水晶発振器
【課題】 消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償する水晶発振器を提供する。
【解決手段】 温度補償回路1からの温度補償制御電圧、AFC回路2からの発振周波数制御電圧、周波数ドリフト補償回路3からの消費電力に応じた周波数ドリフト補償電圧を加算器4が加算し、水晶振動子5と並列接続されるインバータIC6の入力側と出力側に接続する電圧可変容量素子7a,7bに加算器4で加算された電圧を出力する水晶発振器である。
【解決手段】 温度補償回路1からの温度補償制御電圧、AFC回路2からの発振周波数制御電圧、周波数ドリフト補償回路3からの消費電力に応じた周波数ドリフト補償電圧を加算器4が加算し、水晶振動子5と並列接続されるインバータIC6の入力側と出力側に接続する電圧可変容量素子7a,7bに加算器4で加算された電圧を出力する水晶発振器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償を行う水晶発振器又は温度補償を行わない水晶発振器に係り、特に、発熱によって変わる周波数ドリフト特性を補償できる水晶発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の温度補償型の水晶発振器は、電圧制御発振器に温度補償回路を付加して、周囲温度の変化による周波数の変動を少なくしたものである。また、温度補償回路を有さない水晶発振器がある。
そして、従来の水晶発振器では、周波数がドリフト(変動又はふらつき)することがあり、特に電源変動からの発熱によって周波数ドリフト特性が変化する。
【0003】
[周波数ドリフト特性:図10]
図6、図10に周波数ドリフト特性を示す。図6では、時間に対する周波数の変化を示したものであり、図10では、時間に対する周波数/電力を示したもので、周波数ドリフト特性(電力係数)を示す図である。
図6に示すように、電源電圧が大きくなると、消費電力が増えて発熱量が増加し、下側にドリフトする量が大きい(周波数ドリフト特性は悪化する)ことが分かる。
また、着目すべき点としては、同一構造であれば、様々な電力条件下において(つまりは様々な発熱量において)、図10に示すように、周波数ドリフト特性電力係数が同じとなり、周波数ドリフト特性は消費電力と比例関係にあることである。
【0004】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開平10−224148号公報「圧電発振器」(東洋通信機株式会社)[特許文献1]、特開平02−100502号公報「電圧制御発振器」(株式会社村田製作所)[特許文献2]、特開平11−186843号公報「安定化発振回路」(東芝マイクロエレクトロニクス株式会社)[特許文献3]がある。
【0005】
特許文献1には、トランジスタ、抵抗及び容量から成る増幅部と圧電振動子と可変容量ダイオード、抵抗及び容量から成る制御電圧部とから構成される電圧制御型圧電発振器において、可変容量ダイオードのアノード端子の電圧を時間と共に可変にすることで、圧電発振回路の周波数起動特性を短縮することが示されている。
【0006】
特許文献2には、電圧制御型の発振回路とバッファ回路とが電源から見て直列に接続された電圧制御発振器において、発振回路の電源系統に対して並列に定電圧ダイオードを接続し、発振周波数を電源電圧の変動に拘わらず安定化させることが示されている。
【0007】
特許文献3には、安定化発振回路において、差動増幅型発振回路部11の電源電圧に応じて差動増幅型バッファ出力回路部12の電流を制御することにより、差動増幅型バッファ出力回路部12の差動増幅対トランジスタのコレクタ・接地間容量を制御し、電源電圧の変動に依存する発振周波数の変動を抑制する周波数変動抑制回路13aを備えることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−224148号公報
【特許文献2】特開平02−100502号公報
【特許文献3】特開平11−186843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の水晶発振器における周波数ドリフト特性の補償方法では、補償量が一定であったため、発熱によって変化する周波数ドリフト特性を適正に補償できていないという問題点があった。
【0010】
尚、後述する図6は、従来の温度報償型水晶発振器における周波数ドリフト特性を示すものであり、電源電圧が大きくなると周波数ドリフト特性の変動が大きくなることを示している。
【0011】
つまり、図6,10に示したように、周波数ドリフト特性は、発振器の消費電力と関係があり、消費電力によって周波数ドリフト特性も変化する。
従って、電源電圧の変動により発熱量が増加すると周波数ドリフト特性が悪化する。また、電源電圧を高く設定すると、低く設定されたものと比べて、周波数ドリフト特性は悪い特性となる。従来の水晶発振器では、それを抑制することができないものである。
【0012】
また、特許文献1〜3では、電源電圧の変動により消費電力が変化して発熱量によって周波数ドリフト特性が変動することに対して、周波数ドリフト特性を補償し、発振器の起動を早期に安定化させるものとはなっていないものである。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償する水晶発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する水晶発振器であって、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、温度補償回路からの出力と、周波数制御回路からの出力と、周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記水晶発振器において、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にする定電圧回路を備え、周波数ドリフト補償回路が、周波数ドリフト特性を発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力することを特徴とする。
【0016】
[消費電流:図11]
図11は、発振器電源電圧と発振器消費電流の関係を示す図である。
上記定電圧回路を有する水晶発振器は、図11に示すように、発振器消費電流が発振器電源変動に対して概略一定となる。発振器消費電流が概略一定であるため、消費電力は電源電圧に概略比例することになる。
【0017】
本発明は、上記水晶発振器において、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路を有さない水晶発振器でもよく、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路を有さない水晶発振器でもよく、加算器を有さずに温度補償回路からの出力と周波数制御回路からの出力と周波数ドリフト補償回路からの出力を直接に電圧可変容量素子へ出力する水晶発振器でもよい。
【0018】
本発明は、上記水晶発振器において、第1の周波数ドリフト補償回路は、定電流源回路と、定電流源回路に一端が接続し、他端が接地するコンデンサと、定電流回路にアノードを接続し、カソードを接地し、コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードと、定電流源回路とコンデンサとを接続する線から引き出された信号を増幅して周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記水晶発振器において、第2の周波数ドリフト補償回路は、第1のPチャンネル電界効果型トランジスタと、第2のPチャンネル電界効果型トランジスタと、周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを備え、第1のPチャンネル電界効果型トランジスタのドレイン、ゲート及び第2のPチャンネル電界効果型トランジスタのゲートは抵抗を介して接地され、第1のPチャンネル電界効果型トランジスタのソース及び第2のPチャンネル電界効果型トランジスタのソースには電源電圧が印加され、第2のPチャンネル電界効果型トランジスタのドレインはコンデンサを介して接地されると共に増幅器の入力に接続され、第2の電界効果型トランジスタのドレインにアノードを接続し、カソードを接地し、コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードを設けたことを特徴とする。
【0020】
上記周波数ドリフト補償回路は、第1の電界効果型トランジスタのドレインとゲートに接続する抵抗の値を調整することにより、または、第1の電界効果型トランジスタと第2の電界効果型トランジスタのサイズ比を調整することにより、第2の電界効果型トランジスタに流れる電流の値を調整することで、周波数ドリフト特性に対する補償特性を調整することが可能である。
また、上記周波数ドリフト補償回路は、Pチャンネルの電界効果型トランジスタを用いた構成であるが、もちろんNチャンネルの電界効果型トランジスタを用いて構成しても同様の効果が得られる。
【0021】
本発明は、上記水晶発振器において、上記第1又は第2の周波数ドリフト補償回路が、増幅器における利得を発振器電源電圧に応じて調整することで、周波数ドリフト特性を補償することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記水晶発振器において、第2の周波数ドリフト補償回路の電源電圧に発振器電源電圧が接続され、発振器電源電圧に応じて生成された信号を増幅器に出力し、周波数ドリフト特性を補償することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有し、周波数ドリフト補償回路が周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力し、電圧可変容量素子に印加する水晶発振器としているので、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器の構成ブロック図である。
【図2】周波数ドリフト補償回路の回路図である。
【図3】増幅器(AMP)のゲイン特性を示す図である。
【図4】周波数ドリフト補償回路の出力電圧特性を示す図である。
【図5】周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性を示す図である。
【図6】従来の周波数ドリフト特性を示す図である。
【図7】周波数ドリフト補償後特性を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る第2の水晶発振器の構成ブロック図である。
【図9】周波数ドリフト補償回路の一例の回路図である。
【図10】周波数ドリフト特性(電力係数)を示す図である。
【図11】発振器電源電圧と発振器消費電流の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する水晶発振器であって、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、温度補償回路からの出力と、周波数制御回路からの出力と、周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて電圧可変容量素子に出力されるものであり、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償できるものである。
【0026】
本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子と、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定とする定電圧回路と、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、周波数ドリフト特性を発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、温度補償回路からの出力と、周波数制御回路からの出力と、周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて電圧可変容量素子に出力されるものであり、発振器電源電圧に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償できるものである。
【0027】
また、本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、上記構成において、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路を有さない水晶発振器でもよく、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路を有さない水晶発振器でもよく、加算器を有さずに温度補償回路からの出力と周波数制御回路からの出力と周波数ドリフト補償回路からの出力を直接に電圧可変容量素子へ出力する水晶発振器でもよい。
【0028】
[第1の水晶発振器:図1]
本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器(第1の発振器)は、図1に示すように、温度補償回路1と、AFC(Auto Frequency Control)回路2と、周波数ドリフト補償回路3と、加算器(Adder)4と、水晶振動子5と、インバータIC(Integrated Circuit)6と、電圧可変容量素子(Vc)7a,7bと、バッファ(Buff)8と、出力端子9と、定電圧回路10とを基本的に有している。
尚、図1で破線で囲った部分が、周波数制御機能付き温度補償発振回路である。
【0029】
[第1の発振器の各部]
本発振器の各部について具体的に説明する。
温度補償回路1は、水晶振動子5の周辺の温度を検出し、検出した温度に応じて温度補償の制御電圧(温度補償制御電圧)を加算器4に出力する。
AFC(Auto Frequency Control)回路2は、出力端子9から特定の周波数を発振させるための制御電圧(発振周波数制御電圧)を加算器4に出力する。
【0030】
周波数ドリフト補償回路3は、実施の形態において特徴的な構成であり、発振器の周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧(周波数ドリフト補償制御電圧)を加算器4に出力する。
周波数ドリフト補償回路3の具体的な構成及び補償動作については後述する。
【0031】
加算器(Adder)4は、温度補償回路1からの温度補償制御電圧とAFC回路2からの発振周波数制御電圧と周波数ドリフト補償回路3からの周波数ドリフト補償制御電圧とを加算し、電圧可変容量素子7a,7bに出力する。
尚、加算器4における加算は、各入力電圧を重み付けして加算するようにしてもよい。
【0032】
水晶振動子5は、水晶片とその水晶片を挟む電極とを備え、水晶振動子の両端からみた負荷容量との共振周波数にて発振する。
インバータIC(Integrated Circuit)6は、水晶振動子5で発振された周波数を増幅し、位相を反転させてバッファ8に出力する。
【0033】
電圧可変容量素子(Vc)7a,7bは、例えば、バリキャップダイオードで構成され、印加される電圧に応じて容量を可変にし、発振周波数を調整する。
具体的には、電圧可変容量素子7aは、加算器4からの出力電圧が印加され、当該電圧に応じた容量を発生し、水晶振動子の負荷容量を可変にし、発振周波数を調整する。
また、電圧可変容量素子7bは、加算器4からの出力電圧が印加され、当該電圧に応じた容量を発生し、水晶振動子の負荷容量を可変にし、発振周波数を調整する。
【0034】
バッファ(Buff)8は、信号増幅器であり、インバータIC6からの発振信号を増幅して出力端子9に出力する。
出力端子9は、本発振器の発振信号を出力する端子である。
定電圧回路10は、発振器電源電圧Vccが供給され、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にするものであり、周波数制御機能付き温度補償発振回路内の必要な各部に定電圧を供給している。
【0035】
[周波数ドリフト補償回路:図2]
次に、周波数ドリフト補償回路3について図2を参照しながら説明する。図2は、周波数ドリフト補償回路の回路図である。
周波数ドリフト補償回路は、図2に示すように、定電流源回路31と、コンデンサ32と、増幅器(AMP)33と、ダイオード30とを備えている。
【0036】
定電流源回路31は、印加される電圧に対して定電流を発生させる回路であり、定電流をコンデンサ32の一端に出力している。
コンデンサ32は、一端が定電流源回路31からの定電流を入力し、他端が接地されている。
ダイオード30は、コンデンサ32の両端の電圧を制限し、アノードは定電流回路31とコンデンサ32との間に接続され、他端のカソードは接地されている。
【0037】
増幅器(AMP)33は、コンデンサ32の一端側に入力端子が接続し、第1の発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)の発振器電源34から供給される発振器電源電圧Vccに応じた増幅率(Gain)で増幅を行い、加算器4に出力する。
【0038】
[増幅器のゲイン特性:図3]
増幅器33のゲイン特性について図3を参照しながら説明する。図3は、増幅器(AMP)のゲイン特性を示す図である。
増幅器33のゲイン特性は、図3に示すように、電源電圧が大きくなればゲインも同様に大きくなるようになっている。
【0039】
[周波数ドリフト補償回路の出力電圧特性:図4]
また、周波数ドリフト補償回路3の出力電圧特性について図4を参照しながら説明する。図4は、周波数ドリフト補償回路の出力電圧特性を示す図である。図4では、ゲインが大、中、小の場合で、時間に対する出力電圧を示している。
TCXO電源34からの電圧が高い程、増幅器33のゲインは大きくなる。そして、周波数ドリフト補償回路3からの出力電圧は、増幅器33のゲインが大きい程、高い出力電圧になり、ゲインが小さいと低い出力電圧となる。
【0040】
[周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性:図5]
次に、周波数ドリフト補償回路3の補正周波数を図5に示す。図5は、周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性を示す図である。図5では、ゲインが大、中、小の場合で、時間に対する周波数を示している。
周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性は、図5に示すように、増幅器33のゲインが小さい程、周波数変化幅が小さく、ゲインが大きい程、周波数変化幅が大きくなっている。
【0041】
[周波数ドリフト特性:図6]
周波数ドリフト特性を図6に示す。図6は、従来の周波数ドリフト特性を示す図である。
周波数ドリフト特性は、従来技術でも説明したように、図6では、発振器電源電圧が大きくなると、消費電力が増えて発熱量が増加する程、ドリフトする量が大きくなる(周波数ドリフト特性は悪化する)。また、発振器電源電圧が小さくなると、消費電力が減って発熱量が減少し、ドリフトする量も小さくなることが分かる。
【0042】
[周波数ドリフト補償後特性:図7]
次に、周波数ドリフト補償後の特性を図7に示す。図7は、周波数ドリフト補償後特性を示す図である。
図6に示す周波数ドリフト特性に対して、図5に示す周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性で補正すれば、図7に示す補償後の特性が得られる。つまり、図7は、図5と図6を掛け合わせた特性である。
図7では、電源電圧の大きさ(消費電力)に応じて周波数ドリフト補償回路3が周波数ドリフト特性の補償を行うため、発振器電源電圧の大小に拘わらず、周波数ドリフト補償後の特性は早期に安定し、一定となる。
尚、図5〜図7における横軸の時間は、Logで表している。
【0043】
[第2の水晶発振器:図8]
次に、本発明の別の実施形態である第2の水晶発振器について図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る第2の水晶発振器の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る第2の水晶発振器(第2の発振器)は、図8に示すように、温度補償回路1と、AFC回路2と、周波数ドリフト補償回路3と、水晶振動子5と、インバータIC6と、電圧可変容量素子(Vc)7a,7b,7c,7dと、バッファ(Buff)8と、出力端子9と、定電圧回路10と、加算器11と、増幅器12とを基本的に有している。
尚、第2の発振器の各部は、基本的には、第1の発振器の各部と同様になっている。図1に示した各部について説明を省略ずる。
また、破線で囲んだ部分が、周波数制御機能付き温度補償発振回路である。
【0044】
そして、インバータIC6の入力側は、コンデンサC1,C2の一端に接続し、コンデンサC1の他端は電圧可変容量素子7cの一端に、コンデンサC2の他端は電圧可変容量素子7aの一端に接続し、電圧可変容量素子7cの他端と電圧可変容量素子7aの他端は接地されている。
また、インバータIC6の出力側は、コンデンサC3,C4の一端に接続し、コンデンサC3の他端は電圧可変容量素子7bの一端に、コンデンサC4の他端は電圧可変容量素子7dの一端に接続し、電圧可変容量素子7bの他端と電圧可変容量素子7dの他端は接地されている。
【0045】
定電圧回路10は、発振器電源電圧Vccが供給され、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にするものであり、周波数制御機能付き温度補償発振回路内の必要な各部に定電圧を供給している。
加算器11は、温度補償回路1の出力電圧(温度補償制御電圧)とAFC回路2の出力電圧(発振周波数制御電圧)を加算して、コンデンサC2の他端と電圧可変容量素子7aの一端との間に高周波阻止抵抗R1を介して印加すると共に、コンデンサC3の他端と電圧可変容量素子7bの一端との間に高周波阻止抵抗R2を介して印加している。
【0046】
増幅器12は、周波数ドリフト補償回路3からの出力電圧(周波数ドリフト補償制御電圧)を増幅し、コンデンサC1の他端と電圧可変容量素子7cの一端との間に高周波阻止抵抗R4を介して印加すると共に、コンデンサC4の他端と電圧可変容量素子7dの一端との間に高周波阻止抵抗R3を介して印加している。
【0047】
電圧可変容量素子7aの容量を、電圧可変容量素子7aの一端に印加される加算器11からの出力電圧によって調整し周波数を可変させ、電圧可変容量素子7bの容量を、電圧可変容量素子7bの一端に印加される加算器11からの出力電圧によって調整し周波数を可変させる。
【0048】
また、電圧可変容量素子7cの容量を、電圧可変容量素子7cの一端に印加される増幅器12からの出力電圧によって調整し周波数を可変させ、電圧可変容量素子7dの容量を、電圧可変容量素子7dの一端に印加される増幅器12からの出力電圧によって調整し周波数を可変させる。
【0049】
第2の発振器も第1の発振器と同様に、周波数ドリフト補償回路3が周波数ドリフト特性を補償するための消費電力に応じた補正周波数特性を出力して周波数ドリフト特性を補償し、発振器の起動を早期に安定化できるものである。
【0050】
[周波数ドリフト補償回路の一例:図9]
次に、周波数ドリフト補償回路の一例について図9を参照しながら説明する。図9は、周波数ドリフト補償回路の一例の回路図である。
周波数ドリフト補償回路は、図9に示すように、抵抗35と、Pチャンネル電界効果型トランジスタ(FET)36,37と、コンデンサ38と、ダイオード30と、増幅器(AMP)39とを有している。
尚、図9の周波数ドリフト補償回路は、図1の周波数ドリフト補償回路3又は図8の周波数ドリフト補償回路3に適用することができる。
【0051】
電源電圧VccがFET36のソースとFET37のソースに印加されている。また、抵抗35の一端がFET36のドレインとFET36及びFET37のゲートに接続している。FET36のゲートとFET37のゲートは接続している。
抵抗35の他端は接地され、FET37のドレインはAMP39の入力に接続すると共にコンデンサ38の一端に接続し、コンデンサ38の他端が接地されている。
【0052】
ダイオード30は、コンデンサ38の両端の電圧を制限し、アノードはFET37のドレインに接続され、他端のカソードは接地されている。
ここで、抵抗35の値を調整することにより、及びFET36,FET37のサイズ比を調整することにより、FET37に流れる電流の値を調整することで、周波数ドリフト特性に対する補正特性を調整する。
【0053】
図9の別の周波数ドリフト補償回路は、図2の周波数ドリフト補償回路における定電流源回路31を抵抗35,FET36,37を用いて実現したものであり、コンデンサ38の入力は定電流で、電源電圧Vccの変動が反映された定電流となっている。つまり、AMP39の出力は、電源の消費電力に応じた周波数ドリフト補償電圧となる。
よって、図2のAMP33ではゲインの調整が必要であったが、図9のAMP39では、ゲインの調整は必要ではない。但し、電源電圧を定電圧とし、AMP39で発振器電源電圧に応じてゲイン調整を行ってもよい。また、適宜、反転出力としてもよい。
【0054】
[応用例]
第1の発振器では、温度補償回路1からの出力電圧と、AFC回路2からの出力電圧と、周波数ドリフト補償回路3からの出力電圧を加算器4で加算して可変容量素子7a,7bに出力しているが、加算器4を削除して、各出力電圧を直接に可変容量素子7a,7bに出力してもよい。
また、第1の発振器で、温度補償回路1を備えていない構成、又はAFC回路2を備えていない構成、若しくは両方を備えていない構成であってもよい。温度補償回路1とAFC回路2の両方を備えていない場合、加算器4は不要となる。
【0055】
第2の発振器では、温度補償回路1からの出力電圧と、AFC回路2からの出力電圧とを加算器4で加算して可変容量素子7a,7bに出力しているが、加算器11を削除して、各出力電圧を直接に可変容量素子7a,7bに出力してもよい。
また、第2の発振器で、温度補償回路1を備えていない構成、又はAFC回路2を備えていない構成、若しくは両方を備えていない構成であってもよい。温度補償回路1又はAFC回路2の一方を備えていない場合と、温度補償回路1とAFC回路2の両方を備えていない場合は、加算器11は不要となる。
【0056】
[実施の形態の効果]
第1,2の発振器によれば、温度補償回路1からの温度補償制御電圧、AFC回路2からの発振周波数制御電圧、周波数ドリフト補償回路3からの消費電力に応じた周波数ドリフト補償電圧に応じた電圧が電圧可変容量素子7a,7b又は7a〜7dに供給されるようになっているので、周波数ドリフト補償回路3によって消費電力に応じて周波数ドリフト特性が補償され、発振器の起動を早期に安定化できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を調整し、発熱による周波数ドリフト特性を補償する水晶発振器に好適である。
【符号の説明】
【0058】
1...温度補償回路、 2...AFC(Auto Frequency Control)回路、 3...周波数ドリフト補償回路、 4...加算器(Adder)、 5...水晶振動子、 6...インバータIC(Integrated Circuit)、 7a,7b,7c,7d...電圧可変容量素子(Vc)、 8...バッファ(Buff)、 9...出力端子、 10...定電圧回路、 11...加算器、 12...増幅器、 30...ダイオード、 31...定電流源回路、 32...コンデンサ、 33...増幅器(AMP)、 34...電源、 35...抵抗、 36...電界効果型トランジスタ(FET)、 37...電界効果型トランジスタ(FET)、 38...コンデンサ、 39...増幅器(AMP)、 R1〜R4...高周波阻止抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度補償を行う水晶発振器又は温度補償を行わない水晶発振器に係り、特に、発熱によって変わる周波数ドリフト特性を補償できる水晶発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の温度補償型の水晶発振器は、電圧制御発振器に温度補償回路を付加して、周囲温度の変化による周波数の変動を少なくしたものである。また、温度補償回路を有さない水晶発振器がある。
そして、従来の水晶発振器では、周波数がドリフト(変動又はふらつき)することがあり、特に電源変動からの発熱によって周波数ドリフト特性が変化する。
【0003】
[周波数ドリフト特性:図10]
図6、図10に周波数ドリフト特性を示す。図6では、時間に対する周波数の変化を示したものであり、図10では、時間に対する周波数/電力を示したもので、周波数ドリフト特性(電力係数)を示す図である。
図6に示すように、電源電圧が大きくなると、消費電力が増えて発熱量が増加し、下側にドリフトする量が大きい(周波数ドリフト特性は悪化する)ことが分かる。
また、着目すべき点としては、同一構造であれば、様々な電力条件下において(つまりは様々な発熱量において)、図10に示すように、周波数ドリフト特性電力係数が同じとなり、周波数ドリフト特性は消費電力と比例関係にあることである。
【0004】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開平10−224148号公報「圧電発振器」(東洋通信機株式会社)[特許文献1]、特開平02−100502号公報「電圧制御発振器」(株式会社村田製作所)[特許文献2]、特開平11−186843号公報「安定化発振回路」(東芝マイクロエレクトロニクス株式会社)[特許文献3]がある。
【0005】
特許文献1には、トランジスタ、抵抗及び容量から成る増幅部と圧電振動子と可変容量ダイオード、抵抗及び容量から成る制御電圧部とから構成される電圧制御型圧電発振器において、可変容量ダイオードのアノード端子の電圧を時間と共に可変にすることで、圧電発振回路の周波数起動特性を短縮することが示されている。
【0006】
特許文献2には、電圧制御型の発振回路とバッファ回路とが電源から見て直列に接続された電圧制御発振器において、発振回路の電源系統に対して並列に定電圧ダイオードを接続し、発振周波数を電源電圧の変動に拘わらず安定化させることが示されている。
【0007】
特許文献3には、安定化発振回路において、差動増幅型発振回路部11の電源電圧に応じて差動増幅型バッファ出力回路部12の電流を制御することにより、差動増幅型バッファ出力回路部12の差動増幅対トランジスタのコレクタ・接地間容量を制御し、電源電圧の変動に依存する発振周波数の変動を抑制する周波数変動抑制回路13aを備えることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−224148号公報
【特許文献2】特開平02−100502号公報
【特許文献3】特開平11−186843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の水晶発振器における周波数ドリフト特性の補償方法では、補償量が一定であったため、発熱によって変化する周波数ドリフト特性を適正に補償できていないという問題点があった。
【0010】
尚、後述する図6は、従来の温度報償型水晶発振器における周波数ドリフト特性を示すものであり、電源電圧が大きくなると周波数ドリフト特性の変動が大きくなることを示している。
【0011】
つまり、図6,10に示したように、周波数ドリフト特性は、発振器の消費電力と関係があり、消費電力によって周波数ドリフト特性も変化する。
従って、電源電圧の変動により発熱量が増加すると周波数ドリフト特性が悪化する。また、電源電圧を高く設定すると、低く設定されたものと比べて、周波数ドリフト特性は悪い特性となる。従来の水晶発振器では、それを抑制することができないものである。
【0012】
また、特許文献1〜3では、電源電圧の変動により消費電力が変化して発熱量によって周波数ドリフト特性が変動することに対して、周波数ドリフト特性を補償し、発振器の起動を早期に安定化させるものとはなっていないものである。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償する水晶発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する水晶発振器であって、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、温度補償回路からの出力と、周波数制御回路からの出力と、周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記水晶発振器において、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にする定電圧回路を備え、周波数ドリフト補償回路が、周波数ドリフト特性を発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力することを特徴とする。
【0016】
[消費電流:図11]
図11は、発振器電源電圧と発振器消費電流の関係を示す図である。
上記定電圧回路を有する水晶発振器は、図11に示すように、発振器消費電流が発振器電源変動に対して概略一定となる。発振器消費電流が概略一定であるため、消費電力は電源電圧に概略比例することになる。
【0017】
本発明は、上記水晶発振器において、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路を有さない水晶発振器でもよく、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路を有さない水晶発振器でもよく、加算器を有さずに温度補償回路からの出力と周波数制御回路からの出力と周波数ドリフト補償回路からの出力を直接に電圧可変容量素子へ出力する水晶発振器でもよい。
【0018】
本発明は、上記水晶発振器において、第1の周波数ドリフト補償回路は、定電流源回路と、定電流源回路に一端が接続し、他端が接地するコンデンサと、定電流回路にアノードを接続し、カソードを接地し、コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードと、定電流源回路とコンデンサとを接続する線から引き出された信号を増幅して周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記水晶発振器において、第2の周波数ドリフト補償回路は、第1のPチャンネル電界効果型トランジスタと、第2のPチャンネル電界効果型トランジスタと、周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを備え、第1のPチャンネル電界効果型トランジスタのドレイン、ゲート及び第2のPチャンネル電界効果型トランジスタのゲートは抵抗を介して接地され、第1のPチャンネル電界効果型トランジスタのソース及び第2のPチャンネル電界効果型トランジスタのソースには電源電圧が印加され、第2のPチャンネル電界効果型トランジスタのドレインはコンデンサを介して接地されると共に増幅器の入力に接続され、第2の電界効果型トランジスタのドレインにアノードを接続し、カソードを接地し、コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードを設けたことを特徴とする。
【0020】
上記周波数ドリフト補償回路は、第1の電界効果型トランジスタのドレインとゲートに接続する抵抗の値を調整することにより、または、第1の電界効果型トランジスタと第2の電界効果型トランジスタのサイズ比を調整することにより、第2の電界効果型トランジスタに流れる電流の値を調整することで、周波数ドリフト特性に対する補償特性を調整することが可能である。
また、上記周波数ドリフト補償回路は、Pチャンネルの電界効果型トランジスタを用いた構成であるが、もちろんNチャンネルの電界効果型トランジスタを用いて構成しても同様の効果が得られる。
【0021】
本発明は、上記水晶発振器において、上記第1又は第2の周波数ドリフト補償回路が、増幅器における利得を発振器電源電圧に応じて調整することで、周波数ドリフト特性を補償することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記水晶発振器において、第2の周波数ドリフト補償回路の電源電圧に発振器電源電圧が接続され、発振器電源電圧に応じて生成された信号を増幅器に出力し、周波数ドリフト特性を補償することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有し、周波数ドリフト補償回路が周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力し、電圧可変容量素子に印加する水晶発振器としているので、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器の構成ブロック図である。
【図2】周波数ドリフト補償回路の回路図である。
【図3】増幅器(AMP)のゲイン特性を示す図である。
【図4】周波数ドリフト補償回路の出力電圧特性を示す図である。
【図5】周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性を示す図である。
【図6】従来の周波数ドリフト特性を示す図である。
【図7】周波数ドリフト補償後特性を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る第2の水晶発振器の構成ブロック図である。
【図9】周波数ドリフト補償回路の一例の回路図である。
【図10】周波数ドリフト特性(電力係数)を示す図である。
【図11】発振器電源電圧と発振器消費電流の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する水晶発振器であって、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、温度補償回路からの出力と、周波数制御回路からの出力と、周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて電圧可変容量素子に出力されるものであり、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償できるものである。
【0026】
本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、水晶振動子と、水晶振動子に並列に接続される増幅器と、増幅器に接続される電圧可変容量素子と、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定とする定電圧回路と、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、周波数ドリフト特性を発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、温度補償回路からの出力と、周波数制御回路からの出力と、周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて電圧可変容量素子に出力されるものであり、発振器電源電圧に応じて周波数ドリフト補償量を可変にし、発熱による周波数ドリフト特性を補償できるものである。
【0027】
また、本発明の実施の形態に係る水晶発振器は、上記構成において、温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路を有さない水晶発振器でもよく、入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路を有さない水晶発振器でもよく、加算器を有さずに温度補償回路からの出力と周波数制御回路からの出力と周波数ドリフト補償回路からの出力を直接に電圧可変容量素子へ出力する水晶発振器でもよい。
【0028】
[第1の水晶発振器:図1]
本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る第1の水晶発振器(第1の発振器)は、図1に示すように、温度補償回路1と、AFC(Auto Frequency Control)回路2と、周波数ドリフト補償回路3と、加算器(Adder)4と、水晶振動子5と、インバータIC(Integrated Circuit)6と、電圧可変容量素子(Vc)7a,7bと、バッファ(Buff)8と、出力端子9と、定電圧回路10とを基本的に有している。
尚、図1で破線で囲った部分が、周波数制御機能付き温度補償発振回路である。
【0029】
[第1の発振器の各部]
本発振器の各部について具体的に説明する。
温度補償回路1は、水晶振動子5の周辺の温度を検出し、検出した温度に応じて温度補償の制御電圧(温度補償制御電圧)を加算器4に出力する。
AFC(Auto Frequency Control)回路2は、出力端子9から特定の周波数を発振させるための制御電圧(発振周波数制御電圧)を加算器4に出力する。
【0030】
周波数ドリフト補償回路3は、実施の形態において特徴的な構成であり、発振器の周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧(周波数ドリフト補償制御電圧)を加算器4に出力する。
周波数ドリフト補償回路3の具体的な構成及び補償動作については後述する。
【0031】
加算器(Adder)4は、温度補償回路1からの温度補償制御電圧とAFC回路2からの発振周波数制御電圧と周波数ドリフト補償回路3からの周波数ドリフト補償制御電圧とを加算し、電圧可変容量素子7a,7bに出力する。
尚、加算器4における加算は、各入力電圧を重み付けして加算するようにしてもよい。
【0032】
水晶振動子5は、水晶片とその水晶片を挟む電極とを備え、水晶振動子の両端からみた負荷容量との共振周波数にて発振する。
インバータIC(Integrated Circuit)6は、水晶振動子5で発振された周波数を増幅し、位相を反転させてバッファ8に出力する。
【0033】
電圧可変容量素子(Vc)7a,7bは、例えば、バリキャップダイオードで構成され、印加される電圧に応じて容量を可変にし、発振周波数を調整する。
具体的には、電圧可変容量素子7aは、加算器4からの出力電圧が印加され、当該電圧に応じた容量を発生し、水晶振動子の負荷容量を可変にし、発振周波数を調整する。
また、電圧可変容量素子7bは、加算器4からの出力電圧が印加され、当該電圧に応じた容量を発生し、水晶振動子の負荷容量を可変にし、発振周波数を調整する。
【0034】
バッファ(Buff)8は、信号増幅器であり、インバータIC6からの発振信号を増幅して出力端子9に出力する。
出力端子9は、本発振器の発振信号を出力する端子である。
定電圧回路10は、発振器電源電圧Vccが供給され、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にするものであり、周波数制御機能付き温度補償発振回路内の必要な各部に定電圧を供給している。
【0035】
[周波数ドリフト補償回路:図2]
次に、周波数ドリフト補償回路3について図2を参照しながら説明する。図2は、周波数ドリフト補償回路の回路図である。
周波数ドリフト補償回路は、図2に示すように、定電流源回路31と、コンデンサ32と、増幅器(AMP)33と、ダイオード30とを備えている。
【0036】
定電流源回路31は、印加される電圧に対して定電流を発生させる回路であり、定電流をコンデンサ32の一端に出力している。
コンデンサ32は、一端が定電流源回路31からの定電流を入力し、他端が接地されている。
ダイオード30は、コンデンサ32の両端の電圧を制限し、アノードは定電流回路31とコンデンサ32との間に接続され、他端のカソードは接地されている。
【0037】
増幅器(AMP)33は、コンデンサ32の一端側に入力端子が接続し、第1の発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)の発振器電源34から供給される発振器電源電圧Vccに応じた増幅率(Gain)で増幅を行い、加算器4に出力する。
【0038】
[増幅器のゲイン特性:図3]
増幅器33のゲイン特性について図3を参照しながら説明する。図3は、増幅器(AMP)のゲイン特性を示す図である。
増幅器33のゲイン特性は、図3に示すように、電源電圧が大きくなればゲインも同様に大きくなるようになっている。
【0039】
[周波数ドリフト補償回路の出力電圧特性:図4]
また、周波数ドリフト補償回路3の出力電圧特性について図4を参照しながら説明する。図4は、周波数ドリフト補償回路の出力電圧特性を示す図である。図4では、ゲインが大、中、小の場合で、時間に対する出力電圧を示している。
TCXO電源34からの電圧が高い程、増幅器33のゲインは大きくなる。そして、周波数ドリフト補償回路3からの出力電圧は、増幅器33のゲインが大きい程、高い出力電圧になり、ゲインが小さいと低い出力電圧となる。
【0040】
[周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性:図5]
次に、周波数ドリフト補償回路3の補正周波数を図5に示す。図5は、周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性を示す図である。図5では、ゲインが大、中、小の場合で、時間に対する周波数を示している。
周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性は、図5に示すように、増幅器33のゲインが小さい程、周波数変化幅が小さく、ゲインが大きい程、周波数変化幅が大きくなっている。
【0041】
[周波数ドリフト特性:図6]
周波数ドリフト特性を図6に示す。図6は、従来の周波数ドリフト特性を示す図である。
周波数ドリフト特性は、従来技術でも説明したように、図6では、発振器電源電圧が大きくなると、消費電力が増えて発熱量が増加する程、ドリフトする量が大きくなる(周波数ドリフト特性は悪化する)。また、発振器電源電圧が小さくなると、消費電力が減って発熱量が減少し、ドリフトする量も小さくなることが分かる。
【0042】
[周波数ドリフト補償後特性:図7]
次に、周波数ドリフト補償後の特性を図7に示す。図7は、周波数ドリフト補償後特性を示す図である。
図6に示す周波数ドリフト特性に対して、図5に示す周波数ドリフト補償回路の補正周波数特性で補正すれば、図7に示す補償後の特性が得られる。つまり、図7は、図5と図6を掛け合わせた特性である。
図7では、電源電圧の大きさ(消費電力)に応じて周波数ドリフト補償回路3が周波数ドリフト特性の補償を行うため、発振器電源電圧の大小に拘わらず、周波数ドリフト補償後の特性は早期に安定し、一定となる。
尚、図5〜図7における横軸の時間は、Logで表している。
【0043】
[第2の水晶発振器:図8]
次に、本発明の別の実施形態である第2の水晶発振器について図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る第2の水晶発振器の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る第2の水晶発振器(第2の発振器)は、図8に示すように、温度補償回路1と、AFC回路2と、周波数ドリフト補償回路3と、水晶振動子5と、インバータIC6と、電圧可変容量素子(Vc)7a,7b,7c,7dと、バッファ(Buff)8と、出力端子9と、定電圧回路10と、加算器11と、増幅器12とを基本的に有している。
尚、第2の発振器の各部は、基本的には、第1の発振器の各部と同様になっている。図1に示した各部について説明を省略ずる。
また、破線で囲んだ部分が、周波数制御機能付き温度補償発振回路である。
【0044】
そして、インバータIC6の入力側は、コンデンサC1,C2の一端に接続し、コンデンサC1の他端は電圧可変容量素子7cの一端に、コンデンサC2の他端は電圧可変容量素子7aの一端に接続し、電圧可変容量素子7cの他端と電圧可変容量素子7aの他端は接地されている。
また、インバータIC6の出力側は、コンデンサC3,C4の一端に接続し、コンデンサC3の他端は電圧可変容量素子7bの一端に、コンデンサC4の他端は電圧可変容量素子7dの一端に接続し、電圧可変容量素子7bの他端と電圧可変容量素子7dの他端は接地されている。
【0045】
定電圧回路10は、発振器電源電圧Vccが供給され、発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にするものであり、周波数制御機能付き温度補償発振回路内の必要な各部に定電圧を供給している。
加算器11は、温度補償回路1の出力電圧(温度補償制御電圧)とAFC回路2の出力電圧(発振周波数制御電圧)を加算して、コンデンサC2の他端と電圧可変容量素子7aの一端との間に高周波阻止抵抗R1を介して印加すると共に、コンデンサC3の他端と電圧可変容量素子7bの一端との間に高周波阻止抵抗R2を介して印加している。
【0046】
増幅器12は、周波数ドリフト補償回路3からの出力電圧(周波数ドリフト補償制御電圧)を増幅し、コンデンサC1の他端と電圧可変容量素子7cの一端との間に高周波阻止抵抗R4を介して印加すると共に、コンデンサC4の他端と電圧可変容量素子7dの一端との間に高周波阻止抵抗R3を介して印加している。
【0047】
電圧可変容量素子7aの容量を、電圧可変容量素子7aの一端に印加される加算器11からの出力電圧によって調整し周波数を可変させ、電圧可変容量素子7bの容量を、電圧可変容量素子7bの一端に印加される加算器11からの出力電圧によって調整し周波数を可変させる。
【0048】
また、電圧可変容量素子7cの容量を、電圧可変容量素子7cの一端に印加される増幅器12からの出力電圧によって調整し周波数を可変させ、電圧可変容量素子7dの容量を、電圧可変容量素子7dの一端に印加される増幅器12からの出力電圧によって調整し周波数を可変させる。
【0049】
第2の発振器も第1の発振器と同様に、周波数ドリフト補償回路3が周波数ドリフト特性を補償するための消費電力に応じた補正周波数特性を出力して周波数ドリフト特性を補償し、発振器の起動を早期に安定化できるものである。
【0050】
[周波数ドリフト補償回路の一例:図9]
次に、周波数ドリフト補償回路の一例について図9を参照しながら説明する。図9は、周波数ドリフト補償回路の一例の回路図である。
周波数ドリフト補償回路は、図9に示すように、抵抗35と、Pチャンネル電界効果型トランジスタ(FET)36,37と、コンデンサ38と、ダイオード30と、増幅器(AMP)39とを有している。
尚、図9の周波数ドリフト補償回路は、図1の周波数ドリフト補償回路3又は図8の周波数ドリフト補償回路3に適用することができる。
【0051】
電源電圧VccがFET36のソースとFET37のソースに印加されている。また、抵抗35の一端がFET36のドレインとFET36及びFET37のゲートに接続している。FET36のゲートとFET37のゲートは接続している。
抵抗35の他端は接地され、FET37のドレインはAMP39の入力に接続すると共にコンデンサ38の一端に接続し、コンデンサ38の他端が接地されている。
【0052】
ダイオード30は、コンデンサ38の両端の電圧を制限し、アノードはFET37のドレインに接続され、他端のカソードは接地されている。
ここで、抵抗35の値を調整することにより、及びFET36,FET37のサイズ比を調整することにより、FET37に流れる電流の値を調整することで、周波数ドリフト特性に対する補正特性を調整する。
【0053】
図9の別の周波数ドリフト補償回路は、図2の周波数ドリフト補償回路における定電流源回路31を抵抗35,FET36,37を用いて実現したものであり、コンデンサ38の入力は定電流で、電源電圧Vccの変動が反映された定電流となっている。つまり、AMP39の出力は、電源の消費電力に応じた周波数ドリフト補償電圧となる。
よって、図2のAMP33ではゲインの調整が必要であったが、図9のAMP39では、ゲインの調整は必要ではない。但し、電源電圧を定電圧とし、AMP39で発振器電源電圧に応じてゲイン調整を行ってもよい。また、適宜、反転出力としてもよい。
【0054】
[応用例]
第1の発振器では、温度補償回路1からの出力電圧と、AFC回路2からの出力電圧と、周波数ドリフト補償回路3からの出力電圧を加算器4で加算して可変容量素子7a,7bに出力しているが、加算器4を削除して、各出力電圧を直接に可変容量素子7a,7bに出力してもよい。
また、第1の発振器で、温度補償回路1を備えていない構成、又はAFC回路2を備えていない構成、若しくは両方を備えていない構成であってもよい。温度補償回路1とAFC回路2の両方を備えていない場合、加算器4は不要となる。
【0055】
第2の発振器では、温度補償回路1からの出力電圧と、AFC回路2からの出力電圧とを加算器4で加算して可変容量素子7a,7bに出力しているが、加算器11を削除して、各出力電圧を直接に可変容量素子7a,7bに出力してもよい。
また、第2の発振器で、温度補償回路1を備えていない構成、又はAFC回路2を備えていない構成、若しくは両方を備えていない構成であってもよい。温度補償回路1又はAFC回路2の一方を備えていない場合と、温度補償回路1とAFC回路2の両方を備えていない場合は、加算器11は不要となる。
【0056】
[実施の形態の効果]
第1,2の発振器によれば、温度補償回路1からの温度補償制御電圧、AFC回路2からの発振周波数制御電圧、周波数ドリフト補償回路3からの消費電力に応じた周波数ドリフト補償電圧に応じた電圧が電圧可変容量素子7a,7b又は7a〜7dに供給されるようになっているので、周波数ドリフト補償回路3によって消費電力に応じて周波数ドリフト特性が補償され、発振器の起動を早期に安定化できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、消費電力に応じて周波数ドリフト補償量を調整し、発熱による周波数ドリフト特性を補償する水晶発振器に好適である。
【符号の説明】
【0058】
1...温度補償回路、 2...AFC(Auto Frequency Control)回路、 3...周波数ドリフト補償回路、 4...加算器(Adder)、 5...水晶振動子、 6...インバータIC(Integrated Circuit)、 7a,7b,7c,7d...電圧可変容量素子(Vc)、 8...バッファ(Buff)、 9...出力端子、 10...定電圧回路、 11...加算器、 12...増幅器、 30...ダイオード、 31...定電流源回路、 32...コンデンサ、 33...増幅器(AMP)、 34...電源、 35...抵抗、 36...電界効果型トランジスタ(FET)、 37...電界効果型トランジスタ(FET)、 38...コンデンサ、 39...増幅器(AMP)、 R1〜R4...高周波阻止抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、
入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、
前記温度補償回路からの出力と、前記周波数制御回路からの出力と、前記周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて前記電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする水晶発振器。
【請求項2】
発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にする定電圧回路を備え、
周波数ドリフト補償回路が、周波数ドリフト特性を前記発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力することを特徴とする請求項1記載の水晶発振器。
【請求項3】
周波数ドリフト補償回路は、定電流源回路と、前記定電流源回路に一端が接続し、他端が接地するコンデンサと、前記定電流回路にアノードを接続し、カソードを接地し、前記コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードと、前記定電流源回路と前記コンデンサとを接続する線から引き出された信号を増幅して周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の水晶発振器。
【請求項4】
周波数ドリフト補償回路は、第1のPチャネル電界効果型トランジスタと、第2のPチャネル電界効果型トランジスタと、周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを備え、
前記第1のPチャネル電界効果型トランジスタのドレイン、ゲート及び前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのゲートは抵抗を介して接地され、前記第1のPチャネル電界効果型トランジスタのソース及び前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのソースには電源電圧が印加され、前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのドレインはコンデンサを介して接地されると共に前記増幅器の入力に接続され、前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのドレインにアノードを接続し、カソードを接地し、前記コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の水晶発振器。
【請求項5】
周波数ドリフト補償回路は、増幅器における発振器電源電圧に応じて利得を調整することで、周波数ドリフト特性を補償することを特徴とする請求項3又は4記載の水晶発振器。
【請求項6】
周波数ドリフト補償回路に供給される電源電圧は、発振器電源電圧に接続していることを特徴とする請求項4記載の水晶発振器。
【請求項7】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、
前記温度補償回路からの出力と、前記周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて前記電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする水晶発振器。
【請求項8】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、
前記周波数制御回路からの出力と、前記周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて前記電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする水晶発振器。
【請求項9】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を前記電圧可変容量素子に出力する周波数ドリフト補償回路とを有することを特徴とする水晶発振器。
【請求項10】
発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にする定電圧回路を備え、
周波数ドリフト補償回路が、周波数ドリフト特性を前記発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか記載の水晶発振器。
【請求項1】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、
入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、
前記温度補償回路からの出力と、前記周波数制御回路からの出力と、前記周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて前記電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする水晶発振器。
【請求項2】
発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にする定電圧回路を備え、
周波数ドリフト補償回路が、周波数ドリフト特性を前記発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力することを特徴とする請求項1記載の水晶発振器。
【請求項3】
周波数ドリフト補償回路は、定電流源回路と、前記定電流源回路に一端が接続し、他端が接地するコンデンサと、前記定電流回路にアノードを接続し、カソードを接地し、前記コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードと、前記定電流源回路と前記コンデンサとを接続する線から引き出された信号を増幅して周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の水晶発振器。
【請求項4】
周波数ドリフト補償回路は、第1のPチャネル電界効果型トランジスタと、第2のPチャネル電界効果型トランジスタと、周波数ドリフト特性を補償する制御電圧を出力する増幅器とを備え、
前記第1のPチャネル電界効果型トランジスタのドレイン、ゲート及び前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのゲートは抵抗を介して接地され、前記第1のPチャネル電界効果型トランジスタのソース及び前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのソースには電源電圧が印加され、前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのドレインはコンデンサを介して接地されると共に前記増幅器の入力に接続され、前記第2のPチャネル電界効果型トランジスタのドレインにアノードを接続し、カソードを接地し、前記コンデンサの両端の電圧を制限するダイオードを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の水晶発振器。
【請求項5】
周波数ドリフト補償回路は、増幅器における発振器電源電圧に応じて利得を調整することで、周波数ドリフト特性を補償することを特徴とする請求項3又は4記載の水晶発振器。
【請求項6】
周波数ドリフト補償回路に供給される電源電圧は、発振器電源電圧に接続していることを特徴とする請求項4記載の水晶発振器。
【請求項7】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
温度補償を行う制御電圧を出力する温度補償回路と、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、
前記温度補償回路からの出力と、前記周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて前記電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする水晶発振器。
【請求項8】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
入力信号によって周波数を制御する周波数制御回路と、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を出力する周波数ドリフト補償回路とを有し、
前記周波数制御回路からの出力と、前記周波数ドリフト補償回路からの出力とが加算されて前記電圧可変容量素子に出力されることを特徴とする水晶発振器。
【請求項9】
水晶振動子と、前記水晶振動子に並列に接続される増幅器と、前記増幅器に接続される電圧可変容量素子とを有する発振器であって、
周波数ドリフト特性を消費電力に応じて補償する制御電圧を前記電圧可変容量素子に出力する周波数ドリフト補償回路とを有することを特徴とする水晶発振器。
【請求項10】
発振器電源電圧の変動に対して発振器消費電流を概略一定にする定電圧回路を備え、
周波数ドリフト補償回路が、周波数ドリフト特性を前記発振器電源電圧に応じて補償する制御電圧を出力することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか記載の水晶発振器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−161069(P2012−161069A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238325(P2011−238325)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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