説明

水溶性ナリンジン組成物

【課題】
従来よりもナリンジンの水に対する溶解性を高めた組成物、すなわち水溶性ナリンジン組成物を提供する。
【解決手段】
ナリンジンとともにα−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンを含有する水溶性ナリンジン組成物。好適にはナリンジン1重量部に対して、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量の合計(全ヘスペリジン量)が0.01〜5重量部となる量であることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性ナリンジン組成物に関し、さらに詳しくは、水に対する高い溶解性をもつ、ナリンジン、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンを含有するナリンジン組成物に関する。さらに本発明は、そのナリンジン組成物を含有した飲食物、化粧品、医薬品および飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
ナリンジン(ナリンギンとも言う。)は、下記の構造式[1]に示すとおり、ナリンゲニン(5,7,4'-トリヒドロキシフラバノン)の7位の水酸基にL−ラムノシル−(α1
→2)−グルコースがβ結合した構造を有する、フラボノイドの一種である。
【0003】
【化1】

【0004】
このナリンジンは、柑橘類の未熟な果皮に多く含まれ苦みを呈する物質であるが、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整、コレステロール低下などの生理作用のほか、紫外線吸収作用や抗酸化作用を有することが知られている。このためナリンジンは、苦味料として飲食物に配合され、また抗酸化剤、紫外線吸収剤として飲食物、化粧品、医薬品または飼料に配合され、またその生理作用を期待して医薬の有効成分などとして用いられるなど、飲食物、化粧品、医薬品または飼料などにおいて様々な用途で使用されている。
【0005】
しかし、ナリンジンはアルカリ性水溶液には可溶だが水および酸性水溶液に難溶であり、室温では1Lの水にわずか1g程度(約0.1w/v%)しか溶けない。このため、ナ
リンジンに関しては、飲食物や化粧品に配合される場合には結晶の析出が問題とされ、また医薬品に配合される場合には、体内での低吸収性などが問題とされている。
【0006】
ナリンジンの水に対する溶解性を高めようとする方法は、これまでにいくつか提案されている。特開平2―112665号公報(特許文献1)では、ナリンジンとα−グルコシル糖化合物とを含有する溶液に糖転移酵素を作用させて、ナリンジンにD-グルコース残
基が等モル以上α結合し著しく水溶性の向上したα−グルコシルナリンジンを生成させる方法が記載されている。
【0007】
また特開平10−101705号公報(特許文献2)には、フラボノイドを強アルカリ溶液で溶解して増粘多糖類溶液に添加すること、またはそうして得られたフラボノイド溶
液にサイクロデキストリン合成酵素を作用させ該フラボノイドの糖転移物を生成することにより、フラボノイドの溶解性を改良する発明が記載されている。しかし該特許文献2の実施例では、アルカリ性にて、約3.0重量%のナリンジン水溶液が得られるにとどまっ
ている。
【0008】
特開2000−78955号公報(特許文献3)には、生理活性フラボノイド(A)に、その(A)の誘導体、別の生理活性フラボノイド(B)、またはその(B)の誘導体を共存させて、体内における吸収性を向上させる発明が記載されている。ここでは生理活性フラボノイド(A)、(B)として、ヘスペリジン、ナリンジン等の他に、ヘスペレチンやナリンゲニンおよびそれらのグリコシドが挙げられており、また生理活性フラボノイドの誘導体としては、生理活性フラボノイドの糖転移化合物であるヘスペリジン配糖体、ナリンジン配糖体が挙げられている。
【0009】
特開2000−236856号公報(特許文献4)には、ヘスペリジン配糖体を柑橘果汁飲料に添加した上で加熱処理することにより果汁中に含まれるヘスペリジンおよびナリンジン等のフラボノイド化合物の大部分を溶解する方法の発明が記載されている。
【0010】
特開2002−199896号公報(特許文献5)は、本願出願人らが先に提案したものである。該特許文献5には、ナリンジンの酵素処理によって得られる3''−α−モノグルコシルナリンジンは、ナリンジンよりも強い苦みを呈し飲料に加えたときに好ましい風味となり、またナリンジンに添加したときにナリンジンの溶解性を高める効果が示唆されている。
【0011】
上記の特許文献1〜5のいずれにおいても、ナリンジンと、特定のヘスペリジン配糖体組成物(α−グルコシルヘスペリジンと、β−モノグルコシルヘスペレチンとからなる組成物)とを組合わせて用いるという技術的思想は全く示されておらず、ましてその効果は示唆すらされていない。
【0012】
ナリンジンの水溶性に関しては以上のような提案がなされているものの、体内での吸収性の向上や結晶の析出防止などのために、ナリンジンの水溶性を簡便な方法でさらに高める手法が求められている。
【特許文献1】特開平2−112665号公報
【特許文献2】特開平10−101705号公報
【特許文献3】特開2000−78955号公報
【特許文献4】特開2000−236856号公報
【特許文献5】特開2002−199896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、従来よりもナリンジンの水に対する溶解性を高めた水溶性ナリンジン組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは鋭意研究の結果、ナリンジンと共に、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンを含有するナリンジン組成物が水への高い溶解性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[5]の事項に関する。
[1]ナリンジン、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチン
を含有することを特徴とする水溶性ナリンジン組成物。
[2]ナリンジン1重量部に対して、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量の合計(全ヘスペリジン量)が0.01〜5重量
部であることを特徴とする、上記[1]に記載の水溶性ナリンジン組成物。
[3]α−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量1重量部に対して、β−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量が0.02〜0.7重量部であることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の水溶性ナリンジン組成物。
[4]α−グルコシルヘスペリジンがα−モノグルコシルヘスペリジンであることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の水溶性ナリンジン組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の水溶性ナリンジン組成物を含むことを特徴とする、飲食物、医薬品、化粧品または飼料。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、ナリンジンの水に対する溶解性を簡便な方法で従来より大幅に高めることが可能となる。あわせて、本発明の水溶性ナリンジン組成物は、ナリンジン粉末と比較して、同じナリンジン濃度であっても苦味が強く、しかも苦味の立上がりおよび後引きが早い。そのため、この特徴を生かし、飲食物、医薬品、化粧品および飼料におけるナリンジンの新たな用途の幅を広げることができ、またナリンジンの利用価値を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る水溶性ナリンジン組成物およびその原料、製造方法等について具体的に説明する。
<水溶性ナリンジン組成物>
本発明に係る水溶性ナリンジン組成物には、ナリンジン、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンが含有されている。この水溶性ナリンジン組成物は、水に溶解したときのナリンジンの溶解性がナリンジンを単体で溶解した場合と比較して著しく高いという性質を持つ。
ナリンジン:
この水溶性ナリンジン組成物を調製する際に用いられるナリンジンとしては、例えばグレープフルーツやユズの果皮、果汁または種子から抽出、精製して製造されたものを使用できる。また、例えば東京化成(株)製の商品「ナリンギン」など、上市されているものを容易に入手することもできる。
α−グルコシルヘスペリジン:
α−グルコシルヘスペリジンは、下記の構造式[2]に示すとおり、ヘスペリジンのルチノース単位のグルコース残基に、α−1,4結合でグルコースが1個以上結合した化合
物である。
【0018】
【化2】

【0019】
特開平2−112665号公報に記載の通り、ヘスペリジンにα−グルコシル糖化合物(例えば澱粉部分分解物)共存下でα−グルコシル転移活性を有する酵素を作用させると、ヘスペリジンのグルコース残基の4位にグルコースが1個以上結合したα−グルコシルヘスペリジンが生成される(未反応のヘスペリジンが一定量含まれる)。
α−モノグルコシルヘスペリジン:
α−モノグルコシルヘスペリジンは、下記の構造式[3]に示すとおり、ヘスペリジンにグルコースが1個だけα結合した化合物である。前記構造式[2]で示される、ヘスペリジンにグルコースが1個以上結合したα−グルコシルヘスペリジンに、グルコアミラーゼ活性を有する酵素(すなわちα−1,4−グルコシル結合をグルコース単位で加水分解
する機能を持つ酵素)を作用させると、ルチノース単位のグルコース残基に直接結合したグルコースを1個だけ残してそれ以外のグルコースが外れ、α−モノグルコシルヘスペリジンが生成される。
【0020】
【化3】

【0021】
このα−モノグルコシルヘスペリジンは、本願出願人らが先に提案した特開平10−70994号公報または特開平10−323196号公報に記載の方法にて製造してもよく、また、商品名「αGヘスペリジンPS」(東洋精糖(株))として上市されており、容易に入手できる(この「αGヘスペリジンPS」は、α−モノグルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとの混合物である)。
【0022】
β−モノグルコシルヘスペレチン:
本発明におけるβ−モノグルコシルヘスペレチン(ヘスペレチン−7−グルコシドとも言う。)は、下記の構造式[4]に示すとおり、ヘスペレチンの7位にグルコースが1個β結合した化合物である。ヘスペリジンにα−L-ラムノシダーゼ活性を有する酵素(す
なわちルチノースを加水分解によりラムノースとグルコースに分解する機能を持つ酵素)を作用させると、その7位に結合しているルチノース単位からラムノース残基のみが外れてグルコース残基のみが残ったヘスペリジン誘導体、すなわちβ−モノグルコシルヘスペレチンが生成される。
【0023】
【化4】

【0024】
本発明で使用するα−グルコシルヘスペリジン、α−モノグルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンは、例えば前記の特開平2−112665号公報、特開平10−70994号公報および特開平10−323196号公報に記載されているような従来より公知の方法で調製することができる。
【0025】
特に、α−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとの混合物は、好適には、前記の特開平2−112665号公報記載の方法によって得られるヘスペリジンのグルコース残基の4位にグルコースが1個以上結合したヘスペリジン配糖体(未反応のヘスペリジンが一定量含まれる)にα−L−ラムノシダーゼ活性を有する酵素を作用させて、未反応のヘスペリジンをβ−モノグルコシルヘスペレチンに変換させることによって得ることができる(このとき、α−モノグルコシルヘスペリジンはほとんど影響を受けない)。
【0026】
また、α−モノグルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとの混合物は、好適には、以下に示すような特開2003−73279号公報の[0065]〜[0070]段落に記載されたような過程により調製することができる:
(1)ヘスペリジンとα−グルコシル糖化合物(例えば澱粉部分分解物)との混合溶液に、α−グルコシル転移活性を有する酵素を作用させて、α−グルコシルヘスペリジンを生成させる。このとき、一部のヘスペリジンは未反応のまま残ることが多い;
(2)上記(1)の反応液に、グルコアミラーゼ活性を有する酵素を作用させて、α−グルコシルヘスペリジンからα−モノグルコシルヘスペリジンを生成させる;
(3)上記(2)の反応液に、α−L−ラムノシダーゼ活性を有する酵素を作用させて、未反応のヘスペリジンからβ−モノグルコシルヘスペレチンを生成させる。このとき、α−グルコシルヘスペリジンはほとんど影響を受けない。
【0027】
上記の3反応は(1)→(2)→(3)の順に順次行ってもよく、また(1)に、グルコアミラーゼ活性を有する酵素と、α−L−ラムノシダーゼ活性を有する酵素とを一緒に添加して(2)と(3)とを同時並行的に行ってもよい。反応完了後、混合溶液からα−モノグルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンを両方の混合物として精製するのが一般的であるが、クロマトグラフィを利用してそれぞれを単離、精製した後に混合することも可能である。また、α−グルコシル転移反応をコントロールすることにより、α−モノグルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンの組成を本発明の要件に適合する状態にして、その後の精製工程を簡単なものまたは不必要とすることも可能である。
【0028】
なお、本発明におけるα−モノグルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンとしては、両者が含有された東洋精糖(株)製の商品「αGヘスペリジンPS」(α−モノグルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量1重量部に対してβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量が通常0.1〜0.3重量部で含有。)をそのまま使用することができる。この商品は、基本的にはα−モノグルコシルヘスペリジおよびβ−モノグルコシルヘスペレチン以外の成分は含有しないが、約10重量%以下の澱粉分解物等が存在する場合もある。
【0029】
本発明に係る水溶性ナリンジン組成物には、上記ナリンジンとα−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとが含まれているが、本発明ではナリンジン(a)1重量部に対して、α−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量(b)およびβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量(c)の合計((b)+(c))が通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部となる量で含まれていることが、ナリンジンの水等への溶解性が良好となる点および苦味料として利用する点を考慮すると望ましい。なお、ナリンジン量に対する「α−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量(b)とβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量(c)の合計量((b)+(c))」が上記範囲より低下すると、ナリンジンを水に良好に溶解させることができず、ナリンジンの沈殿、濁り等が生ずる傾向があり、また、上記範囲より高い(超える)と、それ以上の添加効果が望めず、苦味料としての効果が低減するなどの傾向がある。
【0030】
また、本発明に係る水溶性ナリンジン組成物においては、α−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量1重量部に対して、β−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量は、通常0.02〜0.7重量部、好ましくは0.1〜0.3重量部の量で含まれていることが、生産性および溶解性を考慮すると望ましい。なお、α−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量に対するβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量が上記範囲より少ないと生産コストが上がる傾向があり、また上記範囲より多いと溶液安定性が下がる傾向がある。
【0031】
なお、α−グルコシルヘスペリジン、α−モノグルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量とは、下記の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行い、α−グルコシルヘスペリジン、α−モノグルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンの各ピーク面積から、各々を標準ヘスペリジン(試薬)のピーク面積との比較でヘスペリジンに換算したものである。
HPLC条件:
検出器 :紫外線吸光光度計(UV280nm);
カラム充填剤:5〜10μmオクタデシルシリル化シリカゲル;
カラム管 :150〜300mm×φ3.9〜4.6mmステンレス管;
温度 :40℃;
移動相 :20%アセトニトリル+100μL酢酸;
流速 :1.0mL/min。
【0032】
<水溶性ナリンジン組成物の製造>
製法A:
本発明に係る水溶性ナリンジン組成物を製造するには、例えば、それぞれ粉末状のナリンジンとα−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンと、液体の水(例:イオン交換水)とを、それぞれ上記量で配合し、60〜100℃程度の温度で5〜60分間程度攪拌下に混合・接触させて、温水にナリンジンとα−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとを溶解させる。
【0033】
次いで、得られた混合物を20〜70℃程度の温度に冷却した後、活性炭を該混合物100重量部当たり0.01〜5.0重量部程度の量で添加し、同温度で10〜300分間程度攪拌下に保持する。
【0034】
次いで、得られた液をろ過し、乾燥させることにより粉末状の本発明に係る水溶性ナリンジン組成物が得られる。また、必要により、イオン交換樹脂や各種の脱色生成剤によって処理して用いてもよい。
製法B:
また本発明に係る水溶性ナリンジン組成物は、α−モノグルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとが含まれている東洋精糖(株)製の商品「αGヘスペリジンPS」と、ナリンジン粉末と(必要により活性炭と)を上記と同様な配合量で用い、これら成分を上記と同様な条件でよく混合・接触させることにより製造してもよい。
【0035】
<水溶性ナリンジン組成物が含まれた飲食物、化粧品、医薬品または飼料>
本発明に係る飲食物、医薬品、化粧品または飼料には、上記の本発明に係る水溶性ナリンジン組成物が含まれており、水溶性ナリンジン組成物の有する後述する様々な作用を発揮できる。
【0036】
このような本発明に係る飲食物、化粧品、医薬品、飼料などを得るには、ナリンジンが含まれた従来の飲食物、化粧品、医薬品、飼料などの調製時に、ナリンジンに代えて、本発明の水溶性ナリンジン組成物を添加し、それ以外は同様にして調製すればよい。
【0037】
上記の「様々な作用」としては、以下に詳述するように、例えば(a)高濃度で溶解しているナリンジンの沈殿を抑制すること、(b)ナリンジンとα−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとが共存することにより、苦みの立ち上がり、後引きまたは飲みやすさなどの風味が改善されること、(c)従来よりナリンジンの溶解性が高まることにより、強い苦味ならびに体内での高い吸収性を有するようになること、(d)抗酸化剤または紫外線吸収剤として機能すること、などが挙げられる。
【0038】
(a-1)沈殿の抑制:
ナリンジンは常温で約0.1(w/v)%しか水に溶解しないが、本発明に係る水溶性ナ
リンジン組成物では簡便な方法でナリンジンが約10(w/v)%、すなわちナリンジン単体の約100倍以上溶解し、沈殿を生じない。これにより、食品類、医薬品、化粧品または飼料などに高濃度でナリンジンを溶解させたまま、常温にて結晶が析出しないようにすることが可能となる。とくに飲料等においては、高濃度にナリンジンが溶解したものを少量ずつ添加する場合があり、水溶性ナリンジン組成物は有用である。
【0039】
(b-1)呈味:
本発明に係る水溶性ナリンジン組成物を苦味料として飲食物などに添加することにより、従来よりも深みのある洗練された苦みを与えることや、酸味、塩辛味、渋み、青臭み、
えぐみを低減するなどして風味を改善することができる。例えば本発明に係る水溶性ナリンジン組成物を配合することにより、柑橘系の素材を用いたジャム、ジュース、菓子類では、さわやかな苦みを与えより本物らしさを高めることなどが可能になる。また、ナリンジン換算では従来品と同じ添加量であっても、本発明の水溶性ナリンジン組成物はナリンジンそのものよりも苦みが強く感じられるため、少ないナリンジンの使用量で従来と同程度の苦みを与えることができる。
【0040】
また、本発明に係る水溶性ナリンジン組成物を各種の甘味料に添加することにより、甘味の後切れが改善される。具体的には、蔗糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、トレハロースやその他の各種オリゴ糖、ソルビトール、マルチトール、還元水あめなどの各種糖アルコール、ステビア(ステビア抽出物、酵素処理ステビア)、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどの高甘味度甘味料に合わせて使用することにより呈味の改善が図れる。
【0041】
(c-1)体内での吸収性:
本発明に係る水溶性ナリンジン組成物を飲食物(健康食品や機能性食品などを含む)、医薬品(もしくは医薬部外品)または飼料などに添加することにより、従来よりも体内でのナリンジンの溶解性が高まり、吸収性を向上させることができる。
【0042】
(c-2)生理作用:
従来よりも少ない経口摂取回数で効率的にナリンジンを摂取することが可能となり、ナリンジンの持つ生理作用(例えば毛細血管の強化、出血予防、血圧調整(低下作用)、血中脂質の改善(中性脂肪の低減、コレステロール低下、抗アレルギーなど))が効率よく発揮される。
【0043】
(d-1)抗酸化剤
ナリンジンは抗酸化作用を有しており、水溶性ナリンジン組成物を抗酸化剤として飲食物、化粧品および医薬品などに添加することにより、例えばこれらに含有される脂質、香料または着色料などの酸化による変質を抑えることができるなど、品質の保持に効果が発揮される。
【0044】
(d-2)紫外線吸収剤
ナリンジンは紫外線吸収作用を有しており、水溶性ナリンジン組成物を紫外線吸収剤として色素(特に植物由来の天然色素)などに添加することにより、褪色防止の効果が発揮される。すなわち、色素が光を吸収すると光反応が起き(特に紫外線が当たると光反応が起こりやすい)、この光反応により色素が分解されて褪色となるが、紫外線吸収作用を持つナリンジンはこれを抑制する働きを持つ。色素としては、カロチノイド系色素に対する効果が特に高いが、アントシアニン系色素、フラボノイド色素およびその他の天然色素(例えば紅麹色素)などに対しても効果的である。なお、色素の様態としては、染料や画材などに限らず、飲食物、化粧品および医薬品などに含有される着色料などをも含む。さらに、同じくナリンジンの紫外線吸収作用を利用して、人体に塗布する化粧品などに紫外線カットの効果を付与することも可能である。
【0045】
[実施例]
以下に、本発明に係る水溶性ナリンジン組成物、およびこの水溶性ナリンジン組成物を含有する飲食物、医薬品、化粧品、飼料などについて、実施例に基いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験例A〜D]
ナリンジンと共存する成分の量の相違によるナリンジンの溶解性の変化
グレープフルーツの果皮より抽出し精製したナリンジン10g(純度98%)に、東洋
精糖(株)製「αGヘスペリジンPS」を0g(試験例A)、0.1g(試験例B)、1g
(試験例C)、10g(試験例D)の量でそれぞれ添加して、得られた水溶性ナリンジン組成物に続いてイオン交換水を90mlずつ加えて、試料A、試料B、試料C、試料Dを調製した。
【0046】
なお、実施例で使用される「αGヘスペリジンPS」は、製品組成物中の全ヘスペリジン重量が80%であり、またα−モノグルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量1重量部に対して、β−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量0.20重量部を
含有するものである。
【0047】
A〜Dの各試料を90℃以上の温度で30分間加熱した後、水道水で常温まで急冷し、ナリンジンの沈殿が生じるか否かを目視確認することにより、溶解性の評価を行った。
その結果を表1に示す。表1中、カッコ書きは、ナリンジン10gを1重量部としたときのαGヘスペリジンPS中の全ヘスペリジンの重量部数を示す。
【0048】
【表1】

【0049】
<考察>
ナリンジン1重量部に対して「αGヘスペリジンPS」を全ヘスペリジン量として0.
08重量部または0.8重量部で添加した場合、ナリンジンは常温の水に約9〜10(w/v)%溶解し、沈殿を生じなかった。したがってこの混合比で調製した水溶性ナリンジン
組成物は、従来よりも著しく高いナリンジンの溶解性を有することが確認された。
[試験例E]
<ナリンジンと共存する成分の種類の相違によるナリンジンの溶解性の変化>
前記[試験例A〜D]の結果に基づき、ナリンジン1.0重量部に東洋精糖(株)製「α
GヘスペリジンPS」を0.1重量部(全ヘスペリジン量0.08重量部)添加し、得られた水溶性ナリンジン組成物(試料E)にイオン交換水5.0重量部を添加し、95℃で3
0分間加熱下に攪拌して、イオン交換水にナリンジン及び「αGヘスペリジンPS」を溶解した後、60℃に冷却してその温度で保持し、60℃におけるナリンジンの溶解性の経時変化(60℃に冷却直後、その後1時間経過後、5時間経過後)を評価した。
【0050】
その結果を表2に示す。
[試験例F〜H]
試験例Fでは、試験例Eにおける東洋精糖(株)製「αGヘスペリジンPS」に代えて、東洋精糖(株)製「αGヘスペリジンP」(全ヘスペリジン量:42%、うちα−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量:35%、ヘスペリジン7重量%で含有)を用いた。
【0051】
また試験例Gでは、同様に、東洋精糖(株)製「αGヘスペリジンPA」(全ヘスペリ
ジン量:76%、うちα−モノグルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量:63重量%、ヘスペリジン13重量%で含有)を用いた。
【0052】
さらに試験例Hでは、同様に、上記東洋精糖(株)製「αGヘスペリジンP」水溶液にα−L−ラムノシダーゼ活性を有する酵素を作用させて得たα−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとを含有する組成物(全ヘスペリジン量:42%、うちα−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量:35重量%、β−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量:7重量%で含有)を用いた。
【0053】
これ以外は何れも試験例Eと同様にしてナリンジン組成物を得て、60℃におけるナリンジンの溶解性の経時変化を評価した。
その結果を表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
<考察>
ナリンジンに「αGヘスペリジンPS」を添加した試験例E(表2)では、ナリンジンは5時間経過しても沈殿を生ぜず、約16(w/v)%の濃度で溶解したままであった。また、「αGヘスペリジンP」水溶液にα−L−ラムノシダーゼ活性を有する酵素を作用させて得たα−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとを含有する組成物を添加した試験例Hでも同様に、ナリンジンは5時間経過しても沈殿を生ぜず、約16(w/v)%の濃度で溶解したままであった。したがって、α−グルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとを含有する組成物、およびをα−モノグルコシルヘスペリジンとβ−モノグルコシルヘスペレチンとを含有する組成物(「αGヘスペリジンPS」)は、ナリンジンの溶解性の持続に優れた効果を示すことが確認された。
【0056】
また、試験例F、G(表2)に示すように、ナリンジンと共に、ヘスペリジンおよびヘスペリジン配糖体のみからなる酵素処理ヘスペリジンを用いた試料では、時間の経過とともにナリンジンの溶解性が低下した。したがって、本発明に係る水溶性ナリンジン組成物のようにナリンジンと共にα−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンが組み合わせて配合(含有)されていると(試験例E、H)、ナリンジンの溶解性を持続させる効果について優位性があることが確認された。
[水溶性ナリンジン組成物等の吸収性試験]
4週齢のWistar系の雄ラット18匹(体重範囲:42〜56g)を日本クレア株式会社より購入し、14日間の検疫期間の終了後に試験に用いた。
【0057】
ラットは室温22±2℃、相対湿度50±10%、換気回数10回以上/時間(オールフレッシュエアー方式)、照明12時間/日(午前6時より午後6時まで照明、160〜300ルクス)に設定した飼育室で、ステンレス製のラット飼育用ブラケットゲージに1ゲージあたり1匹ずつ収容し、飼育した。
【0058】
ラット用の飼料としては、精製飼料「AIN−93G組成飼料」をガラス製給餌皿にて、また飲料水は、自家用水道水をポリカーボネイト製給水瓶にて与え、ともに飼育開始時から自由摂取させた。
【0059】
ラットの群分けは、ラットの健康状態を評価し、健康な個体だけについて、体重の層別無作為化法により各群の平均体重ができるだけ等しくなるように2群に配分した。投与日のラットの週齢は6週齢、体重範囲は107〜125gであった。
【0060】
被験物質の群分けは、ナリンジン投与群(比較例)、可溶性ナリンジン投与群すなわち本発明の水溶性ナリンジン組成物投与群の2群構成とした。
被験物質として、ナリンジンは関東化学株式会社より購入した試薬を使用し、また水溶性ナリンジン組成物は実施例1と同様に、ナリンジン1重量部に対して東洋精糖(株)製「αGヘスペリジンPS」を0.1重量部添加、調製したものを使用した。
【0061】
被験物質は、それぞれイオン交換水に懸濁、または溶解して用いた。
これらの被験物質は、18時間の絶食を行ったラットに、ラット用経口ゾンデを用いて、ラット体重kgあたりナリンゲニンとして50μmolとなるように強制経口投与した。
投与24時間後での採血および尿の回収まで、給餌は行わず給水のみとした。
【0062】
被験物質投与前(以下、0時間とする)および投与から0.5、1、2、4、8、12
、24時間後に頚静脈より採血し、それぞれをプラスチックチューブに入れ、ハイキャパシティ冷却遠心機「KUBOTA3615」(株式会社久保田製作所製)により遠心分離(3500×g、4℃、10分間)し、血漿を分離した。
【0063】
得られた血漿および24時間尿の上澄みは、分析の前処理をするまで「サンヨー超低温フリーザー」(三洋電機株式会社製)にて−80℃で冷凍保存した。
血漿0.5mlと、1M酢酸ナトリウム水溶液(pH4.5)0.5mlを2.0mlのプラスチックチューブに取り、十分に攪拌した後に37℃で2分間、プレインキュベーションした。
【0064】
次に、β−グルクロニダーゼ/スルファターゼ(シグマ社製、Type−H−2;10500units/ml,4300units/ml)を、β−グルクロニダーゼ活性5500units添加し、37℃で20分間インキュベーションした。
【0065】
その後、直ちに氷冷し、0.01Mシュウ酸0.5mlを加えて攪拌し、8000rpm、4℃で5分間遠心分離した。得られた上清をあらかじめメタノールにて活性化させておいた「Sep−Pack C18 Cartridge」(ウォーターズ社製)に注入して通液後、0.01Mシュウ酸1ml、イオン交換水10mlを順次流して洗浄した。
【0066】
次いで、上記「Sep−Pack C18 Cartridge」への吸着物を100%メタノールで溶出し、試験管に採取した。これをロータリーエバポレーター(EYELAN−2,東京理科器株式会社製)を用いて減圧乾固し、分析直前まで「サンヨー超低温フリーザー」(三洋電機株式会社製)にて−80℃で冷凍保存した。
【0067】
HPLC分析は、得られた減圧乾固残留物に100%メタノール100μlを加えて溶解し、15000rpm、0℃で2分間、遠心分離機「KUBOTA3615」(株式会社久保田製作所製)にて遠心分離したものを試料とし、表3に示す条件にて測定を行った。
【0068】
なお、本分析では東京化成工業株式会社製のナリンゲニンを標準物質として使用した検量線を作製し、血漿中ナリンゲニン濃度を定量した。また、ナリンゲニンとナリンゲニン抱合体をあわせてナリンゲニンとして算出した。
【0069】
その結果を、図1および表4に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
<考察>
図1によれば、本発明の水溶性ナリンジン組成物は、ナリンジンに比べてラット体内に吸収されやすいことが確認され、また表5によれば、ナリンジン量の直接比較ではないが、ナリンジン投与群に比して水溶性ナリンジン組成物投与群では全体量としてより多く(2倍近く)吸収されることが確認された。
【0073】
[水溶性ナリンジン組成物等の苦味等の官能評価試験]
上記各試験例の結果に基づき、ナリンジン1.0重量部に東洋精糖(株)製「αGヘスペ
リジンPS」0.1重量部(全ヘスペリジン量0.08重量部)を添加した水溶性ナリンジン組成物に、イオン交換水5.0重量部を加え、95℃で30分間加熱溶解した。60℃
に冷却後、活性炭(武田薬品工業、「白鷺P」)を0.001重量部添加して、60℃で
1時間、攪拌接触させた。その後、穴径3μmの粗ろ過および穴径0.5μmのメンブレ
ンフィルターろ過を行った後、スプレードライヤーで乾燥し、水溶性ナリンジン組成物を得た。
【0074】
そして、ナリンジンとして100ppm(0.01(w/v)%)の濃度になるよう、水
溶性ナリンジン組成物およびナリンジン粉末をそれぞれイオン交換水を添加して濃度調整し、それぞれ試料Hおよび試料Iとした。
【0075】
これらの試料H,Iを用いて、パネラー10名による、苦みの強さ、苦みの立上がりおよび苦みの後引きについての官能検査を行った。試料I(ナリンジン使用)と比較した試料H(水溶性ナリンジン組成物使用)の評価は、表5の通りであった。
【0076】
【表5】

【0077】
<考察>
本発明品の水溶性ナリンジン組成物はナリンジン粉末と比較して、同じナリンジンの濃度であっても苦みが強く、また苦みの立上がりおよび後引きが早いことが確認された。
[飲食物(グレープフルーツジュース)及びその苦味等の官能評価試験]
本発明の水溶性ナリンジン組成物およびナリンジン粉末を用いて、表6に示した配合組成の低カロリータイプのグレープフルーツジュースを調製し、それぞれ試料J(水溶性ナリンジン組成物配合タイプ)および試料K(ナリンジン配合タイプ)とした。なお、いずれの試料もナリンジンとして100ppm(0.01(w/v)%)の濃度である。また、
使用した水溶性ナリンジン組成物は上記[水溶性ナリンジン組成物等の苦味等の官能評価試験]において作成したものである。
【0078】
これらの試料を用いて、パネラー10名による、苦みの後引きおよび飲み易さについての官能検査を行った。試料K(ナリンジン粉末使用)と比較した試料J(水溶性ナリンジン組成物使用)の評価は、表7の通りであった。
【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
<考察>
本発明品の水溶性ナリンジン組成物が配合された本発明のグレープフルーツジュースにおいては、ナリンジン粉末が配合された比較例のグレープフルーツジュースと比較して、苦みの後引きが早く、また飲み易いという評価が得られた。
[化粧品及びその溶解性の評価試験]
精製水にグリセリン、プロピレングリコールおよび水溶性ナリンジン組成物を加えて室温で溶解した水溶液と、エチルアルコールにエモリエント、界面活性剤、防腐剤、香料を加えて溶解したアルコール溶液とを混合し、染料で着色した後、ろ過したものを試料Lとした。なお、試料Lの組成物の配合は表8に示すとおりであり、使用した水溶性ナリンジン組成物は前記[水溶性ナリンジン組成物等の苦味等の官能評価試験]において作成したものである。試料Lにおいて、ナリンジンの沈殿物は認められなかった。
【0082】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、水溶性ナリンジン組成物を投与した場合(図中■で表示)と、ナリンジンを投与した場合(図中◆で表示)の血中ナリンゲニン濃度(nmol/ml)と、投与からの経過時間(h)との関係を示すグラフである。
【0084】
図1(*印)によれば、水溶性ナリンジン組成物あるいはナリンジン投与後、4時間で各群ともピーク値を示し2群間に有意差あり(p<0.05)ということが分かる。また、投与から24時間経過後では、何れも血中ナリンゲニン濃度は、0nmol/mlを示した。
【符号の説明】
【0085】
■・・・・・水溶性ナリンジン組成物を投与した群
◆・・・・・ナリンジンを投与した群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナリンジン、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンを含有することを特徴とする水溶性ナリンジン組成物。
【請求項2】
ナリンジン1重量部に対して、α−グルコシルヘスペリジンおよびβ−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量の合計(全ヘスペリジン量)が0.01〜5重量部で
あることを特徴とする、請求項1に記載の水溶性ナリンジン組成物。
【請求項3】
α−グルコシルヘスペリジンのヘスペリジン換算量1重量部に対して、β−モノグルコシルヘスペレチンのヘスペリジン換算量が0.02〜0.7重量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水溶性ナリンジン組成物。
【請求項4】
α−グルコシルヘスペリジンがα−モノグルコシルヘスペリジンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性ナリンジン組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性ナリンジン組成物を含むことを特徴とする、飲食物、医薬品、化粧品または飼料。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−39419(P2007−39419A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228283(P2005−228283)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(591061068)東洋精糖株式会社 (17)
【Fターム(参考)】