説明

永久磁石連結装置

【課題】 本発明は、永久磁石4a、4bを有する第1の機構部材1と第2の機構部材2とを備える、回転トルクを同期的に伝達するための永久磁石連結装置であって、これら第1の機構部材と第2の機構部材とが、内側ローターおよび外側ローターとして形成されており、且つ、空隙3によって分離されており、この空隙が、これら機構部材1、2の間で延在しており、その際、これら機構部材1、2が、同期的な運動を可能にするために、永久磁石4a、4bによって第2の機構部材2との協働作用状態が形成される力によって連結されており、その際、この第1の機構部材1が、空隙3に対して平行に指向する磁化方向を有する、永久磁石4aの第1のグループと、および、空隙3に対して垂直に指向する磁化方向を有する、永久磁石4bの第2のグループとを有しており、その際、第1の機構部材1の、第1のグループと第2のグループとの永久磁石4a、4bが、外周方向内において、互い違いに設けられており、および、その際、外周方向に見て、第1のグループの相前後して続く永久磁石4aと、並びに、第2のグループの相前後して続く永久磁石4bとが、それぞれに、対抗する磁化方向を有している様式の上記永久磁石連結装置に関する。
【解決手段】 本発明に従い、第2のグループの永久磁石4bが、空隙3を出発点として、空隙3とこれら第2のグループの永久磁石4bとの間に、永久磁石の無い、特に軟鉄から成る、中間スペース5が残り、これら中間スペースが、側方で、第1のグループの永久磁石4aによって境界されているように、これら第1のグループの永久磁石4aに対して後方に位置ずれされて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石を有する第1の機構部材と第2の機構部材とを備える、回転トルクを同期的に伝達するための永久磁石連結装置であって、
これら第1の機構部材と第2の機構部材とが、
内側ローターおよび外側ローターとして形成されており、且つ、空隙によって分離されており、この空隙が、これら機構部材の間で延在しており、
その際、これら機構部材が、同期的な運動を可能にするために、永久磁石によって第2の機構部材との協働作用状態が形成される力によって連結されており、
その際、この第1の機構部材が、空隙に対して平行に指向する磁化方向を有する、永久磁石の第1のグループと、および、空隙に対して垂直に指向する磁化方向を有する、永久磁石の第2のグループとを有しており、
その際、第1の機構部材の、第1のグループと第2のグループとの永久磁石が、外周方向内において、互い違いに設けられており、および、
その際、外周方向に見て、第1のグループの相前後して続く永久磁石と、並びに、第2のグループの相前後して続く永久磁石とが、それぞれに、対抗する磁化方向を有している、
様式の上記永久磁石連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石連結装置は、空隙を介して、力および回転トルクの摩耗の無いおよび非接触の伝達を可能とする。
空隙の概念は、当業者の通例の方法において、一般的に、力伝達方向内における、機構部材の間に形成された間隔に関連し、この間隔内において、例えば、同様に間隙つぼ状体が設けられていることは可能であり、この間隙つぼ状体が、これら機構部材の間の漏洩の無い封隙を可能にする。
従って、間隙つぼ状体を有する永久磁石連結装置は、例えば、ポンプ内において使用され、その際、漏洩の無い、力−もしくは回転トルク伝達によって、同様に、環境を悪化させる、有毒な、または他の点で危険な物質の場合にも、増大された信頼性が、空間的な分離によって保証される。
更に別の使用領域は、その使用の場合に力−もしくは回転トルク伝達が必要である該使用であり、
その際、予め与えられた力、または予め与えられた回転トルクに至るまで、機構部材が、同期的な、または少なくとも十分に同期的な運動を実施し、且つ、その際、
永久磁石連結装置が、予め与えられた限界値の到達の際に滑動する。
このような特性は、例えば過負荷が回避されるべきであり、または、ねじ結合の形成の際に予め与えられた始動トルクが維持されるべきである、製造機械および加工機械の際に特に有利である。回転トルク、もしくは力の伝達が、非接触に行われるので、上記滑動は連結装置の摩耗を誘起せず、従って、この連結装置は、強度の負荷のもとでの長期間の使用の為に適している。
【0003】
回転トルクを伝達するための永久磁石連結装置において、空隙を介して作用する磁界を形成するために、機構部材に設けられた永久磁石を、これら永久磁石の磁化方向でもって、空隙に対して平行にまたは垂直に整向することは公知である。
相応する選択的な実施形態は、特許文献1から公知である。この特許文献内において、これら磁石の形状によって、角度に依存して、機構部材の間に作用する力を調整することが、更に提案されている。
【0004】
電気モータ的な駆動装置の領域から、異なる磁化方向を有する永久磁石を、いわゆるハルバッハ配列(Halbach-Array)の様式において配設することは公知であり、このことによって、磁束が、この構成の一方の側面において減少され、且つ、相対して位置している側面の上で増大される。
【0005】
冒頭に記載した様式の特徴を有する永久磁石連結装置は、特許文献2、および特許文献3から公知である。
回転トルク伝達のために設けられた永久磁石連結装置の、内側ローターおよび外側ローターは、それぞれに、永久磁石の第1のグループと、永久磁石の第2のグループから形成されており、これらが、垂直に互いに起立する(zueinanderstehende)磁化方向を有している。
第1の機構部材、および第2の機構部材に沿って、円筒形の形状を達成するために、これら永久磁石は、極めて手間暇のかかる、且つそれぞれの直径寸法に適合された形状を有している。
この永久磁石連結装置でもって、確かに、総じて高い磁束密度が達成され得、その際、同様に還流要素(Rueckflusselementen)の配設も必然的に必要ではないが、しかしながら、この製造は、極めて手間暇がかかり、且つ費用がかさむ。何故ならば、それら磁石の形状において特別に適合された該磁石が必要とされるからである。
【0006】
回転トルクを同期的に伝達するための、冒頭に記載した様式の永久磁石連結装置と並んで、渦電流減速装置が公知であり、この渦電流減速装置は、基本的に異なる機能原理を基礎としている。渦電流減速装置は、例えば、特許文献4内において記載されている。
渦電流減速装置の場合、永久磁石を有する第1の機構部材と、導電性の材料から成る第2の機構部材とが設けられている。第1の機構部材の回転の際に、これら磁石は、渦電流を、この第2の機構部材の導電性の材料内において誘起し、且つ従って、対向磁界を誘起する。
この第2の機構部材の回転可能な軸受けの場合、この第2の機構部材は、低減された回転数でもって回転する。
この第2の機構部材の導電性の材料内における永続的な磁化は行われない。むしろ、誘起された磁界が、この第2の機構部材内において、第1の機構部材と第2の機構部材との間の異なる回転数に相応して作用する。渦電流減速装置は、従って、非同期の伝達の原理に基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】フランス共和国特許公開第2 782 419 A1号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2 240 666 A号明細書
【特許文献3】米国特許出願第2004/0066107 A1号明細書
【特許文献4】特開2001−327154A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、上記背景から、本発明の根底をなす課題は、
コンパクトな構造において、大きな回転トルク、もしくは力の伝達を可能にし、且つ、同時に、簡単に且つ安いコストで製造され得る、回転トルクを同期的に伝達するための永久磁石連結装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
冒頭に記載した様式の特徴を有する永久磁石連結装置を出発点として、この課題は、本発明に従い、

第2のグループの永久磁石が、空隙を出発点として、
空隙とこれら第2のグループの永久磁石との間に、永久磁石の無い中間スペースが残り、これら中間スペースが、側方で、第1のグループの永久磁石によって境界されているように、
これら第1のグループの永久磁石に対して後方に位置ずれされて設けられていることによって解決される。
【発明の効果】
【0010】
磁石の配設は、合目的に、個別の中間スペースにおいて、境を接する磁石が、同名の磁極でもって、それぞれの当該の中間スペースの方向に指向するように行われる。公知の実施形態と比較して、従って、中間スペースの周りの個別の磁石の配設によって、磁束の流入のために使用される面積は拡大される。
第2の機構部材との相互作用に関して、個別の中間スペースは、これら中間スペースに境を接する磁石から形成された磁界の重ね合わせによって、増大された磁束密度を有する効果的な極を形成し、このことによって、達成されるべき保持トルクが増大され得るか、または、予め与えられた保持トルクにおいて、構造容積が低減され得る。
【0011】
本発明に従い中間スペースがこれら中間スペースに境を接する磁石でもって効果的な極を形成することによって、本発明に従う教示の実施のために、個別の磁石の如何なる手間暇のかかる構成も必要ではない。
特に、第1の機構部材の第1のグループ並びに第2のグループの永久磁石のために、簡単な直方体形状が使用されることは可能である。例えば焼結によって製造され且つ場合によっては予め与えられた寸法に裁断された永久磁石は、従って、特に安いコストで且つ材料損失無しに製造され得る。同様に、市販の標準寸法への立ち戻りも可能であり、このことによって、総じて、極めて僅かの製造コストが、同様に小規模大量生産または個別生産においても達成され得る。
第1の機構部材の形成のために、簡単な直方体形状の磁石が使用され得るので、同様に、例えば異なる直径の初期設定に対する、特に自在性のある適合も可能である。
【0012】
磁束の有利な空間的な分布を達成するために、永久磁石の無い中間スペース内において、充填材料が設けられている。特に高い透磁性を有する材料、例えば、軟磁性の材料が設けられていることは可能である。特に、軟鉄は適しており、この軟鉄が、積層された電気薄板の様式において存在することは可能である。
所望の磁界分布の形成と並んで、この充填材料は、同様に、磁石を第1の機構部材に保持すること、および、この第1の機構部材に、空隙の領域内において、均等な表面構造を与えることのためにも寄与する。
【0013】
本発明に従う実施形態の領域内において、第2のグループの永久磁石が後方に位置ずれされて設けられており、且つ、第1の機構部材の全永久磁石が、有利には、手間暇がかかる方法で傾斜して成形されていないので、第2のグループの永久磁石の、中間スペースに相対して位置している側において磁束が流出し、この磁束が無視され得ない。
この背景から、磁気的な損失および不都合な漂遊磁界を回避するために、有利には、永久磁石のための支持体が、還流要素として形成されている。この支持体は、例えば、強磁性の材料、例えば、積層された電気薄板から形成されている。
【0014】
本発明の領域内において、同様に、第2の機構部材も永久磁石を有しており、これら永久磁石が、空隙を介して、第1の機構部材の永久磁石と協働する。この第1の機構部材に関してと同様に、これら磁石は、例えば、NdFeB、NdFeBo、またはSmCoのような、通常の磁気材料から形成されている。
同様に材料選択に関しても、簡単な直方体形状の磁石が使用され得ることは有利であり、従って、それぞれの製造方法に対して、如何なる特別の要求も課せられない。機構部材の定められた幾何学的な形状によって、永久磁石連結装置の記載された実施形態の場合、滑動状態の直ぐ近くに至るまで、機構部材の間の運動の、完全に同期的な伝達が行われる。
【0015】
第2の機構部材の永久磁石の配設のために、従来の方法において、全磁石の整向が、これら磁石の磁化方向でもって、空隙に対して垂直または水平に設けられることは可能である。
特別に大きな力、または回転トルクを伝達可能とするために、しかしながら同様に、
第2の機構部材において、第1の機構部材のように、永久磁石の第1のグループおよび第2のグループを有する1つの配設が設けられていることは可能であり、その際、これら第1のグループと第2のグループの永久磁石が、異なる磁化方向を有しており、且つその際、これら永久磁石の間に、先に記載した永久磁石の無い中間スペースが残っている。
【0016】
本発明の選択的な実施形態に従い、第2の機構部材は、磁化可能な材料を有しており、この材料が、第1の機構部材の永久磁石と協働する。
【0017】
磁化可能な材料は、有利には、ヒステリシス材料であり、このヒステリシス材料の場合、
周囲磁化は、ある程度の対向磁界の存在の際に初めて行われる。相応する永久磁石連結装置は、実際上は、同様にヒステリシス連結装置とも称される。小さな、伝達されるべき力、もしくは回転トルクの場合、上記した実施形態のように、第1の機構部材および第2の機構部材における永久磁石でもって、力、もしくは回転トルクの同期的な伝達が行われる。
最大の伝達されるべき力以下、もしくは最大の伝達されるべき回転トルク以下において、磁化可能な材料は、即ち第1の機構部材の永久磁石によって、所定の方法において、磁化されており、従って、その場合に、機構部材の同期的な運動が行われる。
予め与えられた限界値に対する近接の際に、ヒステリシス材料の周囲磁化、および、相応して連結装置の滑りは始まり、従って、如何なる同期的な運動も、もはや行われない。磁化可能な材料内において、磁界分布は、永続的に予め与えられていないので、通常は、永久磁石連結装置の場合よりも柔軟な滑り特性が観測され、これら永久磁石連結装置の場合、上記のように、同様に第2の機構部材も永久磁石でもって覆われている。
材料の選択によって、周囲磁化損失(ヒステリシス損失)、および従って同様に減速も、熱エネルギーへの変換によって調節され得る。熱エネルギーへの変換によっての減速の場合に、永久磁石連結装置の構成の際に、同様に十分な冷却も行われるべきである。
ヒステリシス材料として、例えば、AlNiCo材料が適しており、その際、このような合金が、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)と並んで、同様に、鉄(Fe)、銅(Cu)並びにチタン(Ti)を含有している。
【0018】
第2の機構部材が、永久磁石と同様に、磁化可能な材料も有していることは可能であり、
このことによって、連結装置の特性は、それぞれの要件に従って、より精確に調節され得る。
【0019】
次に、本発明を単に1つだけの実施例を図示した図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】回転トルク伝達のために設けられた永久磁石連結装置の断面図である。
【図2】図1の一部の詳細図である。
【図3】永久磁石連結装置の一部の透視図である。
【図4】回転トルク伝達のための永久磁石連結装置の選択的な実施形態の図である。
【図5】回転トルク伝達のための永久磁石連結装置の選択的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、内側ローターとして形成された第1の機構部材1と、外側ローターとして形成された第2の機構部材2とを備える、回転トルクを伝達するための永久磁石連結装置が示されており、これら第1の機構部材1と、第2の機構部材2とが、空隙3によって分離されている。
この第1の機構部材1は、永久磁石4aの第1のグループと、これら永久磁石4aの間に設けられた、第2のグループの永久磁石4bとを有している。
【0022】
図2の詳細図内において、永久磁石4aの第1のグループの磁化方向が、それぞれに、境を接する空隙3に対して平行に、外周方向に整向されており、
その際、第1のグループの外周方向に相前後して続くこれら永久磁石4aが、互いに対抗する磁化方向を有していることが見て取れる。
【0023】
上記空隙3を出発点として、第2のグループの永久磁石4bは、空隙3とこれら第2のグループの永久磁石4bとの間に、永久磁石の無い中間スペース5が残り、これら中間スペースが、側方で、第1のグループの永久磁石4aによって境界されているように、これら第1のグループの永久磁石4aに対して後方に位置ずれされている。
第2のグループの永久磁石4bの磁化方向は、それぞれに、個別の中間スペース5の3つの面において、境を接する永久磁石4a、4bが、全て、これら永久磁石のN極でもってか、それとも、これら永久磁石のS極でもって境を接するように、この空隙3に対して垂直に形成されている。
この配設によって、これら中間スペース5において、境を接する永久磁石4a、4bの磁界の重ね合わせによって、増大された磁束密度を有する効果的な極が形成される。このことは、第2のグループの永久磁石4bの、後方に位置ずれされた配設によって、磁束の流入のために使用される面積が最大にされることに原因を帰せられる。高い磁界強度を得るために、および、損失を回避するために、これら中間スペース5は、軟磁性の材料、例えば、積層された電気薄板でもって充填されている。
付加的に、永久磁石4a、4bは、第1の機構部材の支持体6の上に設けられており、この支持体が還流要素を形成している。
【0024】
第2の機構部材2としての外側ローターは、ヒステリシス材料8のセグメントでもって覆われており、その際、これらセグメントが、回転トルクの更なる増大のために、2つの列に重ね合わせて設けられている。
【0025】
図2および3の比較考察から見て取れるように、永久磁石連結装置の、全ての永久磁石4a、4b、およびヒステリシス材料8のセグメントは、直方体形状に形成されている。
第1の機構部材における、本発明に従い設けられた、永久磁石4a、4bの配設により、特別に高い磁束密度、および従って、特別に高い伝達されるべき回転トルクが達成されるにもかかわらず、永久磁石連結装置は、市販のロッド形状の永久磁石4a、4b、もしくはセグメントの使用によって、特別に安価に製造され得る。特に、幾何学的な形状、および永久磁石4a、4bの載置の簡単な変更によって、寸法に関しての、及び/または、達成されるべき回転トルクの適合が行われ得る。
【0026】
更に別の図3から見て取れるように、長手方向に見て、制限無しに、同様に永久磁石4a、4bの複数のリングが設けられることは可能であり、従って、同様にこのことによっても、標準規格構造部材の使用のもとで、更に別の変形の可能性が与えられる。
【0027】
第1の機構部材1と第2の機構部材2との間に、間隙つぼ状体7の形状の分離要素が設けられることは可能であり、この間隙つぼ状体が、機構部材1、2の漏洩の無い分離を可能にする。これら機構部材1、2の、通常設けられる、例えば、ころ軸受でもっての支承部は図示されていない。
【0028】
図1から3までに図示された永久磁石連結装置は、回転トルクを同期的に伝達するために設けられており、その際、これら機構部材1、2内の一方の機構部材が、1つの駆動装置に、これら機構部材1、2内の他方の機構部材が、1つの駆動装置に設けられている。
例えば、内側に位置する第1の機構部材が、回転状態に駆動された場合、
ヒステリシス材料8とのこれら永久磁石4a、4bの相互作用によって、所定の限界回転トルクが到達されるまで、永久磁石4a、4bとヒステリシス材料8との間に作用する力に基づいて、第2の機構部材2は、同期して共に帯同する。
この限界回転トルクに到達した場合、空隙3を渡って伝達する力は、第1の機構部材1の駆動装置において、第2の機構部材2を連行可能とするために、もはや不十分であり、
従って、その場合に、この永久磁石連結装置は滑動する。特に、このような滑動は、所定の組み付け工程の場合に、精確に予め与えられた回転トルクを維持するため、および、同様に加工機械または他の駆動装置の場合に過負荷を回避するために、合目的に使用され得る。
【0029】
内側ローターの外側ローターを有する、回転トルクを伝達するための永久磁石連結装置の場合、回転運動に基づいて、自由な滑動が行われ得る。ここで、その場合に、第2の機構部材2においてヒステリシス材料8を有する実施形態の場合、周囲磁化損失によって、制動が行われることの利点が与えられる。
このヒステリシス材料8の選択、または、空隙の変化によって、その際、制動力は調節され得る。同様に、第2の機構部材2が、永久磁石4cと同様にヒステリシス材料8も備えることの実施形態も可能である。
【0030】
図4は、永久磁石連結装置の選択的な実施形態を示しており、この実施形態の場合、第2の機構部材2としての外側ローターが、同様に永久磁石4cでもって覆われている。
第1の機構部材1としての内側ローターは、
図1から3内において図示されたヒステリシス連結装置の場合のように形成されている。
この第1の機構部材1の、それぞれの、永久磁石の無い中間スペース5に、対抗して磁性を与えられた第2の機構部材2の永久磁石4cが相対して位置しており、従って、この内側ローターと外側ローターのために、外周方向に周って見て、同じ極間隔が与えられる。
図示された実施例において、同様に、第2のグループの永久磁石4cが、直方体形状に形成されており、従って、これら永久磁石4cが、これらの配設において、多角形の輪郭体を形成している。
選択的に、永久磁石4cを、台形形状に形成すること、及び/または、これら永久磁石の、空隙3の方を向く側において、湾曲部を備えることは、存在する構造空間を最適に利用するために同様に可能である。
【0031】
図5は、永久磁石連結装置の更に別の実施形態を示しており、この永久磁石連結装置の場合、第1の機構部材1としての内側ローターが、この図5との関連において、記載されているように形成されている。実際上、第2の機構部材2としての外側ローターの場合、永久磁石4dの第1のグループと、永久磁石4eの第2のグループの配設が行われる。
これら永久磁石4d、4eは、第1の機構部材1の場合と同様に、永久磁石の無い中間スペース5′が形成されるように設けられており、その際、個別の中間スペース5′のそれぞれの3つの面において、囲繞する永久磁石4d、4eは、全てがこれら永久磁石のN極でもってか、またはこれら永久磁石のS極でもって隣接している。これら中間スペース5′は、軟磁性の材料、例えば軟鉄でもって従来の充填されている。
この軟鉄は、積層された電気薄板の様式において存在することは可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 第1の機構部材
2 第2の機構部材
3 空隙
4a、4b、4c、4d、4e 永久磁石
5、5′ 中間スペース
6 支持体
7 間隙つぼ状体
8 ヒステリシス材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石(4a、4b)を有する第1の機構部材(1)と第2の機構部材(2)とを備える、回転トルクを同期的に伝達するための永久磁石連結装置であって、
これら第1の機構部材と第2の機構部材とが、
内側ローターおよび外側ローターとして形成されており、且つ、空隙(3)によって分離されており、この空隙が、これら機構部材(1、2)の間で延在しており、
その際、これら機構部材(1、2)が、同期的な運動を可能にするために、永久磁石(4a、4b)によって第2の機構部材(2)との協働作用状態が形成される力によって連結されており、
その際、この第1の機構部材(1)が、空隙(3)に対して平行に指向する磁化方向を有する、永久磁石(4a)の第1のグループと、および、空隙(3)に対して垂直に指向する磁化方向を有する、永久磁石(4b)の第2のグループとを有しており、
その際、第1の機構部材(1)の、第1のグループと第2のグループとの永久磁石(4a、4b)が、外周方向内において、互い違いに設けられており、および、
その際、外周方向に見て、第1のグループの相前後して続く永久磁石(4a)と、並びに、第2のグループの相前後して続く永久磁石(4b)とが、それぞれに、対抗する磁化方向を有している様式の上記永久磁石連結装置において、
第2のグループの永久磁石(4b)が、空隙(3)を出発点として、
空隙(3)とこれら第2のグループの永久磁石(4b)との間に、永久磁石の無い中間スペース(5)が残り、これら中間スペースが、側方で、第1のグループの永久磁石(4a)によって境界されているように、
これら第1のグループの永久磁石(4a)に対して後方に位置ずれされて設けられていることを特徴とする永久磁石連結装置。
【請求項2】
永久磁石の無い中間スペース(5)内において、充填材料が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石連結装置。
【請求項3】
第1のグループ、及び/または第2のグループの永久磁石(4a、4b)は、直方体形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の永久磁石連結装置。
【請求項4】
永久磁石連結装置の全ての永久磁石(4a、4b、4c)は、直方体形状であることを特徴とする請求項3に記載の永久磁石連結装置。
【請求項5】
第2の機構部材(2)は、永久磁石(4c)を有しており、これら永久磁石が、第1の機構部材(1)の永久磁石(4a、4b)と協働することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の永久磁石連結装置。
【請求項6】
第2の機構部材(2)は、磁化可能な材料を有しており、この材料が、第1の機構部材(1)の永久磁石(4a、4b)と協働することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の永久磁石連結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−513077(P2013−513077A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541512(P2012−541512)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068753
【国際公開番号】WO2011/067344
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(512144586)リングフェーダー・パワー−トランスミッション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (2)
【Fターム(参考)】