水処理システム
【課題】給水タンク内の水温に応じて最適な給水制御を行うことが可能な水処理システムを提供する。
【解決手段】水処理装置22と、処理水を貯留する給水タンク3と、水位検出手段14と、給水タンク3への処理水の給水を制御する給水制御手段4とを備えた水処理システムにおいて、給水制御手段4が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、給水タンク3内の温度を検出する温度検出手段35と、温度検出手段35の検出結果に基づき限界水位の切り替えを給水制御手段4に指令する切替指令手段とを有し、給水制御手段4は、切替指令手段からの指令に基づき限界水位を変更し、限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が切替後に指定された上限水位以下の場合は、上限水位に達するまで給水タンク3への給水指令を発する。
【解決手段】水処理装置22と、処理水を貯留する給水タンク3と、水位検出手段14と、給水タンク3への処理水の給水を制御する給水制御手段4とを備えた水処理システムにおいて、給水制御手段4が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、給水タンク3内の温度を検出する温度検出手段35と、温度検出手段35の検出結果に基づき限界水位の切り替えを給水制御手段4に指令する切替指令手段とを有し、給水制御手段4は、切替指令手段からの指令に基づき限界水位を変更し、限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が切替後に指定された上限水位以下の場合は、上限水位に達するまで給水タンク3への給水指令を発する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理システムに関し、より詳しくは給水タンク内の水位を管理しながら給水制御を行なう水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地下水や工場廃水等の原水から高純度の処理水を生産し、該処理水をボイラや冷却塔等に給水したり、飲料用水に使用可能とした水処理システムが知られている。
【0003】
この種の水処理システムでは、種々の不純物を含有した原水を再生型ろ過装置、軟水装置、膜ろ過装置等で水処理して処理水を生産し、該処理水を給水タンクに一時的に貯留し、その後、ボイラ給水等に使用される。
【0004】
したがって、給水タンク内の水位を管理しながら給水タンクへの給水制御を行う必要がある。
【0005】
そして、特許文献1には、図14に示すように、膜モジュール101下流に設けられた脱気給水タンク102に3段階で水位高さを検出する水位検出装置103を配すると共に、通水量を増減できる三位置弁104を通水ライン106の途中に設け、かつ水位検出装置103からの信号によって三位置弁104の制御を行う制御装置105を備えた膜脱気装置が開示されている。また、この膜脱気装置では、膜モジュール101が真空ライン109を介して真空ポンプ108に接続されると共に、通水ライン106から分岐された補給ライン107が真空ポンプ108に接続されている。そして、真空ポンプ108の稼動時に、膜モジュール101で除去された水中の酸素が真空ポンプ108から排気され、同時に使用済みの封水が真空ポンプ108から排水される。
【0006】
この特許文献1では、長さの異なる3本の感知棒を備えた水位検出装置103を脱気給水タンク102の上方から挿入し、水位H、水位M、水位Lに対応して三位置弁104の開度が全閉、半開、全開となるように通水量を制御し、これにより脱気給水タンク102内の水位に応じた給水制御を行っている。
【0007】
また、再生型ろ過装置を使用する水処理システムでは、再生中は給水タンクへの通水を停止し、給水タンクに貯留された処理水を使用して再生処理することが広く行われている。
【0008】
例えば、特許文献2には、ろ過水が貯留された給水タンクと、所定のろ材が内有された細ろ過装置とが配管接続され、洗浄ポンプを配管中に介装した細ろ過システムが開示されている。
【0009】
この特許文献2では、逆洗モードになると洗浄ポンプが駆動し、給水タンクに貯留されたろ過水が細ろ過装置に供給され、ろ材が逆洗され、再生される。
【0010】
【特許文献1】特開平8−266808号公報(図1)
【特許文献2】特開2006−136753号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
水処理システムにおける給水制御は、上述したように給水タンクの水位を管理しながら
行われ、タンク水位が下限水位に低下すると給水を開始し、タンク水位が上限水位になると給水を停止する。
【0012】
そして、例えば、夜間帯や事業所が休日の場合は、近隣住民への影響を考慮し、給水タンクへの処理水の給水を全面的に停止するか、時間的に制限するのが望ましいと考えられる。
【0013】
また、ボイラ用給水設備でボイラからのドレンを給水タンクに回収する場合、ドレンの回収率が高くなると、給水タンク内の水温も高温になる。したがって、このような場合は、水処理装置で処理された処理水を給水タンクに強制的に補給するのが望ましい。
【0014】
このように給水タンク内への最適な給水は、ユーザの使用状況や使用環境(以下、「使用状況等」という。)によって様々であり、したがって使用状況等に応じた最適な給水制御ができる水処理システムの実現が望まれる。
【0015】
しかしながら、特許文献1は、水位検出装置103と三位置弁104とを連携させて通水量を水位に応じて三段階に切り替えているものの、この特許文献1を水処理システム全般に適用しても、上述したユーザの様々な使用状況等に応じた最適な給水制御を実現するのは困難である。
【0016】
また、ユーザの要求に応じて所望長さとなるように特許文献1の感知棒を機械的に切断し、これら切断された感知棒を給水タンクに設置し、給水を制御することも考えられる。しかし、使用状況等によっては多数の感知棒を給水タンクに配する必要が生じ、構造の複雑化を招き、現実的な方法ではない。
【0017】
また、特許文献2では、給水タンクの水を使用して逆洗しているため、逆洗時には給水タンクの水が大量に消費される。すなわち、再生処理中は給水タンクへの給水は強制的に停止される上に大量の水が消費されることとなるため、再生処理の終了時には給水タンクの水位が過度に低下するおそれがある。
【0018】
このためボイラ等に給水を再開した場合、所望流量の処理水をボイラ等に安定供給することができなくなる場合があり、再生処理前に給水タンクの貯水量を増量できるような給水制御を行う手段が要請されている。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、給水タンク内の水温に応じて最適な給水制御を行うことが可能な水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明に係る水処理システムは、原水から処理水を生成する水処理装置と、前記処理水を貯留する給水タンクと、前記給水タンク内の前記処理水の水位を連続的に検出する水位検出手段と、前記水位検出手段の検出結果に基づき前記給水タンクへの前記処理水の給水を制御する給水制御手段とを備えた水処理システムにおいて、前記給水制御手段が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、前記給水タンク内の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出結果に基づき前記限界水位の切り替えを前記給水制御手段に指令する切替指令手段とを有し、かつ、前記給水制御手段は、前記切替指令手段からの指令に基づき前記限界水位を変更し、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発することをことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の水処理システムは、前記切替指令手段と前記給水制御手段とは、外部信号線を介して電気的に接続されていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の水処理システムは、上記水処理装置には、軟水装置及び膜ろ過装置が含まれることを特徴としている。
【0023】
さらに、本発明の水処理システムは、前記限界水位設定手段は、極上限水位及び極下限水位からなる極限水位を設定すると共に、前記給水制御手段は、前記給水タンクの水位が前記極上限水位以上及び前記極下限水位以下のいずれかに達したときは、異常を報知する異常報知手段を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の水処理システムによれば、前記給水制御手段が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、前記給水タンク内の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出結果に基づき前記限界水位の切り替えを前記給水制御手段に指令する切替指令手段とを有し、かつ、前記給水制御手段は、前記切替指令手段からの指令に基づき前記限界水位を変更し、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発するので、給水タンク内の水温に応じて限界水位を変更することが可能となり、例えば、給水タンク内の水温が過度に高くなった場合は上限水位を高くして給水タンクに強制的に給水することにより、水温が過度に上昇するのを回避することができる。
【0025】
また、前記給水制御手段は、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発するので、切替後は、切替後の上限水位に達するまで給水タンクに給水されることとなり、給水タンク内の水位を上限水位にしてから所望の給水制御を行うことができる。
【0026】
また、前記切替指令手段と前記給水制御手段とは、外部信号線を介して電気的に接続されているので、複数の限界水位を給水制御手段に設定して標準化し、外部からの水位の切替指令を発するだけで最適な給水制御を行うことができ、低コストで所望の水処理システムを実現できる。
【0027】
また、前記限界水位設定手段は、極上限水位及び極下限水位からなる極限水位を設定すると共に、前記給水制御手段は、前記給水タンクの水位が前記極上限水位以上及び前記極下限水位以下のいずれかに達したときは、異常を報知する異常報知手段を有しているので、給水タンクが異常水位になるとユーザは警報音や警告灯の点灯又は点滅によりユーザは迅速に給水タンクの異常を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<本発明の第1の対比例>
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明に関連する第1の対比例(本発明に関連するが、本発明の実施の形態には含まれない)を図面に基づき説明する。
【0029】
図1は第1の対比例の水処理システムを示すシステム構成図であって、この水処理システムはボイラ給水用に使用される場合を例示している。
【0030】
すなわち、この水処理システムは、地下水等の原水を汲み上げる原水ポンプ1と、原水中の不純物を除去して高純度の処理水を生産する水処理装置群2と、水処理装置群2から
の処理水を貯留する給水タンク3と、水処理装置群2の各装置を制御して処理水の給水タンク3への給水を制御する給水制御部(給水制御手段)4と、該給水制御部4に給水タンク3の水位切替を指令する水位切替指令部5と、原水ポンプ1をオン・オフ制御するポンプ制御部6とを備えている。
【0031】
水処理装置群2は、具体的には、硬度成分を含有した原水を軟水化する軟水装置7と、該軟水装置7で軟水化された原水を膜ろ過分離する逆浸透膜装置(以下、「RO装置」という。)8とを有し、これらは原水ポンプ1と給水タンク3とを結ぶ給水ライン9上に配されている。
【0032】
軟水装置7は二筒式からなり、三方弁10により第1の軟水装置7a及び第2の軟水装置7bのいずれか一方に通水可能とされ、原水の軟水化処理が中断することのないように構成されている。
【0033】
具体的には、軟水装置7は、ナトリウム型の陽イオン交換樹脂(不図示)が内有されており、陽イオン交換樹脂内には飽和食塩水が貯留されている。そして、原水が、例えば第1の軟水装置7aに供給されると、原水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの硬度成分が、飽和食塩水に含有されるナトリウムイオンとイオン交換されて除去され、これにより原水は軟水化される。また、第1の軟水装置7aの陽イオン交換樹脂の交換能力が飽和状態になると、軟水装置7の内蔵マイコンによって三方弁10が操作され、第2の軟水装置7bが通水可能となるように切り替えられる。そして、第1の軟水装置7aは再生モードとなり、第2の軟水装置7bは通水モードとなる。再生モードに突入した第1の軟水装置7aは、飽和食塩水を塩水タンク(不図示)から供給し、これにより陽イオン交換樹脂の再生が行われる。次いで、再生処理の終了した第1の軟水装置7aは、第2の軟水装置7bが再生モードに突入するまで待機モードとなる。
【0034】
このように軟水装置7は、第1の軟水装置7a及び第2の軟水装置7bのうちのいずれか一方が通水モードとなるように構成されており、これにより通水を中断することなく軟水化処理が可能とされている。
【0035】
RO装置8は、例えばスパイラル形状に巻回されたRO膜エレメント(以下、「RO膜」という。)11aを内蔵したROモジュール11と、RO膜11aに圧力を負荷する加圧ポンプ12とを備えている。ROモジュール11は、原水が供給される一次側とRO膜11aを透過した透過水を出力する二次側とに分離されており、また、二次側には排水弁13が介装された排水ライン及び循環ライン50が接続されている。
【0036】
そして、加圧ポンプ12が駆動して一次側からRO膜11aに浸透圧以上の高圧が負荷されると、溶存塩類やシリカ(SiO2)の除去された高純度の透過水が二次側に出力し、これにより処理水が生産される。尚、RO膜11aを透過しなかった濃縮水は、その一部は循環ライン50を介して加圧ポンプ12に還流され、残りは排水弁13から排水される。
【0037】
また、給水タンク3は、その下方側壁に圧力検知式の水位センサ14が挿入されている。水位センサ14は、給水タンク3の水位と水頭とが比例することを利用したものであり、給水タンク3内の水頭の変化に応じた水位の連続的な検知が可能とされ、水位検知信号15が給水制御部4に送信される。
【0038】
給水制御部4は、制御線17、18を介して軟水装置10及びRO装置8に電気的に接続され、さらに、ポンプ制御部6と電気的に接続されている。そして、給水制御部4からポンプ制御部6に給水要求信号19が送信されると、該ポンプ制御部6は原水ポンプ1に
駆動信号20を送信するように構成されている。
【0039】
また、給水制御部4は、給水タンク3の設定水位や所定の演算プログラムが記憶された記憶手段(水位設定手段)と、所定の演算処理を行って上記各構成要素を制御する演算処理部とを備えている。
【0040】
記憶手段には、複数の限界水位が書き換え可能に記憶されている。本実施の形態では、昼間帯の限界水位(上限水位及び下限水位)を規定する主設定と、夜間帯の限界水位を規定する副設定と、異常報知用の極限水位が記憶されている。主設定は、一組の主上限水位(以下、「主H水位」という。)と主下限水位(以下、「主L水位」という。)で構成され、副設定は、一組の副上限水位(以下、「副H水位」という。)と副下限水位(以下、「副L水位」という。)で構成され、また、極限水位は、一組の極上限水位(以下、「HH水位」という。)と極下限水位(以下、「LL水位」という。)で構成され、これらの限界水位が記憶手段に格納されている。
【0041】
また、水位切替指令部5は給水制御部4の外部に設けられ、該給水制御部4と水位切替指令部5とは電気的に接続されている。水位切替指令部5には、タイマ5aが内蔵されており、該タイマ5aの計時により時間帯に応じて限界水位の切り替えが行われるように、水位切替信号(外部信号線)16が給水制御部4に送信される。本実施の形態では、後述するように昼間帯(例えば、午前8時〜午後8時)と夜間帯(午後8時〜午前8時)とで給水タンク3の限界水位が切り替えられるように構成されており、例えば、タイマ5aが午前8時又は午後8時を計時すると給水制御部4に水位切替信号16を送信する。
【0042】
図2は本第1の対比例の限界水位の水位設定例を示す給水タンク3の概略正面図である。
【0043】
すなわち、昼間帯では主H水位と主L水位でもって給水タンク3の水位(以下、「タンク水位」)が管理される。そして、副H水位は主H水位よりも高い所定位置に設定され、副L水位は主L水位よりも低い所定位置に設定され、これら副H水位と副L水位とで夜間帯のタンク水位が管理される。また、HH水位は副H水位の更に上方に設定され、LL水位は副L水位の更に下方に設定され、タンク水位がHH水位以上又はLL水位以下になったときは警報音や警告灯の点灯又は点滅等によりユーザに報知される。
【0044】
そして、本第1の対比例では、例えば、午前8時になると、水位切替指令部5から給水制御部4に水位切替信号16が送信され、これにより限界水位は主設定に設定される、一方、例えば、午後8時になると、水位切替指令部5から給水制御部4に水位切替信号16が送信され、これにより、限界水位は主設定から副設定に切り替えられる。
【0045】
このように時間帯に応じて主設定と副設定とを切り替えるようにしたのは以下の理由による。
【0046】
事業所等におけるボイラ給水用の水処理システムの場合、夜間帯は通常はボイラを殆ど使用しないため、近隣住民への影響を考慮し、夜間帯での給水を完全停止することが望まれる。
【0047】
しかしながら、操業時間の臨時延長等でボイラの稼動時間を延長せざるを得ない場合もある。この場合、処理水タンク3への給水を全面的に完全停止してしまうと、給水タンク3内の処理水が不足してしまい、ボイラの稼動を停止せざるを得なくなるおそれがある。
【0048】
そこで、本第1の対比例では、昼間帯の限界水位を主設定とし、夜間帯の限界水位
が副設定となるように水位切替信号16により水位切替を行い、時間帯に応じて最適な給水制御を行うようにしている。
【0049】
次に、上記水処理システムの運転方法を具体的に説明する。
【0050】
まず、昼間帯に給水タンク3内のタンク水位が主L水位まで低下すると、給水制御部4は給水要求信号19をポンプ制御部6に送信し、さらにポンプ制御部6は駆動信号20を原水ポンプ1に発し、これにより原水ポンプ1が駆動を開始する。そして、原水は給水ライン9を介して軟水装置7に供給され、該軟水装置7で軟水化された原水はRO装置8で膜ろ過分離され、透過水と濃縮水に分離される。次いで、透過水は処理水となって給水タンク3に補給される。
【0051】
給水タンク3内のタンク水位は水位センサ14によって連続的に検知され、水位検知信号15が給水制御部4に送信される。そして、水位センサ14が主H水位を検知すると、その水位検知信号15を受信した給水制御部4はポンプ制御部6に対する給水要求信号19を停止する。これにより駆動信号20も停止し、原水ポンプ1は停止して水処理システムの運転を停止する。
【0052】
そしてその後、給水タンク3内の処理水がボイラ給水に消費されてタンク水位が主L水位まで低下すると、上述した運転手順で水処理システムの運転を再開し、給水タンク3への処理水の給水を行う。
【0053】
以降、タンク水位が主H水位と主L水位との間で管理されるように給水制御が行われる。
【0054】
その後、夜間帯、例えばタイマ5aが午後8時を計時すると、水位切替指令部5は給水制御部4に対し水位切替信号16を発し、給水制御部4は限界水位を副設定に切り替える。
【0055】
そして、切替直後は副H水位まで給水を行って十分な処理水を確保した後、上述と同様の運転手順で副H水位と副L水位との間でタンク水位を管理しながら給水制御を行う。
【0056】
その後、昼間帯、例えば、例えばタイマ5aが午前8時を計時すると、水位切替指令部5は給水制御部4に対し水位切替信号16を発し、給水制御部4は限界水位を主設定に切り替える。
【0057】
そして、切替直後は主H水位まで給水を行って十分な処理水を確保した後、上述と同様の運転手順で主H水位と主L水位との間でタンク水位を管理しながら給水制御を行う。
【0058】
図3は、水位切替に伴うタンク水位の変化の一例を示す図であり、横軸は時刻、縦軸はタンク水位を示している。図中、T1は昼間帯、T2は夜間帯を示し、X1は主設定から副設定への切替時刻を示し、X2は副設定から主設定への切替時刻を示している。また、実線Y1は水使用量が通常の場合を示し、一点鎖線Y2は水使用量が通常よりも少ない場合を示し、破線Y3は夜間帯の水使用量が通常よりも多い場合を示している。
【0059】
昼間帯T1では、タンク水位が主H水位になると給水が停止し、処理水がボイラ給水に消費されるのでタンク水位は低下してゆく。そして、夜間帯T2に突入する時刻X1(例えば、午後8時)で限界水位は主設定から副設定に切り替えられ、タンク水位は副H水位に達するまで給水タンク3に給水される。
【0060】
そして、水使用量が通常の場合及び少ない場合は、実線Y1及び一点鎖線Y2で示すように、夜間帯T2では副L水位にまで低下することなく、昼間帯T1に突入する時刻X2(例えば、午前8時)となり、限界水位は副設定から主設定が切り替えられる。
【0061】
すなわち、副H水位を主L水位よりも高位に設定し、副L水位を主L水位よりも低位に設定しているので、限界水位の範囲は広がる。したがって、水使用量が通常の場合及び少ない場合は、夜間帯T2での給水を実質的に停止することが可能となる。
【0062】
一方、夜間帯T2での水使用量が多い場合は、切替時(時刻X1)のタンク水位は、水使用量が通常時や通常より少ない場合に比べ低く、このため切替直後の副H水位に達するまでの給水時間は長くなる。しかし、副設定では、主設定に比べ限界水位の幅が広いため、下限水位(副L水位)に低下するまでの時間(給水停止時間)は主設定のときに比べて長くなり、したがって、夜間帯T2、特に真夜の給水時間を短くすることが可能となる。
【0063】
尚、本第1の対比例では、いずれのパターン(Y1〜Y3)においても、昼間帯T2に突入する時刻X2になると限界水位は副設定から主設定の切り替わり、切り替え後の上限水位である主H水位に達するまで処理水タンク3に給水され、給水タンク3の処理水が満水にしてから主設定の範囲内で給水制御が行われる。
【0064】
このように本第1の対比例では、タイマ5aの計時時刻を基準に昼間帯と夜間帯とで限界水位を主設定と副設定に切り替えて給水制御しているので、操業時間の延長等で夜間帯に処理水を要する場合であっても、水使用量が多くない場合(実線Y1及び一点鎖線Y2)は給水タンクへの給水を停止することが可能であり、水使用量が多い場合(破線Y3)は、主設定時に比べて給水時間を短くして水処理システムを運転することが可能とな
る。したがって、近隣住民への影響を極力少なくすることができ、住環境に配慮した水処理システムを実現することができる。
【0065】
尚、上記第1の対比例では、水位切替指令部5にタイマ5aを内蔵させ、水位切替指令部5から水位切替信号16を発しているが、タイマ5aを給水制御部4に内蔵させ、水位切替指令を給水制御部4で直接行ってもよい。
【0066】
図4は上記第1の対比例おける第1の変形例の水位設定例を示す水タンク3の概
略正面図であって、この第1の変形例では、副L水位は図2と同一レベルに設定されているが、副H水位が主H水位に比べ、十分に下方に設定されている。したがって、限界水位が副設定に設定されているときは、低位の比較低狭い限界水位範囲内で給水制御が行われる。
【0067】
図5は、第1の変形例におけるタンク水位の変化の一例を示す図であり、横軸は時刻、縦軸はタンク水位を示している。図3と同様、T1は昼間帯、T2は夜間帯を示し、X1は主設定から副設定への切替時刻を示し、X2は副設定から主設定への切替時刻を示している。また、実線Y4は水使用量が通常の場合を示し、破線Y5は水使用量の多い場合を示し、二点鎖線Y6は主設定から副設定への切替時のタンク水位が低い場合を示している。
【0068】
この第1の変形例では、副L水位が主L水位よりも低いため、水使用量が通常の場合は、実線Y4で示すように、夜間帯T2での給水を停止することができる。
【0069】
一方、水使用量の多い場合や切替時のタンク水位が低い場合は、副H水位と副L水位の間隔が狭いため、図5の破線Y5や二点鎖線Y6に示すように、長時間の連続的な給水は行われることはなく、短時間で断続的に行われる。
【0070】
このように第1の対比例によれば、タンク容量や処理水量等に適した限界水位を設定することにより、ユーザの要求に応じた最適な給水制御を行うことが可能となる。
【0071】
図6は上記第1の対比例の第2の変形例の水位設定例を示す給水タンク3の概略正面図であって、この第2の変形例では、副H水位は、第1の変形例と同様、主H水位よりも十分に低位に設定され、また副L水位を主L水位と同一位置に設定され、主設定と副設定とを事業所の営業日と休業日とで切り替えるようにしている。
【0072】
事業所の休業日はボイラ等の稼動を停止する場合も多く、水の使用量も少ない。したがって、給水タンク3に処理水を貯留しておくと、処理水自体の給水タンク3での滞留時間が長くなり、雑菌等が繁殖して水質の劣化を招くおそれがある。したがって、事業所の休業日は、給水タンク3の水位を極力低下させておくのが望ましいと考えられる。
【0073】
この場合、休業日毎に手動で水位設定を変更することも考えられる。しかし、季節変動等に伴う年間2〜3回程度の水位切替であれば手動での水位切替も容易であるが、毎週のように存在する休業日を手動で水位切替するのは現実的な対応ではない。
【0074】
そこで、本第2の変形例では、水位切替指令部5からの指令により予め設定された限界水位に切り替え、給水制御を行っている。ただし、給水タンク3の副L水位を過度に低く設定して給水タンク3の貯水量を減らすと、水処理装置(軟水装置7及びRO装置8)の運転駆動と運転停止の繰り返し頻度が多くなり、このため水処理装置内の滞留水の水質劣化を招いたり、水処理装置の損傷を招くおそれがある。
【0075】
このため本第2の変形例では、副L水位が過度に低くならないように副L水位を主L水位と同一レベルにしている。
【0076】
図7は、第2の変形例の水位切替例を示す図であり、横軸は曜日、縦軸はタンク水位を示している。本第2の変形例では、月曜日〜金曜日は営業日、土曜日及び日曜日を休業日とし、タイマ5a(ウィークリタイマ)により月曜日〜金曜日を主設定で給水制御し、土曜日及び日曜日を副設定で給水制御するように設定されている。
【0077】
このように事業所の営業日と休業日とで水位設定を切り替え、休業日のタンク水位が低くなるようにタンク水位を管理することにより、給水タンク3に大量の処理水が長時間滞留するのを回避することが可能となり、水質劣化を防止することが可能となる。
【0078】
尚、この第2の変形例では、月曜日〜金曜日と、土曜日及ぶ日曜日とで主設定と第2限界水位の水位を切替えているが、プログラムタイマ等で祝日やその他の臨時休業日等を副設定に基づいて給水制御するようにするのも好ましい。
【0079】
<第2の対比例>
図8は本発明に関連する第2の対比例の水処理システムを示すシステム構成図であって、本第2の対比例は、再生型ろ過装置としての除鉄・除マンガンろ過装置22が軟水装置7の上流側の給水ライン23上に設けられており、再生処理前に給水タンク3に強制的に給水することにより、再生処理に起因した給水タンク3の貯水量低下を回避している。
【0080】
再生型ろ過装置22を有する水処理システムでは、再生処理中は給水タンク3に給水することができない。したがって、給水タンク3に貯留された処理水を使用してろ材を再生する場合は、再生処理中に給水タンク3の水位が過度に低下し、このためボイラ等への給水量が一時的に不足するおそれがある。
【0081】
このような給水量の不足を補填する方法としては、別経路から処理水をバックアップ給水することも考えられるが、運用上の制約条件が増えたり、別途新たな設備を増設する必要があり、好ましくない。
【0082】
そこで、本第2の対比例では、図9に示すように、副L水位を主L水位と同一レベルに設定する一方、副H水位を主H水位よりも高く設定し、再生処理に突入する直前に限界水位の設定を主設定から副設定に切り替えて給水タンク3に貯留される処理水量を増量させ、これにより再生処理により給水タンク3の貯水量が過度に低下するのを回避してい
る。
【0083】
以下、上記第2の対比例について、より詳しく説明する。
【0084】
図8において、水処理装置群21は、軟水装置7及びRO装置8に加え、除鉄・除マンガンろ過装置22を有し、さらに該除鉄・除マンガンろ過装置22は逆洗ライン24を介して給水タンク3に接続され、かつ逆洗ライン24上には逆洗ポンプ25が介装されている。
【0085】
除鉄・除マンガンろ過装置22は、無煙炭を粉砕して粒状とされたアンスラサイトがマンガン酸化触媒上に重層されており、原水に注入された次亜塩素酸ナトリウムによって原水中の鉄分が酸化されて析出し、これにより原水から鉄分が除去される。また、原水中のマンガン成分はマンガン酸化触媒によって酸化除去される。さらに、除鉄・除マンガンろ過装置22にはタイマが内蔵されており、原水の供給を定期的(例えば、0.5〜1/日)に遮断し、逆洗ポンプ25を駆動させ、給水タンク3に貯留された処理水を除鉄・除マンガンろ過装置22に供給してろ材の再生処理を行う。
【0086】
また、この第2の対比例では、給水制御部4とは物理的に別個独立した前処理制御部26が設けられている。そして、RO装置8は、第1の実施の形態と同様、制御線18
を介して給水制御部4に電気的に接続される一方、除鉄・除マンガン装置22及び軟水装置7は、それぞれ制御線27、28を介して前処理制御部26と電気的に接続され、これら除鉄・除マンガン装置22及び軟水装置7は、前処理制御部26により制御される。尚、前処理制御部26は原水ポンプ1及び逆洗ポンプ25に駆動信号32、33を送信し、これら原水ポンプ1及び逆洗ポンプ25は前処理制御部26により制御される。
【0087】
また、給水制御部4と前処理制御部26とは電気的に接続されており、給水制御部4は前処理制御部26に対し給水要求信号29を送信し、前処理制御部26は給水制御部26に対し運転許可信号30を送信する。すなわち、前処理制御部26は、除鉄・除マンガンろ過装置22及び軟水装置7からの給水要求信号29に応じて運転可能な状態にある場合は、常に給水制御部4に運転許可信号30を送信する。給水制御部4は給水が必要と判断した場合に前処理制御部26からの運転許可信号30が有効であれば、前処理制御部26に給水要求信号29を送信する。
【0088】
そして、除鉄・除マンガンろ過装置22は、再生処理に突入する所定時間前に前処理制御部26に対し再生要求信号を発し、該再生要求信号を受信した前処理制御部26は給水制御部4に水位切替信号31を送信する。
【0089】
ここで、前処理制御部26を給水制御部4とは物理的に別個独立に設けたのは以下の理由による。
【0090】
膜ろ過装置は、たとえ機械的構造に差異があっても原水を供給して処理水を生産すると
いう動作自体は同一である。したがって、種々の膜ろ過装置を給水制御部4で電気的に統一的に取り扱うことは比較的容易である。
【0091】
これに対し再生型ろ過装置は、再生処理中は通水が停止される上、処理水量や水質に応じて種類や大きさ、個数が区々であり、原水ポンプの能力も異なる。したがって、再生型ろ過装置を含む前処理制御は、給水制御とは異なり、統一的な取り扱いが困難であり、原水の水質や要求処理能力に応じ個別に対応する必要がある。
【0092】
したがって、前処理と給水処理とを別個独立に制御した方が、効率的であり、コスト的にも有利である。また、前処理と給水処理とを別個独立に構築し、両者を連携させることにより、種々のバリエーションに対応可能な水処理システムを低コストかつ迅速に実現することが可能となる。
【0093】
そこで、本第2の対比例では、給水制御部4と前処理制御部26とを物理的に別個
独立して構築し、両者を電気的に接続して連携し、前処理制御部26から給水制御部4に水位切替信号31を送信することにより、最適な給水制御を実現している。
【0094】
次に、本第2の対比例の運転方法を詳述する。
【0095】
まず、水処理システムの運転が可能なときは、前処理制御部26は給水制御部4に運転許可信号30を常時送信する。そして、水位センサ14が主L水位未満を検知すると、給水制御部4は運転許可信号30を受信していることを確認した後、前処理制御部26に給水要求信号29を送信する。そして、給水要求信号29を受信した前処理制御部26は原水ポンプ1に駆動指令を発する。これにより、原水は原水ポンプ1から汲み上げられて給水ライン23を通過し、不図示の薬剤注入装置によって原水中に次亜塩素酸ナトリウムが注入され、除鉄・除マンガン装置22に供給され、原水中の鉄分やマンガン成分が除去される。
【0096】
次いで、原水は軟水装置7で軟水化され、軟水化された原水は、RO装置8に供給される。そして、原水はRO装置8で透過水と濃縮水に膜ろ過分離され、濃縮水の一部は循環ライン50を介して加圧ポンプ12に還流され、残りは排水弁13から排水される。
【0097】
一方、透過水は処理水となって給水タンク3に給水される。そして、水位センサ14が主H水位を検知すると給水要求信号29を無効とし、原水ポンプ1は停止し、除鉄・除マンガンろ過装置22は待機モードになる。次いで、再生モードに突入する所定時間前に除鉄・除マンガンろ過装置22は制御線27を介して再生要求信号を前処理制御部26に送信する。該再生要求信号を受信した前処理制御部26は、水位切替信号31を給水制御部4に送信する。水位切替信号31を受信した給水制御部4は、限界水位を主設定から副設定に切り替え、かつ給水要求信号29を送信し、原水ポンプ1を駆動させる。その後、上述と同様の方法で給水を開始し、副設定でもって給水処理を行い、給水タンク3の貯水量を増量させる。
【0098】
そして、除鉄・除マンガンろ過装置22が再生モードに入ると、運転許可信号30を無効とし、これにより給水要求信号29を無効とし、水位切替信号31を主設定に切り替え、原水ポンプ1を停止する。そして、給水タンク3の処理水を使用して再生処理を行う。その後、再生処理が終了すると、前処理制御部26は運転許可信号30を給水制御部4に送信し、運転許可信号30の受信を確認した給水制御部4は、水位センサ14が主L水位未満を検知していた場合、前処理制御部26に給水要求信号29を送信し、原水ポンプ1を駆動させ上述した方法で水処理システムの運転を再開する。
【0099】
図10は運転状態とタンク水位の関係を示す図である。
【0100】
水位センサ14が主H水位を検知すると、原水ポンプ1が停止し、除鉄・除マンガンろ過装置22は待機モードとなる。この待機モードでは運転許可信号30は有効であるが、給水要求信号29は無効となり、水処理システムは運転を停止する。
【0101】
そして、待機モードでは給水タンク3内の処理水がボイラ給水に使用されるため、タンク水位は低下する。そして、再生モードに突入する所定時間前に除鉄・除マンガンろ過装置22は前処理制御部26に再生要求信号を発する。尚、所定時間は、例えば、再生要求信号が発せられてからタンク水位が副H水位に上昇するまでの時間、またはその近似時間に設定される。
【0102】
そして、前処理制御部26は給水制御部4に対し水位切替信号31を送信し、これにより水位設定は主設定から副設定に切り替えられる。一方、給水制御部4は前処理制御部26に給水要求信号29を送信し、これにより前処理制御部4の管理下、原水ポンプ1が駆動し除鉄・除マンガン装置22に給水を開始する。そして、タンク水位が再び上昇し、タンク水位が副H水位又はその近傍に達すると、除鉄・除マンガンろ過装置22は再生モードに突入し、逆洗ポンプ25を駆動させて給水タンク3内の処理水を除鉄・除マンガンろ過装置22に供給し、逆洗処理を行う。また、再生モードに突入すると、運転許可信号30は無効とされ、これに伴い給水要求信号31も無効とされる。尚、再生モードにおける水位設定は主設定及び副設定のうちのいずれでもよいが、本第2の実施の形態では主設定に設定されている。
【0103】
そして、再生モードでは、逆洗処理を行った後、所定時間休止し、その後水洗処理を行う。このとき、給水タンク3の処理水は逆洗処理によって大量に消費され、その後の水洗期間では再生中の処理水利用でタンク水位は更に低下する。
【0104】
再生処理が終了すると、運転許可信号30は有効となり、運転許可信号30の有効を確認した給水制御部4は、水位センサ14が主L水位未満を検知していた場合、給水要求信号29を前処理制御部26に送信し、除鉄・除マンガンろ過装置22は通水モードとなる。そして、給水タンク3には再び処理水が給水され、タンク水位は上昇し、その後、水処理システムは、主設定でもって給水制御が行われることになる。
【0105】
このように第2の対比例では、除鉄・除マンガンろ過装置22の運転状態に応じて限界水位を切り替え、給水制御を行っているので、大量の処理水を消費する再生モードに突入する前に給水タンク3内の処理水量を増量することが可能となり、給水タンク3の貯水量が過度に低下するのを防止することができる。
【0106】
尚、本第2の対比例では、再生処理時に大量に処理水を使用する場合を例示したが、再生型ろ過装置が搭載されていない水処理システムであっても、特定時刻に大量の処理水を使用する場合に本第2の実施の形態を適用することが可能である。
【0107】
<本発明の実施の形態>
図11は本発明の実施の形態の水処理システムを示すシステム構成図である。
【0108】
本本発明の実施の形態では、給水タンク34の側壁に温度スイッチ35が取り付けられ、給水タンク3内の処理水の水温(以下、「タンク水温」という。)が所定の高温(例えば、80℃)になると水位切替信号36が給水制御部4に送信される。
【0109】
また、給水タンク34にはドレンライン37を介してボイラからのドレンが回収される
と共に、該給水タンク34の上方側壁にはオーバーフロー管38が設けられている。
【0110】
すなわち、ボイラからのドレンを給水タンク34に回収するボイラ給水用の水処理システムでは、ドレン回収率が高くなりすぎると給水タンク34内の水温が過度に上昇するおそれがある。
【0111】
そこで、本発明の実施の形態では、タンク水温が所定の高温になったときは、水位設定を副設定に切り替え、これにより処理水をオーバーフロー管38から排水可能としつつ、給水ライン9から給水するようにしている。
【0112】
図12は本発明の実施の形態における処理タンクの水位設定例を示す図である。副L水位は主L水位と同一レベルであるが、副H水位はHH水位やオーバーフロー管38よりも高位に設定されている。
【0113】
そして、タンク水温が低いときは、温度スイッチ35がオフされ、水位設定は主設定を維持し、主H水位と主L水位との間で水位を管理しながら給水制御が行われる。
【0114】
一方、ボイラからのドレン回収をする場合、ドレンライン37からの高温のドレンが大量に給水タンク34に注がれると、タンク水温が上昇する。そして、タンク水温が所定高温になると温度スイッチ35がオンし、水位切替信号36が給水制御部4に送信され、水位設定が副設定に切り替えられる。
【0115】
副設定では、図13に示すように、副H水位と副L水位との間でタンク水位を管理しながら給水制御が行われる。
【0116】
すなわち、タンク水位がHH水位に達すると、該タンク水位が異常高水位にあるため警報を発する。しかし、タンク水位がHH水位に達しても水温が所定低温(例えば、40℃)以下に下がらない場合は、給水ライン9からの給水を続行する一方、オーバーフロー管38からドレンを排水させる。そしてこれによりタンク水温が過度に高温状態を維持するのを極力避ける。
【0117】
そして、タンク水温が所定低温以下に低下すると温度スイッチ35がオフし、水位切替信号36が給水制御部4に送信され、限界水位が副設定から主設定に切り替えられる。
【0118】
このように本発明の実施の形態では、タンク水温が過度に高温状態で放置されるのを回避することができ、ボイラ給水用水処理システムの安全性を向上させることができる。
【0119】
尚、通常は、オーバーフロー管38から処理水を排水させつつ、処理水を給水ライン9から給水タンク34に補給することにより、タンク水位は副H水位に到達することなく水温を低下させることができるが、仮にオーバーフロー管38からの排水能力が低い場合は、給水タンク34の水位が副H水位に達すると給水が停止する。したがって処理水が給水タンク34から溢れ出ることはない。
【0120】
上記本発明の実施の形態から理解されるように本発明によれば、タンク水温に応じた最適な給水制御を実現することができる。
【0121】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない範囲で変更可能なことはいうまでもない。例えば、上記実施の形態では一組の主設定と一組の副設定で運転状態や時刻等に応じた給水制御を行っているが、要求される処理水量等に応じ、複数の副設定、例えば、第1〜第nの副H水位(nは2以上の整数)、第1〜第mの副L水位
(mは2以上の整数)を記憶手段に記憶させておき、副H水位と副L水位を適宜組み合わせて水位を管理しながら給水制御を行うのも好ましい。
【0122】
また、上記本発明の実施の形態では膜ろ過装置としてRO装置を使用したが限外ろ過膜装置、精密ろ過膜装置、ナノろ過膜装置も同様に使用できる。さらに、水処理装置についても、他の水処理装置、例えば砂ろ過装置や活性炭ろ過装置等の再生型ろ過装置に適用することもできる。
【0123】
また、上記本発明の実施の形態では、ボイラ給水用の水処理システムについて説明したが、その他の水処理システム、例えば、飲料水用の水処理システムでも同様に適用することが可能である。この場合、雑菌の繁殖を防止する観点から、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物が添加された処理水が給水タンクに給水される。したがって、処理水タンク内の残留塩素濃度が所定値未満になると、一定時間強制給水されるように副設定を設け、主設定と副設定とを適宜切替えて給水制御するのが好ましい。
【0124】
また、寒冷地等で配管が屋外に設置されている水処理システムに適用する場合は、配管適所に温度センサを装着し、温度センサで検知される温度が所定温度(例えば、4℃)以下になると、強制給水するように副設定を設けておき、主設定と副設定とを適宜切替えて所望の給水制御をするができる。
【0125】
また、上記本発明の実施の形態では、圧力検知式の水位センサを使用したが、水位を連続的に検知できるものであれば、圧力検知式に限定されるものではなく、例えば、静電容量式等、測定原理の異なる他の方式の水位センサを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明に関連する第1の対比例の水処理システムを示すシステム構成図である。
【図2】第1の対比例における限界水位の水位設定例を示す給水タンクの概略正面図である。
【図3】第1の対比例におけるタンク水位の変化の一例を示す図である。
【図4】第1の対比例の第1の変形例の水位設定例を示す給水タンクの概略正面図である。
【図5】第1の対比例の第1の変形例のタンク水位の変化の一例を示す図である。
【図6】第1の対比例の第2の変形例の水位設定例を示す水タンク3の概略正面図である。
【図7】第1の対比例の第2の変形例における水位切替例を示す図である。
【図8】本発明に関連する第2の対比例の水処理システムを示すシステム構成図である。
【図9】第2の対比例の限界水位の水位設定例を示す給水タンクの概略正面図である。
【図10】第2の対比例における運転状態とタンク水位の関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る水処理システムを示すシステム構成図である。
【図12】本発明の実施の形態における処理タンクの水位設定を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態で限界水位を副設定にしたときの給水タンク内の状態を示す図である。
【図14】特許文献1に記載された従来技術のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0127】
2 水処理装置群
3、34 給水タンク
4 給水制御部(給水制御手段)
5 水位切替指令部(切替指令手段)
5a タイマ(計時手段)
16 31、36 水位切替信号(外部信号線)
22 除鉄・除マンガンろ過装置(水処理装置)
25 逆洗ポンプ(周辺機器)
26 前処理制御部(運転状態検出手段、切替指令手段)
35 温度スイッチ(温度検出手段、切替指令手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は水処理システムに関し、より詳しくは給水タンク内の水位を管理しながら給水制御を行なう水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地下水や工場廃水等の原水から高純度の処理水を生産し、該処理水をボイラや冷却塔等に給水したり、飲料用水に使用可能とした水処理システムが知られている。
【0003】
この種の水処理システムでは、種々の不純物を含有した原水を再生型ろ過装置、軟水装置、膜ろ過装置等で水処理して処理水を生産し、該処理水を給水タンクに一時的に貯留し、その後、ボイラ給水等に使用される。
【0004】
したがって、給水タンク内の水位を管理しながら給水タンクへの給水制御を行う必要がある。
【0005】
そして、特許文献1には、図14に示すように、膜モジュール101下流に設けられた脱気給水タンク102に3段階で水位高さを検出する水位検出装置103を配すると共に、通水量を増減できる三位置弁104を通水ライン106の途中に設け、かつ水位検出装置103からの信号によって三位置弁104の制御を行う制御装置105を備えた膜脱気装置が開示されている。また、この膜脱気装置では、膜モジュール101が真空ライン109を介して真空ポンプ108に接続されると共に、通水ライン106から分岐された補給ライン107が真空ポンプ108に接続されている。そして、真空ポンプ108の稼動時に、膜モジュール101で除去された水中の酸素が真空ポンプ108から排気され、同時に使用済みの封水が真空ポンプ108から排水される。
【0006】
この特許文献1では、長さの異なる3本の感知棒を備えた水位検出装置103を脱気給水タンク102の上方から挿入し、水位H、水位M、水位Lに対応して三位置弁104の開度が全閉、半開、全開となるように通水量を制御し、これにより脱気給水タンク102内の水位に応じた給水制御を行っている。
【0007】
また、再生型ろ過装置を使用する水処理システムでは、再生中は給水タンクへの通水を停止し、給水タンクに貯留された処理水を使用して再生処理することが広く行われている。
【0008】
例えば、特許文献2には、ろ過水が貯留された給水タンクと、所定のろ材が内有された細ろ過装置とが配管接続され、洗浄ポンプを配管中に介装した細ろ過システムが開示されている。
【0009】
この特許文献2では、逆洗モードになると洗浄ポンプが駆動し、給水タンクに貯留されたろ過水が細ろ過装置に供給され、ろ材が逆洗され、再生される。
【0010】
【特許文献1】特開平8−266808号公報(図1)
【特許文献2】特開2006−136753号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
水処理システムにおける給水制御は、上述したように給水タンクの水位を管理しながら
行われ、タンク水位が下限水位に低下すると給水を開始し、タンク水位が上限水位になると給水を停止する。
【0012】
そして、例えば、夜間帯や事業所が休日の場合は、近隣住民への影響を考慮し、給水タンクへの処理水の給水を全面的に停止するか、時間的に制限するのが望ましいと考えられる。
【0013】
また、ボイラ用給水設備でボイラからのドレンを給水タンクに回収する場合、ドレンの回収率が高くなると、給水タンク内の水温も高温になる。したがって、このような場合は、水処理装置で処理された処理水を給水タンクに強制的に補給するのが望ましい。
【0014】
このように給水タンク内への最適な給水は、ユーザの使用状況や使用環境(以下、「使用状況等」という。)によって様々であり、したがって使用状況等に応じた最適な給水制御ができる水処理システムの実現が望まれる。
【0015】
しかしながら、特許文献1は、水位検出装置103と三位置弁104とを連携させて通水量を水位に応じて三段階に切り替えているものの、この特許文献1を水処理システム全般に適用しても、上述したユーザの様々な使用状況等に応じた最適な給水制御を実現するのは困難である。
【0016】
また、ユーザの要求に応じて所望長さとなるように特許文献1の感知棒を機械的に切断し、これら切断された感知棒を給水タンクに設置し、給水を制御することも考えられる。しかし、使用状況等によっては多数の感知棒を給水タンクに配する必要が生じ、構造の複雑化を招き、現実的な方法ではない。
【0017】
また、特許文献2では、給水タンクの水を使用して逆洗しているため、逆洗時には給水タンクの水が大量に消費される。すなわち、再生処理中は給水タンクへの給水は強制的に停止される上に大量の水が消費されることとなるため、再生処理の終了時には給水タンクの水位が過度に低下するおそれがある。
【0018】
このためボイラ等に給水を再開した場合、所望流量の処理水をボイラ等に安定供給することができなくなる場合があり、再生処理前に給水タンクの貯水量を増量できるような給水制御を行う手段が要請されている。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、給水タンク内の水温に応じて最適な給水制御を行うことが可能な水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明に係る水処理システムは、原水から処理水を生成する水処理装置と、前記処理水を貯留する給水タンクと、前記給水タンク内の前記処理水の水位を連続的に検出する水位検出手段と、前記水位検出手段の検出結果に基づき前記給水タンクへの前記処理水の給水を制御する給水制御手段とを備えた水処理システムにおいて、前記給水制御手段が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、前記給水タンク内の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出結果に基づき前記限界水位の切り替えを前記給水制御手段に指令する切替指令手段とを有し、かつ、前記給水制御手段は、前記切替指令手段からの指令に基づき前記限界水位を変更し、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発することをことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の水処理システムは、前記切替指令手段と前記給水制御手段とは、外部信号線を介して電気的に接続されていることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の水処理システムは、上記水処理装置には、軟水装置及び膜ろ過装置が含まれることを特徴としている。
【0023】
さらに、本発明の水処理システムは、前記限界水位設定手段は、極上限水位及び極下限水位からなる極限水位を設定すると共に、前記給水制御手段は、前記給水タンクの水位が前記極上限水位以上及び前記極下限水位以下のいずれかに達したときは、異常を報知する異常報知手段を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の水処理システムによれば、前記給水制御手段が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、前記給水タンク内の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出結果に基づき前記限界水位の切り替えを前記給水制御手段に指令する切替指令手段とを有し、かつ、前記給水制御手段は、前記切替指令手段からの指令に基づき前記限界水位を変更し、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発するので、給水タンク内の水温に応じて限界水位を変更することが可能となり、例えば、給水タンク内の水温が過度に高くなった場合は上限水位を高くして給水タンクに強制的に給水することにより、水温が過度に上昇するのを回避することができる。
【0025】
また、前記給水制御手段は、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発するので、切替後は、切替後の上限水位に達するまで給水タンクに給水されることとなり、給水タンク内の水位を上限水位にしてから所望の給水制御を行うことができる。
【0026】
また、前記切替指令手段と前記給水制御手段とは、外部信号線を介して電気的に接続されているので、複数の限界水位を給水制御手段に設定して標準化し、外部からの水位の切替指令を発するだけで最適な給水制御を行うことができ、低コストで所望の水処理システムを実現できる。
【0027】
また、前記限界水位設定手段は、極上限水位及び極下限水位からなる極限水位を設定すると共に、前記給水制御手段は、前記給水タンクの水位が前記極上限水位以上及び前記極下限水位以下のいずれかに達したときは、異常を報知する異常報知手段を有しているので、給水タンクが異常水位になるとユーザは警報音や警告灯の点灯又は点滅によりユーザは迅速に給水タンクの異常を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<本発明の第1の対比例>
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明に関連する第1の対比例(本発明に関連するが、本発明の実施の形態には含まれない)を図面に基づき説明する。
【0029】
図1は第1の対比例の水処理システムを示すシステム構成図であって、この水処理システムはボイラ給水用に使用される場合を例示している。
【0030】
すなわち、この水処理システムは、地下水等の原水を汲み上げる原水ポンプ1と、原水中の不純物を除去して高純度の処理水を生産する水処理装置群2と、水処理装置群2から
の処理水を貯留する給水タンク3と、水処理装置群2の各装置を制御して処理水の給水タンク3への給水を制御する給水制御部(給水制御手段)4と、該給水制御部4に給水タンク3の水位切替を指令する水位切替指令部5と、原水ポンプ1をオン・オフ制御するポンプ制御部6とを備えている。
【0031】
水処理装置群2は、具体的には、硬度成分を含有した原水を軟水化する軟水装置7と、該軟水装置7で軟水化された原水を膜ろ過分離する逆浸透膜装置(以下、「RO装置」という。)8とを有し、これらは原水ポンプ1と給水タンク3とを結ぶ給水ライン9上に配されている。
【0032】
軟水装置7は二筒式からなり、三方弁10により第1の軟水装置7a及び第2の軟水装置7bのいずれか一方に通水可能とされ、原水の軟水化処理が中断することのないように構成されている。
【0033】
具体的には、軟水装置7は、ナトリウム型の陽イオン交換樹脂(不図示)が内有されており、陽イオン交換樹脂内には飽和食塩水が貯留されている。そして、原水が、例えば第1の軟水装置7aに供給されると、原水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの硬度成分が、飽和食塩水に含有されるナトリウムイオンとイオン交換されて除去され、これにより原水は軟水化される。また、第1の軟水装置7aの陽イオン交換樹脂の交換能力が飽和状態になると、軟水装置7の内蔵マイコンによって三方弁10が操作され、第2の軟水装置7bが通水可能となるように切り替えられる。そして、第1の軟水装置7aは再生モードとなり、第2の軟水装置7bは通水モードとなる。再生モードに突入した第1の軟水装置7aは、飽和食塩水を塩水タンク(不図示)から供給し、これにより陽イオン交換樹脂の再生が行われる。次いで、再生処理の終了した第1の軟水装置7aは、第2の軟水装置7bが再生モードに突入するまで待機モードとなる。
【0034】
このように軟水装置7は、第1の軟水装置7a及び第2の軟水装置7bのうちのいずれか一方が通水モードとなるように構成されており、これにより通水を中断することなく軟水化処理が可能とされている。
【0035】
RO装置8は、例えばスパイラル形状に巻回されたRO膜エレメント(以下、「RO膜」という。)11aを内蔵したROモジュール11と、RO膜11aに圧力を負荷する加圧ポンプ12とを備えている。ROモジュール11は、原水が供給される一次側とRO膜11aを透過した透過水を出力する二次側とに分離されており、また、二次側には排水弁13が介装された排水ライン及び循環ライン50が接続されている。
【0036】
そして、加圧ポンプ12が駆動して一次側からRO膜11aに浸透圧以上の高圧が負荷されると、溶存塩類やシリカ(SiO2)の除去された高純度の透過水が二次側に出力し、これにより処理水が生産される。尚、RO膜11aを透過しなかった濃縮水は、その一部は循環ライン50を介して加圧ポンプ12に還流され、残りは排水弁13から排水される。
【0037】
また、給水タンク3は、その下方側壁に圧力検知式の水位センサ14が挿入されている。水位センサ14は、給水タンク3の水位と水頭とが比例することを利用したものであり、給水タンク3内の水頭の変化に応じた水位の連続的な検知が可能とされ、水位検知信号15が給水制御部4に送信される。
【0038】
給水制御部4は、制御線17、18を介して軟水装置10及びRO装置8に電気的に接続され、さらに、ポンプ制御部6と電気的に接続されている。そして、給水制御部4からポンプ制御部6に給水要求信号19が送信されると、該ポンプ制御部6は原水ポンプ1に
駆動信号20を送信するように構成されている。
【0039】
また、給水制御部4は、給水タンク3の設定水位や所定の演算プログラムが記憶された記憶手段(水位設定手段)と、所定の演算処理を行って上記各構成要素を制御する演算処理部とを備えている。
【0040】
記憶手段には、複数の限界水位が書き換え可能に記憶されている。本実施の形態では、昼間帯の限界水位(上限水位及び下限水位)を規定する主設定と、夜間帯の限界水位を規定する副設定と、異常報知用の極限水位が記憶されている。主設定は、一組の主上限水位(以下、「主H水位」という。)と主下限水位(以下、「主L水位」という。)で構成され、副設定は、一組の副上限水位(以下、「副H水位」という。)と副下限水位(以下、「副L水位」という。)で構成され、また、極限水位は、一組の極上限水位(以下、「HH水位」という。)と極下限水位(以下、「LL水位」という。)で構成され、これらの限界水位が記憶手段に格納されている。
【0041】
また、水位切替指令部5は給水制御部4の外部に設けられ、該給水制御部4と水位切替指令部5とは電気的に接続されている。水位切替指令部5には、タイマ5aが内蔵されており、該タイマ5aの計時により時間帯に応じて限界水位の切り替えが行われるように、水位切替信号(外部信号線)16が給水制御部4に送信される。本実施の形態では、後述するように昼間帯(例えば、午前8時〜午後8時)と夜間帯(午後8時〜午前8時)とで給水タンク3の限界水位が切り替えられるように構成されており、例えば、タイマ5aが午前8時又は午後8時を計時すると給水制御部4に水位切替信号16を送信する。
【0042】
図2は本第1の対比例の限界水位の水位設定例を示す給水タンク3の概略正面図である。
【0043】
すなわち、昼間帯では主H水位と主L水位でもって給水タンク3の水位(以下、「タンク水位」)が管理される。そして、副H水位は主H水位よりも高い所定位置に設定され、副L水位は主L水位よりも低い所定位置に設定され、これら副H水位と副L水位とで夜間帯のタンク水位が管理される。また、HH水位は副H水位の更に上方に設定され、LL水位は副L水位の更に下方に設定され、タンク水位がHH水位以上又はLL水位以下になったときは警報音や警告灯の点灯又は点滅等によりユーザに報知される。
【0044】
そして、本第1の対比例では、例えば、午前8時になると、水位切替指令部5から給水制御部4に水位切替信号16が送信され、これにより限界水位は主設定に設定される、一方、例えば、午後8時になると、水位切替指令部5から給水制御部4に水位切替信号16が送信され、これにより、限界水位は主設定から副設定に切り替えられる。
【0045】
このように時間帯に応じて主設定と副設定とを切り替えるようにしたのは以下の理由による。
【0046】
事業所等におけるボイラ給水用の水処理システムの場合、夜間帯は通常はボイラを殆ど使用しないため、近隣住民への影響を考慮し、夜間帯での給水を完全停止することが望まれる。
【0047】
しかしながら、操業時間の臨時延長等でボイラの稼動時間を延長せざるを得ない場合もある。この場合、処理水タンク3への給水を全面的に完全停止してしまうと、給水タンク3内の処理水が不足してしまい、ボイラの稼動を停止せざるを得なくなるおそれがある。
【0048】
そこで、本第1の対比例では、昼間帯の限界水位を主設定とし、夜間帯の限界水位
が副設定となるように水位切替信号16により水位切替を行い、時間帯に応じて最適な給水制御を行うようにしている。
【0049】
次に、上記水処理システムの運転方法を具体的に説明する。
【0050】
まず、昼間帯に給水タンク3内のタンク水位が主L水位まで低下すると、給水制御部4は給水要求信号19をポンプ制御部6に送信し、さらにポンプ制御部6は駆動信号20を原水ポンプ1に発し、これにより原水ポンプ1が駆動を開始する。そして、原水は給水ライン9を介して軟水装置7に供給され、該軟水装置7で軟水化された原水はRO装置8で膜ろ過分離され、透過水と濃縮水に分離される。次いで、透過水は処理水となって給水タンク3に補給される。
【0051】
給水タンク3内のタンク水位は水位センサ14によって連続的に検知され、水位検知信号15が給水制御部4に送信される。そして、水位センサ14が主H水位を検知すると、その水位検知信号15を受信した給水制御部4はポンプ制御部6に対する給水要求信号19を停止する。これにより駆動信号20も停止し、原水ポンプ1は停止して水処理システムの運転を停止する。
【0052】
そしてその後、給水タンク3内の処理水がボイラ給水に消費されてタンク水位が主L水位まで低下すると、上述した運転手順で水処理システムの運転を再開し、給水タンク3への処理水の給水を行う。
【0053】
以降、タンク水位が主H水位と主L水位との間で管理されるように給水制御が行われる。
【0054】
その後、夜間帯、例えばタイマ5aが午後8時を計時すると、水位切替指令部5は給水制御部4に対し水位切替信号16を発し、給水制御部4は限界水位を副設定に切り替える。
【0055】
そして、切替直後は副H水位まで給水を行って十分な処理水を確保した後、上述と同様の運転手順で副H水位と副L水位との間でタンク水位を管理しながら給水制御を行う。
【0056】
その後、昼間帯、例えば、例えばタイマ5aが午前8時を計時すると、水位切替指令部5は給水制御部4に対し水位切替信号16を発し、給水制御部4は限界水位を主設定に切り替える。
【0057】
そして、切替直後は主H水位まで給水を行って十分な処理水を確保した後、上述と同様の運転手順で主H水位と主L水位との間でタンク水位を管理しながら給水制御を行う。
【0058】
図3は、水位切替に伴うタンク水位の変化の一例を示す図であり、横軸は時刻、縦軸はタンク水位を示している。図中、T1は昼間帯、T2は夜間帯を示し、X1は主設定から副設定への切替時刻を示し、X2は副設定から主設定への切替時刻を示している。また、実線Y1は水使用量が通常の場合を示し、一点鎖線Y2は水使用量が通常よりも少ない場合を示し、破線Y3は夜間帯の水使用量が通常よりも多い場合を示している。
【0059】
昼間帯T1では、タンク水位が主H水位になると給水が停止し、処理水がボイラ給水に消費されるのでタンク水位は低下してゆく。そして、夜間帯T2に突入する時刻X1(例えば、午後8時)で限界水位は主設定から副設定に切り替えられ、タンク水位は副H水位に達するまで給水タンク3に給水される。
【0060】
そして、水使用量が通常の場合及び少ない場合は、実線Y1及び一点鎖線Y2で示すように、夜間帯T2では副L水位にまで低下することなく、昼間帯T1に突入する時刻X2(例えば、午前8時)となり、限界水位は副設定から主設定が切り替えられる。
【0061】
すなわち、副H水位を主L水位よりも高位に設定し、副L水位を主L水位よりも低位に設定しているので、限界水位の範囲は広がる。したがって、水使用量が通常の場合及び少ない場合は、夜間帯T2での給水を実質的に停止することが可能となる。
【0062】
一方、夜間帯T2での水使用量が多い場合は、切替時(時刻X1)のタンク水位は、水使用量が通常時や通常より少ない場合に比べ低く、このため切替直後の副H水位に達するまでの給水時間は長くなる。しかし、副設定では、主設定に比べ限界水位の幅が広いため、下限水位(副L水位)に低下するまでの時間(給水停止時間)は主設定のときに比べて長くなり、したがって、夜間帯T2、特に真夜の給水時間を短くすることが可能となる。
【0063】
尚、本第1の対比例では、いずれのパターン(Y1〜Y3)においても、昼間帯T2に突入する時刻X2になると限界水位は副設定から主設定の切り替わり、切り替え後の上限水位である主H水位に達するまで処理水タンク3に給水され、給水タンク3の処理水が満水にしてから主設定の範囲内で給水制御が行われる。
【0064】
このように本第1の対比例では、タイマ5aの計時時刻を基準に昼間帯と夜間帯とで限界水位を主設定と副設定に切り替えて給水制御しているので、操業時間の延長等で夜間帯に処理水を要する場合であっても、水使用量が多くない場合(実線Y1及び一点鎖線Y2)は給水タンクへの給水を停止することが可能であり、水使用量が多い場合(破線Y3)は、主設定時に比べて給水時間を短くして水処理システムを運転することが可能とな
る。したがって、近隣住民への影響を極力少なくすることができ、住環境に配慮した水処理システムを実現することができる。
【0065】
尚、上記第1の対比例では、水位切替指令部5にタイマ5aを内蔵させ、水位切替指令部5から水位切替信号16を発しているが、タイマ5aを給水制御部4に内蔵させ、水位切替指令を給水制御部4で直接行ってもよい。
【0066】
図4は上記第1の対比例おける第1の変形例の水位設定例を示す水タンク3の概
略正面図であって、この第1の変形例では、副L水位は図2と同一レベルに設定されているが、副H水位が主H水位に比べ、十分に下方に設定されている。したがって、限界水位が副設定に設定されているときは、低位の比較低狭い限界水位範囲内で給水制御が行われる。
【0067】
図5は、第1の変形例におけるタンク水位の変化の一例を示す図であり、横軸は時刻、縦軸はタンク水位を示している。図3と同様、T1は昼間帯、T2は夜間帯を示し、X1は主設定から副設定への切替時刻を示し、X2は副設定から主設定への切替時刻を示している。また、実線Y4は水使用量が通常の場合を示し、破線Y5は水使用量の多い場合を示し、二点鎖線Y6は主設定から副設定への切替時のタンク水位が低い場合を示している。
【0068】
この第1の変形例では、副L水位が主L水位よりも低いため、水使用量が通常の場合は、実線Y4で示すように、夜間帯T2での給水を停止することができる。
【0069】
一方、水使用量の多い場合や切替時のタンク水位が低い場合は、副H水位と副L水位の間隔が狭いため、図5の破線Y5や二点鎖線Y6に示すように、長時間の連続的な給水は行われることはなく、短時間で断続的に行われる。
【0070】
このように第1の対比例によれば、タンク容量や処理水量等に適した限界水位を設定することにより、ユーザの要求に応じた最適な給水制御を行うことが可能となる。
【0071】
図6は上記第1の対比例の第2の変形例の水位設定例を示す給水タンク3の概略正面図であって、この第2の変形例では、副H水位は、第1の変形例と同様、主H水位よりも十分に低位に設定され、また副L水位を主L水位と同一位置に設定され、主設定と副設定とを事業所の営業日と休業日とで切り替えるようにしている。
【0072】
事業所の休業日はボイラ等の稼動を停止する場合も多く、水の使用量も少ない。したがって、給水タンク3に処理水を貯留しておくと、処理水自体の給水タンク3での滞留時間が長くなり、雑菌等が繁殖して水質の劣化を招くおそれがある。したがって、事業所の休業日は、給水タンク3の水位を極力低下させておくのが望ましいと考えられる。
【0073】
この場合、休業日毎に手動で水位設定を変更することも考えられる。しかし、季節変動等に伴う年間2〜3回程度の水位切替であれば手動での水位切替も容易であるが、毎週のように存在する休業日を手動で水位切替するのは現実的な対応ではない。
【0074】
そこで、本第2の変形例では、水位切替指令部5からの指令により予め設定された限界水位に切り替え、給水制御を行っている。ただし、給水タンク3の副L水位を過度に低く設定して給水タンク3の貯水量を減らすと、水処理装置(軟水装置7及びRO装置8)の運転駆動と運転停止の繰り返し頻度が多くなり、このため水処理装置内の滞留水の水質劣化を招いたり、水処理装置の損傷を招くおそれがある。
【0075】
このため本第2の変形例では、副L水位が過度に低くならないように副L水位を主L水位と同一レベルにしている。
【0076】
図7は、第2の変形例の水位切替例を示す図であり、横軸は曜日、縦軸はタンク水位を示している。本第2の変形例では、月曜日〜金曜日は営業日、土曜日及び日曜日を休業日とし、タイマ5a(ウィークリタイマ)により月曜日〜金曜日を主設定で給水制御し、土曜日及び日曜日を副設定で給水制御するように設定されている。
【0077】
このように事業所の営業日と休業日とで水位設定を切り替え、休業日のタンク水位が低くなるようにタンク水位を管理することにより、給水タンク3に大量の処理水が長時間滞留するのを回避することが可能となり、水質劣化を防止することが可能となる。
【0078】
尚、この第2の変形例では、月曜日〜金曜日と、土曜日及ぶ日曜日とで主設定と第2限界水位の水位を切替えているが、プログラムタイマ等で祝日やその他の臨時休業日等を副設定に基づいて給水制御するようにするのも好ましい。
【0079】
<第2の対比例>
図8は本発明に関連する第2の対比例の水処理システムを示すシステム構成図であって、本第2の対比例は、再生型ろ過装置としての除鉄・除マンガンろ過装置22が軟水装置7の上流側の給水ライン23上に設けられており、再生処理前に給水タンク3に強制的に給水することにより、再生処理に起因した給水タンク3の貯水量低下を回避している。
【0080】
再生型ろ過装置22を有する水処理システムでは、再生処理中は給水タンク3に給水することができない。したがって、給水タンク3に貯留された処理水を使用してろ材を再生する場合は、再生処理中に給水タンク3の水位が過度に低下し、このためボイラ等への給水量が一時的に不足するおそれがある。
【0081】
このような給水量の不足を補填する方法としては、別経路から処理水をバックアップ給水することも考えられるが、運用上の制約条件が増えたり、別途新たな設備を増設する必要があり、好ましくない。
【0082】
そこで、本第2の対比例では、図9に示すように、副L水位を主L水位と同一レベルに設定する一方、副H水位を主H水位よりも高く設定し、再生処理に突入する直前に限界水位の設定を主設定から副設定に切り替えて給水タンク3に貯留される処理水量を増量させ、これにより再生処理により給水タンク3の貯水量が過度に低下するのを回避してい
る。
【0083】
以下、上記第2の対比例について、より詳しく説明する。
【0084】
図8において、水処理装置群21は、軟水装置7及びRO装置8に加え、除鉄・除マンガンろ過装置22を有し、さらに該除鉄・除マンガンろ過装置22は逆洗ライン24を介して給水タンク3に接続され、かつ逆洗ライン24上には逆洗ポンプ25が介装されている。
【0085】
除鉄・除マンガンろ過装置22は、無煙炭を粉砕して粒状とされたアンスラサイトがマンガン酸化触媒上に重層されており、原水に注入された次亜塩素酸ナトリウムによって原水中の鉄分が酸化されて析出し、これにより原水から鉄分が除去される。また、原水中のマンガン成分はマンガン酸化触媒によって酸化除去される。さらに、除鉄・除マンガンろ過装置22にはタイマが内蔵されており、原水の供給を定期的(例えば、0.5〜1/日)に遮断し、逆洗ポンプ25を駆動させ、給水タンク3に貯留された処理水を除鉄・除マンガンろ過装置22に供給してろ材の再生処理を行う。
【0086】
また、この第2の対比例では、給水制御部4とは物理的に別個独立した前処理制御部26が設けられている。そして、RO装置8は、第1の実施の形態と同様、制御線18
を介して給水制御部4に電気的に接続される一方、除鉄・除マンガン装置22及び軟水装置7は、それぞれ制御線27、28を介して前処理制御部26と電気的に接続され、これら除鉄・除マンガン装置22及び軟水装置7は、前処理制御部26により制御される。尚、前処理制御部26は原水ポンプ1及び逆洗ポンプ25に駆動信号32、33を送信し、これら原水ポンプ1及び逆洗ポンプ25は前処理制御部26により制御される。
【0087】
また、給水制御部4と前処理制御部26とは電気的に接続されており、給水制御部4は前処理制御部26に対し給水要求信号29を送信し、前処理制御部26は給水制御部26に対し運転許可信号30を送信する。すなわち、前処理制御部26は、除鉄・除マンガンろ過装置22及び軟水装置7からの給水要求信号29に応じて運転可能な状態にある場合は、常に給水制御部4に運転許可信号30を送信する。給水制御部4は給水が必要と判断した場合に前処理制御部26からの運転許可信号30が有効であれば、前処理制御部26に給水要求信号29を送信する。
【0088】
そして、除鉄・除マンガンろ過装置22は、再生処理に突入する所定時間前に前処理制御部26に対し再生要求信号を発し、該再生要求信号を受信した前処理制御部26は給水制御部4に水位切替信号31を送信する。
【0089】
ここで、前処理制御部26を給水制御部4とは物理的に別個独立に設けたのは以下の理由による。
【0090】
膜ろ過装置は、たとえ機械的構造に差異があっても原水を供給して処理水を生産すると
いう動作自体は同一である。したがって、種々の膜ろ過装置を給水制御部4で電気的に統一的に取り扱うことは比較的容易である。
【0091】
これに対し再生型ろ過装置は、再生処理中は通水が停止される上、処理水量や水質に応じて種類や大きさ、個数が区々であり、原水ポンプの能力も異なる。したがって、再生型ろ過装置を含む前処理制御は、給水制御とは異なり、統一的な取り扱いが困難であり、原水の水質や要求処理能力に応じ個別に対応する必要がある。
【0092】
したがって、前処理と給水処理とを別個独立に制御した方が、効率的であり、コスト的にも有利である。また、前処理と給水処理とを別個独立に構築し、両者を連携させることにより、種々のバリエーションに対応可能な水処理システムを低コストかつ迅速に実現することが可能となる。
【0093】
そこで、本第2の対比例では、給水制御部4と前処理制御部26とを物理的に別個
独立して構築し、両者を電気的に接続して連携し、前処理制御部26から給水制御部4に水位切替信号31を送信することにより、最適な給水制御を実現している。
【0094】
次に、本第2の対比例の運転方法を詳述する。
【0095】
まず、水処理システムの運転が可能なときは、前処理制御部26は給水制御部4に運転許可信号30を常時送信する。そして、水位センサ14が主L水位未満を検知すると、給水制御部4は運転許可信号30を受信していることを確認した後、前処理制御部26に給水要求信号29を送信する。そして、給水要求信号29を受信した前処理制御部26は原水ポンプ1に駆動指令を発する。これにより、原水は原水ポンプ1から汲み上げられて給水ライン23を通過し、不図示の薬剤注入装置によって原水中に次亜塩素酸ナトリウムが注入され、除鉄・除マンガン装置22に供給され、原水中の鉄分やマンガン成分が除去される。
【0096】
次いで、原水は軟水装置7で軟水化され、軟水化された原水は、RO装置8に供給される。そして、原水はRO装置8で透過水と濃縮水に膜ろ過分離され、濃縮水の一部は循環ライン50を介して加圧ポンプ12に還流され、残りは排水弁13から排水される。
【0097】
一方、透過水は処理水となって給水タンク3に給水される。そして、水位センサ14が主H水位を検知すると給水要求信号29を無効とし、原水ポンプ1は停止し、除鉄・除マンガンろ過装置22は待機モードになる。次いで、再生モードに突入する所定時間前に除鉄・除マンガンろ過装置22は制御線27を介して再生要求信号を前処理制御部26に送信する。該再生要求信号を受信した前処理制御部26は、水位切替信号31を給水制御部4に送信する。水位切替信号31を受信した給水制御部4は、限界水位を主設定から副設定に切り替え、かつ給水要求信号29を送信し、原水ポンプ1を駆動させる。その後、上述と同様の方法で給水を開始し、副設定でもって給水処理を行い、給水タンク3の貯水量を増量させる。
【0098】
そして、除鉄・除マンガンろ過装置22が再生モードに入ると、運転許可信号30を無効とし、これにより給水要求信号29を無効とし、水位切替信号31を主設定に切り替え、原水ポンプ1を停止する。そして、給水タンク3の処理水を使用して再生処理を行う。その後、再生処理が終了すると、前処理制御部26は運転許可信号30を給水制御部4に送信し、運転許可信号30の受信を確認した給水制御部4は、水位センサ14が主L水位未満を検知していた場合、前処理制御部26に給水要求信号29を送信し、原水ポンプ1を駆動させ上述した方法で水処理システムの運転を再開する。
【0099】
図10は運転状態とタンク水位の関係を示す図である。
【0100】
水位センサ14が主H水位を検知すると、原水ポンプ1が停止し、除鉄・除マンガンろ過装置22は待機モードとなる。この待機モードでは運転許可信号30は有効であるが、給水要求信号29は無効となり、水処理システムは運転を停止する。
【0101】
そして、待機モードでは給水タンク3内の処理水がボイラ給水に使用されるため、タンク水位は低下する。そして、再生モードに突入する所定時間前に除鉄・除マンガンろ過装置22は前処理制御部26に再生要求信号を発する。尚、所定時間は、例えば、再生要求信号が発せられてからタンク水位が副H水位に上昇するまでの時間、またはその近似時間に設定される。
【0102】
そして、前処理制御部26は給水制御部4に対し水位切替信号31を送信し、これにより水位設定は主設定から副設定に切り替えられる。一方、給水制御部4は前処理制御部26に給水要求信号29を送信し、これにより前処理制御部4の管理下、原水ポンプ1が駆動し除鉄・除マンガン装置22に給水を開始する。そして、タンク水位が再び上昇し、タンク水位が副H水位又はその近傍に達すると、除鉄・除マンガンろ過装置22は再生モードに突入し、逆洗ポンプ25を駆動させて給水タンク3内の処理水を除鉄・除マンガンろ過装置22に供給し、逆洗処理を行う。また、再生モードに突入すると、運転許可信号30は無効とされ、これに伴い給水要求信号31も無効とされる。尚、再生モードにおける水位設定は主設定及び副設定のうちのいずれでもよいが、本第2の実施の形態では主設定に設定されている。
【0103】
そして、再生モードでは、逆洗処理を行った後、所定時間休止し、その後水洗処理を行う。このとき、給水タンク3の処理水は逆洗処理によって大量に消費され、その後の水洗期間では再生中の処理水利用でタンク水位は更に低下する。
【0104】
再生処理が終了すると、運転許可信号30は有効となり、運転許可信号30の有効を確認した給水制御部4は、水位センサ14が主L水位未満を検知していた場合、給水要求信号29を前処理制御部26に送信し、除鉄・除マンガンろ過装置22は通水モードとなる。そして、給水タンク3には再び処理水が給水され、タンク水位は上昇し、その後、水処理システムは、主設定でもって給水制御が行われることになる。
【0105】
このように第2の対比例では、除鉄・除マンガンろ過装置22の運転状態に応じて限界水位を切り替え、給水制御を行っているので、大量の処理水を消費する再生モードに突入する前に給水タンク3内の処理水量を増量することが可能となり、給水タンク3の貯水量が過度に低下するのを防止することができる。
【0106】
尚、本第2の対比例では、再生処理時に大量に処理水を使用する場合を例示したが、再生型ろ過装置が搭載されていない水処理システムであっても、特定時刻に大量の処理水を使用する場合に本第2の実施の形態を適用することが可能である。
【0107】
<本発明の実施の形態>
図11は本発明の実施の形態の水処理システムを示すシステム構成図である。
【0108】
本本発明の実施の形態では、給水タンク34の側壁に温度スイッチ35が取り付けられ、給水タンク3内の処理水の水温(以下、「タンク水温」という。)が所定の高温(例えば、80℃)になると水位切替信号36が給水制御部4に送信される。
【0109】
また、給水タンク34にはドレンライン37を介してボイラからのドレンが回収される
と共に、該給水タンク34の上方側壁にはオーバーフロー管38が設けられている。
【0110】
すなわち、ボイラからのドレンを給水タンク34に回収するボイラ給水用の水処理システムでは、ドレン回収率が高くなりすぎると給水タンク34内の水温が過度に上昇するおそれがある。
【0111】
そこで、本発明の実施の形態では、タンク水温が所定の高温になったときは、水位設定を副設定に切り替え、これにより処理水をオーバーフロー管38から排水可能としつつ、給水ライン9から給水するようにしている。
【0112】
図12は本発明の実施の形態における処理タンクの水位設定例を示す図である。副L水位は主L水位と同一レベルであるが、副H水位はHH水位やオーバーフロー管38よりも高位に設定されている。
【0113】
そして、タンク水温が低いときは、温度スイッチ35がオフされ、水位設定は主設定を維持し、主H水位と主L水位との間で水位を管理しながら給水制御が行われる。
【0114】
一方、ボイラからのドレン回収をする場合、ドレンライン37からの高温のドレンが大量に給水タンク34に注がれると、タンク水温が上昇する。そして、タンク水温が所定高温になると温度スイッチ35がオンし、水位切替信号36が給水制御部4に送信され、水位設定が副設定に切り替えられる。
【0115】
副設定では、図13に示すように、副H水位と副L水位との間でタンク水位を管理しながら給水制御が行われる。
【0116】
すなわち、タンク水位がHH水位に達すると、該タンク水位が異常高水位にあるため警報を発する。しかし、タンク水位がHH水位に達しても水温が所定低温(例えば、40℃)以下に下がらない場合は、給水ライン9からの給水を続行する一方、オーバーフロー管38からドレンを排水させる。そしてこれによりタンク水温が過度に高温状態を維持するのを極力避ける。
【0117】
そして、タンク水温が所定低温以下に低下すると温度スイッチ35がオフし、水位切替信号36が給水制御部4に送信され、限界水位が副設定から主設定に切り替えられる。
【0118】
このように本発明の実施の形態では、タンク水温が過度に高温状態で放置されるのを回避することができ、ボイラ給水用水処理システムの安全性を向上させることができる。
【0119】
尚、通常は、オーバーフロー管38から処理水を排水させつつ、処理水を給水ライン9から給水タンク34に補給することにより、タンク水位は副H水位に到達することなく水温を低下させることができるが、仮にオーバーフロー管38からの排水能力が低い場合は、給水タンク34の水位が副H水位に達すると給水が停止する。したがって処理水が給水タンク34から溢れ出ることはない。
【0120】
上記本発明の実施の形態から理解されるように本発明によれば、タンク水温に応じた最適な給水制御を実現することができる。
【0121】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない範囲で変更可能なことはいうまでもない。例えば、上記実施の形態では一組の主設定と一組の副設定で運転状態や時刻等に応じた給水制御を行っているが、要求される処理水量等に応じ、複数の副設定、例えば、第1〜第nの副H水位(nは2以上の整数)、第1〜第mの副L水位
(mは2以上の整数)を記憶手段に記憶させておき、副H水位と副L水位を適宜組み合わせて水位を管理しながら給水制御を行うのも好ましい。
【0122】
また、上記本発明の実施の形態では膜ろ過装置としてRO装置を使用したが限外ろ過膜装置、精密ろ過膜装置、ナノろ過膜装置も同様に使用できる。さらに、水処理装置についても、他の水処理装置、例えば砂ろ過装置や活性炭ろ過装置等の再生型ろ過装置に適用することもできる。
【0123】
また、上記本発明の実施の形態では、ボイラ給水用の水処理システムについて説明したが、その他の水処理システム、例えば、飲料水用の水処理システムでも同様に適用することが可能である。この場合、雑菌の繁殖を防止する観点から、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物が添加された処理水が給水タンクに給水される。したがって、処理水タンク内の残留塩素濃度が所定値未満になると、一定時間強制給水されるように副設定を設け、主設定と副設定とを適宜切替えて給水制御するのが好ましい。
【0124】
また、寒冷地等で配管が屋外に設置されている水処理システムに適用する場合は、配管適所に温度センサを装着し、温度センサで検知される温度が所定温度(例えば、4℃)以下になると、強制給水するように副設定を設けておき、主設定と副設定とを適宜切替えて所望の給水制御をするができる。
【0125】
また、上記本発明の実施の形態では、圧力検知式の水位センサを使用したが、水位を連続的に検知できるものであれば、圧力検知式に限定されるものではなく、例えば、静電容量式等、測定原理の異なる他の方式の水位センサを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明に関連する第1の対比例の水処理システムを示すシステム構成図である。
【図2】第1の対比例における限界水位の水位設定例を示す給水タンクの概略正面図である。
【図3】第1の対比例におけるタンク水位の変化の一例を示す図である。
【図4】第1の対比例の第1の変形例の水位設定例を示す給水タンクの概略正面図である。
【図5】第1の対比例の第1の変形例のタンク水位の変化の一例を示す図である。
【図6】第1の対比例の第2の変形例の水位設定例を示す水タンク3の概略正面図である。
【図7】第1の対比例の第2の変形例における水位切替例を示す図である。
【図8】本発明に関連する第2の対比例の水処理システムを示すシステム構成図である。
【図9】第2の対比例の限界水位の水位設定例を示す給水タンクの概略正面図である。
【図10】第2の対比例における運転状態とタンク水位の関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る水処理システムを示すシステム構成図である。
【図12】本発明の実施の形態における処理タンクの水位設定を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態で限界水位を副設定にしたときの給水タンク内の状態を示す図である。
【図14】特許文献1に記載された従来技術のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0127】
2 水処理装置群
3、34 給水タンク
4 給水制御部(給水制御手段)
5 水位切替指令部(切替指令手段)
5a タイマ(計時手段)
16 31、36 水位切替信号(外部信号線)
22 除鉄・除マンガンろ過装置(水処理装置)
25 逆洗ポンプ(周辺機器)
26 前処理制御部(運転状態検出手段、切替指令手段)
35 温度スイッチ(温度検出手段、切替指令手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水から処理水を生成する水処理装置と、前記処理水を貯留する給水タンクと、前記給水タンク内の前記処理水の水位を連続的に検出する水位検出手段と、前記水位検出手段の検出結果に基づき前記給水タンクへの前記処理水の給水を制御する給水制御手段とを備えた水処理システムにおいて、
前記給水制御手段が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、
前記給水タンク内の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出結果に基づき前記限界水位の切り替えを前記給水制御手段に指令する切替指令手段とを有し、
かつ、前記給水制御手段は、前記切替指令手段からの指令に基づき前記限界水位を変更し、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発することを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
前記切替指令手段と前記給水制御手段とは、外部信号線を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記水処理装置には、軟水装置及び膜ろ過装置が含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記限界水位設定手段は、極上限水位及び極下限水位からなる極限水位を設定すると共に、
前記給水制御手段は、前記給水タンクの水位が前記極上限水位以上及び前記極下限水位以下のいずれかに達したときは、異常を報知する異常報知手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項1】
原水から処理水を生成する水処理装置と、前記処理水を貯留する給水タンクと、前記給水タンク内の前記処理水の水位を連続的に検出する水位検出手段と、前記水位検出手段の検出結果に基づき前記給水タンクへの前記処理水の給水を制御する給水制御手段とを備えた水処理システムにおいて、
前記給水制御手段が、限界水位を構成する上限水位と下限水位とをそれぞれ複数設定する限界水位設定手段を有すると共に、
前記給水タンク内の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出結果に基づき前記限界水位の切り替えを前記給水制御手段に指令する切替指令手段とを有し、
かつ、前記給水制御手段は、前記切替指令手段からの指令に基づき前記限界水位を変更し、前記切替指令手段により前記限界水位の切替指令を受信したときに切替後の水位が前記切替後に指定された上限水位以下の場合は、前記上限水位に達するまで前記給水タンクへの給水指令を発することを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
前記切替指令手段と前記給水制御手段とは、外部信号線を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記水処理装置には、軟水装置及び膜ろ過装置が含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記限界水位設定手段は、極上限水位及び極下限水位からなる極限水位を設定すると共に、
前記給水制御手段は、前記給水タンクの水位が前記極上限水位以上及び前記極下限水位以下のいずれかに達したときは、異常を報知する異常報知手段を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−139685(P2012−139685A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66562(P2012−66562)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2007−301477(P2007−301477)の分割
【原出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2007−301477(P2007−301477)の分割
【原出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】
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