説明

水素供給装置、燃料電池システム及び燃料電池自動車

【課題】必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置、該水素供給装置を備える燃料電池システム、及び該燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車を提供する。
【解決手段】一方向への断面形状が一定に形成された水素化物含有構造体5と、一方向に移動可能に構成された加熱手段1、2とを備える、水素供給装置10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置、該水素供給装置を備える燃料電池システム、及び該燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
水素は様々な原料から製造することが可能であり、無尽蔵に存在する。また、水素は燃焼や燃料電池などでの反応後に有毒物質をほとんど発生しない。そのため、大気汚染や地球温暖化の抑制に繋がるクリーンなエネルギー源として注目を集めている。しかし、水素エネルギーの普及には、まだ技術的な課題が多く存在する。その中の一つとして、水素の貯蔵に関する課題がある。
【0003】
現在、水素の貯蔵方法として、高圧圧縮水素として高圧ボンベに貯蔵する方法、液体水素として低温貯蔵タンクに貯蔵する方法、ある材料を水素と化合させて(水素化物にして)貯蔵する方法などがある。これらの方法のうち、高密度で水素を貯蔵できるという観点やシステム構成コストの低減の観点からは、水素化物を用いる方法が期待されている。
【0004】
水素化物を利用した水素の貯蔵及び放出に関する技術がこれまでにいくつか開示されている。例えば、特許文献1には、貯蔵部と、水素を前記の貯蔵部から取り出すためのガス接続部と、水素の放出のために前記の貯蔵部を加熱することができる少なくとも1つの加熱装置とを備えた水素を放出する装置において、前記の貯蔵部が少なくとも2つのモジュールに区分されており、前記のモジュールは相互に独立して加熱可能であることを特徴とする、水素を放出する装置、が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、錯金属水素化物を触媒の存在下で加熱により熱分解せしめて水素を発生させる方法であって、前記触媒が、金属酸化物及び炭素質材料からなる群から選択される少なくとも一種の物質と金属とからなるものであることを特徴とする水素発生方法、が開示されている。さらに、特許文献3には、容器と、前記容器内に設けられた水素貯蔵床であって、前記水素貯蔵床は、直径1nm未満の多数の微小孔を有する高分子材を有するものである水素貯蔵床と、前記高分子材内に埋め込まれた、少なくとも1つの水素化物形成金属と、前記水素化物形成金属から形成された金属水素化物を分解して水素を解離させるための手段と、前記容器の内外に水素を運ぶための手段と、を有することを特徴とする水素貯蔵装置、が開示されている。
【特許文献1】特開2002−250500号公報
【特許文献2】特開2002−137901号公報
【特許文献3】特表平9−501649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜3に開示された技術では、水素化物を加熱又は冷却する際に、その水素化物全体を一気に加熱又は冷却することになるので、水素化物の熱容量の問題や顕熱の問題で水素化物の温度制御が困難であるため、不具合を生じる虞があった。具体的には、特に車両への適用を前提とした場合、水素化物の温度を下げたいときに下げられず、予期していない量の水素が放出されるといった問題や、逆に水素化物の温度を上げたいときに上がらず、予期していた量の水素を確保できないといった問題の発生、すなわち、水素発生量の過不足を招く虞があった。また、水素化物全体を再加熱する際には、多量の顕熱を必要とし、エネルギー効率が良くなかった。
【0007】
そこで本発明は、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置、該水素供給装置を備える燃料電池システム、及び該燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
第1の本発明は、一方向への断面形状が一定に形成され、水素化物を含有する、水素化物含有構造体と、一方向に移動可能に構成された加熱手段と、を備える、水素供給装置である。
【0009】
ここに、「一方向への断面形状が一定」とは、一方向に垂直な方向での断面形状がどこででも略同一であることを意味する。また、本発明において、「水素化物含有構造体」とは、水素化物のみ、又は水素化物と他の物質との混合体であって、圧力や温度を利用して水素を放出させることが可能な固体の水素化物含有構造体を意味する。本発明に用いることができる水素化物含有構造体の具体例としては、AlH、NHBH、Mg(AlH、LiH+LiOHの混合体、NaH+NaOHの混合体などを挙げることができる。さらに、「加熱手段」とは、それ自身が昇温されることで水素化物含有構造体を加熱できる手段を意味する。具体的には、例えば、電熱方式、燃焼方式、誘電方式、又は触媒方式、若しくは、これらのうち複数を組み合わせた方法によって昇温される加熱部材を挙げることができる。
【0010】
上記第1の本発明において、加熱手段は、移動方向に複数備えられ、複数の加熱手段はそれぞれの加熱能力が異なるように構成されていることが好ましい。
【0011】
上記第1の本発明において、水素化物含有構造体の形状が円筒形であることが好ましい。
【0012】
上記円筒形の水素化物含有構造体において、加熱手段が円筒形の中空部を移動することが好ましい。
【0013】
上記円筒形の水素化物含有構造体において、加熱手段はさらに円筒形の外周面側にも設けられていることが好ましい。
【0014】
上記円筒形の水素化物含有構造体において、少なくとも内周面側には、金属層が設けられていることが好ましい。
【0015】
ここに、「少なくとも内周面側には、金属層が設けられている」とは、円筒形の水素化物含有構造体の内周面側(水素化物含有構造体と中空部に備えられた加熱手段との間)に金属層が配設され、水素化物含有構造体の外周面側に加熱手段が備えられる場合には、外周面側にも金属層が配設されて良いことを意味する。また、「金属層」とは、熱伝導性の良い材料(例えば、アルミニウムや銅など)からなる薄い部材を意味する。
【0016】
上記第1の本発明において、水素化物含有構造体と、加熱手段とが、断熱タンク内にあることが好ましい。
【0017】
ここに、「断熱タンク」とは、断熱性を有する容器であって、本発明の水素供給装置の使用環境に耐え得るものであれば、特に限定されるものではない。
【0018】
上記第1の本発明において、水素化物含有構造体は、AlH、NHBH、Mg(AlH、LiH+LiOHの混合体、NaH+NaOHの混合体のうちのいずれかであることが好ましい。
【0019】
上記第1の本発明において、加熱手段は、電熱方式、燃焼方式、誘電方式、触媒方式のうちのいずれか、あるいはこれらの複数の組み合わせであることが好ましい。
【0020】
第2の本発明は、第1の本発明の水素供給装置を備えた燃料電池システムである。
【0021】
第3の本発明は、第2の本発明の燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車である。
【発明の効果】
【0022】
第1の本発明によれば、一方向への断面形状が一定に形成された水素化物含有構造体と、一方向に移動可能に構成された加熱手段とを備えることによって、水素化物含有構造体の任意の一部分のみを加熱して水素を放出させることが可能な水素供給装置を得られる。かかる形態の水素供給装置では、水素化物含有構造体から必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い。したがって、第1の本発明によれば、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置を得ることができる。
【0023】
また、加熱能力が異なる加熱手段が移動方向に複数備えられることによって、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置を得ることができる。
【0024】
また、水素化物含有構造体が略円筒状であることによって、水素化物含有構造体の径方向の厚さを薄く保て、局所的に熱制御が容易な水素供給装置を得ることができる。
【0025】
また、円筒形の中空部に加熱手段が備えられることによって、水素化物含有構造体を内周面側から一部分ずつ加熱し、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置を得ることができる。
【0026】
また、水素化物含有構造体の外周面側にも加熱手段が備えられることによって、水素化物含有構造体を効率良く加熱し、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置を得ることができる。
【0027】
また、加熱手段と水素化物含有構造体との間に金属層が備えられることによって、加熱手段を移動させる際、滑らかに移動させることが可能な水素供給装置を得ることができる。
【0028】
また、水素化物含有構造体と加熱手段とが断熱タンク内に備えられることによって、効率良く水素化物含有構造体を加熱できる水素供給装置を得ることができる。
【0029】
また、水素化物含有構造体がAlH、NHBH、Mg(AlH、LiH+LiOHの混合体、NaH+NaOHの混合体などのような固体であることによって、水素化物含有構造体による目詰まりが生じない水素供給装置を得ることができる。特に、水素化物含有構造体としてAlHを用いることで、80℃程度に加熱して水素を放出させることが可能な水素供給装置を得ることができる。したがって、第1の本発明の水素供給装置を固体高分子型燃料電池(以下、「PEFC」という。)の水素供給に用いた場合、PEFCの排熱を利用して水素化物含有構造体を加熱することで水素を放出させることが可能な水素供給装置を得ることができる。
【0030】
また、加熱手段が電熱方式、燃焼方式、誘電方式、触媒方式のいずれか、あるいはこれらのうち複数の組み合わせであることによって、水素化物含有構造体を容易に加熱することができる水素供給装置を得ることができる。
【0031】
第2の本発明によれば、第1の本発明の水素供給装置を備えることによって、エネルギー効率が良く、必要とする量の水素が安定して供給される燃料電池システムを得ることができる。
【0032】
第3の本発明によれば、第2の本発明の燃料電池システムが搭載されることによって、安定した走行が可能な燃料電池自動車を得ることができる。
【0033】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の水素供給装置、本発明の燃料電池システム及び本発明の燃料電池自動車について、具体的に説明する。
【0035】
1.水素供給装置
図1(a)は、本発明の水素供給装置の形態例を概略的に示す斜視図である。図1(b)は、水素化物含有構造体の内周面側に備えられる加熱手段を概略的に示す斜視図であり、図1(c)は、水素化物含有構造体の外周面側に備えられる加熱手段を概略的に示す斜視図である。以下、図1(a)〜(c)を参照しつつ、本発明の水素供給装置について具体的に説明する。
【0036】
図1(a)に示すように、本発明にかかる水素供給装置10は、略円筒状体の水素化物含有構造体5(以下、単に「構造体5」ということがある。)、構造体5の内周面側に備えられる略円筒状体の内側金属層4、及び、構造体5の外周面側に備えられる略円筒状体の外側金属層6が、断熱タンク8に覆われている。さらに、内側金属層4の内周面側(中空部3)には、図1(b)に示した加熱手段1(以下、「内側加熱手段1」という。)が挿入され、内側加熱手段1は、中空部3で構造体5の長手方向に沿って移動可能である。さらに、外側金属層6の外周面側(外側金属層6と断熱タンク8の間の空間7)には、図1(c)に示した加熱手段2(以下、「外側加熱手段2」という。)が挿入され、外側加熱手段2は、空間7で構造体5の長手方向に沿って移動可能である。また、内側加熱手段1は、低温加熱部材1a及び高温加熱部材1bを備え、外側加熱手段2は、低温加熱部材2a及び高温加熱部材2bを備える。これらの部材について、以下にさらに詳しく述べる。
【0037】
断熱タンク8は、断熱性を有しており、水素貯蔵タンク10の使用時の環境に耐え得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、ウレタン発泡断熱材、あるいはガラスウールをアルミニウムで包んだものからなる容器を挙げることができる。
【0038】
構造体5は、加熱されることで水素を放出させることができる固体の水素化物、又は水素化物と他の物質との混合体である。具体的には、例えば、AlH、NHBH、Mg(AlH、LiH+LiOHの混合体、NaH+NaOHの混合体などを挙げることができる。これらの中でも、AlHを用いた場合、AlHは80℃程度の低温で水素を放出させることが可能であるため、AlHを備える水素供給装置でPEFCに水素を供給するとすれば、PEFCの排熱を利用して水素を放出させることが可能である。
【0039】
構造体5の内周面側に備えられる内側金属層4、及び、構造体5の外周面側に備えられる外側金属層6は、熱伝導性の良い材料(例えば、アルミニウム、銅など)からなる部材であって、構造体5に、内側加熱手段1及び外側加熱手段2が直接接触しないように配置される。内側金属層4、及び外側金属層6が備えられることで、内側加熱手段1、及び外側加熱手段2を構造体5の長手方向に沿って移動させる際に滑りがよくなる。
【0040】
内側加熱手段1は、中空部3(内側金属層4の内周面側)に挿入され、構造体5の長手方向に沿って移動させることが可能である。内側加熱手段1の長手方向の長さは、構造体5の長手方向の長さより短い(例えば、構造体5の長手方向の長さの20分の1程度)。そのため、内側加熱手段1は構造体5の一部分を、構造体5の内周面側から加熱することができる。内側加熱手段1の長手方向の長さが短ければ、構造体5から放出される水素の量を緻密に制御することが可能である。また、内側加熱手段1は構造体5の長手方向に沿って移動可能であるため、内側加熱手段1は構造体5の任意の一部分を、構造体5の内周面側から加熱することができる。さらに、内側加熱手段1は、低温加熱部材1a及び高温加熱部材1bを備えている。低温加熱部材1a及び高温加熱部材1bは夫々別個独立して異なる温度に昇温させることが可能であり、低温加熱部材1a及び高温加熱部材1bの間には、断熱機構が備えられることが好ましい。かかる構成とすることによって、例えば、低温加熱部材1aを、構造体5から水素を放出させることが可能な温度範囲内での低めの温度(以下、「低温」という。)に設定し、高温加熱部材1bを低温よりもある程度高い温度(以下、「高温」という。)に設定した場合、構造体5から、効率良く安定した量の水素を放出させることができる。その方法については後に詳述する。
【0041】
外側加熱手段2は、構造体5の外周面側(外側金属層6と断熱タンク8の間の空間7)に挿入され、構造体5の長手方向に沿って移動させることが可能である。外側加熱手段2の長手方向の長さは、構造体5の長手方向の長さより短い(例えば、上記内側加熱手段1と同程度の長さ)。そのため、外側加熱手段2は構造体5の一部分を、構造体5の外周面側から加熱することができる。内側加熱手段1と同様に、外側加熱手段2の長手方向の長さが短ければ、構造体5から放出される水素の量を緻密に制御することが可能である。また、外側加熱手段2は空間7で、構造体5の長手方向に沿って移動できるため、外側加熱手段2は構造体5の任意の一部分を、構造体5の外周面側から加熱することができる。さらに、外側加熱手段2は、低温加熱部材2a及び高温加熱部材2bを備えている。低温加熱部材2a及び高温加熱部材2bは夫々別個独立して異なる温度に昇温させることが可能であり、低温加熱部材2a及び高温加熱部材2bの間には、断熱機構が備えられることが好ましい。かかる構成とすることによって、内側加熱手段1と同様に、低温加熱部材2aを低温に設定し、高温加熱部材2bを高温に設定した場合、構造体5から、効率良く安定した量の水素を放出させることができる。
【0042】
低温加熱部材1a、高温加熱部材1b、低温加熱部材2a及び高温加熱部材2bを加熱する方法としては、低温加熱部材1a、高温加熱部材1b、低温加熱部材2a及び高温加熱部材2bで構造体5を加熱できれば特に限定はされないが、例えば、電気方式、燃焼方式、誘電方式、触媒方式などを挙げることができる。ただし、構造体5から放出される水素への引火を防止するための手段を講じておく必要がある。また、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2a、並びに、高温加熱部材1b及び高温加熱部材2bの構造体5の長手方向に対する移動は、互いに連動していることが好ましい。
【0043】
水素供給装置10では、構造体5が低温加熱部材1a、高温加熱部材1b、低温加熱部材2a及び高温加熱部材2bによって加熱される。具体的には、低温加熱部材1a及び/又は高温加熱部材1bが構造体5の内周面側で昇温され、低温加熱部材1a及び/又は高温加熱部材1bの熱が内側金属層4へと伝わり、さらにその熱が構造体5へと伝わることで、構造体5が内周面側から加熱される。一方、構造体5の外周面側では、低温加熱部材2a及び/又は高温加熱部材2bが構造体5の外周面側で昇温され、低温加熱部材2a及び/又は高温加熱部材2bの熱が外側金属層6へと伝わり、さらにその熱が構造体5へと伝わることで、構造体5が外周面側から加熱される。このように、構造体5は内側加熱手段1と外側加熱手段2によって加熱される。したがって、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2a、並びに、高温加熱部材1b及び高温加熱部材2bは、バネなどを用いて互いに構造体5側に押さえつけられていることが好ましい。かかる形態とすることによって、構造体5への熱の伝わり方が良くなる。
【0044】
水素化物含有構造体を加熱して水素を放出させる際、水素化物含有構造体から放出できる水素の残量が少なくなると、放出させるのに大きなエネルギーを要するようになる。そのため、低温で加熱した場合、水素化物含有構造体が放出できる水素量の全量を放出させるのは困難である。一方、高温で加熱した場合、水素化物含有構造体が放出できる水素量のほぼ全量を放出させることが可能である。しかし、高温で加熱した場合は、水素化物含有構造体から放出される時間当たりの水素量が、放出され始める時から放出し終わるまでの間に大きく変動するため、安定した量の水素を放出させ続けることは困難である。本発明では、低温の熱源と高温の熱源を用いることで、効率良く、構造体5から安定した量の水素を放出させることを可能にしている。
【0045】
水素化物含有構造体から水素が放出される過程について、以下に具体例を挙げて説明する。水素化物含有構造体として、AlHからなり、外径10mm、厚さ1mmで、一定の長さを有する円筒状体に作製されたペレットを用い、これを加熱した場合について考える。
【0046】
低温(約80℃)で上記ペレット全体を加熱した場合、ペレットから放出させることができる水素の約70質量%の水素を、2時間で放出させることが可能である。しかし、ペレット中の水素の残存量が減少してくると、AlHの化学結合が若干強固になり、ペレットからさらに水素を放出させるためには、より高い温度と時間を要する。そのため、低温で、ペレットに残留する約30質量%の水素を放出させることは困難である。一方、高温(約150℃)で上記ペレットを加熱した場合、ペレットから放出させることができる水素の約90質量%を、加熱し始めてから最初の3時間で放出させることができる。しかし、ペレットに残留する約10質量%の水素を放出させるには、さらに約2時間の時間を要する。すなわち、高温で水素化物含有構造体を加熱した場合は、水素の放出量が途中で大きく変動する。
【0047】
以上のことから、低温で加熱した場合でも、高温で加熱した場合でも、水素化物含有構造体から安定した量の水素を放出させつつ、水素化物含有構造体から放出させることできる水素のほぼ全量を放出させることは困難である。
【0048】
次に、上記ペレットを低温で加熱した後に高温で加熱する場合を考える。具体的には、ペレットを約80℃で加熱した後、約150℃で加熱する。約80℃でペレットを2時間加熱すると、ペレットから放出させることができる水素の約70質量%の水素が放出される。その後、約150℃で加熱すると、ペレットに残留する約30質量%を、4時間程度で放出させることができる。このように、水素化物含有構造体を低温で加熱した後に高温で加熱することによって、安定した量の水素を放出させつつ、放出させることができる水素のほぼ全量を放出させることが可能になる。
【0049】
構造体5にAlHを用いた場合に、内側加熱手段1及び外側加熱手段2によって構造体5から水素を放出させる方法について、図2を用いてより詳しく説明する。
【0050】
図2は、構造体5を内側加熱手段1及び外側加熱手段2によって加熱する手順を概略的に示す図であり、図2(x)、(y)、及び(z)は、それぞれ、内側加熱手段1及び外側加熱手段2が挿入された状態での水素供給装置10を、径方向に垂直な方向で切断した断面を概略的に示した図である。図2(x)、(y)、及び(z)において、図1と同様の構成を採るものには図1にて使用した符号と同符号を付し、説明を適宜省略する。
【0051】
構造体5にはAlHが用いられており、内側加熱手段1及び外側加熱手段2は爆発を防止するために、火花が出ないように加工された電気式ニクロムヒータを用いている(内側加熱手段1及び外側加熱手段2へ接続されている加熱用配線は不図示。)。また、低温加熱部材1aと高温加熱部材1bとの長手方向の長さの比は1:2である。さらに、低温加熱部材2aの長手方向の長さは低温加熱部材1aの長手方向の長さと同程度であり、高温加熱部材2bの長手方向の長さは高温加熱部材1bの長手方向の長さと同程度である。図2(x)、(y)、及び(z)において、a、b、及びcの符号が付され、破線で囲われている箇所は、構造体5の一部分の断面を示している。以下、それぞれを部分a、部分b、部分cという。
【0052】
構造体5を内側加熱手段1及び外側加熱手段2によって加熱する際、まず図2(x)に示すように、内側加熱手段1の低温加熱部材1a、及び外側加熱手段2の低温加熱部材2aがそれぞれ挿入され、図中に示した部分cを加熱する。このとき、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aは、低温(約80℃)に設定されており、高温加熱部材1b及び高温加熱部材2bは昇温されていない。そして、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aによって部分cを約2時間加熱することで、部分cから放出させられる水素のうち、約70質量%の水素を放出させることができる。
【0053】
低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aによって部分cを約2時間加熱した後、図2(y)に示すように、内側加熱手段1及び外側加熱手段2を更に挿入させ、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aによって部分bを加熱するとともに、高温加熱部材1b及び高温加熱部材2bによって部分cを加熱する。このとき、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aは、約80℃に設定されたままであり、高温加熱部材1b及び高温加熱部材2bは、高温(約150℃)に設定されている。そして、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aによって部分bを約2時間加熱することで、部分bから放出させられる水素のうち、約70質量%の水素を放出させることができる。また、同時に部分cは、約80℃で約2時間加熱された後に、約150℃で約2時間加熱されたことになる。
【0054】
次に、図2(z)に示すように、内側加熱手段1及び外側加熱手段2を更に挿入させ、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aによって部分aを加熱するとともに、高温加熱部材1b及び高温加熱部材2bによって部分b及び部分cを加熱する。このとき、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aは、約80℃に設定されたままであり、高温加熱部材1b及び高温加熱部材2bは、約150℃に設定されたままである。そして、低温加熱部材1a及び低温加熱部材2aによって部分aを約2時間加熱することで、部分aから放出させられる水素のうち、約70質量%の水素を放出させることができる。また、同時に部分bは、約80℃で約2時間加熱された後に、約150℃で約2時間加熱されたことになり、同時に部分cは、約80℃で約2時間加熱された後に、約150℃で約4時間加熱されたことになる。
【0055】
したがって、内側加熱手段1及び外側加熱手段2によって構造体5を加熱し始めてから約6時間で、部分cからはほぼ全量の水素が放出されることになる。これまでの過程と同様に、内側加熱手段1及び外側加熱手段2を更に挿入させて加熱を続ければ、約2時間後には部分bからも放出させられる水素のほぼ全量を放出させることができる。構造体5をこの方法で加熱し続けることによって、安定した量の水素を放出させつつ、構造体5から放出させられる水素のほぼ全量を放出させることができる。
【0056】
上述したように、水素供給装置10では、構造体5の一部分のみを順番に加熱していく。構造体5の一部分のみを加熱することで、構造体5の広範囲の部分を同時に加熱する場合に比べて、構造体5の加熱に要するエネルギーの効率が良く、且つ、水素の放出量を制御しやすくなる。具体的には、構造体5の広範囲を加熱する場合は、一旦加熱を開始した後に停止する際、広範囲を加熱しているため、加熱箇所全体の温度がすぐには下がらず、水素の放出がすぐに止まらない。そして、再度加熱を開始する際には、構造体5の広範囲に顕熱を与える必要があり、多量のエネルギーを損失する上、水素の放出が始まるまでに時間がかかる。一方、水素供給装置10では、構造体5の一部分のみを加熱することで、加熱部分の温度を下げるにも上げるにも長時間を要さず、多量の顕熱を与えなくても良い。そのため、水素供給装置10では従来の水素供給装置に比べて消費エネルギーを約20〜50%低減することができる。
【0057】
さらに、異なる温度の加熱部材を用いることも、加熱に要するエネルギーの高効率化に貢献している。構造体5から放出できる水素をほぼ全量放出させるには、構造体5内の残存水素量の減少に伴って高温の熱源を必要とする。しかし、加熱部材を高温にすると、加熱部材の周囲の、加熱の必要がない場所の加熱に費やされるエネルギーが大きくなる。すなわち、エネルギーの損失が大きくなる。常に高温で構造体5を加熱し続ける場合は、このエネルギーの損失が大きくなるが、本発明では、低温の熱源と高温の熱源を組み合わせて用いることで、このエネルギー損失を抑え、エネルギー効率の向上を図っている。このことによって、消費エネルギーをさらに約3%〜10%低減することができる。
【0058】
これまで説明してきたように、水素供給装置10は、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い水素供給装置であるので、例えば、燃料電池を搭載した燃料電池自動車などに好適に用いることができる。燃料電池自動車はいかなる走行状況であっても水素の供給に問題があってはならない。そのため、水素供給装置を燃料電池自動車に用いる際には、通常、バッファータンクとともに用い、バッファータンクから燃料電池へと水素が供給される。したがって、バッファータンクの状況をみて、バッファータンク内の水素の残量に応じて、水素供給装置から水素の放出を行う。そして、自動車が安定した走行を行うためには、バッファータンクに比較的安定した量の水素を常に貯蔵しておく必要がある。水素供給装置10では、構造体5の一部分を、内側加熱手段1に備えられる低温加熱部材1a、及び高温加熱部材1b、並びに、外側加熱手段2に備えられる低温加熱部材2a、及び高温加熱部材2bによって加熱することで安定した量の水素を放出させ続けることが可能であり、バッファータンク内の水素量を一定量に保つことが容易である。また、構造体5がAlHなどのように80℃程度の雰囲気で水素の放出を行える材料からなる場合は、燃料電池の排熱を利用して水素の放出を行えるため、さらにエネルギー効率が良くなる。したがって、水素供給装置10は自動車に好適に用いることができる。
【0059】
さらに、これまでとは別の観点から、水素供給装置10がこれまでに説明してきた形態であることによって、有効な水素化物含有構造体の充填率(体積上)の向上を図れるという効果も得られる。従来の水素供給装置では、有効な水素化物含有構造体の充填率は外容積まで考慮すると60%〜65%程度であった。しかし、水素供給装置10では、これを80%以上とすることが可能である。具体的には、例えば、構造体5の内径を7mm、構造体5の外径を70mm、内側金属層4の厚さを2mm、外側金属層6の厚さを2mm、空間7の径方向の長さを2mm、断熱タンク8の径方向の厚みを3mmとすると、有効な水素化物含有構造体の充填率は約69%となる。
【0060】
上記のような寸法で、例えば構造体5のかさ密度が1g/cmであった場合、長手方向長さが1mだとすると、水素供給装置10は約2kgとなる。この水素供給装置10を20本積み、水素の放出量が10質量%であれば、約4kgの水素を放出させることが可能である。
【0061】
さらに、水素供給装置10によって得られる他の利益として、構造体5が固体であり、且つ、他の容器に移し替えられるような動きをしないため、水素化物含有構造体による目詰まりの問題は生じない。また、従来の水素供給装置は水素供給装置の全体に熱交換器を介して加熱器を設置する構成を採っていたため、水素化物含有構造体の充填が非常に困難であったが、水素供給装置10ではそのような問題もない。
【0062】
これまでの本発明に関する説明では、水素化物含有構造体が円筒形であって、内周面側と外周面側に加熱器が備えられる形態について説明してきたが、本発明はかかる形態に限定されるものではない。本発明にかかる水素供給装置では、水素化物含有構造体と、水素化物含有構造体を一部分ずつ加熱できる加熱器が備えられていれば良い。その他の具体的な形態例を、図3を用いて説明する。
【0063】
図3(a)〜(d)は本発明に用いることができる水素化物含有構造体の長手方向に垂直な方向の断面を概略的に示した図である。図3(a)〜(d)では、図が煩雑になるのを防ぐため、一部符号を省略して示している。また、図3(a)〜(d)に示した水素化物含有構造体5a、5b、5c、及び5dは長手方向全長に渡って略同一の断面形状を有するものとする。
【0064】
図3(a)は略円筒形の水素化物含有構造体5aに複数の空間3aが備えられている形態を示しており、この空間3a及び/又は水素化物含有構造体5aの外周面側に加熱器が配設される形態であっても良い。また、図3(b)に示すように、水素化物含有構造体5bが多角形であって、中空部3b及び/又は水素化物含有構造体5bの外周面側に加熱器が配設される形態であっても良い。さらに、図3(c)に示すように、中空部3cが複雑な断面形状であって、中空部3c及び/又は水素化物含有構造体5cの外周面側に加熱器が配設される形態であっても良い。さらにまた、図3(d)に示すように、水素化物含有構造体5dの断面形状が複数の略扇形状(略円弧状)であって、その略中心部の空間3d及び/又は水素化物含有構造体5dの外周面側に加熱器が配設される形態であっても良い。ただし、水素化物含有構造体の温度制御を効率良く行うという観点からは、水素化物含有構造体は円筒形であることが好ましい。
【0065】
また、本発明の水素供給装置では、内側加熱手段及び/又は外側加熱手段が水素化物含有構造体の任意の一部分を加熱することができれば良いという観点からは、さらに図4に示すような形態であっても良い。
【0066】
図4は本発明にかかる水素供給装置20を径方向に垂直な方向で切断した断面を概略的に示した図である。図4において、図1と同様の構成を採るものには図1にて使用した符号と同符号を付し、説明を適宜省略する。また、図が煩雑になるのを防ぐため、一部符号を省略している。
【0067】
図4に示すように、水素供給装置20は、水素化物含有構造体5の内周面側に内側加熱手段11を備えており、水素化物含有構造体5の外周面側に外側加熱手段12を備えている。さらに、内側加熱手段11及び外側加熱手段12はそれぞれ水素化物含有構造体5の長手方向に沿って配列された複数の加熱部材11´、11´、…、及び加熱部材12´、12´、…を有している。これら加熱部材11´、11´、…、及び加熱部材12´、12´、…は別個独立して昇温させることが可能であり、隣り合う加熱部材同士の間には、断熱機構が備えられていることが好ましい。水素化物含有構造体5を加熱する際には、加熱部材11´、11´、…、及び加熱部材12´、12´、…のうち、昇温させる加熱部材及び設定温度を選択することで、水素化物含有構造体5の任意の一部分を加熱することができる。
【0068】
また、これまでの本発明に関する説明では、内側加熱手段及び外側加熱手段が低温の加熱部材と高温の加熱部材を有する形態について説明してきたが、本発明はかかる形態に限定されるものではなく、内側加熱手段及び/又は外側加熱手段が単一の加熱部材からなる形態であっても良い。ただし、水素化物含有構造体からの水素の放出量を緻密に効率良く制御するという観点からは、内側加熱手段及び外側加熱手段がそれぞれ異なる温度に昇温できる加熱部材を有することが好ましい。
【0069】
また、これまでの本発明に関する説明では、低温加熱部材が約80℃、高温加熱器が約150℃であって、低温加熱器と高温加熱器の長手方向の長さの比が1:2である場合を例示したが、これらの温度や寸法は、状況に応じて適宜変更可能なものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0070】
また、これまでの本発明に関する説明では、加熱部材と水素化物含有構造体の間に金属層が備えられる形態について説明してきたが、本発明はかかる形態に限定されるものではなく、金属層が備えられない形態であっても良い。ただし、加熱部材を水素化物含有構造体の長手方向に沿って滑らかに移動させるという観点からは、金属層が備えられることが好ましい。
【0071】
2.燃料電池システム
PEFCでは燃料として水素を用いる。負極に供給される水素は、プロトンと電子に分解され、プロトンは電解質膜内を通って正極へと移動し、電子は外部回路を通って正極へ移動する。そして、正極では、プロトン、電子、及び酸素が反応して水が生成される。PEFCでは、この一連の過程によって、電気が取り出されるとともに発熱する。
【0072】
本発明の燃料電池システムでは、PEFCを備え、PEFCへの水素の供給源として、上述した本発明の水素供給装置を備える。本発明の水素供給装置は、必要とする量の水素を安定して放出させることが可能であり、エネルギー効率が良い。さらに、水素化物含有構造体としてAlHを用いた場合には、PEFCでの反応で生じた熱(排熱)を利用してAlHを加熱し、水素を放出させることが可能である。そのため、水素供給装置から、より効率良く水素を放出させることが可能となる。
【0073】
3.燃料電池自動車
本発明の燃料電池自動車(以下、単に「自動車」ということがある。)は、上記本発明の燃料電池システムが搭載されている。上述したように、本発明の燃料電池システムには、本発明の水素供給装置が備えられており、本発明の水素供給装置(以下、単に「水素供給装置」ということがある。)は必要とする量の水素を安定して放出させることが可能である。したがって、自動車は安定した走行が可能となる。以下に、自動車の運転時に水素が供給される過程について説明する。
【0074】
まず、自動車の運転が開始される際、及び運転中に、バッファータンク内の水素の量が確認される。そして、このバッファータンク内の水素の残量が一定量以上に保たれるように、水素供給装置から水素を放出させ、その水素がバッファータンクへと送られる。水素供給装置から水素を放出させる際には、予め水素供給装置に備えられる水素化物含有構造体の加熱温度と加熱時間とに対する水素の放出量を把握しておく。水素化物含有構造体から水素を放出させている最中は、水素化物含有構造体の加熱時間の経過とともに、加熱手段による加熱位置が変更されていく。そして、水素化物含有構造体から安定した量の水素が放出され続ける。また、自動車の発進時や、坂道走行時など、多量の水素を必要とする場合には、加熱手段の温度調整をすることによって、水素化物含有構造体からの水素の放出量を調整し、対応することが可能である。具体的には、例えば、加熱手段の温度を上げれば、水素の放出量を増加させることができる。
【0075】
このように、本発明の燃料電池自動車は本発明の水素供給装置を備えることによって、常に安定した走行が可能となる。また、本発明の燃料電池自動車では、水素化物含有構造体から水素が供給されているため、水素が漏洩した場合、高圧ボンベなどを用いる場合に比べて、安全性の観点からも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】(a)は、水素供給装置10の形態例を概略的に示す斜視図である。(b)は、内側加熱手段1を概略的に示す斜視図である。(c)は、外側加熱手段2を概略的に示す斜視図である。
【図2】水素化物含有構造体5を内側加熱手段1及び外側加熱手段2によって加熱する手順を概略的に示す図である。
【図3】水素化物含有構造体の他の形態例の長手方向に垂直な断面を概略的に示す図である。
【図4】水素供給装置20を径方向に垂直な方向で切断した断面を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 内側加熱手段
1a 低温加熱部材
1b 高温加熱部材
2 外側加熱手段
2a 低温加熱部材
2b 高温加熱部材
3 中空部
4 内側金属層
5 水素化物含有構造体(構造体)
6 外側金属層
7 空間
8 断熱タンク
10 水素供給装置
11 内側加熱手段
11´ 加熱部材
12 外側加熱手段
12´ 加熱部材
20 水素供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向への断面形状が一定に形成され、水素化物を含有する、水素化物含有構造体と、前記一方向に移動可能に構成された加熱手段と、を備える、水素供給装置。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記移動方向に複数備えられ、前記複数の加熱手段はそれぞれの加熱能力が異なるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の水素供給装置。
【請求項3】
前記水素化物含有構造体の形状が円筒形であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水素供給装置。
【請求項4】
前記加熱手段は前記円筒形の中空部を移動することを特徴とする、請求項3に記載の水素供給装置。
【請求項5】
前記加熱手段はさらに前記円筒形の外周面側にも設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の水素供給装置。
【請求項6】
前記円筒形の少なくとも内周面側には、金属層が設けられていることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載の水素供給装置。
【請求項7】
前記水素化物含有構造体と、前記加熱手段とが、断熱タンク内にあることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水素供給装置。
【請求項8】
前記水素化物含有構造体は、AlH、NHBH、Mg(AlH、LiH+LiOHの混合体、NaH+NaOHの混合体のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水素供給装置。
【請求項9】
前記加熱手段は、電熱方式、燃焼方式、誘電方式、触媒方式のうちのいずれか、あるいはこれらの複数の組み合わせであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水素供給装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の水素供給装置を備えた燃料電池システム。
【請求項11】
請求項10に記載の燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−73688(P2009−73688A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243646(P2007−243646)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】