水処理システム
【課題】
水道水や井戸水、雨水等を原水として、原水中に含まれる不純物を除去できるので、自然災害時等で安全な水が確保しがたい場合にも、飲料水や生活用水として良質な水を得ることができるとともに、洗剤の使用量を削減できるとともに、生活用水を効率的に使用できる水処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
(a)原水を貯める原水タンクと、(b)直列に連設された前処理フィルタと、前処理カーボンフィルタと、軟水化フィルタ(イオン交換膜)と、逆浸透膜フィルタと、後処理カーボンフィルタと、を備え、原水タンクの水を浄水する浄水部と、(c)浄水部の水を屋内の生活用水として使用する浄水利用部と、(d)逆浸透膜フィルタの排水を原水タンク又は排水タンクに送る浄水排水供給管と、(e)排水タンクの水を浄水利用部とは別の生活用水に用いる浄水排水利用部と、を備える構成を有している。
水道水や井戸水、雨水等を原水として、原水中に含まれる不純物を除去できるので、自然災害時等で安全な水が確保しがたい場合にも、飲料水や生活用水として良質な水を得ることができるとともに、洗剤の使用量を削減できるとともに、生活用水を効率的に使用できる水処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
(a)原水を貯める原水タンクと、(b)直列に連設された前処理フィルタと、前処理カーボンフィルタと、軟水化フィルタ(イオン交換膜)と、逆浸透膜フィルタと、後処理カーボンフィルタと、を備え、原水タンクの水を浄水する浄水部と、(c)浄水部の水を屋内の生活用水として使用する浄水利用部と、(d)逆浸透膜フィルタの排水を原水タンク又は排水タンクに送る浄水排水供給管と、(e)排水タンクの水を浄水利用部とは別の生活用水に用いる浄水排水利用部と、を備える構成を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜を用いた生活用水の水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活用水や飲料水において味や使用者の健康を鑑みて、水道水に浄水装置を付ける家庭が増えている。また、自然災害等により、生活用水や飲料水が汚染され、安全な水の確保が難しい場合に、安心して使用できる生活用水や飲料水を確保することが求められていた。
これらの課題を解決するために、(特許文献1)には、「少なくとも活性炭フィルタ、逆浸透膜フィルタ、及びイオン交換膜フィルタのそれぞれが、防錆性能を持った素材からなる円筒体の内部に装着され、この3本の円筒体の後方に前記フィルタを通して処理された浄水を貯水する貯水タンクが設置され、逆流防止弁が設けられた給水口から吸水ポンプによって浄水が給水される浄水器」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、浄水器が給水口を備えているので、浄水器のある場所でなければ使用できず、生活用水として使用するには利便性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、水道水や井戸水、雨水等を原水とし、原水中に含まれる塩素等の無機物、ダイオキシンや農薬等の有機物、放射性物質、細菌やウイルス等の不純物を除去できるので、自然災害時等で安全な水が確保しがたい場合にも、飲料水や生活用水として良質な純水を得ることができるとともに、洗剤等の泡立ちが良いので洗剤の使用量を削減できるとともに、生活用水を効率的に使用することができる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の水処理システムは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の水処理システムは、(a)原水を貯める原水タンクと、(b)前記原水タンクと各々が直列に連設された前処理フィルタ室と、前処理カーボンフィルタ室と、軟水化フィルタ(イオン交換膜)室と、逆浸透膜フィルタ室と、後処理カーボンフィルタ室と、を備え、各フィルタ室のフィルタが脱着自在に備えられるとともに、前記原水を浄化する浄水部と、(c)前記浄水部の水を屋内の生活用水として使用する浄水利用部と、(d)前記逆浸透膜フィルタの排水を前記原水タンク又は排水タンクに送る浄水排水供給管と、(e)前記排水タンクの水を前記浄水利用部とは別の生活用水に用いる浄水排水利用部と、を備える構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)逆浸透膜フィルタを備えるので、放射性物質やダイオキシン、農薬、ウイルス等の微細な不純物を除去することができ、安全な生活用水を得ることができる。
(2)前処理フィルタや前処理カーボンフィルタを備えることで、塩素や鉄錆、細菌、有機物等を除去できるとともに、ろ過時に逆浸透膜にかかる負荷を軽減することができる。
(3)軟水化フィルタを備えるので、硬度成分を除去し、軟水化することができるので、洗剤等の泡立ちがよくなるとともに、日本人が最もおいしいと感じる水に変えることができる。
(4)後処理フィルタを備えるので、逆浸透膜フィルタでは除去できない臭い成分等を除去できるとともに、微量のミネラルを添加することができる。
(5)微量のミネラルが添加された純水を用いるので、洗剤の泡立ちが良く、洗剤の使用量を削減することができるので、生活排水による環境負荷を軽減することができる。
(6)雨水や河川水等を生活用水として使用することができるので、水道水の使用量を削減することができる。
(7)逆浸透膜フィルタから出る浄水排水を原水として使用できるとともに、排水タンクの水はトイレの洗浄水や植物の散水、洗車等に用いることができるので、水を無駄にせず効率的に使用することができる。
【0007】
純水を生成するための原水としては、水道水、井戸水、雨水、河川水、海水等を用いることができる。雨水等の連続的に水が得られないものを原水として用いる場合は、雨水等を貯めておく貯蔵タンクを備えることが望ましい。また、水道水や井戸水を使用する場合、原水タンクとの間に逆流防止の措置をとることが望ましい。
原水タンクは40〜60Lの容量が好適に使用される。容量が40Lより小さくなるにつれて、純水の生成量よりも原水の供給量が多くなった場合に、オーバーフローを起こす可能性が高くなる傾向にあるため好ましくない。また、60Lより大きくなるにつれて、原水タンクが大きくなるので、設置場所を確保し難くなる傾向にあるので好ましくない。
【0008】
前処理フィルタは、孔径0.01μmの中空糸膜フィルタが用いられ、塩素や鉄錆、揮発性の有機物、懸濁物質等で0.01μmより径の大きい不純物を除去するものである。塩素や鉄錆、懸濁物質等を除去するので、逆浸透膜フィルタでろ過する際の負荷を軽減し、逆浸透膜フィルタの寿命を長くすることができる。
前処理カーボンフィルタ及び後処理カーボンフィルタは、同様のものが用いられ、活性炭フィルタが用いられる。前処理カーボンフィルタは、逆浸透膜フィルタを通過前に、塩素や細菌、有機物等を除去するために用いられる。
後処理カーボンフィルタは、逆浸透膜フィルタを通過後の純水の臭いや微細な不純物を除去し、微量のミネラル分を添加するものである。細菌や有機物を除去できるので、逆浸透膜フィルタろ過する際の負荷を軽減し、フィルタの寿命を長くすることができるとともに、純水にミネラルを追加することができるので、完全な純水とは異なる味わいのある水にすることができる。
後処理カーボンフィルタの代わりに、粒径10mm〜50mmの珪石が充填された珪石フィルタを用いても良い。珪石フィルタを用いることで、純水がクラスター化することなく水が分子レベルの大きさとなり、熱伝導率が改善され風呂に入ると身体が芯から温まる温泉効果を期待することができる。また、ミネラル分の添加方法として、海洋深層水あるいはにがり成分(ナトリウムやマグネシウム等)を添加しても良い。
【0009】
軟水化フィルタは、陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜が用いられる。軟水化フィルタによって、前処理カーボンフィルタを通過後の浄水中のマグネシウムやカルシウム等の硬度成分をナトリウムに置き換えること、軟水化する。軟水化フィルタによって、硬度成分が除去され、浄水が軟水化するので、洗剤等の泡立ちを良くすることができる。
逆浸透膜フィルタは、孔径が約0.0001μmであり、高圧に耐えられる逆浸透膜が好適に用いられる。これにより、放射性物質やダイオキシン類、農薬、ウイルス等で大きさが0.0001μm以上の不純物を除去することができる。逆浸透膜フィルタを通過する浄水は、逆浸透膜によって浄水排水と純水に分けられ、浄水排水は原水タンク又は排水タンクに送られ、排水タンクに貯められた浄水排水はトイレの洗浄水や植物への散水、洗車等に用いることができる。
【0010】
原水から生成された純水は、洗濯や風呂、洗面所、台所等で飲料水等の生活用水として使用される。不純物が除去された純水を使用すると、洗剤や石けん等の泡立ちが良いので、洗剤等の使用量を減らすことができ、生活排水による環境負荷を軽減することができる。
また、風呂水等の使用後の水の中でも比較的不純物の少ない生活排水を、中空糸膜フィルタや活性炭フィルタ等で浄水した後に再処理タンクに貯め、再処理水を洗濯用水やトイレの洗浄水、植物への散水、洗車用水等として使用するようにしてもよい。このとき、紫外線ランプ等によって殺菌処理を行うことが望ましい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水処理システムであって、前記原水タンクが雨水取水部、井戸水取水部、水道水取水部の取水の優先順序を選択するための取水選択手段を備える構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)原水(雨水、井戸水、水道水等)の取水の優先順位を選択できるので、本水処理システムを利用する場所に合わせて、原水の取水割合を選択でき、水をより効率的に利用することができる。
【0012】
取水選択手段としては、原水タンク内部に取り付けたフロート又は水位センサ等と連動したポンプ又は電磁弁等が用いられる。各取水部にポンプ又は電磁弁を取り付け、原水タンク内の水位が上がりフロート又は水位センサが反応すると、連動したポンプが止まるか、電磁弁が閉じ原水の供給が止まるようにする。更に、複数のフロート又は水位センサを高さを変えて設置することで、水位が高くなるにつれ、下側に設置されたフロート又は水位センサと連動したポンプ又は電磁弁を備える供給管からの供給が止まるので、原水の取水における優先順序を選択することができる。
【0013】
取水部としては、雨水取水部、井戸水取水部、水道水取水部があるが、原水として使用できる水であれば、その他の水の取水部を設けても良い。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の水処理システムによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1によれば、
(1)安全に使用できる飲料水等の生活用水が得られるとともに、洗剤等の使用量を削減することで環境負荷を軽減することができ、効率的に水を利用することができる水処理システムを提供することができる。
【0015】
請求項2によれば、
(1)原水(雨水、井戸水、水道水等)の取水の優先順位を選択できるので、本水処理システムを利用する場所に合わせて、原水の取水割合を選択でき、水をより効率的に利用することができる水処理システムを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1の水処理システムの概念図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の水処理システムの概念図である。
図1において、1は実施の形態1の水処理システム、2は水道水、井戸水、雨水等の原水が貯められる容量が40〜60Lの原水タンクである。原水タンク2は、水道8や井戸9、雨水タンク10から、それぞれ配設される水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cと接続される。3は原水タンク2と管路19を介して連設され原水を浄水する浄水部である。浄水部3は、前処理フィルタ室11、前処理カーボンフィルタ室12、軟水化フィルタ室13、逆浸透膜フィルタ室14、後処理カーボンフィルタ室15を備えており、各フィルタは圧力計18を備える管路19によって直列に接続されている。4は浄水部3で浄水され生成された純水が貯められる容量が200〜500Lの純水タンク、5は純水タンク4中の純水がポンプ16で供給され使用される浄水利用部、6は逆浸透膜フィルタ室14から出る浄水排水が貯められる容量が80〜120Lの排水タンクである。排水タンク6は、浄水排水供給管19dによって逆浸透膜フィルタ室14及び原水タンク2と接続される。7は排水タンク6に貯められた浄水排水を使用する浄水排水利用部、17は原水タンク2中の原水が逆流しないように水道水供給管19a及び井戸水供給管19bに設けられた逆流防止弁である。
【0018】
ここで、原水タンク2の容量は、純水の生成量にもよるが、40〜60Lのものが好適に使用される。容量が40Lより小さくなるにつれて、純水の生成量よりも原水の供給量が多くなった場合に、オーバーフローを起こす可能性が高くなる傾向にあるため好ましくない。また、60Lより大きくなるにつれて、原水タンクが大きくなるので、設置場所を確保し難くなる傾向にあるので好ましくない。
原水タンク2と接続された水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cには水の供給停止手段を備えることが望ましい。水の供給停止手段としては、原水タンク2内に備えたフロートの上下動や水位センサと連動して動く電磁弁やポンプ等を用いることができる。供給停止手段を備えることで、原水タンクがオーバーフローすることがなくなる。また、水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cの原水タンク2側の端部に供給停止手段を設け、原水タンク2の接続位置をそれぞれ異なる高さにすることで、原水タンク2にどの水を優先的に供給するかを決めることができる。
原水タンク2には、逆浸透膜フィルタ室14で出される浄水排水も供給される。このとき、逆浸透膜フィルタ室14の浄水排水を供給する浄水排水供給管19dは、原水タンク2と接続された水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cの接続位置よりも高い位置に接続することが望ましい。これにより、浄水排水が原水として優先的に使用されるとともに、浄水排水供給管19dが排水タンク6まで繋がっているので、万一オーバーフローした際でも、排水タンク6をオーバーフローした原水の受けとすることができる。
【0019】
浄水部3は、上流側から順に前処理フィルタ室11、前処理カーボンフィルタ室12、軟水化フィルタ室13、逆浸透膜フィルタ室14、後処理カーボンフィルタ室15が圧力計を備えた管路によって直列に接続されている。浄水部3によって原水タンク2内の原水は浄水され純水となり、純水タンク4に貯められる。
前処理フィルタ室11には、孔径0.01μmの中空糸膜フィルタ等が備えられ、原水中の懸濁物質や塩素、有機物等の0.01μmより径の大きい不純物を除去する。
前処理カーボンフィルタ室12及び後処理カーボンフィルタ室15には、活性炭フィルタ等が備えられ、前処理カーボンフィルタ室12は、前処理フィルタ室11を通過後の浄水中の塩素や有機物、細菌等を除去する。後処理カーボンフィルタ室15は、逆浸透膜フィルタ室14を通過した後の純水の臭い成分除去し、微量なミネラルの添加を添加する。後処理カーボンフィルタ室15を通過した純水は、純水タンク4に貯められる。
軟水化フィルタ室13は、陽イオン交換膜等が用いられ、前処理カーボンフィルタ室12を通過後の浄水中のマグネシウムやカルシウム等の硬度成分をナトリウムに置き換えることで軟水化させる。
逆浸透膜フィルタ室14は、孔径0.0001μm逆浸透膜であり、軟水化フィルタ室13を通過した浄水が純水と浄水排水に分けられる。分けられた純水は、後処理カーボンフィルタ室15に送られ、浄水排水は浄水排水供給管19dを通り、原水タンク2又は排水タンク6に送られる。
各フィルタ室(11,12,13,14,15)に備えられるフィルタは、目詰まりが増え、圧力計の値の上昇が見られた場合に、容易に交換できるよう着脱自在に備えられる。フィルタが着脱自在では無い場合、フィルタ室の接続部を着脱自在にし、フィルタ室ごと交換しても良い。
浄水部3で生成される純水は、1〜2L/minの流量で生成される。
【0020】
純水タンク4の容量は、200〜500Lのものが好適に用いられる。容量が200Lよりも小さくなるにつれて、風呂等で水を使用した場合に純水が足りなくなり、他の生活用水と同時に使用できなく傾向にあるので好ましくない。また、容量が500Lより大きくなるにつれて、純水タンクが大きく、且つ重くなるので、設置場所が確保し難くなる他、設置作業も困難となる傾向にあるので好ましくない。
純水タンク4内の水は、ポンプ16によって浄水利用部5に送られ、台所や洗面所、風呂場等で使用される他、洗濯用水等としても用いられる。
【0021】
排水タンク6の容量は、80〜120Lのものが好適に使用される。容量が80Lより小さくなるにつれて、トイレ使用が集中する朝の時間帯に利用水が不足する傾向にあり好ましくない。また、容量が120Lより大きくなるにつれ、設置場所が確保することが難しくなる傾向にあり好ましくない。
排水タンク6に貯められる浄水排水は、逆浸透膜フィルタ室14から出る浄水排水であるので、排水タンク6の水を使用する浄水排水利用部7は、トイレの洗浄水や植物への散水、洗車用水等に用いられる。
【0022】
次に、図1を用いて実施の形態1の水処理システムの水処理方法を説明する。
まず、水道8や井戸9、雨水タンク10の水がポンプ16で圧送され原水タンク2に水が供給され貯蔵される。このとき、水道8や井戸9と連接した水道水供給管19a及び井戸水吸水管19bには逆流防止弁17を備えているので、原水タンク2の水が水道8や井戸9に逆流することがない。
次に、原水タンク2の水は管路19を通って浄水部3に送られ、前処理フィルタ室11、前処理カーボンフィルタ室12、軟水化フィルタ室13、逆浸透膜フィルタ室14、後処理カーボンフィルタ室15の順に浄化され、純水タンク4に貯められる。
次いで、純水タンク4内の純水はポンプ16によって浄水利用部5に送られ風呂場や台所、洗面所、洗濯用水等の生活用水として使用される。
逆浸透膜フィルタ室14から出る浄水排水は、浄水排水共有管19dから原水タンク2や排水タンク6に送られ、原水タンク2に送られた浄水排水は原水として利用される。排水タンク6内の浄水排水は管路19を通り、浄水排水利用部7でトイレの洗浄水や植物への散水、洗車等に使用される。
【0023】
以上のように、本実施の形態1における水処理システムは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)逆浸透膜フィルタを備えるので、放射性物質やダイオキシン、農薬、ウイルス等の微細な不純物を除去することができ、安全な生活用水を得ることができる。
(2)前処理フィルタや前処理カーボンフィルタを備えることで、塩素や鉄錆、細菌、有機物等を除去できるとともに、ろ過時に逆浸透膜にかかる負荷を軽減することができる。
(3)軟水化フィルタを備えるので、硬度成分を除去し、軟水化することができるので、
洗剤等の泡立ちがよくなるとともに、日本人が最もおいしいと感じる水に変えることができる。
(4)後処理フィルタを備えるので、逆浸透膜フィルタでは除去できない臭い成分等を除去できるとともに、微量のミネラルを添加することができる。
(5)後処理フィルタによって微量のミネラルが添加された純水を用いるので、洗剤の泡立ちが良く、洗剤の使用量を削減することができるので、生活排水による環境負荷を軽減することができる。
(6)雨水や河川水等を生活用水として使用することができるので、水道水の使用量を削減することができる。
(7)逆浸透膜フィルタから出る浄水排水を原水として再利用できるとともに、排水タンクの水はトイレの洗浄水や植物の散水、洗車等に用いることができるので、水を無駄にせず効率的に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、水道水や井戸水、雨水等を原水として、原水中に含まれる塩素等の無機物、ダイオキシンや農薬等の有機物、放射性物質、細菌やウイルス等の不純物を除去できるので、自然災害時等で安全な水が確保しがたい場合にも、飲料水や生活用水として良質な純水を得ることができるとともに、洗剤等の泡立ちが良いので洗剤の使用量を削減できるとともに、生活用水を効率的に使用することができる水処理システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 水処理システム
2 原水タンク
3 浄水部
4 純水タンク
5 排水タンク
6 浄水利用部
7 浄水排水利用部
8 水道
9 井戸
10 雨水タンク
11 前処理フィルタ室
12 前処理カーボンフィルタ室
13 軟水化フィルタ室
14 逆浸透膜フィルタ室
15 後処理フィルタ室
16 ポンプ
17 逆流防止弁
18 圧力計
19 管路
19a 水道水供給管
19b 井戸水供給管
19c 雨水供給管
19d 浄水排水供給管
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜を用いた生活用水の水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活用水や飲料水において味や使用者の健康を鑑みて、水道水に浄水装置を付ける家庭が増えている。また、自然災害等により、生活用水や飲料水が汚染され、安全な水の確保が難しい場合に、安心して使用できる生活用水や飲料水を確保することが求められていた。
これらの課題を解決するために、(特許文献1)には、「少なくとも活性炭フィルタ、逆浸透膜フィルタ、及びイオン交換膜フィルタのそれぞれが、防錆性能を持った素材からなる円筒体の内部に装着され、この3本の円筒体の後方に前記フィルタを通して処理された浄水を貯水する貯水タンクが設置され、逆流防止弁が設けられた給水口から吸水ポンプによって浄水が給水される浄水器」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−272693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、浄水器が給水口を備えているので、浄水器のある場所でなければ使用できず、生活用水として使用するには利便性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、水道水や井戸水、雨水等を原水とし、原水中に含まれる塩素等の無機物、ダイオキシンや農薬等の有機物、放射性物質、細菌やウイルス等の不純物を除去できるので、自然災害時等で安全な水が確保しがたい場合にも、飲料水や生活用水として良質な純水を得ることができるとともに、洗剤等の泡立ちが良いので洗剤の使用量を削減できるとともに、生活用水を効率的に使用することができる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の水処理システムは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の水処理システムは、(a)原水を貯める原水タンクと、(b)前記原水タンクと各々が直列に連設された前処理フィルタ室と、前処理カーボンフィルタ室と、軟水化フィルタ(イオン交換膜)室と、逆浸透膜フィルタ室と、後処理カーボンフィルタ室と、を備え、各フィルタ室のフィルタが脱着自在に備えられるとともに、前記原水を浄化する浄水部と、(c)前記浄水部の水を屋内の生活用水として使用する浄水利用部と、(d)前記逆浸透膜フィルタの排水を前記原水タンク又は排水タンクに送る浄水排水供給管と、(e)前記排水タンクの水を前記浄水利用部とは別の生活用水に用いる浄水排水利用部と、を備える構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)逆浸透膜フィルタを備えるので、放射性物質やダイオキシン、農薬、ウイルス等の微細な不純物を除去することができ、安全な生活用水を得ることができる。
(2)前処理フィルタや前処理カーボンフィルタを備えることで、塩素や鉄錆、細菌、有機物等を除去できるとともに、ろ過時に逆浸透膜にかかる負荷を軽減することができる。
(3)軟水化フィルタを備えるので、硬度成分を除去し、軟水化することができるので、洗剤等の泡立ちがよくなるとともに、日本人が最もおいしいと感じる水に変えることができる。
(4)後処理フィルタを備えるので、逆浸透膜フィルタでは除去できない臭い成分等を除去できるとともに、微量のミネラルを添加することができる。
(5)微量のミネラルが添加された純水を用いるので、洗剤の泡立ちが良く、洗剤の使用量を削減することができるので、生活排水による環境負荷を軽減することができる。
(6)雨水や河川水等を生活用水として使用することができるので、水道水の使用量を削減することができる。
(7)逆浸透膜フィルタから出る浄水排水を原水として使用できるとともに、排水タンクの水はトイレの洗浄水や植物の散水、洗車等に用いることができるので、水を無駄にせず効率的に使用することができる。
【0007】
純水を生成するための原水としては、水道水、井戸水、雨水、河川水、海水等を用いることができる。雨水等の連続的に水が得られないものを原水として用いる場合は、雨水等を貯めておく貯蔵タンクを備えることが望ましい。また、水道水や井戸水を使用する場合、原水タンクとの間に逆流防止の措置をとることが望ましい。
原水タンクは40〜60Lの容量が好適に使用される。容量が40Lより小さくなるにつれて、純水の生成量よりも原水の供給量が多くなった場合に、オーバーフローを起こす可能性が高くなる傾向にあるため好ましくない。また、60Lより大きくなるにつれて、原水タンクが大きくなるので、設置場所を確保し難くなる傾向にあるので好ましくない。
【0008】
前処理フィルタは、孔径0.01μmの中空糸膜フィルタが用いられ、塩素や鉄錆、揮発性の有機物、懸濁物質等で0.01μmより径の大きい不純物を除去するものである。塩素や鉄錆、懸濁物質等を除去するので、逆浸透膜フィルタでろ過する際の負荷を軽減し、逆浸透膜フィルタの寿命を長くすることができる。
前処理カーボンフィルタ及び後処理カーボンフィルタは、同様のものが用いられ、活性炭フィルタが用いられる。前処理カーボンフィルタは、逆浸透膜フィルタを通過前に、塩素や細菌、有機物等を除去するために用いられる。
後処理カーボンフィルタは、逆浸透膜フィルタを通過後の純水の臭いや微細な不純物を除去し、微量のミネラル分を添加するものである。細菌や有機物を除去できるので、逆浸透膜フィルタろ過する際の負荷を軽減し、フィルタの寿命を長くすることができるとともに、純水にミネラルを追加することができるので、完全な純水とは異なる味わいのある水にすることができる。
後処理カーボンフィルタの代わりに、粒径10mm〜50mmの珪石が充填された珪石フィルタを用いても良い。珪石フィルタを用いることで、純水がクラスター化することなく水が分子レベルの大きさとなり、熱伝導率が改善され風呂に入ると身体が芯から温まる温泉効果を期待することができる。また、ミネラル分の添加方法として、海洋深層水あるいはにがり成分(ナトリウムやマグネシウム等)を添加しても良い。
【0009】
軟水化フィルタは、陽イオン交換樹脂又は陽イオン交換膜が用いられる。軟水化フィルタによって、前処理カーボンフィルタを通過後の浄水中のマグネシウムやカルシウム等の硬度成分をナトリウムに置き換えること、軟水化する。軟水化フィルタによって、硬度成分が除去され、浄水が軟水化するので、洗剤等の泡立ちを良くすることができる。
逆浸透膜フィルタは、孔径が約0.0001μmであり、高圧に耐えられる逆浸透膜が好適に用いられる。これにより、放射性物質やダイオキシン類、農薬、ウイルス等で大きさが0.0001μm以上の不純物を除去することができる。逆浸透膜フィルタを通過する浄水は、逆浸透膜によって浄水排水と純水に分けられ、浄水排水は原水タンク又は排水タンクに送られ、排水タンクに貯められた浄水排水はトイレの洗浄水や植物への散水、洗車等に用いることができる。
【0010】
原水から生成された純水は、洗濯や風呂、洗面所、台所等で飲料水等の生活用水として使用される。不純物が除去された純水を使用すると、洗剤や石けん等の泡立ちが良いので、洗剤等の使用量を減らすことができ、生活排水による環境負荷を軽減することができる。
また、風呂水等の使用後の水の中でも比較的不純物の少ない生活排水を、中空糸膜フィルタや活性炭フィルタ等で浄水した後に再処理タンクに貯め、再処理水を洗濯用水やトイレの洗浄水、植物への散水、洗車用水等として使用するようにしてもよい。このとき、紫外線ランプ等によって殺菌処理を行うことが望ましい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の水処理システムであって、前記原水タンクが雨水取水部、井戸水取水部、水道水取水部の取水の優先順序を選択するための取水選択手段を備える構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)原水(雨水、井戸水、水道水等)の取水の優先順位を選択できるので、本水処理システムを利用する場所に合わせて、原水の取水割合を選択でき、水をより効率的に利用することができる。
【0012】
取水選択手段としては、原水タンク内部に取り付けたフロート又は水位センサ等と連動したポンプ又は電磁弁等が用いられる。各取水部にポンプ又は電磁弁を取り付け、原水タンク内の水位が上がりフロート又は水位センサが反応すると、連動したポンプが止まるか、電磁弁が閉じ原水の供給が止まるようにする。更に、複数のフロート又は水位センサを高さを変えて設置することで、水位が高くなるにつれ、下側に設置されたフロート又は水位センサと連動したポンプ又は電磁弁を備える供給管からの供給が止まるので、原水の取水における優先順序を選択することができる。
【0013】
取水部としては、雨水取水部、井戸水取水部、水道水取水部があるが、原水として使用できる水であれば、その他の水の取水部を設けても良い。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の水処理システムによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1によれば、
(1)安全に使用できる飲料水等の生活用水が得られるとともに、洗剤等の使用量を削減することで環境負荷を軽減することができ、効率的に水を利用することができる水処理システムを提供することができる。
【0015】
請求項2によれば、
(1)原水(雨水、井戸水、水道水等)の取水の優先順位を選択できるので、本水処理システムを利用する場所に合わせて、原水の取水割合を選択でき、水をより効率的に利用することができる水処理システムを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1の水処理システムの概念図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の水処理システムの概念図である。
図1において、1は実施の形態1の水処理システム、2は水道水、井戸水、雨水等の原水が貯められる容量が40〜60Lの原水タンクである。原水タンク2は、水道8や井戸9、雨水タンク10から、それぞれ配設される水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cと接続される。3は原水タンク2と管路19を介して連設され原水を浄水する浄水部である。浄水部3は、前処理フィルタ室11、前処理カーボンフィルタ室12、軟水化フィルタ室13、逆浸透膜フィルタ室14、後処理カーボンフィルタ室15を備えており、各フィルタは圧力計18を備える管路19によって直列に接続されている。4は浄水部3で浄水され生成された純水が貯められる容量が200〜500Lの純水タンク、5は純水タンク4中の純水がポンプ16で供給され使用される浄水利用部、6は逆浸透膜フィルタ室14から出る浄水排水が貯められる容量が80〜120Lの排水タンクである。排水タンク6は、浄水排水供給管19dによって逆浸透膜フィルタ室14及び原水タンク2と接続される。7は排水タンク6に貯められた浄水排水を使用する浄水排水利用部、17は原水タンク2中の原水が逆流しないように水道水供給管19a及び井戸水供給管19bに設けられた逆流防止弁である。
【0018】
ここで、原水タンク2の容量は、純水の生成量にもよるが、40〜60Lのものが好適に使用される。容量が40Lより小さくなるにつれて、純水の生成量よりも原水の供給量が多くなった場合に、オーバーフローを起こす可能性が高くなる傾向にあるため好ましくない。また、60Lより大きくなるにつれて、原水タンクが大きくなるので、設置場所を確保し難くなる傾向にあるので好ましくない。
原水タンク2と接続された水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cには水の供給停止手段を備えることが望ましい。水の供給停止手段としては、原水タンク2内に備えたフロートの上下動や水位センサと連動して動く電磁弁やポンプ等を用いることができる。供給停止手段を備えることで、原水タンクがオーバーフローすることがなくなる。また、水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cの原水タンク2側の端部に供給停止手段を設け、原水タンク2の接続位置をそれぞれ異なる高さにすることで、原水タンク2にどの水を優先的に供給するかを決めることができる。
原水タンク2には、逆浸透膜フィルタ室14で出される浄水排水も供給される。このとき、逆浸透膜フィルタ室14の浄水排水を供給する浄水排水供給管19dは、原水タンク2と接続された水道水供給管19a、井戸水供給管19b、雨水供給管19cの接続位置よりも高い位置に接続することが望ましい。これにより、浄水排水が原水として優先的に使用されるとともに、浄水排水供給管19dが排水タンク6まで繋がっているので、万一オーバーフローした際でも、排水タンク6をオーバーフローした原水の受けとすることができる。
【0019】
浄水部3は、上流側から順に前処理フィルタ室11、前処理カーボンフィルタ室12、軟水化フィルタ室13、逆浸透膜フィルタ室14、後処理カーボンフィルタ室15が圧力計を備えた管路によって直列に接続されている。浄水部3によって原水タンク2内の原水は浄水され純水となり、純水タンク4に貯められる。
前処理フィルタ室11には、孔径0.01μmの中空糸膜フィルタ等が備えられ、原水中の懸濁物質や塩素、有機物等の0.01μmより径の大きい不純物を除去する。
前処理カーボンフィルタ室12及び後処理カーボンフィルタ室15には、活性炭フィルタ等が備えられ、前処理カーボンフィルタ室12は、前処理フィルタ室11を通過後の浄水中の塩素や有機物、細菌等を除去する。後処理カーボンフィルタ室15は、逆浸透膜フィルタ室14を通過した後の純水の臭い成分除去し、微量なミネラルの添加を添加する。後処理カーボンフィルタ室15を通過した純水は、純水タンク4に貯められる。
軟水化フィルタ室13は、陽イオン交換膜等が用いられ、前処理カーボンフィルタ室12を通過後の浄水中のマグネシウムやカルシウム等の硬度成分をナトリウムに置き換えることで軟水化させる。
逆浸透膜フィルタ室14は、孔径0.0001μm逆浸透膜であり、軟水化フィルタ室13を通過した浄水が純水と浄水排水に分けられる。分けられた純水は、後処理カーボンフィルタ室15に送られ、浄水排水は浄水排水供給管19dを通り、原水タンク2又は排水タンク6に送られる。
各フィルタ室(11,12,13,14,15)に備えられるフィルタは、目詰まりが増え、圧力計の値の上昇が見られた場合に、容易に交換できるよう着脱自在に備えられる。フィルタが着脱自在では無い場合、フィルタ室の接続部を着脱自在にし、フィルタ室ごと交換しても良い。
浄水部3で生成される純水は、1〜2L/minの流量で生成される。
【0020】
純水タンク4の容量は、200〜500Lのものが好適に用いられる。容量が200Lよりも小さくなるにつれて、風呂等で水を使用した場合に純水が足りなくなり、他の生活用水と同時に使用できなく傾向にあるので好ましくない。また、容量が500Lより大きくなるにつれて、純水タンクが大きく、且つ重くなるので、設置場所が確保し難くなる他、設置作業も困難となる傾向にあるので好ましくない。
純水タンク4内の水は、ポンプ16によって浄水利用部5に送られ、台所や洗面所、風呂場等で使用される他、洗濯用水等としても用いられる。
【0021】
排水タンク6の容量は、80〜120Lのものが好適に使用される。容量が80Lより小さくなるにつれて、トイレ使用が集中する朝の時間帯に利用水が不足する傾向にあり好ましくない。また、容量が120Lより大きくなるにつれ、設置場所が確保することが難しくなる傾向にあり好ましくない。
排水タンク6に貯められる浄水排水は、逆浸透膜フィルタ室14から出る浄水排水であるので、排水タンク6の水を使用する浄水排水利用部7は、トイレの洗浄水や植物への散水、洗車用水等に用いられる。
【0022】
次に、図1を用いて実施の形態1の水処理システムの水処理方法を説明する。
まず、水道8や井戸9、雨水タンク10の水がポンプ16で圧送され原水タンク2に水が供給され貯蔵される。このとき、水道8や井戸9と連接した水道水供給管19a及び井戸水吸水管19bには逆流防止弁17を備えているので、原水タンク2の水が水道8や井戸9に逆流することがない。
次に、原水タンク2の水は管路19を通って浄水部3に送られ、前処理フィルタ室11、前処理カーボンフィルタ室12、軟水化フィルタ室13、逆浸透膜フィルタ室14、後処理カーボンフィルタ室15の順に浄化され、純水タンク4に貯められる。
次いで、純水タンク4内の純水はポンプ16によって浄水利用部5に送られ風呂場や台所、洗面所、洗濯用水等の生活用水として使用される。
逆浸透膜フィルタ室14から出る浄水排水は、浄水排水共有管19dから原水タンク2や排水タンク6に送られ、原水タンク2に送られた浄水排水は原水として利用される。排水タンク6内の浄水排水は管路19を通り、浄水排水利用部7でトイレの洗浄水や植物への散水、洗車等に使用される。
【0023】
以上のように、本実施の形態1における水処理システムは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)逆浸透膜フィルタを備えるので、放射性物質やダイオキシン、農薬、ウイルス等の微細な不純物を除去することができ、安全な生活用水を得ることができる。
(2)前処理フィルタや前処理カーボンフィルタを備えることで、塩素や鉄錆、細菌、有機物等を除去できるとともに、ろ過時に逆浸透膜にかかる負荷を軽減することができる。
(3)軟水化フィルタを備えるので、硬度成分を除去し、軟水化することができるので、
洗剤等の泡立ちがよくなるとともに、日本人が最もおいしいと感じる水に変えることができる。
(4)後処理フィルタを備えるので、逆浸透膜フィルタでは除去できない臭い成分等を除去できるとともに、微量のミネラルを添加することができる。
(5)後処理フィルタによって微量のミネラルが添加された純水を用いるので、洗剤の泡立ちが良く、洗剤の使用量を削減することができるので、生活排水による環境負荷を軽減することができる。
(6)雨水や河川水等を生活用水として使用することができるので、水道水の使用量を削減することができる。
(7)逆浸透膜フィルタから出る浄水排水を原水として再利用できるとともに、排水タンクの水はトイレの洗浄水や植物の散水、洗車等に用いることができるので、水を無駄にせず効率的に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、水道水や井戸水、雨水等を原水として、原水中に含まれる塩素等の無機物、ダイオキシンや農薬等の有機物、放射性物質、細菌やウイルス等の不純物を除去できるので、自然災害時等で安全な水が確保しがたい場合にも、飲料水や生活用水として良質な純水を得ることができるとともに、洗剤等の泡立ちが良いので洗剤の使用量を削減できるとともに、生活用水を効率的に使用することができる水処理システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 水処理システム
2 原水タンク
3 浄水部
4 純水タンク
5 排水タンク
6 浄水利用部
7 浄水排水利用部
8 水道
9 井戸
10 雨水タンク
11 前処理フィルタ室
12 前処理カーボンフィルタ室
13 軟水化フィルタ室
14 逆浸透膜フィルタ室
15 後処理フィルタ室
16 ポンプ
17 逆流防止弁
18 圧力計
19 管路
19a 水道水供給管
19b 井戸水供給管
19c 雨水供給管
19d 浄水排水供給管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)原水を貯める原水タンクと、(b)前記原水タンクと各々が直列に連設された前処理フィルタ室と、前処理カーボンフィルタ室と、軟水化フィルタ(イオン交換膜)室と、逆浸透膜フィルタ室と、後処理カーボンフィルタ室と、を備え、各フィルタ室のフィルタが脱着自在に備えられるとともに、前記原水を浄化する浄水部と、(c)前記浄水部の水を屋内の生活用水として使用する浄水利用部と、(d)前記逆浸透膜フィルタの排水を前記原水タンク又は排水タンクに送る浄水排水供給管と、(e)前記排水タンクの水を前記浄水利用部とは別の生活用水に用いる浄水排水利用部と、を備えることを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
前記原水タンクが雨水取水部、井戸取水部、水道取水部の取水の優先順序を選択するための取水選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
【請求項1】
(a)原水を貯める原水タンクと、(b)前記原水タンクと各々が直列に連設された前処理フィルタ室と、前処理カーボンフィルタ室と、軟水化フィルタ(イオン交換膜)室と、逆浸透膜フィルタ室と、後処理カーボンフィルタ室と、を備え、各フィルタ室のフィルタが脱着自在に備えられるとともに、前記原水を浄化する浄水部と、(c)前記浄水部の水を屋内の生活用水として使用する浄水利用部と、(d)前記逆浸透膜フィルタの排水を前記原水タンク又は排水タンクに送る浄水排水供給管と、(e)前記排水タンクの水を前記浄水利用部とは別の生活用水に用いる浄水排水利用部と、を備えることを特徴とする水処理システム。
【請求項2】
前記原水タンクが雨水取水部、井戸取水部、水道取水部の取水の優先順序を選択するための取水選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の水処理システム。
【図1】
【公開番号】特開2012−217975(P2012−217975A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89644(P2011−89644)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(511094130)株式会社エコライフ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(511094130)株式会社エコライフ (1)
【Fターム(参考)】
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