説明

水棲生物用の忌避剤と、水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法

【課題】 忌避剤の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、長期に亙って持続させ、さらには経時的に調整可能とした水棲生物用の忌避剤と、水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、海水中の物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤で、水棲生物用の忌避剤は、防藻剤と、多孔質性の多孔質ナイロン樹脂塗料等の多孔性塗料とを混合して創製し、海水中に配置される物体に塗布した後、多孔質性の多孔性塗料の多孔質を利用し、防藻剤を経時的に溶出し、この海藻類等に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤である。水棲生物中の海藻類等の付着防止と、繁殖防止が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水棲生物用の忌避剤と、水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、海水中の生物は、いろいろな化学物質を絶えず溶出し、自分のテリトリ−を守ること、及び他の生物の付着(植生)を防禦(撃退)すること等の自己防衛機能を備えている。これを人工的に創製した技術が、忌避物質及び/又は忌避物質溶剤と考えられる。またこの忌避物質等は万能でなく、各種の植物(海藻類)、又は動物(貝類)により区々であり、その忌避や排除は大変困難と云われており、その研究と実験等も頻繁に行われる状況となった。そして、空気及び/又は海等の汚染による水棲生物の生態系の変化と、水棲生物の生育領域の偏移化等が叫ばれており、地球環境の異変が問題に成りつつある。
以上のような状況から、関連する発明も種々あるので、その代表的な文献をあげる。
【0003】
文献(1)は、特開平6−346416号の「水棲生物の付着防止剤又は付着促進剤の配合方法」であり、その概要は、水棲生物の付着防止剤、促進剤を繊維状、粒状又は粉末状の担体に担持させて物体、被覆材中に含有させる方法であって、水棲生物の付着防止能又は付着促進能を維持することを特徴とする。しかし、この発明は、直接海水中で使用される物体に塗布する構造を採用することは期待できないので問題である。また担体が毛管作用を備えた構造に限定されるので、汎用性に欠ける問題を残している。
【0004】
文献(2)は、特開2002−302494の「トリフェニルボロン誘導体およびその用途」であり、その概要は、水棲汚損生物に対し、防汚成分や塗料用樹脂との混和性及び溶媒への溶解性を向上させた汚損防止剤であって、腔腸動物、貝類、管棲多毛類等の水棲汚損生物に対する優れた付着防止効果を示すトリフェニルボロン含有ポリマ−の原料であり、又は防汚成分として有用であることを特徴とする。しかし、この発明は、塗料用樹脂に多孔質の素材を採用しないので、海水中で経時的に溶出・徐放させ、長期間に亙る忌避効果を持続可能とした水棲生物用の忌避剤ではない。
【0005】
文献(3)は、特開平8−85767号の「防汚塗料」であり、その概要は、構造体表面にスライム層を形成することにより水棲汚損生物が構造体表面に付着するのを防止する防汚塗料であって、水中の有用生物に悪影響を有さず、魚介類に有害物質が蓄積するおそれのないことを特徴とする。しかし、この発明は、汚染塗料が波等の外的要因により削り取られることで、徐々に溶出する構造であるので、海水中で経時的に溶出・徐放させ、長期間に亙る忌避効果を持続可能とした水棲生物用の忌避剤ではない。
【0006】
文献(4)は、特開平5−70716号の「水生生物の付着防止塗料」であり、その概要は、多孔性微粉末に水生(水棲)生物の忌避物質を埋設又は固止させ、忌避成分の溶出を調節できる水生生物の付着防止塗料であって、船底等に塗布して水生生物が付着しないようにするための塗料について忌避成分の溶出速度を調節し、忌避成分のライフをコントロ−ルできることを特徴とする。しかし、この発明は、イオン化傾向の異なる二種以上の金属粉或いは銅粉と吸水性樹脂等を、多孔性微粉末に埋設ないし固着する構成であり、金属粉類の使用は、環境面で少なからず問題があるものと考えられる。
【0007】
文献(5)は、特開2000−63206の「動物の節足動物侵略を制御するための新規のゲル製剤を含有する首輪」である。その概要は、有機溶媒に活性物質の混合物とゲル化剤を含有したゲルと、支持膜に多孔質のポリアミド等の高分子物質を採用することにより得る首輪であって、動物を節足類有害生物から防護することを特徴とする。しかし、この発明は、水棲生物の忌避剤とは、考え方が全く相違すること、また使用に際しては少なからず問題があること等が考えられる。
【0008】
文献(6)は、特開2002−308705の「忌避活性徐放性多孔質微粒子およびその用途」であり、その概要の一例は、徐放性無機多孔質微粒子を含むインキ(溶液)、又はシ−ト・フィルムであって、忌避活性物質を担持する徐放性無機多孔質微粒子による長期の忌避活性効果が図れることで、例えば、ゴキブリ、ダニ等の衛生害虫の忌避活性効果が図れること等を特徴とする。しかし、この発明は、有機溶媒を採用することから、環境問題において改良の余地があること、また衛生害虫の忌避剤であって、一定の分野での忌避効果であること、又は徐放性無機多孔質微粒子による空中徐放であって、海水中で経時的に溶出・徐放させ、長期間に亙る忌避効果を持続可能とした水棲生物用の忌避剤ではない。
【0009】
【特許文献1】特開平6−346416号
【特許文献2】特開2002−302494
【特許文献3】特開平8−85767号
【特許文献4】特開平5−70716号
【特許文献5】特開2000−63206
【特許文献6】特開2002−308705
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の文献(1)〜(6)からは、忌避物質が海水中等において長期に亘り徐々に溶出する構造は期待できないと考えられる。そして、この文献(1)〜(6)は、担体に多孔性物体又は多孔性複合材料(高分子構造体)を採用する構成でないので、忌避剤(忌避物質)を徐々に溶出・徐放させ、長期間に亙る忌避効果を持続可能とした長期的な利用が可能となる忌避剤とは考えられない。尚、前記文献(1)〜(6)は、特定の分野(海中の貝、犬等の動物)の忌避効果を意図するものであり、一定分野の忌避効果であって、水棲生物全般用としての採用には疑問が残り、汎用性に欠けると考えられる。
本発明の目的は、忌避剤の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、長期に亙って持続させ、さらには経時的に調整可能とした水棲生物用の忌避剤と、水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、海水の海藻類、淡水の藻類(海藻類とする)、又は海水の貝類・虫類(貝類とする)、淡水の貝類等の水棲生物の忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料を採用した忌避剤を提供することで、水棲生物中の海藻類等の付着防止と、繁殖防止を図ること、及びこの忌避剤の有効期間(忌避期間)の長期化を図る(多孔性塗料の多孔体を利用して溶出・徐放させ、長期の忌避効果を達成する)こと等を意図する。またこの忌避剤は、環境に配慮した無害の物質の採用を可能とし、環境保護を図ることも意図する。さらに本発明は、主として海水中(海水及び/又は淡水の中に存在することを云う)の海藻類又は貝類の分野での忌避効果を発揮できるようにすることを意図する。
【0012】
請求項1は、海水中(海水、淡水等)で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、前記多孔性塗料の多孔体を利用し、前記忌避物質を海水中で経時的に溶出させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、またその忌避物質を物体に浸透させ、経時的に溶出・徐放させ、忌避効果をさらに長期間に亙って持続可能とすること等を意図する。
【0014】
請求項2は、海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、この忌避物質を前記物体に浸透させ、この浸透させた忌避物質を前記多孔性塗料で隠蔽し、この多孔性塗料の多孔体を利用し、前記浸透させた忌避物質を、海水中で経時的に溶出・徐放させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1・2の目的を達成すること、また物体に浸透させた忌避剤を隠蔽し、経時的に溶出・徐放させ、忌避効果をさらに長期間に亙って持続可能とすること、及び海水で洗われても、この条件下では、忌避剤の急激な拡散を回避すること等を意図する。
【0016】
請求項3は、海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、この忌避物質を前記物体に浸透させ、この浸透させた忌避物質をさらに忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる前記忌避剤で隠蔽し、前記浸透させた忌避物質を、この隠蔽した多孔性塗料の多孔体を利用して、海水中で経時的に溶出・徐放させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤である。
【0017】
請求項4の発明は、忌避物質の塗膜の厚みと、粘度の調整(忌避物質の混合比)を利用し、忌避物質の有効期間の調整(多孔性塗料の多孔体を利用して、溶出・徐放期間の調整)を図ること、この調整を介して使用する環境と、場所或いは時期等に順応した使用を図ること等を意図する。
【0018】
請求項4は、請求項1記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、
忌避剤を海水中で使用される物体に塗布し、前記忌避剤の多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、前記忌避物質の塗布量の調整及び/又は前記忌避物質の混合比の調整からなる溶出調整手段で調整し、当該忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法である。
【0019】
請求項5の発明は、忌避物質の浸透深さと、塗膜の厚み、粘度の調整(忌避物質と多孔性塗料との混合比)を利用し、物体への浸透力を発揮して、忌避物質の有効期間の調整(多孔性塗料の多孔体及び/又は浸透塗布(含浸塗布)を利用して、溶出・徐放期間の調整)を図ること、この調整を介して使用する環境と、場所或いは時期等に順応した使用を図ること等を意図する。
【0020】
請求項5は、請求項2記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、
忌避剤の忌避物質を海水中で使用される物体に浸透させるとともに、前記忌避剤の多孔性塗料で隠蔽し、前記忌避剤の多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、この忌避物質の浸透深さの調整、前記忌避物質を隠蔽した多孔性塗料の塗布量の調整、浸透させる忌避物質の量の調整からなる溶出調整手段の内、少なくとも一つの溶出調整手段で調整し、前記忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法である。
【0021】
請求項6の発明は、忌避物質の浸透深さ、忌避物質を隠蔽した多孔性塗料の塗布量、粘度の調整(忌避物質と多孔性塗料との混合比)を利用し、忌避物質の有効期間の調整(多孔性塗料の多孔体及び/又は浸透塗布(含浸塗布)を利用して、溶出・徐放期間の調整)を図ること、この調整を介して使用する環境と、場所或いは時期等に順応した使用を図ること等を意図する。
【0022】
請求項6は、請求項3記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、忌避剤の忌避物質を、海水中で使用される物体に塗布・浸透させ、この浸透させた忌避物質をさらに忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる前記忌避剤で隠蔽し、この忌避物質の浸透深さの調整、浸透させる忌避物質の量の調整、前記忌避物質を隠蔽した忌避剤の多孔性塗料の塗布量の調整、前記忌避物質を隠蔽した忌避剤の忌避物質の混合比の調整からなる溶出調整手段の内、少なくとも一つの溶出調整手段で調整し、当該忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明は、海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、前記多孔性塗料の多孔体を利用し、前記忌避物質を海水中で経時的に溶出させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤である。
【0024】
従って、請求項1は、海藻類(貝類)の忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料を採用した忌避剤を提供することで、水棲生物中の海藻類等の付着防止と、繁殖防止が図れること、及びこの忌避剤の有効期間(忌避期間)の長期化が図れる(多孔性塗料の多孔体を利用して溶出・徐放させ、長期の忌避効果を達成する)こと等の特徴がある。またこの忌避物質は、環境に配慮した無害の物質を採用することを可能とし、環境保護が図れることも特徴である。
【0025】
請求項2の発明は、海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、この忌避物質を前記物体に浸透させ、この浸透させた忌避物質を前記多孔性塗料で隠蔽し、この多孔性塗料の多孔体を利用し、前記浸透させた忌避物質を、海水中で経時的に溶出・徐放させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤である。
【0026】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、またその忌避物質を物体に浸透させ、経時的に溶出・徐放させ、忌避効果がさらに長期間に亙って持続可能となること等の特徴がある。
【0027】
請求項3の発明は、海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、この忌避物質をこの物体に浸透させ、この浸透させた忌避物質をさらに忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる前記忌避剤で隠蔽し、前記浸透させた忌避物質を、この隠蔽した多孔性塗料の多孔体を利用して、海水中で経時的に溶出・徐放させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤である。
【0028】
従って、請求項3は、請求項1・2の目的を達成できること、また物体に浸透させた忌避剤を隠蔽し、経時的に溶出・徐放させ、忌避効果がさらに長期間に亙って持続可能となること、及び海水中で洗われても、この条件下では、忌避剤の急激な拡散を回避できること等の特徴がある。
【0029】
請求項4の発明は、請求項1記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、
忌避剤を海水中で使用される物体に塗布し、前記忌避剤の多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、前記忌避物質の塗布量の調整及び/又は前記忌避物質の混合比の調整からなる溶出調整手段で調整し、当該忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法である。
【0030】
従って、請求項4は、忌避剤の塗膜の厚みと、粘度の調整(忌避物質と多孔性塗料との混合比)を利用して、忌避剤の有効期間の調整(多孔性塗料の多孔体を利用して、溶出・徐放期間の調整)が図れること、この調整を介して使用する環境と、場所或いは時期等に順応した使用が図れること等の特徴がある。
【0031】
請求項5の発明は、請求項2記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、
忌避剤の忌避物質を海水中で使用される物体に浸透させるとともに、前記忌避剤の多孔性塗料で隠蔽し、前記忌避剤の多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、この忌避物質の浸透深さの調整、前記忌避物質を隠蔽した多孔性塗料の塗布量の調整、浸透させる忌避物質の量の調整からなる溶出調整手段の内、少なくとも一つの溶出調整手段で調整し、前記忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法である。
【0032】
従って、請求項5は、忌避物質の浸透深さ、前記忌避物質を隠蔽した多孔性塗料の塗布量、粘度の調整(忌避物質と多孔性塗料との混合比)を利用し、物体への浸透力を発揮して、忌避物質の有効期間の調整(多孔性塗料の多孔体及び/又は浸透塗布(含浸塗布)を利用して、溶出・徐放期間の調整)が図れること、この調整を介して使用する環境と、場所或いは時期等に順応した使用が図れること等の特徴がある。
【0033】
請求項6の発明は、請求項3記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、忌避剤の忌避物質を、海水中で使用される物体に塗布・浸透させ、この浸透させた忌避物質をさらに忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる前記忌避剤で隠蔽し、この多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、この忌避物質の浸透深さの調整、浸透させる忌避物質の量の調整、前記忌避物質を隠蔽した忌避剤の多孔性塗料の塗布量の調整、前記忌避物質を隠蔽した忌避剤の忌避物質の混合比の調整からなる溶出調整手段の内、少なくとも一つの溶出調整手段で調整し、当該忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法である。
【0034】
従って、請求項6は、忌避物質の浸透深さ、前記忌避物質を隠蔽した多孔性塗料の塗布量と、粘度の調整(忌避物質と多孔性塗料との混合比)を利用し、物体への浸透力と忌避剤等の保護により、忌避物質の有効期間の調整(多孔性塗料の多孔体及び/又は浸透塗布(含浸塗布)を利用して、溶出・徐放期間の調整)が図れること、この調整を介して使用する環境と、場所或いは時期等に順応した使用が図れること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
前記忌避物質は、忌避効果のあるものであればよく、その一例として防藻剤:「ホ−プジンIR(商品名)」、「ウンデシル酸(脂肪酸)」、「ペラルゴン酸(脂肪酸)」、無機酸:「スルファミン酸(無機酸)」、「ニコチン酸アミド(ビタミンB)」、「ニコチン(有機物)」、「水酸化ナトリュウム(塩基)」、「塩化ナトリュウム(塩分)」、「アルギン酸(有機物)」、「フコダイン(有機物)」などが使用できる。これらの忌避物質は水棲生物用の忌避剤として単独で使用できるものではなく、多孔性塗料を用いる本発明によってはじめて使用可能となったものである。また、本発明は環境に配慮した無害の忌避物質(ニコチン酸アミド、塩化ナトリュウム等)の採用を可能とし、環境保護が図れることも特徴である。
【0036】
前記多孔質ポリアミド樹脂塗料は、ゴアテックス機能を備えた多孔質ポリアミド樹脂塗料で、例えば、アルコール系可溶性のナイロン樹脂と、フェノール系溶剤又は芳香族系溶剤等の溶剤との混合物で構成した多孔質特性を有し、忌避物質である特定の防藻剤、無機酸との親和性、包合性及び接着性が図れる特性を備えた組成物である。この多孔質ポリアミド樹脂塗料として、例えば、ナイロン樹脂系塗料である「リニアアックス(商品名)」が挙げられる。
また、多孔質高分子塗料は、持続性、耐水性、耐候性、耐衝撃性等に優れた無公害の塗料が望ましい。一例として「ナノコート(商品名)」、「テリオスコート(商品名)」が挙げられるが、同様な物性を有する他のコーティング塗料も採用することができる。
【0037】
本発明の一例を説明する。
水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法は、例えば、海水中における忌避剤を利用した忌避方法であって、◎ 第一の例は請求項1と請求項4に対応する。この第一の例は忌避物質である特定の防藻剤又は無機酸と、この防藻剤又は無機酸を担持する(抱持及び/又は結合する)多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とを混合してなる構成であり(図1−1〜図1−7と、図2−1〜図2−7で示す)、◎ 第二の例は請求項2と請求項5に対応する。この第二の例は、ブロック1等の処理対象物に、防藻剤又は無機酸と、この防藻剤又は無機酸を担持する多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる忌避剤の忌避物質を処理対象物(物体)に浸透させ、この浸透させた忌避物質を前記多孔性塗料で隠蔽させる構成であり(図12−1〜図12−9と、図13−1〜図13−9で示す)、◎ 第三の例は請求項3と請求項6に対応する。この第三の例は、ブロック1等の処理対象物に、防藻剤又は無機酸を塗布・浸透させ、その上に防藻剤又は無機酸と多孔性の多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる忌避剤を塗布した構成であり(図14−1〜図14−9と、図15−1〜図15−9で示す)、本発明の好ましい各例であって、以下、順に説明する。尚、第一の例において、この防藻剤又は無機酸(忌避物質)と多孔性塗料との混合比は、例えば、重量比で忌避物質3%と、多孔性塗料15%との構成である。
【0038】
第一の例を説明する。
図1−1〜1−7は本発明の忌避物質である特定の防藻剤と、この塗布した忌避剤Aがブロック1に付着してくる海藻類X等との関係に関して説明する模式図を、また図2−1〜2−7は本発明の忌避物質である特定の無機酸と、この塗布した忌避剤Bが船体2に付着した貝類Y等との関係に関して説明する模式図を、図3は本発明の試験に使用した忌避物質である特定の防藻剤又は無機酸の内容と、薬品名又は色彩との関係を示す図表(図)を、さらに図4〜図10−2は、前記図1・2と、前記図3の海中試験結果を示した図表(図)である。これらの資料を基にして、以下、本発明の特徴の優劣を説明する。
【0039】
図1−1〜1−7はブロック1に付着した海藻類Xに本発明の忌避剤Aの一例として忌避物質である特定の防藻剤と多孔性塗料を使用した模式図であり、図1−1は海中のブロック1(石、海底物体等の海中物体)を示している。図1−2はこのブロック1への海藻類Xの生殖及び/又は扶植(生殖とする)を防止することを意図し、このブロック1の全体に海藻類X用の忌避剤Aを陸上で塗布し、海中へ配置する。図1−3は海中で所要時間が経過した状態であって、ブロック1に向かって海藻類Xの胞子X1が浮遊してきた状況を示しており、この胞子X1の中には、当該忌避剤Aに対して瞬時に反応して(忌避効果があり)忌避する複数のものと(図示せず)、一例として示したある程度、生殖及び/又は扶植(生殖とする)の抑制(死滅に至る)となる複数のものとが考えられる。図1−4は前記のある程度、生殖ができる海藻類Xである。しかし、塗布した忌避剤Aが生体を侵蝕して生育の抑制となる以前の状況であって、この例では三箇所(三株)を示した。この生育したものは、図示の如く、茎X3及び/又は葉体X4の生長が観察できる。しかし、図1−5に示すようにこの生殖は一時的なものであり、僅かな日数を経ることによって、塗布した忌避剤Aが作用し、この海藻類Xの根X2の働きを抑制し、かつ茎X3及び/又は葉体X4の枯渇又は萎調化が進み、その一部は生殖機能が衰退して剥落する。この一例では二株ほど剥落した状態である。その後、図1−6に示したように数日を経ることで、前述と同様な理屈により、三株全てが剥落する状態であり、既に剥落した枯死状態の海藻類Xは、ブロック1より離れ海中に浮遊する状況となっている。また図1−7は海藻類Xの剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤A付きブロック1の表面が目視できる状態となる。当該ブロック1は海藻類Xの付着もなく、当初の状態となる。その後、数年を経ることで、忌避剤Aはやせ衰えて、例えば、このブロック1の表面が目視できる状態となる。以上の如く、この忌避剤Aは、防藻剤と連続多孔質又は連続気泡質特性を備えた多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とを適宜の混合比で攪拌混合して創製する。その混合比は限定されないが、例えば、溶出時間の長短(忌避効果の長短)、海藻類X等の繁殖量の大小等によって調整する(以下、他の例も同じ)。さらに忌避剤Aの塗布量の調整及び/又はこの混合比の調整は、前記溶出時間の長短、繁殖量の大小等によって調整することも可能である。また溶出時間等の長短は、忌避剤Aの塗布量の調整及び/又は海水、淡水等の水質・気候条件及び/又はブロック1等の物体の状態、材質等を考慮して調整する。
【0040】
本発明では、忌避物質である特定の防藻剤が多孔性塗料より経年的に溶出することから、少なくともこの状態が一年〜数年継続することが後述の試験結果により確認できた。ここで忌避物質である特定の防藻剤として、「ホープジンIR(商品名)」が挙げられる。
【0041】
図2−1〜2−7は船体2(鋼製、樹脂製、木製等を含む)に付着する海中の貝類Yに対して本発明の忌避剤Bの一例として忌避物質である特定の無機酸と多孔性塗料を使用した模式図であり、図2−1は船体2を示している。図2−2はこの船体2への貝類Yの生殖を防止することを意図し、この船体2の全体に貝類Y用の忌避剤Bを陸上で塗布する。図2−3は海中で所要時間が経過した状態であって、船体2に向かって貝類Yが匍匐して登り上がった状況を示しており、この貝類Yの中には、当該忌避剤Bに対して瞬時に反応して(忌避効果があり)忌避する複数のものと(図示せず)、一例として示したある程度、生殖及び/又は扶植(生殖とする)の抑制となる複数のものとが考えられる。しかし、図2−4に示すようにこの生殖は一時的なものであり、僅かな日数を経ることによって、塗布した忌避剤Bが作用し、この貝類Yの肢Y1の働きを抑制し、かつ肢Y1の死滅又は萎調化が行われて、この貝類Yが、船体2より離間した状態となる。その後、図2−5、図2−6に示したように全ての貝類Yが剥落し、この剥落した枯死状態の貝類Yは、船体2より離れ海底を退却する状況となる。また図2−7は貝類Yの剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤B付き船体2の表面が目視できる状態となる。当該船体2は貝類Yの付着もなく、当初の状態となる。その後、数年を経ることで、忌避剤Bはやせ衰えて、例えば、この船体2の表面が目視できる状態となる。尚、前記忌避剤Bは、特定の無機酸と多孔性塗料とを適宜の混合比で攪拌混合して創製する。その混合比は限定されないが、例えば、溶出時間の長短(忌避効果の長短)、貝類Y等の繁殖量の大小等によって調整する。さらに忌避剤Bの塗布量の調整及び/又はこの混合比の調整は、前記溶出時間の長短、繁殖量の大小等によって調整することも可能である。また溶出時間等の長短は、忌避剤Bの塗布量の調整及び/又は海水、淡水等の水質・気候条件及び/又は船体2等の物体の状態、材質等を考慮して調整する。
【0042】
本発明では、忌避物質である特定の無機酸が多孔性塗料より経年的に溶出することから、少なくともこの状態が一年〜数年継続することが後述の試験結果により確認できた。ここで、忌避物質である特定の無機酸として、「スルファミン酸(無機酸)」が挙げられる。
【0043】
第二の例を説明する。
図12−1〜12−9は本発明の忌避物質Cである特定の防藻剤及び多孔性塗料D(忌避剤)と、この浸透する忌避物質Cとブロック1に付着してくる海藻類X等との関係に関して説明する模式図である。また図13−1〜13−9は本発明の忌避物質Eである特定の無機酸及び多孔性塗料F(忌避剤)と、この浸透する忌避物質Eと船体2に付着してくる貝類Y等との関係に関して説明する模式図である。
【0044】
図12−1〜12−9はブロック1に付着した海藻類Xに本発明の忌避物質Cである特定の防藻剤を使用した模式図であり、図12−1はブロック1(石、海底物体等の海中物体)を示している。図12−2はこのブロック1への海藻類Xの生殖を防止することを意図し、このブロック1の全体に海藻類用の忌避物質Cである特定の防藻剤を陸上で塗布する。この塗布後、時間を経過することで、塗布された忌避物質Cは、ブロック1の内部に浸透する。この浸透の状態は、図12−3〜図12−4に表れており、この図12−3は浸透させている状態を、また図12−4は略浸透させた状態である。その後、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料Dで、浸透された忌避物質Cを隠蔽する。従って、ブロック1が海水で洗われても、この条件下では、忌避物質Cが急激に拡散されることは有り得なく、多孔性塗料Dの多孔体を介して、溶出・徐放(内部からの表面への溶出及び/又は徐放)されることから効能が持続する(忌避剤の忌避特性・持続性が確保できる。他の例も同じ)。そして、図12−5の如く、所要時間が経過した状態において、ブロック1に向かって海藻類Xの胞子X1が浮遊してきた状況でも、この胞子X1の中には、当該忌避物質Cに対して瞬時に反応して(忌避効果があり)忌避する複数のものと(図示せず)、一例として示したある程度、生殖の抑制(死滅に至る)となる複数のものとが考えられる。そして、図12−6は前記忌避物質Cをかいくぐった胞子X1が、少数生殖し、海藻類Xとなった状態を示している。しかし、塗布した忌避物質Cが、ブロック1の表面に向かって前記多孔体を介して、溶出・徐放されることから、このブロック1に生殖する海藻類Xの生体内に侵入し、この海藻類Xを侵蝕(浸透)して生育の抑制となる以前の状況であって、この例では三箇所(三株)を示した。この生育したものは、図示の如く、茎X3及び/又は葉体X4の生長が観察できる。しかし、図12−7に示すようにこの生殖は一時的なものであり、僅かな日数を経ることによって、溶出・徐放された忌避物質Cが作用し、この海藻類Xの根X2の働きを抑制し、かつ茎X3及び/又は葉体X4の枯渇又は萎調化が進み、その一部は生殖機能が衰退して剥落する。この一例では二株ほど剥落した状態である。その後、図12−8に示したように数日を経ることで、前述と同様な理屈により、三株全てが剥落する状態となり、既に剥落した枯死状態の海藻類Xは、ブロック1より離れ海中に浮遊する状況となっている。また図12−9は海藻類Xの剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避物質Cを含むブロック1の表面が目視できる状態となる。当該ブロック1は海藻類Xの付着もなく、当初の状態となる。その後、数年を経ることで、忌避物質Cはやせ衰えて、例えば、このブロック1の表面が目視できる状態となる。そして、本発明では、忌避物質Cである特定の防藻剤が多孔性塗料Dより経年的に溶出・徐放されることから、少なくともこの状態が一年〜数年継続することが後述の試験結果により確認できた。溶出時間の長短(忌避効果の長短)は、忌避物質Cの浸透深さの調整、浸透させる忌避物質Cの量の調整、忌避物質Cを隠蔽した多孔性塗料Dの塗布量の調整からなる溶出調整手段の内、いずれか一つもしくはそれ以上の溶出調整手段で調整する。
【0045】
図13−1〜13−9は船体2(浸透性を備えた)に付着した貝類Yが付着することを防止する本発明の忌避物質Eである特定の無機酸を使用した模式図であり、図13−1は船体2(石、海底物体等の海中物体)を示している。図13−2はこの船体2への貝類Yの生殖を防止することを意図し、この船体2の全体に貝類Y用の忌避物質Eを陸上で塗布する。この塗布後、時間を経過することで、塗布された忌避物質Eは、船体2の内部に浸透する。この浸透の状態は、図13−3〜図13−4に表れており、この図13−3は忌避物質Eを浸透させている状態を、また図13−4は忌避物質Eを略浸透させた状態である。その後、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料Fで、浸透させた忌避物質Eを隠蔽する。従って船体2が海水で洗われても、この条件下では、忌避物質Eが急激に拡散されることは有り得なく、多孔性塗料Fの多孔体を介して溶出・徐放されることから効能が持続する。そして、所要時間が経過した状態において、船体2に向かって貝類Yが匍匐しながら競り上がる状況でも、この貝類Yの中には、当該忌避物質Eに対して瞬時に反応して(忌避効果があり)忌避する複数のものと(図示せず)、一例として示したある程度、生殖の抑制となる複数のものとが考えられる。このように塗布した忌避剤が、貝類Yに接触及び/又は外郭体(殻)への浸透(侵蝕)等して生育の抑制となる以前の状況であって、この例では二個付着している(図13−5)。この生育したものは、図示の如く、貝類Yの肢Y1の働きが観測できる。しかし、図13−6、図13−7に示すようにこの生殖は一時的なものであり、僅かな日数を経ることによって、塗布した忌避物質Eが作用し、この貝類Yの肢Y1の働きを抑制し、かつ肢Y1の死滅又は萎調化が行われて、この貝類Yが、船体2より離間した状態となる。その後、図13−8に示したように全ての貝類Yが剥落し、この剥落した枯死状態の貝類Yは、船体2より離れ海底を退却する状況となる。また図13−9は貝類Yの剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避物質Eを含む船体2の表面が目視できる状態となる。当該船体2は貝類Yの付着もなく、当初の状態となる。その後、数年を経ることで、忌避物質Eはやせ衰えて、例えば、この船体2の表面が目視できる状態となる。そして、本発明では、忌避物質Eである特定の無機酸が多孔性塗料Fより経年的に溶出・徐放されることから、少なくともこの状態が一年〜数年継続することが後述の試験結果により確認できた。溶出時間の長短(忌避効果の長短)は、忌避物質Eの浸透深さの調整、浸透させる忌避物質Eの量の調整、忌避物質Eを隠蔽した多孔性塗料Fの塗布量の調整からなる溶出調整手段の内、いずれか一つもしくはそれ以上の溶出調整手段で調整する。
【0046】
第三の例を説明する。
図14−1〜14−9は本発明の忌避物質Gである特定の防藻剤と、前記防藻剤及び多孔性塗料との忌避剤Hと、ブロック1に付着してくる海藻類Xとの関係に関して説明する模式図である。また図15−1〜15−9は本発明の忌避物質Iである特定の無機酸と、前記無機酸及び多孔性塗料と、船体2に付着してくる貝類Yとの関係に関して説明する模式図である。
【0047】
図14−1〜14−9はブロック1に付着した海藻類Xに、本発明の忌避物質Gである特定の防藻剤と、忌避物質G及び多孔性塗料からなる忌避剤Hを使用した模式図であり、図14−1はブロック1(石、海底物体等の海中物体)を示している。図14−2からはブロック1への海藻類Xの生殖を防止することを意図し、このブロック1の全体に海藻類用の忌避物質Gと忌避物質G及び多孔性塗料からなる忌避剤Hを時間をおいて順次陸上で塗布する。これらの塗布状態は、忌避物質Gを塗布し、この忌避物質Gが浸透し・乾燥した時点で、忌避剤H(忌避物質Gと多孔性塗料からなる)をブロック1の全体に塗布することで、この特徴(忌避剤Hの忌避特性・持続性と、多孔性塗料の保護特性・持続性等)を最大限に発揮できる。そして、この塗布後、時間を経過することで、塗布された忌避物質Gがブロック1の内部に浸透し、またブロック1の表面は忌避物質G及び多孔性塗料からなる忌避剤Hで隠蔽される。そして、この浸透及び隠蔽された状態は、図14−3〜図14−4に表れており、この図14−3は浸透させている状態を、また図14−4では略浸透させ、かつ表面が忌避物質G及び多孔性塗料からなる忌避剤Hで隠蔽された状態である。従って、ブロック1が海水で洗われても、この忌避物質G及び多孔性塗料からなる忌避剤Hで隠蔽されていることから、忌避物質Gが急激に拡散されることは有り得なく、多孔性塗料の多孔性を介して溶出・徐放(内部よりの表面への溶出及び/又は徐放)されることから効能が持続する。そして、図14−5の如く、所要時間が経過した状態において、ブロック1に向かって海藻類Xの胞子X1が浮遊してきた状況でも、この胞子X1の中には、当該忌避物質Gに対して瞬時に反応して(忌避効果があり)忌避する複数のものと(図示せず)、一例として示したある程度、生殖の抑制(死滅に至る)となる複数のものとが考えられる。またこの多孔性塗料が易滑性を備えた構成例では、胞子X1の付着を極力防止できる。しかし、図14−6のように前記忌避物質Gをかいくぐった胞子X1が、少数生殖し、海藻類Xとなった状態となることもあり得るが、塗布した忌避物質Gが忌避物質G及び多孔性塗料からなる忌避剤Hを通過し、ブロック1の表面に向かって徐放されることから、このブロック1に生殖する海藻類Xの生体内に侵入し、この海藻類Xを侵蝕して生育の抑制となる以前の状況であって、この例では三箇所(三株)を示した。この生育したものは、図示の如く、茎X3及び/又は葉体X4の生長が観察できる。しかし、図14−7に示すようにこの生殖は一時的なものであり、僅かな日数を経ることによって、溶出・徐放された忌避物質Gが作用し、この海藻類Xの根X2の働きを抑制し、かつ茎X3及び/又は葉体X4の枯渇又は萎調化が進み、その一部は生殖機能が衰退して剥落する。この一例では二株ほど剥落した状態である。その後、図14−8に示したように数日を経ることで、前述と同様な理屈により、三株全てが剥落する状態であり、既に剥落した枯死状態の海藻類Xは、ブロック1より離れ海中に浮遊する状況となっている。また図14−9は海藻類Xの剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤H付きブロック1の表面が目視できる状態となる。当該ブロック1は海藻類Xの付着もなく、当初の状態となり、またその表面は多孔性塗料で隠蔽されている。その後、数年を経ることで、忌避剤Hはやせ衰えて、例えば、このブロック1の表面が目視できる状態となる。そして、本発明では、忌避物質Gが多孔性塗料より経年的に溶出・徐放されることから、少なくともこの状態が一年〜数年継続することが後述の試験結果により確認できた。尚、前記忌避剤Hは、忌避物質Gである特定の防藻剤と多孔性塗料とを適宜の混合比で攪拌混合して創製する。その混合比は限定されないが、例えば、溶出時間の長短(忌避効果の長短)、繁殖量の大小等によって調整する。忌避物質Gの溶出時間の長短は、忌避物質Gの浸透深さの調整や、忌避物質Gを浸透させる量の調整、忌避物質Gを隠蔽した忌避剤Hの多孔性塗料の塗布量の調整、忌避物質Gを隠蔽した忌避剤Hの忌避物質Gの混合比の調整からなる溶出調整手段の内、いずれか一つもしくはそれ以上の溶出調整手段で調整する。
【0048】
図15−1〜15−9は船体2(木製、多孔性の樹脂製等の船体2又は多孔性体を備えた船体2等)に付着した貝類Yに、本発明の忌避物質Iである特定の無機酸と、忌避物質I及び多孔性塗料とからなる忌避剤Jを使用した模式図であり、図15−1は船体2を示している。図15−2からは船体2への貝類Yの生殖を防止することを意図し、この船体2の全体に貝類用の忌避物質Iである特定の無機酸・忌避物質I及び多孔性塗料とからなる忌避剤Jとを時間をおいて(乾燥した過程で)順次陸上で塗布する。この忌避物質I及び忌避剤Jが船体2に付着してくる貝類Yに忌避効果を発揮する。即ち、この塗布後、時間を経過することで、塗布された忌避物質I及び/又は、忌避物質I及び多孔性塗料とからなる忌避剤Jは船体2の内部に浸透する。この浸透の状態は、図15−3〜図15−4に表れており、この図15−3は浸透させている状態を、また図15−4では略浸透させ、かつその浸透させた表面(船体2の表面)は忌避物質I及び多孔性塗料とからなる忌避剤Jで隠蔽された状態である。従って、船体2が海水で洗われても、忌避物質I及び多孔性塗料とからなる忌避剤Jで隠蔽されていることから、忌避物質Iが急激に拡散されることは有り得なく、溶出・徐放されることから前記図14−1〜14−9の例と同様な忌避特性・持続性等の特徴が発揮できる。そして、所要時間が経過した状態において、船体2に向かって貝類Yが匍匐しながら競り上がる状況でも、この貝類Yの中には、当該忌避物質Iに対して瞬時に反応して(忌避効果があり)忌避する複数のものと(図示せず)、一例として示したある程度、生殖の抑制となる複数のものとが考えられる。このように塗布した忌避物質Iが、貝類Yに接触及び/又は外郭体(殻)へ浸透等して生育の抑制となる以前の状況であって、この例では二個付着している。この生育したものは、図示の如く、貝類Yの肢Y1の働きが観測できる。しかし、図15−6、図15−7に示すようにこの生殖は一時的なものであり、僅かな日数を経ることによって、塗布した忌避物質Iが多孔性塗料を通過して作用し、この貝類Yの肢Y1の働きを抑制し、かつ肢Y1の死滅又は萎調化が行われて、この貝類Yが、船体2より離間した状態となる。その後、図15−8に示したように全ての貝類Yが剥落し、この剥落した枯死状態の貝類Yは、船体2より離れ海底を退却する状況である。また図15−9は貝類Yの剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤J付き船体2の表面が目視できる状態となる。当該船体2は貝類Yの付着もなく、当初の状態となる。またその表面は多孔性塗料で隠蔽されてはいるが、数年を経ることで、忌避剤Jはやせ衰えて、例えば、この船体2の表面が目視できる状態となる。そして、本発明では、無機酸(忌避物質I)が多孔性塗料より経年的に溶出・徐放されることから、少なくともこの状態が一年〜数年継続することが後述の試験結果により確認できた。尚、前記忌避剤Jは、忌避物質Iと多孔性塗料とを適宜の混合比で攪拌混合して創製する。その混合比は限定されないが、例えば、溶出時間の長短(忌避効果の長短)、繁殖量の大小等によって調整する。忌避物質Iの溶出時間の長短は、忌避物質Iの浸透深さの調整や、忌避物質Iを浸透させる量の調整、忌避物質Iを隠蔽した忌避剤Jの多孔性塗料の塗布量の調整、忌避物質Iを隠蔽した忌避剤Jの忌避物質Iの混合比の調整からなる溶出調整手段の内、いずれか一つもしくはそれ以上の溶出調整手段で調整する。
【0049】
以下、図3は本発明の試験に使用した多孔質塗料及び忌避物質一覧および図4〜図10−2の忌避効果の有無を示したものであるである。図4〜図10−2は、前記図1−1〜図2−7と、前記図3の海中試験結果を示した図表(図)である。これらの資料を基にして、以下、本発明の特徴の優劣を説明する。尚、海中を試験用に区画した場所において(試験区1〜10とした)、試験をした結果を一例として説明する。
【0050】
図3で表示された6ケ月〜12ケ月後の付着重量において、海藻類(植物)の忌避剤は、試験区1の「商品名 ホ−プジンIR(防藻剤)」と、試験区3の「ペラルゴン酸(脂肪酸)」と、試験区6の「ニコチン(有機物)」と、試験区8の「塩化ナトリュウム(塩基)」と、試験区10の「商品名 フコダイン(有機物)」が有効であった。一応の目安として、図4の図表(図)と、図5の棒グラフにおいて付着重量(ブロック1の全体の付着重量)として示した。即ち、前記試験区1・3・6・8・10の数値が12ケ月後で略0.29〜3.00g弱で治まっており、十分有効と考えられる。この結果は、図4に示した付着重量でも低い数値を示すとともに、図5の棒グラフの表示で低く表れている。海藻類に対する有効な忌避効果を観察した処、略12ケ月の期間であるが、継続的な忌避効果が確認できた。
【0051】
図3で表示された6ケ月〜12ケ月後の付着個数において、貝類(動物)の忌避剤は、試験区2の「商品名 ウンデシル酸(脂肪酸)」と、試験区4の「商品名 スルファミン酸(無機酸)」と、試験区5の「商品名 ニコチン酸アミド(有機物)」と、試験区6の「ニコチン(有機物)」と、試験区7の「水酸化ナトリュウム(塩基)」と、試験区8の「塩化ナトリュウム(塩基)」と、試験区9の「アルギン酸(有機物)」と、試験区10の「商品名 フコダイン(有機物)」とが有効であった。一応の目安として、図6−1〜6−3と、図7、図8の図において付着個数として示した、即ち、前記試験区2・4・5・6・7・8・9・10の数値が12ケ月後で、図6−1の喫水下部の側面では、133〜326個の範囲であり、図6−2の船底の外面では、13〜131の範囲であり、図6−3の全体では、148〜378の範囲であり、十分有効と考えられる。貝類に対する有効な忌避効果を観察した処、略12ケ月の期間であるが、継続的な忌避効果が確認できた。そして、図7、図8の試験区4の「スルファミン酸(無機酸)」が大概最も有効であることが線グラフに表れている。
【0052】
図3で表示された6ケ月〜12ケ月後の付着重量において、貝類(動物)の忌避剤は、試験区2の「商品名 ウンデシル酸(脂肪酸)」と、試験区4の「商品名 スルファミン酸(無機酸)」と、試験区5の「商品名 ニコチン酸アミド(有機物)」と、試験区6の「ニコチン(有機物)」と、試験区7の「水酸化ナトリュウム(塩基)」と、:試験区8の「塩化ナトリュウム(塩基)」と、試験区9の「アルギン酸(有機物)」と、:試験区10の「商品名 フコダイン(有機物)」とが有効であった。一応の目安として、図9−1〜9−3と、図10−1・10−2の図において付着重量として示した、即ち、前記試験区2・4・5・6・7・8・9・10の数値が12ケ月後で、図9−1の喫水下部の側面では、6.65〜25.74g(一部を除く)の範囲であり、図9−2の船底の外面では、0.08〜3.68gの範囲であり、図9−3の全体では、7.68〜25.85gの範囲で治まっており、十分有効と考えられる。また図10−1・10−2の該当試験区が有効であることが図表(図)にも表れている。この例では、有機物の忌避剤Bを採用することによる、この貝類Yに対する有効な忌避効果を観察した処、略12ケ月の期間であるが、継続的な忌避効果が確認できた。そして、図7、図8の試験区4の「スルファミン酸(無機酸)」が大概最も有効であることが棒グラフに表れている。
【0053】
また図11−1〜図11−3は、第二の例で例示した多孔質ポリアミド樹脂塗料、多孔質高分子塗料の連続性気孔(気泡)と、忌避物質との関係に関して説明したものである。図11−1においては、供試体に忌避剤を塗布し、その上から多孔質ポリアミド樹脂塗料で被覆し、水中での溶出度を検討した。図示の如く、この前記多孔質ポリアミド樹脂塗料の混合割合を5重量%、10重量%、15重量%として示した。そして、僅差であるが、1日〜7日に亙って溶出の程度を試験した処、混合割合が5重量%の方が15重量%より溶出の割合が多く、この結果がpH数値で表示されている。この混合割合の5重量%、10重量%、15重量%において、pH数値が異なることは、この忌避物質の溶出時間を混合割合の調整で図れることを示唆する。また図11−2においては、供試体に忌避物質を塗布し、その上から多孔質高分子塗料の一例である「ナノコート(商品名)」で被覆し、水中での溶出度を検討した。図示の如く、この高分子塗料Fの混合割合を50g/m2、70g/m2、100g/m2として示した。そして、僅差であるが、1日〜7日に亙って溶出の程度を試験した処、混合割合が50g/m2の方が100g/m2より溶出の割合が多く、この結果がpH数値で表示されている。この混合割合の50g/m2、70g/m2、100g/m2において、pH数値が異なることは、この忌避物質の溶出時間を混合割合の調整で図れることを示唆する。さらに図11−3においては、供試体に忌避物質を塗布し、その上から多孔質高分子塗料の一例である「テリオスコート(商品名)」で被覆し、水中での溶出度を検討した。図示の如く、この高分子塗料の混合割合を50g/m2、70g/m2、100g/m2として示した。そして、僅差であるが、1日〜7日に亙って溶出の程度を試験した処、混合割合が50g/m2の方が100g/m2より溶出の割合が多く、この結果がpH数値で表示されている。この混合割合の50g/m2、70g/m2、100g/m2において、pH数値が異なることは、この下地剤の溶出時間を混合割合の調整で図れることを示唆する。
【0054】
多孔質ポリアミド樹脂塗料は耐候性を有しており、例えば、海水中の浅い箇所での使用と、水槽(業務用、家庭用等)、池、河川等での使用も可能と考えられるので有益である。そして、本発明では、忌避物質の忌避効果を長期的に確保できるので、重宝すること、経済的であること、利便性を備えること等の特徴がある。さらに忌避物質の中でもある特定の防藻剤、無機酸の例では環境保護に有益である等の特徴がある。
【0055】
尚、忌避効果を発揮するには、色も関係することが試験の結果で判明したので、その一例を説明すると、ブロック1又は船体2の基材に、白色、緑色、黒色の塗料を陸上で塗布し、その後、前述の各発明(請求項1〜6)による処理を同様に施し、海中において試験した結果では、この海藻類X等(植物)・貝類Y(動物)に対する忌避効果に差が出ることがわかった。即ち、白色、緑色、黒色(熱の吸収が高く、忌避効果が期待できるとの判断で選択した)を採用した一例では、黒色の多孔性塗料を塗布した試験区において、より高い忌避効果があった。その理由は、この黒色が熱の吸収が高いことと、この忌避物質の忌避効果との相乗効果と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1−1】図1−1は本発明の忌避剤(防藻剤)の使用を意図し、海藻類の生殖及び/又は扶植の防止対象であるブロック(石、海底物体等の海中物体)の一部(ブロックとする)を示した断面図
【図1−2】図1−2はこのブロックへの海藻類の生殖を防止することを意図し、このブロックの全体に海藻類用の忌避剤を塗布した断面図
【図1−3】図1−3は所要時間が経過した状態であって、ブロックに向かって海藻類の胞子が浮遊してきた状況を示した断面図
【図1−4】図1−4は忌避剤を塗布したブロックにある程度、生殖する海藻類を示した断面図
【図1−5】図1−5はブロックに生殖する海藻類に塗布した忌避剤が作用し、この海藻類の根の働きを抑制し、かつ茎及び/又は葉体の枯渇又は萎調化が進み、その一部は生殖機能が衰退して剥落する状態の断面図
【図1−6】図1−6は剥落した枯死状態の海藻類が、ブロックより離れ海中に浮遊する状況を示す断面図
【図1−7】図1−7は海藻類の剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤付きブロックの表面が目視できる状態で、当該ブロックは海藻類の付着もなく、当初の状態となった断面図
【図2−1】図2−1は本発明の忌避剤(無機酸)の使用を意図し、貝類の生殖及び/又は扶殖の防止対象である船体の一部(船体とする)を示した断面図
【図2−2】図2−2はこの船体への貝類の生殖を防止することを意図し、この船体の全体に貝類用の忌避剤を塗布した断面図
【図2−3】図2−3は所要時間が経過した状態であって、船体に向かって貝類が匍匐してきた状況を示した断面図
【図2−4】図2−4は船体に生殖する貝類に塗布した忌避剤が作用し、当該貝類の肢の働きを抑制し、かつ肢の死滅又は萎調化が行われて、この貝類が、船体より離間した状態の断面図
【図2−5】図2−5は剥落した枯死状態の貝類が、船体より離れ海底に落下する状況を示す断面図
【図2−6】図2−6は剥落した枯死状態の貝類が、船体より離れ海底を匍匐(退却)する状況を示す断面図
【図2−7】図2−7は貝類の剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤付き船体の表面が目視できる状態で、当該船体は貝類の付着もなく、当初の状態となった断面図
【図3】図3は忌避剤として成果の良否を検討した図
【図4】図4は海藻類(珪藻)の被度(付着重量)を示す図
【図5】図5は図4の対象区及び試験区1〜10までを示した図
【図6−1】図6−1は貝類(動物)の被度(付着個数)を示しており、この図は範囲を喫水下部の側面とした図
【図6−2】図6−2は貝類の被度を示しており、この図は範囲を船底の外面とした図
【図6−3】図6−3は貝類の被度を示しており、この図は範囲を船全体とした図
【図7】図7は図6−1の対象区及び試験区1〜10までを示した図
【図8】図8は図6−2の対象区及び試験区1〜10までを示した図
【図9−1】図9−1は貝類の被度を示しており、この図は範囲を喫水下部の側面とした図
【図9−2】図9−2は貝類の被度を示しており、この図は範囲を船底の外面とした図
【図9−3】図9−3は貝類の被度を示しており、この図は範囲を船全体とした図
【図10−1】図10−1は図9−1の対象区及び試験区1〜10までを示した図
【図10−2】図10−2は図9−2の対象区及び試験区1〜10までを示した図
【図11−1】供試体に下地剤を塗布し、その上から多孔質ポリアミド樹脂塗料の一例である樹脂塗料で被覆し、水中での溶出度を検討した図
【図11−2】供試体に下地剤を塗布し、その上から多孔質高分子塗料の一例である高分子塗料で被覆し、水中での溶出度を検討した図
【図11−3】供試体に下地剤を塗布し、その上から多孔質高分子塗料の一例である高分子塗料で被覆し、水中での溶出度を検討した図
【図12−1】図12−1は本発明の忌避物質(防藻剤)と多孔性塗料とからなる忌避剤の使用を意図し、海藻類の生殖及び/又は扶植の防止対象であるブロックを示した断面図
【図12−2】図12−2はこのブロックへの海藻類の生殖を防止することを意図し、このブロックの全体に海藻類用の防藻剤を塗布した断面図
【図12−3】図12−3はこのブロックに塗布した防藻剤が、ブロック内に浸透する過程を示した断面図
【図12−4】図12−4はこのブロックに塗布した防藻剤を、ブロック内に略完全に浸透させ、多孔性塗料で隠蔽した状態を示した断面図
【図12−5】図12−5は所要時間が経過した状態であって、ブロックに向かって海藻類の胞子が浮遊してきた状況を示した断面図
【図12−6】図12−6は防藻剤が浸透したブロックにある程度、生殖する海藻類を示した断面図
【図12−7】図12−7はブロックに生殖する海藻類に溶出した防藻剤(忌避物質)が作用し、この海藻類の根の働きを抑制し、かつ茎及び/又は葉体の枯渇又は萎調化が進み、その一部は生殖機能が衰退して剥落する状態の断面図
【図12−8】図12−8は剥落した枯死状態の海藻類が、ブロックより離れ海中に浮遊する状況を示す断面図
【図12−9】図12−9は海藻類の剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避物質を含むブロックの表面が目視できる状態で、当該ブロックは海藻類の付着もなく、当初の状態となった断面図
【図13−1】図13−1は本発明の忌避物質(無機酸)と多孔性塗料とからなる忌避剤の使用を意図し、貝類の生殖及び/又は扶植の防止対象である船体を示した断面図
【図13−2】図13−2はこの船体への貝類の生殖を防止することを意図し、この船体の全体に貝類用の無機酸(忌避物質)を塗布した断面図
【図13−3】図13−3はこの船体に塗布した無機酸(忌避物質)が、船体内に浸透する過程を示した断面図
【図13−4】図13−4はこの船体に塗布した無機酸(忌避物質)を、船体内に略完全に浸透させ、多孔性塗料で隠蔽した状態を示した断面図
【図13−5】図13−5は所要時間が経過した状態であって、船体に向かって貝類が匍匐してきた状況を示した断面図
【図13−6】図13−6は船体に生殖する貝類に溶出した無機酸が作用し、当該貝類の肢の働きを抑制し、かつ肢の死滅又は萎調化が行われて、この貝類が、船体より離間した状態の断面図
【図13−7】図13−7は剥落した枯死状態の貝類が、船体より離れ海底に落下する状況を示す断面図
【図13−8】図13−8は剥落した枯死状態の貝類が、船体より離れ海底を匍匐(退却)する状況を示す断面図
【図13−9】図13−9は貝類の剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避物質を含む船体の表面が目視できる状態で、当該船体は貝類の付着もなく、当初の状態となった断面図
【図14−1】図14−1は本発明の忌避物質(防藻剤)、防藻剤及び/又は多孔性塗料とからなる忌避剤の使用を意図し、海藻類の生殖及び/又は扶植の防止対象であるブロックを示した断面図
【図14−2】図14−2はこのブロックへの海藻類の生殖及び/又は扶植を防止することを意図し、このブロックの全体に海藻類用の忌避物質を塗布した断面図
【図14−3】図14−3はこのブロックに塗布した忌避物質が、ブロック内に浸透する過程を示した断面図
【図14−4】図14−4はこのブロックに塗布した忌避物質を、ブロック内に略完全に浸透させ、忌避剤で隠蔽した状態を示した断面図
【図14−5】図14−5は所要時間が経過した状態であって、ブロックに向かって海藻類の胞子が浮遊してきた状況を示した断面図
【図14−6】図14−6は忌避物質が溶出したブロックにある程度、生殖する海藻類を示した断面図
【図14−7】図14−7はブロックに生殖する海藻類に溶出した忌避物質が作用し、この海藻類の根の働きを抑制し、かつ茎及び/又は葉体の枯渇又は萎調化が進み、その一部は生殖機能が衰退して剥落する状態の断面図
【図14−8】図14−8は剥落した枯死状態の海藻類が、ブロックより離れ海中に浮遊する状況を示す断面図
【図14−9】図14−9は海藻類の剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤付きブロックの表面が目視できる状態で、当該ブロックは海藻類の付着もなく、当初の状態となった断面図
【図15−1】図15−1は本発明の忌避物質(無機酸)、無機酸及び/又は多孔性塗料とからなる忌避剤の使用を意図し、貝類の生殖及び/又は扶植の防止対象である船体を示した断面図
【図15−2】図15−2はこの船体への貝類の生殖及び/又は扶植を防止することを意図し、この船体の全体に貝類用の忌避物質を塗布した断面図
【図15−3】図15−3はこの船体に塗布した忌避物質が、船体内に浸透する過程を示した断面図
【図15−4】図15−4はこの船体に塗布した忌避物質を、船体内に略完全に浸透させ、忌避剤で隠蔽した状態を示した断面図
【図15−5】図15−5は所要時間が経過した状態であって、船体に向かって貝類が匍匐してきた状況を示した断面図
【図15−6】図15−6は船体に生殖する貝類に溶出した忌避剤が作用し、当該貝類の肢の働きを抑制し、かつ肢の死滅又は萎調化が行われて、この貝類が、船体より離間した状態の断面図
【図15−7】図15−7は剥落した枯死状態の貝類が、船体より離れ海底に落下する状況を示す断面図
【図15−8】図15−8は剥落した枯死状態の貝類が、船体より離れ海底を匍匐(退却)する状況を示す断面図
【図15−9】図15−9は貝類の剥落後の状況を示したものであり、例えば、忌避剤付き船体の表面が目視できる状態で、当該船体は貝類の付着もなく、当初の状態となった断面図
【符号の説明】
【0057】
1 ブロック
2 船体
X 海藻類
X1 胞子
X2 根
X3 茎
X4 葉体
Y 貝類
Y1 肢
A、B、H、J 忌避剤
C、E、G、I 忌避物質
D、F 多孔性塗料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、前記多孔性塗料の多孔体を利用し、前記忌避物質を海水中で経時的に溶出させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤。
【請求項2】
海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、この忌避物質を前記物体に浸透させ、この浸透させた忌避物質を前記多孔性塗料で隠蔽し、この多孔性塗料の多孔体を利用し、前記浸透させた忌避物質を、海水中で経時的に溶出・徐放させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤。
【請求項3】
海水中で使用される物体に塗布して水棲生物の忌避を図る水棲生物用の忌避剤であって、
この水棲生物用の忌避剤は、忌避物質と、多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなり、この忌避物質を前記物体に浸透させ、この浸透させた忌避物質をさらに忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる前記忌避剤で隠蔽し、前記浸透させた忌避物質を、この隠蔽した多孔性塗料の多孔体を利用して、海水中で経時的に溶出・徐放させ、この水棲生物に対する忌避効果を、長期間に亙って持続可能とした水棲生物用の忌避剤。
【請求項4】
請求項1記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、
忌避剤を海水中で使用される物体に塗布し、前記忌避剤の多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、前記忌避物質の塗布量の調整及び/又は前記忌避物質の混合比の調整からなる溶出調整手段で調整し、当該忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法。
【請求項5】
請求項2記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、
忌避剤の忌避物質を海水中で使用される物体に浸透させるとともに、前記忌避剤の多孔性塗料で隠蔽し、前記忌避剤の多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、この忌避物質の浸透深さの調整、前記忌避物質を隠蔽した多孔性塗料の塗布量の調整、浸透させる忌避物質の量の調整からなる溶出調整手段の内、少なくとも一つの溶出調整手段で調整し、前記忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法。
【請求項6】
請求項3記載の水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法であって、忌避剤の忌避物質を、海水中で使用される物体に塗布・浸透させ、この浸透させた忌避物質をさらに忌避物質と多孔質ポリアミド樹脂塗料及び/又は多孔質高分子塗料等の多孔性塗料とからなる前記忌避剤で隠蔽し、この多孔性塗料の多孔体より海水中に溶出する忌避物質の溶出時間を、この忌避物質の浸透深さの調整、浸透させる忌避物質の量の調整、前記忌避物質を隠蔽した忌避剤の多孔性塗料の塗布量の調整、前記忌避物質を隠蔽した忌避剤の忌避物質の混合比の調整からなる溶出調整手段の内、少なくとも一つの溶出調整手段で調整し、当該忌避物質の海水中の水棲生物に対する忌避効果を、経時的に調整可能とした前記水棲生物用の忌避剤を利用した忌避方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図12−5】
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【図12−6】
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【図12−7】
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【図12−8】
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【図12−9】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図13−4】
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【図13−5】
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【図13−6】
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【図13−7】
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【図13−8】
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【図13−9】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図14−4】
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【図14−5】
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【図14−6】
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【図14−7】
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【図14−8】
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【図14−9】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図15−3】
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【図15−4】
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【図15−5】
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【図15−6】
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【図15−7】
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【図15−8】
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【図15−9】
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【公開番号】特開2006−124359(P2006−124359A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318497(P2004−318497)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(000219598)東海コンクリート工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】