説明

水性液体皮膚洗浄剤

【課題】余分な角質層を除去する作用に優れた水性液体皮膚洗浄剤を提供する。
【解決手段】下記の成分(A)及び(B)を含有し、(A)成分の含有量が0.1〜50質量%であって、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が10/1〜10/5であり、イオン交換水で20倍に希釈したときのpHが6.5〜10である水性液体皮膚洗浄剤。
(A)式(1)で表されるリン酸モノエステル又はその塩


[式中、Rは平均炭素数10〜14のアルキル基を示し、X及びXはそれぞれ水素原子又はアルカリ金属を示し、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数で、0〜2の数を示す。]
(B)2−エチルヘキシルグリセリルエーテル

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、余分な角質層を除去する作用に優れた水性液体皮膚洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料に顆粒状物質(スクラブ剤)を配合して、洗浄やマッサージ効果を増強させることが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、スクラブ剤の種類によっては角質層を損傷することがあり、また誤って眼に入ることもある。
【0003】
一方、アニオン界面活性剤及び特定のグリセリルエーテルを配合した皮膚洗浄剤は、肌に対して低刺激で泡立ちも良好であることが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭58−192814号公報
【特許文献2】特開2001−107079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、角質層を損傷することなく、余分な角質層を除去する作用に優れた水性液体皮膚洗浄剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)リン酸モノエステル又はその塩及び(B)2−エチルヘキシルグリセリルエーテルを含有し、(A)成分の含有量が0.1〜50質量%であって、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が10/1〜10/5でり、イオン交換水で20倍に希釈したときのpHが6.5〜10である水性液体皮膚洗浄剤を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水性液体皮膚洗浄剤は、余分な角質層を除去する作用に優れ、皮膚を損傷するおそれがなく、さらに肌を美しくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明で使用される成分(A)リン酸モノエステル又はその塩とは、式(1)で表されるものである。
【0010】
【化3】

【0011】
[式中、Rは平均炭素数10〜14のアルキル基を示し、X及びXはそれぞれ水素原子又はアルカリ金属を示し、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数で、0〜2の数を示す。]
式(1)中、Rで示されるアルキル基としては、平均炭素数10〜14であれば、やしアルコール等、天然アルコール由来のアルキル基、オキソコール等、合成アルコール由来のアルキル基のいずれも用いることができる。ここでアルキル基は直鎖が好ましいが、メチル分岐等、一部分岐アルキル基を含んでも構わない。また、X及びXで示されるもののうち、アルカリ金属としてはリチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられるが、カリウム及びナトリウムが好ましい。
【0012】
(A)リン酸モノエステル又はその塩の含有量は、本発明の水性液体皮膚洗浄剤中、0.1〜50質量%である。使用時に水で希釈して用いる水性液体皮膚洗浄剤における含有量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜25質量%である。一方、希釈しないで、肌にそのまま用いる水性液体皮膚洗浄剤における含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜2質量%である。
【0013】
(A)リン酸モノエステル又はその塩は、式(3)で表される(C)リン酸ジエステル又はその塩との混合物として用いることもできる。
【0014】
【化4】

【0015】
[式中、R及びRはそれぞれ平均炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Xは水素原子又はアルカリ金属を示し、k及びmはそれぞれエチレンオキサイドの平均付加モル数で、0〜2の数を示す。]
この場合、質量比(A)/[(A)+(C)]の値は、好ましくは0.7〜1より好ましくは0.8〜1である。
【0016】
本発明で使用される成分(B)2−エチルヘキシルグリセリルエーテルは、エチルヘキシルグリセリンとも呼ばれ、式(2)で表されるものである。市販品として、例えばセンシバSC50(成和化成)がある。
【0017】
【化5】

【0018】
本発明において、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、10/1〜10/5であって、10/1〜10/4が好ましい。
【0019】
また、本発明の水性液体皮膚洗浄剤は、イオン交換水で20倍に希釈したときのpHが25℃で6.5〜10であり、洗浄性の観点から6.5〜8が好ましい。
【0020】
本発明の水性液体皮膚洗浄剤は、水を媒体とする水性液体である。更に通常の水性液体皮膚洗浄剤に用いられる成分、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;カチオン性ポリマー、シリコーン化合物及びその誘導体等のコンディショニング成分;エチレングリコールジステアリン酸エステル等のパール化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコシド等の非イオン性界面活性剤;アミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤;成分(A)以外のアニオン界面活性剤;セチルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;崩壊性顆粒等のスクラブ剤;結晶性セルロース等の洗浄力向上剤;染料、顔料等の着色剤;メチルセルロース、ポリエチレングリコール、粘土鉱物、エタノール等の粘度調整剤;クエン酸、水酸化カリウム等のpH調整剤;塩化ナトリウム等の塩類、植物エキス類、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、ビタミン剤、抗炎症剤、抗フケ剤、香料、色素、紫外線吸収剤、美白剤、酸化防止剤、冷感剤などを、適宜配合できる。
【0021】
本発明の水性液体皮膚洗浄剤は、例えば全身洗浄料、洗顔料、メイク落とし、手洗い剤等とすることができる。さらに、不織布等のシートに含浸させる等によって、物理的な角質層除去効果をさらに付与した形態にすることができる。
【0022】
以下、本発明について、具体的に説明するために、実施例を挙げる。
【実施例】
【0023】
実施例1〜6、比較例1〜8
表1に示す水性液体皮膚洗浄剤を調製し、その角質層除去能を評価した。この結果を表1に示した。
【0024】
【表1】

【0025】
(角質層除去能の測定)
水性液体皮膚洗浄剤をイオン交換水で20倍に希釈した液をカップに入れ、このカップを各パネラー4〜8名の左右前腕内側部に漏れないように取り付けた後、振動機で振動させた。カップ内の溶液を全て回収し、遊離細胞を血球計算盤でカウントし、単位当たりの角質層除去量を算出した。尚、基準溶液として実施例1の水性液体皮膚洗浄剤液を用い、各測定において、実施例1の角質層除去量を1とした場合の相対値を各洗浄剤の角質層除去能とした。
【0026】
(評価基準)
A;1以上
B;0.8以上1未満
C;0.5以上0.8未満
D;0.5未満

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)及び(B)を含有し、(A)成分の含有量が0.1〜50質量%であって、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が10/1〜10/5であり、イオン交換水で20倍に希釈したときのpHが6.5〜10である水性液体皮膚洗浄剤。
(A)式(1)で表されるリン酸モノエステル又はその塩
【化1】


[式中、Rは平均炭素数10〜14のアルキル基を示し、X及びXはそれぞれ水素原子又はアルカリ金属を示し、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数で、0〜2の数を示す。]
(B)式(2)で表される2−エチルヘキシルグリセリルエーテル
【化2】


【公開番号】特開2007−176864(P2007−176864A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378067(P2005−378067)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】