説明

水性研磨パッド及びその製造方法

【課題】密度および気孔の均一性に優れ、それによって研磨の欠陥率を減らし、研磨性能が改善できる水性研磨パッドを提供する。
【解決手段】 ケミカルメカニカル研磨パッド300は、裏地層302と、微小球の砥粒または粒状物306を中に分散させ、水性ポリマーまたはそのブレンドで形成されているポリマーマトリックスからなる研磨層304と、で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルプラナリゼーション(CMP)のための研磨パッドに関し、特に、水性研磨パッド及び水性研磨パッドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路及び他の電子デバイスの製造においては、導体、半導体及び絶縁材料の多数の層を半導体ウェーハの表面に付着させたり同表面から除去したりする。導体、半導体及び絶縁材料の薄い層は、多数の付着技術によって付着させることができる。最新の加工で一般的な付着技術としては、スパッタリングとも知られる物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ化学蒸着法(PECVD)及び電気化学的めっき法(ECP)がある。
【0003】
材料層が順次付着され、除去されるにつれ、ウェーハの一番上の表面が非平坦になる。後続の半導体加工(たとえばメタライゼーション)はウェーハが平坦面を有することを要するため、ウェーハは平坦化されなければならない。望ましくない表面トポグラフィーならびに表面欠陥、たとえば粗面、凝集した材料、結晶格子の損傷、スクラッチ及び汚染された層又は材料を除去する際にはプラナリゼーションが有用である。
【0004】
ケミカルメカニカルプラナリゼーション又はケミカルメカニカルポリッシング(CMP)は、半導体ウェーハのような基材を平坦化するために使用される一般的な技術である。従来のCMPでは、ウェーハがキャリヤアセンブリに取り付けられ、CMP装置中で研磨パッドと接する状態に配置される。キャリヤアセンブリが制御可能な圧力をウェーハに供給して、ウェーハを研磨パッドに押し当てる。パッドは外部駆動力によってウェーハに対して動かされる(たとえば回転させられる)。それと同時に、化学組成物(「スラリー」)又は他の流動媒体が研磨パッド上及びウェーハと研磨パッドとの間の隙間に供給される。このようにして、ウェーハ表面は、スラリー及びパッド表面の化学的かつ機械的作用によって研磨され、平坦化される。
【0005】
ポリマー(たとえばポリウレタン)を流し込み成形してケークにし、そのケークをカット(「削り出し」)していくつかの薄い研磨パッドにすることが、一貫した再現可能な研磨特性を有する「硬い」研磨パッドを製造するのに効果的な方法であることがわかった(たとえば、Reinhardtらの米国特許第5,578,362号)。残念ながら、流し込み成形・削り出し法から製造されたポリウレタンパッドは、研磨パッドの流し込み位置から生じる研磨のばらつきを有することがある。たとえば、一番下の流し込み位置から切り出されたパッドと、一番上の流し込み位置からのパッドとは、密度及び気孔率が異なることがある。さらには、過大なサイズの成形物から切り出された研磨パッドは、一つのパッド内でも密度及び気孔率において中心−エッジ間のばらつきを有することもある。これらのばらつきは、もっとも要求の厳しい用途、たとえばlow−kパターン付きウェーハの研磨に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
また、溶媒/非溶媒法を使用してポリマーを凝固させて研磨パッドをウェブフォーマットで形成することが「軟らかい」研磨パッドを製造するのに効果的な方法であることがわかった(たとえば、Urbanavageら、米国特許第6,099,954号)。この方法(すなわちウェブフォーマット)は、流し込み成形・削り出し法で見られる上述の欠点のいくつかを回避させる。残念ながら、一般に使用される(有機)溶媒(たとえばN,N−ジメチルホルムアミド)は、取り扱いがやっかいであり、費用的に許されないかもしれない。加えて、これらの軟らかいパッドは、凝固過程で形成する気孔のランダムな配置及び構造のせいでパッド間のばらつきをこうむるおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改善された密度及び気孔均一性を有する研磨パッドが要望されている。特に、求められているものは、一貫した研磨性能、より低い欠陥率を提供し、費用効果的に製造することができる研磨パッドである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様で、微小球を中に分散させたポリマーマトリックスを含み、ポリマーマトリックスが水性ポリマー又はそのブレンドで形成されているケミカルメカニカル研磨パッドが提供される。
【0009】
本発明の第二の態様で、気孔又は充填材を中に分散させたポリマーマトリックスを含み、ポリマーマトリックスが、ウレタン分散系とアクリル分散系との重量%比100:1〜1:100のブレンドで形成されているケミカルメカニカル研磨パッドが提供される。
【0010】
本発明の第三の態様で、ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法であって、微小球を含有する水性流体相ポリマー組成物を連続的な輸送される裏地層の上に供給する工程、輸送される裏地層の上のポリマー組成物を所定の厚さを有する流体相研磨層に成形する工程、及び輸送される裏地層の上のポリマー組成物を硬化オーブン中で硬化させてポリマー組成物を研磨パッドの固相研磨層に転換する工程を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、欠陥率を減らし、研磨性能を改善した水性研磨パッドを提供する。好ましくは、研磨パッドは、ウェブフォーマットで製造され、流し込み成形され、削り出された「硬い」研磨パッッドにしばしば伴うパッド間のばらつきを減らす。加えて、研磨パッドは、好ましくは、有機溶媒性ではなく水性であり、凝固法によって形成される従来技術の「軟らかい」パッドよりも製造しやすい。本発明の研磨パッドは、半導体基材、剛性メモリディスク、光学製品を研磨するのに有用であり、半導体加工の様々な側面、たとえばILD、STI、タングステン、銅及びLow−k絶縁材の研磨における使用に有用である。
【0012】
図面を参照すると、まず図1は、本発明の水性研磨パッド300を製造するための装置100を示す。好ましくは、水性研磨パッド300は、「連続製造」を可能にするウェブフォーマットで形成されて、バッチ法によって生じるおそれのある異なるパッド300間のばらつきを減らす。装置100は、らせんに巻かれた裏地層302を長手方向に連続した形態で貯蔵するフィードリール又は巻き出しステーション102を含む。裏地層302は、製品の一体部分になる不透過性膜、たとえばポリエステルフィルム(たとえば、米バージニア州HopewellのDupont Teijinの453PET)で形成されているか、支持材をもたない又は自立型の研磨パッド300を提供するために剥ぎ取ることができる剥離被覆紙(たとえば、Sappi/Warren Paper社のVEZスーパーマット紙)で形成されている。ポリエステルフィルムは、場合によっては、接着促進剤を含有してもよい(たとえばCP FilmsのCP2剥離コートPETフィルム)。
【0013】
好ましくは、裏地層302は、厚さが2ミル〜15ミル(0.05mm〜0.38mm)である。より好ましくは、裏地層302は、厚さが5ミル〜12ミル(0.13mm〜0.30mm)である。もっとも好ましくは、裏地層302は、厚さが7ミル〜10ミル(0.18mm〜0.25mm)である。
【0014】
フィードローラ102は、駆動機構104によって機械的に駆動されて制御された速度で回転する。駆動機構104は、たとえば、ベルト106及びモータ駆動プーリ108を含む。場合によっては、駆動機構104は、モータ駆動フレキシブルシャフト又はモータ駆動ギヤ系(図示せず)を含む。
【0015】
さらに図1を参照すると、連続裏地層302は、フィードリール102により、離間した駆動ローラ112の間に掛け渡された連続コンベヤ110、たとえばステンレス鋼ベルトの上に供給される。駆動ローラ112は、コンベヤ110の線移動を連続裏地層302の線移動と同期化する速度でモータ駆動することができる。裏地層302は、コンベヤ110により、各駆動ローラ112と対応するアイドラローラ112aとの間に空間に沿って輸送される。アイドラローラ112aは、裏地層302の積極的なトラッキング制御のためにコンベヤ110と連動する。コンベヤ110は、テーブル支持体110bの平坦で水平な面に支持された平坦区分110aを有し、この平坦区分が、裏地層302を支持し、輸送して、連続する製造ステーション114、122及び126を通過させる。ローラの形態にある支持部材110cが、コンベヤ110及び裏地層302の積極的なトラッキング制御のために、コンベヤ110及び裏地層302の側縁に沿って分布している。
【0016】
第一の製造ステーション114は、貯蔵タンク116及びそのタンク116の出口のノズル118を含む。粘稠な流体状ポリマー組成物がタンク116に供給され、ノズル118によって連続裏地層302の上に小出しされる。ノズル118の流量は、タンク116の出口のポンプ120によって制御される。ノズル118は、裏地層302の全幅に及ぶように連続裏地層302の幅と同じ幅であってもよい。コンベヤ110が連続裏地層302を輸送して製造ステーション114を通過させるとき、連続流体相研磨層304が裏地層302の上に供給される。
【0017】
原料は、タンク116を繰り返して満たす大きな均質供給分に混合することができるため、完成品の組成及び性質におけるばらつきが減る。換言するならば、本発明は、従来技術の流し込み成形・削り出し技術に伴う問題を解決するための水性研磨パッドを製造するウェブフォーマット法を提供する。この方法の連続性は、水性研磨パッド300を製造するための、多数の個々の研磨パッド300が所望の区域パターン及びサイズに切り出される正確な制御を可能にする。多数の個々の研磨パッド300は、組成及び性質のばらつきが減少する。
【0018】
好ましくは、流体状ポリマー組成物は水性である。たとえば、組成物は、水性ウレタン分散系(たとえば、米コネチカット州MiddleburyのCrompton社のW-290H、W-293、W-320、W-612及びA-100ならびに米ニュージャージー州West PatersonのCytec Industries社のHP-1035及びHP-5035)及びアクリル分散系(たとえば、米ペンシルバニア州PhiladelphiaのRohm and Haas社のRhoplex(登録商標)E-358)を含むことができる。加えて、ブレンド、たとえばアクリル/スチレン分散系(たとえば、米ペンシルバニア州PhiladelphiaのRohm and Haas社のRhoplex(登録商標)B-959及びE-693)を使用してもよい。加えて、水性ウレタン分散系とアクリル分散系とのブレンドを使用してもよい。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、水性ウレタン分散系とアクリル分散系とのブレンドは、100:1〜1:100の重量%比で提供される。より好ましくは、水性ウレタン分散系とアクリル分散系とのブレンドは、10:1〜1:10の重量%比で提供される。もっとも好ましくは、水性ウレタン分散系とアクリル分散系とのブレンドは、3:1〜1:3の重量%比で提供される。
【0020】
水性ポリマーは、多孔性及び充填材入り研磨パッドを形成するのに有効である。本明細書に関して、研磨パッドの充填材としては、研磨中に遊離又は溶解する固形粒子及び液体充填粒子又は球体がある。本明細書に関して、気孔としては、ガス充填粒子、ガス充填球体及び他の手段、たとえばガスで粘稠系を機械的に泡立てる、ガスをポリウレタン溶融体に注入する、ガス状生成物との化学反応を使用してガスをその場で導入する、又は圧力を下げて溶解ガスによって気泡を形成させることによって形成される空隙がある。
【0021】
場合によっては、流体状ポリマー組成物は、消泡剤(CognisのFoamaster(登録商標)111)及びレオロジー変性剤(たとえば、Rohm and Haas社のAcrysol(登録商標)ASE-60、Acrysol I-62、Acrysol RM-12W、Acrysol RM-825及びAcrysol RM-8W)をはじめとする他の添加物を含有することもできる。他の添加物、たとえば皮張り防止剤(たとえば、Lanxess社のBorchi-Nox(登録商標)C3及びBorchi-Nox M2)及び融合助剤(Eastman ChemicalsのTexanol(登録商標)Esterアルコール)を使用してもよい。
【0022】
第二の製造ステーション122は、たとえば、連続裏地層302から所定の距離に位置し、連続裏地層との間にクリアランス空間を画定するドクターブレード124を含む。コンベヤ110が連続裏地層302及び流体相研磨層304を輸送して製造ステーション122のドクターブレード124を通過させるとき、ドクターブレード124は、流体相研磨層304を所定の厚さに連続的に成形する。
【0023】
第三の製造ステーション126は、硬化オーブン128、たとえば、連続裏地層302及び研磨層304を輸送する加熱されたトンネル状部を含む。オーブン128は、流体相研磨層304を、連続裏地層302に接着する連続固相研磨層304へと硬化させる。水分は、たとえば表面のブリスタを避けるため、ゆっくりと除去するべきである。硬化時間は、オーブン128を通過するときの温度及び輸送速度によって制御される。オーブン128は、輻射加熱又は強制対流加熱又は両方を使用する、燃料燃焼式でもよいし、電気燃焼式でもよい。
【0024】
好ましくは、オーブン128の温度は50℃〜150℃であることができる。より好ましくは、オーブン128の温度は55℃〜130℃であることができる。もっとも好ましくは、オーブン128の温度は60℃〜120℃であることができる。加えて、研磨層304は、5f/m〜20f/m(1.52m/s〜6.10m/s)の速度でオーブン128中を通過させることができる。好ましくは、研磨層304は、5.5f/m〜15f/m(1.68m/s〜4.57m/s)の速度でオーブン128中を通過させることができる。もっとも好ましくは、研磨層304は、6f/m〜12f/m(1.83m/s〜3.66m/s)の速度でオーブン128中を通過させることができる。
【0025】
次に図1Aを参照すると、連続裏地層302は、オーブン128を出ると、連続固相研磨層304に接着して、連続水性研磨パッド300を構成する。水性研磨パッド300は巻き取りリール130にらせんに巻き取られ、これは、製造ステーション126に続いて起こる。巻き取りリール130は第二の駆動機構104によって駆動される。巻き取りリール130及び第二の駆動機構104が、製造装置100の中で選択的に配置される別個の製造ステーションを構成する。
【0026】
次に図2を参照すると、場合によって、連続水性研磨パッド300の表面コンディショニング又は表面仕上げのための装置200が提示されている。装置200は、図1に示すものに類似したコンベヤ110又は同じコンベヤ110の延長区分を含む。装置200のコンベヤ110は、駆動ローラ112及びオーブン126を出た水性研磨パッド300を支持する平坦区分110aを有する。装置200のコンベヤ110は、連続研磨パッド300を輸送して一つ以上の製造ステーション201、208及び212を通過させ、そこで水性研磨パッド300は、オーブン126中での硬化に続いてさらに処理される。装置200は、図1を参照して示したように作動するさらなる平坦なテーブル支持体110b及びさらなる支持部材110cを有する状態で示されている。
【0027】
固化した研磨層304をバフィングして、研磨層304の所望の表面仕上げ及び平坦な表面レベルを露出させることができる。所望により、溝又は他の凹みの形態の粗さを研磨層304の表面に加工する。たとえば、作業ステーション201は、型押作業中に互いに近づく往復運動型押ダイ202及び固定ダイ204を有する1対の圧縮成形型押ダイを含む。往復運動ダイ202は連続研磨層304の表面に面する。ダイ202上の多数の歯205が連続研磨層304の表面に貫入する。型押作業は表面仕上げ作業を提供する。たとえば、歯205は、研磨層304の表面に溝のパターンを押し込む。コンベヤ110は、断続的に停止させてもよく、ダイ202及び204が互いに近づくとき静止状態になる。あるいはまた、ダイ202及び204は、コンベヤ110と同期的に、ダイ202及び204が互いに近づく時間、輸送方向に動く。
【0028】
製造ステーション208は、たとえば、連続研磨層304の表面に溝を切るための回転ソー210を含む。ソー210は、たとえば、直交運動プロッタにより、所定の経路に沿って動かされて所望のパターンの溝を切る。もう一つの製造ステーション212が、連続研磨層304の表面を、選択的に粗化又は平滑化される所望の表面仕上げの平坦面までバフィング又は研磨するための回転研磨ヘッド214を含む。
【0029】
製造ステーション202、210及び212の順序は、図2に示す順序と異なることができる。所望により、一つ以上の製造ステーション202、210及び212を省くこともできる。巻き取りリール130及び第二の駆動機構104は、製造装置200の中でコンベヤ110の端部に選択的に配置されて固相連続研磨パッド300を収集する別個の製造ステーションを構成する。
【0030】
次に図3を参照すると、本発明の装置100によって製造される研磨パッド300の断面図が提示されている。先に論じたように、オーブン128中で硬化すると、水性ポリマーは、固化した連続研磨パッド300を形成する。場合によっては、研磨パッド300は、研磨層304中に砥粒又は粒状物306を含んで砥粒固定パッドを形成することもできる。したがって、砥粒又は粒状物306は、流体状ポリマー混合物の成分として含まれる。ポリマー混合物は、砥粒又は粒状物306が混入されたマトリックスになる。
【0031】
次に、図3Aを参照すると、本発明の研磨パッド300のもう一つの実施態様で、泡立て剤又は発泡剤又はガスの形態の混入成分がポリマー混合物に含まれ、このポリマー混合物はその成分が混入されたマトリックスとして働く。硬化すると、泡立て剤又は発泡剤又はガスは揮発分として抜けて、連続研磨層304中に分散した気孔308を提供する。図3Aの研磨パッド300は裏地層302をさらに含む。
【0032】
次に図3Bを参照すると、ポリマー混合物中に含まれ、連続研磨層304中に分散したマイクロバルーン又はポリマー微小球310を含む研磨パッド300のもう一つの実施態様が示されている。微小球310はガス充填されていてもよい。あるいはまた、微小球310は、研磨作業中に研磨パッド300が使用されるとき摩耗によって微小球310が開裂すると放出される研磨流体が充填されていてもよい。あるいはまた、微小球310は、研磨作業中に水に溶解する水溶性ポリマー微小要素である。図3Bの研磨パッド300は裏地層302をさらに含む。
【0033】
好ましくは、ポリマー微小球310の少なくとも一部は一般に可撓性である。適当なポリマー微小球310としては、無機塩、糖及び水溶性粒子がある。このようなポリマー微小球310(又は微小要素)の例は、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、デンプン、マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、シクロデキストリン及びこれらの組み合わせを含む。微小球310を、たとえば分枝化、ブロッキング及び架橋によって化学的に改変して溶解度、膨潤度及び他の性質を変化させてもよい。微小球の好ましい材料は、ポリアクリロニトリルとポリ塩化ビニリデンとのコポリマー(たとえば、スウェーデンSundsvallのAkzo NobelのExpancel(商標))である。
【0034】
好ましくは、水性研磨パッド300は、少なくとも0.3容量%の気孔又は充填材濃度を含有することができる。この気孔又は充填材は、研磨中に研磨流体を移動させる研磨パッドの能力に寄与する。より好ましくは、研磨パッドは、0.55〜70容量%の気孔又は充填材濃度を有する。もっとも好ましくは、研磨パッドは、0.6〜60容量%の気孔又は充填材濃度を有する。好ましくは、気孔又は充填材粒子は、10〜100μmの重量平均直径を有する。もっとも好ましくは、気孔又は充填材粒子は、15〜90μmの重量平均直径を有する。膨張した中空ポリマー微小球の重量平均直径の公称範囲は15〜50μmである。
【0035】
したがって、本発明は、欠陥率を減らし、研磨性能を改善した水性研磨パッドを提供する。好ましくは、研磨パッドは、ウェブフォーマットで製造され、流し込み成形され、削り出された「硬い」研磨パッドにしばしば伴うパッド間のばらつきを減らす。加えて、研磨パッドは、好ましくは、有機溶媒性ではなく水性であり、凝固法によって形成される従来技術の「軟らかい」パッドよりも歩留りが高く、欠陥が少ない。
【実施例】
【0036】
以下の表は、本発明の水性パッドの改善された欠陥率を示す。水性パッドは、Crompton社のW-290H75gとRohm and Haas社のRhoplex(登録商標)E-358 25gとを3:1の割合で2分間、混合タンク中で混合することによって形成した。次いで、CognisのFoamaster(登録商標)111 1gを混合タンクに加え、さらに2分間混合した。次いで、Expancel(登録商標)551DE40d42(Akzo Nobel製の30〜50μm重量平均直径の中空ポリマー微小球)を混合タンクに加え、さらに5分間混合した。また、増粘剤、いずれもRohm and Haas社のAcrysol(登録商標)ASE-60及び5 Acrysol I-62 1gを混合タンクに加え、15分間混合した。次いで、混合物をDupont Teijinの453PET膜に塗布し(濡れ厚さ50ミル(1.27mm))、熱風オーブン中、60℃で6時間乾燥させた。得られた研磨パッドは厚さ25ミル(0.64mm)であった。次いで、その水性研磨パッドに、ピッチ120ミル(3.05mm)、深さ9ミル(0.23mm)及び幅20ミル(0.51mm)の円形の溝を設けた。Applied MatrialsのMirra(登録商標)研磨機により、本発明の水性研磨パッドを、3psi(20.68kPa)のダウンフォース条件下、150cc/minの研磨溶液流量、120rpmのプラテン速度及び114rpmのキャリヤ速度で使用して、試料(銅シートウェーハ)を平坦化した。以下の表に示すように、試験1〜3は、本発明の研磨パッドで研磨した試料を表し、試験A〜Cは、従来技術の「軟らかい」パッドで研磨した試料の比較例を表す。
【0037】
【表1】

【0038】
上記表1に示すように、本発明の水性パッドは、研磨した試料において最小量の欠陥を提供した。たとえば、本発明の水性パッドで研磨された試料は、従来技術の「軟らかい」パッドで研磨した試料と比較して、3倍を超える欠陥率の低下を提供した。
【0039】
したがって、本発明は、欠陥率を減らし、研磨性能を改善した水性研磨パッドを提供する。好ましくは、研磨パッドは、ウェブフォーマットで製造され、流し込み成形され、削り出された「硬い」研磨パッッドにしばしば伴うパッド間のばらつきを減らす。加えて、研磨パッドは、好ましくは、有機溶媒性ではなく水性であり、凝固法によって形成される従来技術の「軟らかい」パッドよりも収率が高く、欠陥が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の水性研磨パッドの連続製造のための装置を示す。
【図1A】本発明のもう一つの製造装置を示す。
【図2】本発明の水性研磨パッドの連続コンディショニングのための装置を示す。
【図3】図1に示す装置によって製造された水性研磨パッドの断面を示す。
【図3A】図1に示す装置によって製造されたもう一つの水性研磨パッドを示す。
【図3B】図1に示す装置によって製造されたもう一つの水性研磨パッドを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小球を中に分散させたポリマーマトリックスを含み、前記ポリマーマトリックスが水性ポリマー又はそのブレンドで形成されているケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項2】
前記ポリマーマトリックスが、ウレタン分散系、アクリル分散系、スチレン分散系又はそれらのブレンドである、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記ポリマーマトリックスが、ウレタン分散系とアクリル分散系との重量%比100:1〜1:100のブレンドを含む、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記微小球が、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、デンプン、マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、シクロデキストリン、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリロニトリル及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記微小球が前記研磨パッドの少なくとも0.3容量%を構成する、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記ポリマーマトリックスが、消泡剤、レオロジー変性剤、皮張り防止剤又は融合助剤をさらに含む、請求項1記載の研磨パッド。
【請求項7】
気孔又は充填材を中に分散させたポリマーマトリックスを含み、前記ポリマーマトリックスが、ウレタン分散系とアクリル分散系との重量%比100:1〜1:100のブレンドで形成されているケミカルメカニカル研磨パッド。
【請求項8】
ケミカルメカニカル研磨パッドを製造する方法であって、
微小球を含有する水性流体相ポリマー組成物を連続的な輸送される裏地層の上に供給する工程、
前記輸送される裏地層の上の前記ポリマー組成物を所定の厚さを有する流体相研磨層に成形する工程、及び
前記輸送される裏地層の上の前記ポリマー組成物を硬化オーブン中で硬化させて前記ポリマー組成物を研磨パッドの固相研磨層に転換する工程
を含む方法。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、ウレタン分散系、アクリル分散系、スチレン分散系又はそれらのブレンドを含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記微小球が、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、デンプン、マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、シクロデキストリン、ポリビニリデンジクロリド、ポリアクリロニトリル及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2006−253691(P2006−253691A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−62122(P2006−62122)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】