説明

汚泥乾燥装置及び汚泥乾燥方法

【課題】天日により、汚泥を効率的に乾燥することができる汚泥乾燥装置及び汚泥乾燥方法を提供する。
【解決手段】太陽光が透過するように構成された乾燥室10内に、汚泥を載置して乾燥させる汚泥載置部11と、この汚泥載置部11に汚泥を供給する汚泥供給手段12と、乾燥室10内で送風を行う送風手段14と、乾燥された汚泥を汚泥載置部11から受け取って乾燥室外に搬送する汚泥排出手段15とを備え、送風手段14は、汚泥載置部11の汚泥載置面11aに平行な流れの空気を送風するように構成されている汚泥乾燥装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天日により汚泥を乾燥させる汚泥乾燥装置及び汚泥乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天日を利用した乾燥方法は、資源などの消費量を大幅に低減できるので、経済的に優れるといった利点がある。
【0003】
天日を利用した汚泥の乾燥は、従来より、図11に示すような、コンクリート槽1の傾斜底部側に形成された砂利層2と、この砂利層2の上側に形成された粗砂層3とにより構成される排水層4を備える天日乾燥床を用いて行っている。天日乾燥床の排水層4上面に汚泥を供給された該汚泥中の水分は、排水層4で濾し取られると共に、天日により蒸発させ、汚泥を乾燥している。なお、排水層4で濾し取られた水分は、排水路5から系外へ排水される。そして、乾燥後は、汚泥を排水層4上面から掻き取って乾燥汚泥を回収している。
【0004】
しかしながら、天日乾燥は、乾燥効率が悪く、乾燥までに長時間要するものであった。そのため、天日乾燥床として大型なものや、大量に使用する必要があり、設置スペースに広大な敷地面積が必要となる問題があった。
【0005】
天日乾燥による汚泥の乾燥効率を向上させるにあたり、例えば下記特許文献1には、被乾燥物をネットコンベア装置に載せて極低速搬送させる間に、送風と天日により乾燥させる装置であって、少なくとも天井壁部と、南面となる側壁部とが金属板で構成され、前記ネットコンベア装置を、ほぼ密閉状態で覆うための乾燥ボックスと、前記ネットコンベア装置における搬送ネットの上方走行部の上下に配設され、該ネットコンベア装置によって搬送される被乾燥物に上下気流を送るための各送風ファンと、前記各送風ファンから送られ、被乾燥物に当たって反転する気流を両側方に流出させるための上部遮蔽板とを備え、前記ネットコンベア装置に載せられた被乾燥物に当たり、前記上部遮蔽板によって、その両側方に流出した気流が、乾燥ボックスの各壁部と接触する間に熱交換しながら循環気流を生じさせ、前記循環気流を再度、上下の各送風ファンの気流に取り入れて乾燥を行うことを特徴とする乾燥装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−333271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
汚泥の表面付近は、汚泥から蒸発した水分によって湿気がこもりやすい。湿気が汚泥近傍に滞留している状態が長期間続くと、汚泥の乾燥効率が低下する。
【0007】
上記特許文献1に開示された乾燥装置は、乾燥ボックスを構成する各壁部の内側近傍に存する空気を、天日の伝導伝熱によって加温し、この加温された空気を汚泥に吹き付けて乾燥するというものである。しかしながら、上記特許文献1では、乾燥ボックス内の空気を循環して吹き付けるようにしているので、汚泥に吹き付ける空気は、徐々に湿気が多くなり、乾燥効率が経時低下し易かった。また、上記特許文献1には、汚泥表面付近から湿気を流去して、汚泥の乾燥効率を向上させるといった技術的思想については何ら開示されていない。
【0008】
よって、本発明の目的は、天日により、汚泥を効率的に乾燥することができる汚泥乾燥装置及び汚泥乾燥方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の汚泥乾燥装置は、太陽光が透過するように構成された乾燥室内に、汚泥を載置して乾燥させる汚泥載置部と、この汚泥載置部に汚泥を供給する汚泥供給手段と、前記乾燥室内で送風を行う送風手段と、乾燥された汚泥を前記汚泥載置部から受け取って乾燥室外に搬送する汚泥排出手段とを備え、前記送風手段は、前記汚泥載置部の汚泥載置面に平行な流れの空気を送風するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の汚泥乾燥装置によれば、乾燥室内の汚泥載置部に載置された汚泥は、太陽光による直射や、太陽光によって乾燥室内の空気が加温されることによって乾燥が行われる。そして、送風手段によって、汚泥載置部の汚泥載置面に平行な流れの空気を乾燥室内に送風するので、汚泥から蒸発した湿気は、汚泥の近傍から流去される。このため、汚泥の近傍には湿気がこもりにくくなり、汚泥を速やかに乾燥することができる。
【0011】
本発明の汚泥乾燥装置の前記汚泥載置部は、前記乾燥室内に設定された循環経路に沿って移動するように構成されていることが好ましい。この態様によれば、汚泥を連続して乾燥することができる。
【0012】
本発明の汚泥乾燥装置の前記汚泥載置部の汚泥載置面は、通気性を有する構造とされていることが好ましい。この態様によれば、汚泥中の水分が、汚泥載置面側からも蒸散するので、乾燥時間をより短縮できる。
【0013】
本発明の汚泥乾燥装置の前記送風手段は、前記汚泥載置部の汚泥載置面に平行な流れで、かつ、載置された汚泥の上面及び/又は下面に沿って風の流れを形成するように構成されていることが好ましい。この態様によれば、汚泥載置部に載置された汚泥近傍に湿気がよりこもりにくくなる。
【0014】
一方、本発明の汚泥乾燥方法は、通気性を有する底面を有する汚泥載置部に、廃棄すべき汚泥を所定の厚さとなるように載置して、太陽光が当たると共に雨が当たらない環境下に配置し、前記汚泥載置部の汚泥載置面に平行な流れで、かつ、載置された汚泥の上面及び/又は下面に沿って送風することにより、蒸発した湿気を除きつつ乾燥を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の汚泥乾燥方法によれば、汚泥から蒸発した湿気を汚泥近傍から除きつつ、太陽光の直射や太陽光によって加温された空気によって汚泥の乾燥を行うので、汚泥の乾燥効率が経時低下しにくくなり、汚泥を速やかに乾燥することができる。
【0016】
本発明の汚泥乾燥方法は、投入する汚泥の含水率と、載置された汚泥に当たる日照状態と、雰囲気温度とを求め、これらの値から汚泥載置部に載置された汚泥の乾燥予測時間を算出し、その乾燥時間に達するまで乾燥を行うか、もしくは、投入する汚泥の含水率と、載置された汚泥に当たる日照状態とを求め、これらの値から所定時間内で乾燥を終了させるのに必要な雰囲気温度を算出し、その雰囲気温度で前記所定時間に達するまで乾燥を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、太陽光の直射や太陽光によって加温された空気で汚泥を乾燥すると共に、汚泥から蒸発した湿気を汚泥近傍から流去するので、汚泥近傍に湿気がこもりにくくなり、汚泥を速やかに乾燥することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の汚泥乾燥装置の第1の実施形態の概略側断面図であり、図2は同汚泥乾燥装置の概略平面断面図である。
【0019】
乾燥室10は、乾燥室10の天井部及び側壁部の少なくとも一方が、透明性を有する部材で構成されているか、少なくとも雨天時を除いて開放できるような開閉機構が設けられており、乾燥室10内に太陽光を取り入れられるようになっている。
【0020】
図1,2に示すように、乾燥室10内には、パレット11と、汚泥供給装置12と、コンベア13と、送風装置14と、汚泥排出コンベア15と、温度計16とが配置されている。また、乾燥室10の側壁には、通気口17が設けられている。なお、通気口17は、乾燥室10の複数方向にある側壁に設けられていてもよい。
【0021】
パレット11は、本発明における、「汚泥を載置して乾燥させる汚泥載置部」である。パレット11の汚泥載置面は、通気性を有する構造をなしていることが好ましい。
【0022】
具体的な一例としては、図3に示すように、パレット11の汚泥載置面11aがメッシュ状等の多孔質形状をなしており、パレット11の底面から脚部11bが伸びてパレット11が底上げされている構造などが挙げられる。
【0023】
パレット11の汚泥載置面11aを多孔質形状にする場合、多孔質形状の孔径は、載置した汚泥が通過しない程度であれば特に限定はないが、孔径を大きくすることでパレット11の底面側から汚泥中の水分が蒸発しやすくなる。また、汚泥載置面11aの底面積は、特に限定はないが、設置スペースなどの観点から1〜10mが好ましい。
【0024】
この実施形態において、パレット11は、コンベア13上に、所定間隔をおいて複数配置されている(図面では12枚)。
【0025】
コンベア13のパレット11のスタート位置Aの上方には、汚泥供給装置12が配置されている。汚泥供給装置12は、本発明における「汚泥載置部に汚泥を供給する汚泥供給手段」であって、乾燥室10の外部の汚泥供給源30から、パレット11に汚泥を供給するように構成されている。そして、汚泥供給源30と汚泥供給装置12とを接続する流路に、送泥ポンプ31と汚泥濃度計32とが配置されている。
【0026】
コンベア13の下方には、乾燥室10の系外に伸びる汚泥排出コンベア15が配置されている。
【0027】
コンベア13は、乾燥室10内の内周に沿って水平移動するように乾燥室10内に設置されている。そして、コンベア13上に設置されたパレット11が、汚泥排出コンベア15の上方位置Bに到達した時点でパレット11を反転し、パレット11の開口部を汚泥排出コンベア15側に向けて、パレット11上の乾燥汚泥を汚泥排出コンベア15に供給するように制御されている。
【0028】
乾燥室10の内側壁には、送風装置14が配置されている。この送風装置14は、パレット11の汚泥載置面に平行な流れの空気を送風するものである。この実施形態において、送風装置14は、コンベア13上のパレット11とほぼ同一平面上に配置されていて、パレット11の汚泥載置面に平行な流れで、かつ、載置された汚泥の上下面に沿って送風するように構成されている。
【0029】
送風装置14としては、ブロア、温風ヒータなどが挙げられるが、温風ヒータなどのような温度調整機能を備えた送風装置を用いることで、冬季等の外気温度が低い場合であっても、乾燥室10内の温度を一定に維持することができるので、汚泥乾燥を安定して行うことができる。なお、送風装置14に温度調整機能が設けられていなくても、乾燥室10内にヒータ等を設置することで同様の効果が得られる。
【0030】
次に、この汚泥乾燥装置を用いた、本発明の汚泥乾燥方法について説明する。
【0031】
乾燥対象物である汚泥は、送泥ポンプ31を作動して汚泥供給装置12から、コンベア13のスタート位置A上にある空のパレット11に、均一の厚さとなるように汚泥を供給する。パレット上に供給する汚泥の厚さは、100mm以下が好ましく、10〜20mmがより好ましい。パレット上に供給する汚泥の厚みを薄くすることで、汚泥の乾燥効率が向上する。なお、パレット11上に供給される汚泥濃度は、汚泥の種類などにより異なるが、およそ2〜15%程度である。
【0032】
そして、汚泥の供給されたパレット11は、コンベア13の経路に沿って移動し、太陽光をパレット11上の汚泥に照射させつつ、送風装置14からパレット11の汚泥載置面に平行な流れで、かつ、載置された汚泥の上下面に沿って送風を行って、汚泥から蒸発した湿気を除きながら乾燥を行う。なお、送風装置14からの送風によって流去した湿気を含む空気は、通気口17から系外に排気される。
【0033】
そして、パレット11が汚泥排出コンベア15の上方位置Bに到達した時点で、該パレット11を反転して、パレット11上の乾燥汚泥を汚泥排出コンベア15に供給し乾燥汚泥を系外に排出する。乾燥汚泥を取り除いたパレットは再びスタート位置Aに戻り、汚泥供給装置12から汚泥が供給されて上記乾燥が繰り返し行われる。
【0034】
乾燥工程中、乾燥室10内の温度は、20℃以上となるように調整することが好ましく、30℃以上となるように調整することがより好ましい。20℃以上であれば、乾燥効率が損なわれにくい。なお、夏場などは、外気温度が高いので、温度調整などを行わなくても乾燥室内の温度は20℃以上となることが多いが、特に冬場などは、送風装置14から温風を送風したり、ヒータ等で乾燥室10内を加温することで、乾燥室10内の温度を20℃以上に調整することができる。
【0035】
コンベア13の移動速度は、汚泥の乾燥時間に応じて調整することが好ましい。コンベア13の移動速度の設定方法としては、各パレットごとに、パレット11に供給する汚泥の含水率と、載置された汚泥に当たる日照状態と、乾燥室10内の温度とを求め、これらの値から汚泥載置部に載置された汚泥の乾燥予測時間を算出して設定する方法が挙げられる。
【0036】
図4に示すフローチャートに基づいて、説明する。
【0037】
まず、ステップS1で、スタート位置Aにあるパレット11に汚泥を供給する。
【0038】
次に、ステップS2で、供給された汚泥の含水率、乾燥室10内の温度を測定する。なお、汚泥含水率は汚泥濃度計32の測定値であり、乾燥室10内の温度は温度計16の測定値である。
【0039】
次に、ステップS3で、日照状態と、ステップS2で測定した、汚泥の含水率及び乾燥室10内の温度とから、スタート位置Aにあるパレット11に載置された汚泥の乾燥予測時間(t)を算出する。
【0040】
次に、ステップS4で、スタート位置Aのパレットの汚泥の乾燥予測時間(t)と、現在コンベア13上を移動している各パレット11に載置された汚泥の乾燥予測時間のうち、最長の乾燥予測時間(tmax)とを比較する。t>tmaxとなる場合、ステップS5にて、スタート位置Aから汚泥排出コンベア15の上方位置Bに到達する時間がtとなるようにコンベア移動速度を更新してステップS1に戻る。一方、t<tmaxの場合は、コンベア移動速度はそのままの状態で、ステップS1に戻る。
【0041】
スタート位置Aにて新たにパレット11に汚泥を供給する毎に上記S1〜S5の操作を行って、コンベア13の移動速度を調整する。
【0042】
また、コンベア13の移動速度は、一定にして行ってもよい。この場合、各パレット11に汚泥を供給する毎に、投入する汚泥の含水率と、載置された汚泥に当たる日照状態とを求め、これらの値から設定時間内(この実施形態ではスタート位置Aのパレットが、位置Bに到達するまでに要する時間)で乾燥を終了させるのに必要な雰囲気温度を算出する。そして、その雰囲気温度となるように乾燥室10内の温度を調整して乾燥を行うことが好ましい。
【0043】
図5、6には、本発明の汚泥乾燥装置の第2の実施形態が示されている。図5は、本発明の汚泥乾燥装置の第2の実施形態の概略側断面図であり、図6は同汚泥乾燥装置の概略平面断面図である。なお、上記第1の実施形態と実質的に同一部分には、同符号を付してその説明を省略することとする。
【0044】
この実施形態では、複数のパレット11(図面では15枚)が、支持板18に支持されて固定されている。各パレット11の上方には、汚泥供給装置12から伸びたノズルが配置されており、各パレット11に汚泥を供給できるように構成されている。また、各パレット11の下方には、汚泥排出コンベア15bが配置されている。そして、支持板18は、乾燥時間を経過した時点でパレット11を反転して、パレット11上の乾燥汚泥を各列の汚泥排出コンベア15bに供給し、該汚泥排出コンベア15bから更に汚泥排出コンベア15aに供給して取出すように制御されている。
【0045】
この実施形態では、汚泥供給装置12から、空の各パレット11に汚泥が所定量供給される。パレット11上に供給された汚泥には、太陽光が照射されて乾燥が行われる。また、汚泥から蒸発した湿気は、送風装置14からの送風により、汚泥近傍から除去されて、通気口17から系外に排気される。
【0046】
そして、所定時間経過後、パレット11を反転して、パレット11上の乾燥汚泥を、汚泥排出コンベア15bを介して汚泥排出コンベア15aに供給する。汚泥排出コンベア15a上に供給された乾燥汚泥は、系外に排出され、乾燥汚泥を取り除いたパレットには、再度反転して、汚泥供給装置12から汚泥が供給されて上記乾燥が行われる。
【0047】
図7、8には、本発明の汚泥乾燥装置の第3の実施形態が示されている。図7は、本発明の汚泥乾燥装置の第3の実施形態の概略側断面図であり、図8は同汚泥乾燥装置の概略平面断面図である。なお、上記第1の実施形態と実質的に同一部分には、同符号を付してその説明を省略することとする。
【0048】
この実施形態では、乾燥室10内を環状に昇降移動するコンベア19上に複数のパレット11が配置されている。図面では3台のコンベア19が並列されて、各コンベア19上に、それぞれ10枚のパレット11が配置されている。
【0049】
また、汚泥供給装置12が、各列のコンベア19ごとに配置されており、汚泥供給装置12の下方のスタート位置A1に到達した空のパレット11上に汚泥を供給するように構成されている。また、送風装置14は、コンベア19が昇降移動する際に頂点に位置するパレット11とほぼ同一平面上の乾燥室内壁と、コンベア19の昇降移動する際に最低点に位置するパレット11とほぼ同一平面上の乾燥室内壁とのそれぞれに配置されている。また、コンベア19の下方には、汚泥排出コンベア15cが配置されている。そして、コンベア19は、コンベア19上に設置されたパレット11が上方位置B1に到達した時点で、該パレット11を反転して、パレット11上の乾燥汚泥を汚泥排出コンベア15cに供給し、乾燥汚泥を系外に排出するように構成されている。
【0050】
この実施形態では、パレット11に供給された汚泥が、コンベア19の経路に沿って移動する。その際、パレット11上に供給された汚泥には、太陽光が照射されて、汚泥から蒸発した湿気は、送風装置14により、パレット11の汚泥載置面に平行な流れで、かつ、載置された汚泥の上下面に沿って送風を行って除去される。なお、送風装置14からの送風によって流去した湿気を含む空気は、通気口17から系外に排気される。
【0051】
そして、汚泥排出コンベア15bの上方位置B1に到達した時点で、上方位置B1のパレット11を反転し、パレット11上の乾燥汚泥は、汚泥排出コンベア15cに供給して系外に排出し、乾燥汚泥を取り除いた空のパレットは、スタート位置A1にて汚泥供給装置12から汚泥が供給されて上記乾燥が繰り返し行われる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0053】
(実施例1)
図1,2に示す汚泥乾燥装置を用い、図3に示すパレットを用いて、供給汚泥濃度10.5%、乾燥室内温度10〜30℃、パレット上に供給する汚泥の厚さ10〜50mm、日照時間0〜50時間、送風の条件が風速1.9m/sで、汚泥の含水率が60%になるまで乾燥を行った。
【0054】
図9の結果から、パレット11上に供給する汚泥の厚みを薄くすることで、汚泥の乾燥に要する時間を短縮できた。
【0055】
(実施例2)
図1,2に示す汚泥乾燥装置を用い、図3に示すパレットを用いて、供給汚泥濃度10.5%、乾燥室内温度20℃、パレット上に供給する汚泥の厚さ10mm、日照時間0〜162時間、送風の条件が風速1.9m/sで乾燥を行い、汚泥の含水量を経時的に測定した。
【0056】
(実施例3)
実施例2において、パレット11として汚泥載置面が通気構造を形成していないものを用いた以外は実施例2と同様にして乾燥を行い、汚泥の含水量を経時的に測定した。
【0057】
実施例2において、送風を行わなかった以外は実施例2と同様にして乾燥を行い、汚泥の含水量を経時的に測定した。
【0058】
(比較例2)
実施例3において、送風を行わなかった以外は実施例3と同様にして乾燥を行い、汚泥の含水量を経時的に測定した。
【0059】
図10に、実施例2,3、比較例1,2の結果をまとめて記す。
【0060】
図10から明らかなように、本発明の乾燥方法を行うことで、汚泥を速やかに乾燥することができた。特に、パレットの汚泥載置面を通気性を有する構造にすること(実施例2)で、乾燥効率がより向上した。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の汚泥乾燥装置の第1の実施形態の概略側断面図である。
【図2】同汚泥乾燥装置の概略平面断面図である。
【図3】本発明で用いるパレットの一例である。
【図4】コンベアの移動速度の算出方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の汚泥乾燥装置の第2の実施形態の概略側断面図である。
【図6】同汚泥乾燥装置の概略平面断面図である。
【図7】本発明の汚泥乾燥装置の第3の実施形態の概略側断面図である。
【図8】同汚泥乾燥装置の概略平面断面図である。
【図9】汚泥の厚さと、乾燥時間との関係図である。
【図10】汚泥含水率の経時変化を示す関係図である。
【図11】従来の天日乾燥床の概略構成図である。
【符号の説明】
【0062】
1:コンクリート槽
2:砂利層
3:粗砂層
4:排水層
5:排水路
10:乾燥室
11:パレット
11a:汚泥載置面
11b:脚部
12:汚泥供給装置
13:コンベア
14:送風装置
15、15a、15b、15c:汚泥排出コンベア
16:温度計
17:通気口
18:支持板
19:コンベア
30:汚泥供給源
31:送泥ポンプ
32:汚泥濃度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光が透過するように構成された乾燥室内に、汚泥を載置して乾燥させる汚泥載置部と、この汚泥載置部に汚泥を供給する汚泥供給手段と、前記乾燥室内で送風を行う送風手段と、乾燥された汚泥を前記汚泥載置部から受け取って乾燥室外に搬送する汚泥排出手段とを備え、前記送風手段は、前記汚泥載置部の汚泥載置面に平行な流れの空気を送風するように構成されていることを特徴とする汚泥乾燥装置。
【請求項2】
前記汚泥載置部は、前記乾燥室内に設定された循環経路に沿って移動するように構成されている請求項1記載の汚泥乾燥装置。
【請求項3】
前記汚泥載置部の汚泥載置面は、通気性を有する構造とされている請求項1又は2に記載の汚泥乾燥装置。
【請求項4】
前記送風手段は、前記汚泥載置部の汚泥載置面に平行な流れで、かつ、載置された汚泥の上面及び/又は下面に沿って風の流れを形成するように構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の汚泥乾燥装置。
【請求項5】
通気性を有する底面を有する汚泥載置部に、廃棄すべき汚泥を所定の厚さとなるように載置して、太陽光が当たると共に雨が当たらない環境下に配置し、前記汚泥載置部の汚泥載置面に平行な流れで、かつ、載置された汚泥の上面及び/又は下面に沿って送風することにより、蒸発した湿気を除きつつ乾燥を行うことを特徴とする汚泥乾燥方法。
【請求項6】
投入する汚泥の含水率と、載置された汚泥に当たる日照状態と、雰囲気温度とを求め、これらの値から汚泥載置部に載置された汚泥の乾燥予測時間を算出し、その乾燥時間に達するまで乾燥を行う請求項5記載の汚泥乾燥方法。
【請求項7】
投入する汚泥の含水率と、載置された汚泥に当たる日照状態とを求め、これらの値から所定時間内で乾燥を終了させるのに必要な雰囲気温度を算出し、その雰囲気温度で前記所定時間に達するまで乾燥を行う請求項5記載の汚泥乾燥方法。

【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−101276(P2009−101276A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273976(P2007−273976)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年4月25日 社団法人 日本水道協会発行の「第58回全国水道研究発表会講演集」に発表
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】