説明

水素ベースの燃料および構造要素を生成する透過面を有する反応容器、ならびに関連するシステムおよび方法

水素ベースの燃料および構造要素を生成する透過面を有する反応容器、ならびに関連するシステムおよび方法であって、特定の実施形態による化学反応器は、反応領域を有する反応容器と、反応領域に流体連通した状態で結合された水素供与体供給源と、反応領域に流体連通した状態で結合された蒸気供給源とを含み、この反応器は、反応領域にある透過面をさらに含み、この透過面は、反応領域に入る反応体および/または反応領域に入る放射エネルギーを透過させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、透過面を有する反応容器であって、水素ベースの燃料および構造要素または構築ブロックを生成するための反応容器、ならびにそれに関連するシステムおよび方法を対象とする。特定の実施形態では、透過面を有する反応システムは、広く様々な原料油から清浄燃焼性水素ベース燃料を生成するために使用することができ、水素ベースの燃料を形成するとき放出される炭素または他の元素から構造構築ブロックを生成することができる。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本発明は、2010年2月13日出願の米国特許出願第61/304,403号明細書(名称「FULL SPECTRUM ENERGY AND RESOURCE INDEPENDENCE」)の優先権および特典を主張する。同出願は参照により全体を本明細書に援用する。前述の出願および/または参照により本明細書に援用されるいずれの他の資料も本明細書に示された開示と矛盾する場合には、本明細書の開示が優先する。
【0003】
太陽エネルギー、風、波、落下水、バイオマスをベースとした供給源などの再生可能エネルギー供給源は、重要なエネルギー供給源として極めて大きな可能性を有するが、現時点では、広く採用されるのを妨げる様々な問題を抱えている。たとえば、発電への再生可能エネルギー供給源の使用は、その供給源の利用可能性に依存しており、それは間欠的であり得る。中でも、太陽エネルギーは陽光の利用可能性によって制約され(すなわち日中のみ)、風エネルギーは風の変動性によって制約され、落下水エネルギーは渇水によって制約され、バイオマスエネルギーは季節的変化によって制約される。これらおよび他の要因の結果として、再生可能供給源からの、捕捉されまたは捕捉されなかった多量のエネルギーが、無駄になりやすい。
【0004】
エネルギーの捕捉および保存に関する前述の非効率性が、それら非効率性がしばしばエネルギー生成の高コスト化をもたらすので、世界の多くの地域向けに発展し得るエネルギー供給体へ再生可能エネルギー供給源が拡張することを制約している。したがって、少なくとも部分的には、化石燃料に関連する技術開発を支援する政府の助成金および他のプログラムが、その種の燃料を使用することを一見好都合で見かけ上費用が掛からないとするので、世界は、主要なエネルギー供給源として石油および他の化石燃料に頼り続ける。同時に、使い果たされた資源に対する代替コスト、ならびに環境劣化、健康への影響、および化石燃料使用による他の副産物についてのコストは、これら燃料から生じるエネルギーの購入価格に含まれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生可能エネルギーを継続的に生成することに現時点で関連する前述および他の欠点を考慮すると、上記供給源により製品および燃料を製造することに関する効率および商業的成立性を改善する必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1.概要
水素燃料および/または他の最終製品を生成する本開示技術による装置、システムおよび方法のいくつかの例が以下に説明される。以下の説明は、当業者がそれら例を実施し、製作し、使用することを可能にするために十分なように、下記の例の多くの特定の細部を示すが、以下に説明されるいくつかの細部および利点は、本技術の特定の例を実施するために必要ないこともある。さらに、本技術は、特許請求の範囲には包含されるが、ここでは詳細には説明されていない別の例も含み得る。
【0007】
この明細書を通して「一例」、「例」、「一実施形態」、または「実施形態」という言及は、その例に関連して説明されている特定の特徴、構造、プロセス、または特性が、本技術の少なくとも1つの例に含まれていることを意味する。したがって、この明細書を通して様々な箇所で語句「一例では」、「例では」、「一実施形態」、または「実施形態」が現れたとき、必ずしもすべてが同じ例を指す訳ではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本技術の1つまたは複数の例において任意の適切な態様で組み合わせることができる。本明細書で示される見出しは、単に便宜的なものであり、特許請求の範囲に記載された技術の範囲または趣旨を限定または説明するものではない。
【0008】
以下に説明される本技術のいくつかの実施形態は、プログラマブルコンピュータまたはコントローラによって実行されるルーチンを含めて、コンピュータで実行可能な命令の形態を取ることができる。当業者は、本技術が、以下に示され説明されるもの以外のコンピュータまたはコントローラシステム上でも実施することができることを理解するであろう。本技術は、以下に説明される1つまたは複数のコンピュータで実行可能な命令を実行するように固有にプログラムされ、構成され、または構築された専用コンピュータ、コントローラ、またはデータプロセッサで具体化することができる。したがって、本明細書に全般的に使用されている用語「コンピュータ」および「コントローラ」は、あらゆるデータプロセッサを指し、インターネット機器、ハンドヘルドデバイス、多重プロセッサシステム、プログラマブルコンシューマエレクトロニクス(programmable consumer electronics)、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータなどを含み得る。本技術はまた、タスクまたはモジュールが、通信ネットワークを介してリンクされているリモートプロセッシングデバイス(remote processing device)によって実行される分散環境で実施することもできる。以下に説明される本技術の態様は、磁気もしくは光学的可読コンピュータディスクまたは磁気もしくは光学的リムーバブルコンピュータディスク、あるいはネットワーク上で電子的に分散された媒体を含めて、コンピュータ可読媒体上に記憶しまたは分散処理することができる。特定の実施形態では、本技術の態様に特有のデータ構造、およびデータ伝送もまた、本技術の範囲に包含される。本技術は、特定のステップを実施するためにコンピュータ可読媒体をプログラムする方法、ならびにそれらステップを実行する方法を共に包含する。
【0009】
特定の実施形態による化学反応器は、反応領域を有する反応容器を備える。水素供与体供給源および蒸気供給源は、反応容器の反応領域に流体連通した状態で結合されている。この反応器は、反応領域にある透過面をさらに含み、この透過面は、反応領域に入る反応体および/または反応領域に入る放射エネルギーを透過させることができる。たとえば、この透過面は、メタンを解離させて水素および一酸化炭素にするプロセスを容易にするために、燃焼生成物廃棄流中に存在する放射エネルギーおよび/または水蒸気が反応領域に入ることを可能にすることができる。
【0010】
本開示の実施形態による代表的化学プロセスは、反応容器の反応領域内に水素供与体および蒸気を導くステップを含む。この方法は、放射エネルギーおよび/または反応体を反応領域の境界をなす透過面を通して導くステップをさらに含み得る。この方法は、反応領域内で水素供与体を解離させて解離生成物にするステップと、解離生成物から、水素ベースでない構造構築ブロック、および水素ベースの燃料を生成するステップとをさらに含む。これらの生成物は次いで反応領域から取り出され、その結果、特定の例では、燃料を燃焼させまたは燃料を燃料電池に供給することができ、さらに構築ブロックを使用してポリマーまたは他の耐久材を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示技術の実施形態による透過面を備える反応器を有するシステムの部分的に概略化された部分断面図である。
【図2】本開示技術の実施形態による透過面を有する反応器を用いて反応生成物を生成する代表的プロセスを示す流れ図である。
【図3】本開示技術の実施形態に従って環状に配置された透過面を有する反応器の一部分の部分的に概略化された破断図である。
【図4A】本開示技術の他の実施形態に従って配置された水素供与体分配器マニホルドおよび蒸気マニホルドを有する反応器の部分的に概略化された破断図である。
【図4B】本開示技術の他の実施形態に従って配置された水素供与体分配器マニホルドおよび蒸気マニホルドを有する反応器の部分的に概略化された破断図である。
【図5】本開示技術の他の実施形態に従って環状に配向された透過面を有する反応器の部分的に概略化された破断図である。
【図6】本開示の実施形態による向熱交換器と組み合わされた反応器を含むシステムの部分的に概略化された図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
2.代表的反応器および関連する方法
図1は、反応器110を備えるシステム100の部分的に概略化された図である。反応器110は、反応領域112を囲繞または部分的に囲繞する反応容器111をさらに備える。反応容器111は、反応領域112内で生じる化学反応を容易にするように配置された1つまたは複数の透過面を有する。代表的例では、反応容器111は、供与体供給源130によって供与体入口ポート113へ供給される水素供与体を受け取る。たとえば、水素供与体は、アンモニアなどの窒素化合物、またはメタンもしくは他の炭化水素などの炭素および水素を含む化合物を含み得る。汚染物質、たとえば硫黄を除去するため、反応領域112に入れる前に水素供与体を適切なフィルタに通すことができる。反応容器111内の供与体分配器またはマニホルド115は、水素供与体を反応領域112内に分散させまたは分配する。反応容器111はまた、蒸気/水供給源140から蒸気入口ポート114を経由して、アルコールまたは蒸気などの酸素供与体を受け取る。反応容器111内の蒸気分配器116は、蒸気を反応領域112内に分配する。反応容器111は、吸熱反応を容易にするために反応領域112へ熱を供給する加熱器123をさらに備え得る。そのような反応は、窒素化合物などの化合物、またはメタンもしくは他の炭化水素などの水素および炭素を含む化合物を、水素または水素化合物および炭素または炭素化合物に解離させることを含み得る。反応の生成物は、反応容器111から出口ポート117を経由して出て、反応生成物収集器160aに収集される。
【0013】
システム100はさらに、放射エネルギーおよび/または追加の反応体の供給源150をさらに備え得、供給源150は、反応容器111内の通路118に諸成分を供給する。たとえば、放射エネルギー/反応体供給源150は、矢印Aによって示されるように、通路118に高温の燃焼生成物152を供給する燃焼室151を備え得る。燃焼生成物収集器160bは、再利用および/または他の用途のために、反応容器111から出る燃焼生成物を収集する。特定の実施形態では、燃焼生成物152は、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気および他の成分を含み得る。1つまたは複数の透過面119が、反応領域112(通路118の周りに環状に配置することができる)と通路118の内部領域120との間に配置されている。それによって、透過面119は、放射エネルギーおよび/または化学成分が、矢印Bによって示されているように、通路118から反応領域112内へ半径方向外側に向かって移動することを可能にすることができる。燃焼生成物152の流れによって供給された放射エネルギーおよび/または化学成分(1種または数種)を送達することによって、システム100は、たとえば、反応領域の温度および/または圧力を増大させ、したがって反応速度および/または反応の熱力学的効率を増大させることにより、反応領域112内で生じる反応を促進することができる。同様に、反応領域112内において消費された水または蒸気を補うため、通路118から、水または蒸気などの化学成分を再循環させまたは他の方法で追加することができる。この実施形態の特定の態様では、供給源150によって供給される燃焼生成物および/または他の成分は、別の化学プロセス(たとえば内部燃焼プロセス)からの廃棄物でもよい。したがって、前述のプロセスは、反応領域112での反応を容易にすることに加えて、それでなければ無駄になるエネルギーおよび/または成分を再生または再利用することができる。
【0014】
透過面119の組成および構造は、通路118の内部領域120から反応領域112へ放射エネルギーが容易に移動するように選択することができる。透過面119はたとえば、反応領域112内での反応を容易にするのに有用な赤外線エネルギーおよび/もしくは他の波長の放射エネルギーを透過させる、または少なくとも部分的に透過させるガラスまたは他の材料を含み得る。多くの場合、放射エネルギーは、燃焼プロセスの必然的な結果として燃焼生成物152内に存在する。他の実施形態では、操作者が、燃焼生成物152の流れに添加物を導入して、放射エネルギーの形で流れから取り出され、反応領域112に送られるエネルギーの量を増加させることができる。たとえば、ナトリウム、カリウム、および/またはマグネシウムの元を燃焼生成物152に混ぜることができ、それらは、燃焼生成物152からエネルギーを吸収し、そのエネルギーを透過面119を通して外側へ放射することができる。特定の実施形態では、反応領域112の壁を暗色にすることができ、かつ/または反応領域112の壁に、放射エネルギーを反応領域112内へ引き入れることを容易にする他の処理を施すことができる。しかしながら、一般に、暗色の表面でより形成しやすい微粒および/またはタール(tar)の形成を防ぐことも望ましい。したがって、タール/微粒子を形成させまたはタール/微粒子の形成を防ぐように、反応領域112の温度および暗色の程度を制御/選択することができる。
【0015】
特定の実施形態では、反応領域で実行されるプロセスが、たとえば最初に反応領域112の特定の領域に熱を供給することにより、放射を受け取る暗色の領域を形成する状態調節プロセスを含む。解離を起こすのに十分な程度までそれらの領域を加熱した後、炭素を含む少量の水素供与体を導入して炭素または炭素に富む材料を付着させる。希望に応じて暗色の領域を修復するため、必要ならばこのような操作を繰り返してもよい。
【0016】
この実施形態の他の特定の態様において、このプロセスはさらに、炭素供与体の解離によって生成された粒子および/またはタールなどの望ましくない固体または液体が、ある領域に付着し、かつ/または入口ポート113を含む通路および分配器115を塞ぐのを防ぐステップを含み得る。これは、加熱器123および/または透過面119から酸素供与体(蒸気など)に熱を供給して酸素供与体を熱することによって達成することができる。十分に熱せられていると、酸素供与体は、吸熱反応に必要な熱を供給することができ、粒子またはタールを形成させることなく炭素供与体と反応することができる。たとえば、メタンまたは他の化合物などの炭素および水素を含む炭素供与体は、蒸気から熱を受け取って一酸化炭素および水素を形成し、したがって望ましくない粒子および/またはタールの形成を防ぐ。
【0017】
前述のとおり、燃焼生成物152は、反応領域112内で反応体として働き得る蒸気および/または他の成分を含み得る。したがって、放射エネルギーを反応領域112内に入れることに加えて、または放射エネルギーを反応領域112内に入れる代わりに、そのような成分が反応領域112内へ入ることを選択的に可能にするように透過面119を製造することができる。特定の実施形態では、炭素結晶構造、たとえば層状グラフェン(graphene)構造から透過面119を形成することができる。炭素ベースの結晶構造は、水分子が通り抜けることができるように意図的に選択された空間を(たとえば流れの方向Aに対して直角に配向した平行な層間に)含み得る。同時に、それらの空間は、反応領域112内で生成された有用な反応生成物が反応領域から出て行くことを防ぐように選択することができる。適切な構造および関連する方法は、本明細書と同時に出願され、本明細書に参照により援用される、係属中の米国特許出願[整理番号69545.8701US]明細書(名称「ARCHITECTURAL CONSTRUCT HAVING FOR EXAMPLE A PLURALITY OF ARCHITECTURAL CRYSTALS」)に開示されている。透過面119を形成するのに使用する構造は先に論じたとおり炭素ベースの構造とすることができ、かつ/あるいは、自己組織化構造を形成する能力を有する他の元素、あるいは特定の放射周波数を通過させもしくは再放射し、かつ/または選択された分子を遮断しもしくは通過させるように表面119を改変する能力を有する成分に基づくこともできる。このような元素はとりわけ、遷移金属、ホウ素、窒素、珪素および硫黄を含み得る。特定の実施形態において、透過面119は、反応領域112内の1種または数種の反応体によって特に吸収されやすい波長のエネルギーを再放射するように選択された再放射材料を含み得る。このような材料処理を透過面119に施すことに加えて、またはこのような材料処理を透過面119に施す代わりに、反応領域112の壁がこのような処理を含み得る。このような構造、材料および処理のさらなる詳細は、本明細書と同時に出願され、本明細書に参照により援用される、共願の米国特許出願[整理番号69545.8603US]明細書(名称「CHEMICAL REACTORS WITH RE-RADIATING SURFACES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)に開示されている。
【0018】
システム100は、入力信号191を受け取り(たとえばセンサから)、入力信号191に少なくとも部分的に基づいて出力信号192(たとえば制御命令)を送出するコントローラ190をさらに備え得る。したがって、コントローラ190は、適切なプロセッサ、メモリおよびI/O機能を備え得る。コントローラ190は、測定または感知された圧力、温度、流速、化学濃度、および/または他の適切なパラメータに対応する信号を受け取ることができ、反応体送出率、圧力および温度、加熱器の作動、バルブの設定、ならびに/または他の適切な能動的に制御可能なパラメータを制御する命令を出すことができる。操作者は、コントローラ190によって自律的に実行される命令を修正し、調整し、かつ/または覆す追加の入力をすることができる。
【0019】
透過面119をグラフェンまたは他の結晶構造から形成する1つの特徴は、放射エネルギーと有用な諸成分(たとえば水)の両方が反応領域112内へ移動することを可能にすることができることである。特定の実施形態では、反応領域112において酸素原子を優先的に提示しやすい態様で水分子を「搾り出し」、または他の方法で水分子を配向させるように、グラフェン層間の空間を選択することができる。したがって、この反応の酸素を使用する部分(たとえば酸化または酸素化ステップ)は、グラフェン層をそのように選択しない場合よりも迅速に進行することができる。その結果、この機構は、水素供与体および水(ならびに/または他の反応体)から元素または化合物を解離させ、適切な最終生成物を再形成するプロセスを容易にする追加の手段を提供し得る。このプロセスを実行するための諸ステップは図2を参照して後にさらに説明される。
【0020】
図2は、投入反応体から有用な生成物を形成する全体プロセス200で実行される代表的ステップまたはプロセス部分を示す流れ図である。図2のプロセス要素は、様々な優先順位に従って、または並行して、あるいは他の配置で実行することができ、これには、水素供与体が関与する反応に対して十分な熱を供給して粒子またはタールを形成させないために、蒸気の加熱を優先することが含まれる。
【0021】
プロセス部分201は、反応領域内に水素供与体を導くステップを含む。先に論じたとおり、水素供与体は、ある実施形態ではメタンを含み得、他の実施形態では他の炭化水素を含み得る。このような炭化水素は、ガソリン、ディーゼル燃料、灯油、バンカー燃料および/または他の適切な有機化合物もしくは有機的に誘導された化合物を含み得る。他の実施形態では、水素供与体が炭素ベースである必要がない。たとえば、水素供与体はアンモニア(窒素ベースの水素供与体)を含み得る。水素供与体は一般に、反応領域に水素原子を送達する能力だけで選択されるのではなく、水素ベースの燃料以外の最終生成物を形成する目的に使用される構造構築ブロックを解離後に形成し得る原子を提供する能力によっても選択される。たとえば、水素供与体が炭素ベースであるとき、構造構築ブロックは、純粋な炭素または酸素化された炭素(たとえば一酸化炭素または二酸化炭素)を含み得、これらはいずれも、(先に論じた)グラフェン、黒鉛、または処理することによって商業的に有用な無数の物品を形成し得る他の炭素ベースの構造を生成するのに使用することができる。特定の例では、炭素構築ブロックをさらに処理してポリマーを生成することができ、それらのポリマーを使用して、ポリマーフィルムおよび/または他の商業的に有用なポリマーベースの構造を形成することができる。他の実施形態では、これらの構築ブロックを使用して、他の無数の商品、たとえば耐久財を形成することができる。
【0022】
反応領域内において実施し得る代表的プロセスは下記のように識別される。
CH+HO+熱→CO+3H [式1]
CO+H→CHOH+熱 [式2]
2NH+熱→N+3H [式3]
他の適切なプロセスは、本明細書と同時に出願され、本明細書に参照により援用される、共願の米国特許出願[整理番号69545.8601US]明細書(名称「CHEMICAL PROCESSES AND REACTORS FOR EFFICIENTLY PRODUCING HYDROGEN FUELS AND STRUCTURAL MATERIALS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)および米国特許出願[69545.9002US]明細書(名称「CARBON-BASED DURABLE GOODS AND RENEWABLE FUEL FROM BIOMASS WASTE DISSOCIATION」)に開示されている。
【0023】
プロセス部分202は、水素供与体の解離ならびに/または解離した成分の水素ベースの燃料および適切な構築ブロックへの再種形成を容易にするために、水から蒸気を生成するステップまたは反応領域内に蒸気を導くステップを含む。プロセス部分203は、放射エネルギーおよび/または反応体を反応領域の透過面を通して導くステップを含む。先に論じたとおり、放射エネルギーは、反応領域内で完了する反応のうちの吸熱反応を容易にすることができ、反応体は、反応を実行するのに必要な分子を提供することができる。透過面を通して反応体を導入するステップはさらに反応領域の圧力を増大させることができ、反応領域の圧力の増大は、反応領域内で生じる反応を容易にし得る。
【0024】
プロセス部分204では、水素供与体を解離させて解離生成物にする。この解離生成物は、純粋な水素または水素化合物および純粋な炭素または炭素化合物を含み得る。水素供与体が炭素を含まないとき(たとえばアンモニアおよび/または他の窒素化合物の場合)、プロセス部分204は、窒素または窒素化合物を形成するステップを含み得る。プロセス部分205は、非水素構築ブロック(たとえば炭素、窒素、ホウ素、硫黄または珪素から形成された構築ブロック)を形成するステップを含み、プロセス部分206は、水素ベースの燃料を形成するステップを含む。たとえば、水素供与体がメタンを含むとき、非水素構築ブロックは一酸化炭素を含み得、水素ベースの燃料は二原子水素を含み得る。前述の反応は、適切な触媒、たとえばニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウムおよび/もしくは銀、ならびに/または前述の元素の合金の存在下で実施することができる。特定の実施形態では、触媒の汚染を防ぎかつ/または触媒の汚染を除去するように反応器内の温度が制御される。たとえば、本開示技術の諸態様は、汚染を防ぎかつ/または除去するために、触媒を予熱するステップ、および熱を(たとえば蒸気によって)加え続けるステップを含む。
【0025】
プロセス部分207では、反応生成物を取り出す。適切なプロセス(たとえば吸着プロセス)を使用して、非水素構築ブロックから水素ベースの燃料を分離することができる。次いで、水素ベースの燃料を燃やしてクリーンな電力を生成することができ、構築ブロックから、前述のものなどの有用な最終構造物を形成することができる。この反応のこれらの2つの主要な生成物は、別々にまたは組み合わせて使用することができる。組み合わせて使用する一例では、炭素構築ブロックから商業的に有用な最終生成物を形成するのに使用するエネルギーを、水素を燃やして得る。
【0026】
図3は、環状に(たとえば同心に)配置された3つの導管322から形成された容器311を備える反応器310の部分的に概略化された部分破断図である。したがって、反応器310は連続流方式で動作することができる。本明細書で使用されるとき、「連続流」は一般に、反応領域に反応体を再装填するために反応を停止させることなしに、反応体および生成物を反応容器に連続的に供給し、反応容器から連続的に取り出すことができるプロセスを指す。他の実施形態では、反応器310が、反応領域に反応体が断続的に供給され、反応領域から生成物が断続的に取り出されるバッチ方式で動作することができる。3つの導管322は、第1の導管または内側導管322a、第2の導管または中間導管322bおよび第3の導管または外側導管322cを含む。第1の導管322aは燃焼生成物通路318の境界をなし、したがって燃焼生成物152が通過する内部領域320を有する。第1の導管322aは、矢印Bによって示されているように放射エネルギーが半径方向外側へ通過する第1の透過面319aを有する。この実施形態の特定の態様では、第1の導管322aと第2の導管322bの間の環状領域が加熱器323を収容し、第2の導管322bと第3の導管322cの間の環状領域が反応領域312を収容する。加熱器323は、燃焼生成物152からの放射熱と共に、反応領域312に熱を供給する。したがって、第2の導管322bは、燃焼生成物152および加熱器323からの放射エネルギーが反応領域312内に半径方向外側へ向かって通過することを可能にする第2の透過面319bを備え得る。この実施形態の特定の態様では、燃焼生成物152と加熱器323の間の接触(たとえば腐食性の接触または他の損傷を与える接触)を防ぐために、第1の透過面319aおよび第2の透過面319bが、燃焼生成物152の化学成分を透過させない。他の実施形態では、第1の透過面319aおよび第2の透過面319bを通過する化学成分から加熱器323を保護するように(たとえば適当なコーティング、処理または他の機構を有するように)加熱器323を製造することができる。他の実施形態では、図5を参照して後により詳細に説明するように、加熱器323を反応領域312の外側に配置することができる。これらのどの実施形態においても、加熱器323は、電気抵抗加熱器、誘導加熱器または適切な他の装置を含み得る。少なくともいくつかの場合には、反応領域312内で生成された水素の一部を燃焼させることによって、加熱器323に電力が供給される。他の実施形態では燃焼が反応器内で実行され、たとえば、第2の導管322bが、反応領域312内での所望の反応を加速させるように選択された周波数のエネルギーを放射するガスマントル(gas mantle)として機能する。
【0027】
上記のどの実施形態においても、反応領域312は、1つまたは複数の蒸気分配器316および1つまたは複数の水素供与体分配器315を収容することができる。分配器315、316はそれぞれ、化学反応体が反応領域312に入ることを可能にする細孔324および/または他の穴、開口ないし通路を含み得る。供与体分配器315、316は、1つまたは複数の螺旋形の導管を備え得、これにはたとえば、反応体を反応領域内へ軸方向、半径方向および円周方向に均一に分配するように編組式に配置された導管が含まれる。反応領域312は第3の導管322cを境界とし、第3の導管322cは、反応領域312内の熱を保存するために断熱された反応器外面321を有し得る。動作中に、蒸気および水素供与体が反応領域312に入る速度、熱が(燃焼生成物通路318および/または加熱器323を経由して)反応領域312に入る速度、および反応領域312の圧力を含む他の変量を調整することによって、反応領域312内で生じる反応を制御することができる。これらのプロセスは、適当なセンサおよび制御フィードバックループが自律的に実行し、任意選択で、図1を参照して先に説明したようにコントローラが介入する。
【0028】
図4Aは、図3を参照して先に説明した諸特徴と全般的に同様の特徴を有するが、分配器の配置が異なる反応器310の部分の部分的に概略化された破断図である。具体的には、反応器310は、螺旋形の導管ではなしに、穿孔を有する軸方向に延びる導管を有する供与体分配器415aを備え得る。蒸気分配器416aも同様の幾何形状を有し得る。加熱器323は、放射マントル機構、穿孔、溝穴、間隔を置いて配置されたコイル要素、または放射エネルギーおよび/ないし諸成分が反応領域312内へ半径方向外側に向かって移動することを可能にする他の機構を備え得る。図4Bは、多条螺旋構成の供与体分配器415bおよび蒸気分配器416bが反応領域312内に配置された反応器310の他の配置を示す。反応器に対して選択される特定の配置(たとえば軸方向に延びる直線分配器または螺旋分配器)は、反応領域312に反応体を送達する速度および均一性を含む諸因子に基づいて選択することができる。
【0029】
図5は、加熱器523が、対応する反応領域512の内側ではなく外側に環状に配置された、本技術の他の実施形態による反応器510の部分的に概略化された破断図である。この実施形態では、反応器510が、燃焼生成物通路518の境界をなす内側導管522a、第1の導管522aの外側に環状に配置された第2の導管または中間導管522b、および第2の導管522bの外側に環状に配置された第3の導管または外側導管522cを備える。反応領域512は、第1の導管522aと第2の導管522bの間に配置されており、加熱器523は、第2の導管522bと第3の導管522cの間に配置されている。したがって、内側導管522aは、放射エネルギーおよび/または反応体を矢印Bによって示されているように透過させることができる第1の透過面519aを備え得る。加熱器523は反応領域512の外側に配置されているため、(図3を参照して先に論じたように)加熱器523を保護するために、第1の透過面519aが反応体の通過を妨げる必要はない。第2の導管522bは、加熱器523からの放射エネルギーは矢印Cによって示されているように透過させることができるが、反応領域512から半径方向外側に向かって諸成分が移動することを防ぐため化学種を透過させないようにすることができる第2の透過面519bを備え得る。反応器510はさらに、水素供与体分配器515および蒸気分配器516を備え得、水素供与体分配器515および蒸気分配器516は、図5に示されているような直線状または(たとえば図3に示されているような)螺旋状とすることができる。
【0030】
図6は、熱を伝達し、生成物を分離するように構成された熱交換器および分離器と組み合わされた反応器610を備える本開示の他の実施形態によるシステム600の部分的に概略化された図である。この実施形態の特定の態様では、システム600が、生成物の形成を容易にするために反応容器611に蒸気を供給する蒸気/水供給源640を備える。蒸気/水供給源640からの蒸気は、1つまたは複数の導水管を経由して反応器610に供給することができる。特定の実施形態では、第1の導水管が、第1の熱交換器670aを通過し、第1の蒸気分配器616aを経由して反応容器611内に入る第1の水経路641aを含む。反応容器611から取り出された生成物は、反応器生成物出口ポート617を通過し、生成物経路661に沿って進む。生成物経路661は、生成物を冷却し、反応容器611に入る蒸気を加熱するために向流方式または逆流方式で第1の熱交換器670aを通過する。生成物は続いて、有用な最終生成物(たとえば水素および炭素または炭素化合物)を分離する反応生成物分離器680aへ進み、次いで有用な最終生成物は生成物収集器660aに収集される。生成物経路661内に残存する水は、反応生成物分離器680aで分離し、蒸気/水供給源640へ戻すことができる。
【0031】
蒸気/水供給源640が反応器610に供給する蒸気が通る第2の導水管は、第2の熱交換器670bを通過する第2の水経路641bを含む。第2の水経路641bに沿って進んだ水は、第2の蒸気分配器616bを経由して蒸気の形で反応器610に入る。この水は、放射エネルギー/反応体供給源650を出(たとえば燃焼生成物出口653から燃焼室651を出)、燃焼生成物経路654に沿って(透過面619を含む)燃焼生成物通路618を通過する燃焼生成物によって加熱される。使用済みの燃焼生成物は燃焼生成物収集器660bに収集され、使用済みの燃焼生成物は、窒素化合物、リン酸塩、使用済みの発光添加物(たとえばナトリウム、マグネシウムおよび/またはカリウムを含む化合物)、および/または再利用しもしくは他の目的(たとえば農業目的)に使用し得る他の組成物を含み得る。
【0032】
第2の水経路641bに沿って水を加熱し、燃焼生成物経路654に沿って燃焼生成物を冷却することに加えて、第2の熱交換器670bは、供与体経路631に沿って反応容器611内に位置する供与体分配器615に入る水素供与体を加熱することができる。具体的には、システム600は、水素供与体、たとえばガソリン、バイオディーゼル燃料、プロパン、メタン、燃料アルコールなどの炭化水素および/または水素、またはアンモニアなどの窒素を含む供与体を収容する供与体容器630を備え得る。内部の水素供与体を蒸発させかつ/または加圧するために、供与体容器630は、1つまたは複数の加熱器632(第1の加熱器632aおよび第2の加熱器632bとして示されている)を備え得る。三方弁633および調整器634が、供与体容器630を出、供与体経路631に沿って熱交換器670bを通過して反応容器611に入る流体および/または蒸気の量を制御する。これは、供与体容器630の頂部から弁633を通して送達される水素などの気体燃料を用いた常温始動、および弁633を通して続いて送達されるバイオディーゼル油または植物油などの液体燃料に対する後続の操作を可能にする。
【0033】
反応容器611内では、燃焼生成物152が燃焼生成物通路618を通過し、その間に、透過面619を通して反応領域612内へ放射エネルギーおよび/または反応体を送達する。第2の熱交換器670bを通過した後、燃焼生成物152は、燃焼生成物から水を分離する燃焼生成物分離器680bに入ることができる。分離された水は蒸気/水供給源640に戻り、残存する燃焼生成物は燃焼生成物収集器660bに収集される。特定の実施形態では、分離器680bが、燃焼生成物の流れの運動エネルギーによって駆動される遠心分離器を備え得る。遠心力によって水を分離するのに燃焼生成物の流れの運動エネルギーが不十分である場合には、必要な遠心力を供給するために、電動機/発電機681が分離器680bにエネルギーを加えることができる。燃焼生成物の流れの運動エネルギーが水を分離するのに必要なエネルギーよりも大きい場合、電動機/発電機681はエネルギーを発生させることができ、このエネルギーはたとえば、システム600の他の構成要素によって使用される。コントローラ190は、システム600の様々な要素から入力を受け取り、流速、圧力、温度および/または他のパラメータを制御する。
【0034】
前述の実施形態のうちの少なくとも一部の実施形態の1つの特徴は、反応器が、反応領域外の領域からの放射エネルギーおよび/または化学成分が反応領域内へ入ることを可能にする透過面を備え得ることである。この特徴の利点は、反応領域内で生じる化学プロセスを容易にすることができ、同時に、使用可能な放射エネルギーおよび/または他の反応の一部として存在し得る諸成分を利用することができる点である。たとえば、この配置を使用して、燃焼プロセスなどによって生成された廃熱流から有益な熱および化学エネルギーを取り出すことができる。その反応の結果、清浄燃焼性の水素および再利用される炭素構築ブロックを得ることができる。
【0035】
前述の実施形態のうちの少なくとも一部の実施形態の他の特徴は、反応器システムが、熱を再利用することよって内部損失を低減させる内部熱交換器を備え得ることである。たとえば、そのような熱交換器を使用して、燃焼生成物および/または化学反応生成物を冷却し、同時に入来蒸気および/または他の入来化学反応体を加熱することができる。
【0036】
前述の実施形態のうちの少なくとも一部の実施形態の他の特徴は、透過面が、放射エネルギーおよび化学反応体を選択することができるだけでなく、反応領域内での反応をさらに容易にするような態様で化学反応体(たとえば水)を反応領域内へ通すこともできる結晶構造、たとえば炭素ベースのグラフェンを含み得ることである。前述の特徴は、単独でまたは組み合わせて、反応器システムの全体的な有効性、効率および商業的成立性を向上させ得る。
【0037】
本技術の特定の実施形態が例示のために本明細書に説明されてきたが、本技術から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが、上記から、理解されるであろう。たとえば、放射エネルギー/反応体供給源150は、燃焼生成物流以外の流体を透過面に送達することができる。炭素ベースの反応体に関連して先に説明した例は、概ね同様の方法、またはホウ素、窒素、珪素ないし硫黄ベースの反応体を含む他の反応体で実行することができる。
【0038】
特定の実施形態に関連して説明された本技術のいくつかの態様は、他の実施形態において組み合わされ、または削除され得る。たとえば、図3〜5に関連して先に説明した反応器はいずれも、図1および6のシステムで使用することができる。特定の実施形態では、反応を生じさせ、必要な場合には反応を冷却するのに十分な量の蒸気が透過面を通して使用可能な場合に、蒸気分配器を省くことができる。さらに、本技術のいくつかの実施形態に伴う利点が、それら実施形態に関連して説明されているが、他の実施形態もそのような利点を示し得、また、本開示の範囲に包含されるためにすべての実施形態がそのような利点を必ずしも示す必要はない。したがって、本開示および関連する技術は、本明細書に明らかに示しまたは説明されていない他の実施形態を包含することができる。
【0039】
参照によって本明細書にこれまで援用されなかった範囲まで、本出願は、以下の資料のそれぞれの内容を、それら全体として参照により援用する。すなわち、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,553号明細書(名称「SUSTAINABLE ECONOMIC DEVELOPMENT THROUGH INTEGRATED PRODUCTION OF RENEWABLE ENERGY, MATERIALS RESOURCES, AND NUTRIENT REGIMES」)、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,553号明細書(名称「SYSTEMS AND METHODS FOR SUSTAINABLE ECONOMIC DEVELOPMENT THROUGH INTEGRATED FULL SPECTRUM PRODUCTION OF RENEWABLE ENERGY))、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,554号明細書(名称「SYSTEMS AND METHODS FOR SUSTAINABLE ECONOMIC DEVELOPMENT THROUGH INTEGRATED FULL SPECTRUM PRODUCTION OF RENEWABLE MATERIAL RESOURCES USING SOLAR THERMAL」)、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/857,502明細書(名称「ENERGY SYSTEM FOR DWELLING SUPPORT」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8505.US00]明細書(名称「DELIVERY SYSTEMS WITH IN-LINE SELECTIVE EXTRACTION DEVICES AND ASSOCIATED METHODS OF OPERATION」)、2010年8月16日出願の米国特許出願第61/401,699号明細書(名称「COMPREHENSIVE COST MODELING OF AUTOGENOUS SYSTEMS AND PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF ENERGY, MATERIAL RESOURCES AND NUTRIENT REGIMES」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8601.US00]明細書(名称「CHEMICAL PROCESSES AND REACTORS FOR EFFICIENTLY PRODUCING HYDROGEN FUELS AND STRUCTURAL MATERIALS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8603.US00]明細書(名称「CHEMICAL REACTORS WITH RE-RADIATING SURFACES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8604.US00]明細書(名称「THERMAL TRANSFER DEVICE AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8605.US00]明細書(名称「CHEMICAL REACTORS WITH ANNULARLY POSITIONED DELIVERY AND REMOVAL DEVICES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8606.US00]明細書(名称「REACTORS FOR CONDUCTING THERMOCHEMICAL PROCESSES WITH SOLAR HEAT INPUT, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8608.US00]明細書(名称「INDUCTION FOR THERMOCHEMICAL PROCESS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8611.US00]明細書(名称「COUPLED THERMOCHEMICAL REACTORS AND ENGINES, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2010年9月22日出願の米国特許出願第61/385,508号明細書(名称「REDUCING AND HARVESTING DRAG ENERGY ON MOBILE ENGINES USING THERMAL CHEMICAL REGENERATION」)、2011年2月14日出願の特許出願[整理番号69545−8616.US00]明細書(名称「REACTOR VESSELS WITH PRESSURE AND HEAT TRANSFER FEATURES FOR PRODUCING HYDROGEN-BASED FUELS AND STRUCTURAL ELEMENTS, AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8701.US00]明細書(名称「ARCHITECTURAL CONSTRUCT HAVING FOR EXAMPLE A PLURALITY OF ARCHITECTURAL CRYSTALS」)、2010年8月16日出願の米国特許出願第12/806,634号明細書(名称「METHODS AND APPARATUSES FOR DETECTION OF PROPERTIES OF FLUID CONVEYANCE SYSTEMS」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−8801.US01]明細書(名称「METHODS, DEVICES, AND SYSTEMS FOR DETECTING PROPERTIES OF TARGET SAMPLES」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9002.US00]明細書(名称「SYSTEM FOR PROCESSING BIOMASS INTO HYDROCARBONS, ALCOHOL VAPORS, HYDROGEN, CARBON, ETC.」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9004.US00]明細書(名称「CARBON RECYCLING AND REINVESTMENT USING THERMOCHEMICAL REGENERATION」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9006.US00]明細書(名称「OXYGENATED FUEL」)、2009年8月27日出願の米国特許出願第61/237,419号明細書(名称「CARBON SEQUESTRATION」)、2009年8月27日出願の米国特許出願第61/237,425号明細書(名称「OXYGENATED FUEL PRODUCTION」)、2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9102.US00]明細書(名称「 MULTI-PURPOSE RENEWABLE FUEL FOR ISOLATING CONTAMINANTS AND STORING ENERGY」)、2010年12月8日出願の米国特許出願第61/421,189号明細書(名称「LIQUID FUELS FROM HYDROGEN, OXIDES OF CARBON, AND/OR NITROGEN; AND PRODUCTION OF CARBON FOR MANUFACTURING DURABLE GOODS」)、および2011年2月14日出願の米国特許出願[整理番号69545−9105.US00]明細書(名称「ENGINEERED FUEL STORAGE, RESPECIATION AND TRANSPORT」)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応領域を有する反応容器と、
前記反応容器の前記反応領域に流体連通した状態で結合された水素供与体供給源と、
前記反応領域に流体連通した状態で結合された蒸気供給源と、
前記反応領域にある透過面であって、
(a)前記反応領域に入る反応体と(b)前記反応領域に入る放射エネルギーのうちの少なくとも一方を透過させることができる透過面と、
を備えることを特徴とする化学反応器。
【請求項2】
前記透過面は、炭素、窒素またはホウ素の透過性の単原子層の複合材料を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記反応容器は、
反応体を受け取るように配置された少なくとも1つの入口ポートと、
生成物を送達するように配置された少なくとも1つの出口ポートと、
を有する流通型容器である、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項4】
前記反応器の前記少なくとも1つの出口ポートに結合されて、前記反応器から反応生成物を受け取り、凝縮した水を他の反応生成物から分離する分離器をさらに備える、ことを特徴とする請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
燃焼室と、
前記燃焼室と前記反応容器の間に結合された燃焼生成物通路と、
をさらに備え、
前記透過面は、前記反応容器の内部領域と前記燃焼室の内部領域の間に配置されて、(a)反応体と(b)放射エネルギーのうちの少なくとも一方を前記燃焼生成物通路から前記反応容器へ透過させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項6】
前記透過面は、赤外放射と水蒸気の両方を透過させることができる炭素結晶構造を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の反応器。
【請求項7】
前記水素供与体供給源は、炭化水素の供給源を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項8】
前記水素供与体供給源は、水素および窒素の供給源を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項9】
前記透過面は、赤外放射を透過させることができる、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項10】
前記透過面は、可視放射を透過させることができる、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項11】
前記透過面は、水蒸気を透過させることができる、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項12】
前記反応容器と熱連通した状態に配置されて前記容器内の反応体を加熱する加熱器をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項13】
前記加熱器は、電気抵抗加熱器を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の反応器。
【請求項14】
前記加熱器は、誘導加熱器を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の反応器。
【請求項15】
前記透過面は、高温流体流経路に隣接して配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項16】
前記透過面は、ナトリウム、カリウムおよびマグネシウムのうちの少なくとも1つから発射された放射を透過させることができる、ことを特徴とする請求項1に記載の反応器。
【請求項17】
燃焼生成物出口ポートを有する燃焼室と、
流通型反応容器であって、
前記出口ポートに接続されて前記燃焼室から燃焼生成物を受け取る燃焼生成物通路、
前記燃焼生成物通路の周りに環状に配置された反応領域、
前記反応領域と前記燃焼生成物通路の内部の間に配置された透過面であり、(a)前記燃焼生成物によって発射された放射と(b)前記燃焼生成物のうちの少なくとも1種の燃焼生成物とのうちの少なくとも一方を透過させることができる透過面、
第1の蒸気入口ポート
第2の蒸気入口ポート、および
炭化水素入口ポート、
を有する流通型反応容器と、
前記炭化水素入口ポートに結合された炭化水素供給源と、
前記第1の蒸気入口ポートおよび前記第2の蒸気入口ポートに結合された少なくとも1つの水供給源と、
前記反応容器と前記少なくとも1つの水供給源の間に結合された第1の熱交換器であって、前記反応領域を出た反応生成物のための第1の流路および前記第1の蒸気入口ポートに入る水のための第2の流路を有し、前記第1の流路と前記第2の流路は向流配置を有する第1の熱交換器と、
前記第1の流路に結合された分離器であって、前記反応容器を出た水素反応生成物と炭素反応生成物の流れから凝縮した蒸気を分離するように配置された分離器と、
前記反応容器、前記少なくとも1つの水供給源および前記炭化水素供給源の間に結合された第2の熱交換器であって、前記燃焼生成物通路を通過した燃焼生成物のための第3の流路、前記第2の蒸気入口ポートに入る水のための第4の流路、および前記炭化水素入口ポートに入る炭化水素のための第5の流路を有し、前記第3の流路は、前記第4の通路および前記第5の流路との向流配置を有する第2の熱交換器と、
を備えることを特徴とする化学反応器。
【請求項18】
前記反応領域の半径方向内側に配置された加熱器をさらに備える、ことを特徴とする請求項17に記載の反応器。
【請求項19】
前記反応領域の半径方向外側に配置された加熱器をさらに備える、ことを特徴とする請求項17に記載の反応器。
【請求項20】
反応容器の反応領域内に水素供与体を導くステップと、
前記反応領域内に蒸気を導くステップと、
(a)反応体と(b)放射エネルギーとのうちの少なくとも一方を前記反応領域の境界をなす透過面を通して導くステップと、
前記反応領域内で前記水素供与体を解離させて解離生成物にするステップと、
前記解離生成物から、
(a)水素ベースでない構造構築ブロック、および
(b)水素ベースの燃料
を生成するステップと、
前記構造構築ブロックおよび前記水素ベースの燃料を前記反応領域から取り出すステップと、
を含む、ことを特徴とする化学プロセス。
【請求項21】
前記水素供与体を導くステップは、炭化水素燃料を導くステップを含む、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記水素供与体を導くステップは、窒素を含む水素供与体を導くステップを含む、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項23】
前記水素供与体を導くステップは、メタンを導くステップを含み、
取り出すステップは、一酸化炭素および水素を取り出すステップを含む、
ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項24】
前記反応領域内に前記蒸気を導く前に、向流熱交換器内で、前記反応器を出た前記構造構築ブロックおよび前記水素ベースの燃料によって、前記蒸気の少なくとも一部を予熱するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項25】
(a)反応体と(b)放射エネルギーのうちの少なくとも一方を導くステップは、廃熱供給源から放射エネルギーを導くステップを含む、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項26】
(a)反応体と(b)放射エネルギーの少なくとも一方を導くステップは、燃焼生成物の流れから放射エネルギーを導くステップを含む、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項27】
前記燃焼生成物中に添加物を導くステップをさらに含み、
前記添加物は、ナトリウム、カリウムおよびマグネシウムのうちの少なくとも1つを含み、
放射エネルギーを導くステップは、前記添加物によって放出された放射エネルギーを導くステップを含む、
ことを特徴とする請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
残留添加物を農業用途に再利用するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記反応領域内に前記蒸気を導く前に、向流熱交換器内で、前記燃焼生成物によって、前記蒸気の少なくとも一部を予熱するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項26に記載のプロセス。
【請求項30】
前記反応領域内に前記水素供与体を導く前に、向流熱交換器内で、前記燃焼生成物によって、前記水素供与体の少なくとも一部を予熱するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項26に記載のプロセス。
【請求項31】
導くステップは、(a)前記反応体と(b)前記放射エネルギーのうちの少なくとも一方を前記反応領域内へ、半径方向外側に向かって導くステップを含む、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項32】
導くステップは、放射エネルギーを前記反応領域内へ半径方向内側に向かって導くステップを含む、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項33】
前記水素供与体を導くステップ、前記蒸気を導くステップ、(a)前記反応体と(b)前記放射エネルギーのうちの少なくとも一方を導くステップ、ならびに前記構造構築ブロックおよび前記水素ベースの燃料を取り出すステップは、連続流方式で実行される、ことを特徴とする請求項20に記載のプロセス。
【請求項34】
反応容器の反応領域内に炭化水素の連続流を導くステップと、
前記反応領域内に、第1の蒸気流および第2の蒸気流を導くステップと、
前記反応領域の境界をなす透過面を有する通路を通して燃焼生成物を導くステップと、
前記反応領域内で前記炭化水素を解離させて、炭素を含む種および水素を含む種にするステップと、
前記燃焼生成物からの放射エネルギーを前記透過面を通して前記反応領域内へ半径方向外側に向かって導くことによって、前記反応領域内での前記解離プロセスを促進するステップと、
前記炭素を含む種および前記水素を含む種から、
(a)前記水素供与体の化学組成とは異なる化学組成を有する炭素ベースの構造構築ブロック、および
(b)前記水素供与体の化学組成とは異なる化学組成を有する水素ベースの燃料
を生成するステップと、
前記炭素ベースの構造構築ブロックおよび前記水素ベースの燃料を前記反応領域から取り出すステップと、
前記第1の蒸気流中の水に熱を伝達し、
前記第2の蒸気流中の水に熱を伝達することによって前記炭素ベースの構造構築ブロックおよび前記水素ベースの燃料を冷却すること、
によって前記透過面よりも下流で前記燃焼生成物を冷却するステップと、
を含むことを特徴とする化学プロセス。
【請求項35】
前記透過面を通して前記反応領域内に化学成分を導くステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
炭素または炭素を含む付着物によって少なくとも1つの反応領域表面を光学的に暗色にするステップと、
その後は、気体化合物を形成することによって、炭素または炭素を含む付着物の形成を制限し、または防ぐステップと、
を含むことを特徴とする請求項34に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−519509(P2013−519509A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553080(P2012−553080)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/024776
【国際公開番号】WO2011/100699
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511201174)マクアリスター テクノロジーズ エルエルシー (23)
【Fターム(参考)】