説明

水処理装置

【課題】 マイクロナノバブルの発生状態の最適化を図る。
【解決手段】 超純水製造装置5,希薄排水回収装置34,雑用水回収装置および排水処理装置の各前段に、第1処理槽1〜第4処理槽を設置している。そして、各処理槽1,2,…を、マイクロナノバブル発生槽6,23,…と嫌気測定槽7,24,…とで構成している。したがって、各マイクロナノバブル発生槽6,23,…で発生されたマイクロナノバブルによって、各嫌気測定槽7,24,…内の微生物が活性化されて低濃度有機物の処理効率が向上される。さらに、上記各嫌気測定槽7,24,…における各溶存酸素計13,30,…または各酸化還元電位計14,31,…の測定値が夫々に定められた一定の範囲を越えると循環ポンプ9,26,…の回転数が制御されて、マイクロナノバブルの発生が減少される。こうして、処理水中におけるマイクロナノバブルの含有量が適正に保たれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導入される水の前処理を行う前処理装置を含む水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理の処理装置や処理方法において、一般的な前処理装置や前処理方法として従来から幾つかの前処理装置や前処理方法がある。一例として、排水処理における生物処理装置の前処理装置として、沈澱,ろ過,pH調整,オゾン酸化および吸着等がある。
【0003】
上記前処理装置の目的は、次工程の排水処理装置に対する生物学的,化学的あるいは物理学的な負荷を低減することであり、当該排水処理装置の規模の縮小,ランニングコストの低減,排水処理装置からの処理水の水質向上等が期待できる。
【0004】
しかしながら、従来の前処理には、被処理水中におけるマイクロナノバブル濃度を格段に高めることによって高いマイクロナノバブル濃度を次工程まで長時間に渡り持続させ、膜装置に対する洗浄機能や弱い殺菌機能等の新たな機能によって処理を行うことはできない。ここで、上記マイクロナノバブルとは、直径が50ミクロン以下で且つ1ミクロンよりも大きなマイクロバブルと直径が1ミクロン以下のナノバブルとの両方を含むものである。
【0005】
また、従来の前処理には、ブロワーによる一般的な曝気は存在するが、上記マイクロナノバブルよる処理機能はない。尚、上記マイクロナノバブルよる前処理の場合には、次工程まで長時間溶存酸素を高濃度に持続させる機能がある。
【0006】
ところで、従来、特開2004‐121962号公報(特許文献1)に開示されたナノバブルの利用方法及び装置がある。このナノバブルの利用方法及び装置は、ナノバブルが有する浮力の減少,表面積の増加,表面活性の増大,局所高圧場の生成,静電分極の実現による界面活性作用および殺菌作用等の特性を活用したものである。より具体的には、それらの特性が相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能や物体表面の高速洗浄機能や殺菌機能によって、各種物体を高機能且つ低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることが開示されている。
【0007】
しかしながら、
(1)マイクロナノバブル発生槽で上記マイクロナノバブルを発生させ、上記マイクロナノバブルの発生状態の最適化を計るために、上記マイクロナノバブルを含有した被処理水を嫌気測定槽に導入して、溶存酸素濃度と酸化還元電位との値で最適化を計ることは開示されていない。
(2)(a)前処理装置,1次純水製造装置および2次純水製造装置で構成される超純水製造装置、(b)希薄排水回収装置、(c)雑用水回収装置、(d)排水処理装置の各前段に、マイクロナノバブル発生槽と嫌気測定槽とからなる処理槽を設置することも開示されてはいない。
【0008】
さらに、特開2003‐334548号公報(特許文献2)に開示されたナノ気泡の生成方法がある。このナノ気泡の生成方法では、液体中において、(i)液体の一部を分解ガス化する工程、(ii)液体中で超音波を印加する工程、または、(iii)液体の一部を分解ガス化する工程および超音波を印加する工程、から構成されている。
【0009】
しかしながら、
(3)マイクロナノバブル発生槽で上記マイクロナノバブルを発生させ、上記マイクロナノバブルの発生状態の最適化を計るために、上記マイクロナノバブルを含有した被処理水を嫌気測定槽に導入して、溶存酸素濃度と酸化還元電位との値で最適化を計ることは開示されていない。
(4)(a)前処理装置,1次純水製造装置および2次純水製造装置で構成される超純水製造装置、(b)希薄排水回収装置、(c)雑用水回収装置、(d)排水処理装置の各前段に、マイクロナノバブル発生槽と嫌気測定槽とからなる処理槽を設置することも開示されてはいない。
【0010】
さらに、特開2004‐321959号公報(特許文献3)に開示された廃液の処理装置がある。この廃液の処理装置では、マイクロバブル発生装置に、オゾン発生装置によって生成されたオゾンガスと処理槽の下部から抜き出された廃液とを加圧ポンプを介して供給している。そして、生成されたオゾンマイクロバブルを、ガス吹き出しパイプの開口部より上記処理槽内の廃液中に通気することが開示されている。
【0011】
しかしながら、
(5)マイクロナノバブル発生槽で上記マイクロナノバブルを発生させ、上記マイクロナノバブルの発生状態の最適化を計るために、上記マイクロナノバブルを含有した被処理水を嫌気測定槽に導入して、溶存酸素濃度と酸化還元電位との値で最適化を計ることは開示されていない。
(6)(a)前処理装置,1次純水製造装置および2次純水製造装置で構成される超純水製造装置、(b)希薄排水回収装置、(c)雑用水回収装置、(d)排水処理装置の各前段に、マイクロナノバブル発生槽と嫌気測定槽とからなる処理槽を設置することも開示されてはいない。
【0012】
以上のごとく、従来、膜装置の前処理装置として各種の方式による装置があるが、低コストで、しかもメンテナンスが容易で、且つ、省エネルギーであるシンプルな装置を活用して、膜装置の閉塞現象を大幅に防止したり、膜装置の能力を向上させることが可能な前処理装置は存在していないのである。
【特許文献1】特開2004‐121962号公報
【特許文献2】特開2003‐334548号公報
【特許文献3】特開2004‐321959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、この発明の課題は、被処理水中にマイクロナノバブルを含有させて被処理水に対して処理を行う際に、上記マイクロナノバブルの発生状態の最適化を図ることができる水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明の水処理装置は、
外部から水が導入されると共に、マイクロバブルとナノバブルとの両方を含むマイクロナノバブルを発生するマイクロナノバブル発生器を有して、上記導入された水中に上記マイクロナノバブルを含有させるマイクロナノバブル発生槽と、
上記マイクロナノバブル発生槽から導入された水を嫌気性処理すると共に、被処理水中における上記マイクロナノバブルの含有量を測定するための嫌気測定槽と
を備えたことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、嫌気測定槽において、マイクロナノバブル発生槽から導入された被処理水における上記マイクロナノバブルの含有量を測定することが可能になる。したがって、上記マイクロナノバブル発生槽における上記マイクロナノバブルの発生量を確認することができると共に、上記含有量の測定結果に基づいて上記マイクロナノバブルの発生状態の最適化を図ることが可能になる。
【0016】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記嫌気測定槽は、少なくとも前処理装置を含む超純水製造装置における上記前処理装置の前段に設置されている。
【0017】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽によって、超純水製造装置における前処理装置に導入される水に対する更なる前処理を行うことができる。したがって、上記前処理装置の処理負荷を低減することができる。
【0018】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記嫌気測定槽は、少なくとも1次純水製造装置を含む超純水製造装置における上記1次純水製造装置の前段に設置されている。
【0019】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽によって、超純水製造装置における1次純水製造装置に導入される水に対する前処理を行うことができる。したがって、上記1次純水製造装置の処理負荷を低減することができる。さらに、処理水中に上記マイクロナノバブルが含有されているため上記1次純水製造装置における膜の閉塞現象や膜に対する透過流量の減少に対して改善効果があり、膜装置の処理能力が増加する。したがって、上記1次純水製造装置における膜の寿命を長くしてランニングコストの低減を図ると共に、処理性能を向上させることができる。
【0020】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記嫌気測定槽は、少なくとも1次純水製造装置および2次純水製造装置を含む超純水製造装置における上記2次純水製造装置の前段に設置されている。
【0021】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽によって、超純水製造装置における2次純水製造装置に導入される水に対する前処理を行うことができる。したがって、上記2次純水製造装置の処理負荷を低減することができる。さらに、処理水中に上記マイクロナノバブルが含有されているため上記2次純水製造装置における膜の閉塞現象や膜に対する透過流量の減少に対して改善効果があり、膜装置の処理能力が増加する。したがって、上記2次純水製造装置における膜の寿命を長くしてランニングコストの低減を図ると共に、処理性能を向上させることができる。
【0022】
また、1実施の形態の水処理装置では、
前処理装置,1次純水製造装置および2次純水製造装置を含む超純水製造装置と、
上記超純水製造装置で製造された超純水を使用する工場内の箇所である工場内ユースポイントと、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した希薄排水を処理して回収する希薄排水回収装置と、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を処理して回収する雑用水回収装置と、
上記雑用水回収装置によって回収された処理水を再利用するクーリングタワーおよびスクラバーと、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を処理して放流する排水処理装置と、
上記希薄排水回収装置の前段に配置された活性炭吸着装置と
を備え、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した希薄排水を上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽に導入して処理し、この処理水を上記活性炭吸着装置および上記希薄排水回収装置によって処理して回収し、この回収水を上記超純水製造装置における上記1次純水製造装置に導入して再利用するようになっている。
【0023】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽によって、活性炭吸着装置および希薄排水回収装置に導入される工場内ユースポイントで発生した希薄排水に対する前処理を行うことができる。したがって、上記活性炭吸着装置および上記希薄排水回収装置の処理負荷を低減することができる。
【0024】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽に導入して処理し、この処理水を上記雑用水回収装置によって処理して回収し、この回収水を上記クーリングタワーおよびスクラバーで再利用するようになっている。
【0025】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽によって、雑用水回収装置に導入される工場内ユースポイントで発生した濃厚排水に対する前処理を行うことができる。したがって、上記雑用水回収装置の処理負荷を低減することができる。
【0026】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽に導入して処理し、この処理水を上記排水処理装置によって再度処理して放流するようになっている。
【0027】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽によって、上記排水処理装置に導入される工場内ユースポイントで発生した濃厚排水に対する前処理を行うことができる。したがって、上記排水処理装置の処理負荷を低減することができる。
【0028】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記マイクロナノバブル発生槽に添加されるマイクロナノバブル発生助剤が貯溜されたマイクロナノバブル発生助剤タンクを備えている。
【0029】
この実施の形態によれば、マイクロナノバブル発生助剤タンクに貯溜されたマイクロナノバブル発生助剤が、上記マイクロナノバブル発生槽に添加される。したがって、上記マイクロナノバブル発生槽において、上記マイクロナノバブルを効果的に且つ効率的に発生させることができる。すなわち、上記マイクロナノバブルの発生状態を最適にすることが可能になる。
【0030】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクに貯溜された上記マイクロナノバブル発生助剤は、アルコール類あるいは食塩を含む塩類である。
【0031】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生助剤は、アルコール類あるいは食塩を含む塩類であるため、容易に低コストで確保することができる。さらに、上記アルコール類や塩類は、後段の膜装置で除去し易いため上記膜装置に対して悪影響を及ぼすことがない。
【0032】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記嫌気測定槽には、溶存酸素計および酸化還元電位計のうちの少なくとも何れかが設置されている。
【0033】
上記マイクロナノバブルは水の中に長く存続することができるため、上記マイクロナノバブル発生槽における上記マイクロナノバブル発生器を駆動し続けると、被処理水中における上記マイクロナノバブルの含有量が過剰となり、後段の処理装置に対して悪影響を及ぼす場合が生ずる。
【0034】
この実施の形態によれば、上記嫌気測定槽には、溶存酸素計および酸化還元電位計のうちの少なくとも何れかが設置されている。したがって、上記溶存酸素計および酸化還元電位計による計測結果に基づいて、被処理水中の上記マイクロナノバブルによる後段の処理装置に対する影響を確認することができる。
【0035】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記嫌気測定槽には、ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されている。
【0036】
この実施の形態によれば、上記ポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している微生物が上記マイクロナノバブルによって活性化されて、被処理水中における低濃度の有機物の処理効率が向上される。
【0037】
さらに、上記マイクロナノバブルの存在下において上記微生物によって酸素を消費させることができる。そして、酸素消費が行われている状態で上記マイクロナノバブル発生槽から上記マイクロナノバブルが多く流入した場合には、上記嫌気測定槽内の溶存酸素濃度や酸化還元電位が上昇することになる。したがって、上記嫌気測定槽内の溶存酸素濃度や酸化還元電位を測定することによって、上記マイクロナノバブルの持続状態を測定することが可能になる。
【0038】
また、1実施の形態の水処理装置では、
上記マイクロナノバブル発生槽における上記マイクロナノバブル発生器は、キャビテーション型マイクロナノバブル発生器である。
【0039】
この実施の形態によれば、上記マイクロナノバブル発生槽にはキャビテーション型マイクロナノバブル発生器が設けられている。したがって、被処理水が、半導体工場の希薄排水のような水質の良い回収水や水道水や淡水であっても、マイクロナノバブルを効率よく発生させることができる。
【発明の効果】
【0040】
以上より明らかなように、この発明の水処理装置は、嫌気測定槽において、マイクロナノバブル発生槽から導入された被処理水におけるマイクロナノバブルの含有量を測定することが可能になる。したがって、上記マイクロナノバブル発生槽における上記マイクロナノバブルの発生量を確認することが可能になる。さらに、上記マイクロナノバブルの含有量の測定結果に基づいて上記マイクロナノバブルの発生状態の最適化を図ることが可能になる。
【0041】
また、上記嫌気測定槽にポリ塩化ビニリデン充填物を充填すれば、このポリ塩化ビニリデン充填物に繁殖している微生物が上記マイクロナノバブルによって活性化されて、被処理水中における低濃度の有機物の処理効率を向上することができる。
【0042】
また、上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽を、超純水製造装置、工場内ユースポイントで発生した希薄排水を処理して回収する活性炭吸着装置および希薄排水回収装置、上記工場内ユースポイントで発生した濃厚排水を処理して回収する雑用水回収装置、あるいは、上記工場内ユースポイントで発生した濃厚排水を処理して放流する排水処理装置の前段に設置すれば、上記超純水製造装置を構成する各装置や、上記活性炭吸着装置および希薄排水回収装置や、上記雑用水回収装置や、上記排水処理装置の処理負荷を低減することができる。
【0043】
また、上記嫌気測定槽に溶存酸素計および酸化還元電位計のうちの少なくとも何れかを設置すれば、上記溶存酸素計および上記酸化還元電位計による計測結果に基づいて、被処理水中の上記マイクロナノバブルによる後段の処理装置に対する影響を確認することができる。
【0044】
また、上記マイクロナノバブル発生槽に、マイクロナノバブル発生助剤タンクに貯溜されたマイクロナノバブル発生助剤を添加すれば、上記マイクロナノバブルを効果的に且つ効率的に発生させることができ、上記マイクロナノバブルの発生状態を最適にすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0046】
(第1実施の形態)
図1及び図2は、本実施の形態の水処理装置における概略構成図であり、具体的には、半導体工場や液晶工場における水処理装置の概略構成図である。本水処理装置は、従来の半導体工場や液晶工場における完全クローズドシステム型の水処理装置に、第1処理槽1,第2処理槽2,第3処理槽3および第4処理槽4を追加設置すると共に、マイクロナノバブルを被処理水に含有させて水処理を効率的に行うものである。ここで、第1処理槽1,第2処理槽2,第3処理槽3および第4処理槽4の夫々は、後に詳述するようにマイクロナノバブル発生槽と嫌気測定槽とから構成されている。
【0047】
先ず、超純水製造装置5の前段に設置される第1処理槽1について詳細に説明する。上記第1処理槽1は、第1マイクロナノバブル発生槽6と第1嫌気測定槽7とで構成されている。そして、第1マイクロナノバブル発生槽6には、被処理水としての工業用水あるいは市水が導入される。
【0048】
上記第1マイクロナノバブル発生槽6は、その内部にはマイクロナノバブル発生器8が設置される一方、外部には循環ポンプ9が設置されている。そして、循環ポンプ9によって、第1マイクロナノバブル発生槽6内の水をマイクロナノバブル発生器8に圧送するようにしている。その結果、マイクロナノバブル発生器8は、接続されている空気吸込管10から供給される空気を吸い込みながら、マイクロナノバブルを発生するのである。尚、空気吸込管10にはバルブ11が介設されており、最適なマイクロナノバブルが発生し易いように空気量が調整される。ここで、マイクロナノバブル発生器8としては、特に限定するものではなく、例えば株式会社オーラテックや株式会社ナノプラネット研究所等の製品を用いればよい。第1マイクロナノバブル発生槽6に導入された被処理水としての工業用水は、第1マイクロナノバブル発生槽6内でマイクロナノバブルが含有された後、オーバーフローして第1嫌気測定槽7に導入される。
【0049】
上記第1嫌気測定槽7には、ポリ塩化ビニリデン充填物12,溶存酸素計13,酸化還元電位計14およびポンプ15が設置されている。ポリ塩化ビニリデン充填物12では、マイクロナノバブルを含有した被処理水中において微生物が繁殖しており、被処理水中における低濃度の有機物が上記微生物によって処理される。その際に、第1嫌気測定槽7内に上記マイクロナノバブルとポリ塩化ビニリデン充填物12とが存在することによって、上記微生物が活性化されて、上記低濃度有機物の処理効率が向上されるのである。
【0050】
上記溶存酸素計13および酸化還元電位計14は、第1嫌気測定槽7内の溶存酸素濃度および酸化還元電位を1日中(24時間)測定している。また、循環ポンプ9は、ポンプの回転数がインバータ制御されるようになっている。そして、溶存酸素計13あるいは酸化還元電位計14の測定値、または、両測定値が夫々に定められた一定の範囲を越えると、循環ポンプ9の回転数が制御されて循環ポンプ9の吐出量と吐出圧力とが減少し、マイクロナノバブル発生器8で発生するマイクロナノバブルが減少するのである。
【0051】
すなわち、上記第1マイクロナノバブル発生槽6で発生したマイクロナノバブルは長く水中に持続する。したがって、マイクロナノバブルが必要以上に多い場合には、後工程である1次純水製造装置や2次純水製造装置の環境に影響を及ぼす。そこで、上記マイクロナノバブルが多くなって、第1嫌気測定槽7の溶存酸素計13による溶存酸素濃度と酸化還元電位計14の測定値とが上昇した場合には、溶存酸素濃度値および酸化還元電位値によってマイクロナノバブル発生器8でのマイクロナノバブル発生量を減少させて、溶存酸素計13による溶存酸素濃度と酸化還元電位計14の測定値とを正常に保つ。こうして、溶存酸素計13による溶存酸素濃度と酸化還元電位計14の測定値とを正常に保つことによって、第1嫌気測定槽7内におけるマイクロナノバブルの含有量を正常に保って、上記1次純水製造装置や上記2次純水製造装置に対する過剰なマイクロナノバブルによる影響を防止するのである。
【0052】
尚、16は溶存酸素計13および酸化還元電位計14から循環ポンプ9へ制御信号を伝送するための信号線であり、17は溶存酸素計13の検出部であり、18は酸化還元電位計14の検出部である。
【0053】
次に、上記第1嫌気測定槽7内の被処理水は、ポンプ15によって超純水製造装置5の一部を構成する前処理装置19に導入される。前処理装置19としては、凝集沈澱設備,急速ろ過設備および凝集ろ過設備等がある。
【0054】
次に、上記前処理装置19を出た被処理水は、超純水製造装置5の一部を構成する1次純水製造装置20に導入される。その場合、上記マイクロナノバブルを含有した被処理水によって、1次純水製造装置20内の各膜装置における能力が向上されるため、上記各膜装置の膜交換の時期を大幅に長くしてランニングコストの低減を図ることができるのである。
【0055】
次に、上記1次純水製造装置20を出た被処理水は、超純水製造装置5の一部を構成する2次純水製造装置21に導入される。ここで、1次純水製造装置20には逆浸透膜装置(図示せず)や脱気装置(図示せず)が設置されている。したがって、上記被処理水中のマイクロナノバブルは、被処理水が1次純水製造装置20を出た時点で抹消され、その効力を失う。そして、2次純水製造装置21を出た超純水は、超純水製造装置5で製造された超純水を使用する工場内の箇所である工場内ユースポイント22に送出される。
【0056】
上述のようにして、上記工場内ユースポイント22に送出された超純水は、各生産装置(図示せず)で使用された後、希薄排水および濃厚排水の2種類に分類されると共に、希薄排水回収系,濃厚排水回収系および濃厚排水処理系の3系列に分岐されて排出される。
【0057】
次に、上記希薄排水を回収するための希薄排水回収系について説明する。上記各生産装置からの希薄排水は、第2処理槽2に導入される。ここで、第2処理槽2は、第2マイクロナノバブル発生槽23と第2嫌気測定槽24とで構成されている。そして、被処理水としての上記希薄排水は、第2マイクロナノバブル発生槽23に導入されることになる。
【0058】
上記第2マイクロナノバブル発生槽23は、その内部にはマイクロナノバブル発生器25が設置される一方、外部には循環ポンプ26が設置されている。そして、マイクロナノバブル発生器25には、空気吸込管27が設置されてバルブ28によって吸い込み空気量が調節可能になっている。第2マイクロナノバブル発生槽23に導入された被処理水としての上記希薄排水は、第2マイクロナノバブル発生槽23内でマイクロナノバブルが含有された後、オーバーフローして第2嫌気測定槽24に導入される。
【0059】
上記第2嫌気測定槽24には、ポリ塩化ビニリデン充填物29,溶存酸素計30,酸化還元電位計31およびポンプ32が設置されている。ポリ塩化ビニリデン充填物29では、マイクロナノバブルを含有した被処理水中において微生物が繁殖しており、被処理水中における低濃度の有機物が上記微生物によって処理される。その際に、第2嫌気測定槽24内に上記マイクロナノバブル(図示せず)とポリ塩化ビニリデン充填物29とが存在することによって、上記微生物が活性化されて、上記低濃度有機物の処理効率が向上されるのである。
【0060】
上記溶存酸素計30および酸化還元電位計31は、第2嫌気測定槽24内の溶存酸素濃度および酸化還元電位を1日中(24時間)測定している。また、循環ポンプ26は、ポンプの回転数がインバータ制御されるようになっている。そして、溶存酸素計30あるいは酸化還元電位計31の測定値、または、両測定値が夫々に定められた一定の範囲を越えると、循環ポンプ26の回転数が制御されて循環ポンプ26の吐出量と吐出圧力が減少し、マイクロナノバブル発生器25で発生するマイクロナノバブルが減少するのである。
【0061】
すなわち、上記第2マイクロナノバブル発生槽23で発生したマイクロナノバブルは長く水中に持続する。したがって、上記マイクロナノバブルが必要以上に多くなって、第2嫌気測定槽24の溶存酸素計30による溶存酸素濃度と酸化還元電位計31の測定値とが上昇した場合には、溶存酸素濃度値および酸化還元電位値によってマイクロナノバブル発生器25でのマイクロナノバブル発生量を減少させて、溶存酸素計30による溶存酸素濃度と酸化還元電位計31の測定値とを正常に保つのである。
【0062】
尚、上記溶存酸素計30および酸化還元電位計31から循環ポンプ26へ制御信号を伝送するための信号線、溶存酸素計30の検出部、酸化還元電位計31の検出部の番号は、省略する。
【0063】
上記第2嫌気測定槽24からの被処理水は、ポンプ32によって、活性炭吸着装置33を介して希薄排水回収装置34に導入され、希薄排水回収装置34によって目的水質まで処理される。その場合、活性炭吸着装置33に導入される被処理水は、第2処理槽2によって処理されている。したがって、活性炭吸着装置33および希薄排水回収装置34の処理負荷を低減することができるのである。そして、希薄排水回収装置34によって処理された処理水は、超純水製造装置5の1次純水製造装置20に導入されて再利用される。
【0064】
尚、35は、上記活性炭吸着装置33からの処理水を第2嫌気測定槽24に戻すための配管に設けられたバルブである。また、36は、活性炭吸着装置33からの処理水を希薄排水回収装置34に導入するための配管に設けられたバルブである。
【0065】
次に、上記濃厚排水を回収するための濃厚排水回収系について説明する。上記各生産装置からの濃厚排水は、第3処理槽3に導入される。ここで、第3処理槽3は、第3マイクロナノバブル発生槽37と第3嫌気測定槽38とで構成されている。そして、被処理水としての上記濃厚排水は、第3マイクロナノバブル発生槽37に導入されることになる。
【0066】
上記第3マイクロナノバブル発生槽37は、その内部にはマイクロナノバブル発生器39が設置される一方、外部には循環ポンプ40が設置されている。そして、マイクロナノバブル発生器39には、空気吸込管41と吸い込み空気量を調節するためのバルブ42とが設置されている。第3マイクロナノバブル発生槽37に導入された被処理水としての上記濃厚排水は、第3マイクロナノバブル発生槽37内でマイクロナノバブルが含有された後、オーバーフローして第3嫌気測定槽38に導入される。
【0067】
上記第3嫌気測定槽38には、ポリ塩化ビニリデン充填物43,溶存酸素計44,酸化還元電位計45およびポンプ46が設置されている。ポリ塩化ビニリデン充填物43では、マイクロナノバブルを含有した被処理水中において微生物が繁殖しており、被処理水中における低濃度の有機物が上記微生物によって処理される。その際に、第3嫌気測定槽38内に上記マイクロナノバブル(図示せず)とポリ塩化ビニリデン充填物43とが存在することによって、上記微生物が活性化されて、上記低濃度有機物の処理効率が向上されるのである。
【0068】
上記溶存酸素計44および酸化還元電位計45は、第3嫌気測定槽38内の溶存酸素濃度および酸化還元電位を1日中(24時間)測定している。また、循環ポンプ40は、ポンプの回転数がインバータ制御されるようになっている。そして、溶存酸素計44あるいは酸化還元電位計45の測定値、または、両測定値が夫々に定められた一定の範囲を越えると、循環ポンプ40の回転数が制御されて循環ポンプ40の吐出量と吐出圧力が減少し、マイクロナノバブル発生器39で発生するマイクロナノバブルが減少するのである。
【0069】
すなわち、上記第3マイクロナノバブル発生槽37で発生したマイクロナノバブルは長く水中に持続する。したがって、上記マイクロナノバブルが必要以上に多くなって、第3嫌気測定槽38の溶存酸素計44による溶存酸素濃度と酸化還元電位計45の測定値とが上昇した場合には、溶存酸素濃度値および酸化還元電位値によってマイクロナノバブル発生器39でのマイクロナノバブル発生量を減少させて、溶存酸素計44による溶存酸素濃度と酸化還元電位計45の測定値とを正常に保つのである。
【0070】
尚、上記溶存酸素計44および酸化還元電位計45から循環ポンプ40へ制御信号を伝送するための信号線、溶存酸素計44の検出部、酸化還元電位計45の検出部の番号は、省略する。
【0071】
上記第3嫌気測定槽38からの被処理水は、上記ポンプ46によって、雑用水回収装置47を介してクーリングタワー及びスクラバー48に導入され、クーリングタワー及びスクラバー48によって再利用される。その場合、雑用水回収装置47に導入される被処理水は、第3処理槽3によって処理されている。したがって、雑用水回収装置47の処理負荷を低減することができるのである。そして、上記クーリングタワー及びスクラバー48によって再利用された後の処理水は、排水処理装置59に導入されて目的水質まで処理される。こうして、排水処理装置59によって処理された処理水は、放流されるのである。
【0072】
次に、上記濃厚排水を処理するための濃厚排水処理系について説明する。上記各生産装置からの濃厚排水は、第4処理槽4に導入される。ここで、第4処理槽4は、第4マイクロナノバブル発生槽49と第4嫌気測定槽50とで構成されている。そして、被処理水としての上記濃厚排水は、第4マイクロナノバブル発生槽49に導入されることになる。
【0073】
上記第4マイクロナノバブル発生槽49は、その内部にはマイクロナノバブル発生器51が設置される一方、外部には循環ポンプ52が設置されている。そして、マイクロナノバブル発生器51には、空気吸込管53と吸い込み空気量を調節するためのバルブ54とが設置されている。第4マイクロナノバブル発生槽49に導入された被処理水としての上記濃厚排水は、第4マイクロナノバブル発生槽49内でマイクロナノバブルが含有された後、オーバーフローして第4嫌気測定槽50に導入される。
【0074】
上記第4嫌気測定槽50には、ポリ塩化ビニリデン充填物55,溶存酸素計56,酸化還元電位計57およびポンプ58が設置されている。ポリ塩化ビニリデン充填物55では、マイクロナノバブルを含有した被処理水中において微生物が繁殖しており、被処理水中における低濃度の有機物が上記微生物によって処理される。その際に、第4嫌気測定槽50内に上記マイクロナノバブル(図示せず)とポリ塩化ビニリデン充填物55とが存在することによって、上記微生物が活性化されて、上記低濃度有機物の処理効率が向上されるのである。
【0075】
上記溶存酸素計56および酸化還元電位計57は、第4嫌気測定槽50内の溶存酸素濃度および酸化還元電位を1日中(24時間)測定している。また、循環ポンプ52は、ポンプの回転数がインバータ制御されるようになっている。そして、溶存酸素計56あるいは酸化還元電位計57の測定値、または、両測定値が夫々に定められた一定の範囲を越えると、循環ポンプ52の回転数が制御されて循環ポンプ52の吐出量と吐出圧力が減少し、マイクロナノバブル発生器51で発生するマイクロナノバブルが減少するのである。
【0076】
すなわち、上記第4マイクロナノバブル発生槽49で発生したマイクロナノバブルは長く水中に持続する。したがって、上記マイクロナノバブルが必要以上に多くなって、第4嫌気測定槽50の溶存酸素計56による溶存酸素濃度と酸化還元電位計57の測定値とが上昇した場合には、溶存酸素濃度値および酸化還元電位値によってマイクロナノバブル発生器51でのマイクロナノバブル発生量を減少させて、溶存酸素計56による溶存酸素濃度と酸化還元電位計57の測定値とを正常に保つのである。
【0077】
尚、上記溶存酸素計56および酸化還元電位計57から循環ポンプ52へ制御信号を伝送するための信号線、溶存酸素計56の検出部、酸化還元電位計57の検出部の番号は、省略する。
【0078】
上記第4嫌気測定槽50からの被処理水は、ポンプ58によって、上記排水処理装置59に導入され、排水処理装置59によって目的水質まで処理される。その場合、排水処理装置59に導入される被処理水は、第4処理槽4によって処理されている。したがって、排水処理装置59の処理負荷を低減することができるのである。そして、排水処理装置59によって処理された処理水は、放流されるのである。
【0079】
以上のごとく、本実施の形態においては、半導体工場や液晶工場における完全クローズドシステム型の水処理装置における超純水製造装置5,活性炭吸着装置33,雑用水回収装置47および排水処理装置59の各前段に、第1処理槽1,第2処理槽2,第3処理槽3および第4処理槽4を設置している。
【0080】
そして、上記超純水製造装置5の前段に設置された第1処理槽1を、第1マイクロナノバブル発生槽6と第1嫌気測定槽7とで構成している。したがって、第1マイクロナノバブル発生槽6で発生されたマイクロナノバブルによって、第1嫌気測定槽7内で繁殖している微生物が活性化されて、第1嫌気測定槽7内における上記低濃度有機物の処理効率が向上される。さらに、上記マイクロナノバブルを含有した被処理水によって、1次純水製造装置20内の各膜装置における能力が向上される。したがって、上記各膜装置の膜交換の時期を大幅に長くしてランニングコストの低減を図ることができる。
【0081】
さらに、上記第1嫌気測定槽7には溶存酸素計13および酸化還元電位計14が設置されており、溶存酸素計13あるいは酸化還元電位計14の測定値、または、両測定値が夫々に定められた一定の範囲を越えると循環ポンプ9の回転数が制御されて、マイクロナノバブル発生器8で発生するマイクロナノバブルが減少されるようになっている。したがって、1次純水製造装置20および2次純水製造装置21に対する過剰なマイクロナノバブルによる環境影響を防止することができる。
【0082】
また、上記活性炭吸着装置33,雑用水回収装置47および排水処理装置59の各前段に配置された第2処理槽2,第3処理槽3および第4処理槽4の夫々を、マイクロナノバブル発生槽23,37,49と嫌気測定槽24,38,50とで構成している。したがって、各マイクロナノバブル発生槽23,37,49で発生されたマイクロナノバブルによって、各嫌気測定槽24,38,50内で繁殖している微生物が活性化されて、各嫌気測定槽24,38,50内における上記低濃度有機物の処理効率が向上される。
【0083】
さらに、上記各嫌気測定槽24,38,50には溶存酸素計30,44,56および酸化還元電位計31,45,57が設置されており、各溶存酸素計30,44,56あるいは各酸化還元電位計31,45,57の測定値、または、両測定値が夫々に定められた一定の範囲を越えると循環ポンプ26,40,52の回転数が制御されて、各マイクロナノバブル発生器25,39,51で発生するマイクロナノバブルが減少されるようになっている。したがって、処理水中におけるマイクロナノバブルの含有量を正常に保つことができる。
【0084】
(第2実施の形態)
図3および図4は、本実施の形態の水処理装置における概略構成図である。本水処理装置は、図1および図2に示す上記第1実施の形態の水処理装置における第1マイクロナノバブル発生槽6,第2マイクロナノバブル発生槽23,第3マイクロナノバブル発生槽37および第4マイクロナノバブル発生槽49の夫々に、マイクロナノバブル発生助剤を添加するものである。
【0085】
そこで、図3および図4において、上記第1実施の形態の水処理装置の場合と同じ部分には同じ符号を付して、詳細は説明は省略する。以下、上記第1実施の形態とは異なる部分について説明する。
【0086】
本実施の形態においては、図3及び図4に示すように、第1マイクロナノバブル発生槽6には、マイクロナノバブル発生助剤タンク61からのマイクロナノバブル発生助剤が、定量ポンプ62によって定量的に添加されるようになっている。また、第2マイクロナノバブル発生槽23には、マイクロナノバブル発生助剤タンク63からのマイクロナノバブル発生助剤が、定量ポンプ64によって定量的に添加されるようになっている。また、第3マイクロナノバブル発生槽37には、マイクロナノバブル発生助剤タンク65からのマイクロナノバブル発生助剤が、定量ポンプ66によって定量的に添加されるようになっている。また、第4マイクロナノバブル発生槽49には、マイクロナノバブル発生助剤タンク67からのマイクロナノバブル発生助剤が、定量ポンプ68によって定量的に添加されるようになっている。
【0087】
以上のごとく、各マイクロナノバブル発生槽6,23,37,49にマイクロナノバブル発生助剤を添加する理由は、マイクロナノバブルの発生効率を向上させるためである。したがって、マイクロナノバブル発生器8,25,39,51のタイプ変更等によって、マイクロナノバブルの発生状態が改善される場合もあるので、上記マイクロナノバブル発生助剤を添加することは絶対的条件ではない。例えば、マイクロナノバブル発生器8,25,39,51としてキャビテーション型マイクロナノバブル発生器を用いた場合には、処理水が、上記希薄排水のような水質の良い回収水や水道水や淡水であってもマイクロナノバブルが発生する。したがって、その場合には、マイクロナノバブル発生槽6,23,37,49に対するマイクロナノバブル発生助剤の添加は不要となる。
【0088】
但し、上記マイクロナノバブル発生器8,25,39,51のタイプ変更等によって上記マイクロナノバブルの発生状態が改善されない場合には、最後の手段として、上記マイクロナノバブル発生助剤を添加するのである。
【0089】
尚、上記マイクロナノバブル発生助剤としては、具体的には少量のアルコールや食塩等の微量の塩類や少量の界面活性剤等が用いられる。その場合には、空気吸込管10,27,41,53から供給される空気量に対する上記マイクロナノバブルの発生率を100%程度まで向上させることができる。然も、上記アルコール類や塩類は、後段の膜装置で除去し易いため、上記膜装置に対して悪影響を及ぼすことはない。
【0090】
また、本実施の形態においては、上記第1マイクロナノバブル発生槽6,第2マイクロナノバブル発生槽23,第3マイクロナノバブル発生槽37および第4マイクロナノバブル発生槽49に対して、個別のマイクロナノバブル発生助剤タンク61,63,65,67からマイクロナノバブル発生助剤を供給するようにしている。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、共通のマイクロナノバブル発生助剤タンクから夫々の定量ポンプによって供給するようにしても差し支えない。
【0091】
また、上記各実施の形態においては、超純水製造装置5を構成する前処理装置19の前段のみに処理槽1を配置している。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、1次純水製造装置20の前段あるいは2次純水製造装置21の前段にもマイクロナノバブル発生槽および嫌気測定槽を含む処理槽を配置し、マイクロナノバブルによって1次純水製造装置20あるいは2次純水製造装置21における膜の寿命を長くして、ランニングコストの低減を図ることも可能である。
【0092】
また、上記各嫌気測定槽7,24,38,50には、溶存酸素計13,30,44,56と酸化還元電位計14,31,45,57との両方を設置しているが、何れか一方のみを設置しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】この発明の水処理装置における部分構成図である。
【図2】図1に続く部分構成図である。
【図3】図1および図2とは異なる水処理装置における部分構成図である。
【図4】図3に続く部分構成図である。
【符号の説明】
【0094】
1…第1処理槽、
2…第2処理槽、
3…第3処理槽、
4…第4処理槽、
5…超純水製造装置、
6,23,37,49…マイクロナノバブル発生槽、
7,24,38,50…嫌気測定槽、
8,25,39,51…マイクロナノバブル発生器、
9,26,40,52…循環ポンプ、
10,27,41,53…空気吸込管、
12,29,43,55…ポリ塩化ビニリデン充填物、
13,30,44,56…溶存酸素計、
14,31,45,57…酸化還元電位計、
19…前処理装置、
20…1次純水製造装置、
21…2次純水製造装置、
22…工場内ユースポイント、
33…活性炭吸着装置、
34…希薄排水回収装置、
47…雑用水回収装置、
48…クーリングタワー及びスクラバー、
59…排水処理装置、
61,63,65,67…マイクロナノバブル発生助剤タンク、
62,64,66,68…定量ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から水が導入されると共に、マイクロバブルとナノバブルとの両方を含むマイクロナノバブルを発生するマイクロナノバブル発生器を有して、上記導入された水中に上記マイクロナノバブルを含有させるマイクロナノバブル発生槽と、
上記マイクロナノバブル発生槽から導入された水を嫌気性処理すると共に、被処理水中における上記マイクロナノバブルの含有量を測定するための嫌気測定槽と
を備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記嫌気測定槽は、少なくとも前処理装置を含む超純水製造装置における上記前処理装置の前段に設置されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記嫌気測定槽は、少なくとも1次純水製造装置を含む超純水製造装置における上記1次純水製造装置の前段に設置されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記嫌気測定槽は、少なくとも1次純水製造装置および2次純水製造装置を含む超純水製造装置における上記2次純水製造装置の前段に設置されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の水処理装置において、
前処理装置,1次純水製造装置および2次純水製造装置を含む超純水製造装置と、
上記超純水製造装置で製造された超純水を使用する工場内の箇所である工場内ユースポイントと、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した希薄排水を処理して回収する希薄排水回収装置と、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を処理して回収する雑用水回収装置と、
上記雑用水回収装置によって回収された処理水を再利用するクーリングタワーおよびスクラバーと、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を処理して放流する排水処理装置と、
上記希薄排水回収装置の前段に配置された活性炭吸着装置と
を備え、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した希薄排水を上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽に導入して処理し、この処理水を上記活性炭吸着装置および上記希薄排水回収装置によって処理して回収し、この回収水を上記超純水製造装置における上記1次純水製造装置に導入して再利用するようになっていることを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水処理装置において、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽に導入して処理し、この処理水を上記雑用水回収装置によって処理して回収し、この回収水を上記クーリングタワーおよびスクラバーで再利用するようになっていることを特徴とする水処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の水処理装置において、
上記工場内ユースポイントにおいて発生した濃厚排水を上記マイクロナノバブル発生槽および上記嫌気測定槽に導入して処理し、この処理水を上記排水処理装置によって再度処理して放流するようになっていることを特徴とする水処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽に添加されるマイクロナノバブル発生助剤が貯溜されたマイクロナノバブル発生助剤タンクを備えたことを特徴とする水処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生助剤タンクに貯溜された上記マイクロナノバブル発生助剤は、アルコール類あるいは食塩を含む塩類であることを特徴とする水処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記嫌気測定槽には、溶存酸素計および酸化還元電位計のうちの少なくとも何れかが設置されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記嫌気測定槽には、ポリ塩化ビニリデン充填物が充填されていることを特徴とする水処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の水処理装置において、
上記マイクロナノバブル発生槽における上記マイクロナノバブル発生器は、キャビテーション型マイクロナノバブル発生器であることを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−83143(P2007−83143A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273562(P2005−273562)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【特許番号】特許第3893401号(P3893401)
【特許公報発行日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】