説明

水道水発電ユニット

【課題】本発明は、水道の僅かな水圧にても羽根部を効率的に回転させ、良好な発電ができるとともに、国民的な省エネ生活を推進すること。
【解決手段】上部円板11の下側に設けた円筒部12と、この下側に下方が窄まる円錐状のスカート部13とを備えたケーシング1と、円筒部12内に、羽根取付部21の周囲に複数の羽根部22が設けられた羽根車2とから構成されていること。羽根車2の回転軸部23がケーシング1内に垂直状で且つ回転可能に設置されていること。羽根車2の回転軌跡の接線方向から水道水の流入口3が設けられ、スカート部13の下端に流出口4が備えられていること。回転軸部23の上端に設けた駆動円板51の回転にて発電用モータ6を駆動するように設けられてなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道の僅かな水圧にても羽根部を効率的に回転させ、良好な発電ができるとともに、国民的な省エネ生活を推進することができる水道水発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水道水発電装置では、種々の発明が提案されている。大型のものから小型のものまでも存在している。現在、環境保護、エコロジーとの関連から、一般家庭の蛇口又は水道管等の途中に取り付ける水道水発電装置も多く提案されている。そのような水道水発電装置において、機構又は構造が複雑であるものが多い。また、水道水発電装置では、水圧が少ないと、回転しないことがあったり、或いは、回転がスムーズにならないことがあった。
【0003】
具体的には、引用文献1では、発明の名称は、オゾン水生成装置であるが、その羽根車構造として、第1の羽根車及び第2の羽根車が設けられている。この羽根車の接線方向から水道水が流入して、その羽根車の下側に流出するように構成されているが、実際に水道水を流してみると、その出口箇所に溜まってしまい、水道水が流れにくくなったり、流れが停止して回転が止まってしまう欠点があった。つまり、水圧が低い水道水では、その出口(羽根車の下側箇所)で詰まってしまう重大な欠点があった。
【0004】
また、引用文献2でも、図1の水車3の回転軸部23に直交する方向から水道管が備えられている場合、水車3を回転させようとしても、水道水の水圧が低いと回転しにくい欠点があった。つまり、出口箇所に水が溜まった状態となり、水道水が流れにくくなったり、流れが停止して回転が止まってしまう欠点があった。また、密閉式の回転装置内に水道水にて徐々に充満されると水車は水抵抗にて回転速度が極端に低下したり、回転が止まってしまう欠点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−41826
【特許文献2】特開2004−100625
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、水圧が低い水道水であっても、水道水が流れにくくならず、流れが停止して回転が止まることもなく、さらには、その出口箇所に溜まることがないようにでき、水道の僅かな水圧にても羽根部を効率的に回転させ、良好な発電ができる水道水発電装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、上部円板の下側に設けた円筒部と、該円筒部の下側に下方が窄まる円錐状のスカート部とを備えたケーシングと、該ケーシングの円筒部内に、羽根取付部の周囲に複数の羽根部が設けられた羽根車とからなり、該羽根車の回転軸部が前記ケーシングに垂直状で且つ回転可能に設置され、前記羽根車の回転軌跡の接線方向から水道水の流入口が設けられ、前記スカート部の下端に流出口が備えられてなり、前記回転軸部の上端に設けた駆動円板の回転にて発電用モータを駆動可能するように設けられてなることを特徴とする水道水発電ユニットとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1において、前記羽根車を、上円板と下円板とこの間の板状の羽根部とからなることを特徴とする水道水発電ユニットとしたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1において、前記羽根車を、厚肉円板状の羽根取付部とこの周縁の複数の羽根部とからなることを特徴とする水道水発電ユニットとしたことにより、前記課題を解決した。
【0009】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項において、前記スカート部の窄まりの円錐頂角は、約120度以下で約30度以上に形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニットとしたことにより、前記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項4において、前記スカート部の窄まりの円錐頂角は、約90度以下で約30度以上に形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニットとしたことにより、前記課題を解決した。
【0010】
請求項6の発明を、請求項5において、前記スカート部の窄まりの円錐頂角は、約60度以下で約30度以上に形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニットとしたことにより、前記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項2において、前記羽根車の下円板の中心側の周囲に複数の貫通孔が形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニットとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明においては、特に、水圧が低い水道水であっても、水道水が流れにくくならず、流れが停止して回転が止まることもなく、さらには、その出口箇所に溜まることがないようにでき、極めて効率的な羽根車の回転ができ、高効率に発電できる水道水発電装置を提供できる利点がある。
【0012】
さらに、水道水利用の発電とのことで、国民的な省エネ生活を推進することができる。すなわち、太陽光発電、風力発電が、現在盛んに推奨されているが、その設備投資には、何十万、何百万も掛るが、この装置では、数万円乃至数十万円以下であり、その効果は絶大なものである。国家的にCO2削減25%目標にも大いに貢献できるものである。
【0013】
請求項2及び3においては、請求項1と同様の効果を奏する。請求項4及び5の発明では、スムーズな回転ができる利点がある。請求項6の発明では、さらに、良好な回転効率が得られる効果がある。請求項7で、請求項2の構成において、より良い回転力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態の斜視図、(B)は羽根車の斜視図、(C)は羽根車支持箇所の要部斜視図である。
【図2】(A)は本発明の第1実施形態の縦断面図、(B)は(A)のX1−X1矢視断面図、(C)は(A)の分解断面図である。
【図3】(A)は本発明の第1実施形態の水の流れを示す作用図、(B)は本発明の水の流れを示した断面状態図、(C)は(A)の羽根車箇所の平面作用状態図、(D)はスカート部箇所の平面作用状態図である。
【図4】(A)及び(B)は本発明のスカート部の変形例の断面図、(C)はスカート部内での水道水のトルネード流下状態を示す作用図である。
【図5】(A)は本発明の第2実施形態の縦断面図、(B)は(A)のX2−X2矢視断面図、(C)は羽根車の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、複数の実施形態が存在する。実施形態によって、構成が変わるのは、後述する羽根車2であり、他の構成は共通である。まず、図1乃至図4は、本発明の第1実施形態である。本発明は、スカート部13付きのケーシング1、羽根車2、流入口3及び流出口4とからなる水道水発電用駆動装置から構成されている。特に本発明の第1実施形態は、図1に示すように、シロッコファンとしての羽根車2の場合である。前記ケーシング1は、上部円板11と、この直下の円筒部12と、スカート部13とから構成されている。
【0016】
前記ケーシング1の円筒部12は、図1及び2に示すように、適宜の直径での円筒主部121で形成され、高さは比較的低く形成されている。該円筒主部121の上端の円周に鍔状の上部フランジ122が形成されている。前記円筒主部121の下端より、下方に行くに従って窄まる円錐状のスカート部13が設けられている。本発明では、該スカート部13は重要な役割をなす主要な構成要素であるが、この詳細な構成については後述する。
【0017】
前記円筒主部121の下端箇所より内周には、該円筒主部121の中央に位置する軸受抱持部124を不動状態に支持する放射型腕杆123が設けられている〔図1(C)参照〕。該放射型腕杆123の外周端が前記円筒主部121の内周に溶接又は適宜な固着手段(ボルト・ナット等)にて固着されている。また、図2(C)に示すように、前記軸受抱持部124内には、前記羽根車2の回転軸部23の下端を回動可能に軸支する下部軸受125が収納されている。
【0018】
前記円筒主部121は、具体的には、直径が約数cm乃至数十cmで構成され、高さも数cm乃至約十数cmで構成されている。水道水を使用する構成であるが、一般家庭用では、直径が約十数cmで、高さは数cmで構成されている。主にマンションタイプの場合には、屋上の水タンク箇所での使用のため、一般家庭用の数倍乃至数十倍の容量となるように適宜決定される。
【0019】
前記スカート部13は、図1等に示すように、下方が窄まる円錐状をなしている。円錐の角度を円錐頂角φ(立体角)という。該円錐頂角φは、円錐の垂直軸nを基準とした頂角である。その円錐頂角φは、約120度以下で30度以上形成されている。好ましくは、約90度以下で30度以上に形成されている。さらに好ましくは、約60度以下で30度以上に形成されている。この角度によって、水が渦巻き状をなしつつそのスカート部13内に溜まることなく落下するがごとくに流下する。
【0020】
図4(A)の円錐頂角φが、約12度で、図4(B)が、約30度である。本発明の図1乃至図3及び図5、さらには、図4(C)の場合が、円錐頂角φが約60度である。前記スカート部13は、母線が直線となっている円錐をなしているが、母線を弧状(曲線)とした円錐を「弧状円錐」といい、該弧状円錐には、中間が膨らみ状とした場合〔図2(C)鎖線部参照〕や、凹み状の場合〔図5(A)鎖線部参照〕もあり、これらを総称して「円錐状」という。つまり、前記スカート部13は円錐状に形成されている。
【0021】
前記上部円板11は、図2(C)に示すように、円板主板111と、該円板主板111の中央に位置する軸受抱持部112とからなっている。該軸受抱持部112内には、前記羽根車2の回転軸部23の上端を回動可能に軸支する上部軸受113が収納され、且つ水密に支持するように設けられている。前記上部円板11の外周部と、前記円筒主部121の上部フランジ122とがパッキン114を介してボルト・ナット115にて水密的に固着されている。
【0022】
前記ケーシング1の上部円板11、円筒部12及びスカート部13の材質は、主にステンレス鋼等の不銹鋼材が使用されるが、水道水対応とのことで塩化ビニル等の合成樹脂材が使用されることもある。また、前記の説明では、前記上部軸受113の軸受抱持部112は前記上部円板11に設けたが、前記円筒部12の上端箇所に放射型腕杆を介して設けることもある。さらに、前記下部軸受125の軸受抱持部124は前記円筒部12の下端に設けたが、前記スカート部13の上端箇所に放射型腕杆を介して設けることもある。
【0023】
前記羽根車2は、羽根取付部21と羽根部22と回転軸部23から構成され、複数の実施形態が存在している。第1実施形態は、図1(B)に示すように、シロッコファン型であり、羽根取付部21は、上円板211と下円板212とからなり、羽根部22は平板として、放射状に複数(数枚乃至十数枚等)設けられている。前記羽根車2の回転軌跡の接線方向から水道水の前記流入口3が設けられているが、この回転方向は、図2(B)に示すように、左回転ように設けられているが、これとは逆に右回転向きにすることもある。この場合には、図2(B)では、前記流入口3の取付は上側となり、後述の角度∠αも逆向きとなる。
【0024】
具体的には、平面的に見ると、上円板211及び下円板212の外周円に、前記羽根部22の外辺が略一致するようにしてそれぞれ固着され、この内辺は前記上円板211及び下円板212の中間部に存在するようにそれぞれ固着されている。複数の羽根部22は前記上円板211及び下円板212の外周寄りに設けられている。さらに、前記下円板212の内周寄り箇所には、貫通孔212aが複数設けられている。これは、羽根部22の回転時に、水道水を下側に落下させ易いためである。
【0025】
さらに、平面的にみた上円板211からの各羽根部22の角度は、図2(B)に示すように、上円板211の直径に対して適宜の角度∠α(30度前後)となるように設けられている。また、側面から見た角度は、垂直状に設置されているが、羽根部22が回転しやすく、該羽根部22に当った水が、下方に落下し易いようにするのに、図1(B)鎖線に示すように、下方が角度βだけ先行するように形成されることもある。また、該角度βを逆向きの角度に形成することもある。図中24は、羽根取付部21の上下に設けられたカラーである。
【0026】
羽根車2の第2実施形態は、図5(C)に示すように、厚肉円板状の羽根取付部21の周縁に各羽根部22が放射状に複数(数枚乃至十数枚等)設けられている。具体的には、該羽根部22は、図5(B)に示すように、平面的に見ると、回転方向に沿うようにして適宜の円弧からなる弧状に形成されている。さらに、前記羽根部22を側面から見た角度は、図5(A)実線及び(B)に示すように、垂直状に設置されているが、羽根部22が回転しやすく、該羽根部22に当った水が、下方に落下し易いようにするのに、図5(A)鎖線に示すように、下方が角度βだけ先行するように形成されることもある。また、この場合も、該角度βを逆向きの角度に形成することもある。
【0027】
本発明の動作について説明する。図3(A)乃至(C)に示すように、流入口3から水道水を流入させると、その水の流れ及び圧力にて羽根車2に当たって、回転し始める。その回転させた水道水は、円筒部12内から下側のスカート部13内に流れ落ちる。その回転が一定回転以上となったときに、逆円錐状の渦巻き、たつ巻き状となって、流下がスムーズにできる。
【0028】
このように、たつ巻き状となって流れ落ちることを、この発明では「トルネード流下」という。このトルネード流下の状態は、図1乃至図3、図4(C)では、円錐頂角φは、約60度の場合で、前記スカート部13は、上端の拡大部では一杯の水で、下側の流出口4箇所では略一杯の水で、その中間は螺旋状にねじられつつ流下する。
【0029】
このように、トルネード流下の状態になりつつ、羽根車2が回転しているときには、効率的な回転力が得られる。このときには、図2(B)又は図4(C)の水位置に示すように、羽根車2が収納されている円筒部12の下側寄り位置、若しくは、その下側箇所に溜まっている状態となっている。つまり、羽根車2を回転させた後の水は、トルネード流下の箇所に引っ張られる如くになっている。
【0030】
この状態ではなく、この水道水が前記円筒部12内に充満している状態となったときには、その羽根車2の回転は止まるか、殆ど回転しない状態となる。これは、前記スカート部13の傾斜角度にも影響する。すなわち、円錐頂角φの角度が約120度以上の場合には、トルネード流下は水道水の圧力では、殆ど起こらないものである。これは、実験を行った結果である。
【符号の説明】
【0031】
ケーシング1、上部円板11、円筒部12、スカート部13、羽根車2、
羽根取付部21、羽根部22、流入口3、流出口4、駆動円板51、
発電用モータ6、円錐頂角φ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部円板の下側に設けた円筒部と、該円筒部の下側に下方が窄まる円錐状のスカート部とを備えたケーシングと、該ケーシングの円筒部内に、羽根取付部の周囲に複数の羽根部が設けられた羽根車とからなり、該羽根車の回転軸部が前記ケーシング内に垂直状で且つ回転可能に設置され、前記羽根車の回転軌跡の接線方向から水道水の流入口が設けられ、前記スカート部の下端に流出口が備えられてなり、前記回転軸部の上端に設けた駆動円板の回転にて発電用モータを駆動するように設けられてなることを特徴とする水道水発電ユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記羽根車を、上円板と下円板とこの間の板状の羽根部とからなることを特徴とする水道水発電ユニット。
【請求項3】
請求項1において、前記羽根車を、厚肉円板状の羽根取付部とこの周縁の複数の羽根部とからなることを特徴とする水道水発電ユニット。
【請求項4】
請求項1,2又は3の何れか1項において、前記スカート部の窄まりの円錐頂角は、約120度以下で約30度以上に形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニット。
【請求項5】
請求項4において、前記スカート部の窄まりの円錐頂角は、約90度以下で約30度以上に形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニット。
【請求項6】
請求項5において、前記スカート部の窄まりの円錐頂角は、約60度以下で約30度以上に形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニット。
【請求項7】
請求項2において、前記羽根車の下円板の中心側の周囲に複数の貫通孔が形成されてなることを特徴とする水道水発電ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−31767(P2012−31767A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171205(P2010−171205)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(510207966)株式会社あかり電機 (1)
【Fターム(参考)】