説明

水性塗料及び塗装方法

【課題】水性メタリック塗料における密着性不良や界面剥離の問題を十分に改善する。
【解決手段】合成樹脂エマルション(I)、金属粉顔料(II)、及び改質剤(III)を必須成分とし、前記改質剤(III)を下記(ア)〜(ウ)の条件で混合する。
(ア)前記改質剤(III)は、シランカップリング剤(p)と水への溶解度10g/100g以下の溶剤(q)との混合物である。
(イ)前記改質剤(III)における前記シランカップリング剤(p)と前記溶剤(q)の重量比率は1:99〜95:5である。
(ウ)前記改質剤(III)は、前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し0.1〜30重量部混合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な水性メタリック塗料、及び該水性メタリック塗料を用いた塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にメタリック塗料は、顔料としてアルミニウム粉等の金属粉顔料を含んでおり、この金属粉顔料の作用によって独特の美観性を表出することができ、また熱線反射等の性能を発揮することもできる。
メタリック塗料におけるこのような特徴は、金属粉顔料のリーフィング現象によるところが大きい。リーフィング現象とは、塗膜形成時に生じる表面張力等によって、金属粉顔料が塗膜上層に浮上し、被塗面と平行に配向する現象のことである。
しかし、メタリック塗料を塗装後、クリヤー塗料を塗り重ねた場合には、上述の如き金属粉顔料のリーフィング現象によって、メタリック塗膜とクリヤー塗膜の層間密着性が低下し、界面剥離等の問題が引き起こされるおそれがある。
【0003】
このような問題を改善する手法として、メタリック塗料にシランカップリング剤を配合する処方が提案されている。例えば、特公平6-19080号公報(特許文献1)には、金属粉、樹脂、溶剤ならびに塗料用添加剤からなるメタリック塗料組成物において、シランカップリング剤を全固形分に対し0.1〜5重量%配合せしめることが記載されている。特開2000-178478号公報(特許文献2)には、蒸着金属膜を粉砕して金属片とした光輝性顔料及びリン酸基含有化合物を含有するメタリック塗料に、さらにシランカップリング剤を混合することが記載されている。また、特開2000-186234号公報(特許文献3)には、含フッ素共重合体、シランカップリング剤、及びメタリック顔料を含有してなるメタリック塗料組成物が記載されている。
【0004】
ただし、上記特許文献に記載のメタリック塗料は、いずれもトルエン、キシレン、酢酸ブチル等の強溶剤を媒体とする溶剤系塗料である。環境問題、省資源、労働安全衛生等の見地からすると、このような強溶剤の使用は差し控えたほうが良く、水を媒体とする水性塗料への転換が望まれる。
ところが、水を媒体とするメタリック塗料に、単にシランカップリング剤を配合するだけでは、水とシランカップリング剤との反応性を制御することが困難であるため、密着性等において所望の効果を十分に得ることができない。すなわち、上記特許文献の技術は、いずれも溶剤系塗料のみを対象とするものであり、水性塗料にそのまま適用できるものではない。
【0005】
【特許文献1】特公平6-19080号公報
【特許文献2】特開2000-178478号公報
【特許文献3】特開2000-186234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みなされたものであり、水性メタリック塗料における密着性不良や界面剥離の問題を十分に改善すること目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、シランカップリング剤を特定の処方で混合してなる水性メタリック塗料に想到し、本発明を完成させるに到った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.合成樹脂エマルション(I)、金属粉顔料(II)、及び改質剤(III)を必須成分とし、前記金属粉顔料(II)が前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し1〜100重量部混合され、前記改質剤(III)が下記(ア)〜(ウ)の条件を満たして混合されていることを特徴とする水性塗料。
(ア)前記改質剤(III)は、シランカップリング剤(p)と水への溶解度10g/100g以下の溶剤(q)との混合物である。
(イ)前記改質剤(III)における前記シランカップリング剤(p)と前記溶剤(q)の重量比率は1:99〜95:5である。
(ウ)前記改質剤(III)は、前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し0.1〜30重量部混合されている。
2.さらに、着色顔料(IV)を必須成分とし、前記着色顔料(IV)が前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し0.1〜200重量部混合されていることを特徴とする項1.記載の水性塗料。
3.項1.または項2.記載の水性塗料を塗装した後、水性クリヤー塗料を塗装することを特徴とする塗装方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塗料は、水を媒体とする水性塗料であり、環境問題、省資源、労働安全衛生等の点において好ましいものである。
本発明の塗料を使用すれば、メタリック塗膜とその上のクリヤー塗膜との層間密着性が改善され、界面剥離等の塗膜異常の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
本発明の水性メタリック塗料では、バインダーとして合成樹脂エマルション(I)を使用する。
具体的に合成樹脂エマルション(I)としては、例えば、酢酸ビニル樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
【0012】
また、合成樹脂エマルション(I)は架橋反応性を有するものであってもよい。合成樹脂エマルション(I)が架橋反応型合成樹脂エマルションである場合は、塗膜の耐水性、耐候性、密着性等を高めることができる。架橋反応型合成樹脂エマルションは、それ自体で架橋反応を生じるもの、あるいは別途混合する架橋剤によって架橋反応を生じるもののいずれであってもよい。このような架橋反応性は、例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、アルド基とセミカルバジド基、ケト基とセミカルバジド基、アルコキシル基どうし等の反応性官能基を組み合わせることによって付与することができる。
【0013】
合成樹脂エマルション(I)の製造方法は特に限定されず、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重合、フィード乳化重合、フィード分散重合、シード乳化重合、シード分散重合等を採用することができる。
合成樹脂エマルション(I)のガラス転移温度は通常−60〜80℃(好ましくは−40〜60℃)程度である。また、合成樹脂エマルション(I)の平均粒子径は、通常0.05〜0.4μm程度である。
【0014】
本発明における金属粉顔料(II)は、本発明塗料の形成塗膜にメタリック感を付与する成分である。金属粉顔料(II)としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、真鍮等、及びそれらの合金等が使用できる。この中でも、本発明ではアルミニウム顔料が好適である。アルミニウム顔料としては、種々の表面処理を施したものも使用できる。例えば、アトマイズドアルミニウム粉及び/またはアルミニウム箔を、脂肪酸、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール等の粉砕助剤を用いて粉砕した後、さらにクロム酸、リン酸、リン酸塩、リン酸エステル、バナジン酸塩、酸化バナジウム、モリブデン酸塩、シリカ等によって処理を施したもの等が使用できる。このような処理を施したアルミニウム顔料を使用すれば、水との接触による水素ガスの発生を抑制することができる。
【0015】
金属粉顔料(II)の形状は、通常リン片状であり、その平均粒径は通常1〜50μm(好ましくは5〜30μm)程度である。
【0016】
金属粉顔料(II)の混合比率は、前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し、通常1〜100重量部、好ましくは2〜80重量部である。金属粉顔料(II)が1重量部より少ない場合は、形成塗膜において十分なメタリック感を得ることができず、100重量部より多い場合は、塗料の流動性が低下し、塗装作業に支障をきたすおそれがある。
【0017】
本発明の水性メタリック塗料は、上述の成分に加え改質剤(III)を必須成分とするものである。本発明において、この改質剤(III)は下記(ア)〜(ウ)の条件を満たして混合されている。
(ア)改質剤(III)は、シランカップリング剤(p)と水への溶解度10g/100g以下の溶剤(q)との混合物である。
(イ)改質剤(III)におけるシランカップリング剤(p)と溶剤(q)の重量比率は1:99〜95:5である。
(ウ)改質剤(III)は、合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し0.1〜30重量部混合されている。
【0018】
本発明では、改質剤(III)を上記条件で混合することにより、水性メタリック塗料における密着性不良や界面剥離の問題を十分に改善することができる。具体的には、本発明の水性メタリック塗料によって形成されたメタリック塗膜と、その上に形成されたクリヤー塗膜との密着性や界面剥離を防止することができる。その作用機構は明らかではないが、概ね以下の点によるものと推測される。
第1に、シランカップリング剤(p)は、溶剤(q)に溶解した状態で合成樹脂エマルション(I)の粒子中に分配される。すなわち、本発明では、シランカップリング剤(p)が水との接触によって失活するのを抑制することができる。
第2に、シランカップリング剤(p)は、塗膜形成時に、金属粉顔料(II)表面の官能基(水酸基等)と反応する。この際、溶剤(q)は、金属粉顔料(II)の表面に残存した粉砕助剤(脂肪酸等)を溶出させ、シランカップリング剤(p)の反応を補助する。
以上の作用により、本発明の水性メタリック塗料では、シランカップリング剤(p)による密着性改善効果が最大限に発揮されるものと考えられる。
【0019】
シランカップリング剤(q)としては、例えば、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、イソシアネート官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロオピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
水への溶解度10g/100g以下の溶剤(q)としては、例えば、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、オクチレングリコール、2−エチルヘキシレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ベンジルアルコール等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
溶剤(q)の水への溶解度は10g/100g未満であるが、好ましくは5g/100g未満である。
【0021】
シランカップリング剤(p)と溶剤(q)との重量比率は、通常1:99〜95:5であり、好ましくは5:95〜80:20である。本発明では、かかる比率で両成分を併用することによって、形成塗膜の密着性を十分に改善することができる。
【0022】
水性メタリック塗料中における改質剤(III)の混合比率は、合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し、通常0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜20重量部である。改質剤(III)の混合比率がかかる範囲内であれば、形成塗膜の密着性を十分に改善することができる。改質剤(III)の混合比率が小さすぎる場合は、密着性改善効果を得ることが困難となる。混合比率が大きすぎる場合は、塗膜の乾燥に必要以上に時間を要したり、塗膜表面に粘着性が出てくる等の不具合が生じるおそれがある。
【0023】
本発明では、上記金属粉顔料以外の着色顔料(IV)を使用することもできる。かかる着色顔料(IV)を水性メタリック塗料に混合することで、塗料の色相を調整することができ、様々な色彩を有するメタリック塗膜が得られる。
着色顔料(IV)としては、通常塗料に使用可能なものであれば特に制限されず、例えば酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料等が使用できる。これら着色顔料(IV)は、所望の色彩に応じて1種または2種以上を適宜使用することができる。
【0024】
本発明の水性メタリック塗料には、上述の成分の他に通常塗料に使用可能な成分を混合することもできる。かかる成分としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、体質顔料、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
【0025】
本発明の水性メタリック塗料は、上述の各成分を常法により混合・攪拌することで製造することができる。この際、改質剤(III)は、少なくとも合成樹脂エマルション(I)の存在下に混合することが望ましい。かかる方法によれば、本発明の効果が十分に発揮される。金属粉顔料(II)、着色顔料(IV)等の混合順序は特に制限されない。
【0026】
本発明の水性メタリック塗料は、金属、コンクリート、プラスチック等の各種素材に直接塗装することもできるし、何らかの表面処理(シーラー、フィラー、サーフェーサ、パテ等による下地処理等)を施した上に塗装することも可能である。塗装方法としては、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等の種々の方法を採用することができる。塗装を行う際の塗付量は、通常0.1〜0.5kg/m程度である。塗付時には水等で希釈することによって、塗料の粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。塗装後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、必要に応じ加熱することもできる。
【0027】
水性メタリック塗料を塗装した後には、通常、水性クリヤー塗料を塗装する。かかる水性クリヤー塗料の塗装により、耐久性、耐汚染性、美観性(光沢感)等を高めることができる。さらに、本発明では、メタリック塗膜とクリヤー塗膜との層間密着性が十分に確保されるため、界面剥離等の塗膜異常の発生を抑制することもできる。
【0028】
水性クリヤー塗料の組成は特に限定されず、例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、フッ素樹脂系等の塗料が使用できる。また、下層のメタリック塗膜の美観性が著しく損なわれない範囲内であれば、着色タイプのものも使用できる。
水性クリヤー塗料の塗装方法は、公知の方法に従えばよく、ハケ塗り、スプレー塗装、ローラー塗装等の種々の方法を採用することができる。塗装を行う際の塗付量は、通常0.1〜0.5kg/m程度である。塗付時には水等で希釈することによって、塗料の粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、通常0〜20重量%程度である。水性クリヤー塗料を塗装した後の乾燥は通常、常温で行えばよいが、必要に応じ加熱することもできる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0030】
(改質剤A)
γ−アミノプロピルトリエトキシシランとジエチレングリコールジブチルエーテル(水への溶解度0.3g/100g)を重量比率20:80で混合して、改質剤Aを得た。
【0031】
(改質剤B)
γ−アミノプロピルトリエトキシシランと2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(水への溶解度0.9g/100g)を重量比率20:80で混合して、改質剤Bを得た。
【0032】
(改質剤C)
γ−アミノプロピルトリエトキシシランとプロピレングリコールモノプロピルエーテル(水への溶解度∞)を重量比率20:80で混合して、改質剤Cを得た。
【0033】
(実施例1)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、金属粉顔料18重量部、改質剤A20重量部、増粘剤2重量部、消泡剤1重量部を常法にて順次混合・攪拌することによって水性塗料Aを製造した。なお、改質剤以外の原料としては下記のものを使用した。
・合成樹脂エマルション:アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート−スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート−アクリル酸共重合体、固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)
・金属粉顔料:アルミニウム顔料(平均粒子径15μm)
・増粘剤:ウレタン系会合性増粘剤
・消泡剤:鉱物油系消泡剤
【0034】
予めシーラー塗装が施されたスレート板に対し、上記方法で得られた水性塗料Aを塗付量300g/m2でスプレー塗装し、標準状態(温度23℃・相対湿度50%)にて24時間乾燥後、アクリルシリコン樹脂系水性クリヤー塗料を塗付量150g/m2でスプレー塗装して標準状態にて14日間養生した。以上の方法により、メタリックシルバー色の外観を有する試験板を得た。
この試験板について、水浸漬(23℃)18時間→−20℃3時間→50℃3時間を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計10サイクル行った後、標準状態にて24時間放置後、JIS K 5600−5−6に準じた碁盤目テープ法にて、密着性を評価した。その結果、密着性は「○」となった。なお、密着性の評価基準は、剥れた面積が5%未満のものを「○」、剥れた面積が5%以上15%未満のものを「△」、剥れた欠損部の面積が15%以上のものを「×」とした。
【0035】
(実施例2)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、金属粉顔料18重量部、改質剤A20重量部、着色顔料(フタロシアニンブルー顔料)1重量部、増粘剤2重量部、消泡剤1重量部を常法にて順次混合・攪拌することによって水性塗料Bを製造した。
水性塗料Aに替えて水性塗料Bを使用した以外は、実施例1と同様の方法で試験板を作製したところ、ライトブルーメタリック色の外観を有する試験板が得られた。この試験板の密着性試験結果は「○」となった。
【0036】
(実施例3)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、金属粉顔料18重量部、改質剤B20重量部、着色顔料(フタロシアニンブルー顔料)1重量部、増粘剤2重量部、消泡剤1重量部を常法にて順次混合・攪拌することによって水性塗料Cを製造した。
水性塗料Aに替えて水性塗料Cを使用した以外は、実施例1と同様の方法で試験板を作製したところ、ライトブルーメタリック色の外観を有する試験板が得られた。この試験板の密着性試験結果は「○」となった。
【0037】
(比較例1)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、金属粉顔料18重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン4重量部、増粘剤2重量部、消泡剤1重量部を常法にて順次混合・攪拌することによって水性塗料Dを製造した。
水性塗料Aに替えて水性塗料Dを使用した以外は、実施例1と同様の方法で密着性試験を行ったところ、その結果は「×」となった。
【0038】
(比較例2)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、金属粉顔料18重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン4重量部、ジエチレングリコールジブチルエーテル16重量部、増粘剤2重量部、消泡剤1重量部を常法にて順次混合・攪拌することによって水性塗料Eを製造した。
水性塗料Aに替えて水性塗料Eを使用した以外は、実施例1と同様の方法で密着性試験を行ったところ、その結果は「×」となった。
【0039】
(比較例3)
合成樹脂エマルション200重量部に対し、金属粉顔料18重量部、改質剤C20重量部、増粘剤2重量部、消泡剤1重量部を常法にて順次混合・攪拌することによって水性塗料Fを製造した。
水性塗料Aに替えて水性塗料Fを使用した以外は、実施例1と同様の方法で密着性試験を行ったところ、その結果は「×」となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂エマルション(I)、金属粉顔料(II)、及び改質剤(III)を必須成分とし、前記金属粉顔料(II)が前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し1〜100重量部混合され、前記改質剤(III)が下記(ア)〜(ウ)の条件を満たして混合されていることを特徴とする水性塗料。
(ア)前記改質剤(III)は、シランカップリング剤(p)と水への溶解度10g/100g以下の溶剤(q)との混合物である。
(イ)前記改質剤(III)における前記シランカップリング剤(p)と前記溶剤(q)の重量比率は1:99〜95:5である。
(ウ)前記改質剤(III)は、前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し0.1〜30重量部混合されている。
【請求項2】
さらに、着色顔料(IV)を必須成分とし、前記着色顔料(IV)が前記合成樹脂エマルション(I)の固形分100重量部に対し0.1〜200重量部混合されていることを特徴とする請求項1記載の水性塗料。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の水性塗料を塗装した後、水性クリヤー塗料を塗装することを特徴とする塗装方法。

【公開番号】特開2006−36871(P2006−36871A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216855(P2004−216855)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】