説明

水栓装置

【課題】手元操作で且つ小さな操作力で軽やかに吐止水操作を行うことのできる水栓装置を提供する。
【解決手段】カウンターから起立した状態で設けられた吐水管の先端部をシャワーヘッド16として構成して成る水栓装置において、シャワーヘッド16の先端側に押ボタン式の吐止水操作部22を斜め上向きに手元操作部として設け、且つ手元操作部に対応した吐止水弁として主弁42と主弁42の動作を制御するパイロット弁78とを設ける。そしてパイロット弁78をシャワーヘッド16の内部に組み込むとともに、水栓装置内部にはパイロット水路46、及び主弁の背面側に背圧室44を形成し、パイロット弁78を吐止水操作部22により開閉動作させるようになす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の吐水装置として図14に示したものが知られている。このものは、シャワーヘッド300に設けた吐止水操作部328の操作摘み330を回転操作することで弁体332を軸方向に移動させ、そしてこれを弁座334に当接させ或いは離間させることによって主水路308を開閉し、吐水口336からの吐水及び止水を行うようになしたものである。
尚この例の吐水装置の場合、弁体332を閉弁させるとシャワーホース304の上流部に配設してある主弁312も閉弁する。
【0003】
この例の吐水装置にあっては、シャワーヘッド300を手に持ちながら手元操作により吐止水を行うことができる。
しかしながらこの吐水装置の場合、手元操作部としての吐止水操作部328が、大流量で水を流通させる主水路308を直接開閉するものであることから操作が重くなる問題がある。
【0004】
尚、同じく浴室の吐水装置に関する公知技術として、下記特許文献1に開示されたものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−197552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情を背景とし、手元操作で且つ小さな操作力で軽やかに吐止水操作を行うことのできる水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して請求項1のものは、カウンターから起立した状態で設けられた吐水管の先端部をシャワーヘッドとして構成し、該シャワーヘッドをシャワーホースとともに引き出して吐水口から吐水可能となした水栓装置において、前記吐水口からの吐水と止水とを行うための押ボタン式の吐止水操作部を前記シャワーヘッドの先端側に斜め上向きに手元操作部として設け、且つ該手元操作部に対応した吐止水弁を設けるともに、該吐止水弁は、主水路を開閉する主弁と該主弁の動作を制御するパイロット弁とを有するものとなして、該パイロット弁を前記シャワーヘッドの内部に組み込んであり、前記水栓装置内部には該パイロット弁により開閉されるパイロット水路、及び前記主弁の背面側に配置されて該パイロット水路と連通し、該主弁の上流に連通する小孔を有する背圧室を形成し、該パイロット弁を前記吐止水操作部により開閉動作させるようになしてあることを特徴とする。
【0008】
請求項2のものは、請求項1に記載の水栓装置において、前記吐止水操作部が前記シャワーヘッドの軸方向の先端面に且つ該軸方向に押込可能に設けてあることを特徴とする。
【0009】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかに記載の水栓装置において、前記シャワーヘッドに、吐水流量の調節を行うための流調操作部が手元操作部として設けてあり、且つ該流調操作部に対応した流調弁が前記シャワーヘッド内に設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0010】
上記のように請求項1の水栓装置は、吐水管の先端部をシャワーヘッドとして構成して、そのシャワーヘッドに押ボタン式の吐止水操作部をシャワーヘッドの先端側に斜め上向きに手元操作部として設けるとともに、対応した吐止水弁として、主水路を開閉する主弁とその動作を制御するパイロット弁とを設けるとともに、水栓装置内部にはパイロット弁により開閉されるパイロット水路、及び主弁の背面側に配置されてパイロット水路と連通する背圧室を形成して、そのパイロット弁をシャワーヘッドの内部に組み込み、そしてそのパイロット弁を吐止水操作部の操作により開閉動作させて主弁を開閉し、吐止水を行うようになしたもので、この水栓装置にあっては、小さな操作力で軽やかに吐水口からの吐止水操作を行うことができる。
またそのパイロット弁がシャワーヘッドの内部に組み込んであるため、吐止水操作部の近くに対応する弁が位置することとなり、操作部及び弁の構造を簡単な構造となすことができ、併せて組付け性も良好となすことができる。
【0011】
本発明では、上記のように吐止水操作部を押ボタン式の操作部となしてある。
吐止水操作部は単に吐水操作と止水操作とを行うだけのものであるため、即ちオン・オフ操作するだけのものであるため、これを押ボタン式とすることが容易であって、しかもそのようにしたとき吐止水操作をワンタッチで簡単に行うことができる。
【0012】
この場合において吐止水操作部は、操作力の入力部である操作部材と、これを押し込むごとにパイロット弁を閉弁位置と開弁位置とに交互に保持するロック機構を有するように構成しておくことができる。
このようにすれば、押込力を加え続けなくても吐水状態と止水状態とを維持することができ、操作が簡単となる。
【0013】
本発明では、上記吐止水操作部をシャワーヘッドの軸方向の先端面に且つ軸方向に押込可能に設けておくことができる(請求項2)。
【0014】
請求項3のものは、シャワーヘッドに吐水流量の調節を行うための流調操作部を手元操作部として設けるとともに、その流調操作部に対応した流調弁をシャワーヘッド内に設けたもので、この請求項3の水栓装置の場合、吐水口からの吐止水のみならず吐水流量の調節も手元操作することができ、水栓装置の利便性を飛躍的に高めることができる。
またこの請求項3では、互いに対応した流調操作部と流調弁とがシャワーヘッドに設けてあるため、流調操作部及び流調弁の構造を簡単な構造となすことができ、併せて組付性も良好となすことができる。
【0015】
ここで流調操作部は、これを回転運動を行うダイヤル式のものとなしておくことができる。
更にこの流調弁は、流調操作部の回転に伴って回転運動を行う円筒形状の弁、詳しくは周方向に開口を有する弁と成しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1,図2は本発明の実施形態としてのキッチン水栓装置を示したものである。
図中10はキッチンカウンターで、12はシンクである。
14はキッチンカウンター10から起立する状態で設けられた吐水管で、その先端部がシャワーヘッド16として構成されている。
【0017】
このシャワーヘッド16には、吐水口18からの吐水をシャワー吐水から整流吐水に若しくはその逆に切替操作する切替操作部20が備えられている。
更にまたこのシャワーヘッド16には、吐水口18からの吐水と止水を行うための吐止水操作部22及び吐水口18からの吐水流量を調節する流調操作部24が備えられている。
【0018】
26はキッチンカウンター10に取り付けられた湯水の混合部(水栓本体)で、水と湯の供給管28が接続されており、それらを通じて水及び湯が内部に供給されるようになっている。
この混合部26には水と湯の混合比率を調節する温調操作部30が設けられており、この温調操作部30がキッチンカウンター10の上面に露出している。
【0019】
上記シャワーヘッド16にはシャワーホース32が接続されており、このシャワーホース32がキッチンカウンター10の下側において上記混合部26に接続されている。
尚、図2に示しているようにシャワーホース32の端部には継手管34が接続されており、この継手管34が混合部26の接続口に差込状態で連結されている。
【0020】
シャワーヘッド16及びシャワーホース32の内部には、図3に示しているように大流量で水を流通させる主水路36が形成されており、その主水路36に沿ってその中心部に可撓性のチューブ38が挿入配置されている。
チューブ38は、その一端部が継手管34内部に組み込まれたピストン式の主弁42にパイプ40を介して接続されている。
【0021】
主弁42はその内部に水路を有しており、この主弁42,パイプ40及びチューブ38内部の水路によって、主弁42の背面側に形成された背圧室44に連通するパイロット水路46が形成されている。
ここで背圧室44は小孔47を介して主水路36の上流部、詳しくは背圧室44の上流部に連通している。
【0022】
主弁42はピストン部48を有していて、そのピストン部48が円筒形の摺動面50に摺動可能に嵌合されており、そして先端側の当接部52が継手管34に形成された弁座54に当接し又はこれから離間することによって、主水路36を閉鎖し又は開放する。
【0023】
継手管34の内部にはまた、主弁42より上流側、詳しくは主弁42による主水路36の開閉部位よりも上流側にピストン式の減圧弁56が組み込まれている。
減圧弁56は大径のピストン部58を有しており、そのピストン部58が円筒形の摺動面60に摺動可能に嵌合されている。
【0024】
この減圧弁56はその下流部分、詳しくは主水路36における減圧弁56の配設部位よりも下流部分の圧力が上昇して一定圧に達したとき、上流部と下流部とに対する受圧面積の差によって図中下向きに押動され、図8に拡大して示しているようにその当接部66を弁座62に接近又は当接させることによって、主水路36を絞り又は主弁42の上流側で閉鎖する。
【0025】
即ち減圧弁56は、主水路36を絞り又は閉鎖することによって、これより下流側の主水路36内の圧力をその上流側(一次側)の給水圧よりも低い圧力状態(減圧状態)に保つ働きをする。
尚この減圧弁56は、スプリング64により常時開弁方向に付勢されている。
また継手管34の端部にはねじ式の接続口68が設けられている。
【0026】
シャワーヘッド16には、円筒形状の弁から成る流量調節弁70が、流調操作部24と一体回転する状態で組み込まれている。
この流量調節弁70は主水路36の水の流量を調節するもので、周方向に略楔状をなす開口72、即ち周方向に進むにつれて開口幅が漸次変化する開口72を有している。
一方シャワーヘッド16(厳密にはシャワーヘッド16における本体側)には、主水路36と吐水口18とを連通させる円形の開口74が形成されている。
【0027】
本例において、主水路36からの水はそれら開口72,74を経て吐水口18へと流れ出す。
従って図11及び図12に示しているように流量調節弁70が流調操作部24とともに回転して開口72の位置が変化することで、吐水口18からの吐水流量が大→小へ若しくはその逆に変化せしめられる。
【0028】
上記吐止水操作部22は、この例では押ボタン式のもので図4にも示しているように逆カップ状をなす操作部材76と、操作部材76を押し込むごとにパイロット水路46を開閉するためのパイロット弁78を閉弁位置と開弁位置とに交互に保持するロック機構80とを有している。
【0029】
尚、パイロット弁78は軸状の当接部82を有しており、その当接部82がチューブ38端部の装着部材84(図10参照)の弁座86に当接することによってパイロット水路46を閉鎖し(図4(A)参照)、また弁座86から離間することによってパイロット水路46を開放する(図4(B)参照)。
【0030】
本例において、ロック機構80はスラストロック式のもので外筒88と、その内周面に突出する状態で形成された円筒形状のガイド部90(図9参照)とを有している。
ガイド部90は、上端面に沿って周方向に鋸刃状の係合歯92を有しており、更に周方向に沿って所定間隔ごとに複数の溝94を有している。
【0031】
一方、パイロット弁78には大径の固定リング96と回転リング98とが設けられている。
回転リング98は軸部100の周りに回転可能とされており、更に軸部100に設けられたストッパ部102と固定リング96との間で微小ストローク上下に相対移動可能とされている。
【0032】
固定リング96の外周面には周方向に一定間隔で突起104が設けられており、その上端に係合歯106が形成されている。
他方、回転リング98にも周方向に沿って一定間隔ごとに突起108が設けられており、そしてそれら突起108を含む回転リング98下端部に、周方向に沿って鋸刃状の係合歯110が形成されている。
【0033】
尚、図3,図4に示しているようにパイロット弁78は回転リング98の上面においてスプリング112により常時下向きに付勢されており、またロック機構80の外筒88はスプリング114により常時上向きに付勢されている。
【0034】
この例のスラストロック式のロック機構80は次のように作用する。
図9(B)(I)はパイロット弁78がチューブ38端部の装着部材84の弁座86に当接した状態、即ちパイロット水路46を閉鎖した状態を示している。
【0035】
この状態において操作部材76及びロック機構80の外筒88をスプリング112及び114の付勢力に抗して下向きに押し込むと、図9(B)(II)に示しているようにパイロット弁78の回転リング98がガイド部90の溝94から外れた状態となり、ここにおいて回転リング98が、固定リング96側の突起104の係合歯106と回転リング98側の係合歯110のカム面の作用で微小角度反時計方向に回転させられる。
【0036】
その後押込力を除くと、スプリング114の付勢力でガイド部90が外筒88とともに上昇運動し、このときガイド部90の上端の係合歯92と回転リング98の係合歯110とが一部噛み合った状態となる。
【0037】
更にガイド部90が上向きに押し上げられると、回転リング98が固定リング96から浮き上がるとともにそれら係合歯92,110のカム面の作用で回転リング98が更に微小角度反時計方向に回転させられてガイド部90の係合歯92と回転リング98の係合歯110とが完全に噛み合った状態となり(図9(B)(III)参照)、これとともに回転リング98とストッパ部102との当接作用で回転リング98,固定リング96を含むパイロット弁78全体が上昇端まで上昇させられてその上昇端に保持される。即ちパイロット弁78が開弁位置に保持される。
ここにおいてパイロット水路46が開放状態とされてピストン式の主弁42が開かれ、主水路36内を水が流通する。
【0038】
さて再び操作部材76を押込操作すると、これとともにロック機構80の外筒88及びガイド部90が下向きに移動し、ここにおいて回転リング98の係合歯110とガイド部90の係合歯92との噛合いが外れるとともに、スプリング112の付勢力でパイロット弁78における固定リング96の係合歯106と回転リング98の係合歯110とが接触し(図9(B)(IV),(V)参照)、更にガイド部90が下降して回転リング98が自由回転状態になると、固定リング96及び回転リング98の各係合歯106,110のカム面の作用により回転リング98が微小角度反時計方向に回転させられ、そしてそれら係合歯106及び110が完全に噛み合ったところで回転リング98の回転が停止する(図9(B)(VI)参照)。
【0039】
その後操作力を除くことによって、(VII)に示しているようにガイド部90がスプリング114の付勢力で上向きに移動すると、回転リング98が浮き上った後、ガイド部90の係合歯92と回転リング98の係合歯110とのカム面の作用で回転リング98が微小角度回転した上で、回転リング98の突起108が固定リング96の突起104とともにガイド部90の溝94に嵌り合い、続いてスプリング112及び114の付勢力でそれら突起104,108が外筒88の上昇運動を伴って溝94の底部まで落ち込む(図9(B)(VIII)参照)。ここにおいてパイロット弁78が再びパイロット水路46を閉鎖した状態となる。
尚このロック機構自体は従来公知であるのでここでは更に詳しい説明は省略する。
【0040】
尚、図4に示しているようにパイロット弁78と主水路36との間のシールは、主水路36の端部に設けられたプラグ116(図10参照)内周面のパッキンによって行われている。
【0041】
本例のキッチン水栓装置の場合、吐止水操作部22を押込操作すると、パイロット弁78が図3に示す閉弁状態から図5に示すように開弁動作し、ここにおいてパイロット水路46が開かれ、続いて背圧室44の圧力が低下することにより主弁42が開弁動作する。
これによりシャワーヘッド16の先端部まで水が主水路36を通じて供給され、続いて流量調節弁70,シャワーヘッド16の開口72,74を通じた後、吐水口18から吐水される。
図6はこのときの状態を示している。
【0042】
尚、図6の状態では流量調節弁70がいっぱいまで開かれており、吐水口18からは最大流量で水が吐水される。
さてこの状態で流調操作部24を回転操作し開口72を漸次狭めて行くと、これに伴って吐水口18からの吐水流量が減少変化する(図7(I)参照)。
【0043】
図7(II)は吐水口18からの吐水流量を最も絞った状態を表している。
このような状態の下では、上記減圧弁56を設けておかないとシャワーヘッド16先端部まで、詳しくは主水路36の先端部まで一次給水圧が導かれてシャワーホース32内に大きな圧力が篭った状態となってしまい、またこれに伴ってシャワーホース32が硬くなってしまい、自由に曲り難くなる。
【0044】
しかるに本例のキッチン水栓装置においては主弁42の上流側に減圧弁56が設けられており、その減圧弁56の配設部位よりも下流部分の主水路36内部の圧力が高まって来ると、即ちシャワーホース32内部の圧力が上昇してくるとその減圧弁56が閉弁方向に動作し、主水路36を絞り又は減圧弁56の上流部と下流部とで遮断する。
【0045】
これにより減圧弁56よりも下流側の主水路36内部の圧力が給水圧に対し一定圧低い減圧状態に保たれ、従って主弁42を開いた状態の下で流量を絞った場合においても、シャワーホース32内部に過大な圧力が篭ってシャワーホース32が硬くなってしまうのが有効に防止される。
【0046】
また本例のキッチン水栓装置では主弁42がシャワーホース32よりも上流部に配設してあるため、更には吐止水操作部22の止水操作によりパイロット水路46を閉鎖し、背圧室44の圧力を高めることでその主弁42を閉弁させ、これにより吐水口18からの吐水を止めるようにしているため、止水状態においてその主弁42よりも下流側の主水路36内部全体を大気開放状態とすることができ、シャワーホース32及びシャワーヘッド16内の主水路36内に圧力が篭ったり水が滞留したりするのを防ぐことができる。
【0047】
更に本例のものは主弁42と減圧弁56とをシャワーホース32に接続された継手管34の内部に組み込んでいるため、従来の水栓本体(混合部26)を何ら改変する必要がなく、また吐水装置の組付性も良好となる。
【0048】
本例のキッチン水栓装置によれば、吐水口18からの吐止水のみならず流量調節をも手元操作することができ、吐水装置の利便性を飛躍的に高めることができる。
【0049】
しかもこのキッチン水栓装置の場合、吐止水操作部22と流調操作部24及びそれらに対応するパイロット弁78と流量調節弁70とが別々に設けてあるため、吐止水操作を行う度に流量調節をその都度行わなければならないといった面倒がない利点を有する。
【0050】
このキッチン水栓装置にあっては、吐水口18からの吐水量が所望水量となるように流調操作部24を操作したとき、その状態を維持したままで吐止水操作部22によって止水操作を行うことができ、従ってその後再び吐水を行ったとき自動的に吐水口18から所望流量で吐水を行わせることができる。
【0051】
また本例のキッチン水栓装置は、主弁42の動作を制御するパイロット弁78を閉弁動作させて止水を行うようにしているため、小さな操作力で軽やかに吐水口18からの吐止水操作を行うことができるとともに、パイロット弁78及び流量調節弁70がシャワーヘッド16の内部且つ吐止水操作部22及び流調操作部24近くに配設してあるため、各操作部と対応する弁とを直接作動的に連結することができそれら操作部及び弁の構造を簡単な構造と成すことができ併せて組付け性も良好となすことができる。
【0052】
更に本例では吐止水操作部22を押ボタン式となしているため、吐止水操作をワンタッチで極めて簡単に行うことができる。
【0053】
以上は大流量で水を流通させる主水路36と、主水路36を開閉する主弁42の動作制御用のパイロット水路46及びパイロット弁72を設けた場合の例であるが、主水路36のみを設けておき、その主水路36を吐止水弁によって吐止水し、また主水路内の流量を流量調節弁で調節するようになすことも可能である。
【0054】
図13はその一例(本発明の参考例)を示している。
同図において、136は弁座138に当接し又はこれから離間することによって主水路36を開閉する吐止水弁で、手元操作部としての吐止水操作部(図示省略)によって開閉操作されるようになっている。
140は流量調節弁で、手元操作部としての流調操作部(図示省略)により軸方向(図中上下方向)に移動操作されることで、主水路36を流通する水流量を調節する。
【0055】
この例において(I)は止水状態を示しており、吐止水弁136は弁座138に当接した状態にあり、主水路36は閉じられている。
この状態において(II)に示しているように吐止水弁136を吐水操作部にて開弁させると、主水路36が開かれて主水路36内を水が流通し、吐水口からの吐水が行われる。
このとき図13(II),(III)に示しているように、吐止水弁136を開いた状態の下で流量調節弁140を軸方向に移動操作することで、主水路36内を流通する水の流量を調節することができる。即ち吐水口18からの吐水流量を調節することができる。
【0056】
この例においても、吐水操作部と流調操作部及びそれらに対応する吐止水弁136と流量調節弁140とが別々に設けてあるため、吐止水操作を行う度に流量調節をその都度行わなければならないといった面倒がない利点を有する。
【0057】
以上本発明の実施形態を詳述したが、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態のキッチン水栓装置の概略全体構成を示す図である。
【図2】図1のキッチン水栓装置の要部を示す図である。
【図3】同じ実施形態のキッチン水栓装置におけるシャワーヘッドと継手管内部の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示すシャワーヘッドの要部を拡大して示す図である。
【図5】図3に示す各部の一作用状態を示す図である。
【図6】図3に示す各部の図5とは異なる一作用状態を示す図である。
【図7】図3に示すシャワーヘッド内部の図5及び図6とは異なる一作用状態を示す図である。
【図8】図3における継手管内部の主弁及び減圧弁の一作用状態を示す図である。
【図9】図3のシャワーヘッドに組み込んだ吐止水操作部におけるロック機構の作用説明図である。
【図10】図3のシャワーヘッド内部のパイロット弁と周辺部の要部分解図である。
【図11】図3の流量調節弁の要部を示す図である。
【図12】図11の流量調節弁の作用説明図である。
【図13】本発明の参考例の要部の作用説明図である。
【図14】従来の浴室の吐水装置の一例の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
14 吐水管
16 シャワーヘッド
18 吐水口
22 吐止水操作部
24 流調操作部
32 シャワーホース
34 継手管
36 主水路
38 チューブ
40 パイプ
42 主弁
46 パイロット水路
56 減圧弁
70,140 流量調節弁
76 操作部材
78 パイロット弁
80 ロック機構
136 吐止水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンターから起立した状態で設けられた吐水管の先端部をシャワーヘッドとして構成し、該シャワーヘッドをシャワーホースとともに引き出して吐水口から吐水可能となした水栓装置において、
前記吐水口からの吐水と止水とを行うための押ボタン式の吐止水操作部を前記シャワーヘッドの先端側に斜め上向きに手元操作部として設け、且つ該手元操作部に対応した吐止水弁を設けるともに
該吐止水弁は、主水路を開閉する主弁と該主弁の動作を制御するパイロット弁とを有するものとなして、該パイロット弁を前記シャワーヘッドの内部に組み込んであり、前記水栓装置内部には該パイロット弁により開閉されるパイロット水路、及び前記主弁の背面側に配置されて該パイロット水路と連通し、該主弁の上流に連通する小孔を有する背圧室を形成し、該パイロット弁を前記吐止水操作部により開閉動作させるようになしてあることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水栓装置において、前記吐止水操作部が前記シャワーヘッドの軸方向の先端面に且つ該軸方向に押込可能に設けてあることを特徴とする水栓装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかに記載の水栓装置において、前記シャワーヘッドに、吐水流量の調節を行うための流調操作部が手元操作部として設けてあり、且つ該流調操作部に対応した流調弁が前記シャワーヘッド内に設けてあることを特徴とする水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−32271(P2007−32271A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244682(P2006−244682)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【分割の表示】特願平11−274334の分割
【原出願日】平成11年9月28日(1999.9.28)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】