから出力される出力信号に含まれる。
【0131】
下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53に関する各気泡混入率マップは、図4に示す第1実施形態と同様、キャパシタ部121の算出静電容量Cs(F)と、オイル中の気泡混入率(%)との関係を示すもので、キャパシタ部121の算出静電容量Cs(F)が求まれば、その算出静電容量Cs(F)に対するオイル中の気泡混入率(%)が決定されるようになっている。
【0132】
ハウジング部124は、図10に示すように、第1実施形態と同様、演算処理部123を収容するよう一端が開放された本体124bと、本体124bの開放側を封止する蓋124cと、蓋124cをオイルパン2の底部2tから離隔して取り付けるスペーサ124sと、蓋124cをオイルパン2の底部2tに固定するナット124nとを含んで構成されている。
【0133】
本体124bは、開放側にフランジ124fを有しており、本体124bと蓋124cは、フランジ124fで、図示しない固定ねじなどの締結手段により締結され一体化されている。また、本体124bには、演算処理部123とECU140とを接続する配線が挿通される貫通孔124kと、演算処理部123とバッテリ60とを接続する配線が挿通される貫通孔124dとが形成されている。
【0134】
また、蓋124cには、キャパシタ部121のリード線51w、52wおよび53wが挿通される貫通孔124wと、キャパシタ部121のリード線51x、52xおよび53xが挿通される貫通孔124xとが形成されている。
【0135】
ECU140は、第1実施形態と同様、CPUと、処理プログラムなどを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、電気的に書換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROMと、A/D変換器やバッファなどを含む入力ポート、出力ポートとを含んで構成されている。
【0136】
また、ECU140は、第1実施形態と同様、記憶手段140mと、比較手段140cと、判定手段140jと、表示処理手段140dとを含んで構成されており、キャパシタ部121で検出された検出気泡混入率Sr(%)に基づいてオイルパン2内のオイルレベルが適正か否かを判定し、判定結果を表示処理し、外部に出力するようになっている。
したがって、気泡混入率センサ120、ECU40の記憶手段140m、比較手段140cおよび判定手段140jは、本発明に係るオイルレベル検出装置を構成している。
【0137】
記憶手段140mには、予め設定され基準となる基準気泡混入率Kr(%)が記憶されており、適宜読み出されて使用される。
【0138】
比較手段140cは、気泡混入率センサ120により算出されたオイル中の検出気泡混入率Sr(%)と記憶手段140mに記憶された基準気泡混入率Kr(%)とを比較し、比較結果を判定手段140jに出力するよう構成されている。
【0139】
判定手段140jは、比較手段140cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)以下であるとされた場合に、検出オイルレベルが適正であると判定するよう構成されている。他方、比較手段140cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)を超えているとされた場合に、検出オイルレベルが不適正であると判定するよう構成されている。
【0140】
表示処理手段140dは、判定手段140jによる判定結果を、表示可能な信号に変換処理し、表示信号を出力するよう構成されている。
【0141】
次に、第1実施形態に係る気泡混入率センサ120の動作について説明する。
【0142】
車両の停止時には、図12に示すように、第1実施形態と同様、エンジン1内に供給されたオイルは、オイルパン2内に還流しオイルレベルは、最も高いHhighの位置となる。オイルがオイルパン2内に還流すると、キャパシタ部121の上方が開口しているので、オイルパン2内のオイルは、矢印で示すように絶縁部122のオイル流通孔122oを通って、電圧印加電極51d、52d、53dと接地電極51s、52s、53sとの間の各隙間S内に流入する。
【0143】
そして、キャパシタ部121の全体がオイル中に浸漬した状態になるまで、オイルはオイル流通孔122oを通って、各隙間S内に流入し、キャパシタ部121の全体がオイル中に浸漬したとき、各隙間S内もオイルで満たされた状態になる。
他方、各隙間S内のオイルは、矢印で示すようにオイル流通孔122oからオイルパン2内に流通しうる。
【0144】
このように、車両の停止時には、各隙間S内がオイルで満たされた状態になるので、各隙間S内はオイル100%の状態となり、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53によりオイル100%の状態の出力信号が静電容量算出回路123sに出力される。
【0145】
静電容量算出回路123sにおいては、第1実施形態と同様、オイル100%の状態の出力信号、例えば、静電容量算出回路123s内の電流値(A)が検出されると、メモリ123mに記憶されている電流およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部121内の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53のオイルの誘電率ε(F/m)がそれぞれ求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の各静電容量C(F)が算出される。
【0146】
キャパシタ部121の各静電容量C(F)が算出されると、気泡混入率算出回路123kにより、キャパシタ部121の静電容量C(F)とメモリ123mに記憶されている気泡混入率マップとに基づいて、キャパシタ部121の各隙間S内のオイル中の気泡混入率(%)が算出され、ECU140の入力ポートに気泡混入率(%)の信号が出力される。
この場合には、下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の算出された各静電容量C(F)は、ほぼ同等の値となるので、いずれか1つのキャパシタ部の算出された静電容量C(F)を出力してもよく、各静電容量C(F)の相加平均値を出力してもよい。
【0147】
車両の運転時、例えば、低回転および低負荷での運転時には、図13に示すように、図示しないオイルポンプによりエンジン1内にオイルが供給され、オイルパン2内のオイルレベルは車両の停止時よりも低下し、Hmidの位置となる。
【0148】
すなわち、車両の停止時に、キャパシタ部121の各隙間Sを満たしていたオイルは、オイルパン2内のオイルレベルが低下すると、オイル流通孔122oを通ってオイルパン2内に流入するので、隙間S内のオイルレベルとオイルパン2内のオイルレベルが等しくなる。
【0149】
このとき、隙間S内の高さMmidで表される上側キャパシタ部53の範囲に、気泡が混入している状態、すなわち、隙間S内への気泡の混入により実際のオイルレベルよりも、オイルレベルが高いとされてしまう見かけ上高いオイルレベルの状態となっている。
そして、キャパシタ部121によりMmidで表される上側キャパシタ部53の範囲に、気泡が混入している状態の出力信号、下側キャパシタ部51および中間キャパシタ部52にオイル100%の状態の出力信号が、それぞれ静電容量算出回路123sに出力される。
【0150】
静電容量算出回路23sにおいては、車両の停止時と同様、Mmidで表される上側キャパシタ部53の範囲に、気泡が混入している状態の出力信号、例えば、静電容量算出回路123s内の電流値(A)が検出されると、メモリ123mに記憶されている電流およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部121の上側キャパシタ部53内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部121の上側キャパシタ部53内の静電容量C(F)が算出される。
【0151】
キャパシタ部121の上側キャパシタ部53内の静電容量C(F)が算出されると、車両の停止時と同様、気泡混入率算出回路123kにより、キャパシタ部121の上側キャパシタ部53内の静電容量C(F)とメモリ23mに記憶されている気泡混入率マップとに基づいて、キャパシタ部121の上側キャパシタ部53内の隙間S内のオイル中の気泡混入率(%)が算出され、ECU140の入力ポートに気泡混入率(%)の信号が出力される。
【0152】
車両の運転時、例えば、高回転および高負荷での運転時には、図14に示すように、図示しないオイルポンプによりエンジン1内にオイルが供給され、オイルパン2内のオイルレベルは低回転および低負荷での運転時車両の停止時よりも低下し、Hlowの位置となる。
【0153】
すなわち、車両の停止時に、キャパシタ部121の隙間Sを満たしていたオイルは、オイルパン2内のオイルレベルが低下すると、オイル流通孔122oを通ってオイルパン2内に流入するので、隙間S内のオイルレベルとオイルパン2内のオイルレベルが等しくなる。
【0154】
このとき、隙間S内の高さMmidで表される下側キャパシタ部51の範囲に、気泡が混入している状態、すなわち、下側キャパシタ部51の隙間S内への気泡の混入により実際のオイルレベルよりも、オイルレベルが高いとされてしまう見かけ上高いオイルレベルの状態となっている。そして、キャパシタ部121によりMlowで表される下側キャパシタ部51の範囲に、気泡が混入している状態の出力信号が静電容量算出回路123sに出力される。
【0155】
静電容量算出回路123sにおいては、車両の停止時と同様、Mlowで表される下側キャパシタ部51の範囲に、気泡が混入している状態の出力信号、例えば、静電容量算出回路123s内の電流値(A)が検出されると、メモリ123mに記憶されている電流およびオイルの誘電率のマップを参照し、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51内のオイルの誘電率ε(F/m)が求められ、さらに式(2)に基づいて、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51内の静電容量C(F)が算出される。
【0156】
キャパシタ部121の下側キャパシタ部51の静電容量C(F)が算出されると、車両の停止時と同様、気泡混入率算出回路123kにより、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51の静電容量C(F)とメモリ123mに記憶されている気泡混入率マップとに基づいて、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51の隙間S内のオイル中の気泡混入率(%)が算出されECU140の入力ポートに気泡混入率(%)の信号が出力される。
【0157】
次に、第2実施形態に係るオイルレベル検出装置110のオイルレベル検出処理について説明する。
【0158】
図15に示すフローチャートは、ECU140のROMに格納されたオイルレベル検出処理プログラムの実行内容を示すもので、このオイルレベル検出処理プログラムは、制御内容を実行する単一または複数のプログラムを含んで構成されている。オイルレベル検出処理プログラムは、ECU140のCPUによって実行される。
【0159】
図15に示すように、まず、ECU140は、第1実施形態と同様、エンジン1の運転開始前、すなわちオイルがオイルパン2内で最も高い図12に示すオイルレベルHhighとなり、キャパシタ部121の全体がオイルに浸漬しオイル100%のとき、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53からそれぞれ出力された信号に基づいて、静電容量算出回路123sで算出されたそれぞれの静電容量C(F)が、メモリ123mに記憶されているか判断する(ステップS101)。
【0160】
エンジン1の運転開始前であるか否かは、第1実施形態と同様、エンジン1が停止状態にあることの情報、イグニッションスイッチ(IG)がONになる前段階の情報などのエンジン1の運転開始前の情報に基づいて判断される。例えば、運転開始前の情報として、エンジン1内の冷却水やオイルの温度が基準以下の低温であることや、車両のドアロックが解除されたという情報、運転席に運転者が着席したという情報が挙げられる。
【0161】
ステップS101で、静電容量算出回路123sで算出された下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の各静電容量C(F)が、メモリ123mに記憶されていないと判断された場合には、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53から出力された信号に基づいて、静電容量算出回路123sで算出された下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の各静電容量C(F)が、メモリ123mに記憶される(ステップS102)。
【0162】
このとき、第1実施形態と同様、メモリ123m内の各静電容量C(F)が、新たな各静電容量Cに書き換えられ、その後の気泡混入率センサ120における気泡混入率(%)の算出の基準となる。すなわち、新たな記憶により気泡混入率センサ120が校正されたことになり、いわゆるゼロ点補正がなされたことになる。
【0163】
ECU140は、イグニッションスイッチ(IG)がONになったか否かを判断する(ステップS103)。ECU140は、第1実施形態と同様、イグニッションスイッチ(IG)がONになっていないと判断した場合には、イグニッションスイッチ(IG)がONになるまで、定期的に繰り返し判断する。
【0164】
次いで、ECU140は、気泡混入率センサ120を動作させ、気泡混入率センサ120によりメモリ123mに記憶されているキャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の各静電容量Cを算出する式(2)を導く(ステップS104)。
【0165】
次いで、気泡混入率センサ120により、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の各静電容量Cが算出され(ステップS105)、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53内のオイル中の気泡混入率(%)が算出され(ステップS106)、算出値である算出気泡混入率(%)の信号がECU140の入力ポートを介して比較手段140cに出力される(ステップS107)。
【0166】
ECU140の比較手段140cは、気泡混入率センサ120により算出されたオイル中の検出気泡混入率Sr(%)と記憶手段140mに記憶された基準気泡混入率Kr(%)とを比較し(ステップS108)、比較結果を判定手段140jに出力する(ステップS9)。
【0167】
ECU140の判定手段140jは、第1実施形態と同様、比較手段140cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)以下であるとされた場合に、検出オイルレベルが適正であると判定する(ステップS110)。他方、比較手段140cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)を超えているとされた場合に、検出オイルレベルが不適正であると判定する(ステップS111)。
【0168】
次いで、ECU140の表示処理手段140dは、判定手段140jによる判定結果を、表示可能な信号に変換処理し、表示信号を出力する(ステップS112)。
【0169】
次いで、ECU140は、エンジン1が停止したか否かを判定する(ステップS113)。ステップS113でエンジン1が停止していないと判定された場合、ECU140は、ステップS105に戻り、エンジン1が停止していると判定された場合、このオイルレベル検出処理を終了する。
【0170】
第2実施形態に係る気泡混入率センサ120およびオイルレベル検出装置110は、前述のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0171】
すなわち、気泡混入率センサ20は、電圧印加電極51d、52d、53dと接地電極51s、52s、53sとにより構成されるキャパシタ部121と、キャパシタ支持部としてのオイルパン2の底部2tと、絶縁部122と、演算処理部123と、ハウジング部124とにより構成されている。
【0172】
さらに演算処理部123は、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の各隙間S内に介在するオイルの誘電率の変化に応じて出力される出力信号に基づいて、キャパシタ部121の下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の各静電容量Cを算出する静電容量算出回路123sと、予め設定されキャパシタ部121の静電容量Cと、オイル中に含まれる気泡の割合を表す気泡混入率(%)との関係を示す気泡混入率マップを記憶するメモリ123mと、静電容量算出回路123sにより算出された算出静電容量Csと、メモリ123mに記憶された気泡混入率マップに基づいて、オイル中の気泡混入率(%)を算出する気泡混入率算出回路123kとにより構成されている。
【0173】
その結果、従来の気泡混入率センサのように、センサ部分を温度計、圧力計および密度計の各センサで構成する必要がなく、電圧印加電極51d、52d、53dと接地電極51s、52s、53sとにより構成されるキャパシタ部121のみでセンサ部分を構成することができるので、構造を簡素化することができ、良好な生産効率が得られ、生産コストを抑えることができるという効果が得られる。また、キャパシタ部121が下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の3個のキャパシタで構成されているので、より木目細かに気泡混入率を検出することができ、高い検出精度が得られるという効果がある。
【0174】
また、キャパシタ部121の各静電容量Cを静電容量算出回路123sで算出するとともに、算出された算出静電容量Csと、メモリ123mに記憶された気泡混入率マップに基づいて、オイル中の気泡混入率(%)を算出するようにしたので、効率よく高い精度で気泡混入率(%)を検出することができるという効果が得られる。
【0175】
また、オイルレベル検出装置110は、気泡混入率センサ120と、ECU140とにより構成され、ECU140が、記憶手段140m、比較手段140cおよび判定手段140jとを含んで構成されている。この記憶手段140mは、予め設定され基準となる基準気泡混入率(%)を記憶し、比較手段140cが、気泡混入率センサ120により検出されたオイル中の検出気泡混入率(%)と記憶手段140mに記憶された基準気泡混入率(%)とを比較し、判定手段140jが、比較手段140cにより検出気泡混入率(%)が基準気泡混入率(%)以下であるとされた場合に、検出オイルレベルが適正であると判定するよう構成されている。
【0176】
その結果、構造が簡素化された気泡混入率センサ120およびECU140の簡単な構造で構成することができ、ECU140の比較手段140cが、検出気泡混入率(%)を基準気泡混入率(%)と比較し、判定手段140jが、検出オイルレベルの適否を判定しているのでオイルパン内のオイルレベルを精度よく検出できるという効果が得られる。
【0177】
次いで、本発明の第1変形例に係る気泡混入率センサについて説明する。
第1実施形態および第2実施形態に係る気泡混入率センサ20、120は、キャパシタ支持部としてのオイルパン2の底部2tに装着した場合について説明した。
しかしながら、本発明に係る気泡混入率センサは、キャパシタ支持部としてのオイルパン2の底部2t以外の位置に配置するようにしてもよい。
【0178】
例えば、図16に示すように、気泡混入率センサ220を、第1実施形態と同様、電圧印加電極221dおよび接地電極221sを有するキャパシタ部221と、オイルパン2内に配置されたオイルストレーナ70に装着するよう装着バンドおよびファスナーで構成されたキャパシタ支持部222と、リード線221w、221xによりキャパシタ部221に接続された演算処理部223とを含んで構成するようにしてもよい。
【0179】
この場合、第1実施形態と同様、液体に混入した気泡の混入率を、効率よく高い精度で検出することができるとともに、構造を簡素化でき良好な生産効率が得られる気泡混入率センサを提供することができるという効果が得られる。
【0180】
次いで、本発明の第2変形例に係る気泡混入率センサについて説明する。
また、図17に示すように、気泡混入率センサ320を、第1実施形態と同様、電圧印加電極321dおよび接地電極321sを有するキャパシタ部321と、オイルパン2内に配置された固定部材80に固定するとともに固定部材80から絶縁する絶縁部322と、リード線321w、321xによりキャパシタ部321に接続された演算処理部323とを含んで構成するようにしてもよい。
【0181】
この場合、第1実施形態と同様、液体に混入した気泡の混入率を、効率よく高い精度で検出することができるとともに、構造を簡素化でき良好な生産効率が得られる気泡混入率センサを提供することができるという効果が得られる。
【0182】
次いで、本発明の第3変形例に係るオイルレベル検出装置について説明する。
本第1実施形態および第2実施形態に係るオイルレベル検出装置10、110は、ECU40、140の判定手段40j、140jが、比較手段40c、140cにより検出気泡混入率Sr(%)が基準気泡混入率Kr(%)以下であるとされた場合に、検出オイルレベルが適正であると判定するよう構成した場合について説明した。
【0183】
しかしながら、検出オイルレベルが適正であるか否かを、エンジン1の要求油圧(kPa)とオイル中の気泡混入率(%)との関係に基づいて判定するようにしてもよい。
例えば、図18に示すように、横軸に気泡混入率センサによって検出された気泡混入率(%)を表し、縦軸にエンジン1に要求されるオイルの油圧(kPa)を表した油圧および気泡混入率マップを予め設定し、この気泡混入率マップに基づいて、オイルパン内のオイルレベルが適正か否かを判定するようにしてもよい。
【0184】
この場合、気泡混入率センサによって検出された気泡混入率(%)が、a(%)未満であれば適正とされ、a(%)以上であれば適正でないとされる。例えば、気泡混入率センサによって検出された気泡混入率(%)が、b(%)であった場合には、b>aであるので、適正でないと判定され、気泡混入率センサによって検出された気泡混入率(%)が、c(%)であった場合には、c<aであるので、適正であると判定される。
【0185】
第1実施形態に係る気泡混入率センサ20および第2実施形態に係る気泡混入率センサ120においては、被測定物を、車両のエンジンを潤滑するようオイルパン2内に貯留されたエンジンオイルとし、エンジンオイル中の気泡混入率を検出する場合について説明した。
【0186】
しかしながら、本発明に係る気泡混入率センサにおいては、被測定物を、エンジンオイル以外のオイルとし、エンジンオイル以外のオイル中の気泡混入率を検出するようにしてもよい。例えば、工作機械などの産業機器の潤滑に使用するオイル中の気泡混入率を検出するようにしてもよく、オイル生産システムにより生産され貯留されたオイル中の気泡混入率を検出するようにしてもよく、油圧機器を作動させる作動油中の気泡混入率を検出するようにしてもよい。
【0187】
第1実施形態に係る気泡混入率センサ20および第2実施形態に係る気泡混入率センサ120においては、キャパシタ部21を単一のキャパシタと、キャパシタ部121を下側キャパシタ部51、中間キャパシタ部52および上側キャパシタ部53の3個のキャパシタで構成した場合について説明した。
【0188】
しかしながら、本発明に係る気泡混入率センサにおいては、キャパシタ部を単一または3個以外の個数のキャパシタで構成するようにしてもよい。例えば、キャパシタ部を2個のキャパシタで構成するようにしてもよく、4個以上の複数個で構成するようにしてもよい。
【0189】
第1実施形態に係る気泡混入率センサ20および第2実施形態に係る気泡混入率センサ120においては、キャパシタ部21が、電圧が印加される電圧印加電極21dと、接地される接地電極21sとを含んで構成され、接地電極21sがその軸線と、電圧印加電極21dの軸線が一致するよう電圧印加電極21dを収容した場合について説明した。
【0190】
しかしながら、本発明に係る気泡混入率センサにおいては、キャパシタ部を他の構造で構成するようにしてもよい。例えば、キャパシタ部を、電圧が印加される電圧印加電極と、接地される接地電極とを含んで構成し、電圧印加電極が、その軸線と接地電極の軸線が一致するよう、接地電極を収容するよう構成してもよい。
【0191】
以上説明したように、本発明に係る気泡混入率センサにおいては、液体に混入した気泡の混入率を、効率よく高い精度で検出することができるとともに、構造を簡素化でき良好な生産効率が得られる気泡混入率センサを提供することができるという効果を有し、液体に混入した気泡の混入率を検出する気泡混入率センサ全般に有用である。
また、前述の気泡混入率センサにより検出されたオイル中の気泡混入率に基づいて、簡単な構造でオイルパン内のオイルレベルを精度よく検出することができるオイルレベル検出装置を提供することできるという効果を有し、エンジンや、工作機械などの産業機器に使用されるオイルが貯留されるオイルパン内の油面のレベルを検出するオイルレベル検出装置全般に有用である。
【符号の説明】
【0192】
1 エンジン
2 オイルパン
2t 底部(キャパシタ支持部)
10、110 オイルレベル検出装置
20、120、220、320 気泡混入率センサ
21、121、221、321 キャパシタ部
21d、51d、52d、53d、221d、321d 電圧印加電極
21g、51g 外周面
21n、51n 内周面
21s、51s、52s、53s、221s、321s 接地電極
21w、21x、51w、51x、52w、52x、53w、53x、221w、221x、321w、321x リード線
22、122、322 絶縁部
22d、122d 電圧印加電極支持部
22e、122e 接地電極支持部
22o、122o オイル流通孔
23、123、223、323 演算処理部
23k、123k 気泡混入率算出回路
23m、123m メモリ
23s、123s 静電容量算出回路
24、124 ハウジング部
40、140 ECU(電子制御ユニット)
40c、140c 比較手段
40d、140d 表示処理手段
40j、140j 判定手段
40m、140m 記憶手段
51 下側キャパシタ部(キャパシタ部)
52 中間キャパシタ部(キャパシタ部)
53 上側キャパシタ部(キャパシタ部)
54、55 キャパシタ絶縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状に形成され電圧が印加される電圧印加電極と、円筒状に形成され接地されるとともに、前記電圧印加電極の外周面と一定の隙間をもって対向する内周面を有し、軸線が前記電圧印加電極の軸線と一致するよう前記電圧印加電極を収容する接地電極とにより構成されるキャパシタ部と、
前記キャパシタ部を支持するキャパシタ支持部と、
前記キャパシタ支持部と前記キャパシタ部との間に介在し、前記キャパシタ部の前記電圧印加電極と前記キャパシタ支持部とを絶縁する絶縁部と、
前記キャパシタ部の前記隙間内に介在する被測定物の誘電率の変化に応じて出力される出力信号に基づいて、前記キャパシタ部の静電容量を算出する静電容量算出回路と、予め設定された前記キャパシタ部の静電容量と、前記被測定物中に含まれる気泡の割合を表す気泡混入率との関係を示す気泡混入率マップを記憶するメモリと、前記静電容量算出回路により算出された算出静電容量と、前記メモリに記憶された気泡混入率マップに基づいて、前記被測定物中の気泡混入率を算出する気泡混入率算出回路とにより構成される演算処理部と、
前記キャパシタ支持部に装着され前記演算処理部を収容するハウジング部と、
を備えたことを特徴とする気泡混入率センサ。
【請求項2】
オイルパン内のオイルの油面の高さを表すオイルレベルを検出するオイルレベルセンサと、予め設定され基準となる基準オイルレベルを記憶する記憶手段と、前記オイルレベルセンサにより検出された検出オイルレベルと前記記憶手段に記憶された基準オイルレベルとを比較する比較手段と、前記比較手段により前記検出オイルレベルが前記基準オイルレベル以上であるとされた場合に、前記検出オイルレベルが適正であると判定する判定手段とを備えたオイルレベル検出装置において、
前記オイルレベルセンサが、請求項1に記載の気泡混入率センサにより構成され、
前記記憶手段が、予め設定された基準となる基準気泡混入率を記憶し、
前記比較手段が、前記気泡混入率センサにより検出されたオイル中の検出気泡混入率と前記記憶手段に記憶された基準気泡混入率とを比較し、
前記判定手段が、前記比較手段により前記検出気泡混入率が前記基準気泡混入率以下であるとされた場合に、前記検出オイルレベルが適正であると判定することを特徴とするオイルレベル検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−210269(P2010−210269A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53814(P2009−53814)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】