説明

水素貯蔵複合材料およびそれに関する方法

本発明の実施形態群は、活性物質粒子と結合剤を含む水素貯蔵複合材料に関し、ここでこの結合剤は、この活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔本発明の優先権〕
仮出願ではないこの出願は、35 U.S.C. § 119(e)に則り、U.S. Provisional Patent Application Serial No. 60/673,859(2005年04月22日出願、この参照により本開示に含まれる)の優先権の利益を請求する。
【0002】
〔技術分野〕
本発明にかかる実施形態群は、水素貯蔵複合材料に関する。特に、本発明にかかる実施形態群は、水素の吸蔵と脱着を行うための水素貯蔵複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
旧来、水素は金属水素化物粉末のかたちで貯蔵されていた。水素化/脱水素化サイクルの際には、歪み挙動(strain behavior)によって粒子層(particle bed)が不安定になり、粒子層がかたまり圧縮されてしまっていた。幾度もサイクルをくりかえしてゆくと、粉末粒子の三次元的な位置関係が変わりつづけてゆくので、歪みが増大してゆくことになる。金属水素化物粉末を使用する際には、熱伝導が不充分であると、水素化/脱水素化サイクルの速度と効率が阻害されてしまう可能性がある。
【0004】
従来技術にかかる金属水素化物粉末を使用するにあたっては、こうした物質の多くは、自然発火性を有するか、もしくは水素と触れると自然発火性となるために、安全に取り扱うようにしなくてはならない。加えて、粉末が水素流中に入り込む可能性があるので、濾過が複雑になってしまい、さらには燃料系内の降圧を引き起こしかねない。
【0005】
こうした水素化/脱水素化工程は、貯蔵媒体を歪め、貯蔵媒体は注入時には膨張し放出時には収縮することになる。こうした歪みはきわめて著しいものになることもある。旧来は、水素化物貯蔵体(hydride storage vessel)を、こうした歪みに適応できる程度の膨張余地を持つように設計することで、歪みへの対策を行っていた。しかし、粒子層の不安定性によって、水素化物が圧縮されて、膨張余地が事実上埋まってしまい、貯蔵体の壁にかかる歪み応力が著しくなる、という問題が引き起されている。したがって、こうした内因性の力学的な歪みに対応できるように貯蔵体を設計しなくてはならず、そのためには、壁の厚さを増すか、または、歪みがかかったときに粒子層が「ほぐれる(unpack)」ような内部構造系の開発を行う必要がある。貯蔵体をこのように複雑に設計しなくてはならないため、金属水素化物粉末に貯蔵できる水素の体積密度が大きく減ってしまうことにもなる。
【0006】
水素化/脱水素化工程により、粉末粒子がさらにぎっしり圧縮されてしまうので、系の緊密性(コンパクション)が増大してしまう。粒子の三次元的位置関係が水素化/脱水素化サイクルを通して変化するので、粉末の水素貯蔵能に悪影響が出てしまう。
【発明の開示】
【0007】
本発明の実施形態群は、活性物質粒子と結合剤を含む水素貯蔵複合材料に関し、ここでこの結合剤は、この活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化する。さらに、実施形態群は、貯蔵体と、この貯蔵体内に配置される水素貯蔵複合材料と、外部装置と接続系統を結ぶための一個以上のポートと、を含む水素貯蔵系にも関し、ここでこの水素貯蔵複合材料は、活性物質粒子と結合剤とを含み、さらにまたこの結合剤は、活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化するものである。
【0008】
本発明にかかる実施形態群は、活性物質粒子の微細粉末を形成するステップと、結合剤をこの微細粉末と混合して混合物を得るステップと、この結合剤が活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化するように水素貯蔵複合材料の形成に充分な程度に混合物を加熱するステップと、を含んだ水素貯蔵複合材料の作成方法にも関する。また、本発明にかかる実施形態群は、水素貯蔵複合材料の使用方法にも関し、この使用方法は、水素貯蔵複合材料の上もしくは内部に水素を吸蔵させるステップと、この水素貯蔵複合材料から水素を脱着するステップと、を含み、ここでこの水素貯蔵複合材料は、活性物質粒子および結合剤を含み、さらにここでこの結合剤は、これら活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以降の詳細な記載は、詳細な記載の一部を成す付随図面への参照を含んでいる。これらの図面は、あくまで例示のために、本発明を実施できる特定の実施形態群を示している。これらの実施形態群(本明細書中では「実施例」とも称する)は、当業者が本発明を実施できる程度に詳細に記載してある。これらの実施形態群は、利用可能な他の実施形態と組み合わせることもでき、あるいは、本発明の範囲を逸脱すること無く構造的変更および論理的変更を施すこともできる。したがって、以降の詳細な記載は、限定的なものとして解釈されるものでは無い。ゆえに本発明の範囲は、付随する請求項とその均等物によって定義される。
【0010】
本明細書においては、「或る」「ひとつの」("a" or "an")という語は、一個のもの、という意味を含むだけでは無く、ひとつもしくは複数のものを含むものとして使用されている。また、「もしくは」「または」「あるいは」("or")という語は、特に他に定めない限りは、非排他的なものとして用いられる。加えて、本明細書に用いた専門用語もしくは術語は、特に他に定めない限りは、説明のみを目的としたものであって、限定をするものでは無い。さらには、本明細書中で参照した出版物、特許、および特許文献のすべては、この参照によりそれらの全体が、それぞれが明細書内に組み込まれたものであるかのようにして、本明細書中に含まれる。本明細書と、参照により含められることになるそれらの文献との間に、語法の矛盾が生じる場合には、含められることになる参照文献中の語法が、本明細書の語法を補足するものであると見做すべきである。なお語法に相容れない矛盾を抱える場合には、本明細書中の語法に従うものとする。
【0011】
本発明にかかる実施形態群は、水素貯蔵複合材料およびそれらに関する方法を提供する。こうした水素貯蔵複合材料は、粒子層において、従来は水素化/脱水素化サイクル中の老朽化により起きていた圧縮(packing)を、低減するかもしくは無くした上で、水素の吸蔵および脱着ができるようになっている。こうした水素貯蔵複合材料は、活性物質粒子および結合剤を含み、ここでこの結合剤は、活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化する。こうした水素貯蔵複合材料は、水素化により変形しうるが、ほぼ元の形状および形態へと戻る。つまり、活性物質粒子間の三次元的位置関係が、複数回の水素化/脱水素化サイクルを通して、本質的には変わらないままになる。
【0012】
また、水素貯蔵複合材料は、貯蔵体内部の耐荷重要素としても機能でき、貯蔵体の体積エネルギー容量(volumetric energy storage)を効果的に増加できる。本発明の実施形態にかかる水素貯蔵複合材料の利用により、脱落した金属水素化物粒子が、脱着した水素流中へと混ざりこんだものを濾別する必要が無くなり、従来発生していた金属水素化物貯蔵体の粉末圧縮の問題が解消される。水素貯蔵複合材料は、従来技術にかかる金属水素化物粉末よりも熱伝導性にすぐれ、且つ、同様の吸着/脱着の速度ならびに容量限界をも有する。水素貯蔵複合材料を、水素貯蔵に使うと、従来技術にかかる金属水素化物粉末を使うよりも、粉末圧縮に因り貯蔵体が破裂する危険性を低減でき、安全である。さらには、水素貯蔵複合材料を水素貯蔵に使うことで、水素輸送および水素貯蔵体に関する、国内規制法令および手続ならびに国際規制法令および手続を遵守しやすくなる。
【0013】
〔定義〕
本明細書では、「水素貯蔵複合材料」("composite hydrogen storage material")という語は、結合剤と混合した活性物質粒子のことを指し、ここでこの結合剤は、活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化するものである。
【0014】
本明細書では、「空間的な相対位置関係」("relative spatial relationships")とは、粒子間の三次元的位置関係のことを指す。本発明の文章においては、粒子間の三次元的位置関係は、ほぼ変化しないままとなる。例えば、粒子間距離は、水素化/脱水素化サイクル中に変化しうるが、一回分のサイクルが完了すると、粒子は他の粒子に対してほぼ同じ位置に戻る。こうした粒子構造は、例えば弾性を有し、この場合、粒子は動くことができるが、その運動に際しても他の粒子との相対的な三次元的位置関係がほぼ保たれたままとなる。材料が、上述した特性を満たすかどうかの指標となる例としては、体積、充填密度(packing density)、もしくは孔隙率などに基づいた測定値か、または、サイクルにくりかえしかけた複合材料の寸法(長さなど)か、がある。 形成した複合物の長さを指標としてそのように使う場合、形成した複合物の長さが、測定した元の長さの約80%以上、約120%以下となる。
【0015】
本明細書では、「吸蔵する」「吸蔵している」「吸蔵」("occlude" or "occluding" or "occlusion")とは、物質を吸収もしくは吸着して、保持することを指す。水素は、吸蔵される物質の例である。物質を、例えば、化学吸着もしくは物理吸着により、化学的吸蔵することも可能でありまたは物理的吸蔵することも可能である。
【0016】
本明細書では、「脱着する」「脱着している」「脱着」("desorb" or "desorbing" or "desorption")とは、吸収もしくは吸着された物質の除去のことを指す。例えば水素を、活性物質粒子から除去できる。こうした水素は例えば、物理的もしくは化学的に結合可能である。
【0017】
本明細書では、「固定化する」("immobilize")とは、粒子を保持して、空間的な相対位置関係を維持することを指す。例えば、活性物質粒子を固定化すると、複数回の水素化/脱水素化サイクルを通して、粒子は動くことはできるが、それら粒子同士の配列関係はほぼ同じままとなるようにすることができる。
【0018】
本明細書では、「金属水素化物粒子」("metal hydride particles")もしくは「金属水素化物」("metal hydrides")とは、水素と接触した際に金属水素化物を形成できるような、金属粒子もしくは合金粒子のことを指す。こうした金属もしくは合金の例としては、LaNi5、FeTi、Mg2Ni、およびZrV2がある。これらの化合物は、さらに上位概念の金属水素化物(AB、AB2、A2B、AB5、およびBCCといったもの)のうちの一例に過ぎない。これらの化合物は、水素と結合すると、例えばMgH2、Mg2NiH4、FeTiH2、およびLaNi5H6、といった金属水素化物複合体を形成する。金属水素化物の形成に用いられる金属の例としては、バナジウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、カルシウム、遷移金属、ランタニド、および金属間化合物、ならびにそれらの固溶体、が含まれる。
【0019】
本明細書では、「活性物質粒子」("active material particles")とは、水素貯蔵能を有する物質粒子のことを指すか、または、水素を吸蔵して脱着できる物質粒子(金属水素化物など)のことを指す。活性物質としては、水素と接触した際に金属水素化物を形成できるような、金属、合金、もしくは金属化合物を用いることができる。例えば活性物質として、LaNi5、FeTi、混合稀土金属(ミッシュメタル)、金属もしくは鉱石の混合物(MmNi5など、ここでMmはランタニドの混合物を指す)、を用いることができる。こうした活性物質粒子は、化学吸着、物理吸着、もしくはそれらの組み合わせにより、水素を吸蔵できる。また、活性物質粒子としては、シリカ類、アルミナ類、ゼオライト類、黒鉛、活性炭、ナノ構造炭素、マイクロセラミックス、ナノセラミックス、窒化硼素ナノチューブ、パラジウム含有材料、もしくはそれらの組み合わせ、が含まれる。
【0020】
本明細書では、「孔隙率」("porosity")とは、空隙の体積と、総体積との比率(1 - 体積密度)のことを指す。
【0021】
本明細書では、「充填密度」("packing density")とは、活性物質が圧縮(充填)される効率のことを指す。充填密度は、材料全体の体積のうち、活性物質が占める割合のことである。例えば、約50%の充填密度と、約40%の孔隙率とを有する材料は、体積にして、約50%の活性物質と、約10%の不活性物質(結合剤または添加剤など)と、約40%の空隙とから成ることになる。
【0022】
本明細書では、「微細粉末」("fine powder")とは、小さな粒子群を含んだ粉末のことを指す。例えば、こうした微細粉末は、約100ミクロン以下の粒子群から実質的に成るものとすることができる。また例えば、こうした微細粉末を、実質的に約50ミクロン以下の粒子群から成るようにすることもでき、または、約10ミクロン以下の粒子群から成るようにすることもでき、または、約1ミクロン以下の粒子群から成るようにすることもでき、または、約10ナノメートル以下の粒子群から成るようにすることも可能である。
【0023】
図1には、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料の作成方法 100 のブロックフロー図を示してある。活性物質粒子は、微細粉末として形成可能である (102) 。この微細粉末に、混合物をつくる上で充分な程度の量の結合剤を混合できる (104) 。この結合剤が、活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に活性物質粒子を固定化するように、水素貯蔵複合材料の形成に充分な程度に混合物を加熱する (106) 。
【0024】
活性物質粒子は、水素貯蔵能を有する物質粒子か、もしくは、水素を吸蔵し脱着する物質粒子か、から成るようにすることができる。金属水素化物がその例である。例としては、LaNi5、FeTi、Mg2Ni、およびZrV2を使うことができる。活性物質粒子で微細粉末をつくることができる (102) 。こうした微細粉末は、例えば、粉砕法(ミリング; milling)(化学粉砕法、ボール粉砕法、高エネルギーボール粉砕法(high energy ball milling)、もしくはジェット粉砕法(jet milling)など)でつくることができ、または、碾き潰し法(grinding)によってつくることもでき、または、液体金属を噴霧して小粒子を形成することによってつくることもでき、あるいは、これらの技法を組み合わせてつくることもできる。
【0025】
微細粉末は、結合剤(熱可塑性結合剤など)と混ぜ合わせることができる (104) 。適切な結合剤の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、弗化ポリビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン=弗化ビニリデンコポリマー、架橋コポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、過弗化アルコキシ(perfluoro alkoxy; PFA)、熱可塑性ポリエステル(ナイロンTMなど)、が含まれる。熱可塑性結合剤を使用する場合は、結合剤は簡単に熔解して加工可能となり、また例えば、約20%以上の破壊伸び(elongation to break)を有しうる。結合剤の量は、混合物のうちの約50%以下とすることができる。結合剤を、注入/放出(水素化/脱水素化)歪み応力に耐える程度に可撓性であるが、注入期間中に高温に晒されても熔解もしくは軟化はしないようなもの、とすることができる。
【0026】
混合物を加熱して、水素貯蔵複合材料をつくることができる (106) 。作成される水素貯蔵複合材料の孔隙率は、例えば約0.1%から約50%の範囲とすることができる。水素貯蔵複合材料の孔隙率は、例えば、約5%から約40%までの範囲にすることもでき、または、約15%から約25%までの範囲にすることもできる。活性物質の金属水素化物材料への充填密度は、例えば約40%以上とすることができる。この充填密度は、例えば、約45%から約90%までの範囲にすることもでき、または、約60%から約80%までの範囲にすることもでき、または、約70%を超えるようにすることもできる。また、水素貯蔵複合材料を、任意に加圧処理にかけることも可能である。このときの圧縮力は、約0.2MPaから約1000MPaの範囲とすることができ、または、約100MPaから約400MPaまでの範囲とすることもできる。加えて同様に、混合物に振動をかけることも可能である。さらなるステップとしては、水素貯蔵複合材料を成形するステップ、が含まれる。成形法の例としては、圧縮成形、射出成形、押出成形、もしくはそれらの組み合わせ、が含まれる。水素貯蔵複合材料は特定の形状に加工成形することが可能であって、例えば、角柱状、小粒状、板状、円板状、薄膜状、薄板状、穴開き薄板状、棒状、もしくはそれらの組み合わせ、といった形状に加工成形できる。
【0027】
水素貯蔵複合材料には、適切な結合剤を添加することで、活性物質粒子が行う注入および放出によって生じる歪み応力に充分に耐えて材料が破損することが無い程度の構造強度を、持たせることができる。水素貯蔵複合材料の構造強度により、水素貯蔵複合材料は耐荷重要素としても機能し、金属水素化物粒子内への水素吸収により生じる力に耐えさせることが可能である。水素貯蔵複合材料は粒子歪み(particle strain)により生じる力への抵抗性を持つため、水素貯蔵複合材料は構造的な完全性を保ち、複数回の吸蔵・脱着サイクルにかけた際にも固体のままとなるようにできる。水素貯蔵複合材料を、小粒状、円板状、球状、板状、角板状、または、任意の多孔質形状もしくは幾何学的形状、となるように形成可能である。
【0028】
任意に、水素貯蔵複合材料が、材料の熱的特性もしくは力学的特性を改善できるような、付加的な成分、添加物、もしくは構造、から成るようにもできる。例としては、黒鉛フレーク、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、ポリマー繊維、熱伝導性物質、蜂の巣様/格子構造(ハニカム格子構造)の金属、金属繊維、ワイヤー、金属粒子、ガラス繊維、およびそれらの組み合わせ、が含まれる。熱伝導性物質の例としては、アルミニウム箔、アルミニウムハニカム、アルミニウム粉末、カーボンファイバー、カーボンフレーク、および類似の物質、がある。構造的添加物の例としては、カーボンフレーク、カーボンナノチューブ、ファイバーガラスの繊維、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、およびそれらの組み合わせ、が含まれる。滑沢剤は、添加物の一例として使用できる。製造時に、水素貯蔵複合材料の一部を任意に除去して、これらの付加的な物質(熱伝導性物質および構造的添加物など)が露出するようにもできる。
【0029】
さらには、吸着剤もしくは吸収剤を、水素貯蔵複合材料に添加することもできる。こうした吸着剤または吸収剤は、活性成分に悪影響を与えるものであってもよく、もしくは、水素化/脱水素化工程に干渉するものであってもよい。例としては、活性炭、酸化カルシウム、酸化傾向の強い他の金属、もしくは「酸素捕集剤」('oxygen getters')、が含まれる。
【0030】
また、難燃剤を、任意に水素貯蔵複合材料に添加してもよい。適切な難燃材の具体例としては、硼酸ホスホニウムアンモニウム(即ち、ホスホ-アンモニウム硼素)、3,4,5,6-ジベンゾ-1,2-オキサホスフェン-2-オキシドまたの名を9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(OPC) [CAS Registry Number 35948-25-5]、スルファミン酸一アンモニウム塩(アンモニウムスルファマート) [CAS Registry Number 7773-06-0]、ジ-n-ブチル酸化錫(DBTO) [CAS Registry Number 818-08-6]、ジ-n-オクチル酸化錫(DOTO) [CAS Registry Number 780-08-6]、二酢酸ジブチル錫またの名を二酢酸ジ-n-ブチル錫(NS-8) [CAS Registry Number 1067-33-0]、ジラウリン酸ジブチル錫またの名をジラウリン酸ジn-ブチル錫(Stann BL) [CAS Registry Number 77-58-7]、フェロセン、ペンタカルボニル鉄、硫酸アンモニウム 、燐酸アンモニウム、塩化亜鉛、およびそれらの組み合わせ、などが含まれる。
【実施例】
【0031】
以降の記載は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料およびそれに関する方法についての実施例である。
【0032】
〔実施例1〕
5グラムのLaNi5粉末(粒径約1ミクロン以下)を、0.2グラムのAtofina's 2851 kynarflex(弗化ポリビニリデン 誘導体)熱可塑性樹脂粉末(粒径約0.1ミクロン以下)と混合する。この混合物を、所望の形状をした鋳型を使い、約100MPaおよび165℃で圧縮成形する。その後、圧力を100MPaに保ちつつ、鋳型を室温まで冷却する。鋳型から取り出した部分は、孔隙率約28%の多孔質固体材料であり、質量5.2グラム、比重約5.2、LaNi5充填係数は約60%である。
【0033】
〔実施例2〕
5グラムのLaNi5粉末(粒径約1ミクロン以下)を、0.2グラムの黒鉛フレーク(粒径約1〜10ミクロン)および0.2グラムのAtofina's 2851 kynarflex(弗化ポリビニリデン 誘導体)熱可塑性樹脂粉末(粒径約0.1ミクロン以下)と混合する。この混合物を、所望の形状をした鋳型を使い、約100MPaおよび165℃で圧縮成形する。その後、圧力を100MPaに保ちつつ、鋳型を室温まで冷却する。鋳型から取り出した部分は、孔隙率約28%の多孔質固体材料であり、質量5.4グラム、比重約5.0、LaNi5充填係数は約56%である。黒鉛フレークの添加により、固体材料の強度と熱伝導性が増大する。こうした特性の改善によって、(鋳型から取り出した)部分の水素注入速度と構造的な完全性が改良されることになるという効果が得られる。
【0034】
〔実施例3〕
5グラムのLaNi5粉末(粒径約1ミクロン以下)を、0.2グラムのポリパラフェニレン-テレフタルアミド(Kevlar)繊維(直径約10〜20ミクロン、長さ約1〜2mm)および0.2グラムのAtofina's 2851 kynarflex(弗化ポリビニリデン 誘導体)熱可塑性樹脂粉末(粒径約0.1ミクロン以下)と混合する。この混合物を、所望の形状をした鋳型を使い、約100MPaおよび165℃で圧縮成形する。その後、圧力を100MPaに保ちつつ、鋳型を室温まで冷却する。鋳型から取り出した部分は、孔隙率約28%の多孔質固体材料であり、質量5.4グラム、比重約4.9、LaNi5充填係数は約53%である。ポリパラフェニレン-テレフタルアミド繊維の添加により、材料の強度が増す。
【0035】
〔実施例4〕
5グラムのLaNi5粉末(粒径約1ミクロン以下)を、0.2グラムの活性炭(粒径約1〜10ミクロン)および0.2グラムのAtofina's 2851 kynarflex(弗化ポリビニリデン 誘導体)熱可塑性樹脂粉末(粒径約0.1ミクロン以下)と混合する。この混合物を、所望の形状をした鋳型を使い、約100MPaおよび165℃で圧縮成形する。その後、圧力を100MPaに保ちつつ、鋳型を室温まで冷却する。鋳型から取り出した部分は、孔隙率約28%の多孔質固体材料であり、質量5.4グラム、比重約4.8、LaNi5充填係数は約52%である。活性炭によって、注入時に金属水素化物を汚染しかねない有害な化合物を吸着できる。
【0036】
図2では、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた水素の吸蔵・脱着方法 200 を示すブロックフロー図を示してある。水素貯蔵複合材料 202 を、貯蔵体 204 に入れて、水素貯蔵複合材料-貯蔵構造体 206 を作成できる。水素を、水素貯蔵複合材料-貯蔵構造体 206 の上もしくは内部に吸蔵させて (208) 、水素を貯蔵している水素貯蔵複合材料-貯蔵構造体 210 を作成できる。水素を脱着させて (212) 、別の水素吸収/脱着サイクルに備えて水素貯蔵複合材料-貯蔵構造体 206 を準備することができる。水素の吸収/脱着は、厖大な回数くりかえすことができ、例えば、使用する水素化物材料に依って、上限約10,000回、もしくは上限約100,000回で行うことができる。
【0037】
水素貯蔵複合材料 202 は、タンクや容器などの貯蔵体 204 内に入れることができる。一例として、水素貯蔵複合材料 202 を、燃料電池タンク内に用いることができ、例えば、Zimmermann, U.S. Provisional Patent Application Serial No. 60/757,782 (Attorney Docket No. 2269.004PRV), 名称 "CELLULAR RESERVOIR AND METHODS RELATED THERETO" (2006年01月09日出願、この参照によりその全体が本開示に含まれる)にて示唆されている燃料電池タンク内に用いることができる。
【0038】
水素貯蔵複合材料 202 は、その固体形態の構造強度により、水素を貯蔵するという機能のみならず、空間的相対位置関係を維持したまま水素貯蔵粒子を保持するという機能をも併せ持つ。したがって、こうした水素貯蔵複合材料は、材料への水素の注入により生じる歪み応力に抗する機能を存分に発揮する。結果的に、水素を貯蔵している貯蔵体 210 の設計にあたっては、系の気圧に耐えられるようにすることを考えるだけでよい。
【0039】
図3では、貯蔵体内の例示的な水素吸蔵材料の、吸収/脱着特性を示してある。図3は、例示的な金属水素化物水素吸蔵材料(本発明のいくつかの実施形態において使用可能なもの)の、水素化/脱水素化サイクルの圧力-組成-温度(pressure-composition-temperature; PCT)プロファイルを描いたものである。
【0040】
図4は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、装置と接続した水素貯蔵複合材料を用いた、貯蔵体の斜視図 400 である。貯蔵体 410 は、外壁 408 と、付加的な除圧機能部 406 と、ポート 404 とを含み、このポート 404 は外部装置 402 と接続する。付加的な除圧機能部 406 は、バルブ、発条つきバルブ、可融性トリガー、破断板、隔膜、通気孔要素、などといった除圧機構とすることができ、タンクと一体化することも可能である。ポート 404 としては、例えば封緘可能なポートを使うことができる。外部装置は、例えば、燃料電池系、水素源、ヒートポンプ、水素圧縮機、もしくは空調システム、とすることができる。また外部装置 402 は、例えば、調圧機、チェックバルブ(逆止弁)、on/offバルブ、もしくは他の中間接続構造などといったガス管理装置とすることもできる。あるいは別の手法として、外壁 408 のうちのひとつの一部が、例えば、燃料電池層、燃料電池系、水素源、ヒートポンプ、もしくは水素圧縮機、などを含むようにしてもよい。
【0041】
燃料電池と組み合わせて使うと、携行可能な電源装置用の小型系を作成できる。燃料電池と併せて使用できる携行可能な電子機器の例としては、携帯電話、衛星電話、ノートパソコン、コンピュータ周辺機器、ディスプレイ、パーソナルオーディオプレイヤー、パーソナルビデオプレイヤー、医療機器、テレビ、トランスミッタ、レシーバー、光源(屋外用電灯もしくはフラッシュライトを含む)、電子玩具、もしくは電池と併用する任意の従来の機器、が含まれるが、これらに限定はされない。
【0042】
貯蔵体 410 は小型にすることができ、付加的な除圧機能部 406 を、貯蔵体 410 の設計に組み込んでしまうこともできる。大型の貯蔵体 410 の場合は、感圧式除圧装置もしくは感温式除圧装置が有用であると考えられる。感温式除圧装置の賦活温度の範囲は、約150℃から約400℃までとすることができる。感圧式除圧装置の賦活圧力の範囲は、約200psiから約1000psiまでとすることができるが、貯蔵体 410 の壁の厚さおよび強度に依ることにもなる。
【0043】
図5では、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体500 の斜視図を示してある。貯蔵体 500 は、付加的な除圧機能部 504 と、ポート 506 とを含む。除圧機能部 504 は、任意に実装するものであって、(特に貯蔵体が超小型のものであるときか、もしくは、貯蔵体と一体となるよう設計した場合には内圧を適切且つ安全に除くことができなかったような場合に)貯蔵体の設計から除外することもできる。ポート 506 を使って、任意の個数の外部装置(図示せず)と接続系統を結ぶことができる。
【0044】
図6には、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、内壁上に設置された水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体 600 の断面図を示してある。貯蔵体 600 は、内壁 606 および外壁 602 を含む。水素貯蔵複合材料 604 は、内壁 606 の内部に配置でき、この際には水素貯蔵複合材料 604 と内壁 606 との間に空隙 608 をとるようにする。水素貯蔵複合材料 604 を、母材(matrix)の形態として、熔融加工可能なポリマー(弗化ポリビニリデン、ポリエチレン、もしくはポリプロピレンなど)を結合剤として使用できる。こうした母材が、貯蔵体 600 の内部空間の一部もしくは全体を埋めるようにすることができる。
【0045】
水素貯蔵複合材料 604 を、貯蔵体 600 の内壁 606 のうちの少なくともひとつのうちの少なくとも一部に、任意に接着できる。水素貯蔵複合材料 604 を接着するにあたっては、例えば熔融加工可能なポリマーが使える。別の手法として、内壁 606 のうちの少なくともひとつのうちの少なくとも一部に、水素貯蔵複合材料 604 を糊付けして接着を行ってもよい。使用できる糊の例としては、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、などがある。
【0046】
図7では、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体700 の断面図を示しており、ここではこの水素貯蔵複合材料は貯蔵体をほぼ埋め尽くす母材として使われている。貯蔵体 700 は、内壁 706 および外壁 702 を含む。水素貯蔵複合材料 704 は、内壁 702 内の母材として配置し、貯蔵体 700 をほぼ埋め尽くすようにできる。
【0047】
図8では、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体800 の断面図を示しており、ここではこの水素貯蔵複合材料は、貯蔵体内部の母材中の複数の層として使われている。貯蔵体 800 は、内壁 810 および外壁 802 を含む。水素貯蔵複合材料 804 は、内壁 802 内の複数の層として配置し、空隙 806 ができるようにする。水素貯蔵複合材料 804 の各層間には、付加的な伝導性部品 808 を置くことができる。水素貯蔵複合材料 804 の製造過程では、構造物の一部を取り除いて、伝導性部品 808 を露出させることができる。
【0048】
例えば、貯蔵体 800 を水素貯蔵複合材料 804 で満たしつつ、同一の基礎部品から異なる大きさの貯蔵体 800 を構築することも可能であると考えられる。こうすることで、貯蔵体 800 の内部に、水素貯蔵複合材料 804 と併せて他の物質を入れ込むこと、即ち図示しているように熱伝導性部品を水素貯蔵複合材料 804 の周りに置くこと、が可能になると思われる。その後、この物質のうちのいくらかを取り除いて、材料 804 の一部が露出するようにすることで、物質中に埋め込まれた熱伝導性部品 808 が露出するなどの特性が得られるようにしてもよい。
【0049】
図9では、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料構造体 900 の透視図を示してある。水素貯蔵複合材料構造体 900 は、例えば角板 902 といったような形状として作成できる。拡大断面図では、活性物質 904 (金属水素化物など)と結合剤 908 との相互作用を図解しており、それらの間隙にはひとつもしくは複数の空間もしくは空隙 906 がつくられうる。空間 906 によって、活性物質(金属水素化物粒子など)を介しての水素の発散および流通が可能となり、それにより水素が、形成された水素貯蔵複合材料の内側に到達できるようになる。
【0050】
本発明を示し記載するにあたり、好ましい実施形態を参照してはいるが、本発明の本質および範囲から逸脱すること無く多種多様な変更および修正を施すことが可能であるということを、当業者は容易に且つ正しく理解できる。開示した実施形態と、上述した変形例と、それらすべてに関する均等物とを包括するものとして、請求項を解釈されたい。
【0051】
本要約書は、 37 C.F.R. §1.72(b) に則り、読者が技術開示の特質と要点を掻い摘めるよう用意したものである。本要約書は、請求項の範囲もしくは意味するところを説明するためまたは限定するために用いられるものでは無い、という取り決めの下、本要約書は提出されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図面は原寸大であるとは限らず、図面内の類似した参照番号群は、いくつかの図を通じてほぼ同様の構成物群を指すようにしてある。異なる記号が末尾につけてある類似する参照番号群は、ほぼ同様の構成物群の異なる例を表している。図面は、本明細書にて論じる種々の実施形態群を例示するものに過ぎず、限定をしようとするものでは無い。
【図1】図1は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料の作成方法を示すブロックフロー図である。
【図2】図2は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた水素の吸蔵・脱着方法を示すブロックフロー図である。
【図3】図3は、例示的な金属水素化物水素吸蔵材料(本発明のいくつかの実施形態において使用可能なもの)の、水素化/脱水素化サイクルの圧力-組成-温度(pressure-composition-temperature; PCT)プロファイルを描いたものである。
【図4】図4は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、装置と接続した水素貯蔵複合材料を用いた、貯蔵体の斜視図である。
【図5】図5は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体の斜視図である。
【図6】図6は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、内壁上に設置された水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体の断面図である。
【図7】図7は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体の断面図であって、この水素貯蔵複合材料は貯蔵体をほぼ埋め尽くす母材(マトリックス)として使われている。
【図8】図8は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料を用いた貯蔵体の断面図であって、この水素貯蔵複合材料は、貯蔵体内部の母材中の複数の層として使われている。
【図9】図9は、本発明のいくつかの実施形態群にかかる、水素貯蔵複合材料構造体の透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質粒子と、
結合剤と
を含み、ここで前記結合剤は、前記活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に前記活性物質粒子を固定化する
ことを特徴とする、水素貯蔵複合材料。
【請求項2】
前記活性物質粒子が、水素を吸蔵し脱着する能力を有することを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項3】
前記活性物質粒子が、水素を、物理吸着するか、もしくは化学吸着するか、もしくはそれらの組み合わせをすることを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項4】
前記活性物質粒子が、金属水素化物を含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項5】
前記活性物質粒子が、AB型金属水素化物、AB2型金属水素化物、A2B型金属水素化物、AB5型金属水素化物、BCC型金属水素化物、もしくはそれらの組み合わせ、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項6】
前記活性物質粒子が、LaNi5、FeTi、もしくはMmNi5を含み、ここでMmはランタニドの混合物であることを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項7】
前記活性物質粒子が、シリカ類、アルミナ類、ゼオライト類、黒鉛、活性炭、ナノ構造炭素、マイクロセラミックス、ナノセラミックス、窒化硼素ナノチューブ、パラジウム含有材料、もしくはそれらの組み合わせ、を含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項8】
前記結合剤が、熱可塑性であることを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項9】
熱可塑性である前記結合剤が、
ポリプロピレン、ポリエチレン、弗化ポリビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン=弗化ビニリデンコポリマー、架橋コポリマー、およびそれらの組み合わせ、から成る群から選択されることを特徴とする、請求項8記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項10】
一種類以上の添加剤
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項11】
熱伝導性添加剤
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項12】
前記熱伝導性添加剤が、アルミニウム、黒鉛フレーク、黒鉛ファイバー、もしくはそれらの組み合わせ、を含むことを特徴とする、請求項11記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項13】
吸着媒である添加剤
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項14】
前記活性物質粒子の水素貯蔵能に影響しうる物質を、吸着できる能力を前記吸着媒である添加剤が有することを特徴とする、請求項13記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項15】
前記吸着媒が、活性炭を含むことを特徴とする、請求項13記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項16】
構造的添加剤
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項17】
前記構造的添加剤が、カーボンフレーク、カーボンナノチューブ、ファイバーガラスの繊維(ファイバー)、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、およびそれらの組み合わせ、から成る群から選択されることを特徴とする、請求項16記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項18】
難燃剤
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項19】
滑沢剤
をさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の水素貯蔵複合材料。
【請求項20】
活性物質粒子と、
結合剤と、
一種類以上の添加剤と
を含み、ここで前記結合剤は、前記活性物質粒子と一種類以上の添加剤との間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に前記活性物質粒子と一種類以上の添加剤とを固定化する
ことを特徴とする、水素貯蔵複合材料。
【請求項21】
活性物質粒子と、
結合剤と
を含む水素貯蔵複合材料であって、ここで
前記水素貯蔵複合材料が、約0.1%から約50%の孔隙率を有し、また、
前記活性物質粒子が、前記水素貯蔵複合材料の約40%以上となる充填密度を有する
ことを特徴とする、水素貯蔵複合材料。
【請求項22】
(A) 貯蔵体と、
(B) 前記貯蔵体内に配置される水素貯蔵複合材料と、
(C) 外部装置と接続系統を結ぶための一個以上のポートと
を含み、ここで前記水素貯蔵複合材料は、
活性物質粒子、および
結合剤
を含み、前記結合剤が、前記活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に前記活性物質粒子を固定化する
ことを特徴とする、水素貯蔵系。
【請求項23】
前記外部装置が、燃料電池系、水素源、ヒートポンプ、水素圧縮機、バルブ、もしくは調圧機、であることを特徴とする、請求項22記載の水素貯蔵系。
【請求項24】
(A) 活性物質粒子の微細粉末を形成するステップと、
(B) 結合剤を、前記微細粉末と混合して、混合物を得るステップと、
(C) 前記結合剤が、前記活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に前記活性物質粒子を固定化するように、水素貯蔵複合材料の形成に充分な程度に前記混合物を加熱するステップと
を含むことを特徴とする、水素貯蔵複合材料の作成方法。
【請求項25】
前記混合物を加熱した後に、前記水素貯蔵複合材料に加圧するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記混合物を加熱した後に、前記水素貯蔵複合材料に振動を与えるステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項27】
碾いた後に、添加剤を、前記結合剤および前記微細粉末に混ぜるステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項28】
(A) 水素を、水素貯蔵複合材料の上もしくは内部に吸蔵させるステップであって、ここで、前記水素貯蔵複合材料が、
活性物質粒子と、
結合剤と
を含み、ここで前記結合剤は、前記活性物質粒子間の空間的な相対位置関係を保持する上で充分な程度に前記活性物質粒子を固定化する
ものである、というステップと、
(B) 水素を前記水素貯蔵複合材料から脱着させるステップと
を含むことを特徴とする、水素貯蔵複合材料を使用する方法。
【請求項29】
水素を脱着した後に、水素貯蔵複合材料の上もしくは内部に水素を再度吸着させるステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項28記載の方法。
【請求項30】
水素貯蔵複合材料の上もしくは内部に水素を再度吸着させた後に、前記水素貯蔵複合材料から水素を再度脱着させるステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記水素貯蔵複合材料から水素を再度脱着した後に、水素の吸蔵および水素の脱着を三回以上、約十万回を上限として行うステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項30記載の方法。
【請求項32】
水素の吸蔵および水素の脱着が約十万回を上限として行われる前記ステップの間に、前記活性物質粒子が、前記活性物質粒子間の空間的な位置関係を実質的に維持する
ことを特徴とする、請求項31記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−538321(P2008−538321A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506893(P2008−506893)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000588
【国際公開番号】WO2006/111005
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507045041)オングストローム パワー インク. (14)
【氏名又は名称原語表記】ANGSTROM POWER INC.
【Fターム(参考)】