説明

沸騰冷却装置

【課題】 冷媒槽と放熱部がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、銅の高い伝熱特性を生かしながら、発熱体に適切な荷重で押し付け可能にする。
【解決手段】 冷媒槽1を形成する容器は、銅材より成り、一方の面が冷媒槽1の内部に露出するとともに他方の面に発熱体90が接触するブロック13と、銅材より成る外皮121間に補強材122を挟んだ3層構造材にて形成されるとともにブロック13に接合される積層プレート12とを有する。そして、銅材より成る伝熱特性が高いブロック13を介して冷媒と発熱体90との間の熱移動を行う。また、補強材122を、ろう付け工程後の剛性が銅材よりも高い材料として、ろう付け工程後の剛性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒の沸騰と凝縮による潜熱移動によって半導体素子等の発熱体を冷却する沸騰冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示された沸騰冷却装置は、冷媒槽を形成する容器の材質や製法について記載されていないが、熱伝導特性を考えると、銅材をプレス、鍛造あるいは切削などの方法で加工して製作することが考えられる。また、通常、冷媒槽と放熱部はろう付けにて接合される。
【0003】
一方、ヒートシンクを発熱体に適用する場合、接触熱抵抗を低減するために、一般的に発熱体に対して少なからぬ荷重で押し付けて取り付けることが要求される。そのため、沸騰冷却装置における冷媒槽の容器においても、この荷重に対して変形を起こさず、発熱体に対して適切な荷重にて押し付けられる強度(剛性)が求められる。
【特許文献1】特開2004−37074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、銅材は一般的にろう付け時の加熱により軟化して剛性が低下するため、荷重に対して冷媒槽の容器が容易に変形し、発熱体に適切な荷重で押し付けることができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明では、冷媒槽と放熱部がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、銅の高い伝熱特性を生かしながら、発熱体に適切な荷重で押し付け可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内部に液相の冷媒を貯留するとともに、外表面に発熱体(90)が取り付けられる冷媒槽(1)と、発熱体(90)の熱によって沸騰した冷媒を冷却して凝縮させた後に冷媒槽(1)に戻す放熱部(2)とを備え、冷媒槽(1)と放熱部(2)がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、冷媒槽(1)を形成する容器は、銅材より成り、一方の面が冷媒槽(1)の内部に露出するとともに他方の面に発熱体(90)が接触するブロック(13)と、銅材より成る外皮(121)間に補強材(122)を挟んだ3層構造材にて形成されるとともにブロック(13)に接合される積層プレート(12)とを有し、補強材(122)は、ろう付け工程後の剛性が銅材よりも高い材料から成ることを特徴とする。
【0007】
これによると、冷媒槽を形成する容器は補強材によりろう付け工程後の剛性が確保されるため、冷媒槽容器を発熱体に押し付けた際の冷媒槽容器の変形が抑制される。また、銅材より成る伝熱特性が高いブロックを介して冷媒と発熱体との間の熱移動を行うことができる。したがって、銅の高い伝熱特性を生かしながら、冷媒槽容器を発熱体に適切な荷重で押し付けることができる。
【0008】
因みに、補強材(122)としては、請求項3に記載の発明のように、鋼材を用いることができる。
【0009】
なお、本明細書でいう「銅材」は、純銅および銅合金のいずれをも含むものである。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の沸騰冷却装置において、積層プレート(12)は、冷媒槽(1)の内部と外部を連通させる開口部(123)を備え、開口部(123)にブロック(13)が配置されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、ブロックの一方の面が冷媒槽の内部に露出するとともに他方の面に発熱体が接触する構成を容易に実現することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、内部に液相の冷媒を貯留するとともに、外表面に発熱体(90)が取り付けられる冷媒槽(1)と、発熱体(90)の熱によって沸騰した冷媒を冷却して凝縮させた後に冷媒槽(1)に戻す放熱部(2)とを備え、冷媒槽(1)と放熱部(2)がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、冷媒槽(1)を形成する容器は、銅材より成るとともに一方の面が冷媒槽(1)の内部に露出するベースプレート(16)と、銅材より成り、一方の面がベースプレート(16)に接触するとともに他方の面に発熱体(90)が接触するブロック(18)と、ベースプレート(16)のうちブロック(18)が接触しない部位に配置された補強用のフレーム(17)とを有し、フレーム(17)は、ろう付け工程後の剛性が銅材よりも高い材料から成ることを特徴とする。
【0013】
これによると、冷媒槽を形成する容器はフレームによりろう付け工程後の剛性が確保されるため、冷媒槽容器を発熱体に押し付けた際の冷媒槽容器の変形が抑制される。また、銅材より成る伝熱特性が高いベースプレートとブロックを介して冷媒と発熱体との間の熱移動を行うことができる。したがって、銅の高い伝熱特性を生かしながら、冷媒槽容器を発熱体に適切な荷重で押し付けることができる。
【0014】
因みに、フレーム(17)としては、請求項8に記載の発明のように、鋼材を用いることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の沸騰冷却装置において、フレーム(17)は、ベースプレート(16)の外表面側に位置するとともに、ベースプレート(16)の外表面と冷媒槽(1)の外部とを連通させる開口部(171)を備え、開口部(171)にブロック(18)が配置されていることを特徴とする。
【0016】
ところで、請求項2に記載の発明のように、積層プレートが冷媒槽の内部と外部を連通させる開口部を備える構成の場合、積層プレートとブロックとの接合部からの冷媒の漏れの恐れがあるが、請求項5に記載の発明におけるフレームの開口部は、冷媒槽の内部と外部を連通させるものではないため、開口部からの冷媒の漏れの恐れはない。
【0017】
請求項6に記載の発明では、内部に液相の冷媒を貯留するとともに、外表面に発熱体(90)が取り付けられる冷媒槽(1)と、発熱体(90)の熱によって沸騰した冷媒を冷却して凝縮させた後に冷媒槽(1)に戻す放熱部(2)とを備え、冷媒槽(1)と放熱部(2)がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、冷媒槽(1)を形成する容器は、銅材より成り、一方の面が冷媒槽(1)の内部に露出するるとともに他方の面に発熱体(90)が接触するベースプレート(16)と、ベースプレート(16)のうち発熱体(90)が接触しない部位に配置された補強用のフレーム(17)とを有し、フレーム(17)は、ろう付け工程後の剛性が銅材よりも高い材料から成ることを特徴とする
これによると、冷媒槽を形成する容器はフレームによりろう付け工程後の剛性が確保されるため、冷媒槽容器を発熱体に押し付けた際の冷媒槽容器の変形が抑制される。また、銅材より成る伝熱特性が高いベースプレートを介して冷媒と発熱体との間の熱移動を行うことができる。したがって、銅の高い伝熱特性を生かしながら、冷媒槽容器を発熱体に適切な荷重で押し付けることができる。
【0018】
因みに、フレーム(17)としては、請求項8に記載の発明のように、鋼材を用いることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の沸騰冷却装置において、フレーム(17)は、ベースプレート(16)の外表面側に位置するとともに、ベースプレート(16)の外表面と冷媒槽(1)の外部とを連通させる開口部(171)を備え、ベースプレート(16)における発熱体(90)が接触する部位は、開口部(171)から冷媒槽(1)の外側に向かって突出していることを特徴とする。
【0020】
ところで、請求項2に記載の発明のように、積層プレートが冷媒槽の内部と外部を連通させる開口部を備える構成の場合、積層プレートとブロックとの接合部からの冷媒の漏れの恐れがあるが、請求項7に記載の発明におけるフレームの開口部は、冷媒槽の内部と外部を連通させるものではないため、開口部からの冷媒の漏れの恐れはない。
【0021】
また、請求項4に記載の発明におけるブロックに相当するものが不要であるため、構造が簡素で低コストに実現できるとともに、そのブロックとベースプレートとの接触面の熱抵抗がない分、伝熱特性が良好である。
【0022】
また、ベースプレートにおける発熱体が接触する部位を突出させているため、ベースプレートと発熱体とを容易に接触させることができる。
【0023】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態に係る沸騰冷却装置の正面図、図2は図1の右側面図、図3は図1の平面図、図4は本実施形態の沸騰冷却装置に発熱体90が取り付けられた状態を示す側面図、図5は図1のA−A線に沿う断面図、図6は図1の沸騰冷却装置における要部を分解して示す斜視図である。
【0025】
図1〜図4に示すように、沸騰冷却装置は、半導体素子等の発熱体90を冷却するもので、内部に液相の冷媒を貯留するとともに、外表面に発熱体90が取り付けられる冷媒槽1と、発熱体90の熱によって沸騰した冷媒を冷却して凝縮させた後に冷媒槽1に戻す放熱部2とを備えている。
【0026】
冷媒槽1は、銅材より成るカバープレート11と、積層プレート12とが接合されて、液相の冷媒が貯留される空間が内部に形成された最中状ないしは扁平箱状の容器となっている。
【0027】
図5、図6に示すように、積層プレート12は、銅材より成る外皮121間に補強材122を挟んだ3層構造材より成り、冷媒槽1の内部と外部を連通させるとともに後述するブロック13が挿入される円形の開口部123を備え、また、後述するボルト92が挿入される穴124が形成された4つの鍔部125を備えている。
【0028】
補強材122は、ろう付け工程後の剛性が銅材よりも高い材料より成り、本実施形態ではステンレスを用いている。因みに、ステンレスは銅の拡散接合(約1100℃)やろう付け(600〜800℃)の工程を経た後も、軟化することなく、良好な強度(剛性)を維持できる。
【0029】
ブロック13は、銅材より成り、円柱状に形成された第1円柱部131と、第1円柱部131よりも大径の円柱状に形成された第2円柱部132を備えている。ブロック13は、第2円柱部132が冷媒槽1の内部に位置するようにして、第2円柱部132が積層プレート12の外皮121に当接する位置まで、第1円柱部131が積層プレート12の開口部123に圧入される。これにより、第1円柱部131の端面が冷媒槽1の外部に露出し、第1円柱部131の端面に発熱体90が接触するようになっている。
【0030】
そして、沸騰冷却装置全体を一体ろう付けする際に、第1円柱部131と開口部123の圧入部も、ブロック13と積層プレート12との勘合部の外側に配したリン銅ろうあるいは銀ろう等のリング状のろう材14を用いて密封される。
【0031】
冷媒槽1内には、ウイック15が設けられ、沸騰冷却装置全体を一体ろう付けする前に、ウイック15はブロック13に予め拡散接合されている。ウイック15は、周知のように多孔質部材であり、本実施形態では発泡銅を用いている。
【0032】
図1〜図4に示すように、放熱部2は、2枚のプレートが接合されて内部に空間が形成された最中状ないしは扁平箱状のヘッダ21と、ヘッダ21と冷媒槽1とを連通させてヘッダ21と冷媒槽1間で冷媒を流通させる複数本のチューブ22と、チューブ22間に介在されて放熱面積を増大させるフィン23と、ヘッダ21と冷媒槽1とを連結するサイドプレート24とを備えている。なお、ヘッダ21、チューブ22、フィン23、およびサイドプレート24は、いずれも銅より成る。
【0033】
上記沸騰冷却装置は、ウイック15をブロック13に予め拡散接合した後、各部材間で接合される部位に施されたろう材により一体ろう付けされる。
【0034】
真空引きされた沸騰冷却装置の内部空間には、所定量の冷媒が封入され、飽和状態に保たれている。冷媒は、ここでは水を使用している。尚、冷媒としては、水の他にアルコール、フロロカーボン、フロン等を用いてもよい。
【0035】
発熱体90は、プリント基板91に実装されており、プリント基板91と沸騰冷却装置をボルト92とナット93により結合して、ブロック13を発熱体90に押し付けている。
【0036】
上記構成になる沸騰冷却装置の作動について説明する。
【0037】
発熱体90の熱がブロック13を介してウイック15に伝達され、ウイック15内の液相冷媒はその熱により沸騰気化し、気相冷媒はチューブ22内を上昇してヘッダ21に向かって流れる。気相冷媒はチューブ22内を流れる際に外部の空気と熱交換して冷却される。そして、冷却されて凝縮した冷媒は、チューブ22内を下降して冷媒槽1内に還流する。
【0038】
このように、発熱体90が発生した熱は、冷媒に伝達されて放熱部2に輸送され、この放熱部2で気相冷媒が凝縮する際に凝縮潜熱として放出され、フィン23を介して外気に放熱され、これにより、発熱体90が冷却される。
【0039】
本実施形態では、冷媒槽1を形成する容器は補強材122によりろう付け工程後の剛性が確保されるため、冷媒槽容器を発熱体90に押し付けた際の冷媒槽容器の変形が抑制される。また、銅材より成る伝熱特性が高いブロック13を介して冷媒と発熱体90との間の熱移動を行うことができる。したがって、銅の高い伝熱特性を生かしながら、冷媒槽容器を発熱体90に適切な荷重で押し付けることができる。
【0040】
また、積層プレート12の外皮121は銅材より成るため、冷媒として水を用いた場合に腐食による非凝縮ガスの発生を抑制することができるとともに、銅材より成るブロック13と積層プレート12とを、リン銅ろうあるいは銀ろうなどのような一般的な銅ろう付け用ろう材にて容易に接合することができる。
【0041】
また、ブロック13を段付き円柱状に形成し、大径の第2円柱部132を積層プレート12の外皮121に当接させることにより、ブロック13と積層プレート12との勘合部の外側にリング状のろう材14などを持いてろう付けをおこなった際に、ウイック15へろう材14が吸い込まれるのを防ぐことができる。
【0042】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図7は第2実施形態に係る沸騰冷却装置の要部の断面図、図8は第2実施形態に係る沸騰冷却装置の要部を分解して示す斜視図である。本実施形態は、冷媒槽1を形成する容器の構成が第1実施形態と異なっている。なお、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
図7、図8に示すように、冷媒槽1は、銅材より成るカバープレート11(図1参照)と、銅材より成るベースプレート16とが接合されて、液相の冷媒が貯留される空間が内部に形成された最中状ないしは扁平箱状の容器となっている。ベースプレート16の外表面側には、補強用のフレーム17が配置されている。
【0044】
フレーム17は、後述するブロック18が挿入される円形の開口部171を備え、また、ボルトが挿入される穴172が形成された4つの鍔部173を備えている。フレーム17は、ろう付け工程後の剛性が銅材よりも高い材料より成り、本実施形態ではステンレスを用いている。
【0045】
ブロック18は、銅材より成り、円柱状に形成された第1円柱部181と、第1円柱部181よりも小径の円柱状に形成された第2円柱部182を備えている。ブロック18の第2円柱部182がフレーム17の開口部171に挿入されて、第2円柱部182の端面がベースプレート16に接触するようになっている。
【0046】
また、ブロック18の第1円柱部181とベースプレート16との間にフレーム17を挟み込んだ構造となっている。そして、第1円柱部181の端面が冷媒槽1の外部に露出し、第1円柱部181の端面に発熱体90(図1参照)が接触するようになっており、これにより、発熱体90の熱がベースプレート16およびブロック18を介してウイック15に伝達される。
【0047】
なお、ベースプレート16、フレーム17、およびブロック18は、沸騰冷却装置全体を一体ろう付けする際に同時にろう付けする。
【0048】
本実施形態では、冷媒槽1を形成する容器はフレーム17によりろう付け工程後の剛性が確保されるため、冷媒槽容器を発熱体90に押し付けた際の冷媒槽容器の変形が抑制される。また、銅材より成る伝熱特性が高いベースプレート16およびブロック18を介して冷媒と発熱体90との間の熱移動を行うことができる。したがって、銅の高い伝熱特性を生かしながら、冷媒槽容器を発熱体90に適切な荷重で押し付けることができる。
【0049】
また、ベースプレート16は銅材より成るため、冷媒として水を用いた場合に腐食による非凝縮ガスの発生を抑制することができるとともに、銅材より成るブロック18とベースプレート16とを一般的な銅ろう付け用ろう材にて容易に接合することができる。
【0050】
また、フレーム17の開口部171は冷媒槽1の内部と外部を連通させるものではないため、開口部171からの冷媒の漏れの恐れはなく、ベースプレート16とブロック18とを接合するためのろう材がウイック15へ吸い込まれる恐れもない。
【0051】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図9は第3実施形態に係る沸騰冷却装置の要部の断面図、図10は第3実施形態に係る沸騰冷却装置の要部を分解して示す斜視図である。本実施形態は、第2実施形態におけるベースプレート16の形状を変更して、ブロック18を不要にしたものである。なお、第2実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
図9、図10に示すように、ベースプレート16の一部を外側に打ち出して凸部161を形成し、この凸部161をフレーム17の開口部171に挿入して、凸部161を開口部171よりもさらに外側まで突出させている。そして、凸部161の外表面に発熱体90(図1参照)が接触するようになっており、これにより、発熱体90の熱がベースプレート16を介してウイック15に伝達される。
【0053】
なお、ベースプレート16とブロック18は、沸騰冷却装置全体を一体ろう付けする際に同時にろう付けする。
【0054】
本実施形態では、冷媒槽1を形成する容器はフレーム17によりろう付け工程後の剛性が確保されるため、冷媒槽容器を発熱体90に押し付けた際の冷媒槽容器の変形が抑制される。また、銅材より成る伝熱特性が高いベースプレート16を介して冷媒と発熱体90との間の熱移動を行うことができる。したがって、銅の高い伝熱特性を生かしながら、冷媒槽容器を発熱体90に適切な荷重で押し付けることができる。
【0055】
また、ベースプレート16は銅材より成るため、冷媒として水を用いた場合に腐食による非凝縮ガスの発生を抑制することができる。
【0056】
また、フレーム17の開口部171は冷媒槽1の内部と外部を連通させるものではないため、開口部171からの冷媒の漏れの恐れはない。
【0057】
また、第2実施形態におけるブロック18が不要であるため、構造が簡素で低コストに実現できるとともに、そのブロック18とベースプレート16との接触面の熱抵抗がない分、伝熱特性が良好である。
【0058】
(他の実施形態)
上記実施形態では、補強材122またはフレーム17は、ステンレスを用いたが、他の鉄系材料(例えば炭素鋼)を用いてもよい。
【0059】
また、第2、第3実施形態では、ベースプレート16とフレーム17をろう付けにて一体化したが、ベースプレート16とフレーム17をかしめにより一体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態に係る沸騰冷却装置の正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】第1実施形態の沸騰冷却装置に発熱体が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図5】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図6】図1の沸騰冷却装置における要部を分解して示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る沸騰冷却装置の要部の断面図である。
【図8】第2実施形態に係る沸騰冷却装置の要部を分解して示す斜視図である
【図9】本発明の第3実施形態に係る沸騰冷却装置の要部の断面図である。
【図10】第3実施形態に係る沸騰冷却装置の要部を分解して示す斜視図である
【符号の説明】
【0061】
1…冷媒槽、2…放熱部、12…積層プレート、13…ブロック、121…外皮、122…補強材、90…発熱体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液相の冷媒を貯留するとともに、外表面に発熱体(90)が取り付けられる冷媒槽(1)と、前記発熱体(90)の熱によって沸騰した前記冷媒を冷却して凝縮させた後に前記冷媒槽(1)に戻す放熱部(2)とを備え、前記冷媒槽(1)と前記放熱部(2)がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、
前記冷媒槽(1)を形成する容器は、銅材より成り、一方の面が前記冷媒槽(1)の内部に露出するとともに他方の面に前記発熱体(90)が接触するブロック(13)と、銅材より成る外皮(121)間に補強材(122)を挟んだ3層構造材にて形成されるとともに前記ブロック(13)に接合される積層プレート(12)とを有し、
前記補強材(122)は、ろう付け工程後の剛性が前記銅材よりも高い材料から成ることを特徴とする沸騰冷却装置。
【請求項2】
前記積層プレート(12)は、前記冷媒槽(1)の内部と外部を連通させる開口部(123)を備え、前記開口部(123)に前記ブロック(13)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の沸騰冷却装置。
【請求項3】
前記補強材(122)は、鋼材より成ることを特徴とする請求項1または2に記載の沸騰冷却装置。
【請求項4】
内部に液相の冷媒を貯留するとともに、外表面に発熱体(90)が取り付けられる冷媒槽(1)と、前記発熱体(90)の熱によって沸騰した前記冷媒を冷却して凝縮させた後に前記冷媒槽(1)に戻す放熱部(2)とを備え、前記冷媒槽(1)と前記放熱部(2)がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、
前記冷媒槽(1)を形成する容器は、銅材より成るとともに一方の面が前記冷媒槽(1)の内部に露出するベースプレート(16)と、銅材より成り、一方の面が前記ベースプレート(16)に接触するとともに他方の面に前記発熱体(90)が接触するブロック(18)と、前記ベースプレート(16)のうち前記ブロック(18)が接触しない部位に配置された補強用のフレーム(17)とを有し、
前記フレーム(17)は、ろう付け工程後の剛性が前記銅材よりも高い材料から成ることを特徴とする沸騰冷却装置。
【請求項5】
前記フレーム(17)は、前記ベースプレート(16)の外表面側に位置するとともに、前記ベースプレート(16)の外表面と前記冷媒槽(1)の外部とを連通させる開口部(171)を備え、前記開口部(171)に前記ブロック(18)が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の沸騰冷却装置。
【請求項6】
内部に液相の冷媒を貯留するとともに、外表面に発熱体(90)が取り付けられる冷媒槽(1)と、前記発熱体(90)の熱によって沸騰した前記冷媒を冷却して凝縮させた後に前記冷媒槽(1)に戻す放熱部(2)とを備え、前記冷媒槽(1)と前記放熱部(2)がろう付けにて接合される沸騰冷却装置において、
前記冷媒槽(1)を形成する容器は、銅材より成り、一方の面が前記冷媒槽(1)の内部に露出するるとともに他方の面に前記発熱体(90)が接触するベースプレート(16)と、前記ベースプレート(16)のうち前記発熱体(90)が接触しない部位に配置された補強用のフレーム(17)とを有し、
前記フレーム(17)は、ろう付け工程後の剛性が前記銅材よりも高い材料から成ることを特徴とする沸騰冷却装置。
【請求項7】
前記フレーム(17)は、前記ベースプレート(16)の外表面側に位置するとともに、前記ベースプレート(16)の外表面と前記冷媒槽(1)の外部とを連通させる開口部(171)を備え、
前記ベースプレート(16)における前記発熱体(90)が接触する部位は、前記開口部(171)から前記冷媒槽(1)の外側に向かって突出していることを特徴とする請求項6に記載の沸騰冷却装置。
【請求項8】
前記フレーム(17)は、鋼材より成ることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1つに記載の沸騰冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−177613(P2006−177613A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371247(P2004−371247)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】