水平型自動溶接装置
【課題】 円筒状に曲げ加工したワークの円周方向両端を正確且つ確実に突合せることができ、また、溶接済みのワークの取り出しを容易に行え、ワークの取り出し時に於けるマンドレル及びクランプ板等の消耗、ワークの損傷等を防止でき、更に、クランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定できる。
【解決手段】 マンドレル2に支持された円筒状のワークWの円周方向両端部をクランプ機構6により突合せ状態でクランプし、この状態でワークWの突合せ部を溶接するようにした水平型自動溶接装置に於いて、前記クランプ機構6は、弾性体19により下方へ附勢されてワークWの円周方向の両端部上面に傾斜姿勢で当接し得る対向状の一対のクランプ板18を備えており、当該一対のクランプ板18がモータ駆動型の駆動装置21によりマンドレル2に対して昇降動する構成とする。
【解決手段】 マンドレル2に支持された円筒状のワークWの円周方向両端部をクランプ機構6により突合せ状態でクランプし、この状態でワークWの突合せ部を溶接するようにした水平型自動溶接装置に於いて、前記クランプ機構6は、弾性体19により下方へ附勢されてワークWの円周方向の両端部上面に傾斜姿勢で当接し得る対向状の一対のクランプ板18を備えており、当該一対のクランプ板18がモータ駆動型の駆動装置21によりマンドレル2に対して昇降動する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス板や鋼板等の金属板を円筒状に曲げ加工して成るワークを水平姿勢のマンドレルで支持し、マンドレルに設けたバックバー上でワークの円周方向の両端部をクランプ機構により突合せ状態でクランプし、この状態でワークの突合せ部を突合せ溶接してパイプやドラムを作製するようにした水平型自動溶接装置の改良に係り、特に、クランプ幅(クランプ機構の一対のクランプ板がワークをクランプしたときのクランプ板間の間隔)が狭い薄板のワーク(厚さが0.1mm〜0.4mmのワーク)の突合せ溶接を行う場合であっても、ワークの突合せ部の状態を確認することができてワークの正確な突合せ作業を行うことができ、また、クランプ機構によるワークのクランプ時にワークの円周方向両端が密着するようにワークをクランプすることができ、更に、マンドレルからの溶接済みのワークの取り出しを容易に行えると共に、ワークの取り出し時にマンドレルやクランプ機構のクランプ板等の消耗、ワークの損傷及び変形を防止でき、然も、クランプ機構のクランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定できるようにした水平型自動溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状に曲げ加工した金属板製のワークの円周方向両端を突合せ溶接してパイプを作製する装置としては、例えば、本件出願人が先に開発した水平型自動溶接装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
即ち、前記水平型自動溶接装置は、図17に示す如く、円筒状に曲げ加工したワークWを支持する水平姿勢のマンドレル50と、マンドレル50の上面に設けた長尺状のバックバー51と、マンドレル50に設けられ、ワークWの円周方向両端がバックバー51のスリット状の溝上で突合されるようにワークWの端面の位置決めを行うセンター位置決め機構(図示省略)と、マンドレル50の上方位置に配設され、ワークWの円周方向両端を突合せた状態でバックバー51上へクランプするチューブクランプ方式のクランプ機構52と、マンドレル50の上方位置に配設され、ワークWの突合せ部を突合せ溶接する溶接用トーチ53等を備えたTIG溶接装置(全体は図示省略)とから構成されており、マンドレル50にセットしたワークWの円周方向両端をセンター位置決め機構により位置決めすると共に、位置決めされたワークWの円周方向両端部をクランプ機構52によりバックバー51上で突合せ固定し、その突合せ部をTIG溶接装置により突合せ溶接して接合するようにしたものである。
【0004】
また、チューブクランプ方式のクランプ機構52は、図17に示す如く、マンドレル50上方位置に配設したフレーム54にヒンジ52aを介して上下方向へ揺動自在に支持され、対向状に配置された左右のクランプ板52bと、左右のクランプ板52bを上方へ附勢する引張りスプリング52cと、圧縮空気の供給により膨張して左右のクランプ板52bを下方へ押し下げるエアーチューブ52d等から成り、エアーチューブ52dに圧縮空気を供給してエアーチューブ52dを膨張させると、左右のクランプ板52bが引張りスプリング52cの弾性力に抗して下方へ揺動し、左右のクランプ板52bの先端部がマンドレル50に支持されたワークWの円周方向両端部上面に当接してワークWの円周方向両端部をバックバー51上へクランプし、また、圧縮空気の供給を停止すると、左右のクランプ板52bが引張りスプリング52cの弾性力により上方へ揺動し、ワークWのクランプ状態が解除されるようになっている。
【0005】
ところで、ワークWの理想的な突合せ溶接を行うには、ワークWのクランプ時に於ける左右のクランプ板52bの間隔(クランプ幅)を突合せ溶接するワークWの厚さに応じて調整する必要があり、一般にはワークWの厚さが薄くなれば、左右のクランプ板52b間の間隔(クランプ幅)を狭くし、また、ワークWの厚さが厚くなれば、左右のクランプ板52b間の間隔(クランプ幅)を広くするようにしている。
例えば、厚さが0.1mm〜0.4mmのワークW(薄板のワークW)の場合には、左右のクランプ板52bの間隔(クランプ幅)を1.0mm〜3.0mmとし、また、厚さが0.6mm〜2.0mmのワークW(厚板のワークW)の場合には、左右のクランプ板52bの間隔(クランプ幅)を4.0mm〜20mmとしている。
【0006】
特に、厚みの極めて薄いワークWを突合せ溶接する場合には、左右のクランプ板52bの間隔を出来るだけ狭くする方が良い。これは左右のクランプ板52bの間隔を広くすると、溶接時の熱でワークWの表面温度が厚板のワークWに比較して高温になり易く、そのために溶接中に変形が生じて溶接不良を引き起こすことになるからである。
【0007】
ところが、上述した従来の水平型自動溶接装置に於いては、対向状に配置した左右のクランプ板52bがヒンジ52aを取り付けた部分を中心にして上下方向へ揺動する構造のクランプ機構52を用いているため、肉厚が0.1mm〜0.4mmの薄板のワークWを突合せ溶接する場合には、下記に示すような問題が発生していた。
【0008】
例えば、肉厚が0.1mm〜0.4mmの薄板のワークWを突合せ溶接する場合、溶接時の熱歪を防止するため、左右のクランプ板52bのクランプ幅(左右のクランプ板52bがワークWをクランプしたときの左右のクランプ板52bの間隔)を1.0mm〜3.0mmに狭くして溶接を行わなければならない。
【0009】
しかし、上述したチューブクランプ方式のクランプ機構52は、左右のクランプ板52bが上下方向へ揺動するときに、対向する左右のクランプ板52bの先端が円弧状の軌跡を描くため、左右のクランプ板52bの開閉ストローク(揺動ストローク)を小さくしないと、左右のクランプ板52bが上方へ揺動したときに左右のクランプ板52bの先端同士が干渉することになる。
【0010】
そのため、薄板のワークWを溶接する場合、左右のクランプ板52bの開放時(左右のクランプ板52bが上方へ揺動してワークWをクランプしていない状態の時)には、左右のクランプ板52bの間隔が略ゼロになり、また、左右のクランプ板52bの開放時に於けるクランプ板52b同士の干渉を避けるためには、マンドレル50と左右のクランプ板52bとの間隔を必然的に狭く設定しなければならない。
【0011】
このように、チューブクランプ方式のクランプ機構52を用いた従来の水平型自動溶接装置は、薄板のワークWを溶接する場合、左右のクランプ板52bの開放時に於ける間隔が略ゼロになるため、ワークWの円周方向両端をマンドレル50に設けたバックバー51上で突合せる際にワークWの突合せ部を目視できなくなり、ワークWの正確な突合せ作業を行えなくなると共に、ワークWの突合せ部の状態を確認できないという問題があった。
【0012】
また、従来の水平型自動溶接装置は、マンドレル50と左右のクランプ板52bとの間隔が狭いため、溶接済みのワークW(パイプ)をマンドレル50から取り出す際に、ワークWの取り出しが極めて行い難くなると共に、ワークWがマンドレル50やバックバー51の上面、或いは左右のクランプ板52bの下面をこすってマンドレル50、バックバー51及び左右のクランプ板52bの消耗を速めるうえ、ワークWが損傷したり、変形したりするという問題があった。
【0013】
更に、従来の水平型自動溶接装置は、左右のクランプ板52bが下方へ揺動してその先端部でワークWをクランプするときに、左右のクランプ板52bの先端がハの字状に広がるため、左右のクランプ板52bでワークWをクランプすると、左右のクランプ板52bの間隔が広くなる現象が発生する。このとき、ワークWの円周方向の両端部にワークWを開こうとする力が働き、ワークWの突合せ部に隙間が生じることがある。そのため、この状態でワークWを突合せ溶接すると、穴あきやヘコミ等の溶接欠陥が発生し、溶接済みのワークW(パイプ)の品質が著しく低下するという問題があった。
【0014】
そのうえ、従来の水平型自動溶接装置は、左右のクランプ板52bをエアーチューブ52dの膨張によりワークW側へ加圧するようにしているが、左右のクランプ板52bの加圧調整を行い難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−205369号公報
【特許文献2】特開2007−021566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、クランプ幅が狭い薄板のワークの突合せ溶接を行う場合であっても、ワークの突合せ部の状態を確認できてワークの正確な突合せを行え、また、ワークの円周方向両端が密着するようにワークの円周方向両端部をクランプすることができ、更に、溶接済みのワークの取り出しを容易に行えると共に、ワークの取り出し時に於けるマンドレル及びクランプ板等の消耗やワークの損傷及び変形を防止でき、然も、クランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定できるようにした水平型自動溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、フレームに水平姿勢で支持され、円筒状に曲げ加工した金属板製のワークを支持するマンドレルと、マンドレルの上面に設けたバックバーと、マンドレルに設けられ、ワークの円周方向の端面の位置決めを行うセンター位置決め機構と、マンドレルの上方位置に配設され、ワークの円周方向の両端部を突合せた状態でバックバー上へクランプするクランプ機構と、ワークの突合せ部を突合せ溶接する溶接装置とを具備する水平型自動溶接装置に於いて、前記クランプ機構は、マンドレルの上方位置にマンドレルに沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプベースと、各クランプベースにそれぞれ昇降自在に支持され、マンドレルに沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプ可動板と、各クランプ可動板の下面にそれぞれマンドレルに沿う姿勢で上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板と、各クランプ可動板と各クランプ板との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板の対向する先端部を下方へ附勢して一対のクランプ板を傾斜姿勢に保持する弾性体と、各クランプベースと各クランプ可動板との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板及び各クランプ板を昇降動させて各クランプ板の加圧力を調整するモータ駆動型の一対の駆動装置とから成り、前記各クランプ板は、それぞれ駆動装置により下降して各クランプ板の先端部がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接してワークの円周方向の両端部を加圧したときに、弾性体の弾性力に抗して上方へ揺動し、両クランプ板の先端部間の間隔が狭まってワークの厚みに応じた間隔に調整される構成としたことに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項2の発明は、一対のクランプ可動板が、マンドレル側に位置する内側クランプ可動板と、内側クランプ可動板の外側端部にマンドレル側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板とからそれぞれ成り、外側クランプ可動板の下面にヒンジを介してクランプ板を上下方向へ揺動自在に取り付け、また、外側クランプ可動板に内側クランプ可動板と外側クランプ可動板との間隙を調整する調整ネジを回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着する共に、調整ネジの先端部に形成したネジ部を内側クランプ可動板の外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着し、当該調整ネジを回転操作することによって、対向状に配置した一対のクランプ板の先端部間の間隔を自在に調整できる構成としたことに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項3の発明は、モータ駆動型の一対の駆動装置が、クランプベースとクランプ可動板との間に設けられ、クランプ可動板をクランプベースに対して昇降動させるボールネジ機構と、クランプベースに配設したサーボモータと、サーボモータをサーボ制御するサーボモータ制御部と、サーボモータの回転運動をボールネジ機構に伝達する伝動機構とからそれぞれ成り、サーボモータを制御することによって、クランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定できると共に、クランプ板の加圧力を自在に調整できるようにしたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に係る水平型自動溶接装置は、ワークの円周方向の両端部を突合せた状態でマンドレルのバックバー上へクランプするクランプ機構が、マンドレルの上方位置に対向状に配置された一対のクランプベースと、各クランプベースにそれぞれ昇降自在に支持されて対向状に配置された一対のクランプ可動板と、各クランプ可動板の下面にそれぞれ上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板と、各クランプ可動板と各クランプ板との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板を下方へ附勢する弾性体と、各クランプベースと各クランプ可動板との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板及び各クランプ板を昇降動させるモータ駆動型の一対の駆動装置とから成り、各クランプ板の先端部がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接してワークを加圧したときに、両クランプ板が弾性体の弾性力に抗して上方へ揺動して両クランプ板の先端部間の間隔が狭まってワークの厚みに応じた間隔に調整される構成としているため、薄板のワークを溶接する場合に、一対のクランプ板のクランプ幅(一対のクランプ板がワークをクランプしたときのクランプ板間の間隔)が狭く設定されていても、クランプ板の開放時(一対のクランプ板がワークをクランプしていない状態の時)には、クランプ板のクランプ幅が広くなっているので、ワークの円周方向両端をマンドレルに設けたバックバー上で突合せる際に両クランプ板の間からワークの突合せ部を目視でき、ワークの正確な突合せ作業を行えると共に、ワークの突合せ部の状態を確認することができる。
また、本発明の請求項1に係る水平型自動溶接装置は、各クランプ板の先端部がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接してワークを加圧したときに、両クランプ板が弾性体の弾性力に抗して上方へ揺動して両クランプ板の先端部間の間隔が狭まる構成となっているため、クランプ板によるワークの加圧時に弾性体の弾性力によりワークの円周方向両端部を閉じようとする力が働き、ワークの円周方向両端が密着することになり、その結果、穴あきやヘコミ等の溶接欠陥のない高品質のパイプやドラムを作製することができる。
更に、本発明の請求項1に係る水平型自動溶接装置は、一対のクランプ板が一対の駆動装置によりマンドレルに対して昇降動する構成としているため、マンドレルと一対のクランプ板との間隔を大きく取ることができ、溶接済みのワーク(パイプやドラム)をマンドレルから取り出す際に、ワークの取り出しを容易に行えると共に、ワークがマンドレルの上面やバックバー、左右のクランプ板の先端部下面をこすったりするということがなく、その結果、マンドレル、バックバー及び左右のクランプ板の消耗やワークの損傷及び変形を防止することができる。
【0021】
本発明の請求項2及び請求項3に係る水平型自動溶接装置は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
即ち、本発明の請求項2の水平型自動溶接装置は、一対のクランプ可動板が、マンドレル側に位置する内側クランプ可動板と、内側クランプ可動板の外側端部にマンドレル側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板とからそれぞれ成り、外側クランプ可動板の下面にヒンジを介してクランプ板を上下方向へ揺動自在に取り付け、また、外側クランプ可動板に内側クランプ可動板と外側クランプ可動板との間隙を調整する調整ネジを回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着する共に、調整ネジの先端部に形成したネジ部を内側クランプ可動板の外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着し、当該調整ネジを回転操作することによって、対向状に配置した一対のクランプ板の先端部間の間隔を調整できる構成としているため、ワークの厚みが変わった場合でも、一対のクランプ板の間隔をワークの厚さに応じて最適な間隔になるように簡単に調整することができる。また、一対のクランプ板の間隔を調整する調整ネジが外側クランプ可動板に埋設状態で挿着され、外部へ突出していないので、調整ネジが不用意に回されてクランプ板間の間隔が変わるということもない。
【0022】
更に、本発明の請求項3の水平型自動溶接装置は、モータ駆動型の一対の駆動装置が、クランプベースとクランプ可動板との間に設けられ、クランプ可動板をクランプベースに対して昇降動させるボールネジ機構と、クランプベースに配設したサーボモータと、サーボモータをサーボ制御するサーボモータ制御部と、サーボモータの回転運動をボールネジ機構に伝達する伝動機構とからそれぞれ成り、サーボモータを制御することによって、クランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定することができると共に、クランプ板の加圧力を自在に調整できるようにしているため、ワークの突合せ作業をより一層行い易くなると共に、ワークの円周方向両端の突合せをより正確に行うことができる。
例えば、一対のクランプ板を予圧位置(ワークの厚み+αの隙間の位置、即ち、一対のクランプ板がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部をバックバー上へ動ける程度に軽く保持する位置)まで下降させると、ワークの円周方向両端部がクランプ板とマンドレルのバックバーとでガイドされた格好なるので、ワークの円周方向の一端をセンター位置決め機構のセンタープレートに突き当てし易くなると共に、ワークの円周方向の他端をワークの円周方向の一端に重なることなく突き当てることができ、ワークの円周方向両端の突合せを正確且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る水平型自動溶接装置の斜視図である。
【図2】同じく水平型自動溶接装置の拡大正面図である。
【図3】同じく水平型自動溶接装置の側面図である。
【図4】同じく水平型自動溶接装置の平面図である。
【図5】マンドレルを示し、(A)はマンドレルの一部省略平面図、(B)はマンドレルの一部省略側面図である。
【図6】マンドレルの要部の側面部である。
【図7】マンドレルの縦断正面図である。
【図8】クランプ機構及びマンドレルの正面図である。
【図9】クランプ機構の平面図である。
【図10】クランプ機構及びマンドレルの側面図である。
【図11】クランプ機構を示し、クランプ機構の右側部分の斜視図である。
【図12】図9のイ−イ線拡大断面図である。
【図13】図9のロ−ロ線拡大断面図である。
【図14】図9のハ−ハ線拡大断面図である。
【図15】図9のニ−ニ線拡大断面図である。
【図16】水平型自動溶接装置の作用説明図である。
【図17】従来のクランプ機構を用いた水平型自動溶接装置の要部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は本発明の実施の形態に係る水平型自動溶接装置を示し、当該水平型自動溶接装置は、ステンレス板や鋼板等の金属板を円筒状に曲げ加工して成るワークWの円周方向両端を突合せ溶接してパイプやドラムを作製するものであり、特に、クランプ幅が狭い薄板のワークW(厚さが0.1mm〜0.4mmのワークW)を突合せ溶接する場合であっても、ワークWの突合せ作業時にワークWの突合せ部の状態を確認できてワークWの正確な突合せを行え、また、ワークWの円周方向両端が密着するようにワークWの円周方向両端部をクランプすることができ、更に、溶接済みのワークW(パイプやドラム)の取り出しを容易に行えると共に、ワークWの取り出し時に於けるマンドレル2の消耗、バックバー3の消耗、クランプ機構6のクランプ板18の消耗、ワークWの損傷及び変形をそれぞれ防止でき、然も、クランプ板18の下降位置をワークWの厚さに応じて自由に設定できるようにしたものである。
【0025】
即ち、前記水平型自動溶接装置は、図1〜図4に示す如く、フレーム1と、フレーム1に片持ち状態で回転自在に支持され、ワークWを支持する水平姿勢の長尺状のマンドレル2と、マンドレル2の外表面に180度間隔で取り付けられ、薄板用のワークW(厚みが0.1mm〜0.4mm程度のワークWをいう)を溶接する際に用いる薄板用の長尺状のバックバー3及び厚板用のワークW(厚みが1mm〜3mm程度のワークWをいう)を溶接する際に用いる厚板用の長尺状のバックバー3と、マンドレル2に設けられ、ワークWの円周方向両端が薄板用のバックバー3上及び厚板用のバックバー3上でそれぞれ突合されるようにワークWの端面の位置決めを行う一対のセンター位置決め機構4と、マンドレル2の下方位置に配設され、マンドレル2にセットされる直径の大きなワークWや長いワークWを水平姿勢で支持するワーク支持装置5と、マンドレル2の上方位置に配設され、ワークWの円周方向の両端部を突合せた状態でバックバー3上へクランプするクランプ機構6と、マンドレル2の上方位置に配設され、ワークWの突合せ部を突合せ溶接する溶接装置7(この例では、TIG溶接装置)とから構成されている。
この水平型自動溶接装置は、左右どちらの位置からでも作業が行えるように略左右対称の構造になっていると共に、クランプ機構6を操作する操作スイッチ8がフレーム1の両側面にそれぞれ設けられている。
【0026】
具体的には、前記フレーム1は、図1〜図4に示す如く、ボックス状の本体フレーム1aと、本体フレーム1aの上部に設けられ、本体フレーム1aから前方(図3の左側)へ水平姿勢で突出する長尺状の上部フレーム1bと、本体フレーム1aの下部に設けられ、上部フレーム1bと同じ方向へ水平姿勢で突出してキャスター及びアジャスターを介して床面へ設置されるベースフレーム1cとから構成されており、本体フレーム1aの内部には、溶接用電源装置、アルゴンガス等の溶接用ガスボンベ、コンプレッサー等の圧縮空気供給源(何れも図示省略)等がそれぞれ収容されている。
また、上部フレーム1bの上面には、先端部に溶接装置7の溶接条件や電極位置等を設定するタッチパネル式の操作盤9を取り付けた旋回アーム10が旋回自在に配設されていると共に、上部フレーム1bの両側面には、クランプ機構6の操作スイッチ8がそれぞれ設けられている。
更に、上部フレーム1bの本体フレーム1aから突出する部分は、底面側が開放された二つの長尺箱状部材から成り、これら二つの長尺箱状部材はマンドレル2の斜め上方位置にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置されている。
【0027】
前記マンドレル2は、図3及び図5に示す如く、アルミ合金等の金属材により断面形状が略長方形状の角柱状に形成されたマンドレル本体2Aと、マンドレル本体2Aの先端(図5の左端)にボルトにより取り付けられ、上部フレーム1bの先端部に設けたマンドレル受け11に抜き差し自在に挿入されるマンドレルピン2aを有するマンドレル金具2Bと、マンドレル本体2Aの基端(図5の右端)に回転軸金具2Cを介して取り付けられた断面形状が円形のマンドレル回転軸2Dとから成り、フレーム1の本体フレーム1aに片持ち状態で且つその軸心を中心にして回転自在に支持されていると共に、薄板用のバックバー3又は厚板用のバックバー3が真上を向く状態で位置決めされるようになっている。
また、マンドレル本体2Aの短辺側両面には、図6及び図7に示す如く、薄板用の長尺状のバックバー3と厚板用の長尺状のバックバー3がそれぞれ着脱自在に嵌め込まれる取付け溝2bがマンドレル2の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。これら両取付け溝2bの底面には、アルゴンガス等のシールドガスが流れるガス溝2cがマンドレル2の長手方向に沿ってそれぞれ形成されていると共に、後述するセンター位置決め機構4の駆動部が設けられる凹部2dがマンドレル2の長手方向に一定間隔ごとにそれぞれ形成されている。マンドレル2の両取付け溝2bの底面に形成した各凹部2dは、マンドレル2の長手方向に亘って齟齬する状態で且つマンドレル2の中心部付近に形成されている。
更に、マンドレル本体2Aの長辺側両面には、ガス溝2cへアルゴンガス等のシールドガスを供給するためのガス供給口2eと、凹部2dの底面に形成したピストン穴2gへ圧縮空気を供給する圧縮空気供給口2dとが夫々形成されている。
【0028】
そして、マンドレル2は、ワークWの突合せ作業時や溶接作業時等には先端側のマンドレル金具2Bがマンドレル受け11により支持されており、本体フレーム1a及びマンドレル受け11により両持ち状態となっている。
【0029】
尚、マンドレル受け11は、ロータリーアクチュエータ11aにより水平位置から鉛直位置に亘って揺動するように構成されており、マンドレル受け11を水平位置から鉛直位置へ回動させ、マンドレル受け11に形成した支持穴にマンドレル2のマンドレルピン2aを挿入することによって、マンドレル2の先端部を支持することができるようになっている。
【0030】
前記薄板用のバックバー3及び厚板用のバックバー3は、図7に示す如く、何れも銅材により断面形状が略長方形の長尺な角柱状に形成した対称形状の一対のバックバー片3aから成り、一対のバックバー片3aを対向させた状態で且つ一対のバックバー片3aの間にスリット状の溝3bが形成されるようにマンドレル2の取付け溝2bに着脱自在に嵌め込まれている。
また、マンドレル2の取付け溝2bに嵌め込まれた各バックバー3は、一対のバックバー片3aを複数本のボルトでマンドレル2側へ締め付け固定することによって、マンドレル2にその軸心方向へ沿う姿勢で取り付けられる。
【0031】
前記各バックバー3は、ワークWの円周方向の両端を突合せ溶接する際に余分な熱を吸収してビードの溶け落ちや穴あき、ワークWの熱ひずみ等を防止すると共に、ワークWの突合せ部の裏面側にシールドガスを流して溶接部の酸化を防止するものである。
また、一対のバックバー片3a間に形成されたスリット状の溝3bは、センター位置決め機構4のセンタープレート12を遊嵌状態で挿入すると共に、アルゴンガス等のシールドガスを流すためのものである。
【0032】
尚、この実施の形態に於いては、マンドレル2外表面の一方の短辺側に取り付けた薄板用のバックバー3は、そのスリット状の溝3bの幅が1.0mmに、また、マンドレル2外表面の他方の短辺側に取り付けた厚板用のバックバー3は、そのスリット状の溝3bの幅が1.2mmに夫々設定されている。
【0033】
前記各センター位置決め機構4は、ワークWの円周方向の端面同士が薄板用のバックバー3のスリット状の溝3b上及び厚板用のバックバー3のスリット状の溝3b上でそれぞれ突合されるようにワークWの端面の位置決めを行うものであり、図7に示す如く、バックバー3のスリット状の溝3b内にマンドレル2の半径方向へ移動自在に挿入された薄鋼板製の長尺状のセンタープレート12と、マンドレル2にその長手方向に一定間隔ごとに設けられ、センタープレート12をマンドレル2の半径方向へ進退移動させるシリンダ構造の複数の駆動部13とからそれぞれ構成されている。
【0034】
即ち、各センタープレート12は、薄板用のバックバー3及び厚板用のバックバー3のスリット状の溝3bにそれぞれ遊嵌状態で且つマンドレル2の半径方向へ移動自在に挿入されており、その先端部がバックバー3の上面から外方へ突出可能になっていると共に、先端部の側面にワークWの端面が当接するようになっている。
これらのセンタープレート12は、その厚みがバックバー3のスリット状の溝3bの幅よりも薄くなるように設定されている。そのため、センタープレート12をバックバー3のスリット状の溝3bに挿入したときには、センタープレート12の側面とバックバー3との間にアルゴンガス等のシールドガスが流れるスリット状の間隙が形成されることになる。この実施の形態では、センタープレート12の厚みは、0.5mmに設定されている。また、各センタープレート12は、長手方向に三つに分割された格好になっている。
【0035】
一方、各駆動部13は、マンドレル2の長手方向に亘って齟齬する状態で且つマンドレル2の中心部付近に設けられており、マンドレル2の凹部2dにマンドレル2の半径方向へ移動自在に嵌め込まれ、センタープレート12がボルトにより支持固定される支持台13aと、支持台13aの下面に連設され、マンドレル2の凹部2dの底面に形成したピストン穴2gにマンドレル2の半径方向へ摺動自在に挿入されたピストン13bと、バックバー3と支持台13aとの間に介設され、支持台13aをマンドレル2の中心側へ附勢してセンタープレート12の先端部をバックバー3のスリット状の溝3b内に位置させる復帰用の圧縮スプリング13cとから構成されており、圧縮空気供給源(図示省略)からの圧縮空気をマンドレル2に形成した圧縮空気供給口2fからピストン穴2gへ供給すると、ピストン13b、支持台13a及びセンタープレート12が圧縮スプリング13cの弾性力に抗してマンドレル2の半径方向へ移動し、センタープレート12の先端部がバックバー3の上面から外方へ突出し、また、圧縮空気の供給を停止すると、圧縮スプリング13cの弾性力によりピストン13b、支持台13a及びセンタープレート12がマンドレル2の中心側へ移動し、センタープレート12の先端部がスリット状の溝3b内に収納されるようになっている。
【0036】
尚、一対のセンター位置決め機構4の各駆動部13は、マンドレル2の長手方向に亘って齟齬する状態で且つマンドレル2の中心部付近に設けられているため、マンドレル2の長辺側の長さを短めに形成することができ、マンドレル2の軽量化を図ることができる。
【0037】
前記ワーク支持装置5は、直径の大きいワークWや長さの長いワークWを溶接する際にワークWを水平姿勢で支持するものであり、図1〜図3に示す如く、マンドレル2の下方位置のベースフレーム1c上に設けられ、昇降自在な矩形状のテーブル14a及びテーブル14aの下方空間を覆うジャバラ構造のカバー14bを備えた電動式のリフター14と、リフター14のテーブル14a上面に設けられ、水平姿勢のワークWの下面を支持するワーク受けローラ15とから構成されている。
【0038】
また、ワーク受けローラ15は、テーブル14aの上面にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された二つの長尺状のボールローラ受け15aと、両ボールローラ受け15aの上面にマンドレル2に沿って一定間隔ごとに取り付けられ、360°回転自在なボールを備えた複数のボールローラ15bとから成り、マンドレル2に沿って二列に配列されたボールローラ15bがワークWの外周面下面へ当接してワークWを下面側から支持するものである。
【0039】
前記クランプ機構6は、図8〜図15に示す如く、金属材により長尺板状に形成されてマンドレル2の上方位置にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプベース16と、各クランプベース16にそれぞれ昇降自在に支持され、マンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプ可動板17と、各クランプ可動板17の下面にそれぞれマンドレル2に沿う姿勢で上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板18と、各クランプ可動板17と各クランプ板18との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板18の対向する先端部を下方へ附勢して一対のクランプ板18を傾斜姿勢に保持する弾性体19と、各クランプ可動板17にそれぞれ設けられ、各クランプ板18の下方向への揺動量を規制するピン構造のストッパー20と、各クランプベース16と各クランプ可動板17との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板17及び各クランプ板18を昇降動させて各クランプ板18の加圧力を調整するモータ駆動型の一対の駆動装置21とから成り、前記各クランプ板18は、それぞれ駆動装置21により下降して各クランプ板18の先端部がマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部上面に当接してワークWの円周方向の両端部を加圧したときに、弾性体19の弾性力に抗して上方へ揺動し、両クランプ板18の先端部間の間隔が狭まって所定の間隔(ワークWの厚みに応じたクランプ幅)に調整されるように構成されている。
【0040】
従って、このクランプ機構6は、溶接時に於ける一対のクランプ板18のクランプ幅(一対のクランプ板18がワークWをクランプしたときの両クランプ板18の間隔)が狭く設定されていても、クランプ板18の開放時(一対のクランプ板18がワークWをクランプしていない状態の時)には、クランプ板18のクランプ幅が広くなるので、ワークWの円周方向両端をバックバー3上で突合せる際に両クランプ板18の間からワークWの突合せ部を目視でき、ワークWの正確な突合せ作業を行えると共に、ワークWの突合せ部の状態を確認することができる。
例えば、厚みが0.1mm〜0.4mmの薄板のワークWを突合せ溶接する場合、溶接時に於ける一対のクランプ板18のクランプ幅が1.0mm〜2.0mmになっていても、クランプ板18の開放時には、一対のクランプ板18のクランプ幅が3.0mm〜5.0mmと広くなっている。
【0041】
前記一対のクランプベース16は、図8に示す如く、上部フレーム1bの下面に上部フレーム1bの下面開口を閉塞するように水平状態で取り付けられており、マンドレル2の上方位置にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された格好になっている。
また、各クランプベース16の外側端面には、クランプ可動板17及びクランプ板18を外方から覆う安全カバー22がそれぞれ取り付けられている。各安全カバー22には、一対のクランプ板18の間隔を調整する調整ネジ26を回転操作できるように操作穴22aが形成されている。
【0042】
前記一対のクランプ可動板17は、図12及び図13に示す如く、金属材により長尺板状に形成されてマンドレル2側に位置する内側クランプ可動板17aと、金属材により角柱形状に形成されて内側クランプ可動板17aの外側端部にマンドレル2側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板17bとからそれぞれ成り、内側クランプ可動板17aに所定の間隔で立設した複数本の上下ガイド軸23をクランプベース16に取り付けた複数のリニアブッシュ24にそれぞれ昇降自在に挿通することによって、クランプベース16の下面側で且つクランプベース16に昇降自在に支持されている。
また、各外側クランプ可動板17bは、内側クランプ可動板17aの外側端面にマンドレル2に直交する水平姿勢で植設した複数本のガイドシャフト25に摺動自在に支持されてマンドレル2側へ水平移動自在になっており、外側クランプ可動板17bに設けた二つの調整ネジ26を回転操作することによって、内側クランプ可動板17aと外側クランプ可動板17bとの間隔及び一対のクランプ板18の間隔を調整できるようになっている。
【0043】
即ち、各調整ネジ26は、図14に示す如く、外側クランプ可動板17bに二本の平行な抜け止めピン27により回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着されており、調整ネジ26の先端部に形成したネジ部が内側クランプ可動板17aの外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着されている。
従って、各調整ネジ26を回転操作することによって、各外側クランプ可動板17bが各内側クランプ可動板17aに対して水平移動し、各内側クランプ可動板17aと各外側クランプ可動板17bとの間隔を調整することができると共に、各外側クランプ可動板17bに取り付けたクランプ板18の間隔も調整することができる。
また、各調整ネジ26の頭部と内側クランプ可動板17aの外側端面との間には、調整ネジ26が弛まないようにするための圧縮コイルスプリング28が配設されている。
【0044】
前記一対のクランプ板18は、図8に示す如く、銅材により長尺板状に形成されて対向する内側部分が斜め下方へ折り曲げられており、外側クランプ可動板17bの下面に長尺構造のヒンジ29を介して上下方向へ揺動自在に取り付けられている。
また、各クランプ板18は、図13及び図14に示す如く、内側クランプ可動板17aの内側端部とクランプ板18との間に介設した複数の弾性体19(圧縮コイルスプリング)により下方へ附勢されており、クランプ板18の内側先端部がワークWの円周方向両端部の上面へ弾性的に当接するようになっている。各弾性体19は、内側クランプ可動板17aの内側部分に一定間隔ごとに形成した複数の収納穴17a′内にそれぞれ収納されており、各収納穴17a′の上方開口を閉塞する長尺状の押え板30により収納穴17a′内から抜け止めされている。
更に、各クランプ板18は、図15に示す如く、クランプ可動板17の内側部分に一定間隔ごとに設けた複数のピン構造のストッパー20により下方向への揺動量が規制されている。各ストッパー20は、一対のクランプ可動板17の内側部分に形成した複数の貫通穴17a″に遊嵌状態で且つ下方へ抜け止めされた状態で挿通されており、その下端部がクランプ板18に連結された状態になっている。
そして、各クランプ板18は、外側クランプ可動板17bに取り付けられているため、調整ネジ26を回転操作して内側クランプ可動板17aと外側クランプ可動板17bとの間隔を変えることによって、対向するクランプ板18の先端部間の間隔を調整できるようになっている。
【0045】
前記モータ駆動型の一対の駆動装置21は、図8〜図12に示す如く、クランプベース16とクランプ可動板17との間に設けられ、クランプ可動板17をクランプベース16に対して昇降動させる複数のボールネジ機構31と、クランプベース16に配設したサーボモータ32と、サーボモータ32をサーボ制御するサーボモータ制御部(図示省略)と、サーボモータ32の回転運動をボールネジ機構31に伝達する伝動機構33とからそれぞれ成り、サーボモータ32を制御することによって、クランプ板18の下降位置をワークWの厚さに応じて自由に設定することができると共に、クランプ板18の加圧力を自在に調整できるように構成されている。これら各駆動装置21は、邪魔にならないように上部フレーム1bを形成する二つの長尺箱状部材の内方にそれぞれ収納された格好になっている。
【0046】
前記各ボールネジ機構31は、各クランプベース16の上面に固定した外観形状が円柱形状の軸受台34にベアリング34aを介して回転自在に且つ軸線方向へ移動不納に支持された鉛直姿勢のボールネジ軸31aと、クランプ可動板17の内側クランプ可動板17aの上面に固定され、ボールネジ軸31aが螺挿されるボールナット31bとからそれぞれ成り、ボールネジ軸31aが正逆回転すると、廻り止めされたボールナット31bがボールネジ軸31aに沿って上下方向へ往復移動し、クランプ可動板17をクランプベース16に対して昇降動させるようになっている。
この実施の形態に於いては、ボールネジ機構31は、長尺板状のクランプ可動板17を水平姿勢を保った状態で昇降動させることができるように各クランプベース16と各クランプ可動板17との間にそれぞれ四箇所設けられている。
【0047】
また、各サーボモータ32は、クランプベース16の一端部上面に固定したモータブラケット35に取り付けられており、サーボモータ制御部(図示省略)によりサーボ制御されるようになっている。
【0048】
更に、各伝動機構33は、クランプベース16の上面に固定した複数の軸受台36にクランプベース16に沿う姿勢で回転自在に支持され、各ボールネジ機構31の近傍に位置して一端部がカップリング37を介してサーボモータ32に連結されたシャフト33aと、シャフト33aに嵌着され、各ボールネジ機構31のボールネジ軸31aの近傍に位置する四つのウォームギヤ33bと、各ボールネジ機構31のボールネジ軸31aの上端部に嵌着され、ウォームギヤ33bにそれぞれ噛合する四つのウォームホイール33cとからそれぞれ構成されている。
【0049】
而して、このモータ駆動型の駆動装置21によれば、サーボモータ制御部によりサーボモータ32が駆動制御されると、サーボモータ32の回転力が伝動機構33によりボールネジ機構31のボールネジ軸31aに伝達され、これによってボールネジ軸31aを所定の角度又は所定の回転数だけ正回転又は逆回転させる。そうすると、ボールネジ機構31によりクランプ可動板17及びクランプ板18が昇降動することになる。
この駆動装置21は、サーボ制御されているため、両クランプ板18の下降位置をワークWの厚さに応じて自由に設定可能であり、また、各クランプ板18の加圧力を自在に調整することができる。
その結果、クランプ機構6は、一対のクランプ板18を予圧位置(ワークWの厚み+αの隙間の位置、即ち、一対のクランプ板18がマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部をバックバー3上へ動ける程度に軽く保持する位置)まで下降させることができ、また、一対のクランプ板18を加圧位置(弾性体19が圧縮されて一対のクランプ板18の間隔が狭まり、一対のクランプ板18がワークWの円周方向両端を加圧密着させた状態でワークWの円周方向両端部をバックバー3へ強固に押圧する位置)まで下降させることができる。
【0050】
尚、図9〜図11に於いて、38はクランプベース16に遊嵌状態で挿通され、クランプ可動板17の上面に立設したセンサー用シャフト、39はセンサー用シャフト38に固定したセンサーブラケット、40はクランプベース16の上面に立設したセンサー用レール41に取り付けられ、クランプ板18の上限位置及び下限位置を規制するフォトセンサーである。
【0051】
前記溶接装置7(TIG溶接装置7)は、図1及び図3に示す如く、上部フレーム1bの上面に二本の平行なガイドレール42を介してマンドレル2の長手方向へ往復移動自在に配設した走行台43と、走行台43にアーム部材44を介して昇降自在に支持され、先端部からアルゴンガス等のシールドガスを流すと共に、タングステン電極棒45aを挿着した溶接用トーチ45と、走行台43に設けられ、溶接用トーチ45を昇降動させるサーボモータ等から成るトーチ上下駆動装置(図示省略)と、走行台43に設けられ、溶接状況(タングステン電極棒の消耗やアークの状態等)やワークWの端部の突合せ状況を確認する監視カメラ(図示省略)と、走行台43に設けられ、溶接開始前に於けるタングステン電極棒45aとワークWの間隙設定を容易にし、溶接中に於けるタングステン電極棒45aとワークWの接触事故を直ちに検知する電極接触検知装置(図示省略)と、走行台43をマンドレル2の長手方向へ往復走行させるモータ及び伝動装置からから成る駆動装置(図示省略)等から構成されており、ワークWの突合せ部を突合せ溶接する際に溶接用トーチ45の先端が自動的に高さ調整され且つ走行台43及びこれに支持された溶接用トーチ45が所定の速度でワークWの突合せ部に沿って直線移動するようになっている。この溶接装置7は、従来公知のものと同様構造に構成されている。
尚、この溶接装置7は、溶接用トーチ45等を設けた走行台43を上部フレーム1bの上面に配設した二本のガイドレール42に走行自在に支持する構成としているため、取付け作業を簡単に行えると共に、安価な構造で長期間の使用にも芯ズレや蛇行が発生することなく安定した溶接が可能となる。
【0052】
次に、上述した水平型自動溶接装置を用いて円筒状に曲げ加工したワークWの円周方向両端を突合せ溶接してパイプやドラムを作製する場合について説明する。
【0053】
尚、ワークWには、厚みが0.1mm〜0.4mmのステンレス鋼板等を円筒状に曲げ加工した薄板のワークWや、厚みが0.6mm〜2.0mmのステンレス鋼板等を円筒状に曲げ加工した厚板のワークWが使用されている。また、溶接電流、アーク長、シールドガスの供給量、溶接用トーチ45の走行速度、タングステン電極棒45aの先端形状等の溶接条件は、ワークWの材質、板厚、幅等に応じて最適の条件下に設定されていることは勿論である。
【0054】
先ず、突合せ溶接するワークWの厚さに応じてマンドレル2を手動操作により回転操作し、ワークWの厚みに対応するバックバー3が真上を向くようにマンドレル2を回転させる。
例えば、薄板(厚さが0.1mm〜0.4mm)のワークWを突合せ溶接する場合には、マンドレル2を回転させて薄板用のバックバー3(スリット状の溝3bの幅の狭いバックバー3)が真上を向くようにマンドレル2を回転操作する。
【0055】
次に、マンドレル2に円筒状に曲げ加工したワークWを挿着すると共に、マンドレル2の先端部をマンドレル受け11により支持して長尺状のマンドレル2の撓みを防止し、この状態でマンドレル2の上面側に位置するセンター位置決め機構4のセンタープレート12を駆動部13により上昇させてセンタープレート12の先端部(上端部)をバックバー3の上面から上方へ突出させる。
【0056】
尚、マンドレル2にワークWを挿着する際、一対のクランプ板18が駆動装置21によりマンドレル2に対して昇降動する構成となっているため、マンドレル2と一対のクランプ板18との間隔を大きく取ることができ、ワークWをマンドレル2に挿着し易くなる。
【0057】
その後、一対のクランプ板18を予圧位置(ワークWの厚み+αの隙間の位置、即ち、一対のクランプ板18がマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部をバックバー3上へ動ける程度に軽く保持する位置)まで下降させ、この状態でマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の一端をセンタープレート12の上端部側面に当接させる(図16(A)参照)。
【0058】
このとき、一対のクランプ板18が予圧位置まで下降しているため、クランプ板18の先端部とマンドレル2のバックバー3との間隔が狭くなり、その結果、マンドレル2に支持されたワークWの円周方向の一端は、クランプ板18の先端部とバックバー3にガイドされながらセンタープレート12の上端部側面に突き当てられることになる。
また、予圧位置まで下降した一対のクランプ板18の間隔が広くなっているので、ワークWの円周方向の一端をセンタープレート12に突き合せる際に目視することができる。
従って、ワークWの円周方向の一端をセンタープレート12に極めて突き当て易くなる。
【0059】
ワークWの円周方向の一端をセンタープレート12の上端部側面に当接させたら、クランプ機構6の一方のクランプ板18(センタープレート12に当接しているワークWの一端部上方に位置するクランプ板18)を駆動装置21により予圧位置から加圧位置まで下降させ、当該クランプ板18によりワークWの円周方向一端部をバックバー3上へ動かないように強固に加圧固定する(図16(b)参照)。
【0060】
尚、一方のクランプ板18が予圧位置から加圧位置へ下降すると、一方のクランプ板18が弾性体19を圧縮しながらヒンジ29を支点にして上方へ揺動すると共に、当該クランプ18の先端部が弾性体19の圧縮分だけセンタープレート12側へ移動し、一対のクランプ18間の間隔が狭くなる。
このとき、一方のクランプ板18の先端部下面とワークWの円周方向一端部上面との間に強い摩擦抵抗が働き、ワークWの円周方向一端部をセンタープレート12側へ移動させる。その結果、ワークWの円周方向一端は、センタープレート12に加圧密着され、理想溶接線(溶接用トーチ45の走行軌跡)に一致することになる。
【0061】
ワークWの円周方向の一端部を一方のクランプ板18によりバックバー3上へ加圧固定したら、センター位置決め機構4の駆動部13に供給されている圧縮空気の供給を停止する。そうすると、復帰用の圧縮スプリング13cの弾性力によりセンタープレート12が下降し、センタープレート12の上端部がバックバー3のスリット状の溝3b内に収納される(図16(C)参照)。
【0062】
センタープレート12が下降したら、ワークWの円周方向他端を目視によって先にバックバー3上に加圧固定されたワークWの円周方向一端に突合せる(図16(C)参照)。
【0063】
このとき、ワークWの円周方向他端部の上方に位置するクランプ板18が予圧位置まで下降しているため、クランプ板18の先端部とマンドレル2のバックバー3との間隔が狭くなり、その結果、ワークWの円周方向の他端は、クランプ板18の先端部とバックバー3にガイドされながらワークWの円周方向一端に重なることなく正確且つ確実に突き当てられることになる。
また、クランプ板18が予圧位置にあるときには、弾性体19の弾性力が働いていない状態にあるので、クランプ板18間の間隔が広くなっており、ワークWの円周方向両端の突き当て状態を見やすく、その結果、ワークWの円周方向の他端を先に加圧固定されているワンプWの円周方向の一端に極めて突き当て易くなる。
【0064】
ワークWの円周方向両端を突合せたら、クランプ機構6の他方のクランプ板18(未だ予圧位置にあるクランプ板18)を駆動装置21により予圧位置から加圧位置まで下降させ、当該クランプ板18によりワークWの円周方向他端部をバックバー3上へ動かないように強固に加圧固定する(図16(D)参照)。
【0065】
尚、他方のクランプ板18が予圧位置から加圧位置へ下降すると、他方のクランプ板18が弾性体19を圧縮しながらヒンジ29を支点にして上方へ揺動すると共に、当該クランプ18の先端部が弾性体19の圧縮分だけ加圧位置にある一方のクランプ板18側へ移動し、一対のクランプ18間の間隔が狭くなる。
このとき、他方のクランプ板18の先端部下面とワークWの円周方向他端部上面との間に強い摩擦抵抗が働き、ワークWの円周方向他端部をバックバー3上へ加圧固定されているワンプWの円周方向一端部側へ移動させる。その結果、ワークWの円周方向両端が加圧密着され、隙間のない突合せ接合面が形成されることになる。
【0066】
そして、ワークWの円周方向の両端がバックバー3のスリット状の溝3b上で突合せ固定されたら、マンドレル2のガス供給口2eからバックバー3のスリット状の溝3b内にアルゴンガス等のシールドガスを供給しつつ、溶接装置7によりワークWの突合せ部を突合せ溶接する。
即ち、溶接用トーチ45が下降してタングステン電極棒45aの先端をワークWの突合せ部の一端部に臨ませてタングステン電極棒45aの先端とワークWとの間にアークを発生させ、このアークが安定した状態になってから走行台43が駆動装置により前進して溶接用トーチ45をワークWの突合せ部に沿って走行させ、ワークWの突合せ部を順次突合せ溶接して行く。
【0067】
このとき、ワークWの円周方向両端がクランプ機構6のクランプ板18及び弾性体19により加圧状態で密着されているため、穴あきやヘコミ等の溶接欠陥のない高品質で美しい溶接を行える。
【0068】
ワークWの突合せ溶接が終了すると、バックバー3へのシールドガスの供給を停止すると共に、溶接装置7の溶接用トーチ45が元の位置に復帰する。また、クランプ機構6によるワークWのクランプ状態が解除されると共に、マンドレル受け11が鉛直位置から水平位置へ回動してマンドレル2の先端を開放する。
これにより、突合せ溶接されたワークW(パイプやドラム)をマンドレル2から引き抜くことができる。
【0069】
このとき、一対のクランプ板18が一対の駆動装置21によりマンドレル2に対して昇降動する構成としているため、マンドレル2と一対のクランプ板18との間隔を大きく取ることができ、溶接済みのワークW(パイプやドラム)をマンドレル2から取り出す際に、ワークWの取り出しを容易に行えると共に、ワークWがマンドレル2の上面やバックバー3、左右のクランプ板18の先端部下面をこすったりするということがなく、マンドレル2、バックバー3及び左右のクランプ板18の消耗やワークWの損傷及び変形を防止することができる。
【0070】
このように、上述した水平型自動溶接装置を用いて円筒状に曲げ加工したワークWを突合せ溶接すると、クランプ幅が狭い薄板のワークWの突合せ溶接を行う場合であっても、ワークWの突合せ部の状態を確認することができてワークWの正確な突合せ作業を行うことができ、また、クランプ機構6によるワークWのクランプ時にワークWの円周方向両端が密着するようにワークWをクランプすることができるので、溶接不良(穴あき、ヘコミ、ずれ、重なり等)のない突合せ溶接を行えて高品質のパイプやドラムを作製することができる。
更に、この水平型手自動溶接装置7は、略左右対称の構造になっていると共に、クランプ機構6を操作する操作スイッチ8がフレーム1の両側面にそれぞれ設けられているため、左右(図2の左右方向)どちらの位置からでも作業を行えるので、能率の良い作業を行える。
【符号の説明】
【0071】
1はフレーム、2はマンドレル、3はバックバー、4はセンター位置決め機構、6はクランプ機構、7は溶接装置、16はクランプベース、17はクランプ可動板、17aは内側クランプ可動板、17bは外側クランプ可動板、18はクランプ板、19は弾性体、21は駆動装置、26は調整ネジ、29はヒンジ、31はボールネジ機構、32はサーボモータ、33は伝動機構、Wはワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス板や鋼板等の金属板を円筒状に曲げ加工して成るワークを水平姿勢のマンドレルで支持し、マンドレルに設けたバックバー上でワークの円周方向の両端部をクランプ機構により突合せ状態でクランプし、この状態でワークの突合せ部を突合せ溶接してパイプやドラムを作製するようにした水平型自動溶接装置の改良に係り、特に、クランプ幅(クランプ機構の一対のクランプ板がワークをクランプしたときのクランプ板間の間隔)が狭い薄板のワーク(厚さが0.1mm〜0.4mmのワーク)の突合せ溶接を行う場合であっても、ワークの突合せ部の状態を確認することができてワークの正確な突合せ作業を行うことができ、また、クランプ機構によるワークのクランプ時にワークの円周方向両端が密着するようにワークをクランプすることができ、更に、マンドレルからの溶接済みのワークの取り出しを容易に行えると共に、ワークの取り出し時にマンドレルやクランプ機構のクランプ板等の消耗、ワークの損傷及び変形を防止でき、然も、クランプ機構のクランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定できるようにした水平型自動溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状に曲げ加工した金属板製のワークの円周方向両端を突合せ溶接してパイプを作製する装置としては、例えば、本件出願人が先に開発した水平型自動溶接装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
即ち、前記水平型自動溶接装置は、図17に示す如く、円筒状に曲げ加工したワークWを支持する水平姿勢のマンドレル50と、マンドレル50の上面に設けた長尺状のバックバー51と、マンドレル50に設けられ、ワークWの円周方向両端がバックバー51のスリット状の溝上で突合されるようにワークWの端面の位置決めを行うセンター位置決め機構(図示省略)と、マンドレル50の上方位置に配設され、ワークWの円周方向両端を突合せた状態でバックバー51上へクランプするチューブクランプ方式のクランプ機構52と、マンドレル50の上方位置に配設され、ワークWの突合せ部を突合せ溶接する溶接用トーチ53等を備えたTIG溶接装置(全体は図示省略)とから構成されており、マンドレル50にセットしたワークWの円周方向両端をセンター位置決め機構により位置決めすると共に、位置決めされたワークWの円周方向両端部をクランプ機構52によりバックバー51上で突合せ固定し、その突合せ部をTIG溶接装置により突合せ溶接して接合するようにしたものである。
【0004】
また、チューブクランプ方式のクランプ機構52は、図17に示す如く、マンドレル50上方位置に配設したフレーム54にヒンジ52aを介して上下方向へ揺動自在に支持され、対向状に配置された左右のクランプ板52bと、左右のクランプ板52bを上方へ附勢する引張りスプリング52cと、圧縮空気の供給により膨張して左右のクランプ板52bを下方へ押し下げるエアーチューブ52d等から成り、エアーチューブ52dに圧縮空気を供給してエアーチューブ52dを膨張させると、左右のクランプ板52bが引張りスプリング52cの弾性力に抗して下方へ揺動し、左右のクランプ板52bの先端部がマンドレル50に支持されたワークWの円周方向両端部上面に当接してワークWの円周方向両端部をバックバー51上へクランプし、また、圧縮空気の供給を停止すると、左右のクランプ板52bが引張りスプリング52cの弾性力により上方へ揺動し、ワークWのクランプ状態が解除されるようになっている。
【0005】
ところで、ワークWの理想的な突合せ溶接を行うには、ワークWのクランプ時に於ける左右のクランプ板52bの間隔(クランプ幅)を突合せ溶接するワークWの厚さに応じて調整する必要があり、一般にはワークWの厚さが薄くなれば、左右のクランプ板52b間の間隔(クランプ幅)を狭くし、また、ワークWの厚さが厚くなれば、左右のクランプ板52b間の間隔(クランプ幅)を広くするようにしている。
例えば、厚さが0.1mm〜0.4mmのワークW(薄板のワークW)の場合には、左右のクランプ板52bの間隔(クランプ幅)を1.0mm〜3.0mmとし、また、厚さが0.6mm〜2.0mmのワークW(厚板のワークW)の場合には、左右のクランプ板52bの間隔(クランプ幅)を4.0mm〜20mmとしている。
【0006】
特に、厚みの極めて薄いワークWを突合せ溶接する場合には、左右のクランプ板52bの間隔を出来るだけ狭くする方が良い。これは左右のクランプ板52bの間隔を広くすると、溶接時の熱でワークWの表面温度が厚板のワークWに比較して高温になり易く、そのために溶接中に変形が生じて溶接不良を引き起こすことになるからである。
【0007】
ところが、上述した従来の水平型自動溶接装置に於いては、対向状に配置した左右のクランプ板52bがヒンジ52aを取り付けた部分を中心にして上下方向へ揺動する構造のクランプ機構52を用いているため、肉厚が0.1mm〜0.4mmの薄板のワークWを突合せ溶接する場合には、下記に示すような問題が発生していた。
【0008】
例えば、肉厚が0.1mm〜0.4mmの薄板のワークWを突合せ溶接する場合、溶接時の熱歪を防止するため、左右のクランプ板52bのクランプ幅(左右のクランプ板52bがワークWをクランプしたときの左右のクランプ板52bの間隔)を1.0mm〜3.0mmに狭くして溶接を行わなければならない。
【0009】
しかし、上述したチューブクランプ方式のクランプ機構52は、左右のクランプ板52bが上下方向へ揺動するときに、対向する左右のクランプ板52bの先端が円弧状の軌跡を描くため、左右のクランプ板52bの開閉ストローク(揺動ストローク)を小さくしないと、左右のクランプ板52bが上方へ揺動したときに左右のクランプ板52bの先端同士が干渉することになる。
【0010】
そのため、薄板のワークWを溶接する場合、左右のクランプ板52bの開放時(左右のクランプ板52bが上方へ揺動してワークWをクランプしていない状態の時)には、左右のクランプ板52bの間隔が略ゼロになり、また、左右のクランプ板52bの開放時に於けるクランプ板52b同士の干渉を避けるためには、マンドレル50と左右のクランプ板52bとの間隔を必然的に狭く設定しなければならない。
【0011】
このように、チューブクランプ方式のクランプ機構52を用いた従来の水平型自動溶接装置は、薄板のワークWを溶接する場合、左右のクランプ板52bの開放時に於ける間隔が略ゼロになるため、ワークWの円周方向両端をマンドレル50に設けたバックバー51上で突合せる際にワークWの突合せ部を目視できなくなり、ワークWの正確な突合せ作業を行えなくなると共に、ワークWの突合せ部の状態を確認できないという問題があった。
【0012】
また、従来の水平型自動溶接装置は、マンドレル50と左右のクランプ板52bとの間隔が狭いため、溶接済みのワークW(パイプ)をマンドレル50から取り出す際に、ワークWの取り出しが極めて行い難くなると共に、ワークWがマンドレル50やバックバー51の上面、或いは左右のクランプ板52bの下面をこすってマンドレル50、バックバー51及び左右のクランプ板52bの消耗を速めるうえ、ワークWが損傷したり、変形したりするという問題があった。
【0013】
更に、従来の水平型自動溶接装置は、左右のクランプ板52bが下方へ揺動してその先端部でワークWをクランプするときに、左右のクランプ板52bの先端がハの字状に広がるため、左右のクランプ板52bでワークWをクランプすると、左右のクランプ板52bの間隔が広くなる現象が発生する。このとき、ワークWの円周方向の両端部にワークWを開こうとする力が働き、ワークWの突合せ部に隙間が生じることがある。そのため、この状態でワークWを突合せ溶接すると、穴あきやヘコミ等の溶接欠陥が発生し、溶接済みのワークW(パイプ)の品質が著しく低下するという問題があった。
【0014】
そのうえ、従来の水平型自動溶接装置は、左右のクランプ板52bをエアーチューブ52dの膨張によりワークW側へ加圧するようにしているが、左右のクランプ板52bの加圧調整を行い難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−205369号公報
【特許文献2】特開2007−021566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、クランプ幅が狭い薄板のワークの突合せ溶接を行う場合であっても、ワークの突合せ部の状態を確認できてワークの正確な突合せを行え、また、ワークの円周方向両端が密着するようにワークの円周方向両端部をクランプすることができ、更に、溶接済みのワークの取り出しを容易に行えると共に、ワークの取り出し時に於けるマンドレル及びクランプ板等の消耗やワークの損傷及び変形を防止でき、然も、クランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定できるようにした水平型自動溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、フレームに水平姿勢で支持され、円筒状に曲げ加工した金属板製のワークを支持するマンドレルと、マンドレルの上面に設けたバックバーと、マンドレルに設けられ、ワークの円周方向の端面の位置決めを行うセンター位置決め機構と、マンドレルの上方位置に配設され、ワークの円周方向の両端部を突合せた状態でバックバー上へクランプするクランプ機構と、ワークの突合せ部を突合せ溶接する溶接装置とを具備する水平型自動溶接装置に於いて、前記クランプ機構は、マンドレルの上方位置にマンドレルに沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプベースと、各クランプベースにそれぞれ昇降自在に支持され、マンドレルに沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプ可動板と、各クランプ可動板の下面にそれぞれマンドレルに沿う姿勢で上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板と、各クランプ可動板と各クランプ板との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板の対向する先端部を下方へ附勢して一対のクランプ板を傾斜姿勢に保持する弾性体と、各クランプベースと各クランプ可動板との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板及び各クランプ板を昇降動させて各クランプ板の加圧力を調整するモータ駆動型の一対の駆動装置とから成り、前記各クランプ板は、それぞれ駆動装置により下降して各クランプ板の先端部がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接してワークの円周方向の両端部を加圧したときに、弾性体の弾性力に抗して上方へ揺動し、両クランプ板の先端部間の間隔が狭まってワークの厚みに応じた間隔に調整される構成としたことに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項2の発明は、一対のクランプ可動板が、マンドレル側に位置する内側クランプ可動板と、内側クランプ可動板の外側端部にマンドレル側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板とからそれぞれ成り、外側クランプ可動板の下面にヒンジを介してクランプ板を上下方向へ揺動自在に取り付け、また、外側クランプ可動板に内側クランプ可動板と外側クランプ可動板との間隙を調整する調整ネジを回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着する共に、調整ネジの先端部に形成したネジ部を内側クランプ可動板の外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着し、当該調整ネジを回転操作することによって、対向状に配置した一対のクランプ板の先端部間の間隔を自在に調整できる構成としたことに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項3の発明は、モータ駆動型の一対の駆動装置が、クランプベースとクランプ可動板との間に設けられ、クランプ可動板をクランプベースに対して昇降動させるボールネジ機構と、クランプベースに配設したサーボモータと、サーボモータをサーボ制御するサーボモータ制御部と、サーボモータの回転運動をボールネジ機構に伝達する伝動機構とからそれぞれ成り、サーボモータを制御することによって、クランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定できると共に、クランプ板の加圧力を自在に調整できるようにしたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に係る水平型自動溶接装置は、ワークの円周方向の両端部を突合せた状態でマンドレルのバックバー上へクランプするクランプ機構が、マンドレルの上方位置に対向状に配置された一対のクランプベースと、各クランプベースにそれぞれ昇降自在に支持されて対向状に配置された一対のクランプ可動板と、各クランプ可動板の下面にそれぞれ上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板と、各クランプ可動板と各クランプ板との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板を下方へ附勢する弾性体と、各クランプベースと各クランプ可動板との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板及び各クランプ板を昇降動させるモータ駆動型の一対の駆動装置とから成り、各クランプ板の先端部がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接してワークを加圧したときに、両クランプ板が弾性体の弾性力に抗して上方へ揺動して両クランプ板の先端部間の間隔が狭まってワークの厚みに応じた間隔に調整される構成としているため、薄板のワークを溶接する場合に、一対のクランプ板のクランプ幅(一対のクランプ板がワークをクランプしたときのクランプ板間の間隔)が狭く設定されていても、クランプ板の開放時(一対のクランプ板がワークをクランプしていない状態の時)には、クランプ板のクランプ幅が広くなっているので、ワークの円周方向両端をマンドレルに設けたバックバー上で突合せる際に両クランプ板の間からワークの突合せ部を目視でき、ワークの正確な突合せ作業を行えると共に、ワークの突合せ部の状態を確認することができる。
また、本発明の請求項1に係る水平型自動溶接装置は、各クランプ板の先端部がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部上面に当接してワークを加圧したときに、両クランプ板が弾性体の弾性力に抗して上方へ揺動して両クランプ板の先端部間の間隔が狭まる構成となっているため、クランプ板によるワークの加圧時に弾性体の弾性力によりワークの円周方向両端部を閉じようとする力が働き、ワークの円周方向両端が密着することになり、その結果、穴あきやヘコミ等の溶接欠陥のない高品質のパイプやドラムを作製することができる。
更に、本発明の請求項1に係る水平型自動溶接装置は、一対のクランプ板が一対の駆動装置によりマンドレルに対して昇降動する構成としているため、マンドレルと一対のクランプ板との間隔を大きく取ることができ、溶接済みのワーク(パイプやドラム)をマンドレルから取り出す際に、ワークの取り出しを容易に行えると共に、ワークがマンドレルの上面やバックバー、左右のクランプ板の先端部下面をこすったりするということがなく、その結果、マンドレル、バックバー及び左右のクランプ板の消耗やワークの損傷及び変形を防止することができる。
【0021】
本発明の請求項2及び請求項3に係る水平型自動溶接装置は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
即ち、本発明の請求項2の水平型自動溶接装置は、一対のクランプ可動板が、マンドレル側に位置する内側クランプ可動板と、内側クランプ可動板の外側端部にマンドレル側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板とからそれぞれ成り、外側クランプ可動板の下面にヒンジを介してクランプ板を上下方向へ揺動自在に取り付け、また、外側クランプ可動板に内側クランプ可動板と外側クランプ可動板との間隙を調整する調整ネジを回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着する共に、調整ネジの先端部に形成したネジ部を内側クランプ可動板の外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着し、当該調整ネジを回転操作することによって、対向状に配置した一対のクランプ板の先端部間の間隔を調整できる構成としているため、ワークの厚みが変わった場合でも、一対のクランプ板の間隔をワークの厚さに応じて最適な間隔になるように簡単に調整することができる。また、一対のクランプ板の間隔を調整する調整ネジが外側クランプ可動板に埋設状態で挿着され、外部へ突出していないので、調整ネジが不用意に回されてクランプ板間の間隔が変わるということもない。
【0022】
更に、本発明の請求項3の水平型自動溶接装置は、モータ駆動型の一対の駆動装置が、クランプベースとクランプ可動板との間に設けられ、クランプ可動板をクランプベースに対して昇降動させるボールネジ機構と、クランプベースに配設したサーボモータと、サーボモータをサーボ制御するサーボモータ制御部と、サーボモータの回転運動をボールネジ機構に伝達する伝動機構とからそれぞれ成り、サーボモータを制御することによって、クランプ板の下降位置をワークの厚さに応じて自由に設定することができると共に、クランプ板の加圧力を自在に調整できるようにしているため、ワークの突合せ作業をより一層行い易くなると共に、ワークの円周方向両端の突合せをより正確に行うことができる。
例えば、一対のクランプ板を予圧位置(ワークの厚み+αの隙間の位置、即ち、一対のクランプ板がマンドレルに支持されたワークの円周方向の両端部をバックバー上へ動ける程度に軽く保持する位置)まで下降させると、ワークの円周方向両端部がクランプ板とマンドレルのバックバーとでガイドされた格好なるので、ワークの円周方向の一端をセンター位置決め機構のセンタープレートに突き当てし易くなると共に、ワークの円周方向の他端をワークの円周方向の一端に重なることなく突き当てることができ、ワークの円周方向両端の突合せを正確且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る水平型自動溶接装置の斜視図である。
【図2】同じく水平型自動溶接装置の拡大正面図である。
【図3】同じく水平型自動溶接装置の側面図である。
【図4】同じく水平型自動溶接装置の平面図である。
【図5】マンドレルを示し、(A)はマンドレルの一部省略平面図、(B)はマンドレルの一部省略側面図である。
【図6】マンドレルの要部の側面部である。
【図7】マンドレルの縦断正面図である。
【図8】クランプ機構及びマンドレルの正面図である。
【図9】クランプ機構の平面図である。
【図10】クランプ機構及びマンドレルの側面図である。
【図11】クランプ機構を示し、クランプ機構の右側部分の斜視図である。
【図12】図9のイ−イ線拡大断面図である。
【図13】図9のロ−ロ線拡大断面図である。
【図14】図9のハ−ハ線拡大断面図である。
【図15】図9のニ−ニ線拡大断面図である。
【図16】水平型自動溶接装置の作用説明図である。
【図17】従来のクランプ機構を用いた水平型自動溶接装置の要部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は本発明の実施の形態に係る水平型自動溶接装置を示し、当該水平型自動溶接装置は、ステンレス板や鋼板等の金属板を円筒状に曲げ加工して成るワークWの円周方向両端を突合せ溶接してパイプやドラムを作製するものであり、特に、クランプ幅が狭い薄板のワークW(厚さが0.1mm〜0.4mmのワークW)を突合せ溶接する場合であっても、ワークWの突合せ作業時にワークWの突合せ部の状態を確認できてワークWの正確な突合せを行え、また、ワークWの円周方向両端が密着するようにワークWの円周方向両端部をクランプすることができ、更に、溶接済みのワークW(パイプやドラム)の取り出しを容易に行えると共に、ワークWの取り出し時に於けるマンドレル2の消耗、バックバー3の消耗、クランプ機構6のクランプ板18の消耗、ワークWの損傷及び変形をそれぞれ防止でき、然も、クランプ板18の下降位置をワークWの厚さに応じて自由に設定できるようにしたものである。
【0025】
即ち、前記水平型自動溶接装置は、図1〜図4に示す如く、フレーム1と、フレーム1に片持ち状態で回転自在に支持され、ワークWを支持する水平姿勢の長尺状のマンドレル2と、マンドレル2の外表面に180度間隔で取り付けられ、薄板用のワークW(厚みが0.1mm〜0.4mm程度のワークWをいう)を溶接する際に用いる薄板用の長尺状のバックバー3及び厚板用のワークW(厚みが1mm〜3mm程度のワークWをいう)を溶接する際に用いる厚板用の長尺状のバックバー3と、マンドレル2に設けられ、ワークWの円周方向両端が薄板用のバックバー3上及び厚板用のバックバー3上でそれぞれ突合されるようにワークWの端面の位置決めを行う一対のセンター位置決め機構4と、マンドレル2の下方位置に配設され、マンドレル2にセットされる直径の大きなワークWや長いワークWを水平姿勢で支持するワーク支持装置5と、マンドレル2の上方位置に配設され、ワークWの円周方向の両端部を突合せた状態でバックバー3上へクランプするクランプ機構6と、マンドレル2の上方位置に配設され、ワークWの突合せ部を突合せ溶接する溶接装置7(この例では、TIG溶接装置)とから構成されている。
この水平型自動溶接装置は、左右どちらの位置からでも作業が行えるように略左右対称の構造になっていると共に、クランプ機構6を操作する操作スイッチ8がフレーム1の両側面にそれぞれ設けられている。
【0026】
具体的には、前記フレーム1は、図1〜図4に示す如く、ボックス状の本体フレーム1aと、本体フレーム1aの上部に設けられ、本体フレーム1aから前方(図3の左側)へ水平姿勢で突出する長尺状の上部フレーム1bと、本体フレーム1aの下部に設けられ、上部フレーム1bと同じ方向へ水平姿勢で突出してキャスター及びアジャスターを介して床面へ設置されるベースフレーム1cとから構成されており、本体フレーム1aの内部には、溶接用電源装置、アルゴンガス等の溶接用ガスボンベ、コンプレッサー等の圧縮空気供給源(何れも図示省略)等がそれぞれ収容されている。
また、上部フレーム1bの上面には、先端部に溶接装置7の溶接条件や電極位置等を設定するタッチパネル式の操作盤9を取り付けた旋回アーム10が旋回自在に配設されていると共に、上部フレーム1bの両側面には、クランプ機構6の操作スイッチ8がそれぞれ設けられている。
更に、上部フレーム1bの本体フレーム1aから突出する部分は、底面側が開放された二つの長尺箱状部材から成り、これら二つの長尺箱状部材はマンドレル2の斜め上方位置にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置されている。
【0027】
前記マンドレル2は、図3及び図5に示す如く、アルミ合金等の金属材により断面形状が略長方形状の角柱状に形成されたマンドレル本体2Aと、マンドレル本体2Aの先端(図5の左端)にボルトにより取り付けられ、上部フレーム1bの先端部に設けたマンドレル受け11に抜き差し自在に挿入されるマンドレルピン2aを有するマンドレル金具2Bと、マンドレル本体2Aの基端(図5の右端)に回転軸金具2Cを介して取り付けられた断面形状が円形のマンドレル回転軸2Dとから成り、フレーム1の本体フレーム1aに片持ち状態で且つその軸心を中心にして回転自在に支持されていると共に、薄板用のバックバー3又は厚板用のバックバー3が真上を向く状態で位置決めされるようになっている。
また、マンドレル本体2Aの短辺側両面には、図6及び図7に示す如く、薄板用の長尺状のバックバー3と厚板用の長尺状のバックバー3がそれぞれ着脱自在に嵌め込まれる取付け溝2bがマンドレル2の長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。これら両取付け溝2bの底面には、アルゴンガス等のシールドガスが流れるガス溝2cがマンドレル2の長手方向に沿ってそれぞれ形成されていると共に、後述するセンター位置決め機構4の駆動部が設けられる凹部2dがマンドレル2の長手方向に一定間隔ごとにそれぞれ形成されている。マンドレル2の両取付け溝2bの底面に形成した各凹部2dは、マンドレル2の長手方向に亘って齟齬する状態で且つマンドレル2の中心部付近に形成されている。
更に、マンドレル本体2Aの長辺側両面には、ガス溝2cへアルゴンガス等のシールドガスを供給するためのガス供給口2eと、凹部2dの底面に形成したピストン穴2gへ圧縮空気を供給する圧縮空気供給口2dとが夫々形成されている。
【0028】
そして、マンドレル2は、ワークWの突合せ作業時や溶接作業時等には先端側のマンドレル金具2Bがマンドレル受け11により支持されており、本体フレーム1a及びマンドレル受け11により両持ち状態となっている。
【0029】
尚、マンドレル受け11は、ロータリーアクチュエータ11aにより水平位置から鉛直位置に亘って揺動するように構成されており、マンドレル受け11を水平位置から鉛直位置へ回動させ、マンドレル受け11に形成した支持穴にマンドレル2のマンドレルピン2aを挿入することによって、マンドレル2の先端部を支持することができるようになっている。
【0030】
前記薄板用のバックバー3及び厚板用のバックバー3は、図7に示す如く、何れも銅材により断面形状が略長方形の長尺な角柱状に形成した対称形状の一対のバックバー片3aから成り、一対のバックバー片3aを対向させた状態で且つ一対のバックバー片3aの間にスリット状の溝3bが形成されるようにマンドレル2の取付け溝2bに着脱自在に嵌め込まれている。
また、マンドレル2の取付け溝2bに嵌め込まれた各バックバー3は、一対のバックバー片3aを複数本のボルトでマンドレル2側へ締め付け固定することによって、マンドレル2にその軸心方向へ沿う姿勢で取り付けられる。
【0031】
前記各バックバー3は、ワークWの円周方向の両端を突合せ溶接する際に余分な熱を吸収してビードの溶け落ちや穴あき、ワークWの熱ひずみ等を防止すると共に、ワークWの突合せ部の裏面側にシールドガスを流して溶接部の酸化を防止するものである。
また、一対のバックバー片3a間に形成されたスリット状の溝3bは、センター位置決め機構4のセンタープレート12を遊嵌状態で挿入すると共に、アルゴンガス等のシールドガスを流すためのものである。
【0032】
尚、この実施の形態に於いては、マンドレル2外表面の一方の短辺側に取り付けた薄板用のバックバー3は、そのスリット状の溝3bの幅が1.0mmに、また、マンドレル2外表面の他方の短辺側に取り付けた厚板用のバックバー3は、そのスリット状の溝3bの幅が1.2mmに夫々設定されている。
【0033】
前記各センター位置決め機構4は、ワークWの円周方向の端面同士が薄板用のバックバー3のスリット状の溝3b上及び厚板用のバックバー3のスリット状の溝3b上でそれぞれ突合されるようにワークWの端面の位置決めを行うものであり、図7に示す如く、バックバー3のスリット状の溝3b内にマンドレル2の半径方向へ移動自在に挿入された薄鋼板製の長尺状のセンタープレート12と、マンドレル2にその長手方向に一定間隔ごとに設けられ、センタープレート12をマンドレル2の半径方向へ進退移動させるシリンダ構造の複数の駆動部13とからそれぞれ構成されている。
【0034】
即ち、各センタープレート12は、薄板用のバックバー3及び厚板用のバックバー3のスリット状の溝3bにそれぞれ遊嵌状態で且つマンドレル2の半径方向へ移動自在に挿入されており、その先端部がバックバー3の上面から外方へ突出可能になっていると共に、先端部の側面にワークWの端面が当接するようになっている。
これらのセンタープレート12は、その厚みがバックバー3のスリット状の溝3bの幅よりも薄くなるように設定されている。そのため、センタープレート12をバックバー3のスリット状の溝3bに挿入したときには、センタープレート12の側面とバックバー3との間にアルゴンガス等のシールドガスが流れるスリット状の間隙が形成されることになる。この実施の形態では、センタープレート12の厚みは、0.5mmに設定されている。また、各センタープレート12は、長手方向に三つに分割された格好になっている。
【0035】
一方、各駆動部13は、マンドレル2の長手方向に亘って齟齬する状態で且つマンドレル2の中心部付近に設けられており、マンドレル2の凹部2dにマンドレル2の半径方向へ移動自在に嵌め込まれ、センタープレート12がボルトにより支持固定される支持台13aと、支持台13aの下面に連設され、マンドレル2の凹部2dの底面に形成したピストン穴2gにマンドレル2の半径方向へ摺動自在に挿入されたピストン13bと、バックバー3と支持台13aとの間に介設され、支持台13aをマンドレル2の中心側へ附勢してセンタープレート12の先端部をバックバー3のスリット状の溝3b内に位置させる復帰用の圧縮スプリング13cとから構成されており、圧縮空気供給源(図示省略)からの圧縮空気をマンドレル2に形成した圧縮空気供給口2fからピストン穴2gへ供給すると、ピストン13b、支持台13a及びセンタープレート12が圧縮スプリング13cの弾性力に抗してマンドレル2の半径方向へ移動し、センタープレート12の先端部がバックバー3の上面から外方へ突出し、また、圧縮空気の供給を停止すると、圧縮スプリング13cの弾性力によりピストン13b、支持台13a及びセンタープレート12がマンドレル2の中心側へ移動し、センタープレート12の先端部がスリット状の溝3b内に収納されるようになっている。
【0036】
尚、一対のセンター位置決め機構4の各駆動部13は、マンドレル2の長手方向に亘って齟齬する状態で且つマンドレル2の中心部付近に設けられているため、マンドレル2の長辺側の長さを短めに形成することができ、マンドレル2の軽量化を図ることができる。
【0037】
前記ワーク支持装置5は、直径の大きいワークWや長さの長いワークWを溶接する際にワークWを水平姿勢で支持するものであり、図1〜図3に示す如く、マンドレル2の下方位置のベースフレーム1c上に設けられ、昇降自在な矩形状のテーブル14a及びテーブル14aの下方空間を覆うジャバラ構造のカバー14bを備えた電動式のリフター14と、リフター14のテーブル14a上面に設けられ、水平姿勢のワークWの下面を支持するワーク受けローラ15とから構成されている。
【0038】
また、ワーク受けローラ15は、テーブル14aの上面にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された二つの長尺状のボールローラ受け15aと、両ボールローラ受け15aの上面にマンドレル2に沿って一定間隔ごとに取り付けられ、360°回転自在なボールを備えた複数のボールローラ15bとから成り、マンドレル2に沿って二列に配列されたボールローラ15bがワークWの外周面下面へ当接してワークWを下面側から支持するものである。
【0039】
前記クランプ機構6は、図8〜図15に示す如く、金属材により長尺板状に形成されてマンドレル2の上方位置にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプベース16と、各クランプベース16にそれぞれ昇降自在に支持され、マンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプ可動板17と、各クランプ可動板17の下面にそれぞれマンドレル2に沿う姿勢で上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板18と、各クランプ可動板17と各クランプ板18との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板18の対向する先端部を下方へ附勢して一対のクランプ板18を傾斜姿勢に保持する弾性体19と、各クランプ可動板17にそれぞれ設けられ、各クランプ板18の下方向への揺動量を規制するピン構造のストッパー20と、各クランプベース16と各クランプ可動板17との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板17及び各クランプ板18を昇降動させて各クランプ板18の加圧力を調整するモータ駆動型の一対の駆動装置21とから成り、前記各クランプ板18は、それぞれ駆動装置21により下降して各クランプ板18の先端部がマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部上面に当接してワークWの円周方向の両端部を加圧したときに、弾性体19の弾性力に抗して上方へ揺動し、両クランプ板18の先端部間の間隔が狭まって所定の間隔(ワークWの厚みに応じたクランプ幅)に調整されるように構成されている。
【0040】
従って、このクランプ機構6は、溶接時に於ける一対のクランプ板18のクランプ幅(一対のクランプ板18がワークWをクランプしたときの両クランプ板18の間隔)が狭く設定されていても、クランプ板18の開放時(一対のクランプ板18がワークWをクランプしていない状態の時)には、クランプ板18のクランプ幅が広くなるので、ワークWの円周方向両端をバックバー3上で突合せる際に両クランプ板18の間からワークWの突合せ部を目視でき、ワークWの正確な突合せ作業を行えると共に、ワークWの突合せ部の状態を確認することができる。
例えば、厚みが0.1mm〜0.4mmの薄板のワークWを突合せ溶接する場合、溶接時に於ける一対のクランプ板18のクランプ幅が1.0mm〜2.0mmになっていても、クランプ板18の開放時には、一対のクランプ板18のクランプ幅が3.0mm〜5.0mmと広くなっている。
【0041】
前記一対のクランプベース16は、図8に示す如く、上部フレーム1bの下面に上部フレーム1bの下面開口を閉塞するように水平状態で取り付けられており、マンドレル2の上方位置にマンドレル2に沿う姿勢で対向状に配置された格好になっている。
また、各クランプベース16の外側端面には、クランプ可動板17及びクランプ板18を外方から覆う安全カバー22がそれぞれ取り付けられている。各安全カバー22には、一対のクランプ板18の間隔を調整する調整ネジ26を回転操作できるように操作穴22aが形成されている。
【0042】
前記一対のクランプ可動板17は、図12及び図13に示す如く、金属材により長尺板状に形成されてマンドレル2側に位置する内側クランプ可動板17aと、金属材により角柱形状に形成されて内側クランプ可動板17aの外側端部にマンドレル2側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板17bとからそれぞれ成り、内側クランプ可動板17aに所定の間隔で立設した複数本の上下ガイド軸23をクランプベース16に取り付けた複数のリニアブッシュ24にそれぞれ昇降自在に挿通することによって、クランプベース16の下面側で且つクランプベース16に昇降自在に支持されている。
また、各外側クランプ可動板17bは、内側クランプ可動板17aの外側端面にマンドレル2に直交する水平姿勢で植設した複数本のガイドシャフト25に摺動自在に支持されてマンドレル2側へ水平移動自在になっており、外側クランプ可動板17bに設けた二つの調整ネジ26を回転操作することによって、内側クランプ可動板17aと外側クランプ可動板17bとの間隔及び一対のクランプ板18の間隔を調整できるようになっている。
【0043】
即ち、各調整ネジ26は、図14に示す如く、外側クランプ可動板17bに二本の平行な抜け止めピン27により回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着されており、調整ネジ26の先端部に形成したネジ部が内側クランプ可動板17aの外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着されている。
従って、各調整ネジ26を回転操作することによって、各外側クランプ可動板17bが各内側クランプ可動板17aに対して水平移動し、各内側クランプ可動板17aと各外側クランプ可動板17bとの間隔を調整することができると共に、各外側クランプ可動板17bに取り付けたクランプ板18の間隔も調整することができる。
また、各調整ネジ26の頭部と内側クランプ可動板17aの外側端面との間には、調整ネジ26が弛まないようにするための圧縮コイルスプリング28が配設されている。
【0044】
前記一対のクランプ板18は、図8に示す如く、銅材により長尺板状に形成されて対向する内側部分が斜め下方へ折り曲げられており、外側クランプ可動板17bの下面に長尺構造のヒンジ29を介して上下方向へ揺動自在に取り付けられている。
また、各クランプ板18は、図13及び図14に示す如く、内側クランプ可動板17aの内側端部とクランプ板18との間に介設した複数の弾性体19(圧縮コイルスプリング)により下方へ附勢されており、クランプ板18の内側先端部がワークWの円周方向両端部の上面へ弾性的に当接するようになっている。各弾性体19は、内側クランプ可動板17aの内側部分に一定間隔ごとに形成した複数の収納穴17a′内にそれぞれ収納されており、各収納穴17a′の上方開口を閉塞する長尺状の押え板30により収納穴17a′内から抜け止めされている。
更に、各クランプ板18は、図15に示す如く、クランプ可動板17の内側部分に一定間隔ごとに設けた複数のピン構造のストッパー20により下方向への揺動量が規制されている。各ストッパー20は、一対のクランプ可動板17の内側部分に形成した複数の貫通穴17a″に遊嵌状態で且つ下方へ抜け止めされた状態で挿通されており、その下端部がクランプ板18に連結された状態になっている。
そして、各クランプ板18は、外側クランプ可動板17bに取り付けられているため、調整ネジ26を回転操作して内側クランプ可動板17aと外側クランプ可動板17bとの間隔を変えることによって、対向するクランプ板18の先端部間の間隔を調整できるようになっている。
【0045】
前記モータ駆動型の一対の駆動装置21は、図8〜図12に示す如く、クランプベース16とクランプ可動板17との間に設けられ、クランプ可動板17をクランプベース16に対して昇降動させる複数のボールネジ機構31と、クランプベース16に配設したサーボモータ32と、サーボモータ32をサーボ制御するサーボモータ制御部(図示省略)と、サーボモータ32の回転運動をボールネジ機構31に伝達する伝動機構33とからそれぞれ成り、サーボモータ32を制御することによって、クランプ板18の下降位置をワークWの厚さに応じて自由に設定することができると共に、クランプ板18の加圧力を自在に調整できるように構成されている。これら各駆動装置21は、邪魔にならないように上部フレーム1bを形成する二つの長尺箱状部材の内方にそれぞれ収納された格好になっている。
【0046】
前記各ボールネジ機構31は、各クランプベース16の上面に固定した外観形状が円柱形状の軸受台34にベアリング34aを介して回転自在に且つ軸線方向へ移動不納に支持された鉛直姿勢のボールネジ軸31aと、クランプ可動板17の内側クランプ可動板17aの上面に固定され、ボールネジ軸31aが螺挿されるボールナット31bとからそれぞれ成り、ボールネジ軸31aが正逆回転すると、廻り止めされたボールナット31bがボールネジ軸31aに沿って上下方向へ往復移動し、クランプ可動板17をクランプベース16に対して昇降動させるようになっている。
この実施の形態に於いては、ボールネジ機構31は、長尺板状のクランプ可動板17を水平姿勢を保った状態で昇降動させることができるように各クランプベース16と各クランプ可動板17との間にそれぞれ四箇所設けられている。
【0047】
また、各サーボモータ32は、クランプベース16の一端部上面に固定したモータブラケット35に取り付けられており、サーボモータ制御部(図示省略)によりサーボ制御されるようになっている。
【0048】
更に、各伝動機構33は、クランプベース16の上面に固定した複数の軸受台36にクランプベース16に沿う姿勢で回転自在に支持され、各ボールネジ機構31の近傍に位置して一端部がカップリング37を介してサーボモータ32に連結されたシャフト33aと、シャフト33aに嵌着され、各ボールネジ機構31のボールネジ軸31aの近傍に位置する四つのウォームギヤ33bと、各ボールネジ機構31のボールネジ軸31aの上端部に嵌着され、ウォームギヤ33bにそれぞれ噛合する四つのウォームホイール33cとからそれぞれ構成されている。
【0049】
而して、このモータ駆動型の駆動装置21によれば、サーボモータ制御部によりサーボモータ32が駆動制御されると、サーボモータ32の回転力が伝動機構33によりボールネジ機構31のボールネジ軸31aに伝達され、これによってボールネジ軸31aを所定の角度又は所定の回転数だけ正回転又は逆回転させる。そうすると、ボールネジ機構31によりクランプ可動板17及びクランプ板18が昇降動することになる。
この駆動装置21は、サーボ制御されているため、両クランプ板18の下降位置をワークWの厚さに応じて自由に設定可能であり、また、各クランプ板18の加圧力を自在に調整することができる。
その結果、クランプ機構6は、一対のクランプ板18を予圧位置(ワークWの厚み+αの隙間の位置、即ち、一対のクランプ板18がマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部をバックバー3上へ動ける程度に軽く保持する位置)まで下降させることができ、また、一対のクランプ板18を加圧位置(弾性体19が圧縮されて一対のクランプ板18の間隔が狭まり、一対のクランプ板18がワークWの円周方向両端を加圧密着させた状態でワークWの円周方向両端部をバックバー3へ強固に押圧する位置)まで下降させることができる。
【0050】
尚、図9〜図11に於いて、38はクランプベース16に遊嵌状態で挿通され、クランプ可動板17の上面に立設したセンサー用シャフト、39はセンサー用シャフト38に固定したセンサーブラケット、40はクランプベース16の上面に立設したセンサー用レール41に取り付けられ、クランプ板18の上限位置及び下限位置を規制するフォトセンサーである。
【0051】
前記溶接装置7(TIG溶接装置7)は、図1及び図3に示す如く、上部フレーム1bの上面に二本の平行なガイドレール42を介してマンドレル2の長手方向へ往復移動自在に配設した走行台43と、走行台43にアーム部材44を介して昇降自在に支持され、先端部からアルゴンガス等のシールドガスを流すと共に、タングステン電極棒45aを挿着した溶接用トーチ45と、走行台43に設けられ、溶接用トーチ45を昇降動させるサーボモータ等から成るトーチ上下駆動装置(図示省略)と、走行台43に設けられ、溶接状況(タングステン電極棒の消耗やアークの状態等)やワークWの端部の突合せ状況を確認する監視カメラ(図示省略)と、走行台43に設けられ、溶接開始前に於けるタングステン電極棒45aとワークWの間隙設定を容易にし、溶接中に於けるタングステン電極棒45aとワークWの接触事故を直ちに検知する電極接触検知装置(図示省略)と、走行台43をマンドレル2の長手方向へ往復走行させるモータ及び伝動装置からから成る駆動装置(図示省略)等から構成されており、ワークWの突合せ部を突合せ溶接する際に溶接用トーチ45の先端が自動的に高さ調整され且つ走行台43及びこれに支持された溶接用トーチ45が所定の速度でワークWの突合せ部に沿って直線移動するようになっている。この溶接装置7は、従来公知のものと同様構造に構成されている。
尚、この溶接装置7は、溶接用トーチ45等を設けた走行台43を上部フレーム1bの上面に配設した二本のガイドレール42に走行自在に支持する構成としているため、取付け作業を簡単に行えると共に、安価な構造で長期間の使用にも芯ズレや蛇行が発生することなく安定した溶接が可能となる。
【0052】
次に、上述した水平型自動溶接装置を用いて円筒状に曲げ加工したワークWの円周方向両端を突合せ溶接してパイプやドラムを作製する場合について説明する。
【0053】
尚、ワークWには、厚みが0.1mm〜0.4mmのステンレス鋼板等を円筒状に曲げ加工した薄板のワークWや、厚みが0.6mm〜2.0mmのステンレス鋼板等を円筒状に曲げ加工した厚板のワークWが使用されている。また、溶接電流、アーク長、シールドガスの供給量、溶接用トーチ45の走行速度、タングステン電極棒45aの先端形状等の溶接条件は、ワークWの材質、板厚、幅等に応じて最適の条件下に設定されていることは勿論である。
【0054】
先ず、突合せ溶接するワークWの厚さに応じてマンドレル2を手動操作により回転操作し、ワークWの厚みに対応するバックバー3が真上を向くようにマンドレル2を回転させる。
例えば、薄板(厚さが0.1mm〜0.4mm)のワークWを突合せ溶接する場合には、マンドレル2を回転させて薄板用のバックバー3(スリット状の溝3bの幅の狭いバックバー3)が真上を向くようにマンドレル2を回転操作する。
【0055】
次に、マンドレル2に円筒状に曲げ加工したワークWを挿着すると共に、マンドレル2の先端部をマンドレル受け11により支持して長尺状のマンドレル2の撓みを防止し、この状態でマンドレル2の上面側に位置するセンター位置決め機構4のセンタープレート12を駆動部13により上昇させてセンタープレート12の先端部(上端部)をバックバー3の上面から上方へ突出させる。
【0056】
尚、マンドレル2にワークWを挿着する際、一対のクランプ板18が駆動装置21によりマンドレル2に対して昇降動する構成となっているため、マンドレル2と一対のクランプ板18との間隔を大きく取ることができ、ワークWをマンドレル2に挿着し易くなる。
【0057】
その後、一対のクランプ板18を予圧位置(ワークWの厚み+αの隙間の位置、即ち、一対のクランプ板18がマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の両端部をバックバー3上へ動ける程度に軽く保持する位置)まで下降させ、この状態でマンドレル2に支持されたワークWの円周方向の一端をセンタープレート12の上端部側面に当接させる(図16(A)参照)。
【0058】
このとき、一対のクランプ板18が予圧位置まで下降しているため、クランプ板18の先端部とマンドレル2のバックバー3との間隔が狭くなり、その結果、マンドレル2に支持されたワークWの円周方向の一端は、クランプ板18の先端部とバックバー3にガイドされながらセンタープレート12の上端部側面に突き当てられることになる。
また、予圧位置まで下降した一対のクランプ板18の間隔が広くなっているので、ワークWの円周方向の一端をセンタープレート12に突き合せる際に目視することができる。
従って、ワークWの円周方向の一端をセンタープレート12に極めて突き当て易くなる。
【0059】
ワークWの円周方向の一端をセンタープレート12の上端部側面に当接させたら、クランプ機構6の一方のクランプ板18(センタープレート12に当接しているワークWの一端部上方に位置するクランプ板18)を駆動装置21により予圧位置から加圧位置まで下降させ、当該クランプ板18によりワークWの円周方向一端部をバックバー3上へ動かないように強固に加圧固定する(図16(b)参照)。
【0060】
尚、一方のクランプ板18が予圧位置から加圧位置へ下降すると、一方のクランプ板18が弾性体19を圧縮しながらヒンジ29を支点にして上方へ揺動すると共に、当該クランプ18の先端部が弾性体19の圧縮分だけセンタープレート12側へ移動し、一対のクランプ18間の間隔が狭くなる。
このとき、一方のクランプ板18の先端部下面とワークWの円周方向一端部上面との間に強い摩擦抵抗が働き、ワークWの円周方向一端部をセンタープレート12側へ移動させる。その結果、ワークWの円周方向一端は、センタープレート12に加圧密着され、理想溶接線(溶接用トーチ45の走行軌跡)に一致することになる。
【0061】
ワークWの円周方向の一端部を一方のクランプ板18によりバックバー3上へ加圧固定したら、センター位置決め機構4の駆動部13に供給されている圧縮空気の供給を停止する。そうすると、復帰用の圧縮スプリング13cの弾性力によりセンタープレート12が下降し、センタープレート12の上端部がバックバー3のスリット状の溝3b内に収納される(図16(C)参照)。
【0062】
センタープレート12が下降したら、ワークWの円周方向他端を目視によって先にバックバー3上に加圧固定されたワークWの円周方向一端に突合せる(図16(C)参照)。
【0063】
このとき、ワークWの円周方向他端部の上方に位置するクランプ板18が予圧位置まで下降しているため、クランプ板18の先端部とマンドレル2のバックバー3との間隔が狭くなり、その結果、ワークWの円周方向の他端は、クランプ板18の先端部とバックバー3にガイドされながらワークWの円周方向一端に重なることなく正確且つ確実に突き当てられることになる。
また、クランプ板18が予圧位置にあるときには、弾性体19の弾性力が働いていない状態にあるので、クランプ板18間の間隔が広くなっており、ワークWの円周方向両端の突き当て状態を見やすく、その結果、ワークWの円周方向の他端を先に加圧固定されているワンプWの円周方向の一端に極めて突き当て易くなる。
【0064】
ワークWの円周方向両端を突合せたら、クランプ機構6の他方のクランプ板18(未だ予圧位置にあるクランプ板18)を駆動装置21により予圧位置から加圧位置まで下降させ、当該クランプ板18によりワークWの円周方向他端部をバックバー3上へ動かないように強固に加圧固定する(図16(D)参照)。
【0065】
尚、他方のクランプ板18が予圧位置から加圧位置へ下降すると、他方のクランプ板18が弾性体19を圧縮しながらヒンジ29を支点にして上方へ揺動すると共に、当該クランプ18の先端部が弾性体19の圧縮分だけ加圧位置にある一方のクランプ板18側へ移動し、一対のクランプ18間の間隔が狭くなる。
このとき、他方のクランプ板18の先端部下面とワークWの円周方向他端部上面との間に強い摩擦抵抗が働き、ワークWの円周方向他端部をバックバー3上へ加圧固定されているワンプWの円周方向一端部側へ移動させる。その結果、ワークWの円周方向両端が加圧密着され、隙間のない突合せ接合面が形成されることになる。
【0066】
そして、ワークWの円周方向の両端がバックバー3のスリット状の溝3b上で突合せ固定されたら、マンドレル2のガス供給口2eからバックバー3のスリット状の溝3b内にアルゴンガス等のシールドガスを供給しつつ、溶接装置7によりワークWの突合せ部を突合せ溶接する。
即ち、溶接用トーチ45が下降してタングステン電極棒45aの先端をワークWの突合せ部の一端部に臨ませてタングステン電極棒45aの先端とワークWとの間にアークを発生させ、このアークが安定した状態になってから走行台43が駆動装置により前進して溶接用トーチ45をワークWの突合せ部に沿って走行させ、ワークWの突合せ部を順次突合せ溶接して行く。
【0067】
このとき、ワークWの円周方向両端がクランプ機構6のクランプ板18及び弾性体19により加圧状態で密着されているため、穴あきやヘコミ等の溶接欠陥のない高品質で美しい溶接を行える。
【0068】
ワークWの突合せ溶接が終了すると、バックバー3へのシールドガスの供給を停止すると共に、溶接装置7の溶接用トーチ45が元の位置に復帰する。また、クランプ機構6によるワークWのクランプ状態が解除されると共に、マンドレル受け11が鉛直位置から水平位置へ回動してマンドレル2の先端を開放する。
これにより、突合せ溶接されたワークW(パイプやドラム)をマンドレル2から引き抜くことができる。
【0069】
このとき、一対のクランプ板18が一対の駆動装置21によりマンドレル2に対して昇降動する構成としているため、マンドレル2と一対のクランプ板18との間隔を大きく取ることができ、溶接済みのワークW(パイプやドラム)をマンドレル2から取り出す際に、ワークWの取り出しを容易に行えると共に、ワークWがマンドレル2の上面やバックバー3、左右のクランプ板18の先端部下面をこすったりするということがなく、マンドレル2、バックバー3及び左右のクランプ板18の消耗やワークWの損傷及び変形を防止することができる。
【0070】
このように、上述した水平型自動溶接装置を用いて円筒状に曲げ加工したワークWを突合せ溶接すると、クランプ幅が狭い薄板のワークWの突合せ溶接を行う場合であっても、ワークWの突合せ部の状態を確認することができてワークWの正確な突合せ作業を行うことができ、また、クランプ機構6によるワークWのクランプ時にワークWの円周方向両端が密着するようにワークWをクランプすることができるので、溶接不良(穴あき、ヘコミ、ずれ、重なり等)のない突合せ溶接を行えて高品質のパイプやドラムを作製することができる。
更に、この水平型手自動溶接装置7は、略左右対称の構造になっていると共に、クランプ機構6を操作する操作スイッチ8がフレーム1の両側面にそれぞれ設けられているため、左右(図2の左右方向)どちらの位置からでも作業を行えるので、能率の良い作業を行える。
【符号の説明】
【0071】
1はフレーム、2はマンドレル、3はバックバー、4はセンター位置決め機構、6はクランプ機構、7は溶接装置、16はクランプベース、17はクランプ可動板、17aは内側クランプ可動板、17bは外側クランプ可動板、18はクランプ板、19は弾性体、21は駆動装置、26は調整ネジ、29はヒンジ、31はボールネジ機構、32はサーボモータ、33は伝動機構、Wはワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(1)に水平姿勢で支持され、円筒状に曲げ加工した金属板製のワーク(W)を支持するマンドレル(2)と、マンドレル(2)の上面に設けたバックバー(3)と、マンドレル(2)に設けられ、ワーク(W)の円周方向の端面の位置決めを行うセンター位置決め機構(4)と、マンドレル(2)の上方位置に配設され、ワーク(W)の円周方向の両端部を突合せた状態でバックバー(3)上へクランプするクランプ機構(6)と、ワーク(W)の突合せ部を突合せ溶接する溶接装置(7)とを具備する水平型自動溶接装置に於いて、前記クランプ機構(6)は、マンドレル(2)の上方位置にマンドレル(2)に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプベース(16)と、各クランプベース(16)にそれぞれ昇降自在に支持され、マンドレル(2)に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプ可動板(17)と、各クランプ可動板(17)の下面にそれぞれマンドレル(2)に沿う姿勢で上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレル(2)に支持されたワーク(W)の円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板(18)と、各クランプ可動板(17)と各クランプ板(18)との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板(18)の対向する先端部を下方へ附勢して一対のクランプ板(18)を傾斜姿勢に保持する弾性体(19)と、各クランプベース(16)と各クランプ可動板(17)との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板(17)及び各クランプ板(18)を昇降動させて各クランプ板(18)の加圧力を調整するモータ駆動型の一対の駆動装置(21)とから成り、前記各クランプ板(18)は、それぞれ駆動装置(21)により下降して各クランプ板(18)の先端部がマンドレル(2)に支持されたワーク(W)の円周方向の両端部上面に当接してワーク(W)の円周方向の両端部を加圧したときに、弾性体(19)の弾性力に抗して上方へ揺動し、両クランプ板(18)の先端部間の間隔が狭まってワーク(W)の厚みに応じた間隔に調整される構成としたことを特徴とする水平型自動溶接装置。
【請求項2】
一対のクランプ可動板(17)は、マンドレル(2)側に位置する内側クランプ可動板(17a)と、内側クランプ可動板(17a)の外側端部にマンドレル(2)側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板(17b)とからそれぞれ成り、外側クランプ可動板(17b)の下面にヒンジ(29)を介してクランプ板(18)を上下方向へ揺動自在に取り付け、また、外側クランプ可動板(17b)に内側クランプ可動板(17a)と外側クランプ可動板(17b)との間隙を調整する調整ネジ(26)を回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着する共に、調整ネジ(26)の先端部に形成したネジ部を内側クランプ可動板(17a)の外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着し、当該調整ネジ(26)を回転操作することによって、対向状に配置した一対のクランプ板(18)の先端部間の間隔を調整できる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の水平型自動溶接装置。
【請求項3】
モータ駆動型の一対の駆動装置(21)は、クランプベース(16)とクランプ可動板(17)との間に設けられ、クランプ可動板(17)をクランプベース(16)に対して昇降動させるボールネジ機構(31)と、クランプベース(16)に配設したサーボモータ(32)と、サーボモータ(32)をサーボ制御するサーボモータ制御部と、サーボモータ(32)の回転運動をボールネジ機構(31)に伝達する伝動機構(33)とからそれぞれ成り、サーボモータ(32)を制御することによって、クランプ板(18)の下降位置をワーク(W)の厚さに応じて自由に設定できると共に、クランプ板(18)の加圧力を自在に調整できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の水平型自動溶接装置。
【請求項1】
フレーム(1)に水平姿勢で支持され、円筒状に曲げ加工した金属板製のワーク(W)を支持するマンドレル(2)と、マンドレル(2)の上面に設けたバックバー(3)と、マンドレル(2)に設けられ、ワーク(W)の円周方向の端面の位置決めを行うセンター位置決め機構(4)と、マンドレル(2)の上方位置に配設され、ワーク(W)の円周方向の両端部を突合せた状態でバックバー(3)上へクランプするクランプ機構(6)と、ワーク(W)の突合せ部を突合せ溶接する溶接装置(7)とを具備する水平型自動溶接装置に於いて、前記クランプ機構(6)は、マンドレル(2)の上方位置にマンドレル(2)に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプベース(16)と、各クランプベース(16)にそれぞれ昇降自在に支持され、マンドレル(2)に沿う姿勢で対向状に配置された一対のクランプ可動板(17)と、各クランプ可動板(17)の下面にそれぞれマンドレル(2)に沿う姿勢で上下方向へ揺動自在に取り付けられ、マンドレル(2)に支持されたワーク(W)の円周方向の両端部上面に当接し得る対向状に配置された一対のクランプ板(18)と、各クランプ可動板(17)と各クランプ板(18)との間にそれぞれ介設され、一対のクランプ板(18)の対向する先端部を下方へ附勢して一対のクランプ板(18)を傾斜姿勢に保持する弾性体(19)と、各クランプベース(16)と各クランプ可動板(17)との間にそれぞれ設けられ、各クランプ可動板(17)及び各クランプ板(18)を昇降動させて各クランプ板(18)の加圧力を調整するモータ駆動型の一対の駆動装置(21)とから成り、前記各クランプ板(18)は、それぞれ駆動装置(21)により下降して各クランプ板(18)の先端部がマンドレル(2)に支持されたワーク(W)の円周方向の両端部上面に当接してワーク(W)の円周方向の両端部を加圧したときに、弾性体(19)の弾性力に抗して上方へ揺動し、両クランプ板(18)の先端部間の間隔が狭まってワーク(W)の厚みに応じた間隔に調整される構成としたことを特徴とする水平型自動溶接装置。
【請求項2】
一対のクランプ可動板(17)は、マンドレル(2)側に位置する内側クランプ可動板(17a)と、内側クランプ可動板(17a)の外側端部にマンドレル(2)側へ水平移動自在に取り付けた外側クランプ可動板(17b)とからそれぞれ成り、外側クランプ可動板(17b)の下面にヒンジ(29)を介してクランプ板(18)を上下方向へ揺動自在に取り付け、また、外側クランプ可動板(17b)に内側クランプ可動板(17a)と外側クランプ可動板(17b)との間隙を調整する調整ネジ(26)を回転自在且つ軸線方向へ移動不納に埋設状態で挿着する共に、調整ネジ(26)の先端部に形成したネジ部を内側クランプ可動板(17a)の外側端部に軸線方向へ移動可能に螺着し、当該調整ネジ(26)を回転操作することによって、対向状に配置した一対のクランプ板(18)の先端部間の間隔を調整できる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の水平型自動溶接装置。
【請求項3】
モータ駆動型の一対の駆動装置(21)は、クランプベース(16)とクランプ可動板(17)との間に設けられ、クランプ可動板(17)をクランプベース(16)に対して昇降動させるボールネジ機構(31)と、クランプベース(16)に配設したサーボモータ(32)と、サーボモータ(32)をサーボ制御するサーボモータ制御部と、サーボモータ(32)の回転運動をボールネジ機構(31)に伝達する伝動機構(33)とからそれぞれ成り、サーボモータ(32)を制御することによって、クランプ板(18)の下降位置をワーク(W)の厚さに応じて自由に設定できると共に、クランプ板(18)の加圧力を自在に調整できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の水平型自動溶接装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
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【図5】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−66294(P2012−66294A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214646(P2010−214646)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(591286823)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(591286823)
【Fターム(参考)】
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