説明

汚水浄化装置及び汚水浄化方法

【課題】活性汚泥法とは異なる生物処理法を採用する場合に、濾過膜の閉塞を招くことなく、長期にわたり安定稼動可能な汚水処理装置及び汚水処理方法を提供する。
【解決手段】汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材11に汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理装置10と、前記生物処理水を濾過膜に透過させて、前記生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過装置20と、少なくとも前記濃縮処理水を含む処理水を固液分離する固液分離装置30,40と、前記固液分離装置30,40により固液分離された分離水を前記生物処理装置10に循環させる循環装置6,7を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水浄化装置及び汚水浄化方法に関し、特に、汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に汚水を接触させることによって、汚水に含まれる汚物を分解する生物膜方式の生物処理装置を備えた汚水浄化装置、及び、前記生物処理装置を用いた汚水浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生活排水や工場排水などの汚水を微生物によって生物処理し、処理後の汚水を濾過膜に透過させて浄化する膜分離活性汚泥法(MBR)が知られている。
【0003】
活性汚泥法とは、汚水中の汚物を微生物及びその代謝物、分泌物、死骸などが一体となった懸濁物と接触させることにより、汚物を生化学的に分解する生物処理法であり、懸濁物が汚泥状に見られることから、微生物が活動している汚泥を用いる方法として命名されたものである。
【0004】
膜濾過装置を備えた汚水浄化装置では、生物処理法として主に活性汚泥法が採用されているが、これは、懸濁物(汚泥)が汚水中の微小物や粘性物質なども含めて一体化し、その粒径が膜の細孔径と比較して十分に大きいため、膜の細孔が閉塞する可能性が低いこと、また、一般に生物処理の結果生じる微小物や粘性物質が懸濁物に取り込まれて、汚水の粘性が低くなる傾向があるため、膜表面への懸濁物の付着が起きづらいことなどの特徴により、装置を構築する上で好適と判断されているからである。
【0005】
一方、特許文献1には、大きな設置スペースと長い処理時間が必要になるという活性汚泥法の問題に対して、小スペース化を図ると共に、処理時間を短縮可能な生物処理法を採用した浄水装置が開示されている。
【0006】
詳述すると、微生物を付着させた接触材に汚水を接触させる生物膜法を採用した生物処理装置と、生物処理された汚水を濾過膜に透過させて固液分離を行い、固体分離後の処理水を系外に取り出す膜濾過装置とを、単一の処理槽内に配設した浄水装置である。
【0007】
また、特許文献2には、活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理装置であって、原水に活性炭を添加するための活性炭注入手段と、活性炭が添加された処理水をろ過して、活性炭を捕捉し、ろ過水を得るろ過手段と、ろ過手段により捕捉された活性炭を回収する回収手段と、回収された活性炭のうち少なくとも一部を原水に添加するための循環手段を備えた水処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−323295号公報
【特許文献2】特開2006−102620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、膜分離活性汚泥法では、上述した特徴を備える懸濁物を得る為に、懸濁物の濃度を所定の高い値に維持する必要があり、その結果、膜濾過を行う際に懸濁物自体が水の透過を阻害する原因となり、単位膜面積当たりの透過水量が低い状態で運転せざるを得ず、処理能力を高めるために膜面積を増大させると大幅なコストの上昇を招くという問題があった。
【0010】
また、特許文献1に開示された生物膜法を採用する場合には、設置スペースを小さくできるのであるが、活性汚泥のような懸濁物が発生しないことから、生物処理の結果発生する汚水中の微小物や粘性物質の濃度が次第に高くなり、これら微小物や粘性物質によって膜の細孔が閉塞され、処理能力が低下してしまうという特有の問題があることが判明した。
【0011】
尚、特許文献1に記載された浄水装置では、処理槽底部に沈殿物などの固形物を分離濃縮する濃縮装置が設けられているが、このような濃縮装置を設けた場合でも汚水中の微小物や粘性物質を分離することは困難であり、膜濾過装置で長期に安定して高い透過水量を維持することは困難である。
【0012】
つまり、生物膜法を採用した生物処理装置で浄化された被処理水を膜濾過装置に送水し、濾過膜に透過させて被処理水に含まれる汚物を物理的に分離することにより、さらに上質の被処理水を得ることができるようになるのであるが、被処理水を膜濾過装置内に滞留させる場合には、膜濾過装置内の被処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度が上昇して、膜の細孔が閉塞されて処理能力が低下してしまうのである。
【0013】
さらに、特許文献2には、回転円盤の一部を水に浸漬した回転円盤型ろ過装置により水中の活性炭という固形物を捕捉し、水中の活性炭濃度を一定に保つ構成が開示されているに過ぎず、回転円盤が微生物を担持する接触材となり得ない為に、生物処理機構を併せ持つことができず、また被処理液に含まれる微小物や粘性物質により膜濾過装置で発生する課題も開示されるものではない。
【0014】
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、活性汚泥法とは異なる生物処理法を採用する場合に、濾過膜の閉塞を招くことなく、長期にわたり安定稼動可能な汚水処理装置及び汚水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、本発明による汚水処理装置の第一の特徴構成は、汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理装置と、前記生物処理水を濾過膜に透過させて、前記生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過装置と、少なくとも前記濃縮処理水を含む処理水を固液分離する固液分離装置とを備えている点にある。
【0016】
上述の構成によれば、生物処理装置で処理された生物処理水が膜濾過装置で濾過され、高品質な濾過水が得られる。そして、膜濾過装置で濃縮された汚物を含む生物処理水つまり濃縮処理水は、膜濾過装置内に滞留することなく外部に取り出されるので、膜濾過装置内の生物処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度の上昇が抑制され、その結果、膜表面に接触する粘性物質などによる細孔の閉塞が回避され、汚水処理装置を長期にわたり安定稼動させることができるようになる。さらに、膜濾過装置内で濃縮され、外部に取り出された濃縮処理水は、固液分離装置により固液分離され、分離された固体成分は脱水ケーキとして廃棄される。尚、固液分離装置により分離された液体成分は、必要に応じてさらに浄化処理し、或いは、濾過水より質は低下するものの、それに見合った用途に再利用することができる。
【0017】
同第二の特徴構成は、上述した第一の特徴構成に加えて、前記固液分離装置は、前記膜濾過装置から排出される前記濃縮処理水が供給され、前記濃縮処理水中の固体分散物を凝集させて凝集物を分離する凝集装置と、前記凝集物を固形物と分離水とに分離する脱水機とからなる点にある。
【0018】
上述の構成によれば、膜濾過装置による濾過過程で汚物が濃縮された濃縮処理水が固液分離装置に送られ、固液分離装置では、凝集装置で濃縮処理水中の固体分散物とともに粘性物質が凝集され、凝集物が脱水機により固形物と分離水とに分離される。尚、分離水は、必要に応じてさらに浄化処理し、或いは、濾過水より質は低下するものの、それに見合った用途に再利用することができる。
【0019】
同第三の特徴構成は、汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理装置と、前記生物処理水中の固体分散物を固液分離する固液分離装置と、前記固液分離装置で固液分離された処理水を濾過膜に透過させて、前記生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過装置とを備えている点にある。
【0020】
上述の構成によれば、固液分離装置によって生物処理水に含まれる微小物や粘性物質が分離された処理水が膜濾過装置に供給されるため、膜濾過装置内の生物処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度の上昇が効果的に抑制され、その結果、膜表面に接触する粘性物質などによる細孔の閉塞が回避され、汚水処理装置を長期にわたり安定稼動させることができるようになる。
【0021】
同第四の特徴構成は、上述した第一または第三の特徴構成に加えて、前記固液分離装置は、前記膜濾過装置から排出される前記濃縮処理水と前記生物処理装置から排出される前記生物処理水が供給され、前記濃縮処理水と前記生物処理水の混合水中の固体分散物を固液分離し、前記固液分離装置で固液分離された処理水が前記膜濾過装置に供給される点にある。
【0022】
上述の構成によれば、膜濾過装置による濾過過程で汚物が濃縮された濃縮処理水と生物処理装置から排出される生物処理水が固液分離装置に送られ、固液分離装置では、混合水中の固体分散物とともに粘性物質が固形物として分離液とに分離される。そして、分離液が膜濾過装置に供給されるので、濾過膜の閉塞を招く虞のある微小物や粘性物質の濃度が低く抑えられ、膜濾過装置での高い濾過性能を長期にわたり維持することができる。尚、分離液は、必要に応じてさらに浄化処理し、或いは、濾過水より質は低下するものの、それに見合った用途に再利用することができる。
【0023】
同第五の特徴構成は、上述した第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記固液分離装置により固液分離された分離水を前記生物処理装置に循環させる循環装置を備えている点にある。
【0024】
上述の構成によれば、固液分離装置により生物処理水に含まれる微小物や粘性物質が比較的粒径が大きな固形物とともに分離除去された後に循環装置を介して生物処理装置に循環されるので、生物処理装置で高度な生物処理を実現しながらも、生物処理装置から出力される生物処理水に含まれる微小物や粘性物質濃度を低く抑えることができるようになる。
【0025】
同第六の特徴構成は、上述した第五の特徴構成に加えて、前記膜濾過装置から排出される前記濃縮処理水を前記生物処理装置に循環させる循環装置を備えている点にある。
【0026】
上述の構成によれば、濾過膜の閉塞を効果的に回避しながらも、膜濾過装置内で濃縮され、排出された濃縮処理水が循環装置を介して生物処理装置に循環されるので、膜表面に接触する微小物や粘性物質による細孔の閉塞を回避して、汚水処理装置を長期にわたり安定稼動させながらも、被処理水の全量を膜濾過装置を介して高品質な被処理水として浄化することができる。
【0027】
同第七の特徴構成は、上述した第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、前記生物処理水、または前記固液分離された処理水による前記膜濾過装置での膜詰り指標を計測する計測装置と、前記計測装置により計測された膜詰り指標に基づいて、膜詰まりを防止する装置とを備えている点にある。
【0028】
計測装置により計測された膜詰り指標に基づいて、膜詰まりを防止する装置によって膜詰りの発生が回避されるので、汚水処理装置を長期にわたり安定稼動させることができるようになる。
【0029】
同第八の特徴構成は、上述した第五または第六の特徴構成に加えて、前記生物処理水、または前記固液分離された処理水による前記膜濾過装置での膜詰り指標を計測する計測装置と、前記計測装置により計測された膜詰り指標に基づいて、前記循環装置による循環水量を調整する制御装置とを備えている点にある。
【0030】
計測装置により計測された膜詰り指標に基づいて、循環装置による生物処理装置への循環水量が制御装置により調整されるので、生物処理装置に送水される汚水の性状が変動する場合であっても、生物処理装置から膜濾過装置に送水される被処理水の微小物や粘性物質の濃度が調整できるようになる。その結果、膜表面に接触する粘性物質などによる細孔の閉塞が適正に回避され、汚水処理装置を長期にわたり安定稼動させることができるようになる。
【0031】
本発明による汚水浄化方法の第一の特徴構成は、汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理工程と、前記生物処理水を濾過膜に透過させて、前記生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過工程と、少なくとも前記濃縮処理水を含む処理水を固液分離する固液分離工程とを備えている点にある。
【0032】
同第二の特徴構成は、汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理工程と、少なくとも前記生物処理水を含む処理水を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離工程での分離液を濾過膜に透過させて、前記分離液に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過工程とを備えている点にある。
【発明の効果】
【0033】
以上説明した通り、本発明によれば、活性汚泥法とは異なる生物処理法を採用する場合に、濾過膜の閉塞を招くことなく、長期にわたり安定稼動可能な汚水処理装置及び汚水処理方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態による汚水処理装置のブロック構成図
【図2】生物処理装置の一例である回転円板式浄水装置の斜視図
【図3】本発明の第2実施形態を示し、被処理水の循環量を調整可能な制御装置を備えた汚水処理装置のブロック構成図
【図4】本発明の第3実施形態を示し、被処理水循環装置を備えていない汚水処理装置のブロック構成図
【図5】本発明の第4実施形態を示す汚水処理装置のブロック構成図
【図6】本発明の第5実施形態を示し、内圧濾過方式を採用した膜分離装置を備えた汚水処理装置のブロック構成図
【図7】本発明の第6実施形態を示し、内圧濾過方式を採用した膜分離装置を備えた汚水処理装置のブロック構成図
【図8】比較例を示す汚水処理装置のブロック構成図
【図9】本発明の第4実施形態の変形例を示す汚水処理装置のブロック構成図
【図10】本発明の第7実施形態を示す汚水処理装置のブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の第1実施形態による汚水処理装置及び汚水処理方法を説明する。
【0036】
図1に示すように、汚水処理装置1は、生活排水や工場排水などの汚水(原水)に含まれる汚物を分解処理して、汚水を生物処理水とする生物処理装置10と、生物処理装置10で汚物が分解処理された生物処理水を濾過膜に透過させて、この生物処理水を汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに分離する膜濾過装置20と、この濃縮処理水を固液分離する固液分離装置30,40と、固液分離装置30,40により固液分離された分離水を生物処理装置10に循環させる循環装置6,7を備えている。
【0037】
生物処理装置10と膜濾過装置20と固液分離装置30,40は、それぞれ異なる処理ブロックとして分離して構成されている。
【0038】
生物処理装置10は、微生物が担持された基材に汚水を接触させて、汚水に含まれる汚物を生化学的に分解して浄化する生物膜法を採用した装置である。
【0039】
図2には、生物膜法を採用した生物処理装置10の一例である回転円板式の生物処理装置が示されている。当該生物処理装置10は、コンクリート製または金属製の処理槽本体13と、処理槽本体13内部に装備された基材としての複数枚の回転円板体11と、処理槽本体13の上部を覆うように処理槽本体13に着脱可能に設けられた樹脂製または金属製の蓋体14を備えている。
【0040】
処理槽本体13の一側面に汚水(原水)の注水管15と接続されるインレットが設けられ、他側面に処理によって得られる生物処理水を排水するアウトレットが設けられている。アウトレットは排水管4に接続されている。処理槽本体13内には、汚水が半分程度満たされている。供給される汚水は、汚物を含んでいる。汚物には、例えば、屎尿や洗剤由来の界面活性剤などが挙げられる。
【0041】
回転円板体11は、高密度ポリエチレン、ポリスチレンなどからなる、板材を円板に成形したものや繊維がスチールウール状に絡み合って円板状に成形されたものである。各回転円板体11は、その中心部が角柱状の回転軸12に嵌入固定され、処理槽本体13の長手方向に沿って配置されている。回転軸12は処理槽本体13の両端部で軸支され、一端側が電磁モータ16の出力軸と連結されている。
【0042】
処理槽本体13内では、回転円板体11は40%から70%ほど汚水に浸漬されている。また回転円板体11の表面や内部には汚物、苔、藻または泥が付着するとともに、そこに複数種類の微生物が繁殖し生息している。これによって回転円板体11は微生物を担持している。もちろん、処理槽本体13内に貯められた汚水中にも微生物は生息している。微生物としては、細菌、菌類、微細藻類、原生動物および微小後生動物などが挙げられる。また、原生動物としては、鞭毛虫類、肉質虫類および繊毛虫類などが挙げられ。微小後生動物としては、輪虫類、線虫類、貧毛類などが挙げられる。
【0043】
回転円板体11が、電磁モータ16により低速度で回転駆動されると、回転円板体11に付着繁殖した微生物が汚水と接触して、汚水に含まれる有機物などの汚物が生化学的に分解される。これらの微生物は、回転円板体11の回転に伴って、処理槽内上部の空気中から酸素を吸収するとともに、汚水中から汚物などの汚濁物質を吸収して好気性分解する。これによって、ある程度汚物が分解処理され、汚水よりもきれいになった生物処理水が生成される。活性が衰えた微生物は回転円板体11の回転によるせん断力で泥や藻などと一緒に回転円板体11から脱落して、生物処理水とともに排水管4から排出される。
【0044】
図1に戻り、送水ポンプ3により汚水発生源からの汚水が送水管2を介して処理槽本体13に送水されると、上述した回転円板体11に担持された微生物により汚水に含まれる有機物などが生物処理され、処理後の生物処理水が排水管4から膜濾過装置20に送水される。尚、汚水発生源からの汚水量が変動する場合には、送水管2の上流側に原水を貯留する汚水貯留槽を備え、送水ポンプ3により汚水貯留槽に貯留された汚水を処理槽本体13に定量送水するように構成してもよい。
【0045】
膜濾過装置20は、膜外面から膜内面に対して濾過を行う、いわゆる外圧濾過方式の中空糸膜21と、濾過水を吸引する吸引ポンプ23と、中空糸膜21の外表面をクリーニングするための曝気装置25と、曝気装置25にエアーを供給するブロワー24と、中空糸膜21および曝気装置25を収める筐体とを備えている。
【0046】
筐体は容器状であり、一側面に排水管4と接続するインレットが設けられ、他側面に送水管5に接続するアウトレットが設けられている。汚物を含む生物処理水は、排水管4を経て、筐体内に送られる。ここで、生物処理水に含まれる汚物には、生物処理装置10で分解しきれなかった汚物や回転円板11から剥がれ落ちた泥や微生物などが含まれる。
【0047】
中空糸膜21は、公知である膜モジュールの構成部材である。中空糸膜21は、ポリフッ化ビニリデン製の筒体(外径1mm、内径0.6mm)で、側壁にはおよそ口径0.02〜0.4μmの細孔が多数開口している。膜モジュールは、多数の中空糸膜を束ねるヘッダとスカートをさらに備える。スカートは中空糸膜の一端を封止している。ヘッダはろ過水を取り出すアウトレットが設けられており、アウトレットは各中空糸膜の内部空間に連通している。膜モジュールは、生物処理水が満たされた膜濾過装置20の筐体内に納められ、生物処理水が各中空糸膜の外面に接触している。
【0048】
膜濾過装置20に送水された生物処理水は、吸引ポンプ23により中空糸膜21を介して吸引濾過されて引き抜かれ、ヘッダのアウトレットから高品質に浄化された濾過水すなわち処理水が取り出される。
【0049】
固液分離装置は、凝集沈殿槽30と脱水機40を備える。凝集沈殿槽30は、槽内に貯められた液体を攪拌するスクリューとスクリューを回転させるモータとからなる攪拌機構31を備える。また上部には、送水管5と接続されるインレットが設けられている。膜濾過装置20で濾過されずに汚物が濃縮された生物処理水すなわち濃縮処理水は送水管5を経て凝集装置としての凝集沈殿槽30に送られる。
【0050】
凝集沈殿槽30に送水された濃縮処理水には硫酸バンドやポリ塩化アルミニウムなどの無機系凝集剤や、ポリアクリルアミド系の高分子凝集剤などが適当なタイミングで添加され、攪拌機構31により攪拌された後に沈殿処理される。これによって凝縮した沈殿物は脱水機40に投入される。
【0051】
脱水機40は、沈殿物を固形物すなわち脱水ケーキと分離水とに固液分離する。得られた脱水ケーキは廃棄される。分離水は、送水ポンプ7と循環用送水管6とからなる循環装置により送水管2に循環供給される。循環用送水管6の一端は、脱水機40の排水口に接続し、他端は送水管2に接続している。
【0052】
脱水機40として、遠心脱水機、スクリュープレス式脱水機、ベルトプレス式脱水機、フィルタプレス式脱水機などを用いることができる。
【0053】
生物処理装置10で生物処理された生物処理水には、微生物による代謝作用などにより生成された微小な固形物やアルギン酸塩などの粘性物質が含まれる。このような生物処理水を、処理系の最終段として膜濾過装置20に供給して濾過処理する場合には、濾過処理が進行するにつれて膜濾過装置20内の生物処理水の微小物や粘性物質の濃度が上昇し、膜表面に粘性物質などが接触して濾過性能が著しく低下するようになる。
【0054】
そこで、本実施形態では、膜濾過装置20に供給され、濃縮された生物処理水を膜濾過装置20から排水することにより、膜濾過装置20内での生物処理水の微小物や粘性物質の濃度の上昇を回避し、安定的な濾過性能を確保できるように構成されている。
【0055】
膜濾過装置20で濃縮された生物処理水に含まれる微小な固形物や粘性物質は、凝集沈殿槽30で沈殿され、脱水機40により固形成分として分離除去されるため、循環装置6,7により生物処理装置10に循環供給される分離水に含まれる微小な固形物や粘性物質の濃度は極めて低く、生物処理装置10から膜濾過装置20に送水される生物処理水の微小な固形物や粘性物質の濃度が低い状態に維持され、その結果、安定的な濾過性能が維持される。なお、固液分離装置30,40における粘性物質等の除去量が、生物処理装置10における粘性物質等の増加量以上であればよい。
【0056】
微生物が担持された基材を用いる生物処理方法は活性汚泥法と比較し、環境変化の影響が少ないこと、脱水ケーキの発生量が少ないことなどが特徴である。これは、基材に微生物が固定していることで微生物の流出が起きにくく、それにともない微生物の食物連鎖が長くなり(すなわち、さまざまな微生物が多数生息し)、汚物の分解が促進されることが理由である。しかし微生物を担持するために微生物由来の粘性物質を用いており、これが生物処理水に溶け出すことによって膜濾過に悪影響を与える原因となる。
【0057】
そこで、本発明による汚水浄化方法は、汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ汚物を分解することによって、汚水から生物処理水を得る生物処理工程と、生物処理水を濾過膜に透過させて、生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過工程と、少なくとも濃縮処理水を含む処理水を固液分離する固液分離工程とを備えている。さらに、固液分離工程で固液分離された分離水を生物処理工程に循環させる循環工程を備えることが好ましい。
【0058】
図8には、本発明による汚水処理装置1との比較例が示されている。生物処理装置10と膜濾過装置20との間に固液分離装置30,40が配置され、凝集沈殿槽30の上澄液(生物処理水)が、処理系の最終段として膜濾過装置20に供給される点が相違点である。比較例による汚水処理装置1´では、膜濾過装置20で濃縮された生物処理水から粘性物質などの汚物を排出する機構を持ち合わせない為、膜濾過装置20に滞留する生物処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度が上昇し、膜濾過の透過水量を高く維持することができない。
【0059】
図3には、本発明による汚水処理装置1の第2実施形態が示されている。第1実施形態の汚水処理装置に加えて、生物処理装置10で処理された生物処理水による膜濾過装置20での膜詰り指標を計測する計測装置51と、計測装置51により計測された膜詰り指標に基づいて、循環装置による循環水量を調整する制御装置50とが設けられている。
【0060】
計測された膜詰り指標が所定範囲に維持されるように、制御装置50により送水ポンプ7による分離水の循環量が調整されるため、汚水の発生量や性状が変動する場合であっても、生物処理装置10から膜濾過装置20に送水される生物処理水に含まれる粘性物質等の濃度を低い状態に維持することができるようになる。
【0061】
例えば、膜詰り指標を計測する計測装置51として、ローターの回転速度を一定または可変に制御し、トルクを検出する回転数制御方式による粘度計、ローターをトルク制御で回転させ、どの程度回転するか、またどの程度微小変形するかを検出する応力制御方式による粘度計を用いることができる。
【0062】
また、計測装置51として、生物処理水中の微小物の濃度を計測する濃度計を用いることも可能である。例えば、紫外線等の光、電磁波、超音波などを用いて固形物濃度を計測する濃度計を用いることができる。濾過膜の膜詰りを発生させる微小物が特定の粒度分布を有するものである場合には、光の散乱現象を利用した粒度分布計測装置を用いることができる。
【0063】
生物処理水中の粘性物質の濃度が微小物の濃度と相関を有する場合には、粘度計に替えて被処理水中の微小物の濃度を計測する濃度計を用いればよい。
【0064】
何れの場合でも、生物処理水に含まれる微小物や粘性物質による膜濾過装置20での膜詰り指標を計測可能な計測装置51であればよい。
【0065】
上述の制御装置50は、計測装置51により計測された膜詰り指標に基づいて、膜詰まりを防止する装置として機能する。膜詰まりを防止する装置として、上述の制御装置50に替えて、計測装置51により計測された膜詰り指標に基づいて、膜詰り指標が所定の閾値よりも高くなると、膜濾過装置20に滞留する濃縮処理水の全量または一定量を間歇的に固液分離装置30,40に放流する制御装置を備えてもよい。
【0066】
濾過が進むほどに膜濾過装置20内に滞留する濃縮処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度が高くなるため、濃縮処理水の全量または一定量を間歇的に固液分離装置30,40に放流することによって、膜濾過装置20に滞留する濃縮処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度を低下させることで、膜詰まりを防止することができる。
【0067】
膜詰まりを防止する装置の具体構成は、上述したものに限定されるものではなく、膜詰り指標に基づいて、膜詰り指標が所定の閾値よりも高くなると、生物処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度を低下させる希釈水を生物処理装置10の下流側または配水管4に供給する制御装置を備えてもよい。希釈水として凝集沈殿槽30の上澄液や脱水機40の分離水を用いることもできる。
【0068】
図4には、本発明による汚水処理装置1の第3実施形態が示されている。上述した汚水処理装置1は、図1に示したように、膜濾過装置20から濃縮処理水を取り出して固液分離する固液分離装置30,40と、固液分離装置30,40により固液分離された被処理水を生物処理装置10に循環させる循環装置6,7を備えた構成であるが、循環装置6,7を備えずに、凝集沈殿槽30で粘性物質や微小物を凝集沈殿させた上澄液(生物処理水)を再利用水として活用する例である。尚、図4には、脱水機40が示されていないが、脱水機40を備えるものであってもよい。
【0069】
凝集沈殿槽30の上澄液の水質は、膜濾過装置20により濾過された被処理水に比較して低下するが、河川への放流が可能な程度には浄化されているため、散水用の水源などの所定の用途に再利用することができる。
【0070】
図5には本発明による汚水処理装置1の第4実施形態が示されている。この実施形態では、生物処理装置10と膜濾過装置20との間に固液分離装置30,40を配置している。生物処理装置10から排出される生物処理水は排水管4を経て凝集沈殿槽30に供給される。凝集沈殿槽30では上述したように、粘性物質や微小物が沈殿し、凝集沈殿槽30の上澄液(生物処理水)を送水管5を介して膜濾過装置20に供給する。この構成を採用する場合には、膜濾過装置20で濃縮された濃縮処理水を生物処理装置10に返送する返送管9aを設けることが好ましい。
【0071】
膜濾過装置20で濃縮され、粘性物質等の濃度が高い生物処理水は、返送管9aを介して生物処理装置10に返送され、生物処理装置10で生物処理された生物処理水と混合されて、濃縮処理水が間接的に固液分離装置30,40に送水される。つまり、少なくとも濃縮処理水を含む処理水が固液分離装置30,40で固液分離される。尚、膜濾過装置20の前段に固液分離装置30,40があるため、ここでほとんどの粘性物質等は除去される。よって、上澄液(生物処理水)に含まれる粘性物質等の濃度はそもそも低く、膜濾過装置20で上澄液が濃縮されるとはいえ、その濃度は絶対的には低い。したがって、膜濾過装置20で濃縮された上澄液を返送管9aにて生物処理装置10に返送しても、それによって粘性物質等の濃度が上昇することはない。
【0072】
凝集沈殿槽30及び脱水機40での固液分離処理によって粘性物質の濃度が低下した分離水が循環装置6,7により生物処理装置10に循環供給される。尚、膜濾過装置20で濃縮された濃縮処理水を返送管9aを介して生物処理装置10の下流側に返送する経路に替えて、図5中、破線で示すように、濃縮処理水を生物処理装置10の上流側に返送する返送管9bを備えてもよい。具体的には、返送管9bと循環用送水管6とを接続し、循環用送水管6の一端を送水管2に接続すればよい。
【0073】
このように構成する場合であっても、膜濾過装置20に送水される生物処理水中の粘性物質等の濃度は低い状態に維持され、その結果、安定的な濾過性能が維持される。
【0074】
さらに本実施形態では、濃縮処理水が生物処理装置10を介さずに直接固液分離装置30,40に送水されるように構成することも可能である。図9に示すように、膜濾過装置20に滞留する生物処理水を前段の凝集沈殿槽30に循環させる循環装置60,70を備えることにより、膜濾過装置20に供給される生物処理水に含まれる微小物や粘性物質の濃度の上昇を効果的に抑制することができるようになる。
【0075】
つまり、汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に汚水を接触させ汚物を分解することによって、汚水から生物処理水を得る生物処理工程と、少なくとも生物処理工程で得られた生物処理水を含む処理水を固液分離する固液分離工程と、固液分離工程での上澄液を濾過膜に透過させて、上澄液に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過工程とを備えている汚水浄化方法が実現される。
【0076】
図6には、本発明による汚水処理装置1の第5実施形態が示されている。本実施形態では、膜内面から膜外面に対して濾過を行う、いわゆる内圧濾過方式の中空糸膜21を備えた膜濾過装置20を採用する例が示されている。
【0077】
膜濾過装置20は、筒状の筐体の一側面に排水管4と接続するインレットが設けられ、他側面に送水管5に接続するアウトレットが設けられている。膜モジュールは、多数の筒状の中空糸膜を束ねる一対のヘッダを両端に備え、インレットから供給される汚物を含む生物処理水が一方のヘッダから中空糸膜内に導かれ、他方のヘッダからアウトレットを介して送水管5に排水される。筐体の側部に形成された排水管に吸引ポンプ23が接続されている。
【0078】
生物処理装置10で生物処理された生物処理水が送水管4に備えた送水ポンプ8により膜濾過装置20の中空糸膜21の内面側に圧送され、吸引ポンプ23により膜内面から膜外面に吸引濾過された濾過水が取り出される。
【0079】
中空糸膜21の内面を通過した濃縮処理水は、排水管5を介して生物処理装置10の下流側に返送され、生物処理装置10で生物処理された生物処理水とともに固液分離装置30,40に送水されて固液分離される。
【0080】
脱水機40により固液分離され、粘性物質の濃度が低下した分離水が、循環装置6,7により生物処理装置10の上流側に循環供給されるので、膜濾過装置20に送水される生物処理水に含まれる粘性物質等の濃度は低い状態に抑制される。
【0081】
内圧濾過方式の膜濾過装置20を採用する場合には、膜洗浄用の曝気装置25やブロワー24を設ける必要が無いため、汚水処理装置1の更なる省スペース化、低コスト化を図ることができる。
【0082】
図7には、本発明による汚水処理装置1の第6実施形態が示されている。本実施形態では、内圧濾過方式の中空糸膜21を備えた膜濾過装置20を採用する他の例が示されている。図6と同様に、生物処理装置10で生物処理された生物処理水が送水管4に備えた送水ポンプ8により膜濾過装置20の中空糸膜21の内面側に圧送され、吸引ポンプ23により膜内面から膜外面に吸引濾過された濾過水が取り出される。
【0083】
中空糸膜21の内面を通過した濃縮処理水は、排水管5を介して固液分離装置30,40に送水され、固液分離された分離水が循環装置6,7により生物処理装置10の上流側に循環供給される。従って、この場合にも、膜濾過装置20に送水される生物処理水に含まれる粘性物質等の濃度は低い状態に抑制される。
【0084】
上述した実施形態では、固液分離装置として凝集沈殿槽30と脱水機40を備え、脱水機40で固液分離された分離水を循環装置6,7により生物処理装置10に循環供給する構成を説明したが、凝集沈殿槽30で生物処理水に含まれる粘性物質等はある程度凝集沈殿されているため、脱水機40からの分離水に加えて、凝集沈殿槽30の上澄液を循環装置6,7により生物処理装置10に循環供給することも可能である。また、脱水機40を備えることなく、凝集沈殿槽30の上澄液を循環装置6,7により生物処理装置10に循環供給することも可能である。この場合にも、上澄液が固液分離装置により固液分離された分離水に含まれる概念であることは言うまでもない。
【0085】
図10には、本発明による汚水処理装置1の第7実施形態が示されている。本実施形態も、内圧濾過方式の中空糸膜21を備えた膜濾過装置20を採用する場合に好適な例である。生物処理装置10で生物処理された生物処理水が送水管4を介して凝集沈殿槽30に排出され、凝集沈殿槽30の上澄液が送水ポンプ8により膜濾過装置20の中空糸膜21の内面側に圧送され、吸引ポンプ23により膜内面から膜外面に吸引濾過された濾過水が取り出される。
【0086】
中空糸膜21の内面を通過した濃縮処理水は、排水管5を介して凝集沈殿槽30に循環され、脱水装置40で分離された分離水が循環装置6,7により生物処理装置10の上流側に循環供給される。
【0087】
上述した実施形態では、処理槽本体13内で汚水に40%から70%が浸漬され、低速度で回転する回転円板体11に担持された微生物により汚水が好気性処理される回転円板式の生物処理装置10を備えた汚水処理装置1を説明したが、当該回転円板式の生物処理装置10の前段に、処理槽本体内で汚水に100%浸漬され、回転円板体11に担持された嫌気性微生物により汚水が嫌気性処理される別途の回転円板式の生物処理装置を備え、前段の生物処理装置で汚水を嫌気性処理し、後段の生物処理装置で汚水を好気性処理する二連の生物処理装置を備えてもよい。
【0088】
二連の生物処理装置を備える場合、固液分離装置30,40で脱水ケーキが分離された分離水が、循環装置により好気性処理される生物処理装置10に循環供給されることが好ましい。
【0089】
上述した何れの実施形態も、汚水処理装置1として回転円板式の生物処理装置10を採用した例を説明したが、本発明による汚水処理装置1に採用される生物処理装置は回転円板式の生物処理装置10に限るものではなく、活性汚泥法におけるフロックの役割を、接触材に付着形成した生物膜により機能させる生物膜法を採用する生物処理装置であれば、他の方式を採用することも可能である。例えば、接触曝気法、包括固定化法、自己造粒法などである。
【0090】
上述した何れの実施形態も、汚水処理装置1に中空糸膜を備えた膜濾過装置20を採用した例を説明したが、本発明による汚水処理装置1に採用される膜濾過装置20に用いる膜形状は中空糸膜以外にスパイラル膜、チューブラー膜、平膜などの他の形状の濾過膜を採用することも可能である。また、用途によって精密濾過膜、限外濾過膜など膜の種類も適宜選択可能である。さらに、極めて純度の高い濾過水を得る必要がある場合には逆浸透膜を用いることも可能である。また、濾過方式として外圧式、内圧式など濾過方向も適宜選択可能であり、吸引ポンプを省略することも可能である。
【0091】
尚、上述した各実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明による作用効果を奏する範囲において生物処理装置、膜濾過装置、固液分離装置の容量、各装置を構成する部材の材質や各装置の配置など具体的構成は適宜変更設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0092】
1:汚水浄化装置
6:循環装置(循環用送水管)
7:循環装置(送水ポンプ)
10:生物処理装置
11:回転円板体
12:回転軸
13:処理槽本体
14:蓋体
15:注水管
16:電磁モータ
20:膜濾過装置
30:固液分離装置(凝集沈殿槽)
40:固液分離装置(脱水機)
50:制御装置
51:計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理装置と、前記生物処理水を濾過膜に透過させて、前記生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過装置と、少なくとも前記濃縮処理水を含む処理水を固液分離する固液分離装置とを備えている汚水浄化装置。
【請求項2】
前記固液分離装置は、前記膜濾過装置から排出される前記濃縮処理水が供給され、前記濃縮処理水中の固体分散物を凝集させて凝集物を分離する凝集装置と、前記凝集物を固形物と分離水とに分離する脱水機とからなる請求項1記載の汚水浄化装置。
【請求項3】
汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理装置と、前記生物処理水中の固体分散物を固液分離する固液分離装置と、前記固液分離装置で固液分離された処理水を濾過膜に透過させて、前記生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過装置とを備えている汚水浄化装置。
【請求項4】
前記固液分離装置は、前記膜濾過装置から排出される前記濃縮処理水と前記生物処理装置から排出される前記生物処理水が供給され、前記濃縮処理水と前記生物処理水の混合水中の固体分散物を固液分離し、前記固液分離装置で固液分離された処理水が前記膜濾過装置に供給される請求項1または3記載の汚水浄化装置。
【請求項5】
前記固液分離装置により固液分離された分離水を前記生物処理装置に循環させる循環装置を備えている請求項1から4の何れかに記載の汚水浄化装置。
【請求項6】
前記膜濾過装置から排出される前記濃縮処理水を前記生物処理装置に循環させる循環装置を備えている請求項5に記載の汚水浄化装置。
【請求項7】
前記生物処理水、または前記固液分離された処理水による前記膜濾過装置での膜詰り指標を計測する計測装置と、前記計測装置により計測された膜詰り指標に基づいて、膜詰まりを防止する装置とを備えている請求項1から6の何れかに記載の汚水浄化装置。
【請求項8】
前記生物処理水、または前記固液分離された処理水による前記膜濾過装置での膜詰り指標を計測する計測装置と、前記計測装置により計測された膜詰り指標に基づいて、前記循環装置による循環水量を調整する制御装置とを備えている請求項5または6記載の汚水浄化装置。
【請求項9】
汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理工程と、前記生物処理水を濾過膜に透過させて、前記生物処理水に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過工程と、少なくとも前記濃縮処理水を含む処理水を固液分離する固液分離工程とを備えている汚水浄化方法。
【請求項10】
汚水に含まれる汚物を分解する微生物が担持された基材に前記汚水を接触させ前記汚物を分解することによって、前記汚水から生物処理水を得る生物処理工程と、少なくとも前記生物処理水を含む処理水を固液分離する固液分離工程と、前記固液分離工程での上澄液を濾過膜に透過させて、前記上澄液に含まれる汚物を含む濃縮処理水と濾過水とに物理的に分離する膜濾過工程とを備えている汚水浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−140017(P2011−140017A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250126(P2010−250126)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】