説明

気液接触装置及びCO2回収装置

【課題】塔内にほぼ均一に液体を分散させ、かつ、塔内の壁面に当たる液体の液量を減少させることにより、塔内に供給される気体と液体とを効率良く接触させることができると共に、コストを低減することができる気液接触装置及びCO2回収装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る気液接触装置は、CO2吸収塔内に設けられ、排ガスが上昇して通過するCO2吸収塔内にCO2吸収液を下向きに噴霧させ、上昇する排ガスとCO2吸収液とを接触させる複数の噴霧ノズル22Aを有する。噴霧ノズル22Aは、CO2吸収塔内に壁面専用ノズル26より内側に設けられる液分散ノズル25と、CO2吸収塔内の壁面27に沿って設けられる壁面専用ノズル26とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液接触によって吸収や蒸留などを行う充填塔に処理液を供給する気液接触装置であり、特に排ガス中のCO2を吸収するCO2吸収塔などの気液接触装置及びCO2回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気液接触によって気体中に含まれる成分を液体中に吸収して吸収処理を行う充填槽を備える充填塔では、液体を塔内に均一に分散して供給することが重要である。この分散が、充填物の性能、即ち充填塔の処理性能に大きな影響を与えるため、液体を均一かつ高密度に分散させ、気体と接触させることは極めて重要である。
【0003】
例えば、大量の化石燃料を使用する火力発電所などでは、ボイラにおいて化石燃料を燃焼させることで発生する排ガスを、CO2吸収塔内でアミン系のCO2吸収液と気液接触させてCO2吸収液中にCO2を吸収させることで、排ガス中のCO2を除去、回収する方法及び回収されたCO2を大気へ放出することなく貯蔵する方法が精力的に研究されている。CO2吸収液は排ガス中のCO2をCO2吸収塔で吸収し、排ガスからCO2を除去した後、再生塔でCO2吸収液に吸収されたCO2を放散してCO2吸収液を再生して再びCO2吸収塔に循環して再利用する方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
CO2吸収塔のように気体である排ガスと液体であるCO2吸収液とを接触させるガス吸収塔では、ガス吸収塔内での気体と液体との気液接触効率がガス吸収塔における気体の処理性能に大きく影響するため、ガス吸収塔内で液体を噴霧する際、気体と効率良く接触させる必要がある。ガス吸収塔内では、塔内の上方から液体を噴霧する液分散器が用いられ、ガス吸収塔内で液体を分散させる方法として、例えば、スプレー式液分散器(例えば、特許文献2、3参照)やトラフ式液分散器(例えば、非特許文献1参照)や、液体を互いに異なる量ずつ分配するチャンネル型液分散器やエレメント型液分散器やチューブラー型液分散器などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−62165号公報
【特許文献2】特開2001−9237号公報
【特許文献3】特許第2506351号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】恩田格三郎監修、「設計・操作シリーズNo.2 増補 ガス吸収」、化学工業社、平成13年1月30日、p.138
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガス吸収塔内にスプレー式液分散器を使用する場合、ガス吸収塔内に複数のノズルを設け、液体の噴霧領域を重ね合わせてガス吸収塔内に液体を均一に分散させるようにしている。
【0008】
しかしながら、塔内に供給される液体の分布はガス吸収塔の壁面近傍の方がガス吸収塔の内部に比べて低くなるため、塔内の壁面近傍では液体が気体に含まれる成分を吸収する吸収性能が低下する、という問題がある。
【0009】
特に、ガス吸収塔がCO2吸収塔の場合、排ガス中に含まれるCO2をCO2吸収液に吸収させる際、CO2吸収塔の壁面近傍では塔内部よりCO2吸収液の供給量が低いためCO2吸収塔の壁面近傍に噴霧されるCO2吸収液がCO2を吸収するガス吸収性能が低下する。また、CO2吸収塔の壁面に噴霧されるCO2吸収液の液量が多いと、CO2吸収塔に供給されるCO2吸収液量当たりのCO2の吸収量が低下する。排ガス中に含まれるCO2を吸収しなかったCO2吸収液が再生塔に供給されると、CO2吸収液に含まれるアミンを無駄に消費し、CO2吸収液が効率良く利用されない上、再生塔でCO2吸収液に含まれるCO2を放出するために要するスチーム量が増大することになるため、CO2回収装置の運転効率が低下する。
【0010】
また、ガス吸収塔内にスプレー式液分散器を使用する場合、運転負荷に応じて流量を変化させることが可能であるが、流量は噴霧圧力に比例するため、低流量域から高流量域まで対応するためには、高流量域でのスプレーの噴霧圧力を高くする必要があり、スプレーの噴霧圧力が高いとミストの飛散量が増加する、という問題がある。特に、ガス吸収塔がCO2吸収塔の場合、排ガス中に含まれるCO2をCO2吸収液に吸収させる際、COが回収された排ガスにCO2吸収液が同伴するため,CO2回収装置の運転効率が低下する。
【0011】
また、ガス吸収塔内にトラフ式液分散器を使用する場合、ガス処理量に応じた負荷運転を行なうためには,分散器の高さを高くする必要がある。そのため,分散器の材料費や製造費やガス吸収塔内への据付費用が高くなり、設備コストが増大する、という問題がある。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、塔内にほぼ均一に液体を分散させ、かつ、塔内の壁面に噴霧される液体の液量を減少させることにより、塔内に供給される気体と液体とを効率良く接触させることができると共に、コストを低減することができる気液接触装置及びCO2回収装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、気体が上昇して通過する接触処理塔内に液体を下向きに噴霧させ、前記上昇する気体と前記液体とを接触させる気液接触装置であり、前記接触処理塔内の壁面に沿って設けられ、前記液体を前記接触処理塔の内側に向かって噴霧する壁面専用ノズルと、前記接触処理塔内に前記壁面専用ノズルより内側に設けられ、前記接触処理塔内に前記液体を均一に噴霧する液分散ノズルとを含むことを特徴とする気液接触装置にある。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記接触処理塔の前記気体の流れ方向に対して直交する方向の断面形状が角型である気液接触装置にある。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、前記接触処理塔の断面の角部に設けられ、前記液体を前記接触処理塔の内側に向かって噴霧する角部専用ノズルを含む気液接触装置にある。
【0016】
第4の発明は、第1乃至3の何れか一つの発明において、前記液分散ノズル及び壁面専用ノズルが、前記気体の流量に応じて使い分ける2種類以上のノズルを含む気液接触装置にある。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、前記液分散ノズルが、高負荷用液分散ノズルと低負荷用液分散ノズルとからなると共に、前記壁面専用ノズルが、高負荷用壁面専用ノズルと低負荷用壁面専用ノズルとからなり、前記気体の流量が所定の閾値以上の場合、前記高負荷用液分散ノズル及び前記高負荷用壁面専用ノズルから前記液体を噴霧し、前記気体の流量が所定の閾値よりも小さい場合、前記低負荷用液分散ノズル及び前記低負荷用壁面専用ノズルから前記液体を噴霧する気液接触装置にある。
【0018】
第6の発明は、第4又は5の発明において、前記接触処理塔の前記気体の流れ方向に異なる種類の液分散ノズル及び壁面専用ノズルが交互に設けられる気液接触装置にある。
【0019】
第7の発明は、第6の発明において、前記接触処理塔における前記気体の流れ方向に前記異なる種類の液分散ノズル及び壁面専用ノズルの配置位置を異ならせて交互に配設される気液接触装置にある。
【0020】
第8の発明は、第1乃至7の何れか1つの発明の気液接触装置の前記接触処理塔からなり、CO2を含む排ガスとCO2を吸収するCO2吸収液とを接触させて前記排ガスからCO2を除去するCO2吸収塔と、CO2を吸収したCO2吸収液からCO2を放出させてCO2吸収液を再生する再生塔と、を含むことを特徴とするCO2回収装置にある。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る気液接触装置によれば、塔内にほぼ均一に液体を分散させ、かつ、塔内の壁面に噴霧される液体の液量を減少させることにより、塔内に供給される気体と液体とを効率良く接触させることができると共に、コストを低減することができる。
【0022】
これにより、ガス吸収塔がCO2吸収塔の場合、排ガス中に含まれるCO2をCO2吸収液に吸収させる際、CO2吸収塔の壁面近傍までCO2吸収液の供給量をほぼ均一にすることができるため、CO2吸収液がCO2を吸収する吸収性能を向上させることができる。また、CO2吸収塔の壁面に噴霧されるCO2吸収液の液量を軽減できるため、CO2吸収塔に供給されるCO2吸収液量当たりのCO2の吸収量を上昇させることができる。
【0023】
排ガス中に含まれるCO2を吸収しなかったCO2吸収液が再生塔に供給されるのを軽減することで、CO2吸収液に含まれるアミンを無駄に消費することなく、CO2吸収液を効率良く利用することができると共に、再生塔でCO2吸収液に含まれるCO2を放出するために要するスチームを無駄なく効率よく利用することができるため、CO2回収装置の運転効率を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る気液接触装置を備えたCO2回収装置の構成を簡略に示す図である。
【図2】図2は、噴霧ノズルの配置を簡略に示す図である。
【図3】図3は、噴霧ノズルから噴霧されるCO2吸収液の噴霧状態を模式的に示す図である。
【図4】図4は、壁面専用ノズルの断面形状を簡略に示す図である。
【図5】図5は、図4中のA−A方向の図である。
【図6】図6は、CO2吸収塔の断面における図2中のA−A方向のCO2吸収液の水量の分布を模式的に示す図である。
【図7】図7は、噴霧ノズルの配置の他の構成を簡略に示す図である。
【図8】図8は、角部専用ノズル31の断面形状を簡略に示す図である。
【図9】図9は、図8中のA−A方向の図である。
【図10】図10は、噴霧ノズルの配置の他の構成を簡略に示す図である。
【図11】図11は、噴霧ノズルの配置の他の構成を簡略に示す図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施形態に係る気液接触装置の構成を簡略に示す図である。
【図13】図13は、流量と噴霧圧力との関係の一例を示す図である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態に係る気液接触装置の構成を簡略に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0026】
[第1の実施形態]
本発明による第1の実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔に適用したCO2回収装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る気液接触装置を備えたCO2回収装置の構成を簡略に示す図である。図1に示すように、CO2回収装置10は、CO2を含有する排ガス11を水12によって冷却する冷却塔13と、冷却された排ガス11とCO2を吸収するCO2吸収液14とを接触させて排ガス11からCO2を除去するCO2吸収塔15と、CO2を吸収したCO2吸収液(リッチ溶液)16からCO2を放出させてCO2吸収液14を再生する再生塔17とを有する。
【0027】
CO2回収装置10では、CO2吸収液14はCO2吸収塔15と再生塔17との間を循環しており、CO2吸収塔15から再生塔17にはCO2を吸収したCO2吸収液(リッチ溶液)16が送給され、再生塔17からCO2吸収塔15にはリッチ溶液16から再生塔17でほぼ全てのCO2が除去され再生されたCO2吸収液(リーン溶液)14が送給されている。
【0028】
ボイラやガスタービン等の産業設備から排出されたCO2を含有する排ガス11は、排ガス送風機などにより昇圧された後、冷却塔13に送られ、冷却塔13内で水12と向流接触することにより冷却される。排ガス11と熱交換して高温となった水12は冷却塔13の底部から抜き出され、冷却水18により冷却され、排ガス11の冷却用として循環して使用される。冷却された排ガス11は冷却塔13とCO2吸収塔15とを連結する煙道19より冷却塔13から排出される。冷却塔13から排出される排ガス11は煙道19を通り、CO2吸収塔15の塔底部の側壁に設けられる供給口20からCO2吸収塔15に送られる。
【0029】
CO2吸収塔15は、排ガス11が上昇して通過するCO2吸収塔15内にCO2吸収液14を下向きに噴霧させ、上昇する排ガス11とCO2吸収液14とを接触させる気液接触装置21Aを有する。気液接触装置21Aは、CO2吸収液14をCO2吸収塔15内に噴霧する噴霧ノズル22Aと、CO2吸収液14を各々の噴霧ノズル22Aに供給する吸収液供給管23を有する。
【0030】
CO2吸収塔15において、排ガス11はCO2吸収塔15の下部側に設けられたCO2回収部24において、例えば塩基性アミン化合物をベースとするCO2吸収液14と対向流接触し、排ガス11中のCO2は、CO2吸収液14に吸収される。
【0031】
図2は、噴霧ノズル22Aの配置を簡略に示す図であり、図3は、噴霧ノズル22Aから噴霧されるCO2吸収液14の噴霧状態を模式的に示す図である。図2、3に示すように、CO2吸収塔15は、排ガス11の流れ方向に対する断面形状を角型としている。これにより、ノズルの配置を変更することなく、一方向へ広げて液供給パイプの本数を増やすことで、処理ガス量を増加させることができ、スケールアップを容易に図ることができる。
【0032】
噴霧ノズル22Aは、液分散ノズル25と壁面専用ノズル26とからなる。液分散ノズル25は、CO2吸収塔15内に壁面専用ノズル26より内側に設けられている。壁面専用ノズル26は、CO2吸収塔15内の壁面27の近傍に沿って設けられている。壁面27の近傍とは、壁面27に接することなく、壁面専用ノズル26と壁面27とが所定の間隔を有した状態をいう。液分散ノズル25は、CO2吸収塔15内にCO2吸収液14を四型形状にほぼ均一に噴霧している(図2、3中、第1の噴霧領域A)。また、液分散ノズル25から噴霧されるCO2吸収液14の第1の噴霧領域Aは、隣接する他の液分散ノズル25から噴霧されるCO2吸収液14の第1の噴霧領域Aの一部と重なるようにしている。液分散ノズル25から噴霧されるCO2吸収液14の水量は、液分散ノズル25から遠くなるほど小さくなるが、液分散ノズル25から噴霧されるCO2吸収液14の水量が小さくなる領域は、隣接する他の液分散ノズル25から噴霧されるCO2吸収液14と重なるようにすることで、CO2吸収塔15内におけるCO2吸収液14の水量をほぼ均一に保つようにしている。また、液分散ノズル25から噴霧されるCO2吸収液14の第1の噴霧領域Aの形状は四型形状に限定されるものではなく、円形、楕円形状など他の形状となるようにしてもよい。
【0033】
また、壁面専用ノズル26は、CO2吸収液14をCO2吸収塔15の内側に向かって噴霧している。図4は、壁面専用ノズル26の断面形状を簡略に示す図であり、図5は、図4中のA−A方向の図である。図4、5に示すように、壁面専用ノズル26は、ノズル本体28と、遮蔽板29とを有する。遮蔽板29は、ノズル本体28と一体にCO2吸収塔15の壁面27側に延設されている。このため、壁面専用ノズル26のノズル孔30から噴霧されるCO2吸収液14は遮蔽板29に衝突し、CO2吸収塔15の壁面27側に噴霧されるのを抑制しつつ、CO2吸収塔15の内側に噴霧される(図2、3中、第2の噴霧領域B)。
【0034】
従来、CO2吸収塔15の内部ではスプレーから噴霧されるCO2吸収液14の重なる領域が多かったため、CO2吸収塔15の壁面近傍では塔内部よりCO2吸収液14の供給量が低かった。そのため、排ガス11中に含まれるCO2をCO2吸収液14に吸収させる際、CO2吸収塔15の壁面近傍に噴霧されるCO2吸収液14がCO2を吸収するガス吸収性能は低下していた。また、CO2吸収塔15の壁面に噴霧されるCO2吸収液14の液量が多いと、CO2吸収塔15に供給されるCO2吸収液14の液量当たりのCO2の吸収量が低下し、CO2吸収液14が効率良く利用されなかった。これに対し、本実施形態では、図2、3に示すように、CO2吸収塔15内に液分散ノズル25を設けることによりCO2吸収塔15内にCO2吸収液14をほぼ均一に噴霧させることができ、CO2吸収塔15の壁面27に沿って壁面専用ノズル26を設けることによりCO2吸収塔15の壁面27にCO2吸収液14が接触するのを抑制することができる。このため、CO2吸収塔15の壁面27近傍までCO2吸収塔15内に噴霧されるCO2吸収液14の水量をほぼ均一にして分散させることができる。
【0035】
図6は、CO2吸収塔15の断面における図2中のA−A方向のCO2吸収液14の水量の分布を模式的に示す図である。図6に示すように、CO2吸収塔15の内部では、水量密度は90%以上110%以下の範囲にあり、水量密度は100%の前後10%の分布の範囲内に保つことができ、CO2吸収塔15の壁面27においても水量密度は90%程度に保つことができる。CO2吸収塔15内に供給されるCO2吸収液14の水量は、CO2吸収塔15の壁面27の近傍までほぼ均一にすることができる。このため、排ガス11がCO2吸収液14と接触することなくCO2吸収塔15を通過するのを抑制することができる。また、CO2吸収塔15の壁面27に噴霧されるCO2吸収塔15の液量が低減されるので、排ガス11中のCO2を吸収せず、CO2吸収塔15の底部に貯留されるCO2吸収液14の液量を減少することができる。
【0036】
従って、CO2吸収塔15内に液分散ノズル25を設けることでCO2吸収塔15内にはCO2吸収液14をほぼ均一に分散させることができると共に、CO2吸収塔15の壁面27に沿って壁面専用ノズル26を設けることでCO2吸収塔15の壁面27にCO2吸収液14が接触するのを抑制することができる。このため、CO2回収装置10のサイズなどに影響されることなくCO2吸収塔15の壁面27近傍までCO2吸収塔15内に噴霧されるCO2吸収液14の水量をほぼ均一にして分散させることができる。
【0037】
また、液分散ノズル25と壁面専用ノズル26には、吸収液供給管23を介してCO2吸収液14を供給するようにしているため、トラフ式液分散器などを使用する場合に比べて、分散器の材料費や製造費やCO2吸収塔15内への据付費用などは低くなるため、気液接触装置の設備コストを軽減することができる。
【0038】
液分散ノズル25と壁面専用ノズル26との各々のノズル孔同士の間隔は、各々のノズル孔の大きさや各々のノズル孔から噴霧されるCO2吸収液14の流量・噴霧範囲などにより相対的に異なる。液分散ノズル25と壁面専用ノズル26との各々のノズル孔同士の間隔は、例えば噴霧時に液分散ノズル25と壁面専用ノズル26とから噴霧されるCO2吸収液14同士で干渉が発生し、CO2吸収塔15内に噴霧されるCO2吸収液14の液量にムラが生じないようにすればよい。
【0039】
噴霧ノズル22Aは、液分散ノズル25と、壁面専用ノズル26とからなるものを用いているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、図7に示すように、噴霧ノズル22Aは、CO2吸収塔15の壁面27の角部に角部専用ノズル31を設けるようにしてもよい。図8は、角部専用ノズル31の断面形状を簡略に示す図であり、図9は、図8中のA−A方向の図である。図8、9に示すように、角部専用ノズル31は、ノズル本体32と、ノズル本体32の長手方向における断面形状がL字型のL字型遮蔽板33とを有する。L字型遮蔽板33はノズル本体32と一体にCO2吸収塔15の壁面27側に延設されている。このため、角部専用ノズル31のノズル孔34から噴霧されるCO2吸収液14はL字型遮蔽板33の両面に衝突し、CO2吸収塔15の壁面27の角部側に噴霧されるのを抑制しつつ、CO2吸収塔15の内側に噴霧される(図7中、第3の噴霧領域C)。よって、角部専用ノズル31はCO2吸収塔15の内側にCO2吸収液14を噴霧するため、CO2吸収塔15の断面の角部に角部専用ノズル31から噴霧されるCO2吸収液14が分散するのを抑制することができる。このため、壁面27の近傍までCO2吸収液14を均一に分散させつつ、CO2吸収塔15の壁面27に接触するCO2吸収塔15の液量を更に低減することができる。よって、排ガス11中のCO2を吸収せず、CO2吸収塔15の底部に貯留されるCO2吸収液14の液量を更に減少することができる。
【0040】
壁面専用ノズル26は、CO2吸収塔15の短辺側と長辺側の壁面27の近傍に同一のノズルを設けているが、本実施形態は、これに限定されるものではない。図10、11は、噴霧ノズル22Aの配置の他の構成を簡略に示す図である。図10、11に示すように、壁面専用ノズル26は、CO2吸収塔15の短辺側の壁面27近傍に設けられる短辺側壁面専用ノズル26aと、長辺側の壁面27近傍に設けられる長辺側壁面専用ノズル26bとして各々異なる種類のノズルを設けるようにしてもよい。これにより、CO2吸収塔15の短辺側と長辺側とに各々任意の割合としてCO2吸収液14を噴霧することができる。
【0041】
CO2吸収塔15に、本実施形態に係る気液接触装置21Aを適用した場合のCO2回収率の結果を表1に示す。表1に示すように、壁面専用ノズル26を配置せずに壁面に噴霧される液量を減少させた場合のCO2吸収率を基準値(1.0)とした場合、壁面専用ノズル26を配置することにより、CO2吸収率は約1.1となる。よって、本実施形態に係る気液接触装置21AをCO2吸収塔15に適用することによりCO2吸収率は大きくなるため、CO2吸収塔15と再生塔17を循環するCO2吸収液14の液量は少なくなり、再生塔17でCO2吸収液14に含まれるCO2を放出するために要するスチーム量を減少することができる。
【0042】
【表1】

【0043】
CO2吸収塔15は、排ガス11の流れ方向に対する断面形状を角型としているが、CO2吸収塔15の断面形状はこれに限定されるものではなく、円形や楕円形などにしてもよい。
【0044】
また、それぞれのノズルの噴霧圧力は0.2MPa以下とし,好ましくは0.15MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以下とする。ノズル噴霧圧力を低くすることで,ポンプ消費動力を下げることができるとともに,ミスト飛散量を抑えることができる。
【0045】
また、CO2吸収塔15は、CO2回収部24の上部側に水洗部42及びデミスタ43を有している。CO2が除去されたCO2除去排ガス41は、水洗部42及びデミスタ43にてCO2除去排ガス41に同伴されたCO2吸収液14が除去された後、塔頂部から系外へ放出される。また、CO2回収部24において排ガス11中のCO2を吸収したリッチ溶液16は、CO2吸収塔15の底部に貯留される。CO2吸収塔15の底部に貯留されたリッチ溶液16は、吸収塔15の塔底部から外部に設けられたリッチ溶液排出ポンプ44により圧送され、リッチ・リーン溶液熱交換器45において再生塔17で再生されたCO2吸収液14と熱交換された後、再生塔17の塔頂部から塔内に供給される。
【0046】
再生塔17は、リッチ溶液16からCOを放出してリーン溶液14として再生する。再生塔17の塔頂部から再生塔17の塔内に放出されたリッチ溶液16は、吸熱により、大部分のCO2を放出し、再生塔17の塔底部に至る頃には、ほぼ全てのCO2が除去されたCO2吸収液(リーン溶液)14となる。再生塔17の底部に貯留されるリーン溶液14はCO2吸収液として、リーンソルベントポンプ46により送給され、リーンソルベントクーラ47で冷却水48と熱交換して冷却された後、CO2吸収塔15に送給される。一方、再生塔17の塔頂部からは水蒸気を伴ったCO2ガス51が放出される。水蒸気を伴ったCO2ガス51は再生塔17の塔頂部から導出され、コンデンサ52で冷却水53によりCO2ガス51に含まれる水蒸気が凝縮され、分離ドラム54にて水が分離された後、CO2ガス55は系外に放出されて回収される。また、分離ドラム54にて分離された水56は凝縮水循環ポンプ57にて再生塔17の上部に供給される。
【0047】
このように、本実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔15に用いたCO2回収装置10によれば、CO2吸収塔15内の壁面27の近傍に沿って壁面専用ノズル26を設け、壁面専用ノズル26より内側に液分散ノズル25を設けている。CO2吸収液14を液分散ノズル25及び壁面専用ノズル26からCO2吸収塔15内に噴霧した際、塔内の壁面27に噴霧されるCO2吸収液14の液量を減少させると共に、CO2吸収塔15内には壁面27近傍までCO2吸収液14をほぼ均一に分散させ、塔内に供給される排ガス11とCO2吸収液14とを効率良く接触させることができる。このため、CO2吸収液14がCO2を吸収する吸収性能を向上させることができ、排ガス11がCO2吸収液14と接触することなくCO2吸収塔15を通過するのを抑制することができ、かつ、設備コストを軽減することができる。また、CO2吸収塔15の壁面27に噴霧されるCO2吸収液14の液量を低減することができるため、CO2吸収塔15に供給されるCO2吸収液14の液量当たりのCO2の吸収量を上昇させることができる。これにより、排ガス11中のCO2を吸収せず、CO2吸収塔15の底部に貯留されるCO2吸収液14が再生塔17に供給されるのを軽減することで、CO2吸収液14に含まれるアミンを無駄に消費することなく、CO2吸収液14を効率良く利用することができる上、再生塔17でCO2吸収液14に含まれるCO2を放出するために要するスチームを無駄なく効率よく利用することができるため、CO2回収装置10の運転効率を上昇させることができる。
【0048】
従って、本実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔15に適用したCO2回収装置10は、CO2回収装置10などの大きさに影響されることなく排ガス11中のCO2をCO2吸収液14中に効率良く安定して吸収することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る気液接触装置は、CO2回収装置10のCO2吸収塔15に用いる場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、冷却塔13などで用いるようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態に係る気液接触装置は、CO2回収装置10に適用する場合に限定されるものではなく、例えば、排煙脱硫装置など液体を下向きに噴霧して気体と液体を接触させるために用いる噴霧ノズルを有する装置であれば好適に用いることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔に適用したCO2回収装置について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、上述の図1に示すCO2回収装置の構成と同様、第2の実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔として用いている。本実施形態に係る気液接触装置を備えたCO2回収装置の構成は、上述の図1に示すCO2回収装置の構成と同様であるため、CO2回収装置の構成を示す図は省略し、CO2吸収塔の構成を示す図のみを用いて説明する。なお、図1のCO2回収装置と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0052】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る気液接触装置の構成を簡略に示す図である。図12に示すように、本実施形態に係る気液接触装置21Bの噴霧ノズル22Bは、液分散ノズル25及び壁面専用ノズル26を、CO2回収装置10の負荷運転に応じて使い分けられる2種類のノズルで構成している。この2種類のノズルは、CO2吸収塔15の排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向に交互に設けている。即ち、液分散ノズル25は、高負荷用液分散ノズル25Aと低負荷用液分散ノズル25Bとからなる。壁面専用ノズル26は、高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用壁面専用ノズル26Bとからなる。高負荷用液分散ノズル25Aと低負荷用液分散ノズル25BとをCO2吸収塔15の排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向に交互に設ける。また、高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用壁面専用ノズル26BとをCO2吸収塔15の壁面27に排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向に交互に設ける。また、吸収液供給管23aは、高負荷用液分散ノズル25Aと低負荷用液分散ノズル25BとにCO2吸収液14を供給し、吸収液供給管23bは、高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用壁面専用ノズル26BとにCO2吸収液14を供給する。
【0053】
CO2吸収塔15内に高負荷用液分散ノズル25A及び高負荷用壁面専用ノズル26Aを設けると共に、低負荷用液分散ノズル25B及び低負荷用壁面専用ノズル26Bを設けることで、CO2吸収液14を塔内の同一の高さから噴霧することができる。
【0054】
気液接触装置21Bは、CO2回収装置10の負荷運転に応じて高負荷用液分散ノズル25A又は低負荷用液分散ノズル25Bを用い、高負荷用壁面専用ノズル26A又は低負荷用壁面専用ノズル26Bを用いる。これにより、CO2回収装置10の負荷運転に応じてCO2吸収塔15内にCO2吸収液14を適切な水量として供給することができる。
【0055】
CO2回収装置10の負荷運転は、CO2吸収塔15内に供給される排ガス11の流量を基準に判断することができる。排ガス11の流量が所定の閾値以上の場合、高負荷用液分散ノズル25A及び高負荷用壁面専用ノズル26AからCO2吸収液14を噴霧し、排ガス11の流量が所定の閾値よりも小さい場合、低負荷用液分散ノズル25B及び低負荷用壁面専用ノズル26BからCO2吸収液14を噴霧する。図13は、流量と用いるノズルの噴霧圧力との関係の一例を示す図である。図13中、所定の閾値は、55%とする。図13に示すように、排ガス11の流量が所定の閾値(55%)よりも小さい場合には、低負荷用液分散ノズル25B及び低負荷用壁面専用ノズル26Bを用い、低負荷用液分散ノズル25B及び低負荷用壁面専用ノズル26BからCO2吸収塔15内にCO2吸収液14を噴霧する。排ガス11の流量が所定の閾値(55%)以上の場合には、高負荷用液分散ノズル25A及び高負荷用壁面専用ノズル26Aを用い、高負荷用液分散ノズル25A及び高負荷用壁面専用ノズル26AからCO2吸収塔15内にCO2吸収液14を噴霧する。
【0056】
高負荷用液分散ノズル25A及び高負荷用壁面専用ノズル26Aを設け、所定の閾値を境に高負荷用分散ノズル25A又は低負荷用分散ノズル25Bを使い分けることにより、全負荷条件において噴霧圧力を小さくすることができる共に、均一に液を分散させることができるため、排ガス11とCO2吸収液14とが向流接触することで生じるCO2吸収液14のミストが飛散する量を低減することができる。更に、排ガス11の流量に応じてCO2吸収塔15内に供給されるCO2吸収液14の噴霧圧力を小さくすることで、CO2吸収液14をCO2吸収塔15内に供給するのに要するリーンソルベントポンプ48などポンプ動力を低減することができる。
【0057】
図13では、高負荷用液分散ノズル25A又は低負荷用液分散ノズル25Bと、高負荷用壁面専用ノズル26A又は低負荷用壁面専用ノズル26Bとを使い分ける排ガス11の流量の所定の閾値を、排ガス11の流量が55%の時を基準とした。また、図13では、排ガス11の流量の閾値として55%の場合について説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、CO2回収装置10やCO2吸収塔15の大きさ、運転状況に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0058】
従って、本実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔15に適用したCO2回収装置によれば、CO2回収装置10の負荷運転に対応させつつCO2吸収液14をCO2吸収塔15内に供給することができるため、排ガス11中のCO2をCO2吸収液14中に更に効率良く安定して吸収することができる。
【0059】
本実施形態では、CO2回収装置10の負荷運転をCO2吸収塔15内に供給される排ガス11の流量に基づいて判断したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、CO2回収装置10の負荷運転は、CO2回収量や送風機の消費動力、ダンパの開度に基づいて判断するようにしてもよい。
【0060】
本実施形態では、高負荷用液分散ノズル25A及び低負荷用液分散ノズル25Bを、CO2吸収塔15内に排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向に交互に設けるようにしているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、高負荷用液分散ノズル25AをCO2吸収塔15内に排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向に連続して複数設けた後、低負荷用液分散ノズル25Bを設けるようにしてもよい。
【0061】
本実施形態では、CO2回収装置10の負荷運転が55%の時には、高負荷用液分散ノズル25A及び高負荷用壁面専用ノズル26Aを用いているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、低負荷用液分散ノズル25B及び低負荷用壁面専用ノズル26Bを用いてもよいし、高負荷用液分散ノズル25A及び高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用液分散ノズル25B及び低負荷用壁面専用ノズル26Bとの両方を用いるようにしてもよい。
【0062】
本実施形態では、高負荷用液分散ノズル25A又は低負荷用液分散ノズル25Bと、高負荷用壁面専用ノズル26A又は低負荷用壁面専用ノズル26Bとの2種類を用いているが、噴霧ノズル22Bはこれに限定されるものではなく、噴霧ノズル22Bを高負荷用、低負荷用の他に中負荷用など3種類以上用いるようにしてもよい。
【0063】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔に適用したCO2回収装置について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る気液接触装置は、第2の実施形態に係る気液接触装置と同様、上述の図1に示すCO2回収装置のCO2吸収塔に用いている。本実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔に適用したCO2回収装置の構成は、上述の図1に示すCO2回収装置の構成と同様であるため、CO2回収装置の構成を示す図は省略し、CO2吸収塔の一部の構成を示す図のみを用いて説明する。なお、図1のCO2回収装置と同一の部材には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0064】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る気液接触装置の構成を簡略に示す図である。図14に示すように、本実施形態に係る気液接触装置21Cの噴霧ノズル22Cは、高負荷用液分散ノズル25Aと低負荷用液分散ノズル25Bとを、CO2吸収塔15の排ガス11のガス流れ方向に交互に設けると共に、高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用壁面専用ノズル26Bとを、CO2吸収塔15の壁面27の近傍に排ガス11のガス流れ方向に交互に設けてなるものである。高負荷用液分散ノズル25Aと低負荷用液分散ノズル25Bとは、CO2吸収塔15の排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向に各々のノズルの配置位置を異ならせて交互に設けられる。また、高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用壁面専用ノズル26Bとについても、CO2吸収塔15の排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向に各々のノズルの配置位置を異ならせて交互に設けられる。
【0065】
高負荷用液分散ノズル25Aと低負荷用液分散ノズル25BとをCO2吸収塔15の排ガス11のガス流れ方向に交互に設け、排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向における配置位置を異なるようにすると共に、高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用壁面専用ノズル26BとをCO2吸収塔15の排ガス11のガス流れ方向に交互に設け、排ガス11のガス流れ方向に対して直交する方向における配置位置を異なるようにする。これにより、排ガス11が本実施形態に係る気液接触装置を通過する際の排ガス11の圧力損失を低減することができる。このため、CO2吸収塔15内に排ガス11を供給するのに要する送風機の動力を低減することができる。
【0066】
本実施形態では、高負荷用液分散ノズル25Aと低負荷用液分散ノズル25BとをCO2吸収塔15内に排ガス11のガス流れ方向に交互に設けると共に、高負荷用壁面専用ノズル26Aと低負荷用壁面専用ノズル26BとをCO2吸収塔15の壁面27に排ガス11のガス流れ方向に交互に設けるようにしているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、高負荷用液分散ノズル25A又は高負荷用壁面専用ノズル26AをCO2吸収塔15内に排ガス11のガス流れ方向に連続して複数設けた後、低負荷用液分散ノズル25B又は低負荷用壁面専用ノズル26Bを設けるようにしてもよい。
【0067】
よって、本実施形態に係る気液接触装置をCO2吸収塔15に適用したCO2回収装置10によれば、CO2吸収塔15に送給される排ガス11の圧力損失を低減することができるため、CO2吸収塔15内に排ガス11を供給するのに要する動力を低減しつつ、CO2回収装置10の負荷運転に対応させながら排ガス11中のCO2をCO2吸収液14中に更に効率良く安定して吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明に係る気液接触装置及びCO2回収装置は、気体と液体とを気液接触させる際に、気体中に含まれる成分を液体中に効率良く吸収できるので、排ガス中のCO2を吸収するCO2吸収塔に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0069】
10 CO2回収装置
11 排ガス
12、43、56 水
13 冷却塔
14 CO2吸収液
15 CO2吸収塔
16 リッチ溶液
17 再生塔
18、45、48、53 冷却水
19 煙道
20 供給口
21A、21B 気液接触装置
22 噴霧ノズル
23、23a、23b 吸収液供給管
24 CO2回収部
25 液分散ノズル
25A 高負荷用液分散ノズル
25B 低負荷用液分散ノズル
26 壁面専用ノズル
26a 短辺側壁面専用ノズル
26b 長辺側壁面専用ノズル
62A 高負荷用壁面専用ノズル
62B 低負荷用壁面専用ノズル
27 壁面
28、32 ノズル本体
29 遮蔽板
30、34 ノズル孔
31 角部専用ノズル
33 L字型遮蔽板
41 CO2除去排ガス
42 水洗部
43 デミスタ
44 リッチソルベントポンプ
45 リッチ・リーン溶液熱交換器
46 リーンソルベントポンプ
47 リーンソルベントクーラ
51、55 CO2ガス
52 コンデンサ
54 分離ドラム
57 凝縮水循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が上昇して通過する接触処理塔内に液体を下向きに噴霧させ、前記上昇する気体と前記液体とを接触させる気液接触装置であり、
前記接触処理塔内の壁面に沿って設けられ、前記液体を前記接触処理塔の内側に向かって噴霧する壁面専用ノズルと、
前記接触処理塔内に前記壁面専用ノズルより内側に設けられ、前記接触処理塔内に前記液体を均一に噴霧する液分散ノズルとを含むことを特徴とする気液接触装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記接触処理塔の前記気体の流れ方向に対して直交する方向の断面形状が角型である気液接触装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記接触処理塔の断面の角部に設けられ、前記液体を前記接触処理塔の内側に向かって噴霧する角部専用ノズルを含む気液接触装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
前記液分散ノズル及び壁面専用ノズルが、前記気体の流量に応じて使い分ける2種類以上のノズルを含む気液接触装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記液分散ノズルが、高負荷用液分散ノズルと低負荷用液分散ノズルとからなると共に、前記壁面専用ノズルが、高負荷用壁面専用ノズルと低負荷用壁面専用ノズルとからなり、
前記気体の流量が所定の閾値以上の場合、前記高負荷用液分散ノズル及び前記高負荷用壁面専用ノズルから前記液体を噴霧し、前記気体の流量が所定の閾値よりも小さい場合、前記低負荷用液分散ノズル及び前記低負荷用壁面専用ノズルから前記液体を噴霧する気液接触装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記接触処理塔の前記気体の流れ方向に対して直交する方向に異なる種類の液分散ノズル及び壁面専用ノズルを交互に設ける気液接触装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記接触処理塔の前記気体の流れ方向に前記異なる種類の液分散ノズル及び壁面専用ノズルが交互に設けられると共に、
前記異なる種類の液分散ノズル及び壁面専用ノズルは、前記接触処理塔の前記気体の流れ方向に対して直交する方向に各々のノズルの配置位置を異ならせて交互に設けられる気液接触装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つの気液接触装置の前記接触処理塔からなり、CO2を含む排ガスとCO2を吸収するCO2吸収液とを接触させて前記排ガスからCO2を除去するCO2吸収塔と、
CO2を吸収したCO2吸収液からCO2を放出させてCO2吸収液を再生する再生塔と、
を含むことを特徴とするCO2回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−30168(P2012−30168A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171064(P2010−171064)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(000142023)株式会社共立合金製作所 (24)
【Fターム(参考)】