説明

気液噴射装置

【課題】特別な動力を要することなく、また、より少ない液量で効率的に素早く大量の洗浄対象物を洗浄することができる洗浄装置にも適用することができる気液噴射装置を提供する。
【解決手段】液体供給源に接続されて液体を噴射する噴射ノズル28と、該噴射ノズルの噴射口29の近傍に気体を供給する気体供給機構とを備えたことを特徴とし、また、気液噴射装置F9は、少なくとも上記噴射ノズルをその長手軸Lnに沿うようにして収納する筒状のノズル収納部Fb9を備え、上記噴射口は上記噴射ノズルの長手軸と略直交する方向に開口しており、上記ノズル収納部は、その長手軸に略直交する方向に折り曲げられたガイド筒部27dを備えている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば米穀等の粒状物あるいは軽量でサイズが小さい機械部品などを洗浄し得る洗浄装置の噴射装置として使用することができ、また、一般の洗浄用途にも適用でき、更には、例えば浴槽内に泡(バブル)を発生させてマッサージ効果を得るような場合など、洗浄以外の用途にも有効に適用することができる、気液噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄装置の一種として、例えば米穀等の粒状物などを洗浄することができる、所謂、洗米機は一般に良く知られている。かかる洗米機として、手を水に濡らすことなく洗米できるようにすることを企図したものが種々考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1,特許文献2あるいは特許文献3などでは、ノズルを容器の中に差し込み、このノズルを手で持って撹拌するようにしたものが開示されている。また、例えば特許文献4に示されるように、容器の中に米の受け皿を設け、ノズルで空気と水とを混合させて米と共に下に向かって吹き出すようにしたものも知られている。更に、例えば特許文献5では、容器の底部に設けられた気泡板より圧縮空気を送り出すようにしたものが開示されている。また更に、例えば、特許文献6,特許文献7あるいは特許文献8などでは、洗浄容器とパイプの中を、水,空気および米を混合して循環させるようにした洗米機等が提案されている。
【0004】
また、例えば特許文献9に示されるように、超音波ノズルを使用するものも提案されているが、この場合でも、容器形状が比較的単純な半球形をベースにした鍋状であるので、米粒を満遍なく流動させることが実際には難しく、米粒が停滞して流動しない部分が多くなり、十分な洗米を行うことは困難である。このため、手動でノズルを動かして、米粒が滞留している部分にノズルが向くようにしなければならず、煩わしく非効率的である。更に、例えば特許文献10では、気泡噴射装置を上部からホッパ−内に差し込み旋回流を起こすことを意図した気泡式洗米装置が開示されている。しかしながら、この場合には、気泡噴射装置の他に、オーバーフロ−パイプ,吸引送米ポンプ及び送米パイプ等がホッパ−内に設けられるので抵抗が大きくなり、これらが邪魔になって十分な洗米作用を得ることは実際には難しい。
【0005】
以上の従来技術に係る洗米機では、設備が大掛かりなものになったり、圧縮空気を送るための特別な動力が必要であったり、あるいは手は濡らさなくてもノズルで撹拌する手作業が必要とされる。また、洗米にむらが生じ易いため、多くの水が必要で時間も掛る、などの難点があった。
【0006】
そこで、本願出願人は、回転水流を極力早めてその遠心力と遠心分離作用を利用することにより、特別な動力を要することなく、また、より少ない水量で効率的に素早く洗米を行うことができるようにした洗米機を開発した(特許文献11)。この洗米機は、主として一般家庭用で用いることを想定した比較的小容量のもので、洗浄対象の米穀量は大略1.5kg程度以下であることが想定されていた。
【特許文献1】特公昭61−7101号公報
【特許文献2】実開昭53−124163号公報
【特許文献3】特開昭56−76262号公報
【特許文献4】特開昭56−75124号公報
【特許文献5】実開昭56−176651号公報
【特許文献6】特許98572号(特公昭7−2248号)公報
【特許文献7】実公昭40−35747号公報
【特許文献8】特公昭54−8740号公報
【特許文献9】実開平1−128730号公報
【特許文献10】特開平7−116527号公報
【特許文献11】特許第2899579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、例えばレストランや給食施設などで、業務として洗米・炊飯が行われる場合には、少なくとも約3kg程度以上の米穀を一度に洗米することが求められる。このような場合、遠心力と遠心分離作用を利用した上記従来の洗米機を大型化して対応することが考えられるが、本願出願人が種々実験を重ねたところ、上記の機構のものを単に大型化しても、大略3kg程度以上の大容量が要求される業務用の洗米機としての十分な洗米効果を得ることが、なかなかに難しいことが判った。すなわち、約3kg以上もの米を容器内に入れた状態で、水流を水平面内で高速回転させることは、一般に、水道の水圧だけでは無理であった。このため、容器内に生じさせる水流に(従って、水流の噴射機構に)より一層の工夫が求められる。
【0008】
尚、かかる洗米機で実現された洗浄機構は、米穀類のみならず、他の粒状物、あるいは、例えば小物のナットなど、軽量でサイズも比較的小さい機械部品等の洗浄にも適用できるものであるが、洗浄対象物が異なっても、ある程度以上大量になるとやはり同様の問題が生じることも判った。
【0009】
そこで、この発明は、特別な動力を要することなく、また、より少ない液量で効率的に素早く大量の米穀類などの洗浄対象物を洗浄することができる洗浄装置にも好適に用いることができる気液噴射装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、上述の技術的課題に鑑みて種々考案および実験を重ねた結果、上記の目的を達成するためには、洗浄対象物がある程度以上大量であっても、容器の中で全ての洗浄対象物が互いに効率良くこすり合うように満遍なく洗浄対象物を動かすことと、洗浄対象物から洗い落とされた剥離物をできるだけ素早く当該洗浄対象物から分離させることが重要であり、そのためには、容器内に、単純に水を噴射して水流を生じさせるのではなく、水と同時にエアを巻き込んで噴射させ、その際に発生する微細気泡を水流と共に利用することが有効であることを見出した。そして、以下に述べるような本願発明を完成させるに至ったものである。
【0011】
本発明に係る気液噴射装置は、液体供給源に接続されて液体を噴射する噴射ノズルと、該噴射ノズルの噴射口の近傍に気体を供給する気体供給機構とを備えたことを特徴としたものである。
かかる気液噴射装置によれば、特に、ノズルの噴射口を液面下に位置設定することにより、液体(例えば水)と同時に気体(例えば空気)を巻き込んで噴射させ、微細気泡を発生させることができる。この気液噴射装置を上述のような洗浄装置の噴射装置として用いた場合には、微細気泡の発生により、洗浄力を高めると共に、洗い落とされた剥離物をより効果的に浮上分離させることが可能になる。
このような噴射装置は、上述のような洗浄装置の噴射装置として使用することができるのは勿論、一般の洗浄用途にも適用でき、更には、洗浄以外の用途にも有効に適用することができる。例えば、浴槽内に泡(バブル)を発生させて或いはシャワーとして用いてマッサージ効果を得るような場合などにも効果的である。
【0012】
上記気液噴射装置は、噴射ノズルの長手軸と略直交する方向に開口するように噴射口を設けておき、少なくとも噴射ノズルをその長手軸に沿うようにして収納する筒状のノズル収納部を設け、このノズル収納部にその長手軸に略直交する方向に折り曲げられたガイド筒部を形成するようにしても良い。
かかる構成を採用することにより、例えば、噴射ノズルの長手軸と略直交する方向に流体を噴射させるような用途に適用される場合に、噴射装置をコンパクトなものとして、スペース効率を高めることができる。
【0013】
また、上記気液噴射装置では、噴射ノズルの噴射方向に、噴射した液体の逆流を防止する環状の逆流防止壁を配置するようにしても良い。
かかる逆流防止壁を設けることにより、噴射ノズルの噴射効率をより高めることができる。特に、水圧が高いほどより効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、主として洗米機に適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、本発明の実施例1について説明する。
図1,図2及び図3は、実施例1に係る気液噴射装置を備えた洗米機の平面説明図,部分的に断面表示した正面説明図および側面説明図であり、図2は図1におけるY2−Y2線に沿った部分断面図、また、図3は図1におけるY3−Y3矢印方向からの矢視図である。
【0016】
これらの図に示すように、本実施例に係る洗米機M1は、底壁部5と4面の側壁部12(12A〜12D)とを主要部として構成された鍋状の容器T1を備えている。該容器T1は、その側壁部12(12A〜12D)が例えば平面視で略矩形状に配置されると共に、長手方向(図1及び図2における左右方向)に沿った縦断面(図2及び図3における上下方向の断面)の周縁形状が概略的にU字形をなす鍋状に形成されている。
上記容器T1には、例えば側壁部12B,12Dの外面から当該容器T1を支持する複数(例えば4本)の支持脚3が設けられ、各支持脚3の基端部は容器T1の底壁部5の最下部の下面と面一または該下面よりも若干上方に位置するように設定されている。また、本実施例では、上記各支持脚3は、容器T1の長手方向について偏った箇所、つまり、長手方向における中央よりも側壁部12A或いは12Cにかなり近い箇所に位置設定されている。容器T1は、これら支持脚3,…,3により、基台K上に安定して支持されている。
【0017】
上記底壁部5には、例えば、長手方向に沿った一対の側壁部12B,12Dの少なくとも下半部を傾斜状に絞ることにより(例えば、側面視で略アルファベット文字のV字状に)、底壁面5fに沿って容器T1の長手方向に伸長する溝状部5gが形成されている。また、下半部が上記一対の側壁部12B,12Dの傾斜状に絞られた下半部の内壁面は、洗浄対象物としての米粒を上記溝状部5gに案内する案内傾斜部12f,12fを構成している。
また、上記溝状部5gの伸長方向(容器T1の長手方向)に略直交する側壁部12Cには、その内壁面に沿って上記溝状部5gを延長した延長溝部12Cgが形成されている。該延長溝部12Cgは、図1から分かるように、側壁部12Cの内壁面を曲面の凹状に掘り込んで形成されている。尚、図2から良く分かるように、容器T1の底壁部5と上記側壁部12Cとはなだらかな曲面状に接続されており、従って、底壁部5の溝状部5gと側壁部12Cの延長溝部12Cgもなだらかな曲面状に接続されている。
【0018】
上記容器T1の側壁部12Aには、底壁部5の溝状部に気体及び/又は液体を噴射する噴射装置F1が取り付けられている。該噴射装置F1は、後述する実施例6〜9に示した気液同時噴射タイプのものと同様の基本構成を備え同様の作用をなすものである。但し、本実施例においては、その噴射ノズル8を含む先端の噴射機構部分が本体部分から略直角に曲折されており、気体及び液体は略水平方向に噴射されるように構成されている。
【0019】
この噴射装置F1は、その構造および作用の詳細については後述する噴射装置についての実施例で説明するが、給水ホース6を介して液体供給源としての水道配管(不図示)に接続された噴射ノズル8と、該噴射ノズル8の噴射口9の近傍に気体(エア)を供給するエア供給機構7とを備えている。尚、上記給水ホース6は、噴射装置F1の管状本体Fb1の中空内部を挿通して延設されている。
尚、かかる噴射装置F1の主要部および上記容器T1の材料としては、例えば鋼などの金属材料が好適に用いられるが、この代わりに、合成樹脂材料等の他の種類の材料を適用することも可能である。
【0020】
本実施例では、噴射装置F1は、容器T1の外部から取り付けられている。すなわち、噴射装置F1の管状本体Fb1の上部は、容器T1の側壁部12Aの上端に設けられたフランジ部12Ahの取付穴を嵌挿して固定され、管状本体Fb1の下端側は、上述のように、略直角に折り曲げられており、この折り曲げられた部分が、容器T1の側壁部12Aの下端近傍に設けた穴部を嵌挿して固定されている(図2参照)。尚、この管状本体Fb1の下端側の取付部は、具体的には図示しなかったが、公知の方法により液密または気密にシールされている。
【0021】
略直角に折り曲げられた上記管状本体Fb1の下端部分は、容器T1の底壁部5上に位置している。そして、管状本体Fb1は、その上端部が、係止クリップQ1を用いて容器T1の側壁部12Aの上端部に係止されることにより、容器T1の側壁部12Aに取り付けられている。尚、この代わりに、ネジ止め等の手段により、管状本体Fb1を容器T1に取り付けるように構成することもできる。
管状本体Fb1を以上のようにして側壁部12Aに取り付けて固定することにより、噴射ノズル8は、底壁部5の溝状部5gの一端側から他端側に向かって水および空気を噴射するようにセットされる。
【0022】
本実施例では、上述のように気液同時噴射タイプの噴射装置F1が採用されており、その噴射ノズル8は、容器T1の最下部近傍で底壁部5の溝状部5gの一端側に位置設定されているので、洗米機M1の作動時には、ノズル8の噴射口9は常に水面下に位置することになる。噴射ノズル8は、水と同時にエアを巻き込んで噴射し、水流中に微細気泡を発生させることができ、こうして発生した微細気泡を水流と共に噴射する。この場合、エアを加圧する加圧装置や加圧のための動力等は不要である。
また、上記容器T1の上部には、気体および液体は通過させるが、洗浄対象物たる米粒の通過を阻止する濾過部4(例えば図4参照)が設けられており、米粒を洗浄し使用済みとなった噴射流体のみを、迅速に容器T1の外部に流出させ排出することができるようになっている。
【0023】
次に、以上のような構成を備えた洗米機M1及び気液噴射装置F1の作動について説明する。
まず、容器T1内に洗浄対象物としての米を投入した後、上記噴射装置F1を作動させて底壁部5の溝状部5gの一端側から他端側に向かって噴射流体(つまり、微細気泡を含んだ水流)を噴射する。上記噴射装置F1は、給水ホース6の開閉コック(不図示)を単に開操作するだけで噴射作動を行うものである。すなわち、例えばカップリング(不図示)を介して給水ホ−ス6を水道の蛇口(不図示)に繋ぎ蛇口をひねるだけで、噴射ノズル8の噴射口9から噴射流体が勢い良く容器T1の底壁部5に設けられた溝状部5gに噴射される。
【0024】
この噴射装置F1を噴射作動させることにより、溝状部5g内の米は、当該溝状部5g内で米粒どうしが互いに摩擦されながら、また、溝状部5gの壁面に擦られながら、溝状部5gの他端側に向かって(図2における破線矢印H1の方向に)高速で押し流され糠が剥がれ落される。次に、溝状部5g内の米は、溝状部5gの伸長方向に略直交する容器側壁部12Cに形成された延長溝部12Cgに向かって押し流されるが、このとき、容器T1の底壁部5と側壁部12Cとをなだらかに接続する曲面壁部11の壁面に対して、遠心力の作用で強く押し付けられることにより、一層効率良く洗浄される。
【0025】
そして、更に、溝状部5g内にあった米は、側壁部12Cの延長溝部12Cg内で米粒どうしが互いに摩擦されながら、また、延長溝部12Cgの壁面に擦られながら、当該延長溝部12Cgに沿って上昇する(図2における破線矢印H2参照)。この場合、米粒は比較的比重が大きいので直ぐに沈殿し(図2における破線矢印H3参照)、剥ぎ落された米糠は比較的比重が小さいので微細気泡と共に素早く分離されて浮上し、米粒を通さない濾過部4から、とぎ汁として容器T1の外部に排出される。
【0026】
このようにして、容器T1の底壁部5の溝状部5g内に位置していた米は、米粒どうしの摩擦作用、並びに溝状部5gの壁面,底壁部5と側壁部12Cとを繋ぐ曲面壁部11の壁面および延長溝部12Cgの壁面との摩擦作用によって洗浄され、また、洗い落とされた剥離物としての米糠と洗浄対象物としての米粒とは、噴射ノズル8からの水流およびエアの噴射作用、特に、水流に含まれた微細気泡によって、素早く分離される。
米粒は沈殿してしまうので、浮上分離された米糠と微細気泡および水流は、とぎ汁として容器T1の上部より流出する。剥がれた米糠は再び米と混じることはないので、糠が米に吸い込まれない間に米を研ぐことができ、美味しいご飯を炊くことができる。
【0027】
底壁部5の溝状部5g内の米が移動した後には、溝状部5gよりも上方に位置していた米が、容器T1の側壁部12B,12Dに形成された案内傾斜部12fで案内されて溝状部5g内に流れ込む(図3における破線矢印J1参照)。この動きが連続的に繰り返されることにより、溝状部5g内の米が洗浄されながら容器T1の上部に向かって移動すると共に、溝状部5gよりも上方に位置していた米が順次溝状部5g内に流れ込み、容器T1内の全ての米が、容器T1の下側から順に満遍なく洗浄される。
すなわち、洗浄対象たる米がある程度以上大量であっても、容器T1の中で全ての米が、米粒どうし及び壁面と効率良く擦り合うように満遍なく米を動かすことができ、しかも、米粒から洗い落とされた米糠を素早く分離させることができ、短時間で高い洗浄効果を得ることができるのである。
【0028】
以上のような構造と機能によって、市中の水道水の水圧を利用するだけで、他の動力源を用いることなく、約5kg程度までの大量の米を研ぐことができる高性能の洗米機M1を完成することができた。
美味しいお米の炊き方は米を研ぐ技術(つまり、洗米技術)に大きく依存すると言われており、米糠の臭いが米に移らないうちに素早く洗米することが重要である。本実施例に係る洗米機を使うことによって、誰もが良好な洗米を行うことができ、美味しいお米を炊くことができるようになる。すなわち、炊飯の品質管理を比較的容易に行うことができ、品質向上にも資することができる。
【0029】
また、本実施例に係る洗米機M1を用いれば、冬場など特に水が冷たいときでも、水の中に手を入れる必要はなく、冬場の冷たい米研ぎ作業から解放される。更に、市中の水道の水圧を利用するだけで、人手も電気も使わずに、比較的大量(例えば、3kg以上)の米を研ぐことができ、また、比較的簡単な構成でサイズもコンパクトにできるので、余り広いスペースは不要で、比較的小さな店でもスペース的に大きな負担を伴うことなく設置することができる。
【実施例2】
【0030】
次に、本発明の実施例2について説明する。尚、以下の説明において、上述の実施例1における場合と、基本的に同様の構成を備え同様の作用をなすものには、同一の符号を付すことにより、それ以上の重複した説明は省略する。
この実施例2は、主として、噴射装置を容器の内部に設けた点と、支持脚を支点として容器を容易に傾けることができるようにした点において、上述の実施例1と相違している。
【0031】
図4,図5及び図6は、実施例2に係る気液噴射装置を備えた洗米機の平面説明図,部分的に断面表示した正面説明図および側面説明図であり、図5は図4におけるY5−Y5線に沿った部分断面図、また、図6は図4におけるY6−Y6矢印方向からの矢視図である。
これらの図に示すように、本実施例に係る洗米機M2では、噴射装置F2の管状本体Fb2は、容器T2の側壁部12Aの内壁面に沿うようにして配設されている。また、実施例1における場合と同様に略直角に折り曲げられた管状本体Fb2の下端部分は、容器T2の底壁部5上に位置している。そして、管状本体Fb2は、その上端部が、係止クリップQ2を用いて容器T2の側壁部12Aの上端部に係止されることにより、容器T2の側壁部12Aに取り付けられている。尚、上記係止クリップQ2は、より好ましくは、ある程度の弾性を有する材料(例えば、合成樹脂材料)を用いて製作されている。
【0032】
この場合には、噴射ノズル8から水流およびエアが噴射された際の噴射反力は、管状本体Fbを介して容器T2の側壁部12Aで直接に受け止められる。従って、ノズル8が噴射作動した際の噴射反力の作用に対して、管状本体Fb2を確実に支持することができる。また、管状本体Fb2を容器T2に取り付けるに際して、実施例1における場合のように、側壁部12Aの下部およびフランジ部12Ahに取付穴を設ける必要は無く、また、側壁部12Aの下部における取付部にシール機構を設ける必要も無い。更に、噴射装置F2の容器T2に対する取付/取り外しも容易である。従って、一つの噴射装置F2で、複数の容器T2を順次使用して洗米することも容易に行える。
【0033】
また、本実施例に係る洗米機M2では、例えば側壁部12B,12Dの外面から容器T2を支持する一対の支持脚3が設けられ、各支持脚3の基端部は容器T2の底壁部5の最下部の下面よりも所定量だけ上方に位置するように設定されている。上記一対の支持脚3は、容器T2の長手方向(つまり、底壁部5の溝状部5gの伸長方向)における略中央部に設置されている。
容器T2の支持構造をかかる構造とすることにより、上記支持脚3の基端部を支点として、容器T2をその長手方向に容易に傾斜させることができる。
【0034】
洗浄された米粒は容器T2の比較的下部に沈殿し、米粒から剥離した米糠は容器T2の比較的上部に浮上分離されるので、図5において矢印N1で示すように、容器T2を噴射装置F2の設置側が低くなるように傾けることにより、米粒は容器T2の下部に沈殿したままで、使用済みの噴射流体および米糠(つまり、とぎ汁)は噴射装置設置側の容器上部から流出する。この場合には、実施例1における場合のように、容器T2の上部に濾過部4を設ける必要は特にない。
一方、洗米完了後については、図5において矢印N2で示すように、容器T2を上記と反対側(つまり、底壁部5の溝状部5gの伸長方向と略直交する側壁部12C側)に傾けることにより、米粒と使用済みの流体とは上記側壁部12Cの内壁面に沿って容器T2の外側へ放出される。従って、洗浄済みの米を容器1の外部に運び出すための特別な機構や装置は必要がない。
【0035】
すなわち、本実施例に係る洗米機M2を用いることで、基本的には実施例1における場合と同様の作用効果を奏することができ、しかも、その上、洗米する間は容器T2を噴射装置F2の設置側が低くなるように傾けておき、洗米が終わると、反対に容器T2を側壁部12C側が低くなるように傾けるだけで、洗浄された米をザルや炊飯器等に移し替えることができるので、特に移し替える装置を設けなくてもよい。また、濾過部4を設ける必要が無いのでコストも低減でき、しかも、操作が簡単で使い易い。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の実施例3について説明する。
この実施例3は、主として、噴射装置からの噴射流体の噴射方向が異なる点において、上述の実施例1と相違している。
図7,図8及び図9は、実施例3に係る気液噴射装置を備えた洗米機の平面説明図,部分的に断面表示した正面説明図および側面説明図であり、図8は図7におけるY8−Y8線に沿った部分断面図、また、図9は図7におけるY9−Y9矢印方向からの矢視図である。
【0037】
これらの図に示すように、本実施例に係る洗米機M3では、噴射装置F3の管状本体Fb3は、その先端側が折り曲げられておらず、真直した直管で形成されており、その下端側が側壁部12Aの内壁面にほぼ接した状態で、上端側が係止クリップQ3によって容器1の上端側に係止されている。噴射ノズル8は、この管状本体Fb3の上端部に固定され、その噴射口9は、管状本体Fb3の真直した軸線方向に沿った方向に(つまり、略下方に)向けられている。
また、本実施例では、より好ましくは、容器T3は縦断面の周縁形状が略半円に近い鍋状に形成されており、底壁部5の溝状部5gの伸長方向(容器1の長手方向)に略直交する側壁部12A及び12Cは、側壁部12Cだけでなく、これと対向する側壁部12Aも、曲面壁部11’で容器T3の底壁部5となだらかな曲面状に接続されている。
【0038】
従って、噴射ノズル8から略下方に向かって噴射された流体は、図8において矢印H1’,H1,H2で示されるように、側壁部12A,曲面壁部11’,底壁部5の溝状部5g,曲面壁部11及び側壁部12Cの各壁面に沿って移動し、上記溝状部5gの米は、この噴射流体により各壁面に沿って押し流され洗米される(図8における破線矢印H1〜H3参照)。
【0039】
この場合、基本的には実施例1における場合と同様の作用効果を奏することができ、その上、噴射装置F3及びその取付構造を簡略化することができる。また、好ましくは、実施例1における場合と同様に、側壁部12Cに、その内壁面に沿って底壁部5の溝状部5gを延長した延長溝部12Cgを設けることにより、更に好ましくは、噴射装置F3の管状本体Fb3の下端が接している側壁部12Aの内壁面にも同様の延長溝部を設けることにより、洗米効果をより一層高めることができる。
【実施例4】
【0040】
次に、本発明の実施例4について説明する。
この実施例4も、実施例3と同じく、噴射装置からの流体噴射方向が略下方に向けられたものであるが、管状本体内でのノズル取付位置が異なる点において、上述の実施例3と相違している。
【0041】
図10は、実施例4に係る気液噴射装置を備えた洗米機の部分的に断面表示した正面説明図である。この図に示すように、本実施例に係る洗米機M4では、実施例3における場合と同様に、噴射装置F4の管状本体Fb4は、その先端側が折り曲げられておらず、真直した直管で形成されており、そのほぼ全体が側壁部12Aの内壁面にほぼ接した状態で、上端側が係止クリップQ4によって容器T4の上端側に係止されている。但し、噴射ノズル8は、実施例3における場合と違って、管状本体Fbの下端部に固定されている。尚、上記係止クリップQ4は、実施例2で用いたものと同様のものである。
【0042】
この場合には、基本的には実施例3における場合と同様の作用効果を奏することができ、その上、噴射ノズル8の噴射口9がより下方に位置し、洗米機M4の作動時には、噴射口9から水面までの距離がより短くなるか、若しくは噴射口9が水面下に位置するので、より良好な噴射作用を得ることができる。特に、噴射口9が水面下に位置するように設定することにより、エアを巻き込みながら水流を噴射することで微細気泡をより効率良く生じさせ、洗米効果を高めることが可能になる。
【実施例5】
【0043】
次に、本発明の実施例5について説明する。
この実施例5は、噴射装置を容器へ装着する際に、噴射ノズルの噴射口の向きを容易かつ確実に設定できるようにしたものである。
【0044】
図11は実施例5に係る気液噴射装置を備えた洗米機の容器の平面説明図、図12は図11におけるY12−Y12矢印方向からの矢視図で上記容器の正面説明図、図13は図11におけるY13−Y13矢印方向からの矢視図で上記容器の右側面説明図、図14は図11におけるY14−Y14矢印方向からの矢視図で上記容器の左側面説明図、図15は図12におけるY15−Y15矢印方向からの矢視図で上記容器の底面説明図、また、図16は上記容器を底面側から見て示した斜視図である。
【0045】
これらの図に示すように、本実施例に係る洗米機M5の容器T5では、噴射装置F5の容器T5への装着をより容易なものとするために、容器T5の底壁面5fに設けた溝状部5gの一端側の壁部、例えば側壁部12Aに、噴射装置F5の少なくとも噴射ノズル(不図示)、より好ましくは、噴射ノズルを含む管状本体Fb5を収容できるように、上下方向へ延びる噴射装置収容部18が設けられている。
この噴射装置収容部18は、側壁部12Aの内壁面を、管状本体Fb5の外周部に対応するように、平面視で略凹状に窪ませて形成した本体収容部18bを備えている。そして、この本体収容部18bから管状本体Fb5を上方から挿入することにより、該管状本体Fb5を本体収容部18bに収容させ、容器T5に対して容易に装着できるようになっている。
【0046】
上記噴射装置収容部18の下部には、より好ましくは、噴射ノズル(不図示)をその噴射口が容器T5の溝状部5gの基端側からその伸長方向に向かって指向するように位置決めする位置決め部19が設けられている。
すなわち、上記本体収容部18bは、その平面視における周縁形状が、管状本体Fb5の外周形状に対応した円形の少なくとも一部を成す円弧状に形成されているのに対して、上記位置決め部19では、その平面視における周縁形状が、例えば、その一側(溝状部5g側)が開口した矩形状または正方形状に形成されている(図15参照)。
【0047】
従って、噴射装置F5の噴射ノズル(不図示)の横断面形状を矩形状または正方形状に形成しておき、且つ、その噴射ノズルの中心軸に直交する方向に開口する噴射口を設けておけば、噴射ノズルをその噴射口が容器T5の溝状部5gの伸長方向に指向するように方位を選んで挿入するだけで、噴射口の正確な位置きめが容易に行える。
すなわち、この場合には、噴射装置F5の少なくとも噴射ノズルを容器T5の噴射装置収容部18に収容させて装着することで、特別な調節等の操作を行う必要なく、噴射ノズルの噴射口が容器T5の溝状部5gに指向するように、容易かつ確実に位置決めすることができるのである。かかる位置決め機構としては、以上の構成に限らず、例えば、一方に上下方向へ延びるキー溝を形成し、他方に該キー溝に対応するキー部を設けておくようにしても良い。
尚、噴射ノズルの中心軸に直交する方向に開口する噴射口を備えた噴射装置としては、例えば後述する実施例9で説明するようなものを好適に用いることができる。
【0048】
以上、説明したように、上述の実施例1〜5に係る気液噴射装置を備えた洗米機を用いることで、洗浄対象たる米穀がある程度以上大量であっても、容器の中で全ての米粒が互いに効率良くこすり合うように満遍なく米粒を流動させ、しかも、米粒から洗い落とされた米糠を素早く分離させることができるので、作業者の熟練度に関係無く誰でも、良好な洗米を行うことができる。
【0049】
尚、上述の実施例1〜5では、容器の底壁部5に設けられた溝状部5gは、主として、容器自体を側面視で略V字状等に絞り込むように形成することにより、溝状に形成されたものであったが、溝状部5gの形成方法はこれに限定されるものではなく、例えば切削加工等の機械加工など、他の種々の公知の手法を適用し得るものである。
また、上述の実施例1〜5は、本発明に係る気液噴射装置を備えた洗浄装置を、米穀類を洗浄する、所謂、洗米機に適用した場合についてのものであったが、本発明に係る洗浄装置は、米穀類のみならず、他の粒状物、あるいは、例えば小物のナットなど、軽量でサイズも比較的小さい機械部品等の洗浄にも、有効に適用することができる。
【実施例6】
【0050】
次に、本発明の実施例6について説明する。
この実施例6は、上述の各洗米機M1,M2及びM4(実施例1,2及び4)に好適に利用可能な気液噴射装置に関するものである。
図17は実施例6に係る気液噴射装置の断面説明図、図18は図17における要部Y18を拡大して示す拡大断面説明図、また、図19は図18におけるY19−Y19線に沿った断面説明図である。
【0051】
これらの図に示すように、この気液噴射装置F6は、給水ホース6を介して液体供給源としての水道配管(不図示)に接続された噴射ノズル8と、該噴射ノズル8の噴射口9の近傍に気体(エア)を供給するエア供給機構7とを備えている。尚、上記給水ホース6は、噴射装置F6の管状本体Fbの中空内部を挿通して延設されている。また、上記管状本体Fbの一端側(上端側)には、当該管状本体Fbを所定の取付部に取り付けるための係止クリップQ6が嵌合固定されている。
上記噴射ノズル8の先端側(反ホース6側)には、環状のディスク部10が一体的に設けられており、該ディスク部10の外周部を管状本体Fbの内周部に嵌合させることにより、噴射ノズル8が管状本体部Fbの他端側(下端側)に強固に固定されている。
【0052】
噴射ノズル8の上記ディスク部10には、複数の貫通穴10hが例えば円周等配状に設けられている。換言すれば、管状本体部Fbの内壁とホース6及び噴射ノズル8の外壁とで画成される内部空間14について、噴射ノズル8の噴射口9よりも上流側の空間部14Uと下流側の空間部14Lとが上記ディスク部10によって仕切られることになるが、両空間部14U,14Lは上記貫通穴10hを介して連通している。この貫通穴10hと空間部14Uとが、噴射口9の近傍にエアを供給するエア供給機構7を構成している。
また、該噴射ノズル8の下方には、噴射した水の逆流を防止するために環状の逆流防止壁15が固定されている。かかる逆流防止壁15を設けることにより、噴射ノズル8の噴射効率をより高めることができる。特に、水圧が高いほどより効果的である。尚、該逆流防止壁15の中心の開口は、噴射ノズル8の噴射口9よりも大径に設定されている。
【0053】
以上の構成において、噴射装置F6の給水ホース6を液体供給源としての、例えば水道の蛇口(不図示)に接続し、この蛇口を開くと、水道水がホース6内の液体流路13を通って噴射ノズル8に供給され、噴射口9から水流として高速で噴射される。このとき、管状本体部Fbの内部空間14では、噴射口9からの水流噴射に伴う動圧降下によって、上流側空間14Uから下流側空間14Lに向かってエアが引き込まれて噴射口9の近傍に供給される。そして、このエアが水流に巻き込まれて微細気泡を形成し、こうして発生した微細気泡を包含した水流が噴射されることになる。このような微細気泡は、噴射口9が水面下に位置設定されている場合に、より効果的に発生する。
このように、本実施例に係る気液同時噴射タイプの噴射装置F6によれば、噴射ノズル8は、水と同時にエアを巻き込んで噴射し、水流中に微細気泡を発生させることができる。この場合、エアを加圧する加圧装置や加圧のための動力等は、特に設ける必要はない。
【実施例7】
【0054】
次に、本発明の実施例7について説明する。
この実施例7も、上述の各洗米機M1,M2及びM4(実施例1,2及び4)に好適に利用可能な気液噴射装置に関するもので、上記実施例6に係る気液噴射装置の噴射ノズルの一変形例をなすものであり、基本的には、実施例6に係る気液噴射装置と同様の作用効果を奏することができる。
尚、実施例1,2で説明された噴射装置は、実施例6,7に示した噴射装置において、噴射ノズル8を含む管状本体2bの先端部分を略直角に折り曲げて略水平にし、容器1の底壁部5の溝状部5gに向けて噴射するようにセットしたものである。
【0055】
図20は実施例7に係る気液噴射装置の要部としての噴射ノズルを拡大して示す拡大断面説明図、また、図21は図20におけるY21−Y21線に沿った断面説明図である。
この実施例7に係る気液噴射装置では、噴射ノズル8の噴射口9の先端側(反ホース6側)に設けられた環状のディスク部20には、所定の幅を有する円弧状の貫通穴20hが仕切り壁20pを挟んで例えば円周4等配状に設けられている。噴射ノズル8の噴射口9よりも上流側の空間部14Uと下流側の空間部14Lとが上記ディスク部20によって仕切られるが、両空間部14U,14Lが上記貫通穴20hを介して連通することは、実施例6における場合と同様である。
【0056】
本実施例では、上記噴射ノズル8の噴射口9は、上記ディスク部20の仕切り壁20pを延長するようにした設けられた十字状の仕切り壁9pにより、複数(4つ)に分割されている。これにより、水流噴射時に下流側空間部14Lでエアが吸引される際には、水流中にエアがより微細化された状態で巻き込まれることとなり、より多くの微細気泡が発生し、洗浄効果も高くなる。
【実施例8】
【0057】
次に、本発明の実施例8について説明する。
この実施例8は、上述の洗米機M3(実施例3)に好適に利用可能な気液噴射装置に関するものである。
図22は実施例8に係る気液噴射装置の噴射ノズルを拡大して示す部分断面説明図である。
【0058】
この実施例8に係る気液噴射装置では、該噴射ノズル8を容器T3(図3参照)の上端側に係止するための係止クリップQ3が噴射ノズル8と一体的に形成されている。尚、この場合には、係止クリップQ3の噴射ノズル8に繋がる上側壁部W3に、噴射口9の近傍にエアを供給する貫通穴W3hが設けられている。
本実施例では、噴射ノズル8は、図8に示されるように、管状本体Fbの上端部に位置し、容器T3の上端側に固定されることになり、噴射装置及びその取付構造を簡略化することができる。
【実施例9】
【0059】
次に、本発明の実施例9について説明する。
この実施例9に係る気液噴射装置は、噴射ノズルの長手軸と略直交する方向に流体を噴射させる用途に噴射装置が適用される場合において、コンパクトな構成を提供できる気液噴射装置に関するものである。
図23は実施例9に係る気液噴射装置の要部としての噴射ノズルを拡大して示す拡大断面説明図、また、図24は図23におけるY24−Y24線に沿った断面説明図である。
【0060】
この実施例9に係る気液噴射装置F9では、噴射ノズル28は上下2段の中空筒状体28a,28cで構成されている。給水ホース6は、上側筒状体28aの鍔部28bに突き当たるまで繋ぎ込んだ上で、押えリング26を装着することにより、上側筒状体28aに接続されている。また、管状本体Fb9の下端側には、噴射ノズル28の下側筒状体28cを収納するノズル保持具27が、例えばネジ機構により固定されている。このノズル保持具27には、その長手軸に略直交する方向に折り曲げるようにして形成されたガイド筒部27dが設けられている。
【0061】
本実施例では、噴射ノズル28の下側筒状体28cの側壁に、噴射ノズル28の長手軸Lnと略直交する方向に開口するように噴射口29が設けられている。そして、噴射ノズル28の下側筒状体28cを、その長手軸Lnに沿うようにしてノズル保持具27内に上方から差し込んで収納させることにより、噴射口29が上記ガイド筒部27dの中心軸Lgに沿った方向を指向するように、位置決めすることができる。
上記噴射口29から水流が噴射される際には、噴射ノズル28の下側筒状体28cの外周部と、これを収納したノズル保持具27の内周部との間隙から、噴射口29の近傍にエアが供給されるようになっている。上記噴射口29は、ガイド筒部27d側から見た場合に、例えば、図24に示されるように、所定幅を有する略十字状に形成されている。噴射口29をかかる形状とすることにより、水流噴射時に噴射口29の近傍でエアが吸引される際には、水流中にエアがより微細化された状態で巻き込まれることとなり、より多くの微細気泡を発生させることができる。
【0062】
噴射口の形状としては、他の種々の形態が考えられる。例えば、図25に示した噴射口31では、噴射ノズル28の下側筒状体28cの側壁に、所定幅を有する2本の平行なスリット状の溝を設けることにより、噴射口31が形成されている。
噴射ノズル28の下側筒状体28cを、その長手軸Lnに沿うようにしてノズル保持具27内に上方から差し込んで収納させる際、下側筒状体28cの下端部分28eの周縁形状と、該部分28eを収納するノズル保持具27の下端部分27eの周縁形状とを、互いに対応する矩形状または正方形状に設定しておくことにより、極めて容易かつ正確に、噴射口29が上記ガイド筒部27dの中心軸Lgに沿った方向を指向するように位置決めすることができる。尚、かかる位置決め機構としては、以上の構成に限らず、例えば、一方に上下方向へ延びるキー溝を形成し、他方に該キー溝に対応するキー部を設けておくようにしても良い。
【0063】
また、上記ノズル保持具27の外形の周縁形状を矩形状または正方形状とすることにより、前述の実施例5に係る容器T5に適用する噴射装置F9として好適な気液噴射装置を提供することができる。この場合には、噴射装置F9の噴射ノズル28の噴射口29が容器T5の溝状部5gの伸長方向に指向するように方位を選んで、管状本体Fb9を噴射装置収容部18に挿入するだけで、特別な調節等の操作を行う必要なく、噴射口29の正確な位置きめが容易に行える。
【0064】
以上のように、本実施例に係る気液噴射装置F9を用いることにより、噴射ノズル28の長手軸Lnと略直交する方向(軸線Lgの方向)に流体を噴射させるような用途に適用される場合に、管状本体の先端側を曲げ加工等によって折り曲げ成形したものに比して、噴射装置F9をコンパクトなものにでき、スペース効率を高めることができる。
【0065】
上述の実施例6〜9に係る気液噴射装置によれば、液体(例えば水)と同時に気体(例えば空気)を巻き込んで噴射させ、噴射流体中に微細気泡を発生させることができる。
このような噴射装置は、上述の洗浄装置の噴射装置として使用することができるのは勿論、一般の洗浄用途にも適用でき、更には、洗浄以外の用途にも有効に適用することができる。例えば、浴槽内に泡(バブル)を発生させて或いはシャワーとして用いてマッサージ効果を得るような場合、或いは汚水処理等において、水中に混入した汚物等を水と分離させる場合などにも効果的である。また、所謂、バッキ装置や気液混入装置あるいは気液反応装置等においても、構成が比較的簡単な気液供給機構として利用することもできる。
【0066】
尚、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではない。また、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更などが可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る気液噴射装置は、液体と同時に気体を巻き込んで噴射させ、噴射流体中に微細気泡を発生させることができので、洗米機等の洗浄装置の噴射装置として使用することができるのは勿論、一般の洗浄用途にも適用でき、更には、例えば、浴槽内に泡(バブル)を発生させて或いはシャワーとして用いてマッサージ効果を得るような場合、或いは汚水処理等において、水中に混入した汚物等を水と分離させる場合など、洗浄以外の用途にも有効に適用することができる。また、所謂、バッキ装置や気液混入装置あるいは気液反応装置等においても、構成が比較的簡単な気液供給機構として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1に係る気液噴射装置を備えた洗米機の平面説明図である。
【図2】図1におけるY2−Y2線に沿った部分断面図で、上記実施例1に係る洗米機を部分的に断面表示した正面説明図である。
【図3】図1におけるY3−Y3矢印方向からの矢視図で、上記実施例1に係る洗米機の側面説明図である。
【図4】本発明の実施例2に係る気液噴射装置を備えた洗米機の平面説明図である。
【図5】図4におけるY5−Y5線に沿った部分断面図で、上記実施例2に係る洗米機を部分的に断面表示した正面説明図である。
【図6】図4におけるY6−Y6矢印方向からの矢視図で、上記実施例2に係る洗米機の側面説明図である。
【図7】本発明の実施例3に係る気液噴射装置を備えた洗米機の平面説明図である。
【図8】図7におけるY8−Y8線に沿った部分断面図で、上記実施例3に係る洗米機を部分的に断面表示した正面説明図である。
【図9】図7におけるY9−Y9矢印方向からの矢視図で、上記実施例3に係る洗米機の側面説明図である。
【図10】本発明の実施例4に係る気液噴射装置を備えた洗米機を部分的に断面表示した正面説明図である。
【図11】本発明の実施例5に係る気液噴射装置を備えた洗米機の容器の平面説明図である。
【図12】図11におけるY12−Y12矢印方向からの矢視図で、上記実施例5に係る洗米機の容器の正面説明図である。
【図13】図11におけるY13−Y13矢印方向からの矢視図で、上記実施例5に係る洗米機の容器の右側面説明図である。
【図14】図11におけるY14−Y14矢印方向からの矢視図で、上記実施例5に係る洗米機の容器の左側面説明図である。
【図15】図12におけるY15−Y15矢印方向からの矢視図で、上記実施例5に係る洗米機の容器の底面説明図である。
【図16】上記実施例5に係る洗米機の容器を底面側から見て示した斜視図である。
【図17】本発明の実施例6に係る気液噴射装置の断面説明図である。
【図18】図17における要部Y18を拡大して示す拡大断面説明図である。
【図19】図18におけるY19−Y19線に沿った断面説明図である。
【図20】本発明の実施例7に係る気液噴射装置の要部を拡大して示す拡大断面説明図である。
【図21】図20におけるY21−Y21線に沿った断面説明図である。
【図22】本発明の実施例8に係る気液噴射装置の噴射ノズルを拡大して示す部分断面説明図である。
【図23】本発明の実施例9に係る気液噴射装置の噴射ノズルを拡大して示す部分断面説明図である。
【図24】上記実施例9に係る噴射ノズルの噴射口を示す説明図である。
【図25】噴射ノズルの噴射口の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
6 給水ホース
7 エア供給機構
8,28 噴射ノズル
9,29 噴射口
10h,20h,W3h 貫通穴
14U 空間部
15 逆流防止壁
27 ノズル保持具
27d ガイド筒部
28c 下側筒状体
F1〜F6,F9 気液噴射装置
Fb,Fb1〜Fb5,Fb9 管状本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給源に接続されて液体を噴射する噴射ノズルと、該噴射ノズルの噴射口の近傍に気体を供給する気体供給機構とを備えたことを特徴とする気液噴射装置。
【請求項2】
上記気液噴射装置は、少なくとも上記噴射ノズルをその長手軸に沿うようにして収納する筒状のノズル収納部を備え、
上記噴射口は上記噴射ノズルの長手軸と略直交する方向に開口しており、
上記ノズル収納部は、その長手軸に略直交する方向に折り曲げられたガイド筒部を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の気液噴射装置。
【請求項3】
上記噴射ノズルの噴射方向には、噴射した液体の逆流を防止する環状の逆流防止壁が配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の気液噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−142707(P2008−142707A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304289(P2007−304289)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【分割の表示】特願2003−548675(P2003−548675)の分割
【原出願日】平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願人】(592075035)
【Fターム(参考)】