説明

水移送ポンプ、水処理装置

【課題】水処置装置の水処理領域に設置されるエアリフト式の水移送ポンプにおいて、水移送ポンプの吸入管側の水位に応じて吐出量を適正に調整するのに有効な技術を提供する。
【解決手段】ポンプハウジング200aと、吸入口205及び吐出口206と、吸入口と吐出口とが連通する第1の水流通経路と、第1の水流通経路に空気を供給することによって、吸入口から吸入した水を吐出口から吐出させる空気供給部207と、吐出口から吐出される前の水の一部が吐出口側から吸入口側に流れるのを許容する第2の水流通経路と、水処理領域の吸入口側の水位に応じて、吐出口側から第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を調整し、吸入口側の水位が相対的に高い高水位の場合には、吸入口側の水位が相対的に低い低水位の場合よりも第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を増やすように調整する流量調整機構とを含む構成とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水の水処理を行う水処理装置に設置される水移送ポンプの構築技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭等から排出される生活排水や、産業廃水等の汚水などの被処理水を処理
する水処理装置においては、被処理水の移送のための水移送ポンプが設置されており、例えば下記特許文献1には、いわゆるエアリフト式の水移送ポンプを備える浄化槽の構成が開示されている。この水移送ポンプは、空気供給管から空気が供給されることによって、ポンプ本体の吸入口分から吸入された水が配管内を流れ移送先へと移送される構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録公報 第2543838号
【0004】
ところで、この種の水処理装置においては、原水の流入量が上昇したピーク流入の場合、槽内に貯留される水量を一時的に増やして流入水量を下回る放流水量に調整する(以下、「ピークカット」ともいう)ことで、処理性能の向上を図る要請がある。しかしながら、エアリフト式の水移送ポンプを用いると、空気供給量が一定の場合には吸入管側の水位上昇に伴って吐出量が増加することとなり、高水位時の吐出量が増加してピークカットの効果が薄れることが懸念される。一方で、低水位時においては吐出量を安定的に維持することが必要とされる。従って、ピークカットの効果を得るためには、水移送ポンプの吸入管側の水位に応じて吐出量を適正に調整することが望まれている。
引用文献1に記載の浄化槽では、水移送ポンプから吐出された水が流入する流量調整ボックスが別途設けられており、この流量調整ボックスによってポンプ吐出後の水の流量を調整する構成とされているが、このような流量調整ボックスは、流量調整装置自体が大掛かりなものとなり、また水処理装置全体としての装置コストが増大するという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、水処置装置の水処理領域に設置されるエアリフト式の水移送ポンプにおいて、簡便な構造により水移送ポンプの吸入管側の水位に応じて吐出量を適正に調整するのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明が構成される。なお、本発明は、一般家庭、集合住宅、商業施設、公共施設、工場等の設備から排出される生活排水や産業廃水等の原水の浄化処理を行う水処理装置に対し好適に用いられる。
【0007】
本発明にかかる水移送ポンプは、水処理装置の水処理領域に設置されるエアリフト式の水移送ポンプとして構成される。この水移送ポンプは、ポンプハウジング、吸入口及び吐出口、第1の水流通経路、空気供給部、第2の水流通経路、流量調整機構を含む。水処理装置の水処理領域は、原水を受け入れて処理することにより実質的な水処理を行なう領域として構成される。典型的には、この水処理領域に、固液分離処理部、嫌気処理部、好気処理部、ろ過処理部、貯留処理部、消毒処埋部等が適宜組み合わせられて収容される。
【0008】
ポンプハウジングは、水移送ポンプの外郭を形成する。このポンプハウジングに吸入口及び吐出口が設けられる。吸入口は、水を吸入する吸入開口として構成される一方、吐出口は、吐出する吐出開口として構成される。第1の水流通経路は、ポンプハウジング内に形成され、吸入口と吐出口とが連通する水流通経路として構成される。この第1の水流通経路を通じて、吸入口から吐出口への水の流通が許容される。空気供給部は、吸入口と吐出口との間で第1の水流通経路に接続され、第1の水流通経路に空気を供給することによって、吸入口から吸入した水を上記吐出口から吐出させる空気供給部分として構成される。第2の水流通経路は、第1の水流通経路に接続され、吐出口から吐出される前の水の一部が吐出口側から吸入口側に流れるのを許容する水流通経路として構成される。
【0009】
流量調整機構は、ポンプハウジング内に取り付けられ、水処理領域の吸入口側の水位に応じて、吐出口側から第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を調整する機能を有する。この流量調整機構は特に、吸入口側の水位が高水位の場合には、吸入口側の水位が低水位の場合よりも第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を増やすように調整する。水処理領域の吸入口側の水位が変動する場合には、吸入口から吸入される水の流量も変化する。この場合、空気供給部から供給される空気量が一定の場合には、吸入口側の水位が相対的に高い高水位になると吸入口から吸入される水の流量が多くなる一方、吸入口側の水位が相対的に低い低水位になると吸入口から吸入される水の流量が少なくなる。従って、この流量調整機構を、吸入口から吸入される水の流量に応じて、吐出口側から第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を調整する機構ということもできる。
【0010】
上記構成の水移送ポンプによれば、吸入側の水位が高水位の場合に吐出量が増加するのを流量調整機構によって抑えることができ、これによりピークカットの効果を得ることが可能となる。一方、吸入側の水位が低水位の場合においては吐出量を安定的に維持することが可能となる。また、水移送ポンプのポンプハウジング内に流量調整機構を設ける構成によって、装置が大掛かりにならない簡便な構造が実現される。
【0011】
また本発明にかかる更なる形態の水移送ポンプでは、前記のポンプハウジングは、第1配管部、第2配管部、第3配管部及び第4配管部及を含む構成であるのが好ましい。第1及び第2配管部は、ポンプ上下方向にそれぞれ長尺状に延在する配管構成部分とされる。第3配管部は、第1配管部の下端部と、第2配管部の下端部とを接続する配管構成部分とされる。第4配管部は、第1配管部から第3配管部を経由して第2配管部へと流れた水が、第1配管部に流れるのを許容するよう、第1配管部の上端部と第2配管部の上端部とを接続する配管構成部分とされる。そして、第1配管部、第2配管部、及び第3配管部によって前記の第1の水流通経路が形成されるとともに、第4配管部によって前記の第2の水流通経路が形成される。これにより、これら第1〜第4配管部によって、実質的に環状の流路(ループ流路)が形成されることとなる。ここで、前記の吸入口は、第1配管部の下端部よりもポンプ上方に設けられ、当該第1配管部内へと水を吸入する構成とされる。また、前記の吐出口は、第2配管部の下端部よりもポンプ上方に設けられ、当該第2配管部から水を吐出する構成とされる。また、前記の空気供給部は、第2配管部の下端部と吐出口との間に設けられる。これにより、第1〜第4配管部を接続することによって環状のポンプハウジングを形成することができ、ポンプハウジング内の水の流れを円滑化することが可能となる。
【0012】
また本発明にかかる更なる形態の水移送ポンプでは、前記の第4配管部は、吸入口側の水位が上側基準水位にあるときの最大汲み上げ高さと、吸入口側の水位が上側基準水位よりも低い下側基準水位にあるときの最小汲み上げ高さとの間に管底部が設置された規制流路を含み、当該規制流路によって流量調整機構が構成されるのが好ましい。
この規制流路は、吸入口側の水位が相対的に高い高水位の場合には、第4配管部の水の流れを許容する。一方、この規制流路は、吸入口側の水位が相対的に低い低水位の場合には、第4配管部の水の流れを規制する。従って、この規制流路は、高水位の場合に第4配管部を流通する水の流量を、低水位の場合よりも増やすように構成されている。
【0013】
なお、水移送ポンプの汲み上げ高さは、吸入口側の水位が予め設定された規定の上側基準水位(運転管理上の上限水位)に設定された場合に最大となり、吸入口側の水位が予め設定された規定の下側基準水位(運転管理上の下限水位)に設定された場合に最小となる。従って、吸入口側の水位が上側基準水位に設定された場合の汲み上げ高さを「最大汲み上げ高さ」として規定することができ、また吸入側の水位が下側基準水位に設定された場合の汲み上げ高さ「最小汲み上げ高さ」として規定することができる。
【0014】
また本発明にかかる更なる形態の水移送ポンプでは、内装部材によって前記の規制流路の管底部が構成されるのが好ましい。この内装部材は、第4配管部の内壁面に取り付けられた部材とされる。これにより、第4配管部の内装部材による更なる簡便な構造によって流量調整機構を構成することが可能となる。
【0015】
また本発明にかかる更なる形態の水移送ポンプでは、前記の規制流路は、第4配管部の内壁面によって管底部が構成されるのが好ましい。これにより、第4配管部の内壁面による更なる簡便な構造によって流量調整機構を構成することが可能となる。
【0016】
また本発明にかかる更なる形態の水移送ポンプでは、前記の流量調整機構は、弁体と弁体駆動装置とを含む構成であるのが好ましい。弁体は、第4配管部内に設置される。弁体駆動装置は、第4配管部内の流路断面積が可変とされるように弁体を作動させる駆動装置とされる。
本構成によれば、水移送ポンプを施工する際の設置状況に応じて、或いは当該水移送ポンプの維持管理上の調整作業において、弁体を適宜作動させることによって、第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を所望の水量に容易に設定することが可能となる。なお、本構成に関し、弁体駆動装置は、弁体に対し所定の制御信号を出力することによって弁体を作動させる構成であってもよいし、或いは作業者による手動式の機械構造によって弁体を作動させる構成であってもよい。
また、必要に応じては、吸入口側の水位が高水位の場合には、吸入口側の水位が低水位の場合よりも第4配管部内の流路断面積が増えるように弁体を作動させる構成を採用することもできる。これにより、吸入口側の水位が高水位の場合には、吸入口側の水位が低水位の場合よりも第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を増やすことが可能となる。
【0017】
また本発明にかかる更なる形態の水移送ポンプでは、前記の第4配管部は、第1配管部と第2配管部とを接続する可撓状配管によって構成され、また前記の流量調整機構は、可撓状配管を支持する支持体と、吸入口側の水位が上側基準水位にあるときの当該水移送ポンプの最大汲み上げ高さと、吸入口側の水位が上側基準水位よりも低い下側基準水位にあるときの当該水移送ポンプの最小汲み上げ高さとの間に可撓状配管の管底部が設定されるように支持体をポンプ上下方向に作動させる支持体駆動装置とを含む構成されるのが好ましい。
本構成によれば、水移送ポンプを施工する際の設置状況に応じて、或いは当該水移送ポンプの維持管理上の調整作業において、支持体を適宜作動させることによって、第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を所望の水量に容易に設定することが可能となる。
また、必要に応じては、吸入口側の水位が前記高水位の場合には、吸入口側の水位が低水位の場合よりも可撓状配管の管底部が低所に設定されるように支持体を作動させる構成を採用することもできる。これにより、吸入口側の水位が高水位の場合には、吸入口側の水位が低水位の場合よりも第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を増やすことが可能となる。
【0018】
本発明にかかる水処理装置は、処理槽本体の内部に、水処理領域、流入管、流出管、水移送ポンプ、水吸入領域及び水吐出領域を含む構成とされる。水処理領域は、被処理水の水処理を行う領域として構成される。流入管は、原水が水処理領域に流入するのを許容する開口部分として構成される。流出管は、水処理領域にて処理された水が処理槽本体から流出するのを許容する開口部分として構成される。水移送ポンプは、水処理領域において水を移送する機構を果たす。水移送ポンプは特に、前述の各水移送ポンプを用いた構成とされる。水吸入領域は、水処理領域のうち水移送ポンプの吸入口が配設される領域として構成される。水吐出領域は、水処理領域のうち水移送ポンプの吐出口が配設される領域として構成される。この水処理装置の水移送ポンプは特に、前述の各水移送ポンプを用いた構成とされる。
【0019】
従って、上記構成の水処理装置によれば、水移送ポンプにおいて、吸入側の水位が高水位の場合に吐出量が増加するのを流量調整機構によって抑えることができ、これによりピークカットの効果を得ることが可能となる。一方、吸入側の水位が低水位の場合には吐出量を安定的に維持することが可能となる。また、水移送ポンプのポンプハウジング内に流量調整機構を設ける構成によって、装置が大掛かりにならない簡便な構造が実現される。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、水処置装置の水処理領域に設置されるエアリフト式の水移送ポンプにおいて、特に吸入口と前記吐出口とが連通する第1の水流通経路とは別に、吐出口側から前記吸入口側に流れるのを許容する第2の水流通経路を設けるとともに、吸入口側の水位に応じて吐出口側から第2の水流通経路を通じて吸入口側に流れる水の流量を調整する流量調整機構をポンプハウジング内に設ける構成によって、簡便な構造により水移送ポンプの吸入管側の水位に応じて吐出量を適正に調整することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の「水処理装置」にかかる一実施の形態の水処理装置100の概要を示す図である。
【図2】図1中の水移送ポンプ200の概略構成を示す図である。
【図3】図2中の水移送ポンプ200における水及び空気の流れを模式的に示す図である。
【図4】第2の実施形態の水移送ポンプ300における水及び空気の流れを模式的に示す図である。
【図5】第3の実施形態の水移送ポンプ400における水及び空気の流れを模式的に示す図である。
【図6】第4の実施形態の水移送ポンプ500の概略構成を示す図である。
【図7】図6中の水移送ポンプ500の第1の設定モードA1時の状態を示す図である。
【図8】図6中の水移送ポンプ500の第2の設定モードA2時の状態を示す図である。
【図9】図6中の水移送ポンプ500の第3の設定モードA3時の状態を示す図である。
【図10】第5の実施形態の水移送ポンプ600の概略構成を示す図である。
【図11】図10中の水移送ポンプ600の第1の設定モードB1時の状態を示す図である。
【図12】図10中の水移送ポンプ600の第2の設定モードB2時の状態を示す図である。
【図13】図10中の水移送ポンプ600の第3の設定モードB3時の状態を示す図である。
【図14】別実施の形態の水処理装置120の概要を示す図である。
【図15】別実施の形態の水処理装置140の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明における一実施の形態の水処理装置の構成等を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、一般家庭、集合住宅、商業施設、公共施設、工場等の設備から排出される原水(「排水」ないし「被処理水」ともいう)を水処理領域に受け入れて処理する水処理装置について説明するものである。
【0023】
本発明の「水処理装置」にかかる一実施の形態の水処理装置100の概要が図1に示される。図1に示すように、本実施の形態の水処埋装置100は、当該水処埋装置100の躯体としての処理槽本体101を有する。この水処埋装置100は、屎尿と併せて雑排水(生活系の汚水)を処理する構成の水処理装置であり、「浄化槽」ないし「合併処理浄化槽」とも称呼される。
【0024】
処理槽本体101は、典型的には、いずれも半割れ状に成形された上槽及び下槽を互いに突き合わせることによって槽状とされる。この処理槽本体101は、流入管102、流出管103及びマンホール部104を備える。流入管102は、被処理水(原水)を処理槽本体101の内部空間に導入するための開口部分として構成される。流出管103は、処理後の水が処理槽本体101の内部空間から導出するための開口部分として構成される。マンホール部104は、入槽用、内部点検用、清掃用のマンホールが形成された部位として構成される。
【0025】
ここでいう処理槽本体101が、本発明における「処理槽本体」に相当し、またこの処理槽本体101の流入管102及び流出管103がそれぞれ、本発明における「流入管」及び「流出管」に相当する。なお、本明細書中では、処理槽本体101のうちのマンホール部104側が槽上方ないし後述する水移送ポンプ200のポンプ上方として規定され、またその反対側が槽下方ないし後述する水移送ポンプ200のポンプ下方として規定される。
【0026】
処理槽本体101の内部収容空間は、流入管102を通じて受け入れた原水の水処理を行なう水処理領域であって、本発明における「水処理領域」)とされる。この水処理領域には、水処理機構101aとして、夾雑物除去槽110、嫌気処理槽130、好気処理槽150、固液分離槽170及び消毒槽190が収容されている。本構成では、流入管102を通じて処理槽本体101内に流人した原水は、夾雑物除去槽110、嫌気処理槽130、好気処理槽150、固液分離槽170及び消毒槽190において順次連続的に処埋され、処理後の水が流出管103を通じて処理槽本体101外へと流出する。すなわち、本実施の形態では、各槽が水の処理流れに関して直列状に配設されている。この場合、水処理装置100は、処理槽本体101外へと流出した水をそのまま放流する浄化槽として構成されてもよいし、或いは処理槽本体101外へと流出した水をトイレや散水用の水として再利用する水再利用装置として構成されてもよい。また、この水処理機構101aのうち、夾雑物除去槽110及び嫌気処理槽130は被処理水の一次的な処理を行なう「一次処理部」とも称呼され、また好気処理槽150は一次的な処理がなされた後の被処理水の二次的な処理を行なう「二次処理部」とも称呼される。
【0027】
処理槽本体101の内部収容空間(水処理領域)は、板壁状の隔壁が複数介在することによって各処理要素に区画されている。具体的には、夾雑物除去槽110と嫌気処理槽130との間に隔壁111が介在し、嫌気処理槽130と好気処理槽150との間に隔壁131が介在し、好気処理槽150と固液分離槽170との間に隔壁151が介在し、また固液分離槽170と消毒槽190との間に隔壁171が介在する。これら隔壁111,131,151,171はいずれも、処理槽本体101の槽上下方向に関し長尺状に延在する壁部材として構成される。
【0028】
夾雑物除去槽110は、水処理機構101aの水の処理流れに関して最上流部に配置されている。この夾雑物除去槽110は、原水中に含まれる夾雑物(固形物等)を、流入バッフル及び流出バッフルなどの固液分離手段を用いて被処理水から固液分離する処理槽であり、被処理水の固液分離機能を果たす。ここでいう夾雑物除去槽110が、本発明における「固液分離処理部」に相当する。図1に示す例では、流入管102から流入した原水に対し作用する流入バッフル112及び流出バッフル114が夾雑物除去槽110に設けられている。流入バッフル112は、プレート状部材或いはパイプ状部材によって被処理水の第1区画領域113を形成しており、この第1区画領域113が処理槽本体101の槽上下方向(図1中の上下方向)に長手状に延在している。同様に、流出バッフル114は、プレート状部材或いはパイプ状部材によって被処理水の第2区画領域115を形成しており、この第2区画領域115が処理槽本体101の槽上下方向(図1中の上下方向)に長手状に延在している。
【0029】
上記構成の夾雑物除去槽110において、流入管102から流入した原水は、流入バッフル112の第1区画領域113を下向きに固液分離領域116へと流れる。そして、固液分離領域116で夾雑物の除去処理がなされた後の水は、今度は流出バッフル114の第2区画領域115を上向きに流れ、更に押し出し流れの原理によって隔壁111の上部の移流開口111aへと流れ、この移流開口111aを通じて嫌気処理槽130へと移流する。
【0030】
嫌気処理槽130は、水処理機構101aの水の処理流れに関して第2番目の処埋領域を構成している。この嫌気処理槽130には、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気処理(還元)する機能、及び被処埋水を濾過処理する機能を有する嫌気濾床132が設けられている。この嫌気濾床132には、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気処理する嫌気性微生物が付着する規定量の嫌気濾材C1が充填されている。また、この嫌気処理槽130には、好気処理槽150へと水を移送する水移送ポンプ200が設けられており、後述する吸入口205が嫌気処理槽130(水移送元)に配設される一方、後述する吐出口206が好気処理槽150(水移送先)に配設されている。ここでいう水移送ポンプ200が、本発明における「水移送ポンプ」に相当する。また、水移送ポンプ200による水移送元である嫌気処理槽130が、本発明における「水吸入領域」に相当し、水移送ポンプ200による水移送先である好気処理槽150が、本発明における「水吐出領域」に相当する。
【0031】
上記構成の嫌気処理槽130において、隔壁111の移流開口111aを通じて流入した水は嫌気濾床132(嫌気濾材C1)を下向きに流れる。このとき、嫌気濾床132において被処理水の嫌気処理及びろ過処理がなされ、これによりBODの低減と汚泥物の除去が行なわれる。この嫌気濾床132において処埋された後の水は、水移送ポンプ200によって好気処理槽150へと移送される。この水移送ポンプ200の具体的な構造に関しては後述する。
【0032】
なお、夾雑物除去槽110と嫌気処理槽130は、隔壁111の上部に設けられた移流開口111aのみを通じて連通している。これにより、水移送ポンプ200の吸入口側では夾雑物除去槽110の水位と嫌気処理槽130の水位とが互いに連動しており、当該水位は例えば図1中のLWL(下側基準水位)とHWL(上側基準水位)との間で同水位にて変動する。
【0033】
好気処理槽150は、水処理機構101aの水の処理流れに関して第3番目の処埋領域を構成している。この好気処理槽150には、被処理水中の有機汚濁物質を好気処埋(酸化)する機能を有する好気処理領域152が設けられており、また好気処理領域152の底部に散気装置153が設置されている。散気装置153は、ブロワ160から送気された規定流量の空気が供給される空気供給管162に接続されている。この好気処理領域152には、必要に応じて、有機汚濁物質を好気処理する好気性微生物が付着する接触材や充填材が充填され得る。
【0034】
上記構成の好気処理槽150において、水移送ポンプ200から流入した水は、散気装置153から供給された空気の流れによって好気処理領域152内に循環流を形成する。また、散気装置153から供給される空気中の酸素の助けによって、被処理水中の有機汚濁物質が好気処理される。そして、好気処理領域152で好気処理された後の水は、隔壁151の下部の移流開口151aを通じて固液分離槽170へと移流する。
【0035】
固液分離槽170は、水処理機構101aの水の処理流れに関して第4番目の処埋領域を構成している。この固液分離槽170は、好気処理槽150から隔壁151の移流開口151aを通じて移流した水を一時的に滞留させて、水中の浮遊物質を沈殿・除去することによって固液分離機能を果たす。この固液分離槽170で処理された後の水は、押し出し流れの原理によって、隔壁171の上部に配設された移流開口171aを通じその下流に配置された消毒槽190へと移流する。本構成の固液分離槽170にかえて、濾過担体が充填された濾過槽を用い、この濾過槽によって固液分離処理を行なうように構成することもできる。
【0036】
この固液分離槽170では、固液分離された後の水、典型的には汚泥等の固形分を含む水を、水移送ポンプなどの移送手段によって夾雑物除去槽110に循環水として循環する構成であるのが好ましい。図1に示す例では、固液分離槽170で固液分離された後の水を夾雑物除去槽110に循環させるエアリフト式の水循環ポンプ172が用いられている。この水循環ポンプ172は、吸入口が固液分離槽170の槽底部に配設される一方、吐出口が夾雑物除去槽110に配設された本管を備え、この本管内部に空気供給管163を通じて供給された空気の上向流によって、吸入口にて吸入した水を吐出口にて吐出する構成とされる。空気供給管163は、ブロワ160から送気された規定流量の空気が供給される空気供給管として構成される。なお、この水循環ポンプ172に代えて、水中ポンプ等のポンプ移送手段を用いることもできる。
【0037】
消毒槽190は、水処理機構101aの水の処理流れに関して第5番目の処埋領域を構成している。この消毒槽190は、固液分離槽170から隔壁171の移流開口171aを通じて流入した水を消毒処理する機能を有する。この消毒槽190は、典型的には、消毒処理を行うための固形消毒剤が充填された薬剤筒191を備えている。この薬剤筒191から溶出した消毒剤によって消毒処理がなされた後の水は、流出管103を通じて処理槽本体101から槽外へと放流される。なお、本構成に関連して、消毒槽190の下流に、更に別の槽、例えば放流用のポンプが設置された放流ポンプ槽などを設けてもよい。
【0038】
ところで、上記構成の水処理装置100のような水処理装置においては、水移送ポンプ200の吸入口側の水位が変動する場合には、当該吸入口から吸入される水の流量も変化する。この場合、空気供給部から供給される空気量が一定の場合には、吸入口側の水位が相対的に高い高水位になると吸入口から吸入される水の流量が多くなる一方、吸入口側の水位が相対的に低い低水位になると吸入口から吸入される水の流量が少なくなる。
そして、原水の流入量が上昇したピーク流入の場合、槽内に貯留される水量を一時的に増やして流入水量を下回る放流水量に調整する(以下、「ピークカット」ともいう)ことで、処理性能の確保ないし向上を図る要請がある。
【0039】
しかしながら、水移送ポンプ200としてエアリフトポンプを用いると、空気供給量が一定の場合には吸入管側の水位上昇に伴って吐出量が増加することとなり、ポンプ吐出側が高水位の場合に吐出量が増加して前記ピークカットの効果が薄れることが懸念される。一方で、ポンプ吐出側が低水位の場合には吐出量を安定的に維持することが必要とされる。従って、ピークカットの効果を得るためには、吸入管側の水位に応じて吐出量を適正に調整することが必要とされる。
【0040】
そこで、本発明者らは、エアリフトポンプにおいて吸入管側の水位に応じて吐出量を調整する技術について鋭意検討した。その検討の結果、本実施の形態の水移送ポンプの構造に想到したものである。
【0041】
ここで、上記実施の形態の嫌気処理槽130に設けられる水移送ポンプ200の具体的な構造に関しては図2が参照される。この図2には、図1中の水移送ポンプ200の概略構成が示されている。
【0042】
本実施の形態の水移送ポンプ200は、いわゆるエアリフトポンプ式の水移送ポンプとして構成される。図2に示すように、この水移送ポンプ200のポンプハウジング200aは、少なくとも第1配管部201、第2配管部202、第3配管部203及び第4配管部204のハウジング構成要素によって構成される。このポンプハウジング200aは、水移送ポンプ200の外郭を形成する部材とされ、典型的には樹脂材料によって形成される。ここでいうポンプハウジング200aが、本発明における「ポンプハウジング」に相当する。
【0043】
第1配管部201及び第2配管部202はいずれも、水移送ポンプ200のポンプ上下方向(或いは処理槽本体101の槽上下方向)に長尺状に延在する配管部分として構成される。第3配管部203は、第1配管部201の下端部と第2配管部202の下端部とを接続し、第1配管部201及び第2配管部202の延在方向と交差する方向の延在成分を含む配管部分として構成される。第4配管部204は、第1配管部201の上端部と第2配管部202の上端部とを接続し、第1配管部201及び第2配管部202の延在方向と交差する方向の延在成分を含む配管部分として構成される。
【0044】
これにより、第1配管部201内に形成された流路201aは、第3配管部203内に形成された流路203aを経由して、第2配管部202内に形成された流路202aと連通する。また同様に、第1配管部201内の流路201aは、第4配管部204内に形成された流路204aを経由して、第2配管部202内の流路202aと連通する。かくして、4つの流路201a,203a,202a,204aによって実質的に環状の流路(ループ流路)が形成されることとなる。従って、本実施の形態の水移送ポンプ200を「ループ型エアリフトポンプ」ということもできる。
【0045】
ここでいう第1配管部201、第2配管部202、第3配管部203及び第4配管部204がそれぞれ、本発明における「第1配管部」、「第2配管部」、「第3配管部」及び「第4配管部」に相当する。また、ここでいう3つの流路201a,203a,202aは、ポンプハウジング200a内に形成され、吸入口205と吐出口206とが連通する水流通経路を形成しており、本発明における「第1の流通経路」を構成する。また、ここでいう流路204aは、前記の水流通経路に接続され、吐出口206から吐出される前の水の一部が吐出口206側から吸入口205側に流れるのを許容する水流通経路を形成しており、本発明における「第2の流通経路」を構成する。
【0046】
第1配管部201のうち第3配管部203の接続部位と第4配管部204の接続部位との間に吸入口205が設けられている。この吸入口205は、ポンプハウジング200aの内外を連通する開口部分とされ、典型的には第1配管部201の下端部よりもポンプ上方に設けられ、第1配管部201の延在方向と交差する方向に延在する配管部分によって構成される。嫌気処理槽130の水は、この吸入口205を通じてポンプハウジング200a内に吸入される。ここでいう吸入口205が、本発明における「吸入口」に相当する。
【0047】
第2配管部202には、吐出口206及び空気供給部207が設けられている。吐出口206の内壁面の一部を構成する管底部206aは、第2配管部202のうち第4配管部204と概ね同様の位置であって、且つ水移送ポンプ200の最小汲み上げ高さを上回る位置に配設される。この吐出口206は、ポンプハウジング200aの内外を連通する開口部分とされ、典型的には第2配管部202の下端部よりもポンプ上方に設けられ、第2配管部202の延在方向と交差する方向に延在する配管部分によって構成される。吸入口205を通じてポンプハウジング200a内に吸入された水は、この吐出口206を通じてポンプハウジング200a外へと吐出される。ここでいう吐出口206が、本発明における「吐出口」に相当する。
【0048】
空気供給部207は、第2配管部202のうち第3配管部203の接続部位と第4配管部204の接続部位との間、すなわち第2配管部202の下端部と吐出口206との間に配設される。この空気供給部207は、ポンプハウジング200aの内外を連通する開口部分とされ、ブロワ160から規定流量の空気を送気する空気供給管161に接続されている。これにより、ブロワ160から送気された空気は、空気供給管161及び空気供給部207を通じてポンプハウジング200a内に供給可能とされる。ここでいう空気供給部207が、本発明における「空気供給部」に相当する。
【0049】
なお、本実施の形態のように、1台のブロワ160から送気された空気が、空気供給管161(空気供給部207)のみならず、空気供給管162(散気装置153)や空気供給管163(水循環ポンプ172)にも供給される構成においては、水移送ポンプ200の空気供給部207を、散気装置153や水循環ポンプ172の空気供給部よりも高所に設けるのが好ましい。本構成によれば、水移送ポンプ200の空気供給部207に確実の空気を供給することが可能となり、また散気装置153に詰まりが発生したような場合の流量変化を抑えるのに有効とされる。
【0050】
水移送ポンプ200は、第4配管部204の内壁面に取り付けられた内装部材210(第4配管部204内の水の流れを堰き止める「堰部材」ともいう)を備える。具体的には、この内装部材210は、第4配管部204の内壁面の一部を構成する管底部204bに取り付けられてポンプ上下方向に延在する板状部材として構成され、またその上端部210aが、吐出口206の管底部206aよりも高所であって、且つ水移送ポンプ200の最大汲み上げ高さと最小汲み上げ高さとの間に設定されている。この内装部材210は、交換或いは取替えを前提することなく第4配管部204の内壁面に取り付けられる構成であってもよいし、或いは浄化槽の機種や処理量に基づく交換或いは取替えを前提として第4配管部204の内壁面に取り付けられる構成であってもよい。
【0051】
ここで水移送ポンプ200の汲み上げ高さは、吸入口205側の水位が予め設定された規定の上側基準水位(運転管理上の上限水位であって、例えば、図1中のHWLで示す水位)に設定された場合に最大となり、吸入口205側の水位が予め設定された規定の下側基準水位(運転管理上の下限水位であって、例えば、図1中のLWLで示す水位)に設定された場合に最小となる。従って、吸入口205側の水位が上側基準水位に設定された場合の汲み上げ高さを「最大汲み上げ高さ」として規定することができ、また吸入口205側の水位が下側基準水位に設定された場合の汲み上げ高さを「最小汲み上げ高さ」として規定することができる。
【0052】
これにより、第4配管部204内の流路204aの水平方向の水の流れが内装部材210によって規制される。第2配管部202内の流路202aを流れた水は、内装部材210によって流れが規制されつつ第4配管部204内の流路204aのみを通じて、第1配管部201への返送が可能とされる。従って、内装部材210の上端部210aと第4配管部204の内壁面とによって区画される流路204aは、水移送ポンプ200の最大汲み上げ高さと最小汲み上げ高さとの間に設けられた規制流路を構成する。この流路204aは、吸入口205側の水位が相対的に高水位の場合には、第4配管部204の水の流れを許容する。一方、この流路204aは、吸入口205側の水位が相対的に低水位の場合には、第4配管部204の水の流れを規制する。従って、この流路204aは、高水位の場合に第4配管部204を流通する水の流量を、低水位の場合よりも増やすように構成されている。ここでいう流路204a及び内装部材210によって、本発明における「規制流路」及び「流量調整機構」が構成される。
【0053】
上記構成の水移送ポンプ200の作動状態については図3が参照される。この図3には、図2中の水移送ポンプ200における水及び空気の流れが模式的に示されている。なお、図3及び後述する図4〜5において、ポンプハウジング200a内の水の流れが黒塗り矢印で模式的に示され、またポンプハウジング200a内の空気の流れが白抜き矢印にて模式的に示される。
【0054】
図3に示すように、水移送ポンプ200の作動に際しては、空気供給管161及び空気供給部207を通じてポンプハウジング200a内に空気が供給される。このときの当該空気の供給量は、吐出量の安定化を図るべく予め一定に設定されるのが好ましい。ポンプハウジング200a内に空気が供給されると、この空気が第2配管部202内の流路202aを上向きに流れて上向流を形成する。この空気の上向流により、吸入口205を通じて吸入された水は、第1配管部201内の流路201aを下向きに流れた後、第3配管部203内の流路203aを経由して、今度は第2配管部202内の流路202aを空気とともに上向きに流れる。流路202aを上向きに流れた水は、吐出口206を通じて吐出される一方、内装部材210の上端部210aを越える高さまで達した場合には、流路204aを通じて第1配管部201へと返送される。
【0055】
上記構成の内装部材210が取り付けられた水移送ポンプ200によれば、吸入口205側の水位に応じて、第4配管部204内の流路204aを通じて第2配管部202内の流路202aから第1配管部201内の流路201aへと流れる(「返送される」ともいう)水の流量が自動的に調整される。なお、空気供給部207から供給される空気量が一定の場合には、吸入口205側の水位が相対的に高水位になると吸入口205から吸入される水の流量も相対的に多くなる一方、吸入口205側の水位が相対的に低水位になると吸入口205から吸入される水の流量も相対的に少なくなる。従って、この水移送ポンプ200では、吸入口205から吸入される水の流量に応じて、第4配管部204内の流路204aを通じて第2配管部202内の流路202aから第1配管部201内の流路201aへと流れる水の流量が自動的に調整されることにもなる。
【0056】
具体的には、吸入口205側の水位が相対的に高水位の場合、流路202aを上向きに流れた水は、その一部が内装部材210の上端部210aを越える高さまで達することによって、流路204aを通じて第1配管部201側(流路201a)へと返送され、残りが吐出口206を通じて吐出される。一方で、吸入口205側の水位が相対的に低水位の場合、流路202aを上向きに流れた水は、内装部材210の上端部210aを越える高さまで達することがなく、全量が吐出口206を通じて吐出される。これにより、高水位時の吐出量が増加して前述のピークカットの効果が薄れるのを防止するとともに、低水位時においては吐出量を安定的に維持することが可能となる。また、本実施の形態によれば、水移送ポンプ200の吐出量を適正に調整する機能を、第4配管部204の内壁面に内装部材210を取り付けた簡便な構造によって実現することが可能となる。
【0057】
なお、上記構成の内装部材210と同様の流量調整機能が、第4配管部204自体に付与された別実施の形態を採用することも可能である。本構成に関しては、図4及び図5が参照される。図4には、第2の実施形態の水移送ポンプ300における水及び空気の流れが模式的に示され、また図5には、第3の実施形態の水移送ポンプ400における水及び空気の流れが模式的に示されている。
【0058】
(第2及び第3の実施形態)
図4及び図5に示す水移送ポンプ300,400ではいずれも、上記構成の内装部材210を用いる代わりに、ポンプ上下方向に関し第4配管部204の設置高さ、特には第4配管部204の内壁面の一部を構成する管底部204bの高さの全部または一部が、吐出口206の設置高さ、特には吐出口206の内壁面の一部を構成する管底部206aの高さを上回るように構成している。そして、第4配管部204の管底部204bの高さが、吐出口206の管底部206aよりも高所であって、且つ水移送ポンプ200の最大汲み上げ高さと最小汲み上げ高さとの間に設定されている。従って、ここでいう第4配管部204の内壁面自体によって、本発明における「規制流路」及び「流量調整機構」が構成される。このような構成によっても、上記構成の内装部材210を用いる場合と同様に、簡便な構造によって、高水位時の吐出量が増加して前述のピークカットの効果が薄れるのを防止するとともに、低水位時においては吐出量を安定的に維持することが可能となる。
【0059】
なお、流路202aから流路201aに返送される水量をより安定化させるためには、特に第4配管部204の管底部204bの形状につき、当該管底部204bが図4に示すように水平状に延在する構成にかえて、当該管底部204bが図5に示すように傾斜状に延在する構成を用いる場合が有利とされる。図5に示す例では、管底部204bは、流路201a側での高さが流路202a側での高さを下回るように、すなわち管底部204bの高さが流路201a側に向かうにつれて徐々に低くなるように傾斜している。管底部204bのこの傾斜面については、平面、曲面、段差面等、種々の表面形状を採用することができる。
【0060】
更に、水移送ポンプにおける流量調整機能については、別実施の形態を用いることが可能である。当該別実施の形態に関しては、図6〜13を参照しつつ以下に説明する。なお、これら図6〜図13において図2に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、当該構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0061】
(第4の実施形態)
上記実施の形態の嫌気処理槽130に設けられる第4の実施形態の水移送ポンプ500に関しては図6が参照される。この図6には水移送ポンプ500の概略構成が示されている。図6に示す水移送ポンプ500では、第4配管部204に対してバルブ機構510が設置されている。このバルブ機構510は、弁体511及び弁体駆動装置512を含む。具体的には、このバルブ機構510の弁体511が第4配管部204内の流路204a上に設置されており、当該流路204aの開度(「流路断面積」ともいう)が可変となるように弁体駆動装置512によって弁体511が作動する。弁体駆動装置512は、少なくとも吸入口205側の水位が高水位の場合には、吸入口205側の水位が低水位の場合よりも流路204aの流路断面積が増えるように弁体511を作動させる機能を有する。
【0062】
弁体駆動装置512は、弁体511に対し所定の制御信号を出力することによって弁体511を作動させる構成であってもよいし、或いは作業者による手動式の機械構造によって弁体511を作動させる構成であってもよい。ここでいう弁体511及び弁体駆動装置512がそれぞれ、本発明における「弁体」及び「弁体駆動機構」に相当する。この弁体駆動装置512による弁体511の設定モードには、例えば以下のような第1の設定モードA1、第2の設定モードA2及び第3の設定モードA3が包含される。
【0063】
(第1の設定モードA1)
弁体駆動装置512による弁体511の第1の設定モードA1に関しては、図7が参照される。この第1の設定モードA1では、弁体駆動装置512により弁体511が作動されて、第4配管部204内の流路204aの開度が弁体511によって全開(開度:100%)の状態に調整される。これにより、水移送ポンプ500の作動状態においては、流路204a側の流路抵抗が小さくなり、第2配管部202内の流路202aを上向きに流れた水は、その一部が第4配管部204内の流路204aを通じて第1配管部201へと返送され、残りが吐出口206を通じて吐出される。特に、流路204aの開度を大きくすることによって第4配管部204を通じて第2配管部202から第1配管部201へと返送される水量を増やすことができる。
【0064】
本設定によれば、第4配管部204内の流路204aを通じて吸入口205側に流れる水の流量を増やすことができ、以って水移送ポンプ500における吐出口206からの吐出量を抑えることが可能となる。
【0065】
(第2の設定モードA2)
弁体駆動装置512による弁体511の第2の設定モードA2に関しては、図8が参照される。この第2の設定モードA2では、弁体駆動装置512により弁体511が作動されて、第4配管部204内の流路204aの開度が弁体511によって全閉(開度:0%)の状態に調整される。これにより、水移送ポンプ500の作動状態においては、流路204aの水の流れが禁止されるため、流路202aから流路201aへの返送が阻止される。本設定によれば、水移送ポンプ500における吐出口206からの吐出量を、第1の設定モードA1時よりも増やすことが可能となる。
【0066】
(第3の設定モードA3)
弁体駆動装置512による弁体511の第3の設定モードA3に関しては図9が参照される。この第3の設定モードA3では、弁体駆動装置512により弁体511が作動されて、第4配管部204内の流路204aの開度が弁体511によって中程度の開放状態(開度:典型的には概ね50%)の状態に調整される。本設定によれば、水移送ポンプ500の作動状態においては、流路202aから流路201aへと返送される水量を、第1の設定モードA1時の水量と第2の設定モードA2時の水量との間のレベルに調整することが可能となる。
【0067】
なお、バルブ機構510における弁体511の開度の調整については、開度の異なる少なくとも2つの調整状態が形成されればよく、例えば上述の設定モードA1〜A3のうちの2つの設定モードのみを用いる構成を採用したり、或いは上述の設定モードA1〜A3に更なる設定モードが付与された構成を採用することもできる。
【0068】
また、上記構成のバルブ機構510は、水移送ポンプ500を含む水処理装置を施工する際の設置状況に応じて、或いは当該水移送ポンプ500の維持管理上の調整作業において、設定モードA1〜A3のうちのいずれかに適宜調整される構成であるのが好ましい。これにより、第4配管部204内の流路204aを通じて吸入口205側に流れる水の流量を、バルブ機構510を用いて所望の水量に容易に設定することが可能となる。ここでいう弁体511及び弁体駆動機構512を含むバルブ機構510によって、本発明における「流量調整機構」が構成される。
【0069】
必要に応じては、吸入口205側の水位情報、例えば吸入口205側の水位を連続的或いは定期的に検出する水位センサからの水位情報に基づいてバルブ機構510が制御される構成を採用することもできる。本構成では、水位センサからの水位情報に基づいて、当該水位が予め規定された高水位に達した場合には、弁体511が第1の設定モードA1に設定されるように弁体駆動装置512に対し制御信号が出力される。また、当該水位が予め規定された低水位に達した場合には、弁体511が第2の設定モードA2に設定されるように弁体駆動装置512に対し制御信号が出力される。更には、当該水位が前記の高水位と前記の低水位との間にある場合には、弁体511が第3の設定モードA3に設定されるように弁体駆動装置512に対し制御信号が出力される。
【0070】
(第5の実施形態)
上記実施の形態の嫌気処理槽130に設けられる第5の実施形態の水移送ポンプ600のに関しては図10が参照される。この図10には、水移送ポンプ600の概略構成が示される。図10に示す水移送ポンプ600では、第1配管部201と第2配管部202とを接続する第4配管部204は、撓み動作が可能な可撓状配管とされる。この第4配管部204は、典型的には樹脂材料やゴム材料によって形成された配管、例えば蛇腹ホースと称呼される配管によって構成される。ここでいう可撓状配管としての第4配管部204が、本発明における「可撓状配管」に相当する。
【0071】
また、この第4配管部204には、配管可動機構610が取り付けられている。この配管可動機構610は、第4配管部204を支持する支持体611と、この支持体611をポンプ上下方向(図10中の上下方向)に作動させる支持体駆動装置612を含む。支持体611は、図10に示すように第4配管部204を上方から支持する構成であってもよいし、或いは第4配管部204を上方以外の方向から適宜に支持する構成であってもよい。支持体駆動装置612は、水移送ポンプ600の最大汲み上げ高さと最小汲み上げ高さとの間に第4配管部204の管底部204bが設定されるように支持体611を作動させる機能を有する。この支持体駆動装置612は、少なくとも吸入口205側の水位が相対的に高水位の場合には、吸入口205側の水位が相対的に低水位の場合よりも4配管部204の管底部204bが低所に設定されるように支持体611を作動させる。
【0072】
これにより、可撓状の第4配管部204は、支持体611のポンプ上下方向の作動に伴って、ポンプ上下方向の撓み動作が可能とされる。ここでいう支持体611及び支持体駆動装置612がそれぞれ、本発明における「支持体」及び「支持体駆動装置」に相当する。この支持体駆動装置612による支持体611(或いは第4配管部204)の設定モードには、例えば以下のような第1の設定モードB1、第2の設定モードB2及び第3の設定モードB3が包含される。
【0073】
(第1の設定モードB1)
支持体駆動装置612による第1の設定モードB1に関しては、図11が参照される。この第1の設定モードB1では、第4配管部204の管底部204bの高さが吐出口206の管底部206aの高さに概ね合致するように、且つ管底部204bの高さが水移送ポンプ600の最小汲み上げ高さに概ね合致するように、支持体611の位置が調整される。これにより、水移送ポンプ600の作動状態においては、流路204a側の流路抵抗が小さくなり、第2配管部202内の流路202aを上向きに流れた水は、その一部が第4配管部204内の流路204aを通じて第1配管部201へと返送され、残りが吐出口206を通じて吐出される。特に、第4配管部204を通じて第2配管部202から第1配管部201へと返送される水量を増やすことができる。本設定によれば、水移送ポンプ600における吐出口206からの吐出量を抑えることが可能となる。
【0074】
(第2の設定モードB2)
支持体駆動装置612による第2の設定モードB2に関しては、図12が参照される。この第2の設定モードB2では、第4配管部204内の流路204aが上に凸となるように支持体駆動装置612により支持体611が上方(図12中の矢印10方向)に作動され、管底部204bの高さが水移送ポンプ600の最大汲み上げ高さを上回るか、或いは最大汲み上げ高さに合致するように、支持体611の位置が調整される。これにより、水移送ポンプ600の作動状態においては、流路202aから流路201aへの返送が阻止される。本設定によれば、支持体611が第2の設定モードB2に設定されることによって、水移送ポンプ600における吐出口206からの吐出量を、第1の設定モードB1時よりも増やすことが可能となる。
【0075】
(第3の設定モードB3)
支持体駆動装置612による第3の設定モードB3に関しては図13が参照される。この第3の設定モードB3では、支持体611がポンプ上下方向に関し第1の設定モードB1時と第2の設定モードB2時との間の高さ(実質的に、第4配管部204の管底部204bの高さが水移送ポンプ600の最大汲み上げ高さと最小汲み上げ高さとの間の高さ)に、支持体611の位置が調整される。本設定によれば、水移送ポンプ600の作動状態においては、流路202aから流路201aへと返送される水量を、第1の設定モードB1時の水量と第2の設定モードB2時の水量との間のレベルに調整することが可能となる。
【0076】
なお、配管可動機構610における第4配管部204(支持体611)の高さ調整については、設定高さの異なる少なくとも2つの調整状態が形成されればよく、例えば上述の設定モードB1〜B3のうちの2つの設定モードのみを用いる構成を採用したり、或いは上述の設定モードB1〜B3に更なる設定モードが付与された構成を採用することもできる。
【0077】
また、上記構成の配管可動機構610は、水移送ポンプ600を含む水処理装置を施工する際の設置状況に応じて、或いは当該水移送ポンプ600の維持管理上の調整作業において、設定モードB1〜B3のうちのいずれかに適宜調整される構成であるのが好ましい。これにより、第4配管部204内の流路204aを通じて吸入口205側に流れる水の流量を、配管可動機構610を用いて所望の水量に容易に設定することが可能となる。ここでいう支持体611及び支持体駆動機構612を含む配管可動機構610によって、本発明における「流量調整機構」が構成される。
【0078】
必要に応じては、吸入口205側の水位情報、例えば吸入口205側の水位を連続的或いは定期的に検出する水位センサからの水位情報に基づいて配管可動機構610が制御される構成を採用することもできる。本構成では、水位センサからの水位情報に基づいて、当該水位が予め規定された高水位に達した場合には、支持体611が第1の設定モードB1に設定されるように支持体駆動装置612に対し制御信号が出力される。また、当該水位が予め規定された低水位に達した場合には、支持体611が第2の設定モードB2に設定されるように支持体駆動装置612に対し制御信号が出力される。更には、当該水位が前記の高水位と前記の低水位との間にある場合には、支持体611が第3の設定モードB3に設定されるように支持体駆動装置612に対し制御信号が出力される。
【0079】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0080】
上記実施の形態では、水処理装置100の各処理要素のうち嫌気処理槽130に設けられる水移送ポンプ200,300,400,500,600について記載したが、本発明では、当該水移送ポンプを水処理装置100のうち嫌気処理槽130とは異なる処理要素に設けることも可能である。なお、嫌気処理槽130とは異なる処理要素に水移送ポンプを設ける構成に関しては、図14及び図15が参照される。
【0081】
図14に示す水処理装置120では、水移送ポンプ200が好気処理槽150に設けられており、吸入口が好気処理槽150(水移送元)に配設される一方、吐出口が固液分離槽170(水移送先)に配設されている。そして、夾雑物除去槽110と嫌気処理槽130が隔壁111の上部に設けられた移流開口111aのみを通じて連通するとともに、嫌気処理槽130と好気処理槽150が隔壁131の上部に設けられた移流開口131aのみを通じて連通している。これにより水移送ポンプ200の吸入口側では夾雑物除去槽110の水位、嫌気処理槽130の水位及び好気処理槽150の水位が互いに連動しており、当該水位は例えば図14中のLWL(下側基準水位)とHWL(上側基準水位)との間で同水位にて変動する。
【0082】
また図15に示す水処理装置140では、水移送ポンプ200が固液分離槽170に設けられており、吸入口が固液分離槽170(水移送元)に配設される一方、吐出口が消毒槽190(水移送先)に配設されている。そして、夾雑物除去槽110と嫌気処理槽130が隔壁111の上部に設けられた移流開口111aのみを通じて連通し、嫌気処理槽130と好気処理槽150が隔壁131の上部に設けられた移流開口131aのみを通じて連通し、更に好気処理槽150と固液分離槽170が隔壁151の下部に設けられた移流開口151aのみを通じて連通している。これにより水移送ポンプ200の吸入口側では夾雑物除去槽110の水位、嫌気処理槽130の水位、好気処理槽150の水位及び固液分離槽170の水位が互いに連動しており、当該水位は例えば図15中のLWL(下側基準水位)とHWL(上側基準水位)との間で同水位にて変動する。
【0083】
上記構成の水処理装置120,140においても、前述の水処理装置100の場合と同様に、水移送ポンプ200において、吸入側の水位が高水位の場合に吐出量が増加するのを抑えることができ、これによりピークカットの効果を得ることが可能となる。一方、吸入側の水位が低水位の場合には吐出量を安定的に維持することが可能となる。また、記構成の水処理装置120,140においては、水移送ポンプ200にかえて、前述の水移送ポンプ300,400,500,600を設けることもできるのは勿論である。
【0084】
また、上記実施の形態の水移送ポンプでは、4つの第1配管部201、第2配管部202、第3配管部203及び第4配管部204によってループ状のポンプハウジング200aを構成する場合について記載したが、本発明では、ポンプハウジングの形状や、当該ポンプハウジンを構成する構成部材の数等は、必要に応じて適宜変更が可能である。
【0085】
また、本発明では、前述の水移送ポンプ200,300,400,500,600にそれぞれ設けられた流量調整機構の複数を適宜組み合わせることも可能である。例えば、水移送ポンプ300,400の第4配管部204に、水移送ポンプ500のバルブ機構510を設けることもできる。このような構成によれば、第4配管部204を流れる水の流量調整を更に木目細かく行うことが可能となる。
【0086】
また、上記実施の形態の水処理装置100では、水処理機構101aが、夾雑物除去槽110、嫌気処理槽130、好気処理槽150、固液分離槽170及び消毒槽190の処理要素によって構成される場合について記載したが、処理要素の数や種類に関しては必要に応じて種々選択が可能である。
【符号の説明】
【0087】
100,120,140…水処理装置
101…処理槽本体
101a…水処理機構
102…流入管
103…流出管
104…マンホール部
110…夾雑物除去槽
111,131,151,171…隔壁
111a,131a,151a,171a…移流開口
112…流入バッフル
113…第1区画領域
114…流出バッフル
115…第2区画領域
116…固液分離領域
130…嫌気処理槽
132…嫌気濾床
150…好気処理槽
152…好気処理領域
153…散気装置
160…ブロワ
161,162,163…空気供給管
170…固液分離槽
172…水循環ポンプ
190…消毒槽
191…薬剤筒
200,300,400,500,600…水移送ポンプ
200a…ポンプハウジング
201…第1配管部
201a,202a,203a,204a…流路
202…第2配管部
203…第3配管部
204…第4配管部
204b…管底部
205…吸入口
206…吐出口
206a…管底部
207…空気供給部
210…内装部材
210a…上端部
510…バルブ機構
511…弁体
512…弁体駆動装置
610…配管可動機構
611…支持体
612…支持体駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理装置の水処理領域に設置されるエアリフト式の水移送ポンプであって、
ポンプハウジングと、
前記ポンプハウジングに設けられた吸入口及び吐出口と、
前記ポンプハウジング内に形成され、前記吸入口と前記吐出口とが連通する第1の水流通経路と、
前記吸入口と前記吐出口との間で前記第1の水流通経路に接続され、前記第1の水流通経路に空気を供給することによって、前記吸入口から吸入した水を前記吐出口から吐出させる空気供給部と、
前記第1の水流通経路に接続され、前記吐出口から吐出される前の水の一部が前記吐出口側から前記吸入口側に流れるのを許容する第2の水流通経路と、
前記ポンプハウジング内に取り付けられ、前記水処理領域の前記吸入口側の水位に応じて、前記吐出口側から前記第2の水流通経路を通じて前記吸入口側に流れる水の流量を調整し、前記吸入口側の水位が相対的に高い高水位の場合には、前記吸入口側の水位が相対的に低い低水位の場合よりも前記第2の水流通経路を通じて前記吸入口側に流れる水の流量を増やすように調整する流量調整機構と、
を含む構成であることを特徴とする水移送ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の水移送ポンプであって、
前記ポンプハウジングは、
ポンプ上下方向にそれぞれ長尺状に延在する第1及び第2配管部と、
前記第1配管部の下端部と、前記第2配管部の下端部とを接続する第3配管部と、
前記第1配管部から前記第3配管部を経由して前記第2配管部へと流れた水が、前記第1配管部に流れるのを許容するよう、前記第1配管部の上端部と前記第2配管部の上端部とを接続する第4配管部とを含み、
前記第1配管部、前記第2配管部、及び前記第3配管部によって前記第1の水流通経路が形成されるとともに、前記第4配管部によって前記第2の水流通経路が形成され、
前記吸入口は、前記第1配管部の下端部よりもポンプ上方に設けられ、当該第1配管部内へと水を吸入する構成とされ、
前記吐出口は、前記第2配管部の下端部よりもポンプ上方に設けられ、当該第2配管部から水を吐出する構成とされ、
前記空気供給部が、前記第2配管部の下端部と前記吐出口との間に設けられていることを特徴とする水移送ポンプ。
【請求項3】
請求項2に記載の水移送ポンプであって、
前記第4配管部は、前記吸入口側の水位が上側基準水位にあるときの当該水移送ポンプの最大汲み上げ高さと、前記吸入口側の水位が前記上側基準水位よりも低い下側基準水位にあるときの当該水移送ポンプの最小汲み上げ高さとの間に管底部が設置された規制流路を含み、当該規制流路によって前記流量調整機構が構成され、
前記規制流路は、前記吸入口側の水位が相対的に高い高水位の場合には、前記第4配管部の水の流れを許容する一方、前記吸入口側の水位が相対的に低い低水位の場合には、前記第4配管部の水の流れを規制し、これにより前記高水位の場合に前記第4配管部を流通する水の流量を前記低水位の場合よりも増やすように構成されていることを特徴とする水移送ポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の水移送ポンプであって、
前記第4配管部の内壁面に取り付けられた内装部材を備え、前記内装部材によって前記規制流路の前記管底部が構成されていることを特徴とする水移送ポンプ。
【請求項5】
請求項3に記載の水移送ポンプであって、
前記規制流路は、前記第4配管部の内壁面によって前記管底部が構成されていることを特徴とする水移送ポンプ。
【請求項6】
請求項2に記載の水移送ポンプであって、
前記流量調整機構は、前記第4配管部内に設置された弁体と、前記第4配管部内の流路断面積が可変とされるように前記弁体を作動させる弁体駆動装置とを含む構成であることを特徴とする水移送ポンプ。
【請求項7】
請求項2に記載の水移送ポンプであって、
前記第4配管部は、前記第1配管部と前記第2配管部とを接続する可撓状配管によって構成され、
前記流量調整機構は、前記可撓状配管を支持する支持体と、前記吸入口側の水位が上側基準水位にあるときの当該水移送ポンプの最大汲み上げ高さと、前記吸入口側の水位が前記上側基準水位よりも低い下側基準水位にあるときの当該水移送ポンプの最小汲み上げ高さとの間に前記可撓状配管の管底部が設定されるように前記支持体をポンプ上下方向に作動させる支持体駆動装置とを含む構成であることを特徴とする水移送ポンプ。
【請求項8】
処理槽本体の内部に、被処理水の水処理を行う水処理領域と、原水が前記水処理領域に流入するのを許容する流入管と、前記水処理領域にて処理された水が前記処理槽本体から流出するのを許容する流出管と、前記水処理領域において水を移送する水移送ポンプと、前記水処理領域のうち前記水移送ポンプの吸入口が配設される水吸入領域と、前記水処理領域のうち前記水移送ポンプの吐出口が配設される水吐出領域とを含む水処理装置であって、
前記水移送ポンプとして、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の水移送ポンプを用いた構成であることを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−190693(P2011−190693A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55126(P2010−55126)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(390021348)フジクリーン工業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】