説明

水処理凝集剤及び水処理方法

【課題】汚濁物質の凝集、不溶化性能に優れた水処理凝集剤と、この水処理凝集剤を用いた水処理方法を提供する。
【解決手段】フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に反応させて得られたノボラック型フェノール系樹脂のアルカリ溶液に、アルデヒド類を添加してレゾール型の2次反応を行って得られるフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤であって、該フェノール類がクレゾール等のメチルフェノール類を含むことを特徴とする水処理凝集剤。被処理水にこの水処理凝集剤を添加した後、無機凝集剤を添加する凝集処理工程と、該凝集処理工程の凝集処理水を膜分離処理する膜分離処理工程とを有する水処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤とこの水処理凝集剤を用いる水処理方法に関する。詳しくは、フェノール系樹脂の原料フェノール類としてクレゾール等のメチルフェノール類を必須成分として用い、アルデヒド類と酸触媒下で縮合させて得られたフェノール系樹脂をアルカリ溶液とし、さらにアルデヒド類を添加してレゾール型2次反応を行ったフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤と、被処理水にこの水処理凝集剤と無機凝集剤を添加して凝集処理した後、膜分離処理する水処理方法であって、特に逆浸透(RO)膜分離処理を用いた水処理に有効な水処理方法に関する。
【0002】
なお、本明細書において、「フェノール類」とは、フェノール、クレゾール及びナフトール、その他の芳香族環上にヒドロキシ基を持つ有機化合物全般をさし、「フェノール系樹脂」とは各種のフェノール類とアルデヒド類との付加縮合反応により得られる樹脂をさし、「フェノール樹脂」とは、このようなフェノール系樹脂において、原料フェノール類としてフェノールを用い、フェノールとアルデヒド類との付加縮合反応により得られる樹脂をさし、「メチルフェノール系樹脂」とは、このようなフェノール系樹脂において、原料フェノール類としてクレゾール、キシレノール及びトリメチルフェノール等のメチルフェノール類を必須成分とするフェノール類を用い、メチルフェノール類を含むフェノール類とアルデヒド類との付加縮合反応により得られる樹脂をさし、更に「クレゾール樹脂」とは、このようなフェノール系樹脂において、原料フェノール類としてクレゾールを用い、クレゾールとアルデヒド類との付加縮合反応により得られる樹脂をさす。
従って、「フェノール系樹脂」には「フェノール樹脂」、「メチルフェノール系樹脂」も「クレゾール樹脂」も包含される。
【背景技術】
【0003】
ノボラック型フェノール樹脂は、その発明者にちなんでベークライト樹脂と称され、古くはプラスチック製食器として、その後、その耐熱性、絶縁性、機械的強度に優れている特性を活かして、鋳型などの耐火、耐熱材料として、最近では電子材料の原料樹脂として広く普及している。
【0004】
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール1モルに対して、ホルムアルデヒドを1モルより僅かに少なくし、酸性触媒下で付加縮合反応させて得られる。その構造はフェノール環1つに対して、ホルムアルデヒドが付加縮合反応して生成したメチレン結合により、反応原理的には二次元的に繋がった構造である。
【0005】
ノボラック型フェノール樹脂は、反応活性のメチロール基を含まないため、ヘキサメチレンテトラミン等の硬化剤と、用途に応じた副原料を混合して、樹脂融点以上に加熱して軟化させ、所定の成形を行うと同時に、熱硬化反応を行って樹脂製品とされる。この硬化反応後の樹脂は熱耐性(加熱した時の変形耐性、熱分解耐性)が高く、これが当該樹脂の多様な用途を支えている。
【0006】
一方、水処理剤としては、ノボラック型フェノール樹脂をアルカリ溶液に溶解したものが、自動車塗装ブースの余剰塗料を洗い流すための循環水中の塗料回収除去剤(栗田工業(株)商品名「クリスタックB310」)として市販されている。
しかし、このものは、塗装ブース循環水に適用できる程度の水準の処理剤であり、公共用水域に放流できる清澄度を満たすような水処理凝集剤としては使用できず、実際の使用事例も見当たらない。
【0007】
この理由は、ノボラック型フェノール樹脂アルカリ溶液を排水の凝集処理に用いると、凝集せずに、水中に溶解したままの成分が多く含まれるため、これが処理水中に残留し、場合によっては、被処理水より、処理水の方が全有機炭素(TOC)が増加し、これに伴ってCODMnが増加する結果になってしまうことにある。
【0008】
この凝集せずに、処理水中に残留する成分は、分子量1000以下、特にフェノール骨格2つがメチレン結合でつながった分子量200強のフェノール類2核体である。
なお、ノボラック型フェノール樹脂本来の用途である、熱硬化性樹脂、及びその硬化工程で、これらの成分は硬化樹脂の成分として反応し、特段の支障もない。
【0009】
しかし、このような低分子量成分は、凝集処理時に、凝集に関与しないと同時に、処理水中に残留して、新たな汚濁成分となり、また、RO膜等の膜分離処理では、新たな膜汚染物質になるため、水処理凝集剤としての用途においては、このような低分子量成分を十分に低減する必要がある。
【0010】
本願出願人は、この課題に対して、フェノール系樹脂中の低分子量成分の低減と重量平均分子量の増大を図るべく検討を行って、改善された水処理凝集剤を先に特許出願した(特願2010−81078。以下「先願」という。)。
【0011】
先願の水処理凝集剤に含まれるフェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を酸触媒下で反応させて得られたノボラック型フェノール系樹脂をアルカリ溶液とし、次いで、不都合な低分子量成分の低減、及び重量平均分子量の増大のため、さらに適量のアルデヒド類を添加し、アルカリ触媒の存在下でレゾール型2次反応を施したものであり、特に、RO膜等の膜分離処理時の原水の前処理用凝集剤として有用である。
【0012】
一方、本発明者らは、従前より、RO膜等の膜分離処理で、原水より持ち込まれる膜汚染物質の除去法の研究を続ける中で、ノボラック型フェノール系樹脂のアルカリ溶液が、特定の膜汚染物質の凝集除去に有効で、処理水のRO膜汚染度の指標であるMFFを改善することを見出した。
【0013】
前記膜汚染物質は中性多糖類で、微生物一般、藻類等が代謝生産する、多糖類の一部である。多糖類は、排水の生物処理水に多量に存在し、環境水でも、特に湖沼や池など藻類発生のある水にかなり存在する。多糖類は、100万から1000万前後の非常に大きな分子量を持つ高分子物質であり、RO膜等の膜分離処理において、膜供給水(本明細書において、「膜供給水」とは膜分離装置に導入する水をさす。)に微量でも存在すると、拡散せずに膜面に濃縮、滞留し、さらに膜に付着してこれを汚染し、膜濾過機能を阻害する。
多糖類の大部分を占めるカルボキシル基を有する酸性多糖類は、そのカルボキシル基が無機凝集剤の金属カチオンと反応するため、凝集、除去が容易であるが、中性多糖類は、金属カチオンとの反応部位がなく、凝集処理水中に残留する。
【0014】
凝集処理水中に残留した中性多糖類は、0.1mg/L程度以下の微量であっても、前記のごとく、分子量が非常に大きいことから、膜濾過機能を阻害するため、その凝集除去剤が求められていた。
【0015】
なお、前記MFF(MFファクター又はMFファウリングファクター)は、JIS K3802に定義されているFI(ファウリングインデックス)やASTM D4189に定義されるSDI(シルトデンシティーインデックス)と同様にRO膜供給水の清澄度(汚染度)を表す指標として提案されたものである。
これらは、いずれも、細孔径0.45μmの精密濾過(MF)膜を用いて測定される。
【0016】
MFFは、具体的には次のようにして測定される。
試料水500mlをミリポア社製の、細孔径0.45μm、47mmφのニトロセルロース製フィルターを用い、66kPa(500mmHg)の減圧下で濾過し、濾過時間T1を計測する。さらに500mlの試料水を同様に濾過し、濾過時間T2を測定する。
MFFはT2/T1で示され、膜汚濁物質のない、例えば蒸留水や、RO膜透過水ではT1とT2はほぼ等しく、MFFは1.00となる。
RO膜供給水としてのMFFの適正値は1.10以下、好ましくは1.05以下とされる。
中性多糖類が微量でも存在すると、高分子であることによる粘性、及び一部は膜付着するため、MF膜の透過抵抗、濾過阻害となる結果、MFFは大きく、RO膜供給水としての評価は悪いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特願2010−081078
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先願に示されるノボラック型フェノール系樹脂の製造に用いられる原料フェノール類としては、フェノール及び、他のフェノール類が挙げられているが、その実施例ではフェノールを用いたもののみが挙げられている。
本発明は先願に開示されるフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤よりも更に汚濁物質の凝集、不溶化性能に優れた水処理凝集剤と、この水処理凝集剤を用いた水処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、先願の水処理凝集剤について、更に以下のような考察、検討を行った。
【0020】
即ち、先願の水処理凝集剤は、無機凝集剤で凝集不能な汚濁物質である中性多糖類や非イオン性界面活性剤を特異的に凝集、不溶化する特性を有する。この特性は、第一にフェノール樹脂が前記汚濁物質と水素結合と推測される結合力を持ち、第二に、アルカリによって解離していたフェノール性水酸基が、中性下で非解離となり、フェノール樹脂自体が水不溶性となる性質が合わさって発揮されると考えられた。
【0021】
本発明者らは、ここで、フェノール系樹脂の原料フェノール類を、フェノールに1個以上のメチル基が導入されたクレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール等のメチルフェノール類とすれば、樹脂の疎水性が増し、水不溶性がより増加し、前記汚濁物質の凝集、不溶化能力が高まると考え、クレゾール及びキシレノールを原料として用いた検証を行った。
この結果、後掲の実施例及び比較例に示されるように、重量平均分子量13000のレゾール型2次反応を施したフェノール樹脂(原料フェノール類としてフェノールを用いたフェノール系樹脂)のアルカリ溶液と、これとほぼ同等の分子量である重量平均分子量16000及び14000のレゾール型2次反応を行ったメチルフェノール系樹脂(原料フェノール類としてクレゾールを用いたフェノール系樹脂及び原料フェノール類としてクレゾールとキシレノールを67/33(モル比)で用いたフェノール系樹脂)のアルカリ溶液とでは、同一のフェノール系樹脂換算の添加量で、メチルフェノール系樹脂がフェノール樹脂の約1.4倍のMFF改善効果があることを確証した。
また、レゾール型2次反応を施さない、重量平均分子量が4900のクレゾール樹脂のアルカリ溶液でも、重量平均分子量13000のレゾール型2次反応フェノール樹脂と同等以上のMFF改善効果があり、メチル基が導入されたクレゾール骨格が、フェノール骨格より優れることを確証した。
【0022】
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0023】
[1] フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に反応させて得られたノボラック型フェノール系樹脂のアルカリ溶液に、アルデヒド類を添加してレゾール型の2次反応を行って得られるフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤であって、該フェノール類がメチルフェノール類を含むことを特徴とする水処理凝集剤。
【0024】
[2] [1]において、前記メチルフェノール類がクレゾールであることを特徴とする水処理凝集剤。
【0025】
[3] [1]又は[2]において、前記レゾール型の2次反応を行って得られるフェノール系樹脂の重量平均分子量が10000以上であり、分子量1000以下の低分子量成分の含有率が20重量%以下であることを特徴とする水処理凝集剤。
【0026】
[4] 被処理水に凝集剤を添加する凝集処理工程と、該凝集処理工程の凝集処理水を膜分離処理する膜分離処理工程とを有する水処理方法において、該凝集処理工程は、被処理水に[1]ないし[3]のいずれかに記載の水処理凝集剤を添加した後、無機凝集剤を添加する工程であることを特徴とする水処理方法。
【発明の効果】
【0027】
ノボラック型フェノール系樹脂に対してレゾール型の2次反応を行って得られるフェノール系樹脂のアルカリ溶液は、非イオン界面活性剤や、荷電を有しない中性多糖類等の、一般に、水の凝集処理で使用される無機凝集剤単独では処理不可能な汚濁物質を、効率的に凝集、除去することができ、処理水への汚濁成分混入の問題も低減される。
特に、このようなフェノール系樹脂のうち、原料フェノール類としてメチルフェノール類を用い、アルデヒド類と酸触媒下で縮合させたメチルフェノール系樹脂をアルカリ溶液とし、さらにアルデヒド類を添加してレゾール型2次反応を行ったメチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液からなる本発明の水処理凝集剤は、フェノール系樹脂の原料フェノール類としてフェノールを用いて、同様に調製した水処理凝集剤に比較して、膜汚染指標MFFの改善効果が約1.4倍である。しかも、二次汚染となる残留樹脂の残留率は、原料フェノール類としてフェノールを用いたフェノール樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤と同様に小さく、RO膜等の膜供給水の前処理凝集剤として優れた機能を期待できる。
【0028】
本発明の水処理凝集剤は、特に、RO膜分離処理等の膜分離処理工程の前処理工程として凝集処理に有効であり、膜分離処理に供される水の膜汚染指標MFFを改善し、RO膜等の膜の透過流束の低下を防止して長期に亘り安定かつ効率的な膜分離処理を可能とする。
【0029】
従って、このような本発明の水処理凝集剤を用いた凝集処理水を膜分離処理する本発明の水処理方法によれば、長期に亘り安定かつ効率的な処理を継続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】MFF指数とMFFとの関係を示すグラフである。
【図2】実施例II−1,2及び比較例II−1,2のフェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加量とMFF指数との関係を示すグラフである。
【図3】実施例III−1及び比較例III−1のフェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加量とMFF指数との関係を示すグラフである。
【図4】実施例IV−1,2及び比較例IV−1,2のフェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加量とMFF指数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0032】
なお、本発明において分子量又は重量平均分子量は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて算出した値である。
【0033】
[水処理凝集剤]
本発明の水処理凝集剤は、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に反応させて得られたノボラック型フェノール系樹脂のアルカリ溶液に、アルデヒド類を添加してレゾール型の2次反応を行って得られるフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤であって、該フェノール類がメチルフェノール類を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明において、レゾール型2次反応の原料となるノボラック型フェノール系樹脂は、常法に従って、反応釜において、フェノール類及びアルデヒド類を、酸性触媒の存在下で付加縮合反応させた後、常圧及び減圧下で、脱水と未反応フェノール類の除去を行って製造される。
【0035】
本発明においては、ノボラック型フェノール系樹脂の製造に用いる原料フェノール類として、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール等のメチルフェノール類を必須成分とする。
【0036】
クレゾールとしては、o,m,pのいずれも利用可能であり、これらの2種以上の混合物であってもよい。またキシレノールの各異性体、及び2,3,5−トリメチルフェノールを用いることができる。さらに原料フェノール類として、クレゾール等のメチルフェノール類を主体に、他のフェノール類を混合して用いてもよい。この場合、他のフェノール類としては、例えば、フェノール、o,m,pの各エチルフェノール、ジエチルフェノールの各異性体、2,3,5−トリエチルフェノールなどのアルキルフェノール類、α,βの各ナフトールなどの多芳香環フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコールなどの多価フェノール類、ハイドロキノンなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらの他のフェノール類は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
なお、これらの他のフェノール類をメチルフェノール類と共に併用する場合、原料フェノール類としてメチルフェノール類を用いることによる本発明の効果を有効に得るために、原料フェノール類中の50重量%以上、特に70〜100重量%がクレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール等のメチルフェノール類であることが好ましい。
【0037】
一方、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリオキザールなどが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらのアルデヒド類は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
これらのうち、実用的な物質は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドである。
【0038】
ノボラック型メチルフェノール系樹脂を製造する際の酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸類、蓚酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸類、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛等の有機酸塩類が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。これらの酸触媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0039】
本発明において、レゾール型2次反応の原料となるノボラック型メチルフェノール系樹脂の融点に制限はないが通常、原料フェノール類としてクレゾール等のメチルフェノール類を主体とするものは60〜135℃である。
同組成のノボラック型メチルフェノール系樹脂では、融点が高い程、この原料ノボラック型メチルフェノール系樹脂の分子量が大きく、レゾール型2次反応後の樹脂の分子量もこれに応じて高くなり、凝集剤としての凝集効果も向上する。
本発明において、原料ノボラック型メチルフェノール系樹脂の融点の上限に制限はないが、融点130℃を超えると、軟化・流動温度は概ね160℃以上となり、ノボラック型メチルフェノール系樹脂の反応釜中の局部温度は200℃を大きく超える。そのため、樹脂の分解や焦げ付きが発生し、安定した品質のものが得られない。また、溶融粘度が高くなりすぎるためにその取り出しが工業的には困難になる問題が生じる。従って、レゾール型2次反応の原料ノボラック型メチルフェノール系樹脂の融点は100〜130℃程度であることが好ましい。
【0040】
また、本発明において、レゾール型2次反応の原料となるノボラック型メチルフェノール系樹脂の分子量に制限はないが、分子量のより高い樹脂の方が、2次反応終了後に、凝集に関与しないだけでなく凝集処理水中に残留して処理水を汚染する低分子量成分含有率が少なくなるため、好ましい。このため、用いるノボラック型メチルフェノール系樹脂は、重量平均分子量で1000以上であることが好ましく、特に2000以上であることが好ましい。ノボラック型メチルフェノール系樹脂の分子量の上限に制限はないが、通常、重量平均分子量で8000程度である。
【0041】
このようなノボラック型メチルフェノール系樹脂には、重量平均分子量が2000程度以上の樹脂であっても、処理水中に残留する分子量200強のフェノール類2核体が5重量%以上、さらに、分子量624以下の、凝集に関与せず、凝集処理水中に残留する可能性がある低分子量成分が合計で15重量%以上含まれる。そして、例えば原料にクレゾールとホルムアルデヒドを使用したノボラック型クレゾール樹脂の場合には、分子量200強のクレゾール2核体が一般的には5〜10重量%程度含まれ、分子量624以下の低分子量成分が合計で一般的には15〜30重量%程度含まれ、分子量1000以下の低分子量成分が合計で20〜40重量%程度含まれる。
【0042】
本発明においては、このようなノボラック型メチルフェノール系樹脂をまずアルカリ溶液とする。
ノボラック型メチルフェノール系樹脂を溶解する溶剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物の1種又は2種以上を含む水溶液が挙げられ、これが、同時に次工程のレゾール型2次反応のアルカリ触媒となる。
【0043】
また、その他、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどのセルソルブ類及びセルソルブ類のエステル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテートなどのカルビトール類及びカルビトール類のエステル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などに、トリエチルアミン、トリメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン)などの有機塩基を溶解した塩基性溶剤も、レゾール型2次反応のアルカリ触媒を兼ねるアルカリ溶液として用いることができる。
【0044】
ノボラック型メチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液のpHには特に制限はないが、pHが低過ぎるとノボラック型メチルフェノール系樹脂の溶解性が悪く、高過ぎると添加するアルカリ物質が無駄になることから、pH11〜13程度であることが好ましい。
また、ノボラック型メチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液中の樹脂濃度には特に制限はないが、濃度が高過ぎると溶液粘性が上昇し、アルデヒド類を添加する2次反応の均一性の保持、更には、最終製品のポンプ薬注などの取り扱いに不都合であり、低過ぎると生産効率の低下や最終製品の梱包、輸送費用の増加があることから、5〜50重量%、特に10〜25重量%程度であることが好ましい。
【0045】
レゾール型2次反応のために、ノボラック型メチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液に添加するアルデヒド類としては、前述のノボラック型メチルフェノール系樹脂原料としてのアルデヒド類と同様のものを1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ、これらのうち特にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが実用的であるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
ノボラック型メチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液へのアルデヒド類の添加量は、特に限定されるものではないが、添加量が少な過ぎると2核体をはじめとする低分子量成分の低下が不十分であり、レゾール型2次反応により得られるフェノール系樹脂(以下、「2次反応フェノール系樹脂」と称し、原料フェノール類としてフェノールを用いたものを「2次反応フェノール樹脂」、原料フェノール類としてメチルフェノール類を必須成分としたものを「2次反応メチルフェノール系樹脂」と称す場合がある。)の融点上昇も少ない。逆に、多過ぎると得られる2次反応メチルフェノール系樹脂の架橋が進み、不溶化、固化してしまう。適正なアルデヒド類の添加量は、原料ノボラック型メチルフェノール系樹脂中の2核体を含む分子量1000以下の低分子量成分の含有率や、構成するフェノール類の種類により異なるが、概ね、ノボラック型メチルフェノール系樹脂中のフェノール類骨格1モル当たり0.1〜0.4モルとなる。ただし、実際には、事前にアルデヒド類添加量と2次反応メチルフェノール系樹脂の融点との関係を確認する予備試験を行い、その結果に基いて、所望の融点の2次反応メチルフェノール系樹脂が得られるように、その添加量を決定することが好ましい。
【0047】
レゾール型の2次反応の方法には特に制限はないが、例えば、攪拌機、蒸気吹き込み設備、還流器、及び温度制御機構を有する反応設備で、所定の樹脂濃度及びpHのノボラック型メチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液を、蒸気吹き込み等で所定温度、例えば40〜70℃程度に上昇させた後、アルデヒド類を添加し、80〜100℃で1〜12時間、この温度を保ちながら、アルカリ触媒下のレゾール型反応を行う。
【0048】
反応終了後は反応液を冷却して、2次反応メチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液を得る。この2次反応メチルフェノール系樹脂は、原料ノボラック型メチルフェノール系樹脂に比べて、フェノール類2核体をはじめとする分子量1000以下の低分子量成分含有量の少ない、また重量平均分子量が高められた2次反応メチルフェノール系樹脂である。
【0049】
なお、上記2次反応における樹脂濃度、pH、アルデヒド類添加量、反応温度や反応時間は何ら制約されるものではなく、所望とする融点の2次反応メチルフェノール系樹脂が得られるように適宜設定される。
【0050】
本発明において、このようにして得られる2次反応メチルフェノール系樹脂の融点は130〜220℃であり、好ましくは150〜205℃である。
【0051】
また、本発明において、この2次反応メチルフェノール系樹脂の重量平均分子量は5,000以上が好ましく、さらに好ましくは10000以上である。一方、重量平均分子量が50000を超える場合は、一部分子量100万以上の分子が生成し、粘度が高く、時間経過でさらに架橋し、不溶物が発生する可能性が高いため、2次反応メチルフェノール系樹脂の重量平均分子量は50000以下、特に30000以下であることが好ましい。
また、この2次反応メチルフェノール系樹脂の重量平均分子量は、反応前、即ち、レゾール型2次反応の原料であるノボラック型メチルフェノール系樹脂の重量平均分子量の2〜7倍程度となることが好ましい。
【0052】
また、この2次反応メチルフェノール系樹脂は、レゾール型2次反応の原料であるノボラック型メチルフェノール系樹脂に対して、2核体を含む概ね分子量1000以下の低分子量成分の含有量が減少し、水の凝集処理に用いた場合、凝集処理水側に残留する未凝集物が著しく少なく、TOC、CODMnが著しく低減された、膜分離処理の給水として好ましい凝集処理水が得られる。
【0053】
原料フェノール類としてメチルフェノール類を用いて得られる本発明に係る2次反応フェノール系樹脂(2次反応メチルフェノール系樹脂)では、原料フェノール類としてメチルフェノール類を用いたことによる疎水性の上昇により、原料フェノール類としてフェノールを用いて得られる2次反応フェノール樹脂に比較して、凝集せずに凝集処理水中に残留する樹脂の分子量域が低分子量側にシフトする。このため、原料フェノール類としてメチルフェノール類を用いて得られる本発明に係る2次反応メチルフェノール系樹脂は、原料フェノール類としてフェノールを用いて得られる2次反応フェノール樹脂に比較して、分子量1000以下の低分子量成分の含有量の許容値が高く、この値は20重量%以下程度でよく、好ましくは15重量%以下である。
【0054】
このレゾール型2次反応で得られるメチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液は、ポンプ薬注可能な液体であり、製造品をそのまま水処理凝集剤として使用することができる。
【0055】
なお、本発明における2次反応フェノール系樹脂、又はレゾール型2次反応の原料であるノボラック型フェノール系樹脂の融点測定試料調製法、融点測定法、分子量等測定試料調製法、分子量等測定法は次の通りである。
【0056】
<融点測定試料調製法>
2次反応フェノール系樹脂のアルカリ溶液を樹脂濃度として1重量%以下になるようにイオン交換水で希釈し、スターラー等で十分撹拌した状態にして、約1N程度の塩酸を滴下し、pHを5未満に調整する。この操作で析出した樹脂をNo.5A濾紙で濾過した後、イオン交換水で2回洗浄し、この析出樹脂を別の濾紙に移し、水分をよく切る。
水分をよく切った樹脂を、常温にて一晩、真空乾燥するか、或いはデシケーターで重量減少がなくなるまで、数日乾燥させる。
なお、2次反応を行わない、レゾール型2次反応の原料であるノボラック型フェノール系樹脂については、アルカリ溶液としてから、再度、前記の方法で試料を調製する。
【0057】
<融点測定法>
エスアイアイ・ナノテクノロジー製の示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry:DSC)を用いて測定する。
試料2mgをDSC測定器にかけ、10℃/分で昇温を行い、横軸の温度上昇に対して、熱流(Heat Flow/mW)のラインを求め、吸熱ピークのトップ温度を融点とする。
本発明において、ノボラック型フェノール系樹脂及び2次反応フェノール系樹脂の融点は、前記の試料調整法と融点測定法によって測定した値である。
【0058】
<分子量等測定試料調製法>
分画を含む分子量測定を行うには、2次反応フェノール系樹脂のアルカリ溶液のアルカリ金属イオンの除去と水分除去を、該樹脂中のフェノール類2核体を含む低分子量成分を流出させずに行う必要がある。
そのため、まず、2次反応フェノール系樹脂のアルカリ溶液を樹脂濃度0.1重量%(1000mg/L)程度に希釈し、透析膜装置に入れ、次いで予め解離しているフェノール水酸基の非解離化のために必要な中和用塩酸の量を決めておき、これを透析膜装置内の溶液に添加してから、透析を行う。透析完了後の内容物を、付着物を含めその全量を減圧フラスコで40℃程度の低温で濃縮、乾固させる。
これを、常温で真空乾燥し、前記のテトラヒドロフランで溶解し、分画を含む分子量測定試料を得る。
なお、レゾール型2次反応を行う前の原料のノボラック型フェノール系樹脂も、同様の操作を行い、前処理で生じる可能性のある、測定値のシフト等、誤差要因を共通化する。
【0059】
<分子量分画・分子量測定方法>
分子量はゲルパーミネーションクロマトグラフィー(以下GPCと記す)で測定する。
上述の2次反応フェノール系樹脂のテトラヒドロフラン溶液を、クロマトカラムとしてTOSOH製HLC8022、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、流量0.8mL/分、温度40℃で展開し、溶出を行う。樹脂検出は、屈折率及び紫外吸光で行い、最大吸収のある波長254nmとし、検出器はTOSOH製RI−8020及びUV−8020を使用する。
この結果を、分子量の明らかなポリスチレン標準物質を用いた検量線に当てはめ、分子量分画と分画された樹脂成分の分子量及びその含有量を検定する。
低分子量成分の含有量は、GPCの分子量分布曲線により、樹脂全体に対する面積比率(%)から算出する。
本発明におけるフェノール系樹脂の重量平均分子量及び低分子量成分の分子量並びにその含有量は、前記の試料調整法と分子量分画・分子量測定法により求めた値である。
【0060】
本発明の水処理凝集剤は、上述のようにして、原料フェノール類としてメチルフェノール類を必須成分としたノボラック型メチルフェノール系樹脂のレゾール型2次反応を行って得られた2次反応メチルフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなるものであり、その樹脂濃度としては10〜25重量%、pHは11〜13程度であることが好ましい。
この水処理凝集剤は、凝集に関わらず処理水側に残留する低分子量成分量が少ないため、用水、排水の凝集処理、特に膜分離処理、とりわけRO膜分離処理の前処理工程としての凝集処理に用いる水処理凝集剤として有効である。
【0061】
[水処理方法]
本発明の水処理方法は、被処理水を凝集処理し、この凝集処理水を膜分離処理するものであり、被処理水の凝集処理に当たり、上述の本発明の水処理凝集剤を添加した後、無機凝集剤を添加することを特徴とするものである。
【0062】
本発明の水処理凝集剤が特にその凝集効果を発揮する対象物質は、通常のポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム塩、塩化第二鉄等の鉄塩で代表される無機凝集剤で処理不能な、非イオン性界面活性剤、アニオン性を持たない、或いは極少ないアニオン性である中性多糖類である。
【0063】
RO膜分離処理においては、通常の無機凝集剤による前処理凝集で除去できない中性多糖類が残存し、RO膜を汚染し、その透過流束を減少させることが問題となるため、特に、この分野において、本発明の水処理凝集剤及び水処理方法は有効に適用される。
【0064】
本発明の水処理凝集剤をこのような凝集処理に用いる場合、被処理水への水処理凝集剤添加量は、被処理水の水質や目的とする凝集処理効果により適宜決定され、また、無機凝集剤の併用の有無によっても異なるが、概ね、本発明の水処理凝集剤の凝集対象である非イオン性界面活性剤、中性多糖類と同量程度とされ、例えば、RO膜分離処理等の膜分離処理工程の前処理工程で用いる場合、フェノール系樹脂換算の添加量として0.1〜5.0mg/L、特に0.3〜2.0mg/L程度とすることが好ましい。
【0065】
また、本発明の水処理凝集剤を、特にRO膜、限外濾過膜、精密濾過膜等を用いる膜分離処理の前処理工程としての凝集処理に用いる場合、本発明の水処理凝集剤と共に無機凝集剤を併用することが好ましい。
【0066】
併用する無機凝集剤としては、特に制限はないが、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等のアルミニウム系凝集剤や、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄系凝集剤が挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0067】
無機凝集剤の添加量は、被処理水の水質や目的とする処理水質等によっても異なるが、被処理水が工業用水で、膜分離工程の前処理工程に用いる場合には通常20〜100mg/L程度であり、被処理水が生物処理水等の排水の一次処理水で膜分離工程の前処理工程に用いる場合には通常100〜700mg/L程度である。
【0068】
本発明の水処理凝集剤と無機凝集剤を併用して膜分離処理の前処理としての凝集処理を行う場合、最初に被処理水に本発明の水処理凝集剤を添加した後無機凝集剤を添加する。具体的には、被処理水に本発明の水処理凝集剤を添加して1分以上反応せしめ、その後、無機凝集剤を添加して急速攪拌で3〜10分程度、更に緩速攪拌で3〜10分程度反応せしめ、得られた凝集処理液を沈殿槽、加圧浮上装置等により一次固液分離し、更に重力濾過装置で二次の固液分離を行い、分離水を膜分離処理の供給水とすることが好ましい。
【0069】
被処理水に対して本発明の水処理凝集剤と無機凝集剤とを同時に添加したり、無機凝集剤を本発明の水処理凝集剤の添加箇所に近接した箇所に添加すると、フェノール系樹脂と無機凝集剤とが直接反応する結果、フェノール系樹脂の添加効果が得られず、反応により消費された分を補うために薬剤の必要添加量が増大する。
なお、本発明の水処理凝集剤を無機凝集剤よりも後に添加すると被処理水が、海水等の電気伝導率が1000mS/m以上の高塩類含有水である場合を除いては、フェノール系樹脂が未凝集の状態で残留し、膜分離阻害物となり、MFFを悪化させる。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下において「%」は「重量%」を表す。
【0071】
また、以下において、前述の<融点測定試料調製法>に従って、調製した試料について、前述の<融点測定法>に従って測定した融点を単に「融点」と称し、樹脂のカタログ値、或いは、試料樹脂についてアルカリ溶液に溶解させることなく測定した融点を「原体樹脂融点」と称す。
【0072】
[2次反応フェノール系樹脂アルカリ溶液の製造]
実施例用の原料樹脂として群栄化学工業(株)製のレヂトップPS−6945及びPS−4991を使用した。PS−6945はクレゾールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下に付加縮合を行って得られたノボラック型クレゾール樹脂であり、PS−4991はクレゾールとキシレノールをモル比で67/33として、同様に付加縮合を行って得られたノボラック型クレゾール/キシレノール樹脂であり、その融点、重量平均分子量、低分子量成分含有率等は以下の通りである。
【0073】
また、比較例用の原料樹脂として群栄化学工業(株)製のレヂトップPSM−6358を使用した。本品はフェノールとホルムアルデヒドを酸触媒の存在下に付加縮合を行って得られたノボラック型フェノール樹脂であり、その融点、重量平均分子量、低分子量成分含有率等は以下の通りである。
【0074】
【表1】

【0075】
これらPS−6945、PS−4991及びPSM−6358の主用途は電子材料用であり、水処理凝集剤としては使用されていない。
【0076】
<実施例I−1>
ビーカーにPS−6945 41gと、樹脂量に対して18%に当たる苛性ソーダ7.4gとイオン交換水150gを加え入れ、マグネチックスターラーにて攪拌溶解し、最終的にイオン交換水を加えて、PS−6945を20.5%含有するアルカリ溶液200gを得た。
200mlの共栓付三角フラスコに前記PS−6945アルカリ溶液100gを入れ、約60℃に加温してから37%のホルムアルデヒド溶液2.4gを適量のイオン交換水で希釈して加え、コンデンサー、攪拌用窒素ガス吹き込み管、及び温度計を共栓に取り付け、オイルバスで、液温度85℃で8時間、レゾール型のホルムアルデヒド付加縮合反応を進行させた(レゾール型2次反応)。
その後、これを冷却し、イオン交換水(濃度調整用イオン交換水)を加えて全量を132gとし、クレゾール2核体を含む低分子量成分含有率を低減し、重量平均分子量を増加させた高融点の2次反応クレゾール樹脂アルカリ溶液(クレゾール樹脂含有量:16%、以下「本発明合成品A」と称す。)を得た。
【0077】
<実施例I−2>
ビーカーにPS−4991 41gと、樹脂量に対して18%に当たる苛性ソーダ7.4gとイオン交換水150gを加え入れ、マグネチックスターラーにて攪拌溶解し、最終的にイオン交換水を加えて、PS−4991を20.5%含有するアルカリ溶液200gを得た。
200mlの共栓付三角フラスコに前記PS−4991アルカリ溶液100gを入れ、約60℃に加温してから37%のホルムアルデヒド溶液3.4gを適量のイオン交換水で希釈して加え、コンデンサー、攪拌用窒素ガス吹き込み管、及び温度計を共栓に取り付け、オイルバスで、液温度85℃で8時間、レゾール型のホルムアルデヒド付加縮合反応を進行させた(レゾール型2次反応)。
その後、これを冷却し、イオン交換水(濃度調整用イオン交換水)を加えて全量を132gとし、メチルフェノール2核体を含む低分子量成分含有率を低減し、重量平均分子量を増加させた高融点の2次反応メチルフェノール系樹脂アルカリ溶液(メチルフェノール系樹脂含有量:16%、以下「本発明合成品B」と称す。)を得た。
【0078】
<比較例I−1>
ビーカーにPSM−6358 41gと、樹脂量に対して20%に当たる苛性ソーダ8.2gとイオン交換水150gを加え入れマグネチックスターラーにて攪拌溶解し、最終的にイオン交換水を加えて、PSM−6358を20.5%含有するアルカリ溶液200gを得た。
200mlの共栓付三角フラスコに前記PSM−6358アルカリ溶液100gを入れ、約60℃に加温してから37%のホルムアルデヒド溶液4.4gを適量のイオン交換水で希釈して加え、コンデンサー、攪拌用窒素ガス吹き込み管、及び温度計を共栓に取り付け、オイルバスで、液温度85℃で8時間、レゾール型のホルムアルデヒド付加縮合反応を進行させた(レゾール型2次反応)。
これを冷却し、濃度調整用イオン交換水を加えて全量を132gとし、フェノール2核体を含む低分子量含有率を低減し、重量平均分子量を増加させた2次反応フェノール樹脂アルカリ溶液(フェノール樹脂含有量:16%、以下「比較合成品C」と称す。)を得た。
【0079】
<比較例I−2>
実施例I−1において、レゾール型2次反応を行わず、樹脂原料PS−6945のアルカリ溶液に、イオン交換水を加えて樹脂濃度16%に希釈調製したものを比較調整品Dとした。
【0080】
[融点、分子量及び低分子量成分含有率の測定]
本発明合成品A、B、比較合成品C及び比較調整品Dについて、前述の方法でそれぞれ分子量分画を行い、2核体、及び低分子量成分含有量の検定を行い、結果を表2に示した。
また、前述の方法で融点を測定し、結果を表2に示した。
なお、モノマー(フェノール類)については、JIS K−6910−7.22により別途分析した。
【0081】
【表2】

【0082】
実施例I−1(本発明合成品A)の重量平均分子量は16000、実施例I−2(本発明合成品B)は14000で、比較例I−1(比較合成品C)の重量平均分子量は13000に対し、ほぼ同レベルの水準である。
また、実施例I−1(本発明合成品A)では、レゾール型2次反応を施さない比較例I−2(比較調整品D)と比較すると、重量平均分子量は4900から16000と3.3倍に増加している。また、実施例I−2(本発明合成品B)では、レゾール型2次反応を施さないPS−4991と比較すると、重量平均分子量は2500から14000と5.6倍に増加している。
低分子量成分含有率は、ポリスチレン換算分子量1000以下の合計で本発明合成品Aは9.7%、本発明合成品Bは12.6%で、比較合成品Cの6.9%より多く、特に分子量280以下の成分が比較合成品Cよりかなり多く残っているが、レゾール型2次反応を施さない比較調整品D及びPS−4991と比較すると、ポリスチレン換算分子量1000以下の合計が本発明合成品Aで26.8%から9.7%、本発明合成品Bで40.6%から12.6%と大きく減少している。
また、実施例I−1の本発明合成品Aの融点は205℃で比較例I−1の比較合成品Cの融点180℃より高い。また、レゾール型2次反応を施さない比較例I−2の比較調整品Dの110〜135℃より上昇している。また、実施例I−2の本発明合成品Bも、同様にレゾール型2次反応で融点が100〜120℃から195℃に上昇している。
なお、PS−6945(比較調整品D)及びPS−4991の融点に範囲があるのは、チャートの熱吸収温度帯がブロードになっていることを示す。
【0083】
[MFF評価]
上記の本発明合成品A、B、比較合成品C及び比較調整品Dを用いて、膜汚染物質である中性多糖類を多く含有する生物処理水である後掲の[1]高汚濁生物処理水及び[2]中汚濁生物処理水と、同じく、藻類代謝生産による中性多糖類が存在する、湖沼を水源とする工業用水である後掲の[3]湖沼系工業用水に対して、室内で、凝集処理、濾過処理を行った処理水のMFFを測定し、膜供給水としての適正化効果を評価した。
【0084】
凝集試験、濾過処理、及びMFF測定、評価の方法は以下の通りである。
【0085】
{凝集試験:ジャーテスト}
ジャーテストは宮本製作所製のジャーテスターを使用し、試料原水1100mlを以下の手順で凝集処理した。
(1) 150rpmの急速攪拌下で、本発明合成品A、B、比較合成品C、及び比較調整品Dのフェノール系樹脂アルカリ溶液を所定量添加し、5分反応させた。
(2) 次いで、無機凝集剤添加反応後、所定のpHになるように酸を添加し、続いて無機凝集剤の所定添加量を添加し、150rpm急速攪拌7分、50rpm緩速攪拌8分を行った。
【0086】
{濾過処理}
上記処理凝集水を15〜30分程度静置し、凝集物を沈殿させた後、上澄液をNo.5A濾紙でその全量を濾過し、濾過水1000ml以上を得た。
【0087】
{MFF測定}
(1) 上記濾過水500mlをミリポア社製の、細孔径0.45μm、47mmφのニトロセルロース製フィルターを用い、66kPa(500mmHg)の減圧下で濾過し、濾過時間T1を計測した。
(2) 別の500mg/Lの濾過水を同様に濾過し、濾過時間T2を測定した。
(3) MFFはT2/T1で示され、膜汚濁物質のない、例えば蒸留水や、RO膜透過水ではT1とT2はほぼ等しく、MFFは1.00となる。
逆浸透(RO)膜供給水としてのMFFの適正値は1.10以下、好ましくは1.05以下とされる。
一方、逆浸透(RO)膜供給水として不適当なMFFは1.2又は1.3以上とされる。
【0088】
{MFFの評価}
MFFから計算されるMFF指数で評価した。
MFF指数は、log(1/(MFF−1.00)で算出され、MFFとの関係は図1の通りである。
【0089】
MFF指数で評価した理由は、以下の(1)〜(3)の通りである。
(1) 本発明及び比較例の水処理凝集剤の添加量とMFF改善機能が線形回帰式で相関係数0.9以上と統計的に有意であり、明確な数値比較ができる。
(2) MFF1.01〜1.10の範囲は、実際には効果差が大きいにもかかわらず、表示数値差が小さいため、ここを拡大して評価できる。
(3) 効果を視覚的に理解するには、数値が大きいほど良い形式がふさわしい。
【0090】
[凝集残留樹脂濃度評価]
フェノール系樹脂中の低分子量成分は、汚濁物の凝集に寄与しないだけでなく、処理水中に残留し、新たな膜汚染物質となるため、より少ないことが望ましい。
また、排水の有機物及びこれに伴うCODMn低減で用いる場合も当然のことながら処理水中に残留する部分が少ないことが望ましい。
水中に溶解しているノボラック型フェノール系樹脂は、ヒドロキシベンゼン環に伴う、C=C二重結合によって、紫外線(UV)吸収を示し、その最大吸収波長が280nmにある。
一方、ノボラック型フェノール系樹脂が、凝集処理対象とする多糖類は、二重結合がなく、その除去の有無にかかわらず、UV吸収には関与せず、同時に、対象原水に存在するUV吸収関与有機物(分子量5000程度以下のフミン系物質等と推定される。)の除去にはほとんど寄与しないことから、以下のようにして波長280nmのUV吸光度の増加から、樹脂残留量を推定した。
【0091】
<樹脂残留量の推定方法>
(1) 各凝集処理水について、無機凝集剤のみの処理時(後掲の参考例)の波長280nmの光の50mmセルの吸光度(UV280)と、実施例及び比較例のUV280の差を求める(ΔUV280:参考例より低ければマイナス)。
(2) ΔUV280を、本発明合成品A、比較合成品C、比較調整品Dのそれぞれがフェノール系樹脂換算で1mg/L存在するときのUV280(B)で割り、残留濃度を求める。この時、全データのΔUV280のマイナス最大値の絶対値(例えば表3では0.002)をΔUV280に加算する。
残留樹脂換算濃度=(ΔUV280+0.002)/B
B値は本発明合成品A:0.085、本発明合成品B:0.085、比較合成品C:0.098、比較調整品D:0.083である。
(3) 次いで、残留樹脂換算濃度を添加樹脂濃度で割り、添加樹脂濃度(フェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加濃度)に対する残留率を求めた。
(2)で0.002をプラスする理由は、微量であるが、前記フェノール系樹脂が原水に存在するUV280構成物質を除去するためΔUV280がマイナスとなる。そこでマイナス絶対値の最大値をプラスして、原理的にありえないマイナスを相殺する。
このようなことから、以下の表3〜5の残留樹脂換算濃度は正確なものとは言えない。また、フェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加量が少ないほど誤差が多いため、低添加量条件では樹脂残留率の数値記載を避けた。
【0092】
[1]高汚濁生物処理水
液晶製造工程排水について脱窒素までを含む生物処理を行った処理水を、さらにポリ硫酸鉄による凝集処理を行い、次いでRO膜分離処理を行って排水回収を行っているF工場の生物処理水を原水として評価を行った。
F工場では、この生物処理水にポリ硫酸第二鉄(PFS)440mg/Lを添加し、pH4.8で凝集処理を行い、加圧浮上での一次固液分離を経て、2層式重力濾過を行い、得られた濾過水をRO膜供給水としているが、膜供給水のMFFは1.3以上で不良であり、PFSを増量しても、評価に供した原水に関してMFF1.3を切ることはできなかった。
この原水に対して、前述の<凝集試験:ジャーテスト>の方法に従って、本発明合成品A、比較合成品C及び比較調整品Dをそれぞれフェノール系樹脂換算の添加量として表3に示す量添加した後、PFSを440mg/L添加して凝集処理を行った。凝集pHは4.8であった。
得られた凝集処理水を前述の<濾過処理>に従って濾過した後、<MFF測定>及び<MFFの評価>に従ってMFFの測定及び評価を行った。
また、前述の[凝集残留樹脂濃度評価]に従って、残留樹脂換算濃度と樹脂残留率を求めた。
これらの結果を表3に示す。
また、フェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加量とMFF指数との関係を図2に示す。
なお、実施例II−1、実施例II−2は、それぞれ本発明合成品A、本発明合成品Bを用いた本発明例であり、比較例II−1及び比較例II−2は、それぞれ比較合成品Cと、比較調整品Dを用いた比較例であり、参考例IIはこれらを用いずPFSのみを添加したものである。
【0093】
【表3】

【0094】
各水処理凝集剤のMFF改善効果は、図2における直線回帰式の傾きから判定できる。実施例II−1(本発明合成品A)の傾きは0.649、実施例II−2(本発明合成品B)の傾きは0.633、比較例II−1(比較合成品C)の傾きは0.447、比較例II−2(比較調整品D)の傾きは0.525である。
フェノール樹脂の比較例II−1(比較合成品C)を基準とすると、クレゾール樹脂の実施例のII−1(本発明合成品A)は1.45倍、また、クレゾール/キシレノール樹脂の実施例II−2(本発明合成品B)では1.42倍であり、明確にメチルフェノール系樹脂の優位性が示される。また、フェノール樹脂の比較合成品Cは、低添加量側の数値が回帰線の下にあることから、低添加量での膜濾過性改善効果が弱いことが示される。
樹脂残留率については、実施例II−1(本発明合成品A)、実施例II−2(本発明合成品B)は、比較例II−1(比較合成品C)と同様に、2%以下で樹脂の残留が少ない。
一方、レゾール型2次反応を施さないクレゾール樹脂の比較調整品Dでは、MFF指数評価でレゾール型2次反応を施したフェノール樹脂の比較合成品Cの1.17倍の効果であるが、樹脂残留率は9%程度と明らかに悪い。
【0095】
[2]中汚濁生物処理水
液晶製造工程排水について生物処理を行った処理水を、さらにポリ硫酸鉄による凝集処理を行い、次いでRO膜分離処理を行って排水回収を行っているG工場の生物処理水を原水として評価を行った。
G工場では、生物処理水にポリ硫酸第二鉄(PFS)600mg/Lを添加し、pH5.0で凝集処理を行い、加圧浮上での一次固液分離を経て、2層式重力濾過を行い、得られた濾過水をRO膜供給水としているが、膜供給水のMFFは1.15前後で、RO膜供給水としての良好水準の1.10を少し上回っていた。
この原水に対して、前述の<凝集試験:ジャーテスト>の方法に従って、本発明合成品A及び比較合成品Cをそれぞれフェノール系樹脂換算の添加量として表4に示す量添加した後、PFSを600mg/L添加して凝集処理を行った。凝集pHは5.0であった。
得られた凝集処理水を前述の<濾過処理>に従って濾過した後、<MFF測定>及び<MFFの評価>に従ってMFFの測定及び評価を行った。
また、前述の[凝集残留樹脂濃度評価]に従って、残留樹脂換算濃度と樹脂残留率を求めた。
これらの結果を表4に示す。
また、フェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加量とMFF指数との関係を図3に示す。
なお、実施例III−1は、本発明合成品Aを用いた本発明例であり、比較例III−1は、
比較合成品Cを用いた比較例であり、参考例IIIはこれらを用いずPFSのみを添加したものである。
【0096】
【表4】

【0097】
図3より明らかなように、本発明合成品Aを用いた実施例III−1の傾きは0.431で、比較合成品Cを用いた比較例III−1の傾き0.294に対し1.46倍の効果を示す。
【0098】
[3]湖沼系工業用水
河川系工業用水では、藻類等の微生物繁殖が少ないが、湖沼では栄養塩類と太陽光、および水の滞留時間増加から、藻類が相当に繁殖し、その代謝生産物である多糖類も多く、無機凝集剤で凝集除去不能な中性多糖類も必然的に多くなる。このような条件下の茨城県北浦を取水源とする工業用水を原水として、無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)60mg/Lを使用し、PACと反応する酸性多糖類を含む有機物の処理効果が高いpH6.2での凝集試験により評価を行った。
なお、PACのみを用いた凝集処理では、MFFは1.15で、RO膜供給水としての良好水準の1.10を少し上回っていた。
この原水に対して、前述の<凝集試験:ジャーテスト>の方法に従って、本発明合成品A、本発明合成品B、比較合成品C及び比較調整品Dをそれぞれフェノール系樹脂換算の添加量として表5に示す量添加した後、PAC添加後のpHが6.2となるように硫酸を添加し、次いでPACを60mg/L添加して凝集処理を行った。
得られた凝集処理水を前述の<濾過処理>に従って濾過した後、<MFF測定>及び<MFFの評価>に従ってMFFの測定及び評価を行った。
また、前述の[凝集残留樹脂濃度評価]に従って、残留樹脂換算濃度と樹脂残留率を求めた。
これらの結果を表5に示す。
また、フェノール系樹脂換算の水処理凝集剤添加量とMFF指数との関係を図4に示す。
なお、実施例IV−1は、本発明合成品Aを用いた本発明例で、実施例VI−2は本発明合成品Bを用いた本発明例であり、比較例IV−1及び比較例IV−2は、それぞれ比較合成品Cと、比較調整品Dを用いた比較例であり、参考例IVはこれらを用いずPACのみを添加したものである。
【0099】
【表5】

【0100】
図4より明らかなように、本発明合成品Aを用いた実施例IV−1の傾きは1.185、本発明合成品Bを用いた実施例IV−2の傾きは1.178で、比較合成品Cを用いた比較例IV−1の傾き0.858に対し、それぞれ1.38倍、1.37倍の効果を示す。
レゾール型2次反応を施さない比較調整品Dを用いた比較例IV−2では、比較合成品Cを用いた比較例IV−1と同程度の0.881の傾きであり、MFF改善効果はあるが、樹脂残留率が約10%と悪い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に反応させて得られたノボラック型フェノール系樹脂のアルカリ溶液に、アルデヒド類を添加してレゾール型の2次反応を行って得られるフェノール系樹脂のアルカリ溶液よりなる水処理凝集剤であって、該フェノール類がメチルフェノール類を含むことを特徴とする水処理凝集剤。
【請求項2】
請求項1において、前記メチルフェノール類がクレゾールであることを特徴とする水処理凝集剤。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記レゾール型の2次反応を行って得られるフェノール系樹脂の重量平均分子量が10000以上であり、分子量1000以下の低分子量成分の含有率が20重量%以下であることを特徴とする水処理凝集剤。
【請求項4】
被処理水に凝集剤を添加する凝集処理工程と、該凝集処理工程の凝集処理水を膜分離処理する膜分離処理工程とを有する水処理方法において、該凝集処理工程は、被処理水に請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水処理凝集剤を添加した後、無機凝集剤を添加する工程であることを特徴とする水処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−166118(P2012−166118A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26947(P2011−26947)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【出願人】(000165000)群栄化学工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】