説明

水位センサ

【課題】 枠体内外部にダイヤフラム、コア、コイル、及びコンデンサなどを備え、コイルとコンデンサで発振回路を形成し発振周波数の変化で水位を検出する水位センサにおいて、一定水位での発振周波数の変化量の大小は水位の検出精度に影響する。コイルを高くしコアの移動量を増やして変化量を大きくする方法があるが、全体の大きさ、価格などで難があり当面の課題になっている。
【解決手段】 ダイヤフラムの受圧面は剛性が必要で、多くは樹脂製ベースを当て補強している。この樹脂製ベースを板状の磁性体(SUS430など)にすることで、剛性が確保でき、更にコイルの抵抗変化が大きくなり、発振周波数の変化量も大きくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に洗濯機、洗濯乾燥機、及び食器洗い機などの水位を検出するために使用される水位センサに係わり、特にコイルとコンデンサを有し、発振周波数の変化により水位を検出するもので、発信周波数の変化量を大きくする方法とダイヤフラムの受圧面の剛性確保に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機などに使用される水位検出用の水位センサは発振周波数の変化で水位を検出するものが主流で、その概要は以下の通りである。
枠体内外部にダイヤフラム、コア、コイル、及びコンデンサなどを備え、外部からの空気圧でダイヤフラムが上下動することで、コア(鉄分)はダイヤフラムと連動しバネに抗してコイル内径部を上下動する。この動作でコイルの抵抗(リアクタンス)は変化し、コイルとコンデンサで構成されるLC発振回路からの発振周波数を変化させる。このことにより、任意に周波数を設定することで、所定の水位を検出することができる。
この方式の水位センサにおいて水位の検出精度は基本性能で、検出精度は一定水位での発振周波数の変化量が大きく影響し、変化量が大きいほど分解能力は良く検出精度もよくなる。検出精度が良ければ細かい水位設定が可能で、節水面で大きな効果を得ることができる。
また、ダイヤフラム受圧面の剛性確保は検出精度を安定させるために重要な要素である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−19043号公報
【特許文献2】特開2001−170393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発振周波数の変化量を大きくする方法として、コアの移動量を大きくする方法があるが、コイルの巻き幅を大きくする必要があり全体が高くなり、大きさ、及び価格の面など不利である。
また、コアを透磁率の良い磁性体にする方法があるが、効果は前者の方法より劣る。また、現状でも透磁率の良い鉄系フェライトを使用しており、これ以上の透磁率を得ようとすると、価格面で不利になる。
ダイヤフラムの剛性確保はダイヤフラムの受圧面に樹脂製ベースを当て補強したり、ダイヤフラムの受圧面を厚くしたりして対応している。
【0005】
現状品の概要を特許文献により説明する。
【0006】
特許文献1によると、発振周波数の変化量を大きくする方策はみられず、コアは円筒形で移動量も特に大きくない。コアの材質は不明であるが鉄系フェライトを使用しているものと思われる。
ダイヤフラムの剛性確保は受圧面を含め全体を薄くし、樹脂製ベースを当接させ剛性を確保しており、一般的行な構成となっている。また、コアは樹脂製ベースの中央部に爪嵌合で固定され、ダイヤフラムと連動可能になっている。
【0007】
特許文献2によると、発振周波数の変化量を大きくする方策として、コアの形状を工夫している。コアの形状をツバ付円筒形にすることで、ツバ部でもコイルの抵抗(リアクタンス)を変化させることが可能で、その分、発振周波数の変化量を大きくできることから、特許文献1のものよりは優れていると思われる。
ダイヤフラムの剛性確保はゴムの厚さと、コアのツバ部を利用して行っており、特許文献1で使用している樹脂製ベースは必要なく、廃止できることから価格的には有利である。
コアはダイヤフラム中央の棒状突起部で固定され、ダイヤフラムと連動可能になっている。
【0008】
本発明は従来品、及び前記特許文献品などに鑑みなされたもので、発振周波数の変化量を大きくし、併せて、ダイヤフラムの受圧面の剛性確保を合理的に行うものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はダイヤフラムとコアの間に板状の磁性体を設けることを特徴とし、ダイヤフラム中央に棒状突起部を設け、この棒状突起部に磁性体とコアを順次挿入し、棒状突起部の先端に設けた段差部で双方を固定するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、コアとは別に板状の磁性体でもコイルの抵抗(リアクタンス)を変化させることができ、その分、発振周波数の変化を大きくすることができる。
また、板状の磁性体をダイヤフラムの受圧面に当接して設けることから剛性確保が容易で、また、磁性体を鉄系にすることで樹脂製ベースより薄肉にでき、高さ方向の省スペース化が図れ、全体を小さくできる。
以上のことから水位検出精度、及び安定化などの確保が可能で高性能の水位センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係わるもので外観斜視図を示す
【図2】本発明の実施例に係わるもので主要部の断面図を示す
【図3】本発明の実施例に係わるもので分解図を示す
【図4】本発明の実施例に係わるものでダイヤフラム部組の状態図を示す
【図5】本発明の実施例に係わるもので特性図を示す
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例について、図を引用して説明する。
【0013】
本発明の一実施例は図3に示す通り、枠体上1、枠体下2、タンシ3、ばね4、コイル5、ボビン6、コンデンサ7、コア8、ダイヤフラム9、ダイヤフラムベース10、調整ねじ11の部品で構成され、今回の発明の要点であるダイヤフラム部の組状態は図4で示し、ダイヤフラム部組12は前記コア8、ダイヤフラム9、ダイヤフラムベース10の3部品で構成されている。
【0014】
先に図2、図3により全体について説明する。
【0015】
前記枠体上1と枠体下2との間にダイヤフラム部組12、ばね4、コイル5、ボビン6、コンデンサ7を内蔵し、前記ダイヤフラム9のビード部9eは枠体上1と枠体下2で円周挟持され、枠体下2との間で密閉室が形成される形で複数の爪嵌合により固定されている。
前記コイル5はボビン6の外周部に挿入され、ボビン6の先端部分を枠体上1に圧入することでガタなく固定されている。
前記タンシ3は外部から挿入され、枠体上1の内部に突出した形で固定されている。内部に突出した部分にはコイル5、及びコンデンサ7が半田固定され、電気的にLC発振回路を形成している。発振周波数はコイルの巻数、コンデンサの容量などで調整できる。
前記調整ねじ11はばね4と当接し、枠体上1の上部に形成したねじ部と係合している。
【0016】
前記ダイヤフラム部組12はダイヤフラム9が土台となり、ダイヤフラム9はゴム体(EPゴムなど)で成形され全体が薄肉で可動部9a、平面部9b、棒状突起部9c、段差部9d、ビード部9eなどで形成され、中央部に段差部9dを有する棒状突起部9cを形成し、この棒状突起部9cに鉄系で板状のダイヤフラムベース10、及び鉄系フェライトのコア8を順次挿入し、段差部9dで抜けないように固定している。
前記ビード部9eは前述のように、枠体上1と枠体下2で挟持され枠体下2との間で密閉室を形成した形で固定されている。
【0017】
前記ダイヤフラムベース10は可動時ダイヤフラム9に傷を付けないための円周壁10aと中央にダイヤフラム9の棒状突起部9cに挿入するための挿入穴10bを有している。また、材質をステンレス(SUS430)とし、板厚を0.3〜0.5とすることで剛性は十分確保でき、樹脂製ベースより薄く形状も簡単にできる。
【0018】
次に動作と水位検出方法について説明する。
【0019】
枠体上1の圧力導入口2aからの空気圧とばね4の付与力との関係でダイヤフラム9は動き、コア8はコイル5の内径部を上下動する。このことでコイル5の抵抗を変化させ、コイル5とコンデンサ7で構成するLC発振回路の発振周波数を変化させる。抵抗は移動量に比例して変化する。
以上のことから、圧力変化(水位変化)で発振周波数を変化させることができ、逆に発振周波数を設定することで水位を検出することができる。
【0020】
前記ダイヤフラムベース10は剛性確保以外にコイル5の端面部を上下動させることでコイル5の抵抗を変化させることができ、発振周波数を変化させることができる。
図5で示す通り磁性体のダイヤフラムベース10があることにより、従来品(ダイヤフラムベースなし品)に比べ発振周波数の変化量は1.5倍程度となり、水位検出の分解能力が増し、その分、精度よく水位検出できる。
【符号の説明】
【0021】
1 枠体上
2 枠体下
2a 圧力導入口
3 タンシ
4 ばね
5 コイル
6 ボビン
7 コンデンサ
8 コア
9 ダイヤフラム
9a 可動部
9b 平面部
9c 棒状突起部
9d 段差部
9e ビード部
10 ダイヤフラムベース
10a 円周壁
10b 抜き穴
11 調整ねじ
12 ダイヤフラム部組

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体内外部にダイヤフラム、コア、コイル、及びコンデンサなどを備え、前記コイルとコンデンサでLC発振回路を形成し、圧力を前記ダイヤフラムで受けダイヤフラムと連動するコアがコイル内径部を上下動することで発振周波数を変化させ、洗濯機の槽などの水位を検出するものにおいて、前記ダイヤフラムとコアの間に板状の磁性体を設けたことを特徴とする水位センサ。
【請求項2】
請求項1において、板状の磁性体はコアを載せた形でダイヤフラムの中央に設けた棒状突起部に挿入し、前記棒状突起の先端段差部で抜けないように固定したことを特徴とする水位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−168149(P2012−168149A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46954(P2011−46954)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(500333567)株式会社亀屋工業所 (28)
【Fターム(参考)】