説明

水中での芳香族カルボン酸の製造方法

臭素の不存在下において少なくとも80%の芳香族供給原料の酸化芳香族誘導体への転化率及び少なくとも80%の芳香族カルボン酸への選択率で芳香族供給原料を酸化する活性を有する臭素を含まない金属触媒組成物の存在下において、芳香族供給原料及び水を含む液体反応混合物を酸素と接触させることによって少なくとも1種類の芳香族カルボン酸を製造する方法を開示する。この方法は、水中において、臭素を用いずに、芳香族カルボン酸製造のための従来のプロセスと実質的に同等の温度及び滞留時間で、従来のプロセスよりも少ない全燃焼、及び同等か又はより多い生成物への収率で運転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2006年5月8日出願の米国仮出願60/798,781の利益を主張する。
本発明は、概して芳香族カルボン酸の製造に関し、より詳しくは臭素を用いずに水中で少なくとも1種類の芳香族カルボン酸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレフタル酸及び他の芳香族カルボン酸は、繊維、フィルム、容器、ビン、及び他の包装材料、並びに成形物品に加工するために、通常は、エチレングリコール、より高級なアルキレングリコール、又はこれらの組み合わせとの反応によって、ポリエステルの製造において幅広く用いられている。
【0003】
商業的実施においては、芳香族カルボン酸は、通常、酢酸水性溶媒中において、メチル置換基の位置が所望の芳香族カルボン酸生成物におけるカルボキシル基の位置に対応するメチル置換ベンゼン及びナフタレン供給原料を、空気又は通常は気体状の他の酸素源を用いて、コバルト及びマンガンイオンを含む臭素促進触媒の存在下で液相酸化することによって製造される。酸化は発熱性であり、これによって芳香族カルボン酸が、芳香族供給原料の部分的又は中間酸化生成物、メタノール、酢酸メチル、及び臭化メチルなどの酢酸反応生成物をはじめとする副生成物と一緒に生成する。また、水も副生成物として生成する。芳香族カルボン酸は、通常、典型的には供給原料の酸化副生成物と一緒に、液相反応混合物中に溶解しているか又はその中の懸濁固体として形成され、通常は結晶化及び固−液分離技術によって回収される。
【0004】
発熱性の酸化反応は、通常、好適な反応容器内において、昇温及び昇圧下で行う。液相反応混合物を容器内に保持し、発熱酸化の結果として形成される気相を、液相から蒸発させて反応器から取り出して反応温度を制御する。気相は、水蒸気、気化酢酸反応溶媒、及び溶媒及び供給原料副生成物の両方を含む少量の酸化副生成物を含む。また、気相は、通常、酸化において消費されなかった酸素ガス、少量の未反応供給原料、炭素酸化物、並びに、プロセスのための酸素源が空気又は他の酸素含有気体混合物である場合には、窒素及び供給ガスの他の不活性気体成分も含む。
【0005】
液相酸化によって生成する高温で高圧の気相は、回収可能な酢酸反応溶媒、未反応の供給材料、及び反応副生成物、並びにエネルギーの価値のある源である可能性がある。しかしながら、その高い含水量、高い温度及び圧力、並びに気体状臭化メチル、酢酸溶媒、及び水のような成分による腐食性のために、そのエネルギー含量を再生利用及び回収するために成分を分離又は回収することの技術的及び経済的な課題がある。更に、不純物が他のプロセス局面又は製品品質に悪影響を与える場合には、回収されたプロセス流中に未分離で残留する不純物のために流の再利用が妨げられる可能性がある。
【0006】
酸化中に芳香族供給原料から生成する副生成物、より一般的には種々のカルボニル置換芳香族種のような不純物は、酸から生成するポリエステルにおける色の形成、及びその結果としてポリエステル加工製品における冴えない色を引き起こすか又はこれと関係することが知られているので、精製形態の芳香族カルボン酸は、通常、繊維及びビンのような重要な用途のためのポリエステルの製造に好都合である。
【0007】
精製テレフタル酸又は「PTA」のような、より低い不純物含量を有する好ましい純粋な形態のテレフタル酸及び他の芳香族カルボン酸は、芳香族供給原料又は所謂中間精製生成物の液相酸化によって生成する芳香族カルボン酸及び副生成物を含む粗生成物のようなより純度の低い形態の酸を、溶液中、昇温及び昇圧下において、貴金属触媒を用いて接触水素化することによって製造される。精製によって、粗生成物及び中間精製生成物から不純物、特に主たる不純物である4−カルボキシベンズアルデヒドが除去されるだけでなく、着色物質のレベル、並びに金属、酢酸、及び臭素化合物の量も減少する。商業的実施においては、アルキル芳香族供給材料の粗芳香族カルボン酸への液相酸化、及び粗生成物の精製は、しばしば、精製のための出発物質として液相酸化からの粗生成物を用いる連続統合プロセスで行われる。
【0008】
かかるプロセスによって芳香族カルボン酸を製造することの困難性は、臭素促進酸化触媒を用いることに起因する。触媒と一緒に用いる臭素源、及び酸化中に形成されるその反応生成物は、腐食性である。腐食を制限するために、通常、チタン又は他の高価な耐腐食性金属若しくは合金を用いて、酸化反応器及びオフガス処理装置のような主装置設備機器をはじめとするプロセス装置を構成する。また、プロセス中に形成される揮発性臭素化合物の大気への放出を防ぐために、有機臭素化合物を炭素酸化物及び分子状臭素に酸化するための熱又は接触酸化、及びギ酸ナトリウムを用いる分子状臭素のアニオン性臭素への還元などによってプロセスオフガスを処理することも通常用いられており、これによって製造プロセスの複雑さ及びコストが増大する。
【0009】
従来のコバルト−マンガン酸化触媒から臭素を排除することは、所望の生成物の収率が許容できないほど低くなるので、商業的なスケールの芳香族カルボン酸製造のためには実際的でない。更に、臭素を含まないコバルト及びマンガン接触酸化においては、液相反応のための酢酸溶媒の酸化が実質的に増加する傾向がある。米国特許3,361,803から公知のように、臭素に代わるものとしてメチルエチルケトン及びアセトアルデヒドのような犠牲促進剤が提案されているが、これらは酸化プロセスにおいて消費され、消費された促進剤を補うコストが増加するだけでなく、酸素が供給原料の所望の反応から外れてしまうので、実際の用途においてそれらを使用することは好ましくない。これらの犠牲促進剤は、また、より高い温度での酸化においては製品品質に悪影響を与える可能性がある。Y.Ishi, J. Mol. Catal. A.: Chem, 1997, 117 (1-3, 二酸素の活性化及び均一系接触酸化に関する第6回国際シンポジウム集録, 1996), 123において、コバルト接触反応のための臭素を含まない代替促進剤としてN−ヒドロキシフタルアミドが提案されているが、芳香族カルボン酸の製造におけるその有用性は、酢酸酸化反応溶媒中におけるその低い可溶性、およびその消費、並びに複数の競合分解反応による酸化中の望ましくない副生成物の生成によって制限される。
【0010】
ドイツ特許2804158においては、所謂Witten-Herculesプロセスにしたがって、コバルト又はマンガン塩、或いはマンガンとコバルト若しくは亜鉛塩との組み合わせから構成される臭素を含まない触媒を用いて、140〜240℃の範囲の温度において、p−キシレン及び/又はp−トルアルデヒド及びp−トルイル酸メチルをジメチルフタレートに無溶媒で共酸化し、続いて共酸化からの全反応器流出流を、パラジウム、白金、ニッケル、又はコバルト触媒の存在下で接触水素化することによってテレフタル酸を製造する方法が記載されている。このプロセスは、また、共酸化又は水素化工程のいずれかからのテレフタレート並びにp−トルエートモノ及びジエステルをエステル交換するための、水素及び揮発成分を除去した後に180〜350℃で行う熱処理工程も含む。熱処理は、窒素雰囲気下において、好ましくは水及びメタノールを添加して、且つ処理時間を減少させるために、場合によっては触媒としてMo、W、Ti、Mg、Ca、Sr、Ba、Mn、Fe、Ni、Zn、Y、K、Y、La、Ce、Nd、Sm、Re、In、Sb、Bi、Se、Te、Sn、P、又はこれらの組み合わせの存在下で行う。酸化触媒から臭素を排除し、酸化においてモノカルボン酸反応溶媒が存在しないことによって、共酸化のための装置を構成するために耐腐食性がより低い金属を使用することが可能になり、溶媒燃焼が少なくなると述べられている。
【0011】
米国特許6,160,170(Codignola)においては、臭素の不存在下、水性有機溶媒を含む液相反応混合物中において、一般には(A)2より大きい価数を有する少なくとも1種類の第VIIIA族金属;及び/又は少なくとも1種類の第VIIA族金属及び/又はセリウム;並びに(B)好ましくはジルコニウム又はハフニウムである少なくとも1種類の第IVA族金属(この特許において示す第VIIIA族、VIIA族、及びIVA族は、それぞれ、米国特許出願2002/0188155−A1(Codignolaら)によるより最新のバージョンの周期律表の第VIII族、VIIB族、及びIVB族に対応する)から構成されることを特徴とする均一系触媒コンプレックスを用いて、芳香族供給材料を気体状酸素によって芳香族カルボン酸に酸化することが開示されている。この特許において記載されている触媒組成物は、酢酸セリウム及び酢酸ジルコニウム、並びに、酸化ルテニウム及び酢酸ジルコニウムから構成される。生成物の回収又は他のプロセス工程において通常存在する量の水によって、酢酸ジルコニウム(IV)が速やかに酸化ジルコニウム(IV)に転化し、これはその水中における不溶性のために、固体形態で回収される芳香族カルボン酸生成物から分離することが困難である可能性があり、下流の処理における装置及び触媒の閉塞を引き起こし、精製芳香族カルボン酸生成物の品質を低下させる可能性があるので、芳香族カルボン酸を製造するための触媒の実際の有効性は制限される。また、沈殿した酸化ジルコニウム(IV)によって触媒金属の損失が示される。国際出願WO−98/2938(米国特許6,160,170に対応する)による触媒の不安定性及びその分解に起因する低下した活性及び選択性について言及している米国特許出願2002/0188155においては、好ましくは第VIII金属、又はセリウム及びジルコニウム若しくはハフニウム、並びに好ましくはコバルト又はセリウム及びジルコニウム塩の混合物を含む特許と同様の臭素を含まない触媒コンプレックスを用いて低温(90〜150℃)酸化を行い、酸化生成物を濾過し、濾過からの母液を酸化工程に戻し、全てを実質的に同等の温度及び圧力条件下で行うことを提案している。プロセスの増加した複雑さに加えて、この引例による触媒は、反応温度を約120〜140℃より低く保持しない限り、酢酸反応溶媒の炭素酸化物への酸化に関して強い活性を示す。
【0012】
国際公開WO−2006/068472においては、パラキシレン、p−トルイル酸、4−カルボキシベンズアルデヒド、又はこれらの2以上の混合物、及び酸素を、不均一系触媒及び溶媒としてパラキシレンの存在下で反応させることを含む、テレフタル酸の製造方法が開示されている。記載されている不均一系触媒は、好ましくはゼオライト上に担持されているコバルト及びマンガン化合物を含む。溶媒としてパラキシレンを用いるために、過剰量のテレフタル酸が沈殿しないようにするために反応を減少した速度で行う必要があり、このため長い滞留時間が導かれる。
【0013】
純水中で、酢酸又は他の有機酸の不存在下で芳香族カルボン酸を製造する方法は、劣ったテレフタル酸収率及び高い供給原料の燃焼を示す。例えば、水、メチル化ベンゼン、及び酸素含有ガスの混合物を貴金属触媒と接触させることによってアリールカルボン酸を製造することに関する米国特許3,865,870において開示されている方法は、40%よりも低い全転化率及び高い供給原料の燃焼を有する。また、この方法では、パラキシレンのようなジメチルベンゼンの望ましくない脱アルキル化から得られる望ましくない副生成物が生成し、ベンゼン及びトルエンを与える。これらの脱アルキル化副生成物は、除去し、分解しなければならない。
【0014】
また、純水プロセスは、現在の通常のプロセス条件において適度な供給原料転化率を達成するために、長い滞留時間を必要とする。滞留時間は、高い酸化温度で運転することによって減少させることができる。例えば、米国特許出願2002/0028968−A1においては、触媒の存在下、連続流反応器内において、1種類以上の芳香族カルボン酸の前駆体を酸化剤と接触させ、1種類又は複数の前駆体及び酸化剤を用いて、水溶媒中、1種類以上の前駆体、酸化剤、及び水溶媒が反応区域内において実質的に単一の均一相を構成するような超臨界条件下で接触を行うことによる、芳香族カルボン酸の製造方法が教示されている。触媒は、コバルト及び/又はマンガン化合物のような1種類以上の重金属化合物、及び臭素促進剤を含んでいてよい。これらの厳しい条件下においては、臭素の存在に起因する腐食は極めて激しく、所望の芳香族カルボン酸の分解速度は非常に高い。所望の生成物の分解を制限するためには、滞留時間の非常に注意深い制御が重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、芳香族カルボン酸製造のための現在の通常の方法と実質的に同等の温度及び滞留時間において、臭素を用いずに水中で芳香族カルボン酸を製造する方法を提供することが望ましいであろう。更に、かかる方法によって、より少ない全燃焼で、及び望ましくない副生成物及び炭素酸化物の生成を最小にして、芳香族カルボン酸が高い収率で得られれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
その幾つかの態様及び特徴において、本発明方法は、臭素の不存在下において少なくとも80%の芳香族供給原料の酸化芳香族誘導体への転化率及び少なくとも80%の芳香族カルボン酸への選択率で芳香族供給原料を酸化する活性を有する臭素を含まない金属触媒組成物の存在下において、芳香族供給原料及び水を含む液体反応混合物を酸素と接触させることを含む、少なくとも1種類の芳香族カルボン酸の製造方法に関する。
【0017】
本明細書において用いる「臭素を含まない」とは、金属触媒組成物及び液体反応混合物の両方の中に反応性の臭素が存在しないことを意味する。テレフタル酸及びイソフタル酸のような芳香族カルボン酸を製造するための従来の商業的な触媒及び方法とは異なり、本発明方法は、臭素源の実質的か又は完全な不存在下で有効である点で「臭素を含まない」ものである。その幾つかの態様においては、本方法は少量の臭素を許容するが、従来の商業的なプロセスにおいて通常用いられる割合の臭素の存在は、本発明方法においては触媒を被毒し、それらを失活させるか、或いは芳香族カルボン酸生成物からより完全に酸化されてない置換基を有する芳香族種に選択的にシフトする。驚くべきことに、本発明によって、芳香族カルボン酸、特にテレフタル酸を、高い収率及び選択率で、望ましくない副生成物及び炭素酸化物の生成を最小にして製造することができる。幾つかの態様においては、本発明は、また、公知の臭素を含まない触媒系によって達成されるものを驚くほど超える芳香族カルボン酸の収率も与える。
【0018】
本発明は、少なくとも1種類の芳香族カルボン酸を製造する方法に関する。本発明によれば、芳香族供給原料及び水を含む液体反応混合物を、臭素の不存在下において少なくとも80%の芳香族供給原料の酸化芳香族誘導体への転化率及び少なくとも80%の芳香族カルボン酸への選択率で芳香族供給原料を酸化する活性を有する臭素を含まない金属触媒組成物の存在下で酸素と接触させる。
【0019】
本発明の一態様によれば、用いることのできる芳香族供給原料としては、少なくとも1つの酸化性アルキル置換基を有するベンゼン、少なくとも1つの酸化性アルキル置換基を有するナフタレン、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい芳香族供給原料としては、パラキシレン、メタキシレン、プソイドクメン、オルトキシレン、2,6−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,7−ジメチルナフタレン、及びこれらの混合物が挙げられる。どの芳香族供給原料を用いるかによって、本発明を用いて、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらの混合物を製造することができる。本発明を用いてテレフタル酸(TA)を製造する場合には、芳香族供給原料はパラキシレンである。上記に列記した好ましい芳香族供給原料に加えて、また、本発明の実施において、これらの供給原料の部分酸化誘導体、例えばp−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びこれらの混合物を用いることもできる。
【0020】
本発明によれば、酸化反応媒体として水を用いる。本発明方法は、反応媒体中に酢酸のような任意のC〜Cモノカルボン酸が存在することを必要とはしないが、少量のかかるモノカルボン酸を存在させることができる。しかしながら、場合によっては、酸化中間体又は他の添加剤を用いて、水中における芳香族供給原料の反応性を向上させることができる。好適な酸化中間体としては、p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
本発明の一態様においては、本方法において用いることのできる臭素を含まない金属触媒組成物としては、均一系触媒、不均一系触媒、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい均一系及び不均一系触媒としては、パラジウム、白金、バナジウム、チタン、スズ、アンチモン、ビスマス、モリブデン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。用いることのできる均一系触媒は、水中に可溶性で、触媒、酸素、及び芳香族供給原料の接触を促進させるものである。これらの可溶性触媒は、酸化反応中に不溶、即ち不均一系となる可能性がある。不均一系触媒を用いる場合には、担持させても又は担持させなくてもよい。担持させる場合には、不均一系触媒は、触媒金属を溶解又は大きく損失させることなく酸性プロセス環境に耐えることのできる不活性担体を含む。好ましい担体材料は、長時間のプロセス条件への曝露を伴うプロセス運転及び使用に好適な物理的強度及び触媒金属装填量を保持する点で安定な固体である。炭素、高強度酸安定炭化ケイ素、及び種々の金属酸化物、例えばシリカ、アルミナ、そのアナターゼ及びルチル相並びに混合相形態を含むチタニア、及びジルコニアが、好適な担体材料の例である。好ましい担体としては、炭素、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、α−酸化アルミニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
本発明の他の態様においては、金属触媒組成物は、パラジウム;アンチモン、ビスマス、及びこれらの組み合わせから選択される元素周期律表第15族の元素;及び元素周期律表第4、5、6、又は14族の少なくとも1種類の金属若しくはメタロイドを含む。本明細書において示す元素周期律表の族は、例えばHandbook of Chemistry and Physics, 78版, CRC Press, 1997において見られる元素周期律表にしたがう「新表記法」の名称に対応する。元素、金属、及びメタロイドに関する「族」という用語は、かかる元素周期律表の族を指すと理解される。本発明のより特定の態様によれば、本発明方法において用いるための、パラジウム、アンチモン、並びに、スズ、バナジウム、及びモリブデンの1種類以上を含む好ましい触媒組成物によって、芳香族供給原料の酸化芳香族誘導体への驚くべき転化率、及び芳香族カルボン酸への驚くべき選択率が与えられる。触媒組成物のパラジウム、アンチモン、ビスマス、第4、5、6、及び14族の金属若しくはメタロイド成分の割合は、幅広く変化させることができる。好ましくは、パラジウム、並びに、アンチモン及びビスマスの一方又は両方を、アンチモン、ビスマス、又はこれらの組み合わせに対するパラジウムの原子比が、約1:1000〜約1000:1、より好ましくは約1:100〜約100:1となるような量で存在させる。また、パラジウムと、第4、5、6、又は14族の金属若しくはメタロイドとの割合は、好ましくは、約1:1000〜約1000:1、より好ましくは約1:100〜約100:1の原子比で存在させる。種々の組み合わせにおける金属及びメタロイド元素の割合は、本明細書及び実施例の記載によって導かれれば、ベンゼン及びナフタレンジカルボン酸の製造のための接触酸化の当業者が、決定し且つ特定の組み合わせ及び使用に関して最適化することができる。
【0023】
本発明の更に他の態様においては、金属触媒組成物は、臭素以外のハロゲンも含まない。ハロゲンは、望ましくない腐食を引き起こし、金属触媒組成物の活性又は選択性に悪影響を与えることが知られているので、本発明方法から全てのハロゲンを排除することは好ましい。臭素の使用を排除し、それを1種類以上の他のハロゲンと置き換えないことによって最大の利益が達成される。
【0024】
酸化における芳香族供給原料、触媒、酸素、及び水の割合は、重要ではなく、供給材料及び所期の生成物の選択だけでなく、プロセス装置及び運転ファクターの選択によっても変化する。酸素、又は空気、或いは酸素及び窒素の他の混合物を更に導入して、芳香族供給原料及び金属触媒組成物と接触させることができる。酸素供給流の速度は、少なくとも芳香族供給原料の全部を芳香族カルボン酸に完全に酸化するのに十分なものでなければならない。プロセスの任意の気相中の酸素の濃度は、任意の芳香族供給原料及び酸素の混合物の可燃性を妨げるために、約9容積%より低く保持しなければならない。金属触媒組成物は、好適には、水と供給流の重量の合計を基準として約100ppm〜約10,000ppmの触媒金属を与える重量で用いる。
【0025】
本発明の実施においては、液体反応混合物は、約0.1重量%〜約50重量%の芳香族供給原料を含む。好ましくは、液体反応混合物は、約5重量%〜約25重量%の芳香族供給原料を含む。
【0026】
本発明は、バッチ、半連続、又は連続法として行うことができるが、プロセス流を連続モードで動かすことが好ましい。本方法において用いることのできる好適な酸化反応器としては、スラリー、CSTR、スラリーバブルカラム、沸騰床、固定若しくは充填床、トリクルベッド、及びバブルカラム反応器が挙げられるが、これらに限定されない。酸化反応は、所望の場合には、供給原料、酸素のいずれか、又は両方を1以上の導入流によって1以上の反応器内に導入して、複数の反応器内で段階的に行うことができる。試薬及び生成物の濃度並びに他の運転パラメーターの選択によって、中間体及びカルボン酸生成物を、溶液中に保持するか、或いは形成後にプロセス中で固化させることができる。いずれの場合においても、触媒及び酸化媒体から生成物を分離するのに好適な手段を用いて、カルボン酸生成物の効率的な回収を行う。
【0027】
温度及び圧力条件は、好ましくは酸化反応を液相中に保持するように選択する。酸化中の液体反応混合物の温度は、約100℃〜約300℃の範囲、好ましくは約170℃〜約230℃の範囲に保持しなければならない。系成分の物理特性を考慮すれば、これらの温度によって約1bar絶対圧(bara)〜約100baraの系圧が与えられるであろう。液体反応混合物は、約0.1時間〜約4時間、好ましくは約0.5時間〜約2時間酸化する。
【0028】
本発明方法によって、芳香族カルボン酸、特にTAが、望ましくない酸化副生成物なしに、且つ揮発性臭素化合物の分解(これによりより多くの炭素酸化物が生成する)の必要性なしに、高収率で効率的に製造される。本発明者らは、臭素を含まない触媒組成物の存在下で芳香族供給原料及び水を含む液体反応混合物を酸素と接触させることによって、驚くべきことに、芳香族カルボン酸の収率が、公知の臭素を含まない触媒系を用いて達成されたものを上回ることを見出した。また、本方法は、資本コスト及び運転コストの減少を通して節減が達成されるので、経済的にも魅力的なものである。反応性の臭素又は他のハロゲンを用いないので、高価な耐腐食性装置、及び揮発性臭素化合物のようなプロセスオフガスが大気に排出されるのを防ぐための処理の必要性が排除される。更に、本発明方法は、モノカルボン酸及び臭素の両方の不存在下において、芳香族カルボン酸製造のための従来方法と実質的に同等の温度及び滞留時間で、水中において運転される。更に、本方法は、任意の酸化反応媒体の燃焼を起こさず、しばしば全供給原料燃焼をより少なくして、従来の方法と同等か又はこれよりも高い芳香族カルボン酸の収率及び選択率で運転される。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、本発明を例示し、本発明をどのようにして行い使用するかを当業者に教示するものである。これらの実施例は、いかなるようにも本発明又はその保護範囲を制限するものではない。
【0030】
実施例1:
水中において、下表1に示す担持及び非担持の触媒を用いて、p−トルイル酸及びパラキシレンのバッチ酸化、並びにパラキシレンの半連続酸化を行った。
【0031】
実施例1B及び1Dで用いた触媒組成物は、それぞれチタニア上に、5重量%、5重量%、及び2.5重量%、並びに5重量%、2.5重量%、及び5重量%で装填した、パラジウム、アンチモン、及びモリブデンから構成され、DegussaからP25として得たチタニア粉末を空気中650℃においてか焼し、チタニアを冷却し、か焼後の最終組成物の装填レベルに相当する相対割合で塩の個々の原液を混合することによって調製した硝酸パラジウム、酢酸アンチモン、及びヘプタモリブデン酸アンモニウムを含む水溶液を用いて、室温においてそれを湿潤含侵させることによって調製したものであった。この含侵技術は、時には、担体材料の全孔容積よりも大きい容積の溶液を用いることを伴う過剰液体含侵とも称される。硝酸パラジウム原液は、硝酸パラジウムの35重量%水溶液であった。酢酸アンチモン原液は、5gの酢酸アンチモンを10gのクエン酸一水和物及び30gの水と、60℃において1時間混合し、次に室温に冷却することによって調製した。ヘプタモリブデン酸アンモニウム原液は、20gのクエン酸一水和物及び60gの水の中に60℃において1時間混合し、次に室温に冷却した10gのヘプタモリブデン酸アンモニウムから構成されていた。含侵溶液をチタニアに加えた後、短く振盪することによってスラリーを均質化した。次に、スラリーを50℃において60時間乾燥し、2℃/分の速度で120℃に加熱し、120℃において2時間保持した。次に、乾燥した固体を、流動空気(100mL/分)下において、ゆっくりと(0.4℃/分)400℃に加熱し、400℃において空気流下で2時間保持することによってか焼した。か焼した固体を自由流動粉末に粉砕し、るつぼに移した。次に、か焼した固体を、室温において希釈水素(窒素中7容積%のH)の流れに1時間曝露し、次にオーブン温度を0.4℃/分の速度で上昇させながらオーブン内において250℃に加熱し、その後、希釈水素流下において温度を250℃に5時間保持することによって、水素によって還元した。
【0032】
実施例1Cにおいてアンチモン及び酢酸モリブデン塩溶液と組み合わせて用いた炭素担持パラジウムは、Sigma-Aldrich Chemical Companyからの活性炭上に堆積させた5%パラジウム(0)であった。
【0033】
Magnadriveインペラー撹拌機が取り付けられ、2つの液体供給システム及び反応器から排気される塔頂ガスを受容するための2つの並行水冷還流凝縮器に接続された300mLのチタンParr反応器内において、完全に担持された触媒(実施例1D)、完全に非担持の触媒(実施例1A)、並びに、単一の金属が担持され他が非担持の触媒成分(実施例1C)を用いて、p−トルイル酸のバッチ酸化及びパラキシレンの半連続酸化を、それぞれ水中において行った。反応器へのガス供給は質量流量制御器によって制御し、圧力は背圧調整器によって調整し、排ガスは、一連のオンライン排ガス分析器によって、一酸化炭素、二酸化炭素、及び酸素に関して連続的に分析した。反応器のための熱は加熱炉によって供給し、加熱プロファイルはParr制御器によって管理した。
【0034】
表1に示すように、実施例1A、1C、及び1Dの酸化実験は、秤量量の触媒又は触媒成分、反応のための液体媒体として蒸留及び脱イオンした水(D&D水)、及び供給原料を、反応器の底部に充填することによって開始した。実施例1C及び1Dのそれぞれにおいては、2.0gのp−トルイル酸も反応混合物に加えた。反応器底部を反応器頂部に取り付けた後、高圧のボンベ入り窒素を用いて反応器を充填及び加圧した。次に、反応器の内容物を撹拌し、目標の開始温度に達するまで加熱した。反応器内容物が目標の開始温度に達したら、窒素流を、8容積%の酸素及び92容積%の窒素に置き換えることによって、反応を開始させた。半連続酸化に関しては、開始時において、0.289mL/分の速度のパラキシレンの液体供給を開始し、補給水を0.200mL/分の速度で加えた。半連続酸化は、表1に報告する予め定められた時間行い、次に液体の供給及び補給水の添加を停止し、しかしながら8%の酸素及び92%の窒素の流れ及び一定の加熱を表1に報告する更なる時間継続した。
【0035】
酸化時間が終了したら、8%の酸素及び92%の窒素の流れを停止し、窒素流を再開した。加熱炉を停止し、反応器及びその内容物を室温に冷却した。この時点において、窒素流を停止し、反応器を減圧し、反応器底部を取り外し、高性能液クロマトグラフィー(HPLC)によって分析するために全反応器流出流の試料を回収した。実施例1A、1C、及び1Dに関する反応条件及び結果を表1に示す。
【0036】
実施例1Bにおけるパラキシレンのバッチ酸化は、表1に示す担持触媒を直径2cmの反応管に充填することによって行った。担持触媒は、上記に記載の手順にしたがって調製した。空気を用いて、反応器を、約45bar、及び10%過剰の酸素が存在する程度まで加圧した。反応器を密閉し、反応混合物を撹拌し、速やかに220℃の温度に加熱した。反応を90分間行い、次に速やかに室温に冷却した。反応器を開放し、反応器の全内容物をジメチルスルホキシドで溶解し、溶液をHPLCによって分析した。
【0037】
表1に示すように、本発明方法によって、完全に非担持、1種類の金属が担持され他が非担持の触媒成分、及び全ての金属が完全に担持の触媒を用いて、部分的に酸化されたパラキシレン供給原料、並びに非酸化のパラキシレンが酸化された。パラキシレンの酸化は、p−トルイル酸の存在下(実施例1C及び1D)、並びに実施例1Bのようにかかる酸化中間体の不存在下で行った。酸化は、水の存在下で速やかに行われ、90%より高い供給原料転化率を与え、少なくとも80%の選択率でTAを生成した。また、酸化オフガスは、50:1よりも大きな二酸化炭素:一酸化炭素の比を有しており、これは望ましくない副生成物及び炭素酸化物の生成が最小であったことを示す。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例2:
実施例2A、2B、及び2Cは、水中の本方法、水中の従来方法、及び溶媒として酢酸を用いる従来方法の間の幾つかの相違点を示す(下表2参照)。従来法は両方ともコバルト/マンガン/臭化物触媒を用いる。
【0040】
実施例2Aは、70mLのチタン反応器内での混合物の酸化から得られた。混合物は、バイアルに0.6150gのパラキシレンを充填し、次に、0.5108gの二臭化コバルト(II)6.98重量%水溶液、1.5141gの二臭化マンガン(II)四水和物9.83重量%水溶液、6.8018gの水、及び0.375gのAlfonic 810-45界面活性剤を加えることによって調製した。不均質混合物を24,000rpmにおいてブレンドし、次に振盪しながら素早く70mLの反応器に移した。反応器を密閉し、空気で500psigに加圧した(空気2.86g)。密閉した反応器を、246℃に加熱した砂浴内に浸漬し、340rpmにおいて15分間振盪した。反応器を速やかに冷却し、塔頂ガスの試料を、一酸化炭素、二酸化炭素、及び酸素に関して分析した。HPLCによる分析のために、全反応器流出流の代表的な試料を得た。
【0041】
実施例2Bは、反応媒体として酢酸95%水溶液を用いた他は、実施例1Cと同じ半連続酸化手順及び装置を用いて行った。0.2206gの酢酸コバルト(II)四水和物、0.2320gの酢酸マンガン(II)四水和物、1.546gの臭化水素酸48重量%水溶液、及び72.6gの酢酸95%水溶液を反応器に充填した。反応器の底部を反応器の頂部に取り付け、密閉した。反応器の内容物をフラッシングし、窒素を充填して390psigにし、撹拌を開始した。次に、反応器の内容物を182℃に加熱した。この時点において、窒素流を、15標準立方フィート/時(SCFH)の8%酸素及び92%窒素の流れで置き換え、液体パラキシレン及び補給酢酸95%水溶液の添加を、それぞれ0.567mL/分及び0.633mL/分の速度で開始して、酸化を開始させた。60分経過後、8%酸素及び92%窒素の流れを純粋窒素で置き換えることによって酸化を停止し、パラキシレン及び補給酢酸95%水溶液の添加を停止した。加熱炉を停止及び取り外し、反応器を室温に冷却した。この時点において、反応器を減圧し、開放した。HPLC分析のために全反応器流出流の試料を得た。
【0042】
実施例2Cに関する手順は、実施例1Cに関して上記に記載したものと同じである。
表2に示すように、水を用いる従来方法は、界面活性剤の添加、及びコバルト及びマンガンの触媒金属イオンを活性化するために極めて高い臭素濃度を必要とする。高い臭素濃度及び界面活性剤の添加の必要性は、パラキシレンの高い転化率を得てTAへの高い選択率を得るために重要である。しかしながら、この水中の臭素の濃度により、極めて腐食性の環境が生成し、酸化装置のために高度に耐腐食性の構成材料を用いることが必要となる。また、界面活性剤は、混入物質であり、最終生成物から分離する必要があるので、プロセスに界面活性剤を加えることは望ましくない。更に、おそらくは、界面活性剤の一部は除去することが必要な望ましくない副生成物に酸化されるであろう。界面活性剤副生成物を除去する必要性、及び界面活性剤を補給する必要性によって、このプロセスのコストが更に増大する。
【0043】
酢酸を用いる従来方法は、非常に低いレベルの臭素しか必要としないが、パラキシレンの高い転化率及びTAへの高い選択率を達成するためには、極めて低い濃度の水を含む酢酸を用いることが必要である。このプロセスは、水が失活を引き起こすために、極めて少量の水しか許容しない。したがって、従来の酢酸をベースとする方法においては、反応混合物中の低い水濃度を保持するために、エネルギーを供給して酢酸から水を分離しなければならない。酢酸を用いることにより得られる結果は、表2における溶媒燃焼のデータによって示される。酢酸の「燃焼」は、TAを製造する従来方法に対して大きなコストである。更に、酢酸及び臭素を用いることにより、オフガス酸化ユニットによって除去しなければならない揮発性の有機臭化物が形成される。これに対して、本発明方法は、臭素又は酢酸を用いることを必要としない。その代わりに、水の存在下において、パラキシレンの酸化が従来の酢酸プロセスと同等の滞留時間で起こり、匹敵しうるパラキシレン転化率及びTAを与える。更に、従来の酢酸及び臭素をベースとする方法におけるもののような揮発性の副生成物は生成しない。
【0044】
【表2】

【0045】
好ましいか又は代表的な態様に関して本発明を上記に記載したが、これらの態様は網羅的か又は本発明を限定するものではない。それよりも、本発明は、特許請求の範囲によって規定されるその精神及び範囲内に包含される全ての変更、修正、及び均等物を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭素の不存在下において少なくとも80%の芳香族供給原料の酸化芳香族誘導体への転化率及び少なくとも80%の芳香族カルボン酸への選択率で芳香族供給原料を酸化する活性を有する臭素を含まない金属触媒組成物の存在下において、芳香族供給原料及び水を含む液体反応混合物を酸素と接触させることを含む、少なくとも1種類の芳香族カルボン酸の製造方法。
【請求項2】
芳香族供給原料が、少なくとも1つの酸化性アルキル置換基を有するベンゼン、少なくとも1つの酸化性アルキル置換基を有するナフタレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族供給原料が、パラキシレン、メタキシレン、プソイドクメン、オルトキシレン、2,6−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、2,7−ジメチルナフタレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
芳香族供給原料がパラキシレンであり、芳香族カルボン酸がテレフタル酸である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
芳香族供給原料が、p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される芳香族供給原料の部分酸化誘導体である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
金属触媒組成物が、均一系触媒、不均一系触媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
金属触媒組成物が、パラジウム、白金、バナジウム、チタン、スズ、アンチモン、ビスマス、モリブデン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
不均一系触媒が不活性担体上に担持されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
不活性担体が、炭素、二酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、α−酸化アルミニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
金属触媒組成物が臭素以外のハロゲンを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸化中間体を液体反応混合物に加える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
液体反応混合物が、約0.1重量%〜約50重量%の芳香族供給原料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
液体反応混合物が、約5重量%〜約25重量%の芳香族供給原料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
液体反応混合物を約100℃〜約300℃の範囲の温度で接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
液体反応混合物を約170℃〜約230℃の範囲の温度で接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
液体反応混合物を約0.1時間〜約4時間接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
液体反応混合物を約0.5時間〜約2時間接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ハロゲンの不存在下において少なくとも80%のパラキシレンの酸化芳香族誘導体への転化率及び少なくとも80%のテレフタル酸への選択率でパラキシレンを酸化する活性を有するハロゲンを含まない金属触媒組成物の存在下において、パラキシレン及び水を含む液体反応混合物を酸素と接触させることを含む、テレフタル酸の製造方法。
【請求項19】
金属触媒組成物が、パラジウム、白金、バナジウム、チタン、スズ、アンチモン、ビスマス、モリブデン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
p−トルイル酸、p−トルアルデヒド、p−ヒドロキシメチル安息香酸、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−メチルベンジルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸化中間体を液体反応混合物に加える、請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2009−536662(P2009−536662A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510102(P2009−510102)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/068268
【国際公開番号】WO2007/133976
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(503259381)ビーピー・コーポレーション・ノース・アメリカ・インコーポレーテッド (84)
【Fターム(参考)】