説明

水素製造装置

【課題】改質効率を向上させて未改質の原料の流出を低減できる水素製造装置を提供する。
【解決手段】水素リッチな改質ガスを生成する改質器13と、改質器13を加熱するバーナ9と、改質器13の温度を検出する複数の熱電対25と、熱電対25で検出された温度に基づいて、バーナ9による加熱温度を制御するバーナ制御部16と、を備え、改質器13は、改質ガスが流出する流出部23を有し、複数の熱電対25は、流出部23の周方向に沿って配置されている。従って、流出部23で保持されている改質触媒C1を改質反応に適した温度に維持し易くなって改質効率は向上し、未開質の原料の流出を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素リッチな改質ガスを生成する水素製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、灯油やガソリンなどの原料を改質して水素リッチな改質ガスを生成する水素製造装置が開示されている。この種の水素製造装置は、ガスバーナを囲む中空筒状の改質器を備えている。改質器には、水素製造用原料と水蒸気とが導入される。改質器には改質触媒が収容されており、改質器がガスバーナによって所定の温度まで加熱されると、改質触媒によって水蒸気改質が促進され、水素リッチな改質ガスが生成される。改質ガス中には、被毒によって発電効率の低下させる一酸化炭素が含まれており、改質器から排出された改質ガスは、シフト部及び選択酸化反応部に送られて一酸化炭素が除去された後に、燃料電池スタックに供給される。
【特許文献1】特開2004−175621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改質器内では、ガスバーナに近い側と遠い側などにおいてどうしても温度の偏りが生じてしまう。しかしながら、従来の水素製造装置は、温度の偏りを考慮したガスバーナの燃焼制御を行っておらず、改質触媒の一部が改質反応の促進に適した温度よりも低い温度になって改質効率が低下してしまう虞があった。改質効率が低下すると、未改質の原料が流出し易くなり、未改質の原料が燃料電池スタックに供給されると、発電効率を低下させてしまう。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、改質効率を向上させて未改質の原料の流出を低減できる水素製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、水素リッチな改質ガスを生成する水素製造装置において、水素製造用原料を改質触媒により改質して前記改質ガスを生成する改質部と、改質部を加熱する加熱手段と、改質部の温度を検出する複数の温度センサ部と、温度センサ部で検出された温度に基づいて、加熱手段による加熱温度を制御する制御部と、を備え、改質部は、水素製造用原料が流入する導入部と、改質ガスが流出する流出部と、を有し、流出部は、内筒部と、内筒部の外側に配置された外筒部とを有すると共に、内筒部と外筒部との間で改質触媒を保持し、複数の温度センサ部は、流出部の周方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【0006】
この水素製造装置では、複数の温度センサ部で検出された温度に基づいて加熱手段による加熱温度が制御されるので、改質部の改質触媒の温度を広範囲で監視できる。さらに、複数の温度センサ部は、改質部における改質ガスの流出部に設けられており、流出部の温度に基づいて加熱手段による加熱温度が制御されるため、原料が残っていても、最終的に流出部で改質が促進され、未改質の原料が流出し難くなって、改質効率が向上する。さらに、流出部は、内筒部と、内筒部の外側に配置された外筒部とを有すると共に、内筒部と外筒部との間で改質触媒を保持し、複数の温度センサ部は、流出部の周方向に沿って配置されているため、内筒部と外筒部との間で保持された改質触媒の温度を偏りなく検出し易くなり、流出部で保持されている改質触媒を改質反応に適した温度に維持し易くなって改質効率は向上し、未改質の原料の流出を低減できる。
【0007】
さらに、制御部は、複数の温度センサ部によって検出された温度のうち、最も低い温度が閾値よりも低い場合には、加熱手段による加熱温度を上昇させると好適である。例えば、複数の温度センサ部によって検出された温度の算術平均値に基づいて改質部の改質触媒の温度を制御した場合には、改質触媒中の温度に偏りが生じていても、その偏りが均されてしまって適切な温度管理が難しい。これに対して、上記構成によれば、複数の温度センサ部によって検出された温度のうち、最も低い温度を基準に温度管理を行えるため、改質触媒中の温度に偏りが生じて局所的に温度が低い部分が生じても、その部分の温度を向上させることができて改質効率を向上できる。
【0008】
さらに、外筒部の外側に設けられた筒状の外壁筒部と、改質部の流出部から流出した改質ガスを外筒部の外周面に沿って案内した後、外壁筒部の内周面に沿って案内するように、外筒部と外壁筒部との間に設けられた環状の仕切壁と、外筒部と仕切壁との間に設けられた第1のライナ部と、仕切壁と外壁筒部との間に設けられた第2のライナ部と、を更に備えると好適である。第1のライナ部及び第2のライナ部により、流出部に沿って改質ガスが移動する流路が確実に形成されるため、流出部から流出した改質ガスが流出部を囲むようになって流出部は温度低下し難くなり、改質効率が向上する。
【0009】
さらに、外壁筒部を囲むように配置され、改質のための改質用水を改質器に導入するための水流路を形成する筒状の水路壁と、水路壁と外壁筒部との間に設けられた第3のライナ部と、を更に備えると好適である。第3のライナ部により、改質用水の流路が確実に形成されるため、改質用水の不足による改質効率の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、改質効率を向上させて未改質の原料の流出を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は本発明に係る水素製造装置を適用した燃料電池システムの概略を示す図である。燃料電池システム1は、水素製造用原料として液体原料を用いて発電を行なうものであり、例えば家庭用の電力供給源として採用される。ここでは、液体原料としては、入手が容易であり且つ独立して貯蔵可能であるという観点から灯油を用いている。
【0013】
図1に示されるように、燃料電池システム1は、脱硫器2、水素製造装置(以下、「FPS」という)3、固体高分子形燃料電池(以下、「PEFC」という)スタック4、インバータ5、及びこれらを収容する筐体6を備えている。
【0014】
脱硫器2は、外部から導入された液体原料を脱硫するものである。この脱硫器2には、ヒータ(不図示)が設けられており、これにより、脱硫器2は、例えば130℃〜140℃まで加熱されるようになっている。
【0015】
FPS3は、熱源としてのバーナ(加熱手段)9を備える燃焼筒11と、燃焼筒11を囲むように配置され(図2参照)、液体原料を水蒸気改質して水素リッチな改質ガスを生成する改質器(改質部)13と、改質器13から流出する改質ガス中の一酸化炭素を除去するCO除去部15と、バーナ9による加熱温度を制御するバーナ制御部(制御部)16とを備えている。CO除去部15は、上流側の変成器41と下流側の選択酸化器43とによって構成されている。
【0016】
図2〜図4に示されるように、改質器13は、燃焼筒11の外側で、燃焼筒11と同心に配置された筒状の内胴部17と、内胴部17の外側で、内胴部17と同心に配置された筒状の外胴部19と、を備え、内胴部17及び外胴部19の上部には、液体原料が気化した原料ガスと蒸気化した改質用水とが導入される導入部21が設けられている。なお、燃焼筒11と内胴部17との間には、燃焼筒11からの排ガスG2が上昇する排ガス流路S1が形成されている。排ガスG2は、内胴部17の下部近傍で最も高温であり、排ガス流路S1を上昇する際に改質器13と熱交換されて徐々に冷却される。
【0017】
外胴部19の下部には、上部よりも径が小さくなっている縮径筒部19aが形成されている。内胴部17と外胴部19との間には、原料ガスと水蒸気との水蒸気改質反応を促進して改質ガスG1を生成する改質触媒C1が収容され、縮径筒部19aの下端には、改質触媒C1を支持する環状の多孔板19bが設けられている。改質触媒C1は、貴金属系水蒸気改質触媒であり、ルテニウムを用いている。改質触媒C1の触媒反応に適した温度は550°C〜800°Cである。
【0018】
改質器13内で生成された改質ガスG1は、多孔板19bを抜けて下方に流出する。多孔板19b、縮径筒部19a及び縮径筒部19aに対面する内筒部17の下部筒部17aによって改質ガスの流出部23が形成されている。なお、縮径筒部19aは外筒部に相当し、内胴部17の下部筒部17aは内筒部に相当する。
【0019】
流出部23内で保持されて改質触媒C1の内部には、流出部23の周方向に沿って4個の熱電対(温度センサ部)25が等間隔で配置されている。熱電対25は、バーナ制御部16に電気信号を入力可能に接続されている。バーナ制御部16は、バーナ9に供給される燃料や空気の量を調整可能であり、改質触媒C1の温度が、触媒反応に適した温度、すなわち550°C〜800°Cになるようにバーナ9の加熱温度を制御している。
【0020】
ここで、改質触媒C1の温度は、バーナ9に近い側と遠い側との差など、どうしても温度の偏りが生じてしまう。この温度の偏りを精度良く検出し、広い範囲で、改質触媒C1を改質反応に適した温度にするために、熱電対25は複数設けられている。
【0021】
バーナ制御部16は、複数の熱電対25によって検出された温度のうち、最も低い温度が、下限の閾値、すなわち550°以下になった場合には、バーナ9による加熱温度を上げる。また、バーナ制御部16は、複数の熱電対25によって検出された温度のうち、最も高い温度が、上限の閾値、すなわち800°以上になった場合には、バーナ9による加熱温度を下げる。このような加熱温度の制御により、改質触媒C1の温度を広い範囲で改質反応に適した温度にでき、改質効率を向上できる。
【0022】
改質器13の温度は、流出部23の近傍で最も高いため、流出部23での温度が改質反応に適した温度以下になっていると、改質器13全体が改質反応に不適な温度になっていることになる。そこで、本実施形態では、流出部23の温度を精度良く監視するために、複数の熱電対25を流出部23に纏めて設けている。その結果として、流出部23の温度低下を防止でき、改質効率の低下を効果的に抑えることができる。さらに、流出部23を改質反応に適した温度にすることで、未改質の原料ガスが残っていても、最終的に流出部23で改質を促進でき、未改質の原料ガスが流出し難くなって、改質効率が向上する。
【0023】
さらに、複数の熱電対25は、流出部23の周方向に沿って配置されており、流出部23で保持された改質触媒C1の温度を改質反応に適した温度に維持し易い。特に、熱電対25は等間隔でバランス良く配置されているため、流出部23で保持された改質触媒C1の温度を偏り無く検出でき、改質効率を向上できる。
【0024】
流出部23の縮径筒部19aの外側には、環状の仕切壁27が配置されている。仕切壁27は、流出部23の下方に配置された円形のガイド板28の縁に固定されており、ガイド板28は内胴部17の下端に固定されている。仕切壁27の外側には、円筒状の伝熱壁部(外壁筒部)29が配置され、伝熱壁部29は、改質器13の外胴部19の上部に固定されている。
【0025】
ガイド板28及び仕切壁27によって改質ガスG1の迂回路S2が形成される。すなわち、流出部23から流出した改質ガスG1は、ガイド板28に衝突して流下方向が変わり、仕切壁27に案内されながら縮径筒部19aの外周面19cに沿って上昇する。その後、改質ガスG1は、仕切壁27の上端を抜けて折り返し、伝熱壁部29の内周面29aに沿って下降する。迂回路S2を流動する改質ガスG1は、仕切壁27に沿って上昇する際に、外胴部19を介して改質触媒C1と熱交換し、改質触媒C1の温度低下を防止する。
【0026】
外胴部19の縮径筒部19aと仕切壁27との間には、四個の下段内側ライナ部(第1のライナ部)31と四個の上段内側ライナ部(第1のライナ部)32とが設けられている。下段内側ライナ部31は、縮径筒部19aの周方向に沿って等間隔で配置されている。また、上段内側ライナ部32は、下段内側ライナ部31の上方で、縮径筒部19aの周方向に沿って等間隔で配置されている。下段内側ライナ部31及び上段内側ライナ部32は、縮径筒部19aと仕切壁27との隙間に対応した径を有する円柱状の鋼材であり、縮径筒部19aの軸線に平行になるようにして縮径筒部19a及び仕切壁27に溶接されている。なお、下段内側ライナ部31や上段内側ライナ部32は四個に限定されず、二個、三個、または五個以上の複数の下段内側ライナ部31を等間隔で設けたり、複数の上段内側ライナ部32を等間隔で設けたりしても良い。
【0027】
また、仕切壁27と伝熱壁部29との間には、四個の下段外側ライナ部(第2のライナ部)33と、四個の上段外側ライナ部(第2のライナ部)34とが設けられている。下段外側ライナ部33は、下部内側ライナ部31に重なるように等間隔で配置され、上段外側ライナ部34は、上部内側ライナ部32に重なるように等間隔で配置されている。下段外側ライナ部33及び上段外側ライナ部34は、仕切壁27と伝熱壁部29との隙間に対応した径を有する円柱状の鋼材であり、流出部23の軸線に平行になるようにして仕切壁27と伝熱壁部29とに溶接されている。なお、下段外側ライナ部33や上段外側ライナ部34は四個に限定されず、二個、三個、または五個以上の複数の下段外側ライナ部33を等間隔で設けたり、複数の上段外側ライナ部34を等間隔で設けたりしても良い。
【0028】
各内側ライナ部31,32及び各外側ライナ部33,34を設けることにより、改質ガスG1の迂回路S2が確実に形成される。さらに、各内側ライナ部31,32及び各外側ライナ部33,34は、流出部23の周方向に沿って等間隔で配置されているため、流出部23に対する仕切壁27の偏心が無くなり、迂回路S2を流れる改質ガスG1に偏りがなくなる。さらに、内側ライナ部31及び外側ライナ部33を設けることにより、縮径筒部19a、仕切壁27及び伝熱壁部29の位置合わせが容易になり、製造が容易になり、強度も高くなる。
【0029】
伝熱壁部29の外側には、伝熱壁部29と同心に配置された筒状の水路壁35が設けられている。伝熱壁部29と水路壁35との間には、水蒸気改質のための改質用水が流動する改質用水流路(水流路)S3が形成される。改質用水Wは、水蒸気として改質用水流路S3を上昇し、改質器13を介してバーナ9の熱によって加熱され、改質器13の導入部21に供給される。なお、改質器13の流出部23から流出して迂回路S2を流下する改質ガスG1は、伝熱壁部29を介して改質用水Wとの間で熱交換され、冷却される。
【0030】
改質用水流路S3を形成する伝熱壁部29と水路壁35との間には、四個の上部ライナ部(第3のライナ部)37と四個の下部ライナ部(第3のライナ部)39とが設けられている。上部ライナ部37は、導入部21に近い出口近傍で、伝熱壁部29の周方向に沿って等間隔に配置されている。上部ライナ部37は、伝熱壁部29と水路壁35との隙間に対応した径を有する円柱状の鋼材であり、伝熱壁部29の軸線に平行になるようにして伝熱壁部29及び水路壁35に溶接されている。
【0031】
下部ライナ部39は、改質用水流路S3の入口近傍で、伝熱壁部29の周方向に沿って等間隔に配置されている。下部ライナ部39は、伝熱壁部29と水路壁35との隙間に対応した径を有する円柱状の鋼材であり、伝熱壁部29の軸線に平行になるようにして伝熱壁部29及び水路壁35に溶接されている。
【0032】
上部ライナ部37及び下部ライナ部39を設けることによって、改質用水流路S3が確実に形成されるため、改質用水の不足による改質効率の低下を防止できる。特に、上部ライナ部37及び下部ライナ部39は、伝熱壁部29の周方向に沿って等間隔でバランス良く配置されているために、伝熱壁部29に対する水路壁35の偏心を防止でき、改質用水流路S3を上昇する改質用水の流れに偏りが無くなる。さらに、上部ライナ部37及び下部ライナ部39を設けることで、伝熱壁部29に対する水路壁35の位置合わせは容易になり、製造が容易になる。
【0033】
図1に示されるように、FPS3は、改質器13の下方に隣接して配置されると共に、改質器13からの改質ガスG1に含まれている一酸化炭素を除去するCO除去部15を備えている。CO除去部15は、水性シフト反応によって改質ガスG1から一酸化炭素を低減する変成器41と、変成器41からの改質ガスG1中の一酸化炭素を選択酸化する選択酸化器43と、を備えている。
【0034】
変成器41には、改質ガスG1中の一酸化炭素を水と二酸化炭素とに転化する水性シフト反応を促進するシフト触媒が収容されている。選択酸化器43には、改質ガスG1中に残る一酸化炭素の選択酸化反応を促進する選択酸化触媒が収容されている。改質器13から流出した改質ガスG1は、変成器41に導入されて一酸化炭素が低減される。変成器41では、一酸化炭素濃度を1%以下にすることは困難であるため、変成器41を経た改質ガスG1は、選択酸化器43に導入される。選択酸化器43では、一酸化炭素濃度を10ppm以下にまで低減させることができる。
【0035】
PEFCスタック4は、複数の電池セル(不図示)が積み重ねられて構成されており、FPS3で得られた改質ガスG1を用いて発電してDC電流を出力する。電池セルは、アノードと、カソードと、アノード及びカソード間に配置された電解質である高分子のイオン交換膜とを有しており、アノードに改質ガスG1を導入させると共に、カソードに空気を導入させることで、各電池セルにおいて電気化学的な発電反応が行われることになる。
【0036】
インバータ5は、出力されたDC電流をAC電流に変換する。筐体6は、その内部に脱硫器2、FPS3、PEFCスタック4及びインバータ5をモジュール化して収容する。
【0037】
また、燃料電池システム1は、液体原料を筐体6の外部からFPS3に導入するための液体原料ラインL1を備えている。液体原料ラインL1上には、脱硫器2が設けられている。液体原料ラインL1の脱硫器2よりも下流側は分岐しており、一方は、液体原料を改質器13に導入する液体原料ラインL11となり、他方は、液体原料をバーナ9に供給する液体原料ラインL12となっている。
【0038】
また、燃料電池システム1は、水蒸気改質に用いられる改質用水Wを改質器13に導入する水導入ラインL2を備えている。水導入ラインL2は、FPS3に設けられた改質用水流路S3(図2参照)に接続されており、水導入ラインL2上には、改質用水Wを貯留する水タンク20と、水タンク20から改質器13に改質用水を供給するポンプ(不図示)とが設けられている。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0040】
例えば、上記実施形態では、水素製造用原料として灯油を用いたが、ガソリン、ナフサ、軽油、メタノール、エタノール、DME(ジメチルエーテル)、バイオマスを利用したバイオ燃料を用いてもよい。なお、この場合には、脱硫器(脱硫方法)及び改質器(改質方法)は、用いる液体原料の特性に応じたものとされる。
【0041】
改質触媒に用いられる貴金属系水蒸気改質触媒としては、ニッケル、コバルト、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、白金などのVII属金属を用いることもできる。
【0042】
また、上記実施形態では、改質器13の加熱手段としてバーナ9を用いたが、電気ヒータやPEFCスタックからの排熱(例えばオフガス)を利用して改質触媒を加熱してもよい。この場合、バーナ制御部16は、電気ヒータの印加電圧を調整したり、PEFCスタックからの排熱の流量を調整するなどして、加熱温度を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る水素製造装置を用いた燃料電池システムの概略を示す図である。
【図2】水素製造装置の改質器の概略を示す図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0044】
3…水素製造装置、9…バーナ(加熱手段)、13…改質器(改質部)、16…バーナ制御部(制御部)、17a…内胴部の下部筒部(内筒部)、19a…外胴部の縮径筒部(外筒部)、21…改質器の導入部、23…改質器の流出部、25…熱電対(温度センサ部)、27…仕切壁、29…伝熱壁部(外壁筒部)、31…下段内側ライナ部(第1のライナ部)、32…上段内側ライナ部(第1のライナ部)、33…下段外側ライナ部(第2のライナ部)、34…上段外側ライナ部(第2のライナ部)、35…水路壁、37…上部ライナ部(第3のライナ部)、39…下部ライナ部(第3のライナ部)、S3…改質用水流路(水流路)、C1…改質触媒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素リッチな改質ガスを生成する水素製造装置において、
水素製造用原料を改質触媒により改質して前記改質ガスを生成する改質部と、
前記改質部を加熱する加熱手段と、
前記改質部の温度を検出する複数の温度センサ部と、
前記温度センサ部で検出された温度に基づいて、前記加熱手段による加熱温度を制御する制御部と、を備え、
前記改質部は、前記水素製造用原料が流入する導入部と、前記改質ガスが流出する流出部と、を有し、
前記流出部は、内筒部と、前記内筒部の外側に配置された外筒部とを有すると共に、前記内筒部と前記外筒部との間で前記改質触媒を保持し、
複数の前記温度センサ部は、前記流出部の周方向に沿って配置されていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の前記温度センサ部によって検出された温度のうち、最も低い温度が閾値よりも低い場合には、前記加熱手段による加熱温度を上昇させることを特徴とする請求項1記載の水素製造装置。
【請求項3】
前記外筒部の外側に設けられた筒状の外壁筒部と、
前記改質部の前記流出部から流出した前記改質ガスを前記外筒部の外周面に沿って案内した後、前記外壁筒部の内周面に沿って案内するように、前記内筒部と前記外壁筒部との間に設けられた環状の仕切壁と、
前記外筒部と前記仕切壁との間に設けられた第1のライナ部と、
前記仕切壁と前記外壁筒部との間に設けられた第2のライナ部と、を更に備えることを特徴とする請求項1または2記載の水素製造装置。
【請求項4】
前記外壁筒部を囲むように配置され、前記改質のための改質用水を前記改質器に導入するための水流路を形成する筒状の水路壁と、
前記水路壁と前記外壁筒部との間に設けられた第3のライナ部と、
を更に備えることを特徴とする請求項3記載の水素製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−91188(P2009−91188A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262508(P2007−262508)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【出願人】(500561595)荏原バラード株式会社 (68)
【Fターム(参考)】